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北海道国有林における航空機レーザ森林解析 誌名 誌名 森林計画学会誌 = Japanese journal of forest planning ISSN ISSN 09172017 巻/号 巻/号 491 掲載ページ 掲載ページ p. 11-15 発行年月 発行年月 2015年12月 農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波産学連携支援センター Tsukuba Business-Academia Cooperation Support Center, Agriculture, Forestry and Fisheries Research Council Secretariat

北海道国有林における航空機レーザ森林解析発行年月 2015年12月 ... Kawasaki-City. Kanagawa 215-0004 ... 210は2 0.1 6 25.07 20.75 18.1 7 72%

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北海道国有林における航空機レーザ森林解析

誌名誌名 森林計画学会誌 = Japanese journal of forest planning

ISSNISSN 09172017

巻/号巻/号 491

掲載ページ掲載ページ p. 11-15

発行年月発行年月 2015年12月

農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波産学連携支援センターTsukuba Business-Academia Cooperation Support Center, Agriculture, Forestry and Fisheries Research CouncilSecretariat

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森林計画誌 49NO.1 '15

講演

北海道国有林における航空機レーザ森林解析大 野勝正1,* . 佐 々 木 貢2

Airborne LiDAR analysis for forest management

in the national forest of Hokkaido

Katsumasa Oono 1 ,申 andr、1itsuguSasaki 2

1 .はじめに

日本は国土の約7割を森林が占める森林大国であり,

その広大さ故,森林の資源を効率的に把握する技荷と

して森林航測学が発展してきた。空中写真を用いた森

林航測技術だけでなく,近年航空レーザ計測データを

用いた航測技術が発展し その解析結果の利用方法が

検討されるようになってきた。特にレーザ解析の大き

な技術革新として,これまで現地調査や森林航測で主

流であったサンプル調査に代わり,機械処理による迅

速かつ安価な全数調査が行えるようになったことが挙

げられる。レーザ解析からは樹木本数や樹高だけでな

く,樹冠の大きさから胸高直径を推定して単木の材積

が把握でき,現地調査項目と何ら変わりない結果が得

られるようになった。このような現地調査の代替とな

る手法検討は林業従事者の減少や高齢化が進む林業で

は重要なテーマと考えられる。そこで,本研究では

レーザ解析による収穫調査の代替手法の検討,さらに,

収穫調査結果による生産予定数量, レーザ解析による

生産予定数量,間伐後に土場に集められた出材実行生

産量を比較しレーザ解析の利用可能性を評価した。

11.対象地と使用データ

調査対象地は北海道厚岸町に位置するパイロット

フォレストと呼ばれる国有林1.500haを対象とした。

対象地のほとんどがカラマツの植林地である。

解析に使用した航空レーザ計測データは平成24年6

月28日に 4点/ぱの密度で、計測された(表-1 )。また,

比較に用いた収穫調査は平成25年, 26年の間伐実施前

に対象林小班の 2%の面積を対象に行った結果である。

表-1 航空レーザ計測諸元

Pararnet疋r

Sensor

Acquisition data

Flight above ground 1evel

Laser pulse frequency

Scan frequency

Field of View

Measurement density

Number of course

Performance

Leica ALS60

28th June in 2012

L414~l,500m

140,OOOHz (MPiA)

50Hz

±20 degrees

4points per m2

13

E 航空レーザ解析による収穫調査手法の検討

航空レーザ解析結果を収穫調査の代替として利用す

るためには,カラマツは本数,胸高直径,材積が,広

葉樹は本数と材積の情報が必要となる。カラマツと広

葉樹の範囲を特定するため,樹種分布を多様な色調で

表現できるレーザ林相図(特許第5592855号)を用い

て収穫調査範囲を目視判読でカラマツと広葉樹に区分

し,それぞれ解析を行った(図-1 )。

1 .カラマツの収穫調査方法

カラマツについては大野ら(1)による研究で現地

調査と比較して十分な精度で樹木本数,胸高直径,材

積の解析が行われていることがわかっているが, レー

ザ計測で把握できる上層木との比較となっており,中

*連絡.別刷請求先(にCoぽrr閃巴s叩po叩ndinga叩u也Oぽr)E-mail: ka泣t.o∞D∞noぬo@a勾jiko.c∞o.吋.j1 アジア航測株式会社 (ω21日5一0∞O∞O悦4 神奈川県川崎市麻生区万福寺l一2一2幻)

