令和元年度

第１回ライチョウ保護増殖検討会

令和元年５月13日（月）14時 00分～17時00分

航空会館 703会議室

議 事 次 第

１．開会

２．議事

（１）生息域外保全の実施状況及び令和元年度事業について

①展示施設を用いた飼育及び普及啓発の促進について

②腸内細菌叢確立に係る研究について

③その他

（２）生息域内保全の実施状況及び令和元年度事業について

①南アルプス北岳周辺におけるライチョウ保全事業について

②中央アルプスにおける野生復帰技術開発試験について

③火打山における協働型環境保全活動について

④遺伝子解析結果について

（３）第一期実施計画の進捗評価及び第二期実施計画策定の準備について

（４）その他

３．閉会

配付資料一覧

議事次第

配付資料一覧

出席者名簿

座席表

資料１－１ 展示施設を用いた飼育及び普及啓発の推進について

資料１－２ 腸内細菌叢確立に係る研究について

資料２－１ 南アルプス北岳周辺におけるライチョウ保全事業について

資料２－２－１ 中央アルプスにおける野生復帰技術開発試験について

資料２－２－２ 中央アルプス木曽駒ヶ岳におけるライチョウ確認調査について

資料２－３ 火打山における協働型環境保全活動について

資料２－４ ライチョウの遺伝子解析結果について

資料３ 第一期ライチョウ保護増殖事業実施計画の事業進捗の評価及び第二期実施計画の策定に向

けた論点整理

参考資料１ 第一期ライチョウ保護増殖事業実施計画（平成 26年 4月）

参考資料２ ライチョウ生息域外保全実施計画（平成 26年 11月）

参考資料３ 平成 30年度ライチョウ保護増殖検討会議事概要（案）

令和元年度第１回ライチョウ保護増殖検討会 出席者名簿

○検討委員（五十音順 敬称略）

尾崎 清明 公益財団法人 山階鳥類研究所 副所長 中村 浩志 信州大学 名誉教授 西海 功 国立科学博物館 動物研究部 研究主幹 藤巻 裕蔵 帯広畜産大学 名誉教授 増澤 武弘 静岡大学理学部 特任教授 宮野 典夫 大町山岳博物館 指導員 村田 浩一 日本大学生物資源科学部 特任教授【御欠席】 山本 茂行 富山市ファミリーパーク 名誉園長

○専門委員 牛田 一成 中部大学創発学術院 教授 太田 能之 日本獣医生命科学大学応用生命科学部 教授 楠田 哲士 岐阜大学応用生物科学部 准教授 小林 篤 東邦大学理学部 訪問研究員 堀田 昌伸 長野県環境保全研究所 主任研究員 堀 秀正 公益社団法人 日本動物園水族館協会生物多様性委員会保全戦略部長 佐藤 哲也 公益社団法人 日本動物園水族館協会 生物多様性委員長 秋葉 由紀 〃 生物多様性委員会 種保存事業部ライチョウ計画管理者

○オブザーバー ＜日本動物園水族館協会＞ 石原 祐司 富山市ファミリーパーク 園長 冨田 恭正 恩賜上野動物園副園長兼飼育展示課長 高橋 幸裕 〃 飼育展示課 主事 栗林 勇太 大町山岳博物館 館長代理 堂前 弘志 いしかわ動物園 専門員

＜関係行政機関＞ 安田 孝雄 林野庁中部森林管理局計画保全部計画課 麦島 啓央 富山県生活環境文化部自然保護課 大門 亮介 石川県生活環境部自然環境課 渡邊 理絵 山梨県森林環境部みどり自然課 二本松 裕太 長野県環境部自然保護課 宮川 紀子 岐阜県環境生活部自然環境企画課 小松 鷹介 静岡県くらし・環境部環境局自然保護課 渡辺 能成 妙高市環境生活課 森岳 篤志 静岡市環境局環境創造課 三枝 万也 南アルプス市ユネスコエコパーク推進室 中込 久人 〃

