14
〔論文〕 弘前大学経済研究第 34 1-14 20 日年12 26 日本の国内航空旅客市場における規制緩和の効果 -2000 年と 2005 年の比較一 大橋 1) 要旨 本研究の目的は,ネットワークレベルで、提えた囲内航空旅客市場において.輸送密度の経済性等 を明示的に考慮した枠組みの下で 1980 年代後半以降に行われた規制緩和の効果を実証的に議論す る乙とである 。日本で規制緩和が行われた直後の2000 年と2005 年それぞれにつ いて 需給関数の 同時推定を行 った結果.大儒(2011 )が2005 年データの分析で示した主要幹線における輸送密度の 不経済性が2000 年データでは統計的に有意にならないなどの違いがあることが示される。さらに 2000 年と2005 年の推定結果から計算される各旅客市場での社会的余剰について比較したところ. 制緩和により社会的余剰が増加した OD が観られる一方で 路線撤退等が観測された OD では社会 的余剰l が減少していることなどが示される 。 1.はじめに 日本では. 1980 年代後半以降に圏内航空旅客 市場に関する規制緩和が進められた。具体的に は, 1986 年に45 47 休制が廃止され,参入に関 して1986 年にダブル ・トリプル トラック化基準 が設けられた。その後,1992 年,1996 年にダブ ル ・トリプル トラック 化基準が徐々に緩和され, 1997 年にはダブル ・ト リプル トラック化基準が 廃止されたことにより,参入が自由化された。 参入自由化後, 1998 年のスカイマークエアライ ンズ.エアドゥー参入に続いて.フェアリンク ス(現 IBEX. 2000 年),スカイネットアジア 航空 2002 年),スタ ー フラ イヤー 2006 年), 1 )干 036-8560 弘前市文京町 l 弘前大学ノ\文学部 ([email protected]) フジ ドリームエアラインズ 2009 年)の参入が 行われた。他方,運賃規制に関しては,1990 に標準原価の導入による同一距離同一運賃のよ うな変化 はあ ったものの, 1986 年以降も認可制 が維持された。運賃規制の緩和は 1995 年の一部 運賃の届出制採用に始まり ,1996 年に幅運賃制 度の導入を経て, 2000 年に届出制へ移行された。 規制緩和後には新規参入だけでなく ,2001 JAL・JAS 統合にみられるような寡占化の動 きも見られた。また,今後は2012 年中に 国内 市場に,ピーチアピエーションやエアアジア ジャパン,ジェットスタ ー ジ、ャパンというロ ー コス トキャリアー と呼ばれる航空会社の参入も 計画されている 。 以上のように規制緩和以降に圏内航空旅客市 場においてはさまざまな変化があるものの,規 制緩和が社会全体にどのような影響を与えたか についての実証的な検討は十分であるとは言え - 1

日本の国内航空旅客市場における規制緩和の効果human.cc.hirosaki-u.ac.jp/.../treatise/34/treatise_34_01.pdf日本の国内航空旅客市場における焼制緩和の刻IJJill:

  • Upload
    others

  • View
    0

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: 日本の国内航空旅客市場における規制緩和の効果human.cc.hirosaki-u.ac.jp/.../treatise/34/treatise_34_01.pdf日本の国内航空旅客市場における焼制緩和の刻IJJill:

〔論文〕 弘前大学経済研究第34号 1-14頁 20日年12月26日

日本の国内航空旅客市場における規制緩和の効果-2000年と2005年の比較一

大橋 忠 宏1)

要旨

本研究の目的は,ネットワークレベルで、提えた囲内航空旅客市場において.輸送密度の経済性等

を明示的に考慮した枠組みの下で 1980年代後半以降に行われた規制緩和の効果を実証的に議論す

る乙とである。日本で規制緩和が行われた直後の2000年と2005年それぞれについて 需給関数の

同時推定を行った結果.大儒(2011)が2005年データの分析で示した主要幹線における輸送密度の

不経済性が2000年データでは統計的に有意にならないなどの違いがあることが示される。さらに

2000年と2005年の推定結果から計算される各旅客市場での社会的余剰について比較したところ. 規

制緩和により社会的余剰が増加したODが観られる一方で 路線撤退等が観測されたODでは社会

的余剰lが減少していることなどが示される。

1.はじめに

日本では. 1980年代後半以降に圏内航空旅客

市場に関する規制緩和が進められた。具体的に

は, 1986年に45・47休制が廃止され,参入に関

して1986年にダブル ・トリプル トラック化基準

が設けられた。その後,1992年,1996年にダブ

ル・トリプル トラック化基準が徐々に緩和され,

1997年にはダブル ・ト リプル トラック化基準が

廃止されたことにより,参入が自由化された。

参入自由化後, 1998年のスカイマークエアライ

ンズ.エアドゥー参入に続いて.フェアリンク

ス (現IBEX. 2000年),スカイネッ トアジア

航空 (2002年),スターフライヤー (2006年),

1)干036-8560弘前市文京町 l 弘前大学ノ\文学部([email protected])

フジ ドリームエアラインズ (2009年)の参入が

行われた。他方,運賃規制に関しては,1990年

に標準原価の導入による同一距離同一運賃のよ

うな変化はあったものの, 1986年以降も認可制

が維持された。運賃規制の緩和は1995年の一部

運賃の届出制採用に始まり,1996年に幅運賃制

度の導入を経て, 2000年に届出制へ移行された。

規制緩和後には新規参入だけでなく ,2001年

のJAL・JAS統合にみられるような寡占化の動

きも見られた。また,今後は2012年中に 国内

市場に,ピーチアピエーションやエアアジア

ジャパン,ジェットスタージ、ャパンというロー

コス トキャリアーと呼ばれる航空会社の参入も

計画されている。

以上のように規制緩和以降に圏内航空旅客市

場においてはさまざまな変化があるものの,規

制緩和が社会全体にどのような影響を与えたか

についての実証的な検討は十分であるとは言え

- 1 ー

Page 2: 日本の国内航空旅客市場における規制緩和の効果human.cc.hirosaki-u.ac.jp/.../treatise/34/treatise_34_01.pdf日本の国内航空旅客市場における焼制緩和の刻IJJill:

ないと考える。

米国では,囲内航空旅客市場での規制緩和に

ついて多くの実証的な検討が行われているが.

Gaynor and Trapani (1994)やMorrisonand

Winston (1995)に代表されるように旅客は規

制緩和の利益を受けていると指摘している分析

結果もあれば, Borenstein(1990)やMorrison

(1996)のように航空会社の路線網再編による

空港支配についての危倶を指摘するものなど,

賛否についてはさまざまな議論がある。

他方,日本国内旅客市場を対象とした規制緩

和の効果に関する研究はそれほど多いわけでは

ない。航空白由化以前については.たとえば,

村上 (1995)は需給バランスへの効果に関して

需給関連の連立方程式を同時推定してダブル・

トリ プル トラック化の評価を行っている。彼ら

は分析の結果として,空港発着枠制限のために

トラッキング増加による十分な混雑緩和は見込

めないことなどを指摘している。大橋他(2003)

