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2015 11 18 東京圏で暮らす高学歴女性の働き方等に関するアンケート調査結果(報告) ■調査の概要 株式会社日本総合研究所は、東京圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)に現住所があり、かつ東京圏に所在する四年制の 大学又は大学院を卒業した、いわゆる高学歴の女性に焦点をあて、働き方等に関するアンケート調査を実施。 本調査において、東京圏で暮らす、いわゆる高学歴の女性を対象として取り上げた理由は主に以下 2 点。 - 1 の理由は、東京は、大学の数・大学生の数ともに 47 都道府県の中で最多であり 1 、かついわゆる有名大学を いくつも抱えているからである。なお、都内の大学・大学院を卒業した、いわゆる高学歴な女性は、卒業後の主な 進路として、東京に本社を置く企業を選ぶ場合が多いと想定される 2 - 2 の理由は、女性の就業を巡る状況は、日本国内において有意な地域差が存在しているが、結婚・出産時期の離 職率の高さ(年齢階級別の労働力率または有業率曲線にみられる「 M 字カーブ」の谷の深さ)、出生率の低さなど、 東京圏は特に課題が山積している地域だと考えられるからである。 ■調査の実施方法 - 調査期間および実施方法: 2015 3 24 日から 3 31 日にかけてウェブ調査により実施。 - 調査対象:東京圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)に現住所があり、かつ東京圏に所在する四年制の大学又は大学院 を卒業した 25 歳から 44 歳の女性を対象とし、就業者の場合は、東京都に所在する企業に勤めている女性を対象と した。東京都の年齢階級および就業状態の分布を参考にサンプル割付基準を作成し、株式会社マクロミルのモニタ 2,064 人から回答を受領。 - 有効回答数:データのクリーニングの結果、有効回答数は 1,828 人(内訳: 25 29 歳( 419 人)、 30 34 歳( 441 人)、 35 39 歳( 494 人)、 40 44 歳( 474 人)。 1 文部科学省「平成26 年度学校基本調査」によれば、東京には12 の国立大学、2 の公立大学、125 の私立大学が所在し、日本の全大学の17.8 %が東京に集まっ ている。また、学生数でみると、約73 4 千人の大学生が東京に所在する大学に籍を置いており、日本の全大学生の25.9 %に相当する。 2 東京都内の大学の卒業生の就職先企業の所在地に関する統計データはないが、東京都の高校に通っている女子学生の66.9 %が東京都内の大学に進学しているこ とから(文部科学省「平成26 年度学校基本調査」に基づく。過年度高卒者等を含まない。)、大学卒業後の就職先にも東京の企業を選ぶ傾向が強いと想定される。

東京圏で暮らす高学歴女性の働き方等に関するアンケート調査結 … · 2015. 年. 11月18日. 東京圏で暮らす高学歴女性の働き方等に関するアンケート調査結果(報告)

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2015年11月18日

東京圏で暮らす高学歴女性の働き方等に関するアンケート調査結果(報告)

■調査の概要 株式会社日本総合研究所は、東京圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)に現住所があり、かつ東京圏に所在する四年制の

大学又は大学院を卒業した、いわゆる高学歴の女性に焦点をあて、働き方等に関するアンケート調査を実施。 本調査において、東京圏で暮らす、いわゆる高学歴の女性を対象として取り上げた理由は主に以下2点。

- 第 1 の理由は、東京は、大学の数・大学生の数ともに 47 都道府県の中で最多であり 1、かついわゆる有名大学を

いくつも抱えているからである。なお、都内の大学・大学院を卒業した、いわゆる高学歴な女性は、卒業後の主な

進路として、東京に本社を置く企業を選ぶ場合が多いと想定される2。 - 第2の理由は、女性の就業を巡る状況は、日本国内において有意な地域差が存在しているが、結婚・出産時期の離

職率の高さ(年齢階級別の労働力率または有業率曲線にみられる「M字カーブ」の谷の深さ)、出生率の低さなど、

東京圏は特に課題が山積している地域だと考えられるからである。 ■調査の実施方法 - 調査期間および実施方法:2015年3月24日から3月31日にかけてウェブ調査により実施。 - 調査対象:東京圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)に現住所があり、かつ東京圏に所在する四年制の大学又は大学院

を卒業した25歳から44歳の女性を対象とし、就業者の場合は、東京都に所在する企業に勤めている女性を対象と

した。東京都の年齢階級および就業状態の分布を参考にサンプル割付基準を作成し、株式会社マクロミルのモニタ

ー2,064人から回答を受領。 - 有効回答数:データのクリーニングの結果、有効回答数は 1,828 人(内訳:25~29 歳(419 人)、30~34 歳(441

人)、35~39歳(494人)、40~44歳(474人)。

1 文部科学省「平成26年度学校基本調査」によれば、東京には12の国立大学、2の公立大学、125の私立大学が所在し、日本の全大学の17.8%が東京に集まっ

ている。また、学生数でみると、約73万4千人の大学生が東京に所在する大学に籍を置いており、日本の全大学生の25.9%に相当する。 2 東京都内の大学の卒業生の就職先企業の所在地に関する統計データはないが、東京都の高校に通っている女子学生の66.9%が東京都内の大学に進学しているこ

とから(文部科学省「平成26年度学校基本調査」に基づく。過年度高卒者等を含まない。)、大学卒業後の就職先にも東京の企業を選ぶ傾向が強いと想定される。

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要旨

東京圏で暮らす高学歴女性の就業拡大・登用拡大の余地は依然として大きい ○ 新卒時点で正規雇用の職に就いた女性のうち、結婚・出産した女性の約8割が正規雇用の職を離れ、うち約6

割が専業主婦へと移行(図表2・図表3)。 ○ 大学難易度区分が高くなるほど、正規雇用の割合が高くなるが、最も大学難易度区分の高いグループにおいて

も、正規雇用比率は48.3%と5割に達しておらず、およそ2人に1人は正規雇用の職に就いていない(図表6)。 ○ 大学難易度区分が高くなるほど、管理職に就く割合が大きくなるものの、最も大学難易度区分の高いグループ

においても、その73.1%は係長・主任等未満であり、役職のあるポジションに就いていない(図表7)。

東京圏で暮らす高学歴女性にとって、正規雇用として働くことと子どもを持つことはトレード・オフの関係にあり、

現状の労働慣行・夫婦間の役割分担を維持したまま女性の正規雇用の拡大・管理職登用の拡大を進めれば、更なる

少子化を招くおそれがある ○ 大学難易度区分が高くなるほど晩産化の傾向が強まり、一人当たり子どもの人数も少なくなる傾向(図表10・

図表11)。居住エリア別でみても、正規雇用の女性が多く居住しているエリアほど、それ以外のエリアと比べ

て一人当たりの子どもの人数が少なくなる傾向(図表16)。 ○ 家計の状況について、大学難易度区分の高いグループになるほど、妻の年収が世帯年収に占める割合が増加す

る傾向がみられるが、最も大学難易度区分の高いグループに属する女性であっても、妻の年収が世帯所得の

20%未満の世帯が45.7%を占める。最も大学難易度区分の高いグループに属する女性の場合、およそ4人に1人が配偶者(夫)と同程度の年収を稼いでいるが、世帯年収の60%以上を妻が稼いでいる世帯は全体の7.7%と少なく、妻が主たる生計者を担うことは少ないと考えられる(図表8)。

