36
2007 年 4 月(第 3 版) 日本標準商品分類番号 876151 医薬品インタビューフォーム 日本病院薬剤師会のIF記載要領(1998 年 9 月)に準拠して作成 抗生物質製剤 指定医薬品 処方せん医薬品 注射用コハク酸クロラムフェニコールナトリウム 注射用製剤 1 バイアル中クロラムフェニコール(CP)1g(力価)に相当するコハク 酸クロラムフェニコールナトリウムを含有 和 名:コハク酸クロラムフェニコールナトリウム 洋 名:Chloramphenicol Sodium Succinate 製造・輸入承認年月日 薬価基準収載・発売年月日 日:1960 年 2 月 22 薬価基準収載年月日:1961 年 1 1日 日:1959 年10 月 1 開発・製造・輸入・発売・ 提携・販売会社名 販売元:第一三共株式会社 製造元:三共エール薬品株式会社 担当者の連絡先・ 電話番号・FAX 番号 本IFは 2005 年 10 月改訂(第 6 版)の添付文書の記載に基づき改訂した。

医薬品インタビューフォームkosugi/zemi2011/iform/...2007年4月(第3版) 日本標準商品分類番号 876151 医薬品インタビューフォーム 日本病院薬剤師会のIF記載要領(1998年9月)に準拠して作成

  • Upload
    others

  • View
    0

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: 医薬品インタビューフォームkosugi/zemi2011/iform/...2007年4月(第3版) 日本標準商品分類番号 876151 医薬品インタビューフォーム 日本病院薬剤師会のIF記載要領(1998年9月)に準拠して作成

2007 年 4 月(第 3版) 日本標準商品分類番号

876151

医薬品インタビューフォーム 日本病院薬剤師会のIF記載要領(1998 年 9 月)に準拠して作成

抗生物質製剤

指定医薬品 処方せん医薬品

注射用コハク酸クロラムフェニコールナトリウム

剤 形 注射用製剤

規 格 ・ 含 量 1 バイアル中クロラムフェニコール(CP)1g(力価)に相当するコハク

酸クロラムフェニコールナトリウムを含有

一 般 名 和 名:コハク酸クロラムフェニコールナトリウム

洋 名:Chloramphenicol Sodium Succinate

製造・輸入承認年月日

薬価基準収載・発売年月日

製 造 承 認 年 月 日:1960 年 2 月 22 日

薬価基準収載年月日:1961 年 1 月 1 日

発 売 年 月 日:1959 年10 月 1 日

開発・製造・輸入・発売・

提 携 ・ 販 売 会 社 名

販売元:第一三共株式会社

製造元:三共エール薬品株式会社

担 当 者 の 連 絡 先 ・

電話番号・ F A X 番号

本IFは 2005 年 10 月改訂(第 6版)の添付文書の記載に基づき改訂した。

Page 2: 医薬品インタビューフォームkosugi/zemi2011/iform/...2007年4月(第3版) 日本標準商品分類番号 876151 医薬品インタビューフォーム 日本病院薬剤師会のIF記載要領(1998年9月)に準拠して作成

IF利用の手引きの概要 ─日本病院薬剤師会─

1.医薬品インタビューフォーム作成の経緯

当該医薬品について製薬企業の医薬情報担当者(以下、MRと略す)等にインタビューし、当該医

薬品の評価を行うのに必要な医薬品情報源として使われていたインタビューフォームを、昭和63年

日本病院薬剤師会(以下、日病薬と略す)学術第2小委員会が「医薬品インタビューフォーム」(以

下、IFと略す)として位置付けを明確化し、その記載様式を策定した。そして、平成10年日病薬学術

第3小委員会によって新たな位置付けとIF記載要領が策定された。

2.IFとは

IFは「医療用医薬品添付文書等の情報を補完し、薬剤師等の医療従事者にとって日常業務に

必要な医薬品の適正使用や評価のための情報あるいは薬剤情報提供の裏付けとなる情報等が集

約された総合的な医薬品解説書として、日病薬が記載要領を策定し、薬剤師等のために当該医薬

品の製薬企業に作成及び提供を依頼している学術資料」と位置付けられる。

しかし、薬事法の規制や製薬企業の機密等に関わる情報、製薬企業の製剤意図に反した情報及

び薬剤師自らが評価・判断・提供すべき事項等はIFの記載事項とはならない。

3.IFの様式・作成・発行

規格はA4 判、横書きとし、原則として 9 ポイント以上の字体で記載し、印刷は一色刷りとする。表

紙の記載項目は統一し、原則として製剤の投与経路別に作成する。IFは日病薬が策定した「IF記

載要領」に従って記載するが、本IF記載要領は、平成 11 年1月以降に承認された新医薬品から適

用となり、既発売品については「IF記載要領」による作成・提供が強制されるものではない。また、

再審査及び再評価(臨床試験実施による)がなされた時点ならびに適応症の拡大等がなされ、記

載内容が大きく異なる場合にはIFが改訂・発行される。

4.IFの利用にあたって

IF策定の原点を踏まえ、MRへのインタビュー、自己調査のデータを加えてIFの内容を充実さ

せ、IFの利用性を高めておく必要がある。

MRへのインタビューで調査・補足する項目として、開発の経緯、製剤的特徴、薬理作用、臨床成

績、非臨床試験等の項目が挙げられる。また、随時改訂される使用上の注意等に関する事項に関

しては、当該医薬品の製薬企業の協力のもと、医療用医薬品添付文書、お知らせ文書、緊急安全

性情報、Drug Safety Update(医薬品安全対策情報)等により薬剤師等自らが加筆、整備する。その

ための参考として、表紙の下段にIF作成の基となった添付文書の作成又は改訂年月を記載してい

る。なお適正使用や安全確保の点から記載されている「臨床成績」や「主な外国での発売状況」に

関する項目等には承認外の用法・用量、効能・効果が記載されている場合があり、その取扱いには

慎重を要する。

Page 3: 医薬品インタビューフォームkosugi/zemi2011/iform/...2007年4月(第3版) 日本標準商品分類番号 876151 医薬品インタビューフォーム 日本病院薬剤師会のIF記載要領(1998年9月)に準拠して作成

目 次

Ⅰ.概要に関する項目 1. 開発の経緯 ······················· 1

2. 製品の特徴及び有用性 ············· 1

Ⅱ.名称に関する項目 1. 販売名 ··························· 2

(1) 和 名 ······················· 2

(2) 洋 名 ······················· 2

(3) 名称の由来 ··················· 2

2. 一般名 ··························· 2

(1) 和 名(命名法) ··············· 2

(2) 洋 名(命名法) ··············· 2

3. 構造式又は示性式 ················· 2

4. 分子式及び分子量 ················· 2

5. 化学名(命名法) ··················· 2

6. 慣用名、別名、略号、記号番号 ····· 2

7. CAS登録番号 ··················· 2

Ⅲ.有効成分に関する項目 1. 有効成分の規制区分 ··············· 3

2. 物理化学的性質 ··················· 3

(1) 外観・性状 ··················· 3

(2) 溶解性 ······················· 3

(3) 吸湿性 ······················· 3

(4) 融点(分解点)、沸点、凝固点···· 3

(5) 酸塩基解離定数 ··············· 3

(6) 分配係数 ····················· 3

(7) その他の主な示性値 ··········· 3

3. 有効成分の各種条件下における

安定性 ··························· 3

4. 有効成分の確認試験法 ············· 3

5. 有効成分の定量法 ················· 3

Ⅳ.製剤に関する項目 1. 剤 形 ··························· 4

(1) 剤形の区別、規格及び性状 ····· 4

(2) 溶液及び溶解時の pH、浸透圧比、

粘度、比重、安定な pH 域等 ···· 4

(3) 注射剤の容器中の特殊な気体の

有無及び種類 ················· 4

2. 製剤の組成 ······················· 4

(1) 有効成分(活性成分)の含量 ····· 4

(2) 添加物 ······················· 4

(3) 添付溶解液の組成及び容量······ 4

3. 注射液の調製法 ··················· 4

4. 製剤の各種条件下における安定性 ··· 5

5. 溶解後の安定性 ··················· 5

6. 他剤との配合変化(物理化学的変化)·· 6

7. 電解質の濃度 ····················· 6

8. 混入する可能性のある夾雑物········ 6

9. 生物学的試験法···················· 6

10. 製剤中の有効成分の確認試験法······ 6

11. 製剤中の有効成分の定量法·········· 6

12. 力 価···························· 6

13. 容器の材質························ 6

14. その他···························· 6

Ⅴ.治療に関する項目 1. 効能又は効果······················ 7

2. 用法及び用量······················ 7

3. 臨床成績·························· 7

(1) 臨床効果······················ 7

(2) 臨床薬理試験:忍容性試験······ 8

(3) 探索的試験:用量反応探索試験·· 8

(4) 検証的試験···················· 8

1) 無作為化平行用量反応試験····· 8

2) 比較試験····················· 8

3) 安全性試験··················· 8

4) 患者・病態別試験············· 8

(5) 治療的使用···················· 9

1) 使用成績調査・特別調査・

市販後臨床試験··············· 9

2) 承認条件として実施予定の内容

又は実施した試験の概要······· 9

Ⅵ.薬効薬理に関する項目 1. 薬理学的に関連ある化合物

又は化合物群······················ 10

2. 薬理作用·························· 10

(1) 作用部位・作用機序············ 10

(2) 薬効を裏付ける試験成績········ 10

Ⅶ.薬物動態に関する項目 1. 血中濃度の推移・測定法············ 12

(1) 治療上有効な血中濃度·········· 12

(2) 最高血中濃度到達時間·········· 12

(3) 通常用量での血中濃度·········· 12

1) 健康成人の血中濃度··········· 12

2) 小児の血中濃度··············· 12

(4) 中毒症状を発現する血中濃度···· 12

2.薬物速度論的パラメータ ············ 13

(1) 吸収速度定数·················· 13

(2) バイオアベイラビリティ········ 13

(3) 消失速度定数·················· 13

(4) クリアランス·················· 13

(5) 分布容積······················ 13

(6) 血漿蛋白結合率················ 13

3. 吸 収···························· 13

Page 4: 医薬品インタビューフォームkosugi/zemi2011/iform/...2007年4月(第3版) 日本標準商品分類番号 876151 医薬品インタビューフォーム 日本病院薬剤師会のIF記載要領(1998年9月)に準拠して作成