は,集計した国内市場データによる需給関数の

同時推定を通じて規制緩和及び空港整備効果の

計測を行い,規制緩和や空港整備により旅客や

航空会社は正の便益を受けていることを示して

いる。航空自由化以降の政策効果については,

津野(2006)が正規運賃,割引運賃等の運賃の

種類毎に運賃の決定要因に関する分析を通じ

て,規制緩和により普通旅客運賃がエリア差別

的になったことやJAL・JAS統合の効果等につ

いての議論が行われている。

ただし規制緩和の効果は,市場として魅力

ある路線には新規参入など、競争が促進される

が.魅力の乏しい市場では.i戚便ゃ撤退などが

行われると考えられるため.必ずしもすべての

ODで正の便益が得られるわけではなく, OD

毎に計測できるような枠組みでの分析が重要で

あると考える。さらに,ODf耳の便益計測を行

うためには, ODあるいは航空路線毎の特性を

明示的に考慮、した枠組みでの分析が必要であろ

う。特に,ネッ トワークレベルで航空旅客市場

2

に関する議論を行う上で, Caveset al. (1984)

やBruecknerand Spiller (1994)で実証的に

存在が示された輸送密度の経済性を明示的に考

慮することが重要で、あると考える。本稿では,

大橋(2011)と同様に Brueckn巴randSpiller

(1991)。(1994)に倣って.輸送密度の経済性

とは路線需要の増加に対して追加的費用が低下

する特性であると定義する。なお.Brueckner

and Spiller (1991)を援用した研究で、輸送密度

の経済性が考慮される場合には,供給側の限界

費用低下の特性のみが明示的に考慮されること

が多いが. 需要側にとっては路線需要の増加は

運航頻度の増加によるスケジ、ュールコストの低

下をもたらす。本稿では,前者を供給側の輸送

密度の経済性と呼び,後者を需要側の輸送密度

の経済性と呼ぶこととする。

以上の問題意識の下で,本研究では.ネット

ワークレベルでとらえた国内航空旅客市場にお

いて輸送密度の経済性等を明示的に考慮した

枠組みの下で・'. 1980年代後半以降の規制緩和の

効果を実証的に検討することを目的とする。具

体的には.日本で規制緩和が行われた直後の

2000年と2005年それぞれについて需給関数の同

時推定を行い,推定したモデ、ルを使って両時点

の社会的余剰の変化を観察するととで,規制緩

和の効果について議論する。以下. 2.でモデル

の説明を行い, 3.では利用データ及びモデル特

定化について説明する。4では2000年及び2005

年それぞれのデータでのモデルの推定結果及び

現況再現性について説明する。そして, 5で

2000年と2005年の社会的余剰の変化を観ること

で規制緩和の効果について考察する。

2.モデル

本研究で対象とする国内航空旅客市場につい

ては,大橋 (2011)と同様に以下を仮定する。

まず, ODペア毎に旅客市場が存在するもの

とする。各市場に参入する航空会社は同質的な

Page 3: 日本の国内航空旅客市場における規制緩和の効果human.cc.hirosaki-u.ac.jp/.../treatise/34/treatise_34_01.pdf日本の国内航空旅客市場における焼制緩和の刻IJJill:

日本の国内航空旅客市場における焼制緩和の刻IJJill:

財を生産しているものとし簡単のため各市場

は独立であると仮定する。逆需要関数は以下の

ように表現される。

P「p,,,(q,,,;POP0,POP0,t,,,,freq仰

ここで・・. mは地域間旅客市場 (OD),q川は市場

mでの航空需要量, POPは発地Oまたは着地D

の人口, t”』は時間費用(所要時間など),/ヤeq川II

は運航頻!亙(乗り継ぎ、の場合は少ない側の{直な

ど),αii,白

る2)。

航空会社の費用については,簡単のため運航

に係る費用は路線ごとに独立であると仮定す

る。このとき,ネッ トワーク全体での運航費用

は路線での費用の和として定義される。航空会

社tの路線jでの限界費用を次のように仮定す

る。

cij’(Qij; Dis lane己J,AirportDum) ( 2 )

ここに Qリは航空会社tの路綿jでの需要量,

Distanceiは路線jの時間距離, AirportDumは

主要空港ダミー変数(羽田や伊丹 ・関西,新千

歳, 中部。福岡.那覇など)とする。航空旅客

市場は路線ごとではなく ODペア毎に存在する

から.市場mで集計した限界費用は以下のよう

に書くことができるものとする。

MC;111 =MC( q ;,山S;,,,,Distanc弓11,AirportDu叫 (3)

ここで l/;111は航空会社lの市場mでの航空需要

量であり, 1111を市場mで運航する航空会社tか

らなる集合として qm= Lief. q川とする。s川

はQijの関数とする。Distance111は市場mの時間

距離とする。

航空旅客市場の競争について Brueckner

and Spiller (1994)など多くの先行研究で仮定

2)圏内航空旅客市場を分析する上で,鉄道等の代替

交通機関の彩響は無視できない。ここでは Yamaguchi

(2007)でも利用されている航空シェアを導入することで。

代管交通機関の影響を考慮する。

されているようにクールノーの寡占競争を仮

定すると均衡では次の式が成立する。

apm aa,一一MR;m = ~ __.!!!_ l/im +Pm= MC 。q川 aq川I "

( 4)

ただし 一般に航空会社の個別の需要に関する

情報は入手し難いので,両辺に航空会社数を掛

けて平均化して考える。すなわち.

ap aq., n,,, MR川 =_:_f!!_,.:..2'!'_,q,,,+n,,,Pm= n,,, MC;m ( 5)

aq,,, aq川

ここで, n,"は都市間市場mでの参入企業数と

する。

3. データと関数の特定

3' 1 データ

今回の推定に利用したデータの一覧を表 lに

示す。

OD交通量 (q川)は,全国幹線旅客純涜動調

査の都府県及び北海道4ゾーンの50ゾーン聞の

代表交通機関別年間拡大データの往復の平均を

とったものを利用 している。ただし OD以外

第三地域へのトリ ッフ。を含む周遊行動を行って

いると推測され. round tripとして解釈できな

いものが含まれており,このようなODペアや

離島便利用と推測されるものは標本から除外し

た。航空路線需要 (Q)は, OD交通量を路線

毎に集計したものを利用している。αirshare

は航空の交通機閲分担率であり 0 幹線旅客純疏

動調査の代表交通機関別年間拡大データの往復

の平均値から算出した。

POPPOP111はODペアmの人口の積であり,

国勢調査のデータを利用している。

運賃や運航頻度,ラインホール時間, HHIの

データは, ]TB時刻表から作成している。HHI

は供給便数に関するハーフィンダール・ハー

シュマン指数であり, l/HH/;を平均化した市場

での参入企業数印刷)として利用している。運

賃 (p/11)には通常期の正規運賃を利用している。

3 ー

Page 4: 日本の国内航空旅客市場における規制緩和の効果human.cc.hirosaki-u.ac.jp/.../treatise/34/treatise_34_01.pdf日本の国内航空旅客市場における焼制緩和の刻IJJill:

表 1・利用データ一覧

変数名 変数の説明

qi/I ODペア関mの航空需要(千人)

Qi 航空路線jを利用する需要(千人)

airshare111 航空機関の分担率

POP POP,,, 発地域人口 (人)×着地域人口 (人)

Pm ODペア間mの航空運賃(円)

LTIME ラインホール時間 (分)

FREQ 運航頻度 (便)

HHI 運航頻度に関するハーフィンダール・ハーシュマン指数

ACC FARE アクセス運賃(円)

ACC TIME アクセス時間 (分)