○環境省 奥山 正樹 信越自然環境事務所 所長 中野 圭一 〃 企画官 福田 真 〃 希少生物係長 山本 豊 妙高高原自然保護官事務所 自然保護官 田村 省二 関東地方環境事務所 統括自然保護企画官 田畑 慎之介 〃 広域鳥獣保護管理専門官 番匠 克二 自然環境局 野生生物課 希少種保全推進室 室長 松木 崇司 〃 室長補佐 綿貫 宏史朗 〃 保護増殖係長 下村 亮祐 〃 環境専門員

○事務局 一般財団法人 自然環境研究センター

令和元年度　第１回ライチョウ保護増殖検討会　座席表

令和元年５月13日（月）14時00分～17時00分

航空会館　703会議室

専門委員

検討委員

オブザーバー（日動水）

藤巻

中村

尾崎

牛田

宮野

奥山

番匠

福田

南ア市

長野県

静岡県

妙高市

山梨県

富山県

静岡市

石川県

増澤

下村

秋葉

山本

堀

林野庁

冨田

髙橋

石原

栗林

太田

西海

田畑

堂前

松木

山本

岐阜県

速記

専門委員

オブザーバー（国省庁・都道府県・市町村）

報道席

入口 受付

事務局

南ア市

楠田

小林

専門委員

佐藤

田村

綿貫

検討委員

堀田

速記

事務局 環境省

中野

資料１－１

1

ライチョウの展示施設を用いた飼育及び普及啓発の推進について

(公社)日本動物園水族館協会生物多様性委員会

ライチョウを飼育している園館では以下のとおり生体展示に取り組み、保護増殖事業

として普及啓発に関する取り組みを実施した。

１．個体展示

（１）展示個体

展示園館 血統登録 番号

性別 孵化日 備考

東京都恩賜上野動物園 Ｎ39 オス 2017 年 7月 14日 夜間収容

富山市ファミリーパーク Ｎ23 オス 2017 年 6月 17日 夜間収容せず

2部屋に各 1羽ずつ展示 Ｎ41 オス 2017 年 7月 13日

市立大町山岳博物館 Ｎ30 メス 2017 年 7月 2 日 夜間収容せず

那須どうぶつ王国 Ｎ25 オス 2017 年 6月 21日 夜間収容せず

2 羽（つがい）で展示 Ｎ43 メス 2017 年 7月 23日

いしかわ動物園

Ｎ46 オス

2018 年 6月 13日

夜間収容

2部屋に各 1羽ずつ展示

3 羽の中から交替で 2 羽

を展示

Ｎ47 オス

Ｎ48 オス

（２）展示開始日

2019年 3月 15日(金) 〔那須どうぶつ王国は、3月 16日(土)〕

（３）展示状況

①恩賜上野動物園

2

②富山市ファミリーパーク

③大町山岳博物館

④那須どうぶつ王国

⑤いしかわ動物園

3

２．パネル展示及びイベント

（１）ライチョウの生態・生息環境及び保全取組の紹介

ライチョウの生態的特徴や生息環境及び、その現状、生息域外保全および生息域内保

全の取り組みについて伝えた。

・解説パネルの設置及び映像モニターでの動画の放映

・クイズラリーなどのイベントやガイド

環境省で作成したポスターの掲示やリーフレットの配布

（２）ライチョウの保全に関するシンポジウムや講演会

①ライチョウ基金シンポジウム 2019「ライチョウの未来と動物園の役割」

主催：富山市ファミリーパーク

日時：2019年 2月 1日

概要：松田勉氏（富山雷鳥研究会）による「富山のライチョウを守るために」、及び

牛田一成氏（中部大学創発学術院）による「ライチョウの野生復帰に向けて」

の基調講演と、生息域内および動物園での保全の取り組みについての報告や、

「ライチョウの未来と動物園の役割」と題した総合討論を行った。参加者は

約 200人。

掲示した案内およびポスター（那須どうぶつ王国） クイズラリーの様子（いしかわ動物園）

4

②ライチョウ公開記念特別講演会「ライチョウを守る－ここまでわかったライチョウの生活－」

主催：大町山岳博物館

日時：2019年 3月 17日

概要：小林篤氏（東邦大学理学部）により、野生のライチョウの生態で新たに分か

ったことや、生息域内での保全の取り組みを紹介し、ライチョウが生活する

高山の状況とライチョウ保全の意義と現状を伝えた。参加者は 150人。

３．展示に向けての個体管理（馴致）

①3 月 15 日の展示に向けて各園ともに 2 月頃より馴致を開始。広い展示室に慣れな

い個体もいたため、多少採食量の低下なども見られたが、徐々に食欲も回復した。

②展示室ガラス面への衝突事故防止のため、馴致開始前に両翼の初列および次列風切

羽の一部を切って飛翔力の抑制を行った。

③個体によって展示場における行動に差が見られた。

④終日展示室に出している園館、日中のみ展示場に放して夜間はケージに収容してい

る園館があったが、現在までの健康状態に各園ともに大きな問題は見られていない。

⑤観覧通路にいる来園者に対してもおびえる様子も見られず、来園者をのぞき込むよ

うなしぐさをすることも見られた。

のぞき込む来園者に近づくライチョウ（石川） 観覧ガラス面に近づくライチョウ(富山)

2

PTR. A. Ims

