15
令和2年2月 令和元年度 特許出願技術動向調査 結果概要 スポーツ関連技術

令和元年度 特許出願技術動向調査 結果概要 スポー …...1 令和元年度特許出願技術動向調査 -スポーツ関連技術- 1.はじめに センサの小型化や測定精度の向上が進み、かつ安価になったことにより、センシング

  • Upload
    others

  • View
    7

  • Download
    0

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: 令和元年度 特許出願技術動向調査 結果概要 スポー …...1 令和元年度特許出願技術動向調査 -スポーツ関連技術- 1.はじめに センサの小型化や測定精度の向上が進み、かつ安価になったことにより、センシング

令和2年2月

特 許 庁

令和元年度

特許出願技術動向調査 結果概要

スポーツ関連技術

Page 2: 令和元年度 特許出願技術動向調査 結果概要 スポー …...1 令和元年度特許出願技術動向調査 -スポーツ関連技術- 1.はじめに センサの小型化や測定精度の向上が進み、かつ安価になったことにより、センシング

1

令和元年度特許出願技術動向調査

-スポーツ関連技術-

1.はじめに

センサの小型化や測定精度の向上が進み、かつ安価になったことにより、センシング

技術がスポーツの競技やトレーニング、一般の人のスポーツや運動の可視化、判定、管

理等に使われるようになってきている。

また、IoT や AI、データアナリティクス技術の、様々な分野への適用が進んでおり、

センシングによって得られた大量のデータを蓄積し、解析することで、競技力の向上や

スポーツチーム運営に役立てたり、一般の人にとっても、スポーツや運動に取り組むこ

とで健康増進に向かっているという実感を持たせたり、撮影した映像を共有し仲間との

交流を盛り上げたりすることに活用できるようになっている。

2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を控え、これを契機として国民の

スポーツへの関わりを増進させ、ICT 技術を活用したスポーツ産業を振興しようとする

政策も採られており、VR・ARコンテンツや自由視点映像によるライブストリーミング観

戦など、スポーツコンテンツを活用した市場拡大も大いに期待されるところである。

以上のような背景の下、本調査では、スポーツ関連技術に関する国内外の技術動向、

日本及び外国の技術競争力の状況と今後の展望を明らかにすることを目的として、本技

術に関する特許や研究開発論文等の解析を行い、今後、取り組むべき課題や方向性につ

いて提言を行った。

(1)調査範囲

・本調査の技術俯瞰図

スポーツ関連技術として、その中心となる対象技術、その実現における技術課題、そ

れらの活用場面、応用産業や波及産業の観点で整理している(図 1)。本調査では、競技

スポーツのみならず、一般の人のレクリエーションスポーツ、健康目的の運動を含むも

のとし、スポーツ関連技術が適用される応用産業としては、スポーツチーム運営業、競

技場運営業、運動施設のサービス業、スポーツ用品産業、公営ギャンブルなどとしてい

る。また中心となる対象技術は、センシング、解析、提示である。

センシングは、観衆や視聴者、選手、チーム、一般の運動する人、運動器具、プレー

環境など、スポーツや運動に関わる行動や状況に関するデータをセンサによって取得す

るものである。解析は、センシングデータや、選手、チーム、一般の運動する人、観衆、

視聴者などの行動履歴などのデータを分析・解析・処理するもので、近年は機械学習も

活用し、より有用な情報活用が目指されるようになっている。提示は、映像・音響を編

集・生成し、データを解析した結果からファンにとってうれしい解説情報を加えるなど、

スポーツをより楽しく見られるようにするものである。

Page 3: 令和元年度 特許出願技術動向調査 結果概要 スポー …...1 令和元年度特許出願技術動向調査 -スポーツ関連技術- 1.はじめに センサの小型化や測定精度の向上が進み、かつ安価になったことにより、センシング

2

図 1 スポーツ関連技術の技術俯瞰図

・特許文献

時期的範囲:2006年-2017年(優先権主張年ベース)

出願先:日本、米国、欧州、中国、韓国、台湾及び PCTに基づく国際出願

調査対象特許分類:

使用したデータベース:Derwent World Patents Index(DWPI)1

※欧州への出願については、欧州特許庁への出願(EPC出願)だけでなく、EPC

加盟国の内で検索に使用したデータベースの収録国への出願も対象とした。

・非特許文献

時期的範囲:2006年-2018年(発行年ベース)

調査対象論文分類:

使用したデータベース:Web of Science2

(2)調査手法

・特許文献

スポーツ関連技術に関する国際特許分類及び共通特許分類、DWPIマニュアルコード3を使用しデータベース検索を行い、検索で抽出された特許公報の抄録、請求の範囲(ク

レーム)、図面を解析し、ノイズ除去、技術分類付与を行った。

・非特許文献

スポーツ関連技術に関するキーワードを使用し、抽出された論文を解析し、ノイズ

除去、技術分類付与を行った。

1 Clarivate Analytics社が提供 2 Clarivate Analytics社が提供 3 データベース作成機関独自の技術分類

技術課題

対象技術センシング 解析 提示

解析方法• ルールベース• 機械学習

解析内容• 形状・動き• 音響• 状態• 戦略

映像生成音響生成体感生成配信選択

• する• トレーニング• 競技

• みる• ささえる

• 運営強化• マーケティング

応用産業活用

波及産業

教育

エンターテインメント• ゲーム• アニメ• 映画

介護

観光

防犯

防災

スポーツチーム

スポーツ用品

• チケット• 放送• スポンサー• グッズ

運動施設• フィットネス

スポーツ産業

競技場

関連産業

要素技術の他産業での活用

スポーツテックの適用先

スポーツ関連技術(スポーツテック)(調査対象)

放送・メディア

広告

医療

スポーツツーリズム

交通

※ スポーツ用品の素材、トレーニング器具の構造・機械的な仕組みに関する技術など、スポーツの状況のセンシングやスポーツに関わる人の行動履歴データの解析・提示以前の技術は対象外とした。

※ eスポーツは対象外とした。

スポーツへの適用

対象技術・技術課題(センシング、解析、提示)

基本的な枠組み

スポーツテック

商業施設

保険

目的

競技スポーツ

健康目的の運動• 健康維持• 予防医療• リハビリ

場所• 屋内• 屋外陸上• 氷雪上• 水上・水中• 空中

種目

球技

射的

体操

陸上

ウォータースポーツ

スカイスポーツ

アウトドアスポーツ

陸上滑走

アニマルスポーツ

格闘技

水泳

パワースポーツ

混合スポーツ

障害者スポーツ

• 人• 運動する人• チーム• 観衆• 視聴者

• 物• 投射物• バット等• その他スポーツ器具• プレー環境

測定対象• 時間• 空間

• 位置、距離、傾き、方向、速さ、加速度、回転、振動

• 力• 音響• 環境条件• 生体情報

測定項目• ウェアラブルデバイス

• RFID、位置情報デバイス、慣性センサ、磁気センサ、スポーツウェア

• 外界からの観測• 光学センサ、圧力センサ、マイク

測定手段

VR・AR

センシング 解析 提示

• 低コスト化• センサの小型化• センサの省電力化• バッテリーレス

• 時間分解能向上• 空間分解能向上• 測定距離• 耐環境・再現性

• 高精度化• 公平性• 高速化• リアルタイム性

• 高臨場感• 解像度向上• 正確な再現

• 配置• 自動制御• キャリブレーション• 簡便性

日常の運動

レクリエーションスポーツ

交流の場形成

• 芸能• 演劇• 遊戯施設

• 多様な人の参加

• 支障低減• 安全性• 防水• 無線通信

公営ギャンブル

機械制御

Page 4: 令和元年度 特許出願技術動向調査 結果概要 スポー …...1 令和元年度特許出願技術動向調査 -スポーツ関連技術- 1.はじめに センサの小型化や測定精度の向上が進み、かつ安価になったことにより、センシング

