第５回緩和ケアシンポジウム

「子育て世代のがん診療 と緩和ケア」 ～患者と家族をどう支えるか～ チーム医療の底力

大阪医科大学附属病院 薬剤部

後藤愛実

自己紹介

外来化学療法センター専任 がんサポート外来（薬剤師外来） 外来化学療法センターでの服薬指導、レジメン管理 緩和ケアチーム専任 （資格） がん専門薬剤師 がん指導薬剤師 緩和薬物療法認定薬剤師

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大阪医科大学附属病院の概要 病床数 ： 882床

病棟数 ： 22（ICU・NICU除く）

診療科 ： 29科

1日平均患者数（外来）： 2,130.0人

（入院）： 827.6人

平均在院日数 ： 13.5日

院外処方箋発行率 ： 95.9％

医師 ： 常勤408名、非常勤181名

看護師 ： 常勤826名、非常勤44名

薬剤師 ： 常勤56名、非常勤10名

（＋臨床研究センター 3名（常勤））

(H28年11月)

（H28年11月）

(H28年11月)

外来化学療法センター紹介

・ 2006年4月開設 ・ 病床数：22床 （リクライニング式チェア8台，ベッド14床） ・ 診察ブース 5室 ・ 無菌室（安全キャビネット４台） スタッフ ・医師：6名（がん薬物療法専門医：3名） ・看護師：5名（がん化学療法看護認定看護師：1名 がん性疼痛看護認定看護師：1名） ・がん専門薬剤師：6名（専従1名，専任2名，兼任3名） ・臨床試験コーディネーター（CRC）：1名 ・クラーク：2名 ・受付：1名

外来化学療法センターのべ患者数

がんサポート外来 外来化学療法センターでの関わり

抗悪性腫瘍薬の説明 【患者への配布物】 副作用対処方法のリーフレット（大阪医大作成） 治療内容のリーフレット（メーカー作成） がん患者カウンセリング説明用紙（個別作成） ウィッグ等紹介 「私だって知りたい！」

子育て世代への説明

妊孕性、避妊について 胚細胞保存、精子保存、卵子保存について理解されているか？ 薬剤の保管場所 入浴や洗濯物の処理について

大鵬薬品 ユーエフティー・ユーゼル説明用紙より

子育て世代への説明

就労支援、子育ての支援 家事など支援者は近くにいるか？ 仕事と療養の両立 高額療養費制度 薬価について

MSWに相談 就労支援として社会保険労務士と無料面談日の設定 （月1回）

こどもへの病気の伝え方

https://www.novartis.co.jp/sites/www.novartis.co.jp/files/disease-onc-03-want-know-201408.pdf

ノバルティス ファーマ

ホープツリー

http://hope-tree.jp/information/cancercare-for-kids-presentation/

KNITとはKids Need Information Too

KNIT（ニット）の要点は「3C」 第1のCは「Cancer（がん）」 がんという病名を隠さないこと。 第2のCは「not Catchy（うつらない）」 がんが他の人に感染するものではないということ。 第3のCは「not Caused（引き起こされたことでない）」 子どもや親のしたことが原因でがんになったのではないということ。

経験症例1～日々の服薬指導の中から～

⇒ 治療開始時からがん看護専門看護師へ介入依頼 ビデオレターの作成提案 今の自分が将来の子供たちへできることを見つけることができた ⇒ MSWへ介入依頼 医療依存度の高い状況での在宅調整 子供と過ごす時間を大切に自宅で看取りができた

⇒MSWへ連絡 社会的資源の活用などについて相談 高額療養費制度の利用 職場への休職、傷病手当などについて相談 本人の思いをカンファレンスで共有、主治医へ相談

経験症例２～日々の服薬指導の中から～

経験症例３～緩和ケアチームでの介入～

⇒ 臨床心理士がディグニティーセラピーを本人へ提案

経験症例３～緩和ケアチームでの介入～

「ディグニティーセラピー」とは？

カナダの精神科医であるチョチノフ博士によって考案された精神療法的アプローチ。

人生を振り返り、本人が誇りに思っていること、果たしてきた役割、学んで来たことなど、本人が大切にしてきたことや憶えていてほしいことを言葉にする。そして、その言葉は手紙という形で、大切な人に受け継がれていく。

https://endoflifecare.or.jp/program/20161015/

ディグニティーセラピー ９つの質問

１．あなたが最も重要だと考えていることはなんですか？あなたが人生で一番生き生きしていたのはいつのことですか？ ２． あなたが大切な人に知っておいてもらいたいことや憶えていてほしい、 何か特別なことがありますか？ ３． あなたが人生で果たしてきた役割（家族内での役割、職業上の役割、 地域社会での役割など）のうち、最も重要なものは何ですか？ なぜそれはあなたにとって重要なのですか？ そして、それらの役割においてあなたが成し遂げたことは何ですか？ ４． あなたが成し遂げたことの中でもっとも重要なことは何ですか？ 一番誇らしく思ったことは何ですか？ ５． 大切な人達に言っておく必要があると思いながらもまだ言えてなかっ たこと、あるいは、できればもう一度言っておきたいことがありますか？ ６． 大切な人達に向けてのあなたの希望や夢は何ですか？ ７． あなたが人生から学んだことの中で、他の人達に伝えておきたいこと は何ですか？（息子、娘、夫、妻、両親、その他の人達）に残しておきたい アドバイスあるいは導きの言葉は何でしたか？ ８． 大切な人の将来に向けて役に立つような、伝えておきたい言葉、 あるいは教訓めいたものはありますか？ ９． この半永久的な記録を作るに際して、他に追加しておきたいことがありますか？

ディグニティーセラピー後 「今までの人生を振り返ることができた。 自分にとっての家族の大切さ、自分の存在の意味を考えることができた。」 残された家族の思いは・・・・・？

経験症例３～緩和ケアチームでの介入～

医療者の価値観、人生観、死生観 ハッピーストーリーを押し付けてはいけない その人の価値観、すべてを理解できるわけではない 相手の世界観を認め、援助の可能性を探る

職種ごとの視点を活かせる 対応する“人の違いも大切” 多くのニーズに応えられる チームメンバーのメンタルケア 1＋1 ≧ 2

緩和ケアチーム チームアプローチの利点

チーム医療の底力

◆子育て世代のがん患者は孤独と苦悩を抱えている ◆多職種で関わることで、救われる患者、家族がいる・・・・ かもしれない ◆適切な職種がスムーズに介入ができるようなトリアージが必要

今後の課題

グリーフケア

「ずーっと、ずっと、大好きだよ」という、大切な思い。 この言葉は心の中にあっても、つい口に出しそびれてしまうものかもしれません。声に出して、伝えることで救われる気持ちがあることを知ってほしい。

http://hope-tree.jp/information/cancercare-for-kids-book/book30/