(H28,30) (H30)

1

D

(Lagopus muta japonica)

→ 17

3

0-1 2 32

/ /

3

ActinomycesMegasphaeraOlsenella

( )Ueda et al 2018 Microorganisms 6 3 :77

4

Parasorbic acid

Acetylandromendol Batatasin-III

5

0�

25�

50�

75�

100�

1� 2� 3� 4� 5�

0h� 12h�

0�

25�

50�

75�

100�

1� � 2� � 24� �

ND

ND:

ND ND ND

100% 100% 100% 100%

Tsuchida et al. 2017 JJZWM 22:41

6

Lactobacillus plantarum

Lactobacillus apodemi

Lactobacillus reuteri

Streptococcus gallolyticus

Enterococcus gallinarum

Enterococcus hirae

Streptococcus macedonicus

Enterococcus mundti

JCM HP

1,000

meta16S

7

2 Kobayashi et al. 2018 Kobayashi et al.

→

8

Google earth0 100m

9

10

11

12

13

14

0

50

100

150

200

250

1 6 11 16 21 26

averageOTC

averageLB

Wild (Kitadake)

2016/2017

OTC

g

0.0

50.0

100.0

150.0

200.0

250.0

0 5 10 15 20 25 30

Average(OTC)

Average(LB)

2016/2017

g

OTC

L.apodemi

15

16 17

( %) 7 (43.8%) 12 (70.6%)

( %) 3 (18.8%) 8 (47.1%)

0 7 2 (12.5%) 0 (0.0%)

8 14 1 (6.3%) 5 (29.4%)

15 30 0 (0.0%) 2 (11.8%)

31 60 0 (0.0%)

1 (5.9%)

2016 2017 2

1.6 2.5

16

BacteroidesRuminococcus

Firmicutes

3-7

17

2018

3-1 3-5(

(

vs

(

Lactobacillus apodemiStreptococcus gallolyticusEscherichia fergusonii

25

18

0

50

100

150

200

250

300

1 3 5 7 9 11 13 15 17 19 21 23 25 27 29 31

BAC OTC

2

2

OTC:BAC:

OTC 66.7% BAC 0 (

28 OTC 66.7% BAC 25

(g)

12

2018

19

4-1604 H28 H30

(

()

20

21

22

(

0−

23

Kitadake

On-take

Norikura

ÓtenshoJônen

Tateyama Sample collection sitein this study

registered habitats

Yake

Hiuchi

0−2

24

-

0−3

25

16S rRNA OTU

−

26

2016/5

S-4-15 Ruminococcus torques / 96.93% S-4-16 Coprococcus comes / 92.4%

1-2

27

Streptococcus gallolyticus(Tsuchida et al. 2016 JGAM 63(3):195 )

0"

0.05"

0.1"

0.15"

0.2"

0.25"

0.3"

0.35"

0.4"

0.45"

Tann

ase�ac

vies�(n

mol/m

l/min)

JCM10005T

JCM7893 LT1

LT2

LT3

LT4

LT5

aa a

b

b

c

c

LT11

LT22

LT33

LT44

bb

bb

cc

cc

Streptococcus gallolyticus

1-3

28

Lactobacillus apodemi

6pH7.0

→

Antibacterial activities of L. apodemi (target pathogenic bacteria is Pseudomonas aeruginosa).

control pH7.0

1-4

29

(Matsubayashi et al. 2018 IJP 7:134)

