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地銀・第二地銀の経営統合と 独占禁止法の適用について 平成30年12月19日 金融庁 資料4-1

地銀・第二地銀の経営統合と 独占禁止法の適用について...地銀・第二地銀の経営統合と 独占禁止法の適用について 平成30年12月19日 金融庁

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地銀・第二地銀の経営統合と独占禁止法の適用について

平成30年12月19日金融庁

資料4-1

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将来人口の予測(市区町村別)

○ 人口は、大都市とその周辺以外において顕著に減少。

総人口が2015年から

2045年にかけて、

50%以上減少

35 ~ 50%減少

20 ~ 35%減少

0 ~ 20%減少

増加

(出所)国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口(平成30(2018)年推計)」

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事業所数の変化(都道府県別:実績)

(出所)「平成13年事業所・企業統計調査」及び「平成26年経済センサス」より内閣官房日本経済再生総合事務局作成。

○ 事業所数も、東京圏以外の地域における減少が顕著。

80

85

90

95

100

105

北海道

青森県

岩手県

宮城県

秋田県

山形県

福島県

茨城県

栃木県

群馬県

埼玉県

千葉県

東京都

神奈川県

新潟県

富山県

石川県

福井県

山梨県

長野県

岐阜県

静岡県

愛知県

三重県

滋賀県

京都府

大阪府

兵庫県

奈良県

和歌山県

鳥取県

島根県

岡山県

広島県

山口県

徳島県

香川県

愛媛県

高知県

福岡県

佐賀県

長崎県

熊本県

大分県

宮崎県

鹿児島県

沖縄県

(2001年から5%増加) (注)2001年の事業所数を100としたときの

2014年の事業所数

(変わらず)

( 5%減少)

( 10%減少)

( 15%減少)

( 20%減少)

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地方銀行・第二地方銀行のメインバンクとしての役割と経営状況

(出所)帝国データバンク調査

○ 地方において、地方銀行・第二地方銀行は、企業のメインバンクとして大きな割合を占めている。○ 地方銀行、第二地方銀行及び埼玉りそな銀行は、2018年3月期時点で、本業では、106行中過半数の54行が赤字

(うち52行が2期以上連続赤字)。連続赤字の銀行が年々増加。

(注)

•帝国データバンクが独自に調査・保有している企業概要データベース「COSMOS2」に収録された企業データで

メインバンクと認識している金融機関について抽出・集計したもの

•一企業に複数のメーンがあるケースでは企業が最上位として認識している金融機関をメインバンクとして集計

1.6%

1.1%

1.9%

34.4%

11.4%

1.2%

39.6%

1.4%

1.8%

70.5%

62.6%

56.2%

26.3%

36.7%

60.7%

23.1%

61.3%

19.1%

9.5%

22.8%

14.1%

6.2%

12.4%

9.7%

6.6%

13.5%

35.0%

12.4%

9.7%

20.6%

26.7%

32.7%

20.1%

23.6%

16.4%

36.1%

6.1%

3.9%

7.3%

6.5%

6.7%

8.3%

7.1%

7.5%

8.0%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

九州

四国

中国

近畿

中部

北陸

関東

東北

北海道

都市銀行 地方銀行 第二地方銀行 信金・信組 その他

メインバンクの金融機関

地方銀行 第二地方銀行

(出所)金融庁「変革期における金融サービスの向上に向けて~金融行政のこれまでの実践と今後の方針~」(平成30年9月26日公表)

14 1723

3

6

7

6

7

10

7

10

12

10

14

2

0

20

40

60

80

15 16 17

(行)

(年度)

5期以上連続 4期連続 3期連続 2期連続 単年度

40

54 54

地方銀行・第二地方銀行における本業での赤字

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近年の経営統合の動きと経費削減余地

(出所)金融庁・金融仲介の改善に向けた検討会議報告書「地域金融の課題と競争のあり方」(平成30年4月11日公表)

○ 銀行はシステム費用等の多額の固定費が発生するため、規模の経済性が働きやすい。(貸出の規模が2倍になっても、システム費用が2倍かかる訳ではない。)

○ このため、統合による経費削減余地が大きく、銀行の持続可能性にプラスの効果があると推測される。

地方銀行・第二地方銀行・埼玉りそな銀行(計106行)の営業経費と貸出残高

0

200

400

600

800

1,000

1,200

0 20,000 40,000 60,000 80,000 100,000 120,000

単位:億円 2016年3月期

営業経費

貸出残高

近年の経営統合の動き

ふくおかフィナンシャルグループ(H19.4発足)