○ 夫婦間の家事・育児の分担状況について、第一子出産時点において妻が家事負担の80%以上を担っている世帯

が全体の57.7%、妻が育児負担の80%を担っている世帯が全体の62.8%を占めており、家事・育児負担が妻に

集中する傾向(図表13)。 ○ 大学難易度区分の高いグループでは、子どもの人数の増加に伴って世帯年収が低下する傾向がみられる(図表

9)。大学難易度区分の高いグループに属する女性を中心に、子どもが生まれる/増えることに伴って、主に妻

の側において働き方の調整が行われていると考えられる。

女性の内面(労働価値観)に着目した分析の結果、新卒採用以降の職業生活の過程で、長時間労働を含むハードワ

ークに対する許容度合いが大きく低下する傾向が明らかとなった。ただし、ハードワークは許容できなくても、高

い金銭的報酬と得たいという欲求や、自分のスキル・能力を発揮したい、自己成長したいという欲求の強い女性は

多数存在しており、長時間労働を含むハードワークを軽減させることが、意欲のある女性の活躍促進につながる可

能性がある ○ 労働に対する考え方に関する質問への回答結果から、労働価値観を構成する共通因子を探ったところ、金銭的

報酬を含む「外的報酬に対する欲求」、自分のスキル・能力を発揮したい、自己成長したいといった「内的報

酬に対する欲求」、長時間労働を含む「ハードワークに対する許容度合い」の3因子が抽出された(4.参考情

報の参考②)。 ○ 東京圏で暮らす高学歴女性の多くが、就職活動時点においては、ハードワークは仕方がないと考えているが、

その後の職業生活の過程で、ハードワークに対する許容度合いが大きく低下する傾向。一方、「外的報酬に対

する欲求」「内的報酬に対する欲求」にはあまり変化がみられない(図表18・図表19・図表20・図表21)。 ○ 管理職に昇進している女性の方が、それ以外の女性よりも、就職活動時点・アンケート回答時点の両方におい

て、ハードワークに対する許容度合いが高い(図表22)。現状では、ハードワークが許容できない限り、管理

職に昇進することが難しい状況となっている可能性がある。 ○ ただし、ハードワークは許容できなくても、「外的報酬に対する欲求」や「内的報酬に対する欲求」が強い女

性は多数存在していることから(図表20)、長時間労働を含むハードワークを軽減させることが、意欲のある

女性の活躍促進につながる可能性がある。

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目次 1. 東京圏で暮らす高学歴女性の就業を巡るダイナミクス ......................................................................................................... 1 2. 東京圏で暮らす高学歴女性の就業・家計・結婚・子育て ..................................................................................................... 4 2.1. 大学難易度区分と就業形態 .................................................................................................................................................... 4 2.2. 大学難易度区分と家計 ............................................................................................................................................................ 5 2.3. 大学難易度区分と結婚・子育て ............................................................................................................................................ 7 2.4. 子育てと就業継続 .................................................................................................................................................................... 8 2.5. 居住エリア別の子育てと就業 .............................................................................................................................................. 10 2.6. 職場環境と就業継続 .............................................................................................................................................................. 11 3. 東京圏に居住する女性の労働価値観等 ................................................................................................................................... 12 3.1. 労働価値観の形成とその変化 .............................................................................................................................................. 12 3.2. 就職活動時点における就業継続に関する意識................................................................................................................... 17 4. 参考資料 ...................................................................................................................................................................................... 18

図表 1 大学・大学院卒業後の就業形態.................................................................................................................................... 1 図表 2 新卒時点で正規雇用の職に就いた女性の就業状態の変化 ........................................................................................ 1 図表 3 配偶者の有無・子どもの有無別のアンケート回答時点における就業形態(新卒時点で正規雇用) ................. 2 図表 4 配偶者の有無・子どもの有無別のアンケート回答時点における転職経験割合(新卒時点で正規雇用) ......... 2 図表 5 新卒時点の就職先と3年以内の退職率(大学難易度区分別) ................................................................................ 3 図表 6 大学難易度区分とアンケート調査時点の就業形態 .................................................................................................... 4 図表 7 大学難易度区分とアンケート調査時点の役職 ............................................................................................................ 4 図表 8 雇用区分と世帯年収に占める妻の年収の割合 ............................................................................................................ 5 図表 9 大学難易度区分・子どもの人数と世帯年収 ................................................................................................................ 6 図表 10 大学難易度区分と平均初婚年齢・平均第一子出産年齢 .......................................................................................... 7 図表 11 大学難易度区分と有配偶率・一人当たりの子ども人数 .......................................................................................... 7 図表 12 子どもの人数と正規雇用比率・専業主婦比率.......................................................................................................... 8 図表 13 第一子出産時点における妻の家事負担割合(左)・育児負担割合(右) ............................................................ 8 図表 14 第一子出産後、就業継続した女性と離職した女性の家事・育児負担割合 .......................................................... 9 図表 15 居住エリア別の就業形態 ........................................................................................................................................... 10 図表 16 居住エリア別の正規雇用比率と有配偶者一人当たり子どもの人数の関係 ........................................................ 10 図表 17 第一子出産後、就業継続した女性・しなかった女性の職場環境 ........................................................................ 11 図表 18 労働価値観に関する質問に対する回答分布(就職活動時点) ............................................................................ 13 図表 19 労働価値観に関する質問に対する回答分布(アンケート回答時点) ................................................................ 13 図表 20 労働価値観の違いに基づく女性の分類と構成割合 ................................................................................................ 14 図表 21 大学難易度区分別の労働価値観とその変化 ........................................................................................................... 15 図表 22 アンケート回答時点で管理職(課長相当職以上)とそれ以外の労働価値観の比較 ........................................ 16 図表 23 就職先の検討における将来の結婚・出産時の就業継続可能性の考慮(年齢階級別) .................................... 17 図表 24 就職先の検討における将来の結婚・出産時の就業継続可能性の考慮(大学難易度区分別) ........................ 17 図表 25 就職先の検討における将来の結婚・出産時の就業継続可能性の考慮(母親の就業形態別) ........................ 17 図表 26 卒業大学の大学入試偏差値の記述統計量 ............................................................................................................... 18 図表 27 卒業大学の大学入試偏差値の分布 ........................................................................................................................... 18 図表 28 大学難易度区分別の平均年齢・年齢の標準偏差・サンプル数 .............................................................................. 18 図表 29 就職活動時点における労働価値観についての因子分析(最尤法、プロマックス回転)の結果 .................... 19

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1. 東京圏で暮らす高学歴女性の就業を巡るダイナミクス

(1)新卒で正規雇用の職に就いた後、結婚し、かつ子どものいる女性の約8割が正規雇用の職から離職・転職 ○ 東京圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)に所在する四年制大学または大学院を卒業した女性を対象としたアンケート調

査の有効回答1,828人中1,364人(74.6%)が、卒業後の進路として正規雇用の職に就いている(図表1)。 ○ しかし、初婚時点において正規雇用の職にとどまっているのは65.1%、第一子出産時点では48.1%となっている。特

に、「有配偶者・子どもあり」女性の場合、アンケート回答時点で正規雇用の職にとどまっているのはわずか 23.6%であり、約8割が正規雇用の職から離職または転職している(図表2)。

○ 東京圏において、四年制大学卒業以上の最終学歴を持つ女性は、新卒時点では正規雇用の職に就く傾向が強いが、キ

ャリアの途中で正規雇用の職から正規雇用以外の働き方や専業主婦へと移行していく傾向がみられる。

図表 1 大学・大学院卒業後の就業形態

図表 2 新卒時点で正規雇用の職に就いた女性の就業状態の変化

正規雇用 1,364人

正規雇用以

外 464人

(N=1,828)