4. 分 布 ··························· 13

(1) 血液-脳関門通過性 ··········· 13

(2) 胎児への移行性 ··············· 13

(3) 乳汁中への移行性 ············· 13

(4) 髄液への移行性 ··············· 13

(5) その他の組織への移行性 ······· 13

5. 代 謝 ··························· 14

(1) 代謝部位及び代謝経路 ········· 14

(2) 代謝に関与する酵素(CYP450 等)

の分子種 ····················· 14

(3) 初回通過効果の有無及び

その割合 ····················· 14

(4) 代謝物の活性の有無及び比率 ··· 14

(5) 活性代謝物の速度論的

パラメータ ··················· 14

6. 排 泄 ··························· 14

(1) 排泄部位 ····················· 14

(2) 排泄率 ······················· 14

(3) 排泄速度 ····················· 14

7. 透析等による除去率 ··············· 15

(1) 腹膜透析 ····················· 15

(2) 血液透析 ····················· 15

(3) 直接血液灌流 ················· 15

Ⅷ.安全性(使用上の注意等)に関する項目 1. 警告内容とその理由 ··············· 16

2. 禁忌内容とその理由 ··············· 16

3. 効能・効果に関連する使用上の注意

とその理由 ······················· 16

4. 用法・用量に関連する使用上の注意

とその理由 ······················· 16

5. 慎重投与内容とその理由 ··········· 16

6. 重要な基本的注意とその理由

及び処置方法 ····················· 17

7. 相互作用 ························· 18

(1) 併用禁忌とその理由 ··········· 18

(2) 併用注意とその理由 ··········· 18

8. 副作用 ··························· 19

(1) 副作用の概要 ················· 19

(2) 項目別副作用発現頻度及び

臨床検査値異常一覧 ··········· 19

(3) 基礎疾患、合併症、重症度

及び手術の有無等背景別の

副作用発現頻度 ··············· 19

(4) 薬物アレルギーに対する注意

及び試験法 ··················· 20

9. 高齢者への投与 ··················· 20

10. 妊婦、産婦、授乳婦等への投与 ····· 20

11. 小児等への投与 ··················· 20

12. 臨床検査結果に及ぼす影響·········· 20

13. 過量投与·························· 20

14. 適用上及び薬剤交付時の注意

(患者等に留意すべき必須事項等)···· 21

15. その他の注意······················ 21

16. その他···························· 21

Ⅸ.非臨床試験に関する項目 1. 一般薬理·························· 22

2. 毒 性···························· 22

(1) 単回投与毒性試験·············· 22

(2) 反復投与毒性試験·············· 22

(3) 生殖発生毒性試験·············· 23

(4) その他の特殊毒性·············· 23

Ⅹ.取扱い上の注意等に関する項目 1. 有効期間又は使用期限·············· 24

2. 貯法・保存条件···················· 24

3. 薬剤取扱い上の注意点·············· 24

4. 承認条件·························· 24

5. 包装······························ 24

6. 同一成分・同効薬·················· 24

7. 国際誕生年月日···················· 24

8. 製造・輸入承認年月日及び承認番号·· 24

9. 薬価基準収載年月日················ 24

10. 効能・効果追加、用法・用量変更

追加等の年月日及びその内容········ 24

11. 再審査結果・再評価結果公表年月日

及びその内容······················ 25

12. 再審査期間························ 25

13. 長期投与の可否···················· 25

14. 厚生労働省薬価基準収載

医薬品コード······················ 25

15. 保険給付上の注意·················· 25

ⅩⅠ.文 献 1. 引用文献·························· 26

2. その他の参考文献·················· 27

ⅩⅡ.参考資料

主な外国での発売状況 ················· 28

ⅩⅢ.備 考 1. その他の関連資料·················· 29

ⅩⅣ.巻 末

1. クロロマイセチンサクシネートの

配合変化·························· 30

Page 5: 医薬品インタビューフォームkosugi/zemi2011/iform/...2007年4月(第3版) 日本標準商品分類番号 876151 医薬品インタビューフォーム 日本病院薬剤師会のIF記載要領(1998年9月)に準拠して作成

Ⅰ.概要に関する項目

1.開発の経緯1) クロラムフェニコールは Streptomyces venezuelae の培養ろ液中に生産さ

れる物質で、1947 年に Parke-Davis 社から発表された。ペニシリン、スト

レプトマイシンに次いで第 3 番目に実用化された抗生物質であり、ペニ

シリンがグラム陽性菌、グラム陰性球菌及びレプトスピラに対して、ストレ

プトマイシンがグラム陽性・陰性菌及び結核菌に対して作用するのに比

較し、このクロラムフェニコールはグラム陽性・陰性菌、レプトスピラ、リケ

ッチア、クラミジアに作用することから、広範囲抗生物質として開発研究

が行われた。クロラムフェニコールは当初発酵生産によって製造されて

いたが、化学構造が単純であり効率の良い合成法が開発されたことと、

発酵法では生産されたクロラムフェニコールによって生産菌自体が阻止

されてしまい、生産量の上昇が望めないことから化学合成によって生産

されている。

このクロラムフェニコールの唯一の欠点は溶解性の問題であった。特に

水に対する溶解度が低いため注射用の理想的な製剤をえることが困難

であった。水に対する溶解度を向上させ、注射剤に適する誘導体として、

米国Parke-Davis社はコハク酸エステルナトリウム塩であるクロロマイセチ

ンサクシネートを開発した。本剤は 1959 年日本に於いて発売され、使用

されている。

1975 年に再評価が行われその結果、有効菌種が見直され、変更した。

2.製品の特徴及び有用性2) 1) 本剤は高濃度に髄液に移行する。そのため CP 感受性インフルエンザ

菌性化膿性髄膜炎、嫌気性菌性化膿性髄膜炎に対する効果が期待

できる。

2) 各種溶媒、ことに水に対する溶解性が極めて良好である。

3) 体内で速やかにクロラムフェニコールに加水分解し効力を発揮する。

4) 有効血中濃度の持続性は良好である。

5) 嘔吐、嘔気が強く、また重篤な下痢により経口投与の困難な場合にも

非経口投与で用いることができる。

6) 副作用としては重篤なものとして再生不良性貧血、Gray syndrome、

視神経炎、末梢神経炎が報告されている。

1

Page 6: 医薬品インタビューフォームkosugi/zemi2011/iform/...2007年4月(第3版) 日本標準商品分類番号 876151 医薬品インタビューフォーム 日本病院薬剤師会のIF記載要領(1998年9月)に準拠して作成

Ⅱ.名称に関する項目

1.販売名

(1)和 名

クロロマイセチン® サクシネート

CHLOROMYCETIN® SUCCINATE (2)洋 名

(3)名称の由来 特になし。

2.一般名

(1)和 名(命名法)

(2)洋 名(命名法)

コハク酸クロラムフェニコールナトリウム (JAN)

Chloramphenicol sodium succinate (JAN)

3.構造式又は示性式

4.分子式及び分子量 分子式:C15H15Cl2N2NaO8

分子量:445.18

5.化学名(命名法) Monosodium (2R,3R ) - 2 - (dichloroacetyl) amino-3 - hydroxy -3 - (4 -

nitrophenyl) propan-1-yl succinate

6.慣用名、別名、略号、

記号番号

略号:CP-succinate

治験番号:なし。

CAS-982-57-0 7.CAS 登録番号

2

Page 7: 医薬品インタビューフォームkosugi/zemi2011/iform/...2007年4月(第3版) 日本標準商品分類番号 876151 医薬品インタビューフォーム 日本病院薬剤師会のIF記載要領(1998年9月)に準拠して作成

Ⅲ.有効成分に関する項目

1.有効成分の規制区分 指定医薬品、処方せん医薬品

2.物理化学的性質

(1)外観・性状

白色~帯黄白色の結晶または結晶性の粉末である。

(2)溶解性

水に極めて溶けやすく、メタノール又はエタノール(99.5)に溶けやすい。

溶 媒 溶解度(本品 1g に対して)

水 1mL 以下

エタノール(99.5) 約 1.5mL

メタノール 約 5mL

ジエチルエーテル 不溶

(3)吸湿性 高い

(4)融点(分解点)、沸点、

凝固点

該当しない。

(5)酸塩基解離定数 該当しない。

(6)分配係数 該当しない。

(7)その他の主な示性値 施光度;〔α〕25

D=+5~+8°(脱水物に換算したもの 1.25g、水、25mL、

100mm)

本品 1.4g を水 5mL に溶かした液の pH は 6.0~7.0。

3.有効成分の各種条件下に

おける安定性

湿度、光に不安定であるが、密封、遮光状態では、安定である。

4.有効成分の確認試験法 1.紫外可視吸光度測定法。

2.赤外吸収スペクトル測定法(臭化カリウム錠剤法)。

3.ナトリウム塩の定性反応。

紫外可視吸光度測定法3)。 5.有効成分の定量法

3

Page 8: 医薬品インタビューフォームkosugi/zemi2011/iform/...2007年4月(第3版) 日本標準商品分類番号 876151 医薬品インタビューフォーム 日本病院薬剤師会のIF記載要領(1998年9月)に準拠して作成