CTS 新千歳空港ダミー

HND 羽田空港ダミー

!TM 伊丹 ・関西空港ダミー

航空運賃には通常期や繁忙期の正規運賃の他,

各種割引運賃等が利用可能であるが,データの

入手可能性から通常期の正規運賃を利用するこ

ととした 3)。 ラインホール時間 (LT!ME)は

一般に往路 (時刻表左側)と復路(時刻表右欄)

では異なるが,簡単のため,往路で最も運航頻

度の多い航空会社の値を利用している。

ODペアそれぞれの最寄り空港聞に直行便が

就航していない場合の乗り継ぎの設定方法は大

橋 (2011)と同様に設定した。すなわち, OD

ぺアに対してそれぞれの最寄り空港聞に直行便

がない場合,隣県空港利用による直行便があれ

ば当該便を利用すると想定している。それ以外

3)津野 (2006)は。航空運賃関数の推定で,データとして利用する運賃の種類によって,運賃の決定袈因に遠いがあることを指摘している。運賃としてどのようなデータを利用するのが望ましいか等の検討については今後の課題としたい。

出所及び作成方法

第三巨|・ 第四回の幹線旅客純詐LlllJJ調査の代表交通機関別年間拡大データの往復の平均値

ODぺア閣の航空需要を航空路線毎に集計

第三回 ・第四回の幹線旅客純計L動調査の代表交通機関別年間拡大データの往復の平均値から算出

国勢調査人口

]TB時刻表掲載の正規運賃で\複数路線を乗り継ぐ場合はそれらの運賃の足し合わせ

]TB時刻表掲載のものを利用し往路側の所要時聞の最頻値

]TB時刻表の往復の平均値

JTB時刻表掲載の運航頻度を利用

]TB時刻表掲載のパス,鉄道データ

]TB時刻表掲載のパス,鉄道データ

新千歳空港を離発着する路線を利用する場合に 1を,そうでない場合に Oを設定

羽田空港を離発着する路線を利用する場合に lを,そうでない場合に Oを設定

伊丹あるいは関西空港を離発着する路線を利用する場合に lを,そうでない場合に Oを設定

の場合には,複数区間乗り継ぎを設定している。

乗り継ぎ設定については次のように設定してい

る。当該地域と羽田空港聞に直行便路線が設定

されている場合には羽田乗り継ぎと してデータ

を作成している。羽田線がない場合には,適宜,

伊丹乗り継ぎ,あるいは新千歳乗り継ぎ,福岡

乗り継ぎ; 中部乗り継ぎ、を想定してデータの作

成を行つでいる。また,乗り継ぎ便を利用する

ODペアに関するHHIは簡単のため,各利用路

線のHHIJを単純平均したものを利用している。

アクセス運賃 (ACC_FARE)及びアクセス時

間 (ACC一円ME)については, ]TB時刻表を元

に各ODの最寄りの空港について作成したもの

を利用している。

主要空港ダミー変数は]TB時刻表を元に作

成している。今回は,圏内航空輸送を考える上

で主要な空港と考えられる新千歳空港,羽田空

港,伊丹 ・関西空港について,これらの空港を

- 4 -

Page 5: 日本の国内航空旅客市場における規制緩和の効果human.cc.hirosaki-u.ac.jp/.../treatise/34/treatise_34_01.pdf日本の国内航空旅客市場における焼制緩和の刻IJJill:

日本の園内航空旅客市場における規制緩和の効果

利用する路線の場合には Iをそうでない場合に

はOを設定している 4)。なお。乗り継ぎ{更を

利用する ODについては,主要空港ダミー変数

を設定した空港を着陸及び離陸で利用する場合

には,2を設定している。

3. 2 関数の特定化

2で 定式化した航空旅客市場モデルについ

て実証分析を行うための逆需要関数及び限界

費用関数等のモデル特定化について説明する。

逆需要関数は次のよう に線形の式を仮定す

る5)。

Pm= am +bqm ( 6)

ことで.逆需要関数の切片a.Illを以下のように

特定化する 6)。

a,,, = a0 + a1airshare,,, + a2POPPO凡t

+a3ACC_TIん{Em+a4ACC_FA尺E,,,

+α5LTJME,,, ( 7)

逆需要関数(式( 6))の傾きbの符号は負を想

定している。次に,逆需要関数の切片(式 (7))

の符号について, aIはプラスを想定している。

その理由は,航空シェアの上昇は,鉄道等の代

替交通機関に比べて航空機関が競争において有

利になると考えられるため,価格支配力を強め

ると考えるからである。α2の符号は,潜在的な

4)空港ダミー変数については,新千歳f 羽凪伊丹 ・関空以外に中部福岡,那稲についても変数として考屈し

た推定を試みた。しかし多重共線性が疑われるケースや

係数のI値が低いなど。符号条件や統計的有意性の観点から良好な推定結果は得られなかった。

5) Brueckner and Spiller 0994)では.需要関数の

傾きとして市場毎に異なるん』が設定されている。本研究でも市場毎に異なるb,,,での推定を試みたが。 1守号条件等に傑|してまだ良好な結果が得られていなし、。

6)当初 旅客需要に運航頻度が|見Jilliしていると考え

られるため 式( 7)に運航頻度の関数を含んだ特定化の下でデータ作成及びモデル推定を行った。しかしながら符号条件を満足する運航頻度に関する項を含んだ俄定式が得られなかった。運航頻度については。発地あるいは着地

から利用可能と考えられる空港で利用可能な路線頻度を合計したものを利用している。

需要量の係数であり。プラスを想定している。

α3~α5の符号については, 旅客にとって費用に

相当すると考えられるため,共にマイナスを想

定している。

逆需要関数を式( 6)のよ うに特定化すると.

限界収入MRは次のように書くことができる。

MR;111= a111+b(q111+ q;,,,)

限界費用はBruecknerand Spiller (1994)

と同様に次のように特定化する。

MC川 = α;,,,+ S. ( 9)

このとき,先行研究と同様に均衡ではクール

ノーの寡占競争を仮定する。すなわち,限界収

入と限界費用が等しいという以下の式が得られ

る。

Pm+bq川 =α川 +Sim (10)

なお,今回は需要に関して航空会社毎のデータ

は入手できないので,航空会社については市場

毎に平均化して問題を考える。すなわち。両辺

に参入企業数n附を乗じて整理すると,

Pm=-b~ + ー;;;+ ま;;:n

Ti

Ei

rtz

限界費用の切片九は,主要空港ダミー変数

(HND, !TM. CTS)や.時聞からなる関数とし

て次のように特定化する。

am=α。+α1HND+α2JTM+α3CTS

+α4LT!ME (12)

ここで,主要空港ダミー変数の係数(αl~α3)

については,プラスの符号を想定している。日

本の国内航空旅客輸送を対象とする場合, 今回

の主要空港として想定しているのは基本的には

国管理空港であり, 地方菅理空港に比べて,路

線や運航頻度などが相対的に集中しているた

め,滑走路等での遅延が発生しやすいと考えら

れる。また, 地方管理空港の多くでは.空港使

用料が国管理空港と比べて安く設定されている

- 5 ー

Page 6: 日本の国内航空旅客市場における規制緩和の効果human.cc.hirosaki-u.ac.jp/.../treatise/34/treatise_34_01.pdf日本の国内航空旅客市場における焼制緩和の刻IJJill:

ためである。ラインホール時間の係数内の符

号と しては,ラインホール時間の増加は燃料費

の増加を意味すると考えられるのでプラスを想

定している。

供給サイドに関する輸送密度の経済性を表現

する S,,,は,路線需要を使って次のように特定

化する。

S,,,= エ ヤ\Qj+β2Q/) (13) leL(m)