ASIA AIR SURVEY CO., L TD., 1-2-2 Manpukuji, Asao-ku, Kawasaki-City. Kanagawa 215-0004

2 北海道森林管理局 (064-8537 北海道札幌市中央区宮の森3-7 -70)

For巴stryAgency HOKKAIDO Regional For巴stO血ce3-7-70 Miyanomori. Chuo-ku, Sapporo-city, Hokkaido 064-8537

-11-

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]pn.]. For. Plann. 49 NO.l '15

図-1 目視判読による収穫調査範囲のカラマツと広葉樹の区分例

層木や下層木についての情報が把握できないという課

題があった。そこで,収穫調査結果との相関を調べ,

回帰式を作成して樹木本数と材積を推定した。なお,

樹頂点の抽出結果や材積については大野ら(1 )に

よって得られた単木情報解析結果を利用した。また,

中層木や下層木については胸高直径の情報は間伐に

大きく寄与しないことから本研究では推定を行わな

かった。

収穫調査とレーザ解析の樹木本数を比較した結果が

図-2である。レーザ解析により抽出された収穫調査

範囲の上層を形成しているカラマツと中層木や下層木

も含む収穫調査の樹木本数との相関は高いことから,

決定係数 (R2) が0.9622となる以下の式で上層木から

中層木や下層木を含む樹木本数が推定できると考えら

れる。

450

400

童話 350

京300

IY 1ト 250

面200

拠2基 150

100

50

y = 1.1073x

R" = 0.9622 .. / プ

どープ/

どう/.

。"t{τ" 。o 100 200 300 400

レーザ解析抽出本数

図ー2 収穫調査本数とレーザ解析抽出本数との関係(力

ラマツ)

N, = l. 1073Nll ......一…ー…一一一一一一一.....(1)

ここで Mはカラマツ推定全樹木本数(本), M, は

レーザ解析で抽出されたカラマツ上層木樹木本数

(本)である。

パイロットフォレストでは上層木に対して 1割程度

の割合で中層木や下層木が分布していることが分かる。

上記式(1 )を用いて全樹木本数を推定した結果を

表 2に示す。回帰式により 中層木や下層木を含む樹

木本数が平均抽出精度94%で推定できた。 一方で推定

精度が過小や過大になる箇所があった。収穫調査範囲

はGPSなどで記録されてなく ,大凡の位置となって

いることから収穫調査面積が小さいほどレーザ解析と

の比較箇所に誤差が生じる可能性があり,この影響で

推定精度が悪くなったと考えられる。

表-2 回帰式を用いて上層木本数から全樹木本数を推

定した結果(カラマツ)

林小班収穫調査 収穫調査 レザ解析 回帰式による

推定精度面積 (ha) 本数 抽出本数 推定本数

202と 0.06 43 18 19.93 46% 2031i 0.16 138 102 112.94 82% 203ほl 0.16 45 33 36.54 81% 203ほ3 0.06 40 38 42.08 105% 21 0い 0.75 340 292 323.33 95% 210ろ 0.16 77 72 79.73 104% 21 0は 0.90 383 307 339.94 89% 210は2 0.16 65 50 55.37 85% 21 3ろ 0.42 124 147 162.77 131% 21 3ろ l 0.96 288 282 312.26 108% 21 3ろ2 1.23 383 321 355.44 93% 21 3ろ4 1.01 349 360 398.63 114%