Ⅳ.製剤に関する項目

1.剤 形

(1)剤形の区別、規格及び性状

・ 注射用製剤。

・ 1 バイアル中:クロラムフェニコール(CP)1g(力価)に相当するコハク酸

クロラムフェニコールナトリウム(日局)を含有。

・ 白色~黄白色の結晶又は結晶性の粉末で水、メタノール、又はエタノ

ールに溶けやすい。

(2)溶液及び溶解時の pH、

浸透圧比、粘度、比重、

安定な pH 域等

・ pH:6.0~7.0〔200mg(力価)/mL の水溶液〕

・ 浸透圧比:約 2*(生理食塩液対比)

〔*1g(力価)に注射用蒸留水 10mLを加えた場合〕

・ 実質量:1.4055g

・ 含湿度:0.14%

・ 安定な pH 域: 5.0(0.1N HCl 7.0mL)

10.9(0.1N NaOH 10mL)

(3)注射剤の容器中の特殊な

気体の有無及び種類

なし。

2.製剤の組成

(1)有効成分(活性成分)

の含量

本剤1バイアル中コハク酸クロラムフェニコールナトリウム(日局)(クロラム

フェニコールとして 1g(力価)に相当)を含有。

(2)添加物 なし

(3)添付溶解液の組成及び

容量

溶解液:1 管中 日本薬局方注射用蒸留水 11mL を含有する。

3.注射液の調製法 本剤 1 バイアルに添付の日本薬局方注射用蒸留水、又は日本薬局方ブ

ドウ糖注射液などの溶解液を加え、静かに振盪して溶解する。

また調製した注射液を更に適当な静注用溶媒で希釈して投与してもさし

つかえない。

4

Page 9: 医薬品インタビューフォームkosugi/zemi2011/iform/...2007年4月(第3版) 日本標準商品分類番号 876151 医薬品インタビューフォーム 日本病院薬剤師会のIF記載要領(1998年9月)に準拠して作成

4.製剤の各種条件下における

安定性

長期保存試験

温度 25℃

保存形態 バイアル・函

試料No.

経時月数

試験項目

スタート 12M 24M 36M

外観 適合 適合 適合 適合

pH 6.6 6.5 6.6 6.5

含量 (%) 100.5 102.4 100.4 100.8

水分 (%) 0.1 0.1 0.2 0.7

1

溶解速度(秒) 40 42 43 44

外観 適合 適合 適合 適合

pH 6.6 6.6 6.6 6.5

含量 (%) 102.7 101.2 101.2 100.3

水分 (%) 0.1 0.1 0.2 0.2

2

溶解速度(秒) 40 38 41 43

外観 適合 適合 適合 適合

pH 6.8 6.7 6.7 6.6

含量 (%) 100.0 100.6 99.4 101.0

水分 (%) 0.1 0.1 0.2 0.2

3

溶解速度(秒) 42 43 43 42

[規格値] 外 観:無色澄明の液

p H :6.0 ~7.0

含 量:90~120%

水 分:5.0%以下

溶解速度:参考試験

5.溶解後の安定性

溶解条件:1g/10mL

溶解液

保存条件

保存期間

試験項目

溶解直後 1日 3 日 7 日 10 日 14 日 30 日 90 日

外 観 無色澄明 同左 同左 同左 同左 同左 同左 同左

pH 6.2 6.2 6.2 6.1 6.0 6.0 5.9 5.6

室温遮光

残存率(%) クロラムフェニコール 100 99 99 100 100 98 100 98

外 観 無色澄明 同左 同左 同左 同左 同左 同左 同左

pH 6.2 6.2 6.2 6.2 6.2 6.2 6.1 6.1

冷蔵庫

(

5℃) 残存率(%) クロラムフェニコール 100 99 99 100 101 98 100 98

外 観 無色澄明 同左 同左 同左 同左 同左 同左 同左

pH 6.2 6.2 6.2 6.2 6.2 6.2 6.2 6.3

注射用蒸留水

冷凍庫

残存率(%) クロラムフェニコール 100 99 99 100 99 98 99 97

5

Page 10: 医薬品インタビューフォームkosugi/zemi2011/iform/...2007年4月(第3版) 日本標準商品分類番号 876151 医薬品インタビューフォーム 日本病院薬剤師会のIF記載要領(1998年9月)に準拠して作成

6.他剤との配合変化

(物理化学的変化)

「ⅩⅣ.巻末 1.クロロマイセチンサクシネートの配合変化」を参照。

7.電解質の濃度 該当資料なし。

8.混入する可能性のある

夾雑物

該当資料なし。

9.生物学的試験法 該当資料なし。

10.製剤中の有効成分の確認

試験法

呈色反応(赤紫色)。

11.製剤中の有効成分の定量法 紫外可視吸光度測定法3)。

12.力 価 クロラムフェニコール(C11H12Cl2N2O5:323.13)としての量を質量(力価)で

表示する。

13.容器の材質 無色ガラス製バイアル。

該当しない。 14.その他

6

Page 11: 医薬品インタビューフォームkosugi/zemi2011/iform/...2007年4月(第3版) 日本標準商品分類番号 876151 医薬品インタビューフォーム 日本病院薬剤師会のIF記載要領(1998年9月)に準拠して作成

Ⅴ.治療に関する項目

1.効能又は効果

(1)効能又は効果

<適応菌種>

クロラムフェニコールに感性のブドウ球菌属、レンサ球菌属、肺炎球菌、

腸球菌属、淋菌、髄膜炎菌、大腸菌、サルモネラ属、チフス菌、パラチフ

ス菌、クレブシエラ属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニー、インフル

エンザ菌、軟性下疳菌、百日咳菌、野兎病菌、ガス壊疽菌群、リケッチア

属、トラコーマクラミジア(クラミジア・トラコマティス)

<適応症>

敗血症、表在性皮膚感染症、深在性皮膚感染症、リンパ管・リンパ節炎、

慢性膿皮症、外傷・熱傷及び手術創等の二次感染、乳腺炎、骨髄炎、咽

頭・喉頭炎、扁桃炎、急性気管支炎、肺炎、肺膿瘍、膿胸、慢性呼吸器病

変の二次感染、膀胱炎、腎盂腎炎、尿道炎、淋菌感染症、軟性下疳、性

病性(鼠径)リンパ肉芽種、腹膜炎、胆嚢炎、胆管炎、感染性腸炎、腸チ

フス、パラチフス、子宮内感染、子宮付属器炎、化膿性髄膜炎、涙嚢

炎、角膜炎、中耳炎、副鼻腔炎、歯周組織炎、歯冠周囲炎、猩紅熱、百

日咳、野兎病、ガス壊疽、発疹チフス、発疹熱、つつが虫病

2.用法及び用量

クロラムフェニコールとして、通常成人 1 回 0.5~1g(力価)を 1 日 2 回静脈

内注射する。小児には、1 回体重 1kg あたり 15~25mg(力価)を 1 日 2 回

静脈内注射する。なお、年齢、症状により適宜増減する。

3.臨床成績

(1)臨床効果

クロラムフェニコール及びパルミチン酸エステル、コハク酸エステル、ステ

アロイルグリコール酸エステルの各誘導体を含む薬剤による報文 382 編

(国内報文 279 編、海外報文 103 編)に発表された臨床試験結果では、

クロラムフェニコール製剤全身的投与総数 11,241 例中 9,606 例に有効、

従って有効率は 85.46%と算出された。

クロラムフェニコール製剤臨床効果(再評価※申請時集計)*1

*1.臨床試験の各文献中に掲げられているそれぞれの疾患につ

いて、とくに有効、無効が明示されている場合のみをとりあげ

集計(臨床試験以外の各項の臨床例は含まれていない。)。

*2.数種疾患の総有効、無効数のみが示され、個々疾患の例数の

不明の場合(皮膚科、泌尿器科疾患など全科)および表中に

示されている疾患名以外の疾患(帯状疱疹、泉熱など)の場合

を含め「その他」の項に集計した。

※:平成 16 年度抗菌薬再評価より以前の再評価

7

Page 12: 医薬品インタビューフォームkosugi/zemi2011/iform/...2007年4月(第3版) 日本標準商品分類番号 876151 医薬品インタビューフォーム 日本病院薬剤師会のIF記載要領(1998年9月)に準拠して作成

本項に示す成績は承認時の適応症に関するものであり、平成 16 年度の抗菌薬再評価結果をふまえたものではない。

クロラムフェニコール製剤臨床効果(再評価*申請時集計)

疾 患 有効例数

/投与例数 率(%)

敗血症 5/5 100

咽頭炎 10/13 76.9

扁桃炎 39/49 79.6

膿瘍 18/19 94.7

瘍 2/2 100

癤 4/4 100

膿痂疹 2/2 100

毛のう炎 *2

蜂窩織炎 9/10 90

丹毒 1/2 50

創傷及び火傷感染 14/18 77.8

外科的感染症 472/560 84.3

歯槽膿瘍 30/33 90.9

智歯周囲炎 *2

涙のう炎 *2

膿皮症 1/1 100

乳腺炎 6/7 85.7

リンパ節炎 6/8 75.0

骨髄炎 45/47 95.7

肺炎 310/340 91.2

気管支炎 78/96 81.3

気管支拡張症 1/1 100

膿胸 33/40 82.5

肺化膿症(肺えそ、肺膿瘍) 2/2 100

百日咳 222/242 91.7

腸チフス 1271/1447 88.1

パラチフス 131/149 87.9

サルモネラ腸炎 183/227 80.6

疾 患 有効例数

/投与例数 率(%)