第一子出産時点で正規雇用

468人中225人(48.1%)

有配偶者、子どもあり

アンケート調査時点で正規雇用462人中109人

(23.6%)

新卒時点で正規雇用

1,364人

結婚(初婚)時点で正規雇用

813人中529人(65.1%)

未婚

アンケート調査時点で正規雇用551人中360人

(65.3%)

有配偶者、子ども無し

アンケート調査時点で正規雇用314人中106人

(33.8%)

この間正規雇用へ流入:16人

正規雇用から流出:101人

配偶者と離別、子ども無し

アンケート調査時点で正規雇用31人中17人

(54.8%)

配偶者と離別、子どもあり

アンケート調査時点で正規雇用

6人中3人(50.0%)

この間正規雇用へ流入:4人

正規雇用から流出:13人

この間正規雇用へ流入:7人

正規雇用から流出:99人

この間正規雇用へ流入:0人正規雇用から流出:1人

この間正規雇用へ流入:5人

正規雇用から流出:117人

1

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(2) 未婚女性の34.7%が正規雇用から非正規雇用等へ移行。結婚の有無にかかわらず2人に1人が転職を経験 ○ 新卒時点で正規雇用の職に就いた女性のうち、アンケート回答時点で未婚の女性より結婚している女性の方が、また、

子どものいない女性よりも子どものいる女性の方が、正規雇用の比率が低く、無職(専業主婦を含む)の比率が高い

(図表3)。 ○ 新卒で正規雇用の職に就いた女性のうち、アンケート回答時点までに一度も結婚していない女性でも34.7%が、正規

雇用の職を離れて、派遣社員を含む非正規雇用等へ移行(図表3)。一般的に、正規雇用の方が非正規雇用よりも雇

用が安定し、かつ賃金も上回ることが多いことから、あえて正規雇用の職を離れた特別な事由(例えば、新卒時点に

おける雇用のミスマッチ等)が存在していると考えられる。 ○ 新卒時点およびアンケート回答の両方で正規雇用の職に就いている女性の約5割が、少なくとも1回以上の転職を経

験しており、配偶者の有無による差はあまりみられない(図表4)。結婚の有無とは無関係に、2人に1人の割合で

女性は転職を経験している。

図表 3 配偶者の有無・子どもの有無別のアンケート回答時点における就業形態(新卒時点で正規雇用)

(注1) サンプル数は、新卒時点で正規雇用として採用された 1,364 人のうち、アンケート回答時点において未婚(一度も結婚

していない)の551人、「有配偶者・子ども無し」314人、「有配偶者・子どもあり」462人である。 (注2) 「その他非正規雇用」には、派遣社員、契約社員、嘱託等が含まれる。

図表 4 配偶者の有無・子どもの有無別のアンケート回答時点における転職経験割合(新卒時点で正規雇用)

(注1) グラフは少なくとも1回以上転職を経験した割合を示している。 (注2) サンプル数は、新卒時点で正規雇用として採用された1,364人のうち、アンケート回答時点において未婚(一度も結婚

していない)の551人、「有配偶者・子ども無し」314人、「有配偶者・子どもあり」462人である。

65.3%

6.4%

20.5%

5.4% 2.4%

33.8%

19.7% 17.8%

2.5%

26.1% 23.6%

12.3%

4.3% 2.2%

57.6%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

正規雇用

パートアルバイト

その他非正規雇用

自営業等

無職(

専業主婦含む)

未婚

有配偶者・小ども無し

有配偶者・子どもあり

50.3% 50.9% 56.9%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

未婚 有配偶者・小ども無し 有配偶者・子ども有り

2

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(3)新卒3年以内の退職率は全体で約35%。大学難易度区分が高くなるほど、新卒3年以内の退職率が低い ○ 卒業した大学の大学入試偏差値を基にサンプルを 4 つに分けて集計したところ、大学難易度区分が高くなるにつれ

て、新卒で希望どおりの就職先に就職したと回答した割合が増加し、かつ新卒3年以内の退職率も低下する傾向がみ

られる(図表5)。

図表 5 新卒時点の就職先と3年以内の退職率(大学難易度区分別)

(注1) 希望どおりの就職先に就職した割合については、「当時のことは覚えていない」と回答したサンプルを除いた上で、「希望

どおりの就職先に就職することができた」または「どちらかというと希望どおりの就職先に就職することができた」と回答した者の割合を算出。

(注2) 大学難易度区分は、アンケート有効回答のうち、大学入試偏差値のデータが得られた1,818人を対象に、卒業大学の大学

入試偏差値の四分位数を計算し、最小値~第1四分位数に該当するサンプルをQ1、第1四分位数~第2四分位数(中央値)をQ2、第2四分位数(中央値)~第3四分位数をQ3、第3四分位数~最大値をQ4とそれぞれ表記している。詳細については参考①を参照。

(注3) サンプル数は、新卒時点で正規雇用として採用された1,364人のうち、就職から3年以内に結婚または出産を経験しておらず、かつ就職年が2011年以前の1,195人である。大学難易度区分別の内訳はQ1=237人、Q2=280人、Q3=319人、Q4=359人である(大学入試偏差値のデータが得られなかったサンプルを除いている)。

44.7%

52.1% 58.2% 58.9%

43.9%

37.5% 31.7% 29.5%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

Q1 Q2 Q3 Q4

希望どおりの就職先に就

職した割合

新卒3年以内の退職率

(最も難易度が高い)

3

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2. 東京圏で暮らす高学歴女性の就業・家計・結婚・子育て

2.1. 大学難易度区分と就業形態 (1)最も大学難易度区分の高いグループであっても、正規雇用に就いている女性は50%に満たない ○ 大学難易度区分の高いグループほど正規雇用の割合が大きく、無職(専業主婦を含む)の割合が小さいが、最も大学

難易度区分が高いグループであっても、正規雇用比率は48.3%にとどまっている(図表6)。 ○ 大学難易度区分が高くなるにつれて、管理職(課長・部長・役員等)に就いている女性の割合が増加する。本調査の

サンプルは25歳から44歳の女性であり、若い世代にサンプルが偏っている点には注意が必要であるが、最も大学難

易度区分が高いグループで課長・課長相当職に就いているのは 6.6%であり、部長以上の役職を含めた、いわゆる管

理職に就いているのは8.3%である(図表7)。

図表 6 大学難易度区分とアンケート調査時点の就業形態

(注1) サンプル数は、大学入試偏差値のデータが得られなかった10人を除く1,818人である。なお、図表2や図表3とは異な

り、新卒時点で正規雇用以外の就業形態だった女性もサンプルに含まれている。 (注2) 「その他非正規雇用」には、派遣社員、契約社員、嘱託等が含まれる。 (注3) 大学難易度区分の詳細については参考①を参照。

図表 7 大学難易度区分とアンケート調査時点の役職

(注1) サンプル数は、アンケート回答時点で働いていないと回答した501人、およびアンケート回答時点の役職について「そ

の他」と回答した80人を除いた上で、大学入試偏差値のデータが得られた1,240人である。 (注2) 大学難易度区分の詳細については参考①を参照。

27.4%

32.5%

39.1%

48.3%

32.7%

28.3% 27.3%

21.6% 18.5%

20.5% 18.2%

13.0% 16.3% 14.7% 10.3%

10.5%

5.1% 3.9% 5.1% 6.5% 0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

Q1 Q2 Q3 Q4

正規雇用

無職

その他非正規雇用

パート・アルバイト

自営業

(最も難易度が高い)