ここで, L(m)は与えられたmの旅客が利用す

る路線からなる集合とする 7)。 式 (13)は,

輸送密度の経済性が卓越している場合 C/31

+2/32Qj < 0)にはQjiこ関して減少関数となる。

他方,混雑効果が卓越している場合 C/31+2/32Qj

>0,すなわち,輸送密度の不経済性が働いて

いる場合)にはQjに関して増加関数となるこ

とを想定している。

式( 6)' (11)を解くと E 均衡では.

p ’ all/ + nm~α"'+ S,,, - "' n111 +]

04a)

q 事= -n111a附 + n,,, (~+ま;;)111 b(n111+l)

(14b)

が得られる。したがって,消費者余剰及び生産

者余剰, 社会的余剰は以下のように計算される。

(a,,. -Pm ) ・q" (消費者余剰),,,= I (15)

… 2

(生産者余剰)川={Pm・-(am+丸)}・q111* (16)

(社会的余剰)111=(消費者余剰)Ill+(生産者余剰),,,

=(am -

7)式 (13)に含まれる路線需要Q;は 厳密にはらの関数である。しかし 今回はモデ、ル展開およびデータ処理を簡単化するため Brueckner and Spiller (1994)と同様に

qmとは独立な変数と してすなわち外生変数として扱う。

4. 推定結果と現況再現性

式( 6),(11)を2000,2005年のそれぞれのデー

タについて三段階最小二乗法により推定した結

果を表2に示す。表2に示した2000年と2005年

のそれぞれのモデル 1,2は推定の結果,概ね

想定した符号条件を満たしたものの中から当て

はまりの良いものを掲載している。

表2を元に推定結果を概観しよう。

まず 2005年データの推定結果については,

大橋 (2011)と福岡空港のダミー変数を考慮す

るかしないか,という違いはあるもののほぼ同

じである。

すなわち, 2005年データについての式 (6)

の需要関数の傾きb及び切片のラインホール時

間以外の各係数αl~a4の符号条件は想定通りで

ある 8)。 各係数の統計的有意性については。

需要の傾き及び航空シェア及びラインホール時

間の各係数b, αI• asについては1%未満で有意

であり, OD人口積の係数a2は10%未満で、有意

であるが,アクセス時間やアクセス運賃の各係

数aJ’a4についてはモデルによっては統計的に

は必ずしも有意な結果にはなっていない。

同様に, 2005年データでの式(11)については.

限界費用関数の構成要素の内,路線需要に依存

しない部分に当たるa1~向及び供給側にとって

の路線需要の増加に伴う規模の経済性,すなわ

ち供給側の輸送密度の経済性に関する係数

/31. /32の符号条件は想定通りであり,統計的に

は1%未満の水準で有意である。ここで,大橋

(2011)と同様に,2005年モデル 2について.

8)ラインホール時間の係数G5については マイナスの符号を惣定していたが,さまざまな変数の組み合わせで推定した結果 いずれの場合もプラスの符号であり 統計的には 1%未満の水準で有意であった。ラインホール時間のrmmは需姿を増加させることを意味するが他の交通機関との関係から航空機関は長距離ほど時間費用で有利に働

くので ラインホール時間が長いほど相対的に航空機関への需要が高まると解釈できる。

- 6 ー

Page 7: 日本の国内航空旅客市場における規制緩和の効果human.cc.hirosaki-u.ac.jp/.../treatise/34/treatise_34_01.pdf日本の国内航空旅客市場における焼制緩和の刻IJJill:

日本の圏内航空旅客市場における規制緩和の効果

式 (13)をQjで、微分した/31+2.f32Qjの符号を

確認した。その結果,羽田 ・成田一新千歳,羽

田・成田一関西 ・伊丹,羽田 ・成田一福岡・北

九州では輸送密度の不経済性が卓越的で、あり,

それ以外では輸送密度の経済性が卓越的である

ことがわかった。これは. Caves et al. (1984)

での幹線に比べてローカル線ほと、輸送密度の経

済性が強く働いているという指摘と同様のとと

が日本の国内航空旅客市場で確認できたことを

意味する。なお, Bru巴elmerand Spiller (1994)

では,式(13)と同様の特定化の下で.すなわ

ち輸送密度の経済性と不経済性とを同時に考

慮できる特定化の下で分析が行われているが,

路線需要の二乗の項の係数について統計的に有

意な結果は得られていない。以上から. 2005年

については,日本の圏内航空旅客市場において,

多くの路線では供給側の輸送密度の経済性は働

いているが,需要が相対的に大きい一部の路線

では不経済性が働いていると言える。

次に,2000年データの推定結果について概観

しよう。2000年データでの式( 6)及び式 (7)

の各係数の符号は, 2005年データの推定結果と

すべて同じ符号であるが, OD人口積の係数α2

の大きさが異なる点以外は大きな違いは見られ

ない。

各係数の統計的有意性については.OD人口

積及びアクセス時間の各係数a2.a3については.

それぞれ 1%未満及び10%未満で有意になって

おり, 2005年の結果に比べると統計的有意性は

高くなっている。一方で, 2000年モデル2での

輸送密度の経済性の程度を表すリンク需要の係

数/31については2005年の結果と同様に 5%未

満で有意になっているものの, リンク需要の二

乗の係数んについては,統計的には有意でな

くなっている。このことは,2000年においては,

輸送密度の経済’生のみは統計的に有意に働いて

いるが,輸送密度の不経済性については統計的

には有意に働いているとは言えないことを意味

する。乙の理由として考えられる一つは,国内

航空旅客市場における規制緩和の結果若干の

新規参入はあった一方で. JAL・ JAS統合や不

採算路線からの撤退等などにより市場全体で

航空ネットワーク再編が行われた結果が影響し

ているものと考えられる。

表2 三段階最小二乗法による需給関数の推定結果

被説明変数航空運賃2000年 2000年 2005年 2005年モデルl モデル2 モデル l モデル2

。。 (定数項)4451.812 4470.316 3439.371 3722.655

αI (航空シェア)2502.692 2273.647 2891.15 2763.945 (0.001) (0.001) (0.000) (0.000)

内 (OD人口積)l.53E-04 l.38E 04 7.SlE-11 7.lOE-11

式(0.002) (0.003) (0.082) (0.073)

a3 (アクセス時間)11.88003 ー11.80287 ー7.409293 ー10.2161

( 6) (0.085) (0.075) (0.223) (0.094)

a4 (アクセス運賃)一0.163516 -0.151571 -0.157216 ー0132244 (0.112) (0.128) (0.088) (0.151)

as (ラインホール時間)268.7668 269.7114 271.049 271.2316 (0.000) (0000) (0.000) (0.000)

b (需要)ー18.80033 -17.31296 一13.96566 -13.52802 (0.000) (0.000) (0.000) (0.000)

自由度調整済み決定係数 0.875 0.877 0.889 0.889

7 -

Page 8: 日本の国内航空旅客市場における規制緩和の効果human.cc.hirosaki-u.ac.jp/.../treatise/34/treatise_34_01.pdf日本の国内航空旅客市場における焼制緩和の刻IJJill:

表 2 (続き):三段階最小二乗法による需給関数の推定結果

2000年 2000年 2005年 2005年被説明変数:航空運賃 モデル1 モデル2 モデル l モデ、ル2

続き 続き 続き 続き

α。(定数項)4903.789 4870.72 4388.562 4324.626

αI (羽田ダミー)2625.931 2620.975 2328.226 2639.659 (0.000) (0.000) (0.000) (0.000)