胆のう炎 9/9 100

胆管炎 *2

腹膜炎 31/33 93.9

腎盂腎炎 13/14 92.9

腎盂炎 14/16 87.5

尿路感染症

(膀胱炎、尿道炎) 212/271 78.2

子宮内膜炎 6/14 42.9

淋疾 722/777 93.6

髄膜炎 110/137 80.3

猩紅熱 53/62 85.5

結膜炎 71/103 68.9

角膜炎(角膜潰瘍) 25/26 96.2

中耳炎 *2

副鼻腔炎 20/25 80.0

発疹チフス 4/4 100

発疹熱 12/12 100

恙虫病 89/89 100

そけいリンパ肉芽腫

(第四性病) 48/49 98.0

原発性異型肺炎 53/53 100

軟性下疳 38/40 95.0

野兎病 4/4 100

脾脱疸 *2

ガスえそ 21/21 100

その他*2 1063/1324 80.3

〔 総 数 例 11,241 例 〕

*:平成 16 年度抗菌薬再評価より以前の再評価

(2)臨床薬理試験:忍容性試験 該当資料なし。

(3)探索的試験:用量反応

探索試験

該当資料なし。

(4)検証的試験

1)無作為化平行用量

反応試験

該当資料なし。

2)比較試験 該当資料なし。

3)安全性試験 該当資料なし。

該当資料なし。 4)患者・病態別試験

8

Page 13: 医薬品インタビューフォームkosugi/zemi2011/iform/...2007年4月(第3版) 日本標準商品分類番号 876151 医薬品インタビューフォーム 日本病院薬剤師会のIF記載要領(1998年9月)に準拠して作成

(5)治療的使用

1)使用成績調査・特別調査・

市販後臨床試験

該当資料なし。

該当しない。 2)承認条件として実施予定の

内容又は実施した試験の

概要

9

Page 14: 医薬品インタビューフォームkosugi/zemi2011/iform/...2007年4月(第3版) 日本標準商品分類番号 876151 医薬品インタビューフォーム 日本病院薬剤師会のIF記載要領(1998年9月)に準拠して作成

Ⅵ.薬効薬理に関する項目

1.薬理学的に関連ある化合物

又は化合物群

タンパク質合成を阻害する抗生物質。

・ テトラサイクリン系抗生物質(テトラサイクリン、ドキシサイクリン、オキシ

テトラサイクリン等)

・ マクロライド系抗生物質(エリスロマイシン、ロキシスロマイシン、ジョ

マイシン等)

・ アミノグリコシド系抗生物質(ストレプトマイシン、カナマイシン、ゲンタマ

イシン等)

2.薬理作用

(1)作用部位・作用機序

コハク酸クロラムフェニコールナトリウムは生体内でエステラーゼにより、ク

ロラムフェニコールに変換、効力を発揮する。

クロラムフェニコールは細菌の蛋白合成を特異的に阻害して静菌的に作

用する。

<参考>クロラムフェニコールの蛋白合成阻害について4)

細菌の 50S リボソームサブユニットに可逆的に結合することにより一次的

に作用する。クロラムフェニコールは 30S リボソームサブユニット上のコド

ン認識部位への tRNA の結合を阻害しないものの、アミノアシル-tRNA

のアミノ酸末端が 50S リボソームサブユニット上の受容体部位に結合する

のを妨げると考えられる。その結果、ペプチド転移酵素とその基質アミノ

酸との間の相互作用がおこらず、ペプチド結合の形成が阻害される。ま

た本剤は哺乳動物細胞のミトコンドリアのタンパク質合成も阻害する。お

そらくミトコンドリアのリボソームは動物細胞の 80S 型細胞質リボソームより

も細菌リボソーム(両者とも 70S リボソーム型)のほうに似ているからと考え

られる。ミトコンドリアリボソームのペプチド転移酵素は本剤の阻害作用を

受けやすい。哺乳動物の造血細胞は本剤に特に感受性が高いようであ

る。

(2)薬効を裏付ける試験成績 コハク酸クロラムフェニコールとしてのデータはない。

<参考>以下にクロラムフェニコールのデータを記す。

クロラムフェニコールはブドウ球菌属、レンサ球菌属、大腸菌、クレブシエ

ラ属、プロテウス属、モルガネラ・モルガニーに抗菌力を有する5)~7)。

クロラムフェニコール(CP)に対する感受性については 1980 年代の成績

はあるので以下の表に記す。より最近の成績では国内の成績はほとんど

報告されておらず海外での報告があるので参考として述べる。

<参考>

Staphylococcus で は 、 下 痢 を 罹 患 し た 患 児 由 来 の enterotoxigenic

Staphylococciでコアグラーゼ(+)、(-)のいずれのタイプの菌株もCP感

受性が認められた8)。

Streptococcusについては、Group B Streptococcusでポルトガルの成績

では耐性は認められていない9)。またβ-hemolytic Streptococcus sppで

は血清型A、B、C、F株においてCP感受性であった10)。Streptococcus

pneumoniaeでは、中国およびそのほかの国々(豪州、香港ほか)で耐性

発現率はそれぞれ 26%、17%であった11),12)。

またカナダの 1997 年~2002 年および 2000 年の成績があるが、CP耐性

発現率はそれぞれ 3.9%、2.2%という成績であった13),14)。

10

Page 15: 医薬品インタビューフォームkosugi/zemi2011/iform/...2007年4月(第3版) 日本標準商品分類番号 876151 医薬品インタビューフォーム 日本病院薬剤師会のIF記載要領(1998年9月)に準拠して作成

口腔内および顎顔面の種々の化膿性感染症患者から分離された

Streptococcus mitisグループに属する臨床分離菌の 85 菌株のうち 73 株

がS.oralis、6 株がS.mitis、5 株がS.sanguis、1 株がS.gordoniiであり、これ

ら分離菌株に対するCPのMICは 0.5~4mg/Lであり 100%CP感受性であ

った。なお、MIC50は 1 または 1.5mg/Lであり、MIC90は 1.5 または 2mg/L

であった15)。

Neisseria meningitidesでは、1989~1999 年の 11 年間でMICの変動は認

められていない16)。

Haemophilus influenzae、Moraxella catarrhalisでは、市中呼吸器感染症

の呼吸器由来の菌株でそれぞれ 97%、100%CP感受性であった11)。

Bacteroides fragilisでは耐性発現率は 1%であった17)。

Listeria monocytogenesでは、食用肉、生ミルク・チーズ、燻製鮭等食物

由来の分離菌はCP感受性であった18)。

Leptospiraではヒトからの分離菌でMICは6.25µg/mL、MBCは100µg/mL

であるとの報告があった19)。

以下の表に示す成績は承認時の適応菌種に関するものであり、平成 16 年度の抗菌薬再評価結果をふまえたものではない。

クロラムフェニコールの臨床分離菌に対するMIC7),20)

*:適応外の菌種

MIC(µg/mL) 菌 株 株数

≦0.39 0.78 1.56 3.13 6.25 12.5 25 50 100 200 >200

黄色ブドウ球菌 89 27 20 2 37 3 グラ

陽性菌 肺炎球菌 207 27 81 36 61 2

大腸菌 207 1 4 15 113 15 4 1 3 4 47

インフルエンザ菌 134 67 60 1 3 3

E. cloacae* 151 4 25 65 4 11 4 38

Serratia* 143 1 2 25 84 9 1 1 20

緑膿菌* 161 1 1 4 14 71 70

グラム陰性菌

P. cepacia* 121 2 103 8 7 1

バクテロイデス* 107 2 2 9 37 52 3 2

ペプトコッカス* 32 2 12 9 2 7

嫌気性菌ペプトストレプトコッカス* 10 1 8 1

11

Page 16: 医薬品インタビューフォームkosugi/zemi2011/iform/...2007年4月(第3版) 日本標準商品分類番号 876151 医薬品インタビューフォーム 日本病院薬剤師会のIF記載要領(1998年9月)に準拠して作成

Ⅶ.薬物動態に関する項目

1.血中濃度の推移・測定法

(1)治療上有効な血中濃度

(2)最高血中濃度到達時間

Shigella sonnei ATCC 11060(PC-9)を試験菌として、比濁法により活性

体の濃度、量を定量した。

該当しない。

クロラムフェニコール 2 製剤をヒト投与後の最高血中濃度到達時間、最

高濃度および血中濃度曲線下面積(n=15)21)

Mean±S.E.