6.6% 8.7% 11.6% 10.3% 18.6%

88.1% 86.4% 84.2% 73.1%

0%

20%

40%

60%

80%

100%

Q1 Q2 Q3 Q4

役職なし

係長、主任、またはそれらに相当

する役職 課長、または課長相当職

部長、または部長相当職

社長、重役、役員、理事など経営

幹部

(最も難易度が高い)

4

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2.2. 大学難易度区分と家計 (2)大学難易度区分が上がるほど世帯年収に占める妻の年収の割合が増加。ただし、妻が主たる生計者を担う世帯は

少ない ○ 世帯年収に占める妻の年収の割合が20%未満の世帯が最も多い(0%である専業主婦世帯を含む)。最も大学難易度

区分の低いグループでは、64.8%の世帯が、妻の年収が占める割合が20%未満である。大学難易度区分が上がるほど、

世帯年収に占める妻の年収の割合が20%未満の世帯が減少し、世帯年収の40%~60%を妻の年収が占める世帯が増

加する。 ○ ただし、大学難易度区分が上がっても、世帯年収の60%以上を妻の年収が占める世帯の割合にはほとんど変化がみ

られず、最も大学難易度区分の高いグループでも、妻が世帯年収の60%以上を占める世帯は全体の7.7%である(図

表8)。妻の大学難易度区分にかかわらず、妻が主たる生計者を担う世帯は少数派とみられる。 ○ 子どもの人数別に家計の状況を見ると、子どもの人数が多くなるほど、世帯年収が低下する傾向がみられる。最も大

学難易度区分の高いグループの場合、子どもが2人以上いる世帯の年収は、子どもがいない世帯の年収よりも100万円以上少ない(図表9)。子どもが増えるにつれて、夫婦共働きが難しくなることが低下の要因の一つと考えられる。

図表 8 雇用区分と世帯年収に占める妻の年収の割合

(注1) サンプル数は、アンケート回答時点で配偶者がいると答えた合計844人(Q1=213人、Q2=188人、Q3=222人、Q4=221人)であ

る。(大学入試偏差値のデータが得られなかったサンプルおよび、世帯年収または個人(妻)年収について「分からない/答えたく

ない」を選んだサンプルを除いている。)大学難易度区分の詳細については参考①を参照。 (注2) 世帯年収および個人(妻)年収は、勤め先から得た定期収入・臨時収入・賞与などの合計値であり、手取りではなく税引前の収入で

ある。 (注3) 世帯年収および個人(妻)年収は「200万円未満」「200万円以上400万円未満」「400万円以上600万円未満」・・・「1,800万円以

上2,000 万円未満」「2,000 万円以上」と200 万円幅からなる選択肢を用意し、当てはまるものを回答してもらった上で、当該選択肢の中央値(例えば、「200万円以上400万円未満」であれば300万円。ただし「2,000万円以上」という回答の場合は2,100万円。)

を用いて、世帯年収に占める妻の年収の割合を計算した。

64.8%

18.3%

11.3%

3.8% 1.9%

59.0%

19.7%

15.4%

4.3% 1.6%

58.1%

17.1% 20.3%

3.2% 1.4%

45.7%

20.4% 26.2%

5.0% 2.7%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

世帯所得のうち 0~20%が妻

世帯所得のうち 20~40%が妻

世帯所得のうち 40~60%が妻

世帯所得のうち 60~80%が妻

世帯所得のうち 80~100%が妻

Q1

Q2

Q3

Q4(最も難易度が高い)

5

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図表 9 大学難易度区分・子どもの人数と世帯年収

(注1) サンプル数は、アンケート回答時点で配偶者がいると答えた合計844人(Q1=213人、Q2=188人、Q3=222人、Q4=221人)であ

る(大学入試偏差値のデータが得られなかったサンプルおよび、世帯年収について「分からない/答えたくない」を選んだサンプルを除外している。)。大学難易度区分の詳細については参考①を参照。

(注2) 世帯年収は、勤め先から得た定期収入・臨時収入・賞与などの合計値であり、手取りではなく税引前の収入である。 (注3) 世帯年収は「200万円未満」「200万円以上400万円未満」「400万円以上600万円未満」・・・「1,800万円以上2,000万円未満」「2,000

万円以上」と200万円幅からなる選択肢を用意して、当てはまるものを回答してもらった上で、当該選択肢の中央値(例えば、「200万円以上400万円未満」であれば300万円。ただし「2,000万円以上」という回答の場合は2,100万円。)を用いて、大学難易度区

分および子どもの人数別の平均値を算出した。

730 742

844

1,032

644 694

813

957

642

740 785

892

400

500

600

700

800

900

1,000

1,100

Q1 Q2 Q3 Q4

0人

1人

2人以上

(万円)

(最も難易度が高い)

6

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2.3. 大学難易度区分と結婚・子育て (3)大学難易度区分が上がるほど晩産化の傾向。1人当たりの子ども人数も低下傾向 ○ 大学難易度区分が上がるほど、第一子出産時期が遅くなる傾向がみられる。最も大学難易度区分の高いグループでは、

第一子出産年齢の平均値が31.6歳となっている(図表10)。 ○ 有配偶率は全ての大学難易度区分で5割程度であり、おおむね同水準であるにもかかわらず、大学難易度区分が上が

るほど、有配偶者一人当たり子どもの人数が少なくなる傾向がみられる(図表11)。晩産化が影響していると考えら

れる。

図表 10 大学難易度区分と平均初婚年齢・平均第一子出産年齢

(注1) 平均初婚年齢の算出に用いたサンプル数は、Q1=265人、Q2=236人、Q3=257人、Q4=270人であり、合計1,028人

である(大学入試偏差値のデータが得られなかったサンプルを除いている。)。 (注2) 平均第一子出産年齢の算出に用いたサンプル数は、Q1=156人、Q2=140人、Q3=149人、Q4=131人であり、合計576

人である(大学入試偏差値のデータが得られなかったサンプルを除いている。)。 (注3) 大学難易度区分の詳細については参考①を参照。

図表 11 大学難易度区分と有配偶率・一人当たりの子ども人数

(注1) 有配偶率の算出に用いたサンプル数は、大学入試偏差値のデータが得られなかった10人を除く1,818人である。 (注2) 1,818人中、有配偶者数は977人であり、内訳はQ1=252人、Q2=226人、Q3=244人、Q4=255人である。 (注3) 大学難易度区分の詳細については参考①を参照。

28.9 28.7 28.8

29.7

30.5 30.6 31.1

31.6

27

28

29

30

31

32

Q1 Q2 Q3 Q4

初婚年齢

第一子出産年齢

(最も難易度が高い)

(年齢)

55.6% 52.1% 53.6% 53.6%

0.99 0.90 0.86

0.76

0.00

0.20

0.40

0.60

0.80

1.00

1.20

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

Q1 Q2 Q3 Q4

有配偶率(左軸)

有配偶者一人当たり

子どもの人数(右軸)

(人)

(最も難易度が高い)

7

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2.4. 子育てと就業継続 (4)夫婦共働きでも妻に家事・育児負担が集中。ただし、就業継続している女性の夫は家事・育児を一定程度負担 ○ 子どもの人数が増えるにつれて、正規雇用比率が低下し、逆に専業主婦比率が上昇する傾向がみられる(図表12)。 ○ 共働き世帯のうち、第一子産出産時点において、妻が家事負担の80%以上を担っていたと回答した割合は全体の

57.7%、妻が育児負担の80%以上を担っていたと回答した割合は全体の62.8%だった。夫婦共働きであっても、家事

および育児の大半を妻が担うという構図が一般的といえる(図表13)。 ○ 第一子産出産後に、仕事と子育てが両立できずに仕事を離職した女性と、同じ職場で就業継続した女性とを比べると、