福岡銀行、親和銀行、熊本銀行※H31.4に十八銀行を子会社化予定

H32.10に親和、十八は合併を予定

トモニホールディングス(H22.4) 香川銀行、徳島銀行、大正銀行(H28.4に子会社化)※H31秋までに徳島、大正は合併を予定

九州フィナンシャルグループ(H27.10) 肥後銀行、鹿児島銀行

コンコルディアフィナンシャルグループ(H28.4) 横浜銀行、東日本銀行

めぶきフィナンシャルグループ(H28.10) 常陽銀行、足利銀行

西日本フィナンシャルホールディングス(H28.10) 西日本シティ銀行、長崎銀行

関西みらいフィナンシャルグループ(H30.4) みなと銀行、近畿大阪銀行、関西アーバン銀行※H31.4に近畿大阪、関西アーバンは合併を予定

三十三フィナンシャルグループ(H30.4) 三重銀行、第三銀行

東京きらぼしフィナンシャルグループ(H30.5)

H30.5に東京都民銀行、八千代銀行、新銀行東京が合併し、「きらぼし銀行」が発足。併せて、持株会社が「東京TYフィナンシャルグループ」から「東京きらぼしフィナンシャルグループ」へと商号を変更。

第四北越フィナンシャルグループ(H30.10) 第四銀行、北越銀行※持株会社設立の2年後目途で合併予定

地域銀行数 銀行持株会社数地銀 第二地銀 計(※1)

平成27年4月時点 64 41 106 9

平成30年9月時点 64(※2) 40(※2) 105 14

銀行数・HD数の推移

※1 埼玉りそな銀行を含む。※2 今後予定されている統合の完了時点で、地銀数は62、第二地銀数は38。

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30年8月 公取委によるクリアランス(排除措置命令を行わない旨の通知)

○ 長崎県における中小企業向け貸出し(両社のシェアが約75%)について、他の金融機関からの競争圧力が限定的であること等に鑑み、独禁法上問題。

○ 両社が申し出た1千億円弱相当の貸出債権の他の金融機関への移管(両社のシェアは

約65%に低下)等を前提とすれば、同法上問題とならない。

31年4月(予定) FFGによる十八銀行の子会社化※32年10月に十八銀行・親和銀行(FFG傘下)の合併を予定

5

ふくおかフィナンシャルグループ(FFG)と十八銀行の経営統合の経緯

(出所)公正取引委員会及びふくおかフィナンシャルグループの報道発表資料より作成。

28年2月 経営統合に関する基本合意

28年6月 公取委による審査開始

29年1月 経営統合の半年間延期を公表(29年4月→29年10月)

公取委の審査結果

29年7月

30年5月

再延期(統合予定時期を明示せず)を公表

「長崎経済の活性化に貢献する経営統合の実現に向けて」を公表

⇒経営統合により創出される人材や資本等の余力を地域経済や地域経済発展のために

積極的に活用する方針

○ 店舗統廃合等により捻出される人員(500名程度)を取引先サポートに重点的に配置○ 離島等においても店舗網を維持○ 取引先の資金ニーズの充足や経営課題解決、販路開拓等の本業支援に積極的に対応

具体的な内容

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県外地銀等の参入

(出所)金融庁・企業アンケート調査(平成30年9月26日公表)

○ 県境を越えた貸出が増加しており、県外との競争が激化。○ 最近3年以内に「県外地銀」や「メガバンク」から勧誘を受けた企業は多く、県外からの競争圧力に接している。

51%

25%

15%

23%

19%

74%

48%

58%

28%

32%

59%

38%

35%

25%

26%

56%

31%

18%

25%

24%

44%

18%

8%

21%

13%

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80%

県内地銀

県外地銀

メガバンク

信金・信組

政府系

全回答(n=8546)

大規模(n=50)

中堅(n=909)

中規模(n=3279)

小規模(n=4301)

20人以下

100人以下1,000人以下

1,000人超

Q. 最近3年以内に、企業は、どの金融機関から融資の勧誘を受けたか。(複数回答可)

地方銀行・第二地方銀行・埼玉りそな銀行の貸出の増減率(対前年比)

(注)営業店所在地の計数を集計。東京都を本店所在地とする銀行の都内貸出は「地元県」に算入。

(出所)金融庁・金融仲介の改善に向けた検討会議報告書「地域金融の課題と競争のあり方」(平成30年4月11日公表)

県外(都内店除く) 都内店 地元県

※ いずれも企業規模

県内地銀

県外地銀

メガバンク

信金・信組

政府系

5.6%

4.4%

3.1%

大規模

中堅

大規模

中堅

中規模

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貸出シェアと利回り変化幅の関係

(出所)日本銀行・金融システムレポート2018年4月号(平成30年4月19日公表)

○ 県内の貸出額シェアと利回り変化幅に相関は認められず、県内シェアが高いからといって金利が下がりにくいわけではない。

-2.0

-1.5

-1.0

-0.5

0.0

0.5

0 10 20 30 40 50 60

本店所在地での貸出シェア(06年度)、%

貸出利回り変化幅(06→16年度)、%pt

(注)