投与経路

および用量

最高血中濃度到

達時間 (hr)

最高値

(µg/mL)

血中濃度曲線下面積値

(μg・hr/mL)

経口、0.5g(力価)

静脈内、1.0g(力価)

1.9±0.23

0.7±0.07

7.2±0.37

14.9±0.66

36.3±2.36(0-12hr)

73.3±3.12(0-12hr)

使用製剤:静注製剤:クロロマイセチンサクシネート(CP-サクシネート)1g

経口製剤:クロロマイセチン 250(錠剤)

(3)通常用量での血中濃度

1)健康成人の血中濃度

成人男子に 1g(力価)を静脈内投与後約 0.5~1 時間で血中クロラムフェ

ニコール濃度(活性値)は最高値(14.0µg/mL)に到達し、投与後6時間で

も 4.7µg/mLを示した。また、生物学的半減期は 3.2 時間である(n=15)21)。

2)小児の血中濃度 CP-サクシネートの筋注及び静注の結果では、新生児では成人に比べ

て血中濃度が異常に高く、かつ持続的で蓄積性が見られる。新生児で

は肝臓の機能が未発達のため、吸収されたCPが不活化され難く、尿中

への排出も悪いと考えられる。しかし乳児・学童では、新生児でみられる

2 峰性の血中濃度ピークは見られず、実測値のばらつきも少なくなり、す

べて 24 時間では殆ど痕跡程度となる22),23)。

該当資料なし。 (4)中毒症状を発現する

血中濃度

12

Page 17: 医薬品インタビューフォームkosugi/zemi2011/iform/...2007年4月(第3版) 日本標準商品分類番号 876151 医薬品インタビューフォーム 日本病院薬剤師会のIF記載要領(1998年9月)に準拠して作成

2.薬物速度論的パラメータ

(1)吸収速度定数

該当資料なし。

(2)バイオアベイラビリティ <参考>平均で約 70%であるが、変動域は大きい。コハク酸クロラムフェ

ニコールが活性なクロラムフェニコールに加水分解される前に未変化体

が腎臓から排泄されることが変動域の大きい原因と考えられる24)。

(外国人のデータ)

(3)消失速度定数 該当資料なし。

(4)クリアランス 該当資料なし。

(5)分布容積 0.6~1.0L/kg 24)

(外国人のデータ)

(6)血漿蛋白結合率 該当資料なし。<参考>クロラムフェニコールではヒトで 57%25)(セロファ

ンバッグ透析法)との報告あり。

3.吸 収 該当資料なし。

4.分 布

(1)血液-脳関門通過性

該当資料(CP-サクシネートのヒトデータ)なし。

<参考>動物実験では通過26)が認められる。

(2)胎児への移行性

該当資料(CP-サクシネートのヒトデータ)なし。

<参考>母体にクロラムフェニコール 1g筋注時、胎児の腎臓に高濃度の

薬物移行が認められ、その濃度は投与 1 時間後には母血清中濃度の 2

倍に達する27)。

(3)乳汁中への移行性 CP-サクシネート 1g静注時、30 分後には、乳汁中に血中濃度に近い高

濃度の薬物移行が認められる28)。

(4)髄液への移行性 小児に 100~200mg/kg静注または筋注時、髄液へは、健常な小児で血

中濃度の 46%(平均値)、髄膜炎患児でも 40%(平均値)が移行してい

た29)。

(5)その他の組織への移行性 該当資料(ヒトのデータ)なし。

<参考>成熟ラット(体重 150~200g)にCP-サクシネート(CP-S)及びク

ロラムフェニコールを静注する時、CP-Sは腎、肝、肺、脾、骨格筋、血漿、

腸の順に分布し、いずれの臓器についてもCPより高濃度を示した26)。

CP-S および CP を静注 2 時間後のラット臓器内薬物濃度

(投与量:100mg/kg、i.v.;単位:µg/g)

組 織 CP-S CP 組 織 CP-S CP

220

330

100

11.5

155

33

40

5.5

26

100

血漿

60

95

8.0

64

20

7.5

0

23

(注)溶血性連鎖球菌を使用した鳥居の重層法により活性体(CP)濃度を測定した。

13

Page 18: 医薬品インタビューフォームkosugi/zemi2011/iform/...2007年4月(第3版) 日本標準商品分類番号 876151 医薬品インタビューフォーム 日本病院薬剤師会のIF記載要領(1998年9月)に準拠して作成

5.代 謝

(1)代謝部位及び代謝経路

肝臓。CP-サクシネートは臓器のエステラーゼ作用により活性体のCPに

変換し、主として肝で代謝されグルクロン酸抱合体となる。代謝物はいず

れも、不活性化され抗菌力は有しない30),31)。

(2)代謝に関与する酵素

(CYP450 等)の分子種

該当しない。クロラムフェニコールは、肝ミクロソームのチトクロームP-450

と不可逆的に結合して、これを不活性化する32)。

(3)初回通過効果の有無及び

その割合

該当しない。

代謝物は不活性化され、抗菌力はない31)。 (4)代謝物の活性の有無及び

比率

(5)活性代謝物の速度論的

パラメータ

該当資料なし。

6.排 泄

(1)排泄部位

(2)排泄率

尿。

該当資料なし。

<参考>健常人3名にCP-サクシネート(CP 1g相当量)を静注し、0~24

時間後までに尿中に排泄された総ニトロ化合物を測定した結果、排泄率

は投与量の 65.8~72.2%(平均値:69.1%)であった33)。

経口投与時、健常人におけるCPの排泄率は、生物学的測定では投与

量の約 10%、化学的測定によると約 90%である。これは尿中には代謝物

の形で大部分が排泄されることを示している。CPを成人に 1.5g経口投与

した時の活性型の尿中濃度は 9 時間まで 70~200µg/mLである。胆汁内

排泄は、ヒトにCP 1gを経口投与すると投与後 21 時間までの排泄量は活

性型 1.37mgであるが、代謝物を含めると 26.8mgである34)。

(外国人のデータ)

該当資料なし。 (3)排泄速度

14

Page 19: 医薬品インタビューフォームkosugi/zemi2011/iform/...2007年4月(第3版) 日本標準商品分類番号 876151 医薬品インタビューフォーム 日本病院薬剤師会のIF記載要領(1998年9月)に準拠して作成

7.透析等による除去率

(1)腹膜透析

(2)血液透析

腎不全合併患者では、生物学的活性を有するクロラムフェニコールの半

減期はさほど延長しないが、生物学的に不活性の抱合体の半減期が著

しく遅延する。このため腎疾患患者の抗生物質の用量は健常人の用量

と同じでよい。クロラムフェニコールがグルクロン酸と抱合する場合は、肝

不全患者は低下するが、薬物全体の代謝は本質的に正常である。しか

し肝疾患を合併した場合には本剤の投与はしばしば赤血球形成抑制を

起こし、特に腹水や黄疸があると顕著である。腎不全患者のおよそ 1/3

は同様な反応を示し、クロラムフェニコールは腹膜透析や血液透析では

ごくわずか除去されるだけである。

(Goodman&Gilman:The Pharmacological Basis of Therapeutics より)

中村は腎障害時の使用法を下記のように示している35)。

腎障害

軽度障害

Ccr : 51~70

mL/min

中等度障害

Ccr : 31~50

mL/min

高度障害

Ccr

<30mL/min

(乏尿)

Ccr

<10mL/min

CP 常用投与量 常用投与量 常用投与量 1g/日

<参考>全身クリアランスに及ぼす血液透析の影響

腎不全および肝不全を有する 2 症例に対し、コハク酸クロラムフェニコール

を透析 8 時間前に、それぞれ 20 および 26.1mg/kg/day静脈内投与した。

血中濃度は高速液体クロマトグラフィーにより測定した。透析時のクロラム

フェニコールの全身クリアランス値はそれぞれ 162.2 および 118 mL/minで

あり、非透析時の全身クリアランス値(102.9 および 69 mL/min)よりそれぞ

れ 58%、72%高かった。クロラムフェニコールの透析除去率は 0.52 およ

び0.31であった。透析中にみられたクリアランスの増加は、肝不全患者に

おいてのみ重要と思われるが、クリアランス増加の可能性をさけるため、透

析後に通常維持量の薬剤を投与することを推奨する36)。

(外国人のデータ)

該当資料なし。 (3)直接血液灌流

15

Page 20: 医薬品インタビューフォームkosugi/zemi2011/iform/...2007年4月(第3版) 日本標準商品分類番号 876151 医薬品インタビューフォーム 日本病院薬剤師会のIF記載要領(1998年9月)に準拠して作成

Ⅷ.安全性(使用上の注意等)に関する項目

1.警告内容とその理由

該当しない。

2.禁忌内容とその理由 【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

1. 造血機能の低下している患者[クロラムフェニコール投与後に再

生不良性貧血、顆粒球減少、血小板減少等の重篤で致命的な

血液障害の発生が報告されている。]

2. 低出生体重児、新生児[クロラムフェニコール過量投与により

Gray syndromeが発症し、その予後が重篤である。](「小児等へ

の投与」の項参照)

3. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

4. 骨髄抑制を起こす可能性のある薬剤を投与中の患者(「相互作

用」の項参照)

3.効能・効果に関連する

使用上の注意とその理由

該当しない。

4.用法・用量に関連する

使用上の注意とその理由 <用法及び用量に関連する使用上の注意>

本剤の使用にあたっては、原則として感受性を確認し、疾病の治療

上必要な最小限の期間の投与にとどめること[耐性菌の発現等を防

ぐ。]。

5.慎重投与内容とその理由

【使用上の注意】

1.慎重投与(次の患者には慎重に投与すること)

(1)肝・腎機能障害のある患者[クロラムフェニコールの血中濃度が

高くなるため、副作用発現の危険性が増加する。]

(2)経口摂取の不良な患者又は非経口栄養の患者、全身状態の悪

い患者(ビタミンK欠乏症状があらわれることがあるので観察を

十分に行うこと)[抗生物質投与中にビタミンK欠乏による出血傾

向を認めた症例が報告されている。]

(3)高齢者[「高齢者への投与」の項参照]

16

Page 21: 医薬品インタビューフォームkosugi/zemi2011/iform/...2007年4月(第3版) 日本標準商品分類番号 876151 医薬品インタビューフォーム 日本病院薬剤師会のIF記載要領(1998年9月)に準拠して作成

6.重要な基本的注意とその

理由及び処置方法

2.重要な基本的注意

本剤によるショック、アナフィラキシー様症状の発生を確実に予知で

きる方法がないので、次の措置をとること。

(1)事前に既往歴等について十分な問診を行うこと。なお、抗生物

質等によるアレルギー歴は必ず確認すること。

(2)投与に際しては、必ずショック等に対する救急処置のとれる準備

をしておくこと。

(3)投与開始から投与終了後まで、患者を安静の状態に保たせ、十分

な観察を行うこと。特に、投与開始直後は注意深く観察すること。

(解説)