平均 189.58 168.50 186.58 94%

次に,カラマツの材積についても樹木本数同様に相

闘を調べ,回帰式を作成した。図-3から収穫調査材

積とレーザ解析材積には高い相関があることが分かつ

たが, レーザ解析の材積が過大になる傾向があること

が分かつた。これは収穫調査の樹高は代表木を基にし

た推定であるのに対して, レーザ計測では毎木計測で

あることから,樹高計測方法の違いが影響したものと

考えられる。

300

~ 250 E

I'E ε 200 z、IY 1['¥ 150 干ミ

綱富主語 1凹

50

y = 0.8758x

R2 = 0.9893

o 100 200 300

レーザ解析材積(m3)

図-3 収穫調査材積とレーザ解析材積との関係(カラ

マツ)

Vi=0.8758Vi, .・・ ……・ …・…・……・ … … ー・ (2 )

ここで, viはカラマツ推定合計材積 (m3), Vi, は

レーザ解析から得られたカラマツ上層木材積 (m3)

である。

- 12 -

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式(2)を用いて全樹木の材積を推定した結果を

表 3に示す。平均推定精度は90%であり ,合計材積

は収穫調査材積とほとんど同じであることから,回帰

式により材積を補正することで,収穫調査材積と同様

の数値が得られることがわかった。推定精度が低かっ

た林小班は収穫調査面積が小さい箇所であったことか

ら,樹木本数と同様比較箇所の影響と考えられる。

表-3 回帰式を用いて上層木材積から全樹木材積を推

定した結果(カラマツ)

林小班収穫調査 収穫調査 レーザ解析 回帰式によ る

推定精度面積 (ha) 材積 (m') 材積 (m') 推定材積 (m')

202と 0.06 14.16 6.80 5.96 42% 203ほ 0.16 36.08 38.74 33.93 94% 203ほ1 0.16 20.43 14.31 12.53 61% 203ほ3 0.06 13.05 14.19 12.43 95% 210い 0.75 102.57 131.50 115.17 112% 210ろ 0.16 29.38 28.37 24.85 85% 210は 0.90 116.62 136.91 119.91 103% 210は2 0.16 25.07 20.75 18.17 72% 21 3ろ 0.42 61.71 82.82 72.53 118% 213ろ l 0.96 168.15 205.23 179.74 107% 213ろ2 1.23 246.93 268.89 235.49 95% 213ろ4 1.01 215.67 237.74 208.21 97%

平均 87.49 98.85 86.58 90%

2.広葉樹の収穫調査方法

広葉樹についてもカラマツ同様に(1 )で報告した

手法を用いて単木の本数を抽出した。収穫調査から得

られた樹木本数とレーザ解析により抽出した樹木本数

を比較した結果を図 4に示す。

600

500

童話

鰍+奪4 400

世 300

富王手 200

100

y= 2.2628x

R2 = 0.9111

o 50 100 150 200 250

レーザ解析抽出本数

図ー4 収穫調査本数とレーザ解析抽出本数との関係(広

葉樹)

カラマツ同様,レーザ解析では上層木の本数のみ取

得可能で,林内の亜高木,低木の本数は取得できない

ため,上層木から全体の広葉樹本数を推定することと

した。図-4から以下に示す式が得られた。

Nb = 2. 2628Mb ……一一…・……………一 … (3)

ここで,Nbは広葉樹推定全樹木本数(本), Mb は

レーザ解析で抽出された広葉樹上層木樹木本数(本)

森林計画誌 49NO.1 '15

である。

本研究対象地では式(3)に示されたように広葉樹で

は上層木に比べて 2倍以上の亜高木 ・低木が存在して

いる結果となり ,収穫調査で得られた胸高直径別の樹

木本数から推定できる亜高木 ・低木と比較して同様の

結果が得られた。式(2)を用いて広葉樹の全樹木本数

を推定した結果を表-4に示す。抽出精度が悪い箇所

についてはカラマツ同様調査位置の特定方法が影響し

ていると考えられ,調査面積が大きくなるに従い,そ

の影響が小さくなっていることが分かる。推定精度は

平均で90%であり,レーザ解析から広葉樹の樹木本数

を推定する方法について可能性を示せたと考える。

表-4 回帰式を用いて上層木本数から全樹木本数を推

定した結果(広葉樹)