α2 (伊丹ダミー)1625.243 1597.034 1830.123 1934.482 (0.000) (0.000) (0.000) (0.000)

式 2761.264 2598.889 2554.414 2470.413 α3 (新千歳ダミー) (0.000) (0.000) (0.000) (0.000)

(11) 250.5883 253.5495 258.0332 265.6313

α4 (ラインホール時間) (0.000) (0.000) (0.000) (0.000)

j3 I (リンク需要)0.659448 1.189027 0.87434 ー2.683411(0.000) (0.004) (0.000) (0.000)

ん(リンク需要の二乗)0.000149 0.00041 (0.154) (0.000)

み (1社当たり平均需要)18.80033 17.31296 13.96566 13.52802

自由度調整済み決定係数 0.905 0.906 0.908 0.910

※括弧内はp値。※推定にはEViews6を利用している。※2000年のデータ標本数は893であり 2005年のデータ標本数は870である。

表3・観測値と各モデルでの航空運賃と航空需要との相関係数

2000年 I 2000年 I 2005年 2005年モデル2

0.954 0.596

モデルl | モデル2 I モデル 1航空運賃

航空需要

0.9日 I o.953 I o.954 o.635 I o.629 I o.597

次に各モデルの現況再現性についての検討

結果を表3に示す。表 3によると,航空運賃に

ついては概ね高い再現性が得られているが,航

空需要については,それほど高い再現性が得ら

れているわけではない。

なお,航空運賃と航空需要について式 (14a).

(14b)を基に計算を行った。その結果,航空

運賃については,各モデルのすべてのODペア

での計算値は正であった。一方, 航空需要につ

いては, 2000年モデル 1.2では共にODペアの

31%が負となり, 2005年モデル 1.2ではそれ

ぞれODペアの33. 34%が負となった。モデル

特定化については問題が多いが今後の課題とし

たい。

8

5.圏内航空旅客市場での規制緩和の効果

4の推定結果を使って,2005年の推定結果か

ら計算される社会的余剰(名目値)と規制緩和

直後の2000年の推定結果から計算される社会的

余剰(名目値)の比較を通じて,国内航空旅客

市場での規制緩和の効果について観ていこう。

各年の消費者余剰,生産者余剰,社会的余剰に

ついては,表2の推定結果を元に, 50ゾーン間

でトリップ実績のあったODについて式 04a).

(14b)から航空運賃及び航空需要が計算され,

計算される航空運賃及び航空需要を使って式

(15)一(17)から計算される。このようにして

Page 9: 日本の国内航空旅客市場における規制緩和の効果human.cc.hirosaki-u.ac.jp/.../treatise/34/treatise_34_01.pdf日本の国内航空旅客市場における焼制緩和の刻IJJill:

日本の国内航空旅客市場における規制緩和の効果

計算される消費者余剰,生産者余剰,社会的余

剰は,各ODについて整理しているが.今回は

紙面の都合から幾つかの都県として青森県,

沖縄県.東京都を起終点とする ODに関する結

果のみを報告する。青森県及び沖縄県は,2000

年及び2005年当時は, 地域閣の高速交通手段と

しては多くが航空に依存している地域であり,

航空旅客市場の競争環境の変化が相対的に強く

影響することが予想される。東京都は,日本の

圏内航空旅客市場の拠点機能を有する羽田空港

が立地しており,国内の主要路線 ・運行頻度が

集中するだけでなく新幹線等の代替交通機関の

整備も充実している地域である。

表4~6は,それぞれ青森県,沖縄県,東京

都を起終点とする航空旅客市場毎に2005年の各

モデルで計算される消費者余剰,生産者余乗!J,

表4 青森を起終点とする OD毎の社会的余剰の変化(単位千円)

2005年モゲル1-2000年モデルl2005年モデル2-2000年モデル22005年モデル1-2000年モデル22005年モデル2-2000年モデルl

cs PS SS cs PS SS cs PS SS cs PS SS

道北

道東

道央 ー5272 -10544 ・15816 ・5295 ー10788 ー16083 -4380 ・8958 ー13338 -6187 一12374 一18561茨城

栃木

群馬

t奇玉 -34087 -34303 -68390 -30065 -39648 -69714 -3l180 -41879 一73060 -32972 -32072 -65044

千葉 -46040 -40495 -86536 -38935 -45212 -84148 -41252 -49845 -91097 -43724 -35862 -79586

東尽 -159457 -134260 一293717 -133714 -13951l -273225 -139933 ー151950 -291884 -153237 -121821 -275058

神奈川 -l13497 -98182 -2l1679 94854 -99139 -193994 -H〕1763 ーl12957 一214720 -106588 -84364 -190952

下百 111

石 川

も司 書|♂

山梨

長野

岐阜 32876 69480 102356 16525 40384 56910 32640 72614 105255 16761 37250 54011

1'1'1• 府j

愛知 宇60998 ー2092 -63090 ー70966 ・24993 -95959 ー50629 15682 ー34947 -81336 -42767 -124103

二 重 39418 91267 130684 21868 60685 82553 40020 96990 137010 21265 54962 76228

滋賀 ー21305 -42609 -63914 26580 -50855 -77435 ー17181 ー32058 -49239 -30703 -61407 -92110

京都 -8372 ー16745 一25117 ー17634 ー34068 -51701 ー3101 ー5002 -8102 一22905 -4581l -68716

大阪 -43417 -86834 -130251 -48031 一l12642 -160674 -25405 -67390 -92794 66043 ー132087 -198130

兵庫 ー17404 一34808 -52212 ー26082 -56136 -82218 ー7954 -19882 -27836 -35531 一71063 ー106594

奈良 -40198 -80396 ー120593 ー38299 ー74447 -112746 -35965 -69778 -105743 -42532 -85064 ー127596

和歌山 -28832 ・57664 -86496 ー37274 -68791 -106065 -24008 -42260 -66269 -42097 84194 ー126292

Iる L佼n .f良岡山

広島

1J」 lコ徳 !:i;

香 川

愛媛

高知1

福岡 -15994 -31987 -47981 -53265 -92748 ー146013 -4978 3825 -1153 -64280 -128561 -192841 佐賀 1807 3613 5420 ー30600 -43523 一74123 5625 28927 34552 34418 68836 -103255 長崎 2845 3003 5848 1821 845 2666 2972 2031 5003 1694 1818 3512 熊本 806 1038 1844 2052 -636 1416 1182 15ll 329 1676 1913 3588 大分

宮崎 759 989 1747 198 ー1073 -875 1086 -167 918 一129 84 -46 鹿児ぬ 2000 1953 3953 4956 3704 8660 2155 803 2957 4801 4854 9655 沖縄 -42202 ー163961 -206162 -13605 ー76104 ・89709 一38118 -106116 144234 ー17689 -133948 -151638

※cs r~m者余剰lの変化分 PS 生産者余剰の変化分 SS 社会的余剰lの変化分を意味する。※ CS. PS. SSはそれぞれ2005年の各モデルで計算される名目値から2000年の各モデルで計算される名目値の差分を計上して

いる。

9

Page 10: 日本の国内航空旅客市場における規制緩和の効果human.cc.hirosaki-u.ac.jp/.../treatise/34/treatise_34_01.pdf日本の国内航空旅客市場における焼制緩和の刻IJJill:

社会的余剰から2000年のそれらを差しヲ|いた変

化分をまとめたものである。

本研究では,モデル構築 ・特定化においては

Bru巴cknerand Spiller (1994)に倣ったモデル

の特定化を行っており, 4の推定結果等につい

てモデル選択については検討を行っていない。

表5・沖縄を起終点とする OD毎の社会的余剰の変化(単位千円)

2005年モデル1 2000年モデルI2005年モァソレ2-2000年モデル22005年モデルI-20CO年モデル22005年モデル2-2000年モデルl

cs PS SS cs PS SS cs PS SS cs PS SS

道北 156948 147144 304092 224834 222290 447124 155863 157023 312886 225919 212411 438330

道東 ー1466 -1110 -2575 -2735 1541 一1194 -2073 2559 485 一2127 一2127 -4254

道央 200130 40叫40 604570 97104 203108 300213 200547 409993 610540 96687 197555 294242

道南 68297 51264 119561 117553 85099 202652 67595 46292 113887 118255 90072 208327

青 森 -42202 一163961 -206162 -13605 -76104 -89709 38118 106116 一144234 -17689 -133948 ー151638

岩手 ー75646 ー193094 ー268740 -64768 -137166 一201934 ー71974 ー144811 ・216786 68440 ー185449 ー253888

宮城 ー147 一295 -442 ー50147 -65749 ー115895 4435 43415 47850 54729 ー109458 ー164187

平大 EE/ 22516 16829 39345 59315 46605 105920 22498 12091 34590 59333 51342 110675

止l I杉 48708 43502 92210 64291 61622 125913 48986 42883 91869 64013 62241 126253

福島 -5209 -10419 -15628 -51550 一73384 -124935 463 30643 31107 -57223 -114446 -171670

茨 城 86825 154335 241160 222111 269188 491299 91214 153707 244921 217722 269816 487538

栃木 82428 149960 232388 234097 281460 515557 84334 149334 233668 232191 282086 514277

もl'f ,馬 79959 142024 221983 217719 261574 479293 81528 141422 222950 216150 262176 478326

崎玉 32306 172255 204561 202820 302357 505176 54383 171401 225784 180743 303211 483954

千 葉 44265 175347 219612 216806 310279 527085 62920 174515 237436 198151 311111 509261

東京 -89513 145566 56053 146799 313394 460193 -44642 144498 99857 101927 314461 416389

神奈川 -37231 161662 124431 192080 334672 526752 5153 160668 155515 160002 335666 495668

新潟 42281 84563 126844 -13402 7772 -5630 43149 120875 164025 ー14270 ー28540 -42811

富山 37489 一29066 8423 98509 25017 123526 37912 ー37664 249 98085 33615 131700

石 川 3706 7411 11117 苧34623 -48441 -83064 8177 37160 45338 -39095 -78190 -117285

名古 井 11698 23395 35093 ・26927 -32794 一59721 14537 50134 64671 -29766 -59533 -89299

山 梨 115781 155395 271177 221457 247927 469383 115984 154875 270859 221254 248447 469701

長野 -62308 -52595 一114903 -34187 -26404 -60591 59166 ー52904 ー112070 37328 -26096 -63424

岐阜 23815 23815 47630 9278 33650 42929 30236 54607 84843 2858 2858 5716

静 岡 -21464 21464 -42929 ー36057 ー14374 一50431 -18854 2829 ー16025 38667 ー38667 ー77335

愛知 -47045 -47045 -94091 ー51545 ー29335 -80880 -27496 ー5286 -32782 -71095 一71095 -142189

二 重 51407 51407 102815 42707 66284 108991 56531 80107 136638 37584 37584 75168

滋 賀 39921 59098 99019 149422 136670 286092 46207 62159 108366 143136 133609 276745

京都 18893 50594 69487 139979 134160 274139 28904 53976 82880 129968 130778 260746

大 阪 ー70789 15827 ー54962 95944 119244 215188 -41010 20378 -20632 66165 114693 180858

兵庫 ー30702 28836 ー1865 111623 122065 233689 -12018 32809 20791 92940 118093 211033

奈良 32336 54051 86387 138752 129150 267902 38991 57133 96124 132097 126067 258164

事1)¥.政111 51742 71778 123519 185826 160326 346152 60190 69630 129820 177378 162474 339852

鳥取 一3370 87269 839(0 -4751 95302 90551 1534 103682 105216 -9655 78889 69235

Jる栂 匂3328 601 ー2726 7623 17561 25183 -5035 4133 -902 9330 14029 23359

岡 山 3733 一7467 11200 ー27774 -44140 一71914 2917 17242 20159 一34425 ー68849 -103274

広島 2358 4716 7074 ・18264 -29677 -47941 8838 24527 33366 一24744 -49488 ー74233

山 口 -8762 21567 12806 25095 48114 73209 ・5194 20349 15155 21528 49333 70860

徳島 227301 304729 532030 209604 282153 491757 229315 306933 536248 207589 279949 487539

香 川 17657 35315 52972 -14234 ー17126 -31360 22358 56057 78415 一18934 -37869 ・56803愛 媛 778 1556 2333 -21370 34206 55576 5924 20381 26305 28072 -56143 -84215

日J t官 1767 3533 5300 -20768 一34158 -54926 7009 21396 28405 ー26011 -52021 -78032

縮問 -82675 27431 ー55243 ー13373 70043 56670 -62341 25156 -37185 -33706 72319 38613

佐 l.'J'. ー10233 45072 34839 33891 76458 110349 2152 43420 41268 25809 78111 103920

長 崎 23349 46698 70048 5135 13392 18527 27259 57640 84899 1225 2450 3675

熊本 6835 13671 20506 ー7789 -12689 -20478 12456 27800 40256 -13410 26819 -40229

大分 5749 11499 17248 -11796 -17174 -28971 10101 26621 36722 一16148 ー32296 -48444

富 山市 1456 2912 4368 -11140 -2C:J38 -31178 8049 18338 26387 -17732 -35464 ー53196

鹿児島 -24995 -25333 -50329 27410 白26422 一53832 -23150 -17903 -41053 ー29255 一33852 -63107

※cs 消費者余剰の変化分, PS 生産者余剰の変化分 SS 社会的余剰lの変化分を窓味する。※CS. PS. SSはそれぞれ2005年の各モデルで計算される名目値から2000年の各モデルで計算される名目値の差分を計上して

いる。

nU 74

Page 11: 日本の国内航空旅客市場における規制緩和の効果human.cc.hirosaki-u.ac.jp/.../treatise/34/treatise_34_01.pdf日本の国内航空旅客市場における焼制緩和の刻IJJill:

日本の園内航空旅客市場における規制緩和の効果

そこで,各表では2005年データによる各モデル

と2000年データによる各モデルの変化分のすべ

ての組み合わせについて計算を行っている。な

お,空欄部分については,(i)2000年データには

トリ ップ実積があるが2005年データには トリッ

プ実績が無い場合, (ii)2000年データには ト

リップ実績が無いが2005年データには トリップ

実績が無い場合,(iii)2000年及び2005年データ

にトリップ実績があるが計算の結果として需要

量が負となるため消費者余剰及び生産者余剰を

計算できない場合,のいずれかが該当する。 し

たがって,(i)と (ii)については物理的に計算で

きないのであり, (iii)については,モデル特定

化等に問題があるため計算できないことに起因

する。

表4は青森県を起終点とする航空旅客市場に

関する社会的余剰の変化分を整理したものであ

る。これによると,九州の大部分の県間の市場

及び三重や岐阜聞の市場以外では,消費者余剰

や生産者余剰は共に減少している結果となって

いる。この理由は次のように考えられる。すな

わち,青森空港では2000年10月時点に羽田,新

表6 東京を起終点とする OD毎の社会的余剰の変化(単位千円)