予知の方法については、従来皮膚反応試験があったが、その有用性に

ついての否定的意見については日本化学療法学会臨床試験委員会皮

内反応検討特別部会(委員長:斎藤厚 琉球大学教授)の提言37)がある

ので参照のこと。

(1) ,(3)極めて低頻度ではあるがアナフィラキシーショックが発現するの

で事前にショックを含むアレルギー歴の問診を必ず行い、静脈内投

与開始 20~30 分間における患者の観察とショック発現に対する対処

の備えが必要である。

(2) ショック発現に対する措置法については、発現時の具体的処置法

は、重症の場合、酸素、エピネフリン、大量輸液投与による呼吸器、

循環器系の維持38)が中心である。

17

Page 22: 医薬品インタビューフォームkosugi/zemi2011/iform/...2007年4月(第3版) 日本標準商品分類番号 876151 医薬品インタビューフォーム 日本病院薬剤師会のIF記載要領(1998年9月)に準拠して作成

7.相互作用

(1)併用禁忌とその理由

3.相互作用

(1)併用禁忌(併用しないこと)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子

骨髄抑制を起こす可能

性のある薬剤

骨髄抑制作用が増強さ

れることがある。

本剤の副作用で、重篤

な血液障害が報告され

ている。

(2)併用注意とその理由

(2)併用注意(併用に注意すること)

薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子

クマリン系抗凝血剤

ワルファリン

クマリン系抗凝血剤の

作用を増強させること

があるので、併用する

場合には凝固能の変

動に十分注意しながら

投与すること。

機序は不明だが本剤

がこれらの肝薬物代謝

酵素を阻害すると考え

られている。

スルホニル尿素系経口

血糖降下薬

トルブタミド、クロルプ

ロパミド等

スルホンアミド系経口

血糖降下薬

グリブゾール等

インスリン製剤

経口血糖降下薬、イン

スリン製剤の血糖降下

作用を増強させること

があるので、併用する

場合には、血糖値その

他患者の状態を十分

観察しながら投与する

こと。

本剤がこれらの肝薬物

代謝酵素を阻害すると

考えられている。

リファンピシン 本剤の血中濃度が減

少することがある。

リファンピシンが肝薬物

代謝酵素を誘導し、本

剤の代謝を亢進すると

考えられている。

シクロホスファミド シクロホスファミドの作

用を減弱させることがあ

る。

本剤がシクロホスファミ

ドの肝薬物代謝酵素を

阻害し、シクロホスファミ

ド活性代謝物の生成を

減少させると考えられ

ている。

メトトレキサート メトトレキサートの作用

を増強させるおそれが

ある。

本剤がメトトレキサートと

血漿中蛋白結合部位

で置換し、遊離型血漿

中メトトレキサート濃度

が上昇すると考えられ

ている。

バルビツール酸誘導体

フェノバルビタール

本剤の血中濃度が減

少することがある。

バルビツール酸誘導体

が肝薬物代謝酵素を

誘導し、本剤の代謝を

亢進すると考えられて

いる。

シクロスポリン シクロスポリンの血中濃

度を上昇させることがあ

る。

機序は不明だが本剤

がシクロスポリンの肝薬

物代謝酵素を阻害する

と考えられている。

18

Page 23: 医薬品インタビューフォームkosugi/zemi2011/iform/...2007年4月(第3版) 日本標準商品分類番号 876151 医薬品インタビューフォーム 日本病院薬剤師会のIF記載要領(1998年9月)に準拠して作成

8.副作用

(1)副作用の概要

4.副作用

本剤は使用成績調査等の副作用発現頻度が明確となる調査を

実施していない。

1)重大な副作用と初期症状 (1)重大な副作用

1) 再生不良性貧血(頻度不明):再生不良性貧血があらわれること

があるので、血液検査を行うなど、観察を十分に行い、血液に

異常が認められた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置

を行うこと。

2) Gray syndrome(頻度不明):「小児等への投与」の項参照

3) 視神経炎(頻度不明)、末梢神経炎(頻度不明):長期投与によ

り、視神経炎又は末梢神経炎があらわれることがあるので、観察

を十分に行い、視覚の異常、四肢のしびれや異常感等が認め

られた場合には直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。

2)その他の副作用 (2)その他の副作用

頻 度 不 明

血 液 注 1 ) 顆粒球減少、血小板減少症

肝 臓 肝障害

消 化 器 胃部圧迫感、悪心、嘔吐、軟便、下痢、腸炎

過 敏 症注 2) 過敏症状

菌 交 代 症注 3) 菌交代症

ビ タ ミ ン 欠 乏 症

ビタミン K 欠乏症状(低プロトロンビン血症、出血傾

向等)

ビタミン B 群欠乏症状(舌炎、口内炎、食欲不振、

神経炎等)

注 1) 血液検査を行うなど、観察を十分に行い、血液に異常が認められた場合

には投与を中止すること。

注 2) 投与を中止すること。

注 3) 投与を中止すると共に適切な処置をとること。

(2)項目別副作用発現頻度

及び臨床検査値異常一覧

該当資料なし。

該当資料なし。 (3)基礎疾患、合併症、重症度

及び手術の有無等背景別

の副作用発現頻度

19

Page 24: 医薬品インタビューフォームkosugi/zemi2011/iform/...2007年4月(第3版) 日本標準商品分類番号 876151 医薬品インタビューフォーム 日本病院薬剤師会のIF記載要領(1998年9月)に準拠して作成

(4)薬物アレルギーに対する

注意及び試験法

【禁忌】(次の患者には投与しないこと)

3.本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者

(2)その他の副作用

頻 度 不 明

過 敏 症注 2) 過敏症状

注 2) 投与を中止すること。

添付文書の【禁忌】の項および使用上の注意、重要な基本的注意の項

で、本剤の成分によるショックの起こる可能性を記載し、既往歴のある患

者への投与について、記載し注意を喚起している。

9.高齢者への投与

5.高齢者への投与

高齢者には、次の点に注意し、用量並びに投与間隔に留意する

など患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。

(1)高齢者では生理機能が低下していることが多く副作用が発現し

やすい。

(2)高齢者ではビタミン K 欠乏による出血傾向があらわれることがあ

る。

10.妊婦、産婦、授乳婦等への

投与 6.妊婦、産婦、授乳婦等への投与

(1) 妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益

性が危険性を上まわると判断される場合にのみ投与すること[動

物実験(家兎)で流早産、胎仔の生存率の低下等の胎仔毒性が

報告39)されている。]。

(2) 授乳期及び妊娠末期の婦人に投与する必要がある場合には、

乳汁又は胎児への移行を考慮すること。

11.小児等への投与 7.小児等への投与

低出生体重児、新生児には投与しないこと[Gray syndrome(腹

部膨張に始まる嘔吐、下痢、皮膚蒼白、虚脱、呼吸停止等)があ

らわれる。]。

12.臨床検査結果に及ぼす影響 該当資料なし。

13.過量投与

該当資料なし。

20

Page 25: 医薬品インタビューフォームkosugi/zemi2011/iform/...2007年4月(第3版) 日本標準商品分類番号 876151 医薬品インタビューフォーム 日本病院薬剤師会のIF記載要領(1998年9月)に準拠して作成

14.適用上及び薬剤交付時の

注意(患者等に留意すべき

必須事項等)

8.適用上の注意

(1)投与経路:静脈内注射にのみ使用すること。

(2)調製時:

1) 添付溶解液の使用にあたっては、ワンポイントアンプルである

が、アンプルの首部をエタノール綿等で清拭してから、カット

することが望ましい。

2) 本剤 1 バイアルに添付の日本薬局方注射用蒸留水、又は日

本薬局方ブドウ糖注射液などの溶解液を加え、静かに振盪し

て溶解する。

加える溶解液の容量 注射量

1g(力価)

1 バイアルに対して 10mL 全 量

また調製した注射液を更に適当な静注用溶媒で希釈して投与

してもさしつかえない。

(3)投与時:注射の速度はできるだけ遅くし(1 分間以上をかけて)静

脈内に注射する等、注射部位、注射方法について十分注意す

ること(血管痛、血栓又は静脈炎を起こすことがある。)。

(4)保存時:本剤の溶液は、元来透明で微黄色を呈するが、溶解後

時間の経過したものでは明らかな黄色に変化することがある。し

かしこの場合にも効力には影響なく、使用はさしつかえない。但

し絮状物の生じたものの使用は避けること。

15.その他の注意 9.その他の注意

本剤の投与に際しては、定期的に肝機能、腎機能、血液等の検

査を行うことが望ましい。

該当しない。 16.その他

21

Page 26: 医薬品インタビューフォームkosugi/zemi2011/iform/...2007年4月(第3版) 日本標準商品分類番号 876151 医薬品インタビューフォーム 日本病院薬剤師会のIF記載要領(1998年9月)に準拠して作成

Ⅸ.非臨床試験に関する項目

1.一般薬理 摘出臓器を対象とした試験成績では、摘出心臓(10-5g/mL)、摘出腸管

(10-4g/mL)、摘出耳殻血管(10-3g/mL)、血圧(10mg/kg)および呼吸

(10mg/kg)では影響は認められないが、濃度(量)を大にすると、摘出心

臓(10-4g/mL)は抑制、摘出腸管(2×10-4g/mL)は抑制、摘出耳殻血管

(10-2g/mL)は拡張、血圧(20mg/kg)は下降、呼吸(20mg/kg)は促迫さ

せる作用がある。この一般薬理作用での最小作用濃度(量)を抗菌作用

における最小発育阻止濃度と比較すると、20~20,000 倍であり、また臨

床応用時の最高血中濃度と比較すると、2~500 倍である。

したがって、クロラムフェニコールの治療により自律神経系の不均衡が引き

起こされることはほとんどないものと考えられる。

抗生物質にも免疫抑制作用が認められており、クロラムフェニコールの投

与により抗体産生の低下、好中球機能の低下が報告されている40),41)。

2.毒 性

(1)単回投与毒性試験

LD50値(クロラムフェニコールサクシネート)