1.各銀行の県内貸出シェアは、本店が所在する都道府県内における貸出残高に占める自行の貸出残高の割合。集計対象は、大手行等、地方銀行、第二地方銀行、信用金庫。

2.貸出利回りは、国内部門ベース。

元データは、金融ジャーナル社「金融マップ」、日本銀行。

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メインバンクからの借換えの検討状況

○ 「最近3年以内に、借換えを検討したが、借換えを実施しなかった理由」や「最近3年以内に、借換えを検討しておらず、今後も借り換えない理由」を見ると、「メインバンクを信頼しているから」の割合が高い。

○ 破綻懸念先では「メインバンク以外の金融機関から借入れを受けることが難しい」の割合が高い。

Q.最近3年以内に、借換えを検討しておらず、今後も借り換えない理由は何か。 (複数回答可)

Q.最近3年以内に、メインバンクからの借換えを検討したが、借換えを行わなかった理由は何か。(複数回答可)

35%

45%

11%

5%

6%

8%

32%

44%

13%

5%

3%

3%

39%

51%

11%

5%

5%

5%

30%

35%

10%

4%

6%

14%

25%

18%

21%

7%

14%

32%

0% 20% 40% 60%

1. 様々な条件を比較した結果、メインバンクの方が良いと感じたから

2. メインバンクを信頼しているから

3. メインバンク以外は、情報や信頼関係がなく、メインバンクと同様の融資姿勢か不安だったから

4. メインバンク以外の金融機関の店舗は遠かったから

5. 他の金融機関からは同様の支援を受けることが

難しいと考えたから

6. メインバンク以外の金融機関から借入れを受けることは

難しいと考えたから

全回答

(n=639)

正常先上位

(n=63)

正常先下位

(n=389)

要注意先

(n=159)

破綻懸念先

(n=28)

28%

69%

12%

4%

11%

11%

28%

82%

11%

4%

2%

0%

32%

74%

12%

3%

10%

6%

21%

49%

13%

4%

19%

26%

9%

36%

6%

24%

55%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

1. 様々な条件を比較すれば、メインバンクの方が良いと感じるから

2. メインバンクを信頼しているから

3. メインバンク以外は、情報や信頼関係がなく、メインバンクと同様の融資姿勢

か不安だから

4. メインバンク以外の金融機関の店舗はかなり遠いから

5. 他の金融機関からは同様の支援を受けることが

難しいと考えるから

6. メインバンク以外の金融機関から借入れを受けることは難しいと考えられるから

全回答

(n=988)

正常先上位

(n=225)

正常先下位

(n=499)

要注意先

(n=231)

破綻懸念先

(n=33)

(出所)金融庁・企業アンケート調査(平成30年9月26日公表)

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地銀・第二地銀への独占禁止法適用に関する論点

○ 経営統合で競争が失われた結果、地銀が不当に金利を引き上げるといった弊害を生じさせないようにする必要。その一方で、

・ 地域において、人口・事業所数の減少による資金需要減少が継続。このため、貸出からの収益が低下し、多くの地域で銀行ごとに発生する固定費がまかなえなくなることも想定される。このような中で、供給構造の転換が不可避である(競争の維持がますます困難になる)ことについて、どのように考えるか。

・ 将来的に地銀・第二地銀の業績悪化が進行し、破綻すれば、悪影響が広範な預金者・債権者や中小企業などの債務者に及び、地域経済全体に波及することについて、どのように考えるか。(インフラ的ネットワークの維持)

特に、業績悪化が着実に進行するケースを念頭に、金融の特性を踏まえた早期のタイミングでの経営統合により、その機能の円滑な承継を図り、預金者や中小企業への影響を避けることが、選択肢として許容されていることが必要ではないか。

・ 経営統合にあたって、地銀が① 弊害を防止する旨、及び、② 統合により生じた余力を地域におけるサービス維持や地域経済への貢献に活用する旨を具体的にコミットし、統合後にこれを着実に履行することで、弊害は防止しつつ、地域の利用者の厚生増大を図ることについて、どのように考えるか。

※ 金融庁は、銀行法に基づき地銀の経営統合を認可することとなっている。また、統合後の検査・監督を通じてコミットメントの履行状況を確認することができる。

○ 中小企業金融は、長期的な関係構築の有無に左右されるサービスであり、企業から見ると、競合する他行への借換え可能性の確保より、むしろ現在の取引行が継続的に支援することが望まれる場合がある。このような地域金融の特性をどのように考えるか。特に、信用力が低い企業については、経営統合の有無に関わらず、元々他行への借換えが困難であることをどう考えるか。(金融の特性の反映)

債権の移管については、あくまでも顧客が競合他社との取引を希望している場合に行われるものであり、最終的な移管金額が問題となる訳ではないことについて、明確化が必要ではないか。

○ 地銀・第二地銀は先を見据えて統合の判断を行うが、現時点におけるシェア等が小さくても、積極的な拠点開設若しくは利用者への勧誘を行っており、又は供給量を継続的に増加させている金融機関等は、統合行に対する潜在的な競争者(統合行のシェアが高くても、競争は失われない)と考えられないか。 (将来に向けた競争の考慮)