配偶者(夫)による家事や育児の負担状況に差がみられる。就業継続した女性の配偶者(夫)は、家事や育児を一定

程度負担する傾向がある(図表14)。

図表 12 子どもの人数と正規雇用比率・専業主婦比率

(注) サンプル数は、アンケート回答時点で配偶者がいると回答した984人である。

図表 13 第一子出産時点における妻の家事負担割合(左)・育児負担割合(右)

(注)サンプル数は、アンケート回答時点で配偶者がいると回答した者のうち、専業主婦を除いた239人である。

28.2% 28.4% 25.8%

53.1%

13.6%

68.3%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

正規雇用比率 専業主婦比率

0人

1人

2人以上

0.4% 3.8%

13.4%

24.7% 57.7%

全体の20%未満

全体の20%以上40%未満 全体の40%以上60%未満 全体の60%以上80%未満 全体の80%以上

0.4% 2.5%

7.5%

26.8% 62.8%

全体の20%未満

全体の20%以上40%未満 全体の40%以上60%未満 全体の60%以上80%未満 全体の80%以上

8

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図表 14 第一子出産後、就業継続した女性と離職した女性の家事・育児負担割合

(注)サンプル数は、第一子出産後の両立困難による離職が66人、第一子出産後同じ会社で就業継続が164人である。

86.4%

77.3%

44.5%

56.1%

10.6%

22.7%

32.3%

30.5%

1.5%

0.0%

19.5%

9.8%

1.5%

0.0%

3.7%

3.7%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

妻による家事負担割合

妻による育児負担割合

妻による家事負担割合

妻による育児負担割合

両立困難による離職

同じ会社で就業継続

全体の80%以上 全体の60%以上80%未満 全体の40%以上60%未満 全体の20%以上40%未満

9

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2.5. 居住エリア別の子育てと就業 (5)都内よりも東京近郊の方が専業主婦比率が高い。正規雇用比率と一人当たり子ども人数は負の相関 ○ 居住エリア別でみると、東京圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)においては、東京23区に住む女性の正規雇用比率が

最も高く(28.3%)、専業主婦比率が最も低い(37.6%)。千葉県および埼玉県では専業主婦率が60%を上回る(図表

15)。 ○ 居住エリア別の正規雇用比率と有配偶者一人当たりの子どもの人数には負の相関がみられる。特に、東京都の都心5

区では正規雇用比率が39.0%と高い一方、有配偶者一人当たりの子どもの人数は0.53人と少ない(図表16)。

図表 15 居住エリア別の就業形態

(注1) サンプル数は、アンケート回答時点で配偶者がいると回答した984人である。居住エリア別の内訳は、東京都(23区)

=466人、東京都(23区以外)=206人、神奈川県=144人、千葉県=84人、埼玉県=84人である。 (注2) 「その他非正規雇用」には、派遣社員、契約社員、嘱託等が含まれる。

図表 16 居住エリア別の正規雇用比率と有配偶者一人当たり子どもの人数の関係

(注1) サンプル数は、アンケート回答時点で配偶者がいると回答した 984 人である。居住エリア別の内訳は、都心 5 区=59

人、城東6区=118人、城西2区=12人、城南4区=119人、城北6区=124人、東京都(23区以外)=206人、神奈川県=144人、千葉県=84人、埼玉県=84人である。

(注2) 都心5区は千代田区・港区・中央区・新宿区・渋谷区、城東6区は墨田区・江東区・荒川区・足立区・葛飾区・江戸川

区、城西2 区は中野区・杉並区、城南4 区は品川区・目黒区・世田谷区・大田区、城北6 区は文京区・台東区・豊島区・北区・板橋区・練馬区とした。

13.1%

22.6%

22.9%

18.9%

28.3%

8.3%

8.3%

6.9%

19.4%

18.0%

64.3%

61.9%

57.6%

45.1%

37.6%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

埼玉県

千葉県

神奈川県

東京都(23区以外)

東京都(23区)

正規雇用

パート・アルバイト

その他非正規雇用

自営業

無職(専業主婦)

埼玉

神奈川 千葉 東京(23区以

外)

城西2区 城東6区

城南4区

城北6区

都心5区 y = -0.4175x + 0.6003 R² = 0.5972

0%

5%

10%

15%

20%

25%

30%

35%

40%

45%

0.40 0.50 0.60 0.70 0.80 0.90 1.00 1.10 1.20

正規雇用比率

有配偶者一人当たり子ども人数 (人)

10

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2.6. 職場環境と就業継続 (6)第一子出産後の就業継続には、職場の有給休暇の取得しやすさや出勤・退社時間の柔軟さが影響か ○ 第一子出産後、同じ会社で就業を継続した女性と、就業を継続しなかった女性の職場環境を比較したところ、「希望

すればいつでも有給休暇を取得することができた」「遅れて出社したり、早めに退社することが柔軟にできた」とい

った勤務時間等にかかる柔軟性に関する項目で、就業継続した女性の職場の方が上回っている。一方、「休みの日が

不規則だった」「残業時間が多かった」等の項目は、就業継続しなかった女性の職場の方が上回っている(図表17)。 ○ 第一子出産後の就業継続には、勤務時間等にかかる柔軟性の有無が影響している可能性がある。

図表 17 第一子出産後、就業継続した女性・しなかった女性の職場環境

(注1) 第一子妊娠時点において正規雇用の職に就いていた女性 238 人を対象に、第一子出産後、同じ会社で就業を継続した女性134人と、就業を継続しなかった女性(他の会社への転職を含む)104人を比較。

(注2) 各々の職場環境について、「全く当てはまらない」から「とても当てはまる」までの5 件法で質問を行い「とても当てはま

る」または「どちらかというと当てはまる」と回答した者の割合を算出している。

20.2%

44.2%

37.5%

17.3%

23.1%

16.3%

37.5%

51.9%

11.9%

39.6%

32.8%

12.7%

23.1%

24.6%

50.7%

66.4%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70%

休みの日が不規則だった

残業時間が多かった

どんなことがあってもこの日は自分が出社しないと仕事が回

らない、という日が多かった

夜間勤務があるなど、勤務時間が変則的だった

突発的に発生する業務が多く、仕事のスケジュールを前もっ

て立てることが難しかった

子育て中の女性従業員と、そうでない女性従業員で仕事の割

り当てや勤務時間が全く異なる職場だった

遅れて出社したり、早めに退社することが柔軟にできた

希望すればいつでも有給休暇を取得することができた

同じ会社で就業継続

就業継続せず

子育て中の女性従業員と、そうでない女性従業員で 仕事の割り当てや勤務時間が全く異なる職場だった

突発的に発生する業務が多く、仕事のスケジュールを 前もって立てることが難しかった

どんなことがあってもこの日は自分が出社しないと 仕事が回らない、という日が多かった

11

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3. 東京圏に居住する女性の労働価値観等

3.1. 労働価値観の形成とその変化 (1)就業を巡る意思決定には「外的報酬に対する欲求」「内的報酬に対する欲求」「ハードワークに対する許容度合い」

の3つが総合的に影響すると考えられる。東京圏で暮らす女性については、前二つは就職活動時点からアンケート回答

時点にかけて大きな変化はみられないが、長時間労働を含む「ハードワークに対する許容度合い」は大幅に低下

就業継続に関する意思決定に影響を与える労働価値観: ○ 一般に、就業継続にあたっては、仕事に対する本人の考え方が影響すると考えられる。具体的には、「働くことによ

って得られる便益」と「働くことに伴う費用」を天秤にかけ、便益が費用を上回れば就業を行うという意思決定が下

されると考えられる。ただし、便益、費用ともその考え方は個人によって異なる主観的なものと考えられる。 ○ 「働くことによって得られる便益」は、働くことによって得られる給与所得や会社における安定的な地位の確保とい