動物 投与経路 投与量*

ラット 静脈内注射 1,500mg/kg

ラット 腹腔内注射 1,400mg/kg

モルモット 静脈内注射 1,000mg/kg

* クロラムフェニコールとしての値。

(2)反復投与毒性試験 該当資料なし。

<参考>

亜急性毒性(クロラムフェニコール投与時のデータ)42)

動物 投与経路 投 与 法 結 果

経 口 385mg/kg/日、連日 2 週間

皮 下 注 100mg/kg/日、連日 2 週間 マウス

腹 腔 内 250mg/kg/日、連日 2 週間

投与に耐える。

蓄積毒性認めず。

<参考>

慢性毒性(クロラムフェニコール投与時のデータ)42),43)

動物 投与経路 投 与 法 結 果

経 口 200mg/kg/日、連日 4 ヵ月間 イ ヌ

静 注 25~50mg/kg/日、連日 4 ヵ月間

投与に耐える。

蓄積毒性認めず。

サ ル 経 口250~350mg/kg/日、日曜日を除

き 15 ヵ月間

体重、末梢血液像、

骨髄像に変化なし。

22

Page 27: 医薬品インタビューフォームkosugi/zemi2011/iform/...2007年4月(第3版) 日本標準商品分類番号 876151 医薬品インタビューフォーム 日本病院薬剤師会のIF記載要領(1998年9月)に準拠して作成

(3)生殖発生毒性試験 妊娠ラットにクロラムフェニコール大量(2g/kg/日)を経口投与した時、胎

仔に肋骨融合などの奇形が認められた44)。

また妊娠家兎に 300mg/kg 連続 9 日間を妊娠前期、中期、後期の各期

間毎に筋注した結果は次の通りであった。

①母体体重には影響なし

②流早産がみられる

③前期には子宮の肉眼的、組織学的変化を認めず

④胎仔生存率、生仔重量が対照に比して減少する

⑤奇形胎仔は認められず

⑥母体、胎仔の血液一般所見、肝機能所見には影響はなし39)

<参考>ヒトにおいては妊娠後期にクロラムフェニコールを連用した場

合、胎児や新生児の循環障害を起こし、いわゆるGray Syndromeをおこ

したり、新生児の血小板減少をきたすことがある45)。

(4)その他の特殊毒性 溶血性、組織障害性46)

①赤石の試験法により溶血性を示す。

②ヒト常用量の倍量相当の量を家兎に 1 週間連続筋注した結果、暗褐色

の筋肉変性による硬結を認める。

23

Page 28: 医薬品インタビューフォームkosugi/zemi2011/iform/...2007年4月(第3版) 日本標準商品分類番号 876151 医薬品インタビューフォーム 日本病院薬剤師会のIF記載要領(1998年9月)に準拠して作成

Ⅹ.取扱い上の注意等に関する項目

1.有効期間又は使用期限

2.貯法・保存条件

3.薬剤取扱い上の注意点

4.承認条件

5.包 装

6.同一成分・同効薬

7.国際誕生年月日

8.製造・輸入承認年月日及び

承認番号

9.薬価基準収載年月日

10.効能・効果追加、用法・用量

変更追加等の年月日及び

その内容

使用期限:3 年(安定性試験の結果に基づく)。

室温保存

指定医薬品

処方せん医薬品:注意-医師等の処方せんにより使用すること

該当しない。

クロロマイセチンサクシネート 1g(力価) 1 バイアル

同一成分:なし

同 効 薬:塩酸テトラサイクリン

塩酸デメチルクロルテトラサイクリン

塩酸オキシサイクリン

塩酸ミノサイクリン

塩酸ドキシサイクリンなど

不明

製造承認年月日:昭和 35(1960)年 2 月 22 日

承認番号:(東薬)第 1743 号

昭和 36(1961)年 1 月 1 日

昭和 53(1978)年 10 月 31 日 承認事項一部変更申請。

「製造方法」欄、「貯蔵方法および有効

期間」欄、ならびに「規格及び試験方

法」欄を整備する。

「用法及び用量」欄と「効能又は効果」

欄を再評価結果どおりに変更する。

昭和 54(1979)年 6 月 21 日承認取得。

昭和 54(1979)年 10 月 30 日 承認事項一部変更申請。

「成分及び分量又は本質」欄に添付溶

解液を追記するとともに、「製造方法」

欄にも添付溶解液の製法を追記する。

昭和 55(1980)年 2 月 20 日承認取得。

24

Page 29: 医薬品インタビューフォームkosugi/zemi2011/iform/...2007年4月(第3版) 日本標準商品分類番号 876151 医薬品インタビューフォーム 日本病院薬剤師会のIF記載要領(1998年9月)に準拠して作成

平成 5(1993)年 5 月 6 日 厚生省に対して、三共エール薬品株式

会(旧 三共ゾーキ株式会社)より医薬

品製造承認承継届出を行う。

平成 12(2000)年 8 月 31 日 承認事項一部変更申請。

学問水準の進歩に鑑み、「効能又は効

果」において、有効菌種を変更(「鼠径

リンパ肉芽腫症ウイルス」→「トラコーマ

クラミジア」)。

平成 13(2001)年 9 月 4 日承認。

平成 16(2004)年 9 月 30 日 抗菌薬再評価結果が通知される。

再評価結果により、効能・効果の適応

菌種、適応症が変更される。

11.再審査結果、再評価結果

公表年月日及びその内容

再評価結果公表年月日

①昭和 50(1975)年 12 月 26 日

内容:有効菌種の変更。以下の菌種に変更する。

(1) サルモネラ、リケッチア、鼠径リンパ肉腫症ウイルス

(2) 他の抗生剤に耐性で本剤に感性の下記菌種

ブドウ球菌、連鎖球菌、肺炎球菌、淋菌、インフルエンザ菌、

髄膜炎菌、クレブシェラ、大腸菌、プロテウス、百日咳菌

②平成 16(2004)年 9 月 30 日

抗菌薬再評価結果が通知される。

再評価結果により、効能・効果の適応菌種、適応症が変更される。

12.再審査期間

該当しない。

13.長期投与の可否

該当しない。

14.厚生労働省薬価基準収載

医薬品コード

15.保険給付上の注意

6151401F1025

特になし。

25

Page 30: 医薬品インタビューフォームkosugi/zemi2011/iform/...2007年4月(第3版) 日本標準商品分類番号 876151 医薬品インタビューフォーム 日本病院薬剤師会のIF記載要領(1998年9月)に準拠して作成

ⅩⅠ.文 献

1.引用文献 1) 第十四改正日本薬局方解説書(廣川書店) C-1261~C-1263

(2001)

2) 水島裕編集:今日の治療薬 2003(南江堂) 12 (2003)

3) 第十四改正日本薬局方第一追補解説書(廣川書店) C-203~

C-207 (2003)

4) 田中千賀子ほか:NEW 薬理書(改訂第 3 版)(南江堂) 528 (2000)

5) Goodman & Gilman: The Pharmacological Basis of Therapeutics,

10th ed., p.1246-1247, 2001, McGraw-Hill

6) Robinson, HM., et al.: Bull. Sch. Med. Univ. Maryland: 38(3) 109-

117 (1953)

7) 小酒井望ほか:日本臨床 39(1) 121-134 (1981)

8) Efuntoye, MO. & Adetosoye, AI.: East Afr. Med. J. 80(12) 656-659

(2003)

9) Figueira-Coelho, J., et al.: Microbial. Drug Resistance 10(1) 31-36

(2004)

10) Biedenbach, DJ., et al.: Diagnostic Microbiol. Infect. Dis. 46, 291-

294 (2003)

11) Bell, JM., et al.: Int. J. Antimicrob. Agents 19(2) 125-132 (2002)

12) Li, JT., et al.: Chin. Med. Journal 112(7) 655-658 (1999)

13) Zhanel, GG., et al.: Antimicrob. Agents Chemother. 47(6) 1867-

1874 (2003)

14) Low, DE., et al.: Antimicrob. Agents Chemother. 46(5) 1295-1301

(2002)

15) Bancescu, G., et al.: Indian J. Med. Res. 119(Suppl) 257-261(2004)

16) Hansman, D., et al.: Pathology 36(2) 160-165 (2004)

17) Paula, GR., et al.: Int.J. Antimicrob. Agents 24, 53-58 (2004)

18) Aureli, P., et al.: Int. J. Food Microbiology 83, 325-330 (2003)

19) Murray, CK.& Hospenthal, DR.: Antimicrob. Agents Chemother. 48(5)

1548-1552 (2004)

20) 二宮敬宇ほか:薬物療法 12(1) 111(1979)

21) 三上次郎ほか:薬理と治療 3(10) 1862-1866 (1975)

22) 真柄正直ほか:小児科臨床 20(11) 1472-1479 (1967)

23) Hodgman, J.E. et al.:Am. J. Dis. Child. 101, 140-148 (1961)

24) Ambrose, P. J.: Clin. Pharmacokinet. 9(3) 222-238 (1984)

25) 真下啓明ほか:Chemotherapy 4(3) 126-127 (1956)

26) 加藤康道ほか:Chemotherapy 8(4) 350-353 (1960)

27) 高瀬善次郎ほか:小児科臨床 21(1) 39-44 (1968)