(%)

0

20

40

60

80

100

4 5 6 7 8 9 10 11

(%)

7 8 9 10

:

20062007

10 μmE. raichoi

10 μmE. uekii

10 μμmE. raichoi

10 μμmE. uekii

)

1-5

30

10 μmE. raichoi

10 μmE. uekii

34.6% 21.8%>

(%)

1-6

31

1-7

32

0

20

40

60

80

0 2 4 6 8 10 11 12

1-8

33

Vaccinium ovalifolium Oxytropis japonica Stellaria nipponica

Bistorta vivipara Aconogonon weyrichii

2-1

34

432 OTUs (12%) 162 OTUs (2.3%)

Total 3659 OTUs Total: 6796 OTUs

2-2

35

3-1

2018 7036

3-2

37

3-3

38

3-4

39

DNA/RNA

AMP

Adenosine Inosine

Adenine Hypoxanthine Xanthine Urate

GMP

Guanosine

Guanine

(Potrikus & Breznak 1981)(

→→

( > ( ( (

( →

3-5

40

OTC)

28

67

76

2016-201714 14-28 28

30.0% 20.0% 50.0%

38.5% 23.0% 38.5%

2016-2017

3-6

41

3-7

(LACTy)Ruminococcus Coprococcus Prevotella Bacteroides

42

−

1) S. TSUCHIDA, K. MURATA, M. OHKUMA and K. USHIDA: J. Gen. Appl. Microbiol, 63, 3, 195-198 (2017). Isolation of Streptococcus gallolyticus with very high degradability of condensed tannins from feces of the wild Japanese rock ptarmigans on Mt. Tateyama.

2) S. TSUCHIDA, Y. OHARA, K. KURAMOCHI, K. MURATA and K. USHIDA: Jpn. J. Zoo Wildlife Med, 22, 3, 41-45 (2017). Effective degradation of phenolic glycoside rhododendrin and its aglycone rhododendrol by cecal feces of wild Japanese rock ptarmigans.

3) M. MATSUBAYASHI, S. TSUCHIDA, K. USHIDA and K. MURATA: Int. J. Parasitol. Parasites Wildl, 7, 2, 134-140. doi.org/10.1016/j.ijppaw.2018.03.004 (2018). Surveillance of Eimeria species in wild Japanese rock ptarmigans, Lagopus muta japonica, and insight into parasitic seasonal life cycle at timberline regions of the Japanese Alps or at the Japanese alpine regions.

4) M. MATSUBAYASHI, S. TSUCHIDA, A. KOBAYASHI, T. SHIBAHARA, H. NAKAMURA, K. MURATA and K. USHIDA: Int. J. Parasitol. Parasites Wildl, 7, 2, 243-250. doi.org/10.1016/ j.ijppaw.2018.06.005(2018). Molecular identification of two Eimeria species, E. uekii and E. raichoi as type B, in wild Japanese rock ptarmigans, Lagopus muta japonica

5) A. UEDA, A. KOBAYASHI, S. TSUCHIDA, T. YAMADA, K. MURATA, H. NAKAMURA, K. USHIDA: Microorganisms 6, 3, 77. https://doi.org/10.3390/ microorganisms6030077. (2018). Cecal Microbiome analyses on wild Japanese rock ptarmigans (Lagopus muta japonica) reveals high level of coexistence of lactic acid bacteria and lactate-utilizing bacteria.

1) A. KOBAYASHI, S. TSUCHIDA, A. UEDA, T. YAMADA, K. USHIDA and H. NAKAMURA. 14th International Grouse Symposium Utah State University (2018) The Significance of Coprophagy in Chicks of Japanese Rock Ptarmigan

2) S.TSUCHIDA, A. KOBAYASHI, K. MURATA and K. USHIDA. 14th International Grouse Symposium Utah State University (2018). Isolation of Cecal Bacteria from Wild Japanese Rock Ptarmigans and their Functionalities

3 65 2018

4 65 2018

5 65 2018

1) 2019 ,2019 2 3 , 200

2) 1 (2018) , 2018 10 19( 1000

3 1 (2018), 2018 10 19 ( 1000

4) 17 (2016) 2016 10 16 00

5) 17 (2016) 2 2016 10 1600

43