った外的報酬と、仕事を通じて得られる自己成長や仕事そのものの面白さ・楽しさといった内的報酬に大別すること

ができる。 ○ 「働くことに伴う費用」は、仕事をすることによって諦めなければならない家族・プライベートの時間といった時間

に関するものに加え、仕事によって負わなければならない精神的なストレスや肉体的な疲労といったものが含まれ

る。これをまとめると、「働くことに伴う費用」は、ハードワークに対する許容度合いと言い換えることができる。 ○ 以上をまとめると、就業継続に関する意思決定には、「外的報酬に対する欲求」「内的報酬に対する欲求」「ハードワ

ークに対する許容度合い」の3つにより構成される「労働価値観」が総合的に影響していると考えられる。 ○ なお、アンケート調査結果を用いて行った確認的因子分析の結果からも、就業を巡る価値観として、「外的報酬に対

する欲求」「内的報酬に対する欲求」「ハードワークに対する許容度合い」の3つの共通因子が得られており、上記の

仮説を支持する結果となっている(4.参考資料の参考②を参照)。 東京都で暮らす高学歴女性の労働価値観: ○ 「労働価値観」に関する9つの質問に対する回答結果(図表18・図表19)から、主に次の5点が浮かび上がった。 ・「外的報酬に対する欲求」に関して、出世・昇進といった役職に対する欲求は必ずしも強くないが、給与等の水準に対

する欲求は強い傾向にある。 ・「内的報酬に対する欲求」に関して、外的報酬に対する欲求と比べ、内的報酬に対する欲求は総じて強い。自分の能力

やスキルを発揮したいと考える専門家志向の女性や、仕事に伴う喜びや充足感に重きを置く女性が多いとみられる。 ・「外的報酬に対する欲求」および「内的報酬に対する欲求」については、就職活動時点からアンケート回答時点まで、

その分布に大きな変化はみられない。 ・就職活動時点では、ハードワークを許容出来ると考えている女性がそうでない女性よりもが多いが、アンケート回答

時点では、「ハードワークに対する許容度合い」が大きく低下し、ハードワークを許容できないと考える女性の方が

多くなっている。 ・結婚や出産などのライフイベントは、「外的報酬に対する欲求」および「内的報酬に対する欲求」にはあまり変化をも

たらさないが、「ハードワークに対する許容度合い」を大きく引き下げるものとみられる。

12

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図表 18 労働価値観に関する質問に対する回答分布(就職活動時点)

(注) サンプル数は、大学・大学院卒業後に大学・大学院を卒業後正規雇用として採用された1,364人のうち、労働価値観に

関するいずれかの質問において「当時のことは覚えてない」と回答したサンプルを除いた1,204人である。

図表 19 労働価値観に関する質問に対する回答分布(アンケート回答時点)

(注) サンプル数は、図表18と同じ1,204人である

10.5%

8.8%

7.7%

3.1%

3.4%

3.2%

5.3%

11.0%

13.5%

25.7%

21.9%

23.0%

13.7%

9.1%

12.0%

19.4%

26.7%

36.5%

22.9%

21.7%

25.5%

24.6%

16.8%

21.8%

26.8%

25.4%

27.5%

33.4%

37.3%

32.9%

40.0%

47.7%

42.6%

35.5%

26.4%

16.9%

7.4%

10.3%

10.9%

18.7%

23.0%

20.4%

13.0%

10.5%

5.5%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

やりたい仕事であれば、精神的にきつくても仕方がない

やりたい仕事であれば、体力的にきつくても仕方がない

やりたい仕事であれば、仕事以外の時間が削られても仕方がない

興味・好奇心を追求し、喜びや充足感を得るために働くことが重要だ

自己成長のために働くことが重要だ

自分の能力やスキルを活かすために働くことが重要だ

より高い報酬を得るために働くことが重要だ

終身雇用を前提とした組織に勤めることが重要だ

出世・昇進のために働くことが重要だ

全くそう思わない そう思わない どちらでもない そう思う 強くそう思う

外的報酬に対する欲求

内的報酬に対する欲求

ハードワークに対する

許容度合い

(給与の他諸手当、福利厚生含む)

25.9%

22.3%

20.8%

3.4%

2.7%

3.1%

5.0%

12.1%

14.5%

34.0%

32.3%

29.7%

7.9%

6.8%

6.5%

12.2%

22.6%

33.3%

27.7%

28.6%

31.2%

28.7%

28.4%

27.9%

32.4%

34.5%

34.1%

10.5%

14.6%

15.9%

47.3%

47.6%

49.5%

41.9%

23.8%

16.1%

1.8%

2.2%

2.4%

12.7%

14.5%

13.0%

8.6%

7.1% 2.1%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

やりたい仕事であれば、精神的にきつくても仕方がない

やりたい仕事であれば、体力的にきつくても仕方がない

やりたい仕事であれば、仕事以外の時間が削られても仕方がない

興味・好奇心を追求し、喜びや充足感を得るために働くことが重要だ

自己成長のために働くことが重要だ

自分の能力やスキルを活かすために働くことが重要だ

より高い報酬を得るために働くことが重要だ

終身雇用を前提とした組織に勤めることが重要だ

出世・昇進のために働くことが重要だ

全くそう思わない そう思わない どちらでもない そう思う 強くそう思う

外的報酬に対する欲求

内的報酬に対する欲求

ハードワークに対する

許容度合い

(給与の他諸手当、福利厚生含む)

13

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(2)「内的報酬に対する欲求」が強い女性が多い。「外的報酬に対する欲求」のみが強い女性は少数派 ○ 「外的報酬に対する欲求」、「内的報酬に対する欲求」および「ハードワークに対する許容度合い」に関係する合計9

問の回答結果から、各々の多寡を表す指標を算出し、労働価値観に基づく女性の分類を行った(図表20)。 ○ 「外的報酬に対する欲求」および「内的報酬に対する欲求」に関して、大半の女性は、①両方とも弱い、②「内的報

酬に対する欲求」だけ強い、または③両方とも強い、のいずれかに分類される。「内的報酬に対する欲求」が弱いに

も関わらず、「外的報酬に対する欲求」だけが強い女性は少数派であり、全体の 1 割にも満たない(図表 20 の「そ

の他」の中に含まれる。)。 ○ 就職活動時点からアンケート回答時点にかけて、ハードワークが許容できないと考えている女性が約 47%から約

75%に増加している。ただし、アンケート回答時点で、ハードワークが許容できないと考えている女性であっても、

「内的報酬に対する欲求」の強い女性が全体の半数以上を占めている。

図表 20 労働価値観の違いに基づく女性の分類と構成割合

(注1) サンプルは、大学・大学院卒業後に大学・大学院を卒業後正規雇用として採用された1,364人のうち、労働価値観に関する

いずれかの質問において「当時のことは覚えてない」と回答したサンプルを除いた1,204人である。 (注2) 「外的報酬に対する欲求」、「内的報酬に対する欲求」、「ハードワークに対する許容度合い」に関係する各 3々問の質問に対

する回答結果を基に、「全くそうは思わなかった(思っている)」を 1、「強くそう思っていた(思っている)」を 5 として、それぞれ数値に置き換え、平均値を算出して分類を行っている。「外的報酬に対する欲求」および「内的報酬に対する欲求」