28) 張 南薫ほか:臨床婦人科産科 14(8) 763-767 (1960)

29) 中沢 進ほか:小児科臨床 12(9) 829-836 (1959)

30) 鳥居敏雄:日本内科学会雑誌 49(8) 908-921 (1960)

31) 清水喜八郎:medicina 7(12) 1736-1740 (1970)

32) Halpert, J.: Mol. Pharmacol. 21(1) 166-172 (1982)

33) Glazko,A.J.et al.:Antibiot. Annual 792-802 (1957,1958)

34) Glazko,A.J.et al.:J. Pharmacol. Exp. Ther. 96, 445-459 (1949)

35) 中村 昇:medicina 5(12)1429-1431 (1968)

36) Slaughter, R. L. et al.: Am. J. Hosp. Pharm. 37(8) 1083-1086 (1980)

26

Page 31: 医薬品インタビューフォームkosugi/zemi2011/iform/...2007年4月(第3版) 日本標準商品分類番号 876151 医薬品インタビューフォーム 日本病院薬剤師会のIF記載要領(1998年9月)に準拠して作成

37) 斎藤 厚ほか:日本化学療法学会雑誌 51(8), 497-506 (2003)

38) 東海林哲郎ほか:医薬ジャーナル 35(2), 621-626 (1999)

39) 国井勝昭: J. J. Antibiot. 23(4) 353-362 (1970)

40) 宮崎澄雄:小児科臨床 30(6) 1001-1006 (1967)

41) 堀誠:東京慈恵会医科大学雑誌 88, 815-829 (1973)

42) Gruhzit, O. M. et al.:J. Clin. Invest. 28, 943-952 (1949)

43) Saslaw, S. et al.: Proc. Soc. Exp. Biol. Med. 85, 295-297 (1954)

44) Fritz, H. & Hess, R.:Toxicol. Appl. Pharmacol. 19(4) 667-674 (1971)

45) 藤森速水、渋川登:小児科臨床 21(5) 596-601 (1968)

46) 赤石 英ほか:月刊薬事 16(6) 901-909 (1974)

47) 山本亘夫ほか:薬局 16(11) 1359(1965)

48) 林 宏ほか:九州薬学会会報 22, 47(1968)

2.その他の参考文献 なし。

27

Page 32: 医薬品インタビューフォームkosugi/zemi2011/iform/...2007年4月(第3版) 日本標準商品分類番号 876151 医薬品インタビューフォーム 日本病院薬剤師会のIF記載要領(1998年9月)に準拠して作成

ⅩⅡ.参考資料

主な外国での発売状況 該当しない。

28

Page 33: 医薬品インタビューフォームkosugi/zemi2011/iform/...2007年4月(第3版) 日本標準商品分類番号 876151 医薬品インタビューフォーム 日本病院薬剤師会のIF記載要領(1998年9月)に準拠して作成

ⅩⅢ.備 考

1.その他の関連資料 なし。

29

Page 34: 医薬品インタビューフォームkosugi/zemi2011/iform/...2007年4月(第3版) 日本標準商品分類番号 876151 医薬品インタビューフォーム 日本病院薬剤師会のIF記載要領(1998年9月)に準拠して作成

ⅩⅣ.巻 末

1.クロロマイセチンサクシネート

の配合変化

クロロマイセチンサクシネート(1g)1 バイアルを注射用蒸留水(あるいは

20%ブドウ糖注射液、生理食塩液)11mL に溶解した後、溶解液 10mL を

とり、配合が予想される注射液1管と混合し、混合直後、30 分、3 時間、

24 時間、72 時間後の色調、沈澱、混濁を観測し、あわせて pH を測定し

た。

分類 品 名 容 量 備 考

蛋白アミノ酸

製剤

ES ポリタミン注(武田) 3% 20mL/A 配合により淡黄色に呈色。この呈色は主薬間の複合体生

成によると推定。従って薬効は不変と考えられる。

成分:必須アミノ酸

クリニット注 10%(エーザイ) 10% 20mL/A キシリトール製剤。 糖類剤

フルクトン注(大鵬) 5% 500mL/V 果糖製剤。

イーエル 3 号(森下) 500mL/袋 輸液用電解質。

ソリターT1 号(武田) 100mL/V 輸液用電解質。

フィジオゾール 3 号

(ミドリ十字)

500mL/V pH が酸性のため配合量によってはクロマイサクシネート析

出の可能性あり。成分:電解質補液。

血液代用剤

デキストラン糖注

「オーツカ」(大塚)

500mL/袋 成分:デキストラン(6%)他。

アドナ(AC-17)注(田辺) 50mg:10mL/A 配合により橙色に呈色。この呈色は主薬間の複合体生成

によると推定。従って薬効は不変と考えられる。

トランサミン注(第一) 5% 5mL/A 配合により淡黄色に呈色。この呈色は主薬間の複合体生

成によると推定。従って薬効は不変と考えられる。呈色はそ

れほど強くないので配合可に近い。

止血剤

レプチラーゼ(ゼリア) 1mL/A 蛇毒酵素

アリナミン F100 注(武田) 100mg:20mL/A 配合により白濁を生ずる。

ピドキサール注(中外) 30mg:1mL/A 配合後室温に長時間保存すると着色増大。従って 24 時間

以上保存不可。

ビタミン剤

ビタメジン静注用(三共) 20mL/A pH がかなり酸性になるため、経時とともにクロマイサクシネ

ートの析出がみられている。従って配合後長期(3 時間以

上)の保存は不可。条件によっては(20%ブドウ糖注に溶

解、2~5℃にて保存)短時間内に結晶析出の恐れあり、配

合不可に近い(ビタメジンを 20%ブドウ糖液に溶解)。

抗生物質製剤 注射用ペントレックス(万有) 250mg:2mL/A 配合により淡黄色に呈色。この呈色は主薬間の複合体生

成によると推定。従って薬効は不変と考えられる。

オルガドロン(三共) 5mg:1mL/A 副腎皮質

ホルモン剤 ノルアドリナリン(三共) 1mg:1mL/A

強心剤 ネオフィリン(エーザイ) 250mg:10mL/A 配合により黄色に呈色。この呈色は主薬間の複合体生成

によると推定。従って薬効は不変と考えられる。但し 24 時

間以内の使用が望ましい。

肝臓疾患用剤 チオクタン注射液(藤沢) 25mg:5mg/A 配合により淡黄色に呈色。この呈色は主薬間の複合体生

成によると推定。従って薬効は不変と考えられる。

アレルギー

用剤

強力ネオミノファーゲン C

(鳥居)

20mL/A

催眠鎮静剤 フェノバール注(三共) 100mg:1mL/A

その他 ATP 注「第一」(第一) 20mg:2mL/A 配合により淡黄色に呈色。この呈色は主薬間の複合体生

成によると推定。従って薬効は不変と考えられる。

pH が相当変化するため ATP の安定性に若干不安あり。呈

色はそれほど強くないので配合可に近い。

*備考欄に「呈色は主薬間の複合体生成による」と記述されているが、この複合体は低濃度あるいは体内に投与された場合、元

の成分に解離するので、薬効は損われないと考えられる。

30

Page 35: 医薬品インタビューフォームkosugi/zemi2011/iform/...2007年4月(第3版) 日本標準商品分類番号 876151 医薬品インタビューフォーム 日本病院薬剤師会のIF記載要領(1998年9月)に準拠して作成

*以下の成績は国立東京第二病院薬局 山本恒夫ほかにより実施され

たものである47)。

方法:クロマイサクシネート 1 バイアルに水 10mL を加えて溶解し、その

0.25mL をとり、同容量の他剤(用時溶液とするものはそれぞれの

指示書によって調製)と混合し外観の変化を観察した。観察は抗

生物質相互の配合の際には混合直後から 2 時間後まで、他の薬

剤との場合には混合 5 分間後までとした。

分類 品 名 備 考

硫酸カナマイシン(万有) 成分:カナマイシン硫酸塩

硫酸ストレプトマイシン

(協和) 成分:硫酸ストレプトマイシン

結晶ペニシリン G カリウム

(明治) 成分:ペニシリン

抗生物質

製剤

静注用ロイコマイシン

(東洋醸造) 濁る。成分:酒石酸ロイコマイシン

アスコルチン(東京田辺) 白濁。アスコルビン製剤

カルチコール(大日本) カルシウム製剤

成分:グルコン酸カルシウム

グロンサン(中外) 解毒促進肝機能賦活剤

成分:グルクロン酸

その他

リンゲル液(光) 成分:塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩

化カルシウム

*以下の成績は熊本大学付属病院薬剤部 林宏ほかにより実施された

ものである48)。

方法:クロロマイセチンサクシネート(1000mg)を添付蒸留水(11mL)に溶

解した後、各種注射液に混合し、直後、2 時間後、6 時間後にpH

を東亜電波モデル HM5A を使用して測定した(室温にて実施)。

配 合 薬 配 合 pH

品 名 pH 直後 2 時間後 6 時間後

ソリタ T-2 号(武田) 5.05~5.2 5.3 5.25 5.3

ソリタ T-3 号(武田) 5.03~5.3 5.35 5.35 5.45

ソリタ T-4 号(武田) 5.1~5.4 5.45 5.5 5.5

31

Page 36: 医薬品インタビューフォームkosugi/zemi2011/iform/...2007年4月(第3版) 日本標準商品分類番号 876151 医薬品インタビューフォーム 日本病院薬剤師会のIF記載要領(1998年9月)に準拠して作成

〔文献請求先・製品情報お問い合わせ先〕

第一三共株式会社 製品情報部

〒103-8426 東京都中央区日本橋本町 3-5-1

TEL:0120-189-132