2005年モァ‘ルl-20CJ年モ7''1レl2005年モデル2 20CO年モァル22005年モ7ル1 2000年モデル22005年モァル2-20CD年モずルl

cs PS SS cs PS SS cs PS SS cs PS SS

道北 50129 31101 81230 125505 83574 209079 66939 23813 90752 108695 90861 199557

道東 -92228 -95928 ー188156 一70036 -87271 -157307 -69117 -86316 ー155433 -93145 -96884 ー190030

道央 -313201 91834 ー221367 -628112 169619 -458493 ー137980 496373 358393 -803333 一234920 1038252

道南

青森 -159457 -134260 ー293717 一133714 -139511 一273225 ー139933 -151950 -291884 -153237 ~121821 一275058

秩田 一78709 -81228 一159937 -48149 ー72071 -120221 -66914 -90836 -157749 ・59945 -62464 -122409

山形 -26352 ー52703 -79055 -19700 ー50428 一70128 -21810 一54649 一76459 一24242 -48483 -72725

富 山 -9342 ー59459 -68802 30533 -27172 3362 一1624 -67369 -68993 22815 一19262 3553

石川 一76055 一3698 -79753 50303 65091 115395 -56303 -42396 -98699 30551 103789 134340

福井 -38243 ー17699 -55942 22523 18972 41495 宇34366 -38387 -72753 18646 39660 58306

岐阜 -35310 -93297 -128607 -38471 -103278 一141748 ー23829 -84976 -108805 -49951 一111600 ー161551

的関

愛知 -443728 -1370353 ー1814081 -389796 一1519354-1909150 243476 ー1336455-1579932 -590047 一1553252 2143300

二重 -31475 ー70160 一101635 -31402 一72853 -104256 -23977 -63572 -87549 -38900 ー79442 -118342

滋賀 112572 74183 186754 76920 56062 132982 123439 87075 210514 66052 43170 109222

尽都 12674 -10806 -23481 -46137 _,ド1847 -90984 36847 10476 47323 -95659 -66129 -161788

大 阪 -2020239 -1366314 -3386553 1885598 -1602843 -3488441 -1439010 1305118 2744128 一2466827-1664039 -4130866

兵庫 -616515 -419638 ー1036153 610370 一532147-1142517 -380528 -378919 759447 匂846357 一572866-1419223

奈 良 109509 71951 181460 70031 49546 119577 124991 86186 211177 54549 35311 89860

和歌山 113162 73620 186782 87057 67778 154835 139157 102511 241668 61062 38887 99949

鳥取 -30422 -60843 -91265 ー21240 ー57498 一78737 一20884 -56786 一77670 一30777 61555 -92332

島根 -14960 -29921 -44881 6618 ー28097 一34715 -4781 -24423 -29204 ー16798 -33595 ー50393

岡山 一3581 -131325 一134906 30612 ー106171 ー75559 13346 -123650 -110304 13685 一113846 100161

広島 -334754 -181104 一515859 -172583 ー134901 一307484 ー269363 -233193 -502556 237974 -82812 320786

山口 39460 -90760 一51300 72892 ー75547 -2654 56199 -93283 -37085 56154 一73024 一16870

徳島 -19923 ・23456 -43378 17609 -8091 9518 -2959 -28659 -31618 645 -2888 2243

香 川 一73749 一71981 -145730 一16856 -41120 -57975 -53754 -78473 -132227 -36851 -34627 71478

愛媛 “47500 ー72482 -119981 55043 -12331 42713 -17264 -87530 -104794 24807 2718 27525

高知 -88223 8825 97049 63483 -3117 -66600 -67795 -7428 一75223 -83912 -4514 88426

福岡 -1103273 123<118 -1226691 →765297 司30795 -796092 -809738 -63431 -873170 -1058832 -90782 ー1149614

佐賀 24528 -49055 -73583 -29453 -63311 -92764 -10758 ザ25920 36677 -43223 86中16 一129669長崎 一59921 一34029 -93950 45360 ー2336 43024 ー20399 -47964 -68363 5837 11600 17437

熊本 143117 -123745 -266862 13205 -85316 -72110 -86112 -151986 -238098 -43799 →57075 ー1C0874ーノト、 乙ノJふ -139891 -4747 一144638 -66888 30459 36429 -110004 一14382 一124386 -96774 40094 ー56681

宮崎 591 ー11008 ー10418 97005 34910 131915 29902 ー11017 18885 67693 34920 102613

IJJB't島 -120357 68010 一188368 57269 -5067 52202 -68024 -92642 一160666 4936 19565 24501

れfl 部自 89513 145566 56053 146799 313394 460193 -44642 144498 99857 101927 314461 416389

※cs 消費者余剰lの変化分 PS 生 産 者 余 剰 の 変 化 分 自 社会的余剰の変化分を意味する。※ CS. PS, SSはそれぞれ2005年の各モデルで計算される名目値から2000年の各モデルで計算される名目値の差分を計上している。

,,品,i

Page 12: 日本の国内航空旅客市場における規制緩和の効果human.cc.hirosaki-u.ac.jp/.../treatise/34/treatise_34_01.pdf日本の国内航空旅客市場における焼制緩和の刻IJJill:

千歳,伊丹 ・関空,名古屋,広島.福岡,那覇

に国内線が就航していた。この内,羽田,名古

屋線はダブル トラック化されていた。それが,

2001年のJAL・JAS統合後にANAの撤退や

SKYの参入と撤退等があり 2005年には羽田,

新千歳,伊丹,名古屋,福岡線のみ就航してい

る。その結果として2000年時点と2005年時点と

比較すると,青森~東京及び青森~名古屋につ

いてはANA撤退による独占となり,青森~広

島については ANK撤退, rq1~:Jiij泉からの JAL撤

退があった。航空以外の高速交通網が未整備

だ、った青森県にとって,首都圏及び中京圏での

独占による市場支配力の上昇は,正規運賃には

反映されない,規制緩和後に導入された割引運

賃や旅行パッケージ商品等でJAL・JAS統合に

よる割高感が影響していると考えられる。さら

に,中京圏では中部空港が開港して名古屋空港

から殆ど、の路線が移ったととにより,アクセス

面での影響が反映された結果であると考えられ

る。

次に表5は沖縄県を起終点とする航空旅客

市場に関する社会的余剰の変化分を整理したも

のである。沖縄県を起終点とする市場について

は,モデルの特定化にも依存するものの,多く

の市場で消費者余剰,生産者余剰は増加したと

ころが多い。ただし, 2000年から2005年の聞に

JALによる青森線,花巻線からの撤退, JTA

の沖縄~鹿児島からの撤退があり,その結果,

これらの市場では消費者余剰,生産者余剰共に

減少している。なお,沖縄~愛知や沖縄~長野

の余剰は減少しているが,中京圏では中部空港

の開港によりアクセス等について名古屋空港よ

りも不利になった影響であると考えられる。

最後に,表6は東京都を起終点とする航空旅

客市場に閲する社会的余剰の変化分を整理した

ものである。表6によると,道北,沖縄を除く

地域間市場においては,多くの場合,消費者余

剰や生産者余剰は減少している。との理由とし

ては,羽田の発着枠制限により期聞を通じてそ

れほど便数の変化がなく, 2001年のJAL・ JAS

統合により航空会社の市場支配力が上昇した可

能性が反映されていると考えられる。道北につ

いては,路線の新設や撤退及び便数の変化等は

みられず,他の地域との差もみられないことか

ら今後の精査が必要である。沖縄については,

数便ではあるが増便されている影響があるもの

と考えられる。

6.おわりに

本稿では,ネッ トワークレベルで捉えた国内

航空旅客市場において,従来から指摘されるこ

との多い輸送密度の経済性等を明示的に考慮し

た枠組みの下で,日本で規制緩和が行われた直

後の2000年と2005年それぞれについて,需給関

数の同時推定を行い,規制緩和直後の2000年と

2005年それぞれの社会的余剰を比較することで

規制緩和の効果について検討を行った。本稿の

主要な結論は次のよう に要約される。

(1) 2000年, 2005年の各データで需給関数の同

時推定を行った結果,両年ともに概ね近い結

果となったが,大橋(2011)が2005年データ

の分析で示した主要幹線における輸送密度の

不経済性が2000年データでは統計的に有意に

ならないなどの違いが指摘された。

(2) 2000年と2005年の推定結果から計算され

る各旅客市場で、の社会的余剰について比較し

たところ,規制緩和により社会的余剰が増加

したODが観られる一方で,路線撤退や減便

等が観測されたODでは社会的余剰が減少し

ていることなどが示された。

(1)については,規制緩和により,市場とし

て魅力のある路線への便数等が集中した一方

で,市場としての魅力のない路線からの撤退等

がすすんだ結果乙とが背景にあると考えられ

る。さらに路線参入 ・撤退だけでなく,多様

な運賃や航空関連商品の開発により,羽田を中

心とした路線での乗り継ぎ等が相対的に増加し

12ー

Page 13: 日本の国内航空旅客市場における規制緩和の効果human.cc.hirosaki-u.ac.jp/.../treatise/34/treatise_34_01.pdf日本の国内航空旅客市場における焼制緩和の刻IJJill:

日本の国内航空旅客市場における規制緩和の効果

て幹線への路線等の集中が行われた可能性が高

いと考える。(2)については,名@値同士の比

較であるので。若干の注意が必要ではあるもの

の, (1)に関連して,路線の新設や参入,多様

な割引運賃の利用によ り.社会的余剰が増加し

たODがある一方で,路線撤退や減便等により

社会的余剰が減少したODも少なくなく,規制

緩和がすべての市場で望ましい結果をもたらす

とは限らないことを意味する。

なお,分析については,幾つかの間題点、も指

摘される。

一つは,利用データに関するものである。特

に.運賃データについては, 津野(2006)が指

摘しているように,利用する運賃の種類(正規

運賃か割引運賃かなど)によって推定値は影響

を受ける。との点について, 今回利用した2000

年には航空動態調査での実勢運賃に閲する調査

が行われていなかったが,それ以降は, 実勢運

賃に関する統計が蓄積されつつある。今後は実

勢運賃を利用した分析等も必要であろう。また,

データ作成時におけるセントロイド特定時の恐

意性や代替経路があるときの扱いなどについて

も課題が残る。

二つ目は関数の特定化及びモデル選択につい

てである。今 回の分析ではBruecknerand

Spiller (1994)に倣って線形の関数に特定化し

たが,関数が線形の場合には,どうしても運賃

や需要量を再現した際にマイナスになる可能性

がある。輸送密度の経済性等の特性を明示的に

参考文献

Borenstein. S. Airline mergers. airport dominance.

and market power. Ame円canEconomic Review.

Vol.SO (2). pp.400-404. 1990.

Brueckner. J.K. and Spiller. P.T. Competition and

mergers in airlin巴 networks.International }oi11 nal

考慮しつつ,この問題を解決できるような関数

形の検討も今後の課題である。また 今回は計

算される社会的余剰の妥当性については議論し

ていないが, 実務へ応用するためには,結果の

妥当性についても十分な検討が必要となろう。

三つ目は,市場の枠組みについてである。今

回は航空旅客市場のみを対象に分析を行ってい

るが,圏内旅客市場を考える上では,新幹線等

の代替交通機関との関係を考慮することが非常

に重要である。一つ自の課題でも指摘した代替

ルートの考慮と同様に,航空規制緩和に限らず

空港整備効果等を適切に評価するためには,航

空旅客市場だけでなく,国内の旅客市場全体で

の枠組みへの拡張が必要となる。

本研究は,以上のような多くの課題は残され

るものの.日本の国内航空旅客市場で行われた

規制緩和の効果について,ネットワークレベル

で議論するi枠組みを提示できたという意味で,

一定の貢献はできたものと考えられる。

謝辞: 本問究は。科学研究費補助金(若手研究B.課

題番号21730216)を受けている。東北大学大学院情

報科学研究科主催の川波ゼミ合宿では, 安藤朝夫教

媛(東北大学).宅間文夫准教授 (明海大学) をはじ

め多くの先生方から有益なコメントを得た。応用地

域学会第25回研究発表大会では,討論者の太田和博

教授(専修大学) 文世一教授(京都大学)から今後

の方向性等に関して多くの有益なコメントを得た。

ここに記して感謝の意を表するものである。本稿に

l鶏するあらゆる誤りや責任は筆者に帰属するもので

ある。

of Industrial Organization. Vol.9. pp.323-342. 1991.

Brueckn巴r.J.K. and Spiller. P.T. Economies of traffic density in the der巴gulatedairline industry. }ou1 nal

of Law and Economics. Vol.37. pp.379-415. 1994

Caves. D.W. Christensen. LR .. and Treth巴way.M.W

Economies of density versus巴conomiesof scale.

Why trunk and local service costs d1百er.RAND

journal of Economics. Vol.15. pp.479-489. 1984.

っJ7i

Page 14: 日本の国内航空旅客市場における規制緩和の効果human.cc.hirosaki-u.ac.jp/.../treatise/34/treatise_34_01.pdf日本の国内航空旅客市場における焼制緩和の刻IJJill:

Gaynor. M. and Trapani III. J.M .. Quality and the

welfare effects of US airline deregulation. Aρ1plied

Economics. Vol.26. pp.543 550. 1994

Morrison. S.A. Airline mergers; a longer view. four-

nal of Trans』ortEconomics and Policy, Vol.30 (3),

pp.237-250. 1996

Morrison. S.A. and Winston. C. The Evolul』onof

the Airline Industry, Washington, D.C.: Brookings

Institution. 1995.

村上英樹 国内 トラ ッキング増加航空路線の需給パ

ランス計百llJ. 『応用地域学研究j No.l. pp.37-48,

1995

大橋忠宏。日本の国内航空旅客市場における輸送密

度の経済性, f運輸政策研究』.Vol.14 (3). pp.9 15.

2011.

大橋忠宏司宅間文夫,土谷和之?山口勝弘。日本にお

ける国内航空政策の効果計測に関する実証研究 『応

用地域学研究iNo.8 (2), pp.45-55. 2003

津野孝一朗 航空サービスの規制緩和とその政策評価 。

航空自由化・ JJ統合・羽田空港発着枠. 『日本経済

研究J.No.53, pp.13-41. 2006

Yamaguchi, K. Inter-regional air transport accessi・

bility and macro-economic peiiormance in Japan.

Trans po巾 tionResearch Part E, Vol.43. pp.247-

258. 2007.

- 14ー