については、平均値が1以上3以下で「弱」、3より大きく5以下で「強」とした。「ハードワークに対する許容度合い」は平均値が1以上3以下で「非許容」、3より大きく5以下で「許容」と分類した。なお、因子分析の結果、「外的報酬に対する欲求」、「内的報酬に対する欲求」、「ハードワークに対する許容度合い」の3因子が抽出されている(参考②参照)。

17.1%

20.8%

16.7%

32.6%

13.5%

21.7%

21.8%

7.4%

22.3%

9.2%

8.6%

8.3%

就職活動時点

アンケート回答時点

ハードワーク:許容 内的報酬欲求:強 外的報酬欲求:強

ハードワーク:非許容 内的報酬欲求:強 外的報酬欲求:弱

ハードワーク:許容 内的報酬欲求:強 外的報酬欲求:弱

その他

ハードワーク:非許容 内的報酬欲求:弱 外的報酬欲求:弱

ハードワーク:非許容 内的報酬欲求:強 外的報酬欲求:強

14

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(3)大学難易度区分に関わらず、「ハードワークに対する許容度合い」は就職活動時点から大きく低下 ○ 「外的報酬に対する欲求」については、就職活動時点では、大学難易度区分の高いグループほど欲求が強い傾向がみ

られるが、アンケート回答時点では大学難易度区分の違いによる差異はほとんど確認できない(図表21・左)。 ○ 「内的報酬に対する欲求」については、就職活動時点では、大学入試偏差値が最も低いグループでやや値が低くなっ

ているものの、就職活動時点、アンケート回答時点の両方において総じて欲求が強く、大学難易度区分の違いによる

差異はあまりみられない(図表21・中)。 ○ 「ハードワークに対する許容度合い」については、全ての大学難易度区分において、就職活動時点と比べてアンケー

ト回答時点でその値が大きく低下している(図表21・右)。 ○ 新卒時点からアンケート回答時点までの様々なライフイベント等を経ても、「外的報酬に対する欲求」および「内的

報酬に対する欲求」にはあまり変化が生じていないが、「ハードワークに対する許容度合い」は大きく低下する傾向

がみられる。

図表 21 大学難易度区分別の労働価値観とその変化 外的報酬への欲求(左)、内的報酬への欲求(中)、ハードワークに対する許容度合い(右)

(注1) サンプルは、大学・大学院卒業後に大学・大学院を卒業後正規雇用として採用された1,364人のうち、労働価値観に関するいずれかの質問にお

いて「当時のことは覚えてない」と回答したサンプルを除いた1,204人から、さらに大学入試偏差値のデータが得られなかった6人を除いた1,198人である。大学難易度区分別の内訳は、Q1=236人、Q2=273人、Q3=323人、Q4=366人である。大学難易度区分の詳細については参考①を

参照。 (注2) グラフの値は、「外的報酬に対する欲求」、「内的報酬に対する欲求」、「ハードワークに対する許容度合い」に関係する各 3々問の質問に対する回

答結果を基に、「全くそうは思わなかった(思っている)」を1、「強くそう思っていた(思っている)」を5として、それぞれ数値に置き換え、

平均値を算出したものである。したがって、当該平均値はそれぞれ1以上5以下の値である。なお、因子分析の結果、「外的報酬に対する欲求」、「内的報酬に対する欲求」、「ハードワークに対する許容度合い」の3因子が抽出されている(参考②参照)。

2.79 2.94

3.07 3.06 2.95 3.01

2.92 2.94

2.00

2.20

2.40

2.60

2.80

3.00

3.20

3.40

3.60

3.80

4.00

Q1 Q2 Q3 Q4 Q1 Q2 Q3 Q4

就職活動時点 アンケート回答時点

3.51

3.72 3.70 3.71 3.62 3.58 3.63 3.64

2.00

2.20

2.40

2.60

2.80

3.00

3.20

3.40

3.60

3.80

4.00

Q1 Q2 Q3 Q4 Q1 Q2 Q3 Q4

就職活動時点 アンケート回答時点

3.06 3.13 3.12 3.15

2.44 2.39 2.42 2.37

2.00

2.20

2.40

2.60

2.80

3.00

3.20

3.40

3.60

3.80

4.00

Q1 Q2 Q3 Q4 Q1 Q2 Q3 Q4

就職活動時点 アンケート回答時点

15

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(4)管理職に昇進している女性は、「内的報酬に対する欲求」が強く、「ハードワークに対する許容度合い」も高い ○ アンケート回答時点で管理職(課長・課長相当職以上)の役職に就いている女性と、それ以外の女性(非管理職)の

「外的報酬に対する欲求」、「内的報酬に対する欲求」および「ハードワークに対する許容度合い」を比較した。 ○ その結果、「外的報酬に対する欲求」については、就職活動時点およびアンケート回答時点の両時点で、管理職と非

管理職でほとんど差はみられなかった。「外的報酬に対する欲求」を計測する質問の一つとして「出世・昇進のため

に働くことが重要だ」という質問が含まれているが、必ずしも「出世・昇進のために働くことが重要だ」と考えてい

るか否かが、管理職への昇進の決定要因ではない可能性がある。 ○ 他方、「内的報酬に対する欲求」については、就職活動時点およびアンケート回答時点の両時点で、管理職に就いて

いる女性の方が、当該欲求が強いことが分かった。内的報酬による動機付けの多寡が、管理職への昇進の決定要因の

一つになっている可能性がある。 ○ 「ハードワークに対する許容度合い」については、就職活動時点からアンケート回答時点にかけて低下する傾向がみ

られるが、その低下幅は管理職に昇進した女性のほうが小さくなっている。また、就職活動時点およびアンケート回

答時点の両時点で、管理職に昇進した女性のほうがハードワークを許容する傾向にあることが分かる。管理職に昇進

するためには、ハードワークを許容することが前提となっている可能性がある。

図表 22 アンケート回答時点で管理職(課長相当職以上)とそれ以外の労働価値観の比較

(注1) サンプルは、大学・大学院卒業後に大学・大学院を卒業後正規雇用として採用された1,364人のうち、労働価値観に関す

るいずれかの質問において「当時のことは覚えてない」と回答したサンプルを除いた1,204人から、アンケート回答時点で無職と回答した318人およびアンケート回答時点の役職が「その他」と回答した35人を除いた、851人である。なお851人中44人が、課長相当以上の役職に就いていると回答している。

(注2) グラフの値は、「外的報酬に対する欲求」、「内的報酬に対する欲求」、「ハードワークに対する許容度合い」に関係する各々3問の質問に対する回答結果を基に、「全くそうは思わなかった(思っている)」を1、「強くそう思っていた(思っている)」を5として、それぞれ数値に置き換え、平均値を算出したものである。したがって、当該平均値はそれぞれ1以上5以下

の値である。なお、因子分析の結果、「外的報酬に対する欲求」、「内的報酬に対する欲求」、「ハードワークに対する許容度合い」の3因子が抽出されている(参考②参照)。

2.92 3.09

3.90 4.00

3.45

3.10 2.99 2.98

3.66 3.64

3.10

2.42

2.00

2.20

2.40

2.60

2.80

3.00

3.20

3.40

3.60

3.80

4.00

就職

活動

時点

アンケー

ト回

答時

就職

活動

時点

アンケー

ト回

答時

就職

活動

時点

アンケー

ト回

答時

外的報酬への欲求 内的報酬への欲求 ハードワークに対する許容度合い

管理職

非管理職

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3.2. 就職活動時点における就業継続に関する意識 (5)若い世代ほど将来の就業継続を意識して就職活動を行う傾向。母親が正規雇用で働いていた女性も同様の傾向 ○ 学生時代の就職活動において、将来結婚・出産後に働き続けられそうな職場かどうかを考慮する傾向が、若い世代ほ