林小班収穫調査 収穫調査 レーザ解析 回帰式を用いた

推定精度面積 (ha) 本数 抽出本数 推定本数

202と 0.06 34 29 65.62 193% 203ほ 0.16 2 。 0.00 0% 203ほ l 0.16 101 43 97.30 96% 203ほ3 0.06 8 l 2.26 28% 210¥,、 0.75 287 107 242.12 84% 210ろ 0.16 82 16 36.20 44% 210は 0.90 221 90 203.65 92% 210は2 0.16 54 16 36.20 67% 213ろ 0.42 90 63 142.56 158% 2 1 3ろ l 0.96 249 138 312.27 125% 213ろ2 1.23 280 157 355.26 127% 2 1 3ろ3 0.36 123 36 81.46 66% 2 1 3ろ4 1.01 552 211 477.45 86%

平均 160.23 69.77 157.87 90%

広葉樹の材積は (2)で報告されている樹冠高

(DCHM)と現地調査材積との相関から回帰式を作成

し,材積を推定する手法とした。図-5に収穫調査の

広葉樹材積とレーザ解析による総体積の相関を示す。

35

30

)E 25

aI蓄Eg 却

~ 15

剛E辱 10

5

。。

y = 0.4061x

R2 = 0.9457

20 40 60

レーザ計測総体積(千m3)

80

図-5 収穫調査材積とレーザ解析総体積との関係(広

葉樹)

収穫調査の材積とレーザ解析の総体積には高い相闘

があることが分かる。この関係を利用して以下の相関

式から広葉樹材積を推定することとした。

れ=0.4061Vib ……・… 一 …… …・……・・・ (4 )

-13 -

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]pn. ]. For. Plann. 49 NO.1 '15

表-6 実行生産量,収穫調査,レーザ解析から得られた材積の比較結果

実行生産量収穫調査 レーザ解析

(支障木を除く)

カラマツ (m3)生産予定数量 対生産量 生産予定数量 対生産量

林小班収種調査 レーザ解析

林小班(丸太) (m3) (%) (m3) (弛)

面積(立木カラマ1)(立木カラマ1)

(ha)

202と 41.68 60.74 146 25.76 62 1.38 81.43 34.53 203ほ 313.40 332.99 106 367.19 117 7.93 447.07 492.06 203ほ l 51.23 75.42 147 30.98 60 3.16 100.88 41.43

203ほ3 96.28 103.93 108 68.86 72 2.56 139.21 92.15 210 い 902.80 925.87 103 945.46 105 36.15 1.235.98 1.264.78 2 1 0ろ 108.38 119.36 110 95.72 88 3.48 159.78 128.07 210 は 1.360.08 1.042.32 77 1.477.73 109 43.24 1.400.76 1.976.80 2 1 0 は2 145.04 128.39 89 129.61 89 4.38 17l.59 173.19 213ろ 970.08 618.44 64 835.75 86 20.05 972.14 1.314.35

213ろ1,2.3.4 6.770.52 6.558.39 103 6.526.85 96 159.36 10.297.44 10.256.51

言十 10.759.48 9.965.85 93 10.503.90 98 179.41 15.006.28 15.773.87

生産歩留まり 7l.70 68.21

※生産予定数量 =収穫調査復命舎の数量×生産歩留まり、レーザ計調Ij小班総蓄積×伐率×生産歩留まり

※対生産量 実際の生産量に対する比率で1∞%に近づくほど精度が高い。

ここで,れは広葉樹推定合計材積 (m3). んはレー

ザ解析から得られた収穫調査範囲の総体積(千 m3)