ど、また、大学難易度区分が高いグループほど強い(図表23および図表24)。 ○ 同様に、自分が中学生だった頃、母親が正規雇用として働いていた女性も、母親が専業主婦やパート・アルバイトだ

った女性より、その傾向がみられる(図表25)。

図表 23 就職先の検討における将来の結婚・出産時の就業継続可能性の考慮(年齢階級別)

(注) サンプル数は1,500人である。「当時のことは覚えていない」を選択したサンプルは除いている。

図表 24 就職先の検討における将来の結婚・出産時の就業継続可能性の考慮(大学難易度区分別)

(注) サンプル数は1,492人であり、大学難易度区分別の内訳は、Q1=331人、Q2=355人、Q3=392人、Q4=414人である。「当時のことは覚え

ていない」を選択したサンプルおよび大学入試偏差値のデータが得られなかったサンプルを除いている。大学難易度区分の詳細については参考①を参照。

図表 25 就職先の検討における将来の結婚・出産時の就業継続可能性の考慮(母親の就業形態別)

(注1) 母親の就業形態はアンケート回答者が中学生だった当時について尋ねている。 (注2) サンプル数は、「当時のことは覚えていない」を選択したサンプルを除いた 1,444 人であり、母親の就業形態別内訳は、自

営業=125人、パート・アルバイト=485人、専業主婦=600人、正規雇用=234人である。

9.2%

7.2%

7.0%

5.3%

35.9%

24.2%

20.6%

21.0%

11.4%

12.7%

14.9%

14.1%

25.9%

29.2%

27.1%

29.0%

17.5%

26.7%

30.3%

30.6%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

25-29歳

30-34歳

35-39歳

40-44歳 とても考慮した

どちらかというと考慮した

どちらともいえない

どちらかというと考慮しなかった

全く考慮しなかった

4.5%

6.8%

6.6%

10.1%

20.5%

20.3%

31.1%

27.3%

17.2%

13.0%

9.7%

14.3%

23.0%

32.7%

29.1%

26.6%

34.7%

27.3%

23.5%

21.7%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

Q1

Q2

Q3

Q4とても考慮した

どちらかというと考慮した

どちらともいえない

どちらかというと考慮しなかった

全く考慮しなかった

9.8%

7.0%

5.6%

5.6%

30.3%

25.0%

24.9%

19.2%

12.0%

15.2%

10.7%

16.0%

23.9%

25.3%

31.1%

36.0%

23.9%

27.5%

27.6%

23.2%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

母親_正規雇用

母親_専業主婦

母親_パート・アルバイ

母親_自営業 とても考慮した

どちらかというと考慮した

どちらともいえない

どちらかというと考慮しなかった

全く考慮しなかった

(最も高学歴)

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4. 参考資料

【参考①】卒業した大学の大学入試偏差値の記述統計量・ヒストグラム・年齢構成

図表 26 卒業大学の大学入試偏差値の記述統計量 最大値 69.00 最小値 35.00 平均 55.10 中央値 54.52 第1四分位数 50.42 第3四分位数 59.88 N 1,818

(注)大学入試偏差値は代々木ゼミナールによる「大学・学部・学科別入試難易ランキング表」を基に、

大学別に全学科の単純平均を算出し使用している。

図表 27 卒業大学の大学入試偏差値の分布

図表 28 大学難易度区分別の平均年齢・年齢の標準偏差・サンプル数 Q1 Q2 Q3 Q4

(最も難易度

が高い)

全体

平均年齢 34.79 34.41 34.55 35.30 34.77 標準偏差 5.75 5.51 5.74 5.58 5.65 N 453 434 455 476 1,818

0.1%

3.6%

19.7%

27.6%

24.1%

20.0%

4.9%

0%

5%

10%

15%

20%

25%

30%

35~40 40~45 45~50 50~55 55~60 60~65 65~70

頻度

大学入試偏差値

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【参考②】労働価値観に関する因子分析の結果

- 学生時代の就職活動当時の考え方について、9の質問に対する回答データを用いて因子分析を行った結果、固有値

が1以上の因子が3つ得られた。固有値は、第1因子から順に、3.786、1.640、1.307、0.609、0.473、0.430、0.322、0.295、0.138であった。

- 1以上の固有値の数を因子数とするカイザー基準のほか、スクリープロットや平行分析についても併用したが、い

ずれも一貫して3つの因子の採択を示唆する結果であったことから、ここでは最終的に3つの因子を選出すること

が適当と判断した。

- 再度3因子を指定して、因子分析(最尤法、プロマックス回転)を実施した結果が図表29である。全ての質問に

ついて、負荷量は0.400以上と大きく、かつ複数の因子にまたがって0.400以上の負荷量を示していない。

- 第1因子は「ハードワークに対する許容度合い」、第2因子は「内的報酬に対する欲求」、第3因子は「外的報酬に

対する欲求」と解釈することができる。

- なお、ここでは学生時代の就職活動当時の考え方をたずねた質問への回答データを基に因子分析を実施しているが、

アンケート回答時点における考え方をたずねた質問への回答データを用いて因子分析を行っても、同様に3つの共

通因子が得られている(因子分析の結果の詳細はここでは省略する。)。

図表 29 就職活動時点における労働価値観についての因子分析(最尤法、プロマックス回転)の結果

質問

第1因子 ハードワークに対する許

容度合い

第2因子 内的報酬に対する欲求

第3因子 外発報酬に対する欲求

共通性

やりたい仕事であれば、体力的にきつくても仕方がない 0.980 -0.014 -0.025 0.935

やりたい仕事であれば、精神的にきつくても仕方がない 0.907 -0.075 0.008 0.768

やりたい仕事であれば、仕事以外の時間が削られても仕方がない 0.753 0.124 -0.013 0.664

自己成長のために働くことが重要だ -0.023 0.886 -0.024 0.750

自分の能力やスキルを活かすために働くことが重要だ -0.013 0.745 0.072 0.595

興味・好奇心を追求し、喜びや充足感を得るために働くことが重要だ 0.010 0.724 0.029 0.549

より高い報酬を得るために働くことが重要だ(給与の他諸手当、福利厚生含む) -0.063 0.082 0.758 0.603

終身雇用を前提とした組織に勤めることが重要だ -0.051 -0.097 0.637 0.353

出世・昇進のために働くことが重要だ 0.129 -0.017 0.608 0.422

因子寄与率 26.2% 21.2% 15.2%

累積寄与率 26.2% 47.5% 62.6% (注1) サンプル数は、サンプル数は、大学・大学院卒業後に大学・大学院を卒業後正規雇用として採用された1,364人のうち、労

働価値観に関するいずれかの質問において「当時のことは覚えてない」と回答したサンプルを除いた1,204人である。 (注2) 各質問は、「1=全くそう思わなかった」「2=そう思わなかった」「3=どちらでもない」「4=そう思っていた」「5=強くそう思

っていた」の5件法により回答を得ている。 (注3) 因子間の相関係数については、第1因子と第2因子、第1因子と第3因子、第2因子と第3因子の間の相関係数はそれぞ

れ0.469、0.295、0.410である。

<本調査に関する問い合わせ先> 株式会社日本総合研究所 ESGリサーチセンター メールアドレス:[email protected]

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