である。

式(4)を用いて広葉樹の材積を推定した結果が

表 5である。推定精度は平均で115%であり,合計材

積はほぼ同数となり,レーザ解析から広葉樹の材積を

推定できる可能性を示すことができたと考える。

表-5 総体積を用いて広葉樹材積を推定した結果

林小班収穫調査 収穫調査 レーザ解析 回帰式による

推定精度面積 (ha)材積 (m3)総体積(千m3)推定材積 (m3)

202と 0.06 1.36 8.298 3.37 248% 203ほ 0.16 0.08 0.2092 0.08 106% 203ほl 0.16 6.14 15.859 6.44 105% 203ほ3 0.06 0.19 0.4794 0.19 102% 2 10"、 0.75 12.38 28.0324 11.38 92% 2 1 0ろ 0.16 4.14 5.4194 2.20 53% 2 1 0は 0.90 11.68 29.613 12.03 103% 210は2 0.16 1.78 4.6972 1.91 107% 2 1 3ろ 0.42 7.16 29.9664 12.17 170% 2 1 3ろ 1 0.96 21.87 50.0369 20.32 93% 2 1 3ろ2 1.23 18.21 53.4362 21.70 119% 2 1 3ろ3 0.36 6.17 16.4746 6.69 108% 2 1 3ろ4 1.01 32.82 71.878 29.19 89%

平均 9.54 24.18 9.82 115%

IV. 実行生産量との比較

10箇所の林小班を対象に間伐後に測った実行生産量

と収穫調査 ・レーザ解析から推定した材積を比較した。

実行生産量は土場に搬出された丸太材積を測った結果

である。また,収穫調査は対象林小班の面積の 2%を

対象に行い,全体を推定した結果である。一方, レー

ザ解析は林小班の毎木情報から推定した材積である。

どちらも立木の材積を算出し 生産歩留まりを乗じて

生産予定数量を算出した。材積の比較結果を表-6に

示す。実行生産量の合計に対して,収穫調査は93%.

レーザ解析は98%となり,全体として良い精度で推定

できていることがわかる。林小班面積が小さい箇所に

ついては誤差が大きくなる傾向があり,これは林小班

の境界位置の誤差や林小班内に占める渓畔林の割合が

大きかったことが影響したと考えられる。一方で,収

穫調査の 1210は」や 1213ろ」は実行生産量と比較し

て過小になっている。これは収穫調査を行った 2%の

範囲が林小班の標準的な箇所ではないことが原因とし

て考えられる。なお,表に示した立木材積は間伐率

30%を乗じた結果である。

V. まとめ

収穫調査をレーザ解析結果で代替するためにはレー

ザ計測で取得することが難しい亜高木,低木の本数や

広葉樹の材積を推定する必要があった。そこで,現地

調査との相聞から回帰式を作成し,上層木の成立状況

から推定し十分な精度で推定できる可能性を示すこ

とができた。今後は他地域や他樹種での検討を進める

必要がある。また,実行生産量との比較ではレーザ解

析による生産予定数量は高い精度であったことから,

収穫調査の代替として活用できる可能性があることが

分かつた。

以上のように, レーザ解析は今後の森林調査の手法

を変える可能性がある技術であり,また,これまでに

はなかった全数調査という特徴を活かして,森林調査

の効率化や毎木情報による採算性の良い森林経営を検

討していくことが重要であると考える。

引用文献

( 1 )大野勝正・和智明日香・佐々木貢 (2014) カ

ラマツ林における LiDARデータ解析による樹

冠面積を用いた胸高直径の推定.第125回日本森

-14 -

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林学会大会

(2)今井靖晃・舟橋学・天野正博・岩本宏二郎

(2010)航空レーザの空間体積を用いた植林地の

-15 -

森林計画誌 49NO.1 '15

簡便な材積推定方法測量2010.1 : 21 -24.

(2015年9月30日受付)

(2015年9月30日受理)