3

2.本調査の結果概要

(1)市場動向

国内のスポーツ ICT市場は 2018年の約 898億円から急速に拡大し、2025年には 9,703

億円に成長すると予測されており、「する」「みる」「ささえる」のうち、「みる」市場の

規模が大きい。

(2)政策動向

2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会を控え、これを契機として国民

のスポーツへの関わりを増進させ、ICT 技術を活用したスポーツ振興政策が採られてい

る。スポーツ産業に関する指標では、スポーツ市場規模を 5.5 兆円から 15 兆円(2025

年)に拡大、スポーツ目的の訪日外国人数を 138万人から 250万人に増加、スポーツツ

ーリズムの関連消費額を 2,204億円から 3,800億円に拡大するという目標が設定されて

おり、これらを達成するため、スポーツ庁では 4つの方向性を打ち出し、それぞれの施

策実行に取り組んでいる。

(3)特許動向

スポーツ関連技術に関して、出願先国(地域)別出願件数推移と出願人国籍(地域)

別ファミリー件数推移を見ると、中国への出願は近年、急増しているのに対し、米国へ

の出願は 2014年以降、減少している。当該分野の技術が、技術開発段階からビジネス活

用段階に移行している可能性が考えられるとともに、技術開発については、先発組、後

発組と分かれ、後発組が先発組にキャッチアップしようとしている状況と考えられる。

日米欧中韓台への出願全体におけるファミリー件数上位の出願人ランキングでは、

2014 年の前後で中国籍、韓国籍のプレイヤーが多く新たにランクインしている。一方、

2014 年以前で上位にランクインしている日本国籍の出願人は、2015 年以降も継続して

ランクインしており、日本国籍上位企業の強さが見られる。

特許出願件数を見ると、日本国籍は、米国籍に続き、「対象技術」の「センシング」の

「測定手段」の「ウェアラブルデバイス」などのセンシングデバイスに優位性があるが、

それをビジネス活用に結びつけていくためには、デバイスありきではなく、それをスポ

ーツの現場に高度に適用させ、有用なサービス開発に結びつけていくことが必要である。

(4)非特許文献動向

研究者所属機関国籍(地域)による論文発表件数の推移をみると、全調査期間を通じ

て増加傾向にあり、特に 2015年以降は大きく増加している。国籍(地域)別の推移をみ

ると、調査期間を通じて欧州国籍が多い。また、2015年以降に米国籍が大きく増加して

いる。

Page 5: 令和元年度 特許出願技術動向調査 結果概要 スポー …...1 令和元年度特許出願技術動向調査 -スポーツ関連技術- 1.はじめに センサの小型化や測定精度の向上が進み、かつ安価になったことにより、センシング

4

3.市場動向

(1)スポーツ ICT市場の規模・予測

国内のスポーツ ICT市場は 2018年の約

898 億円から急速に拡大し、2025 年には

9,703 億円に成長すると予測されており、

「する」「みる」「ささえる」のうち、「み

る」市場の規模が大きい(図 2)。

(2)主なプレイヤーの動向

主なプレイヤーの動向としては、富士

通の採点支援システム、NECの顔認証シス

テムなどの競技・運営支援、NTTの高臨場

感映像合成技術、ソフトバンクの VR観戦

システムなどの観戦支援、セイコーエプ

ソンのゴルフ上達システム、カシオ計算

機のリストデバイスなどの運動支援など

が提供されている。

図 2 スポーツ ICT市場規模予測

4.政策動向

2020年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会を控え、これを契機として国民

のスポーツへの関わりを増進させ、ICT 技術を活用したスポーツ振興政策が採られてい

る。

スポーツ産業に関する指標

では、スポーツ市場規模を

5.5兆円から 15兆円(2025

年)に拡大、スポーツ目的

の訪日外国人数を 138万人

から 250万人に増加、スポ

ーツツーリズムの関連消

費額を 2,204 億円から

3,800 億円に拡大するとい

う目標が設定されており、

これらを達成するため、ス

ポーツ庁では 4つの方向性

を打ち出し、それぞれの施

策実行に取り組んでいる

(図 3)。

5.特許出願動向

(1)全体動向

図 3 第 2期スポーツ基本計画のポイント

Page 6: 令和元年度 特許出願技術動向調査 結果概要 スポー …...1 令和元年度特許出願技術動向調査 -スポーツ関連技術- 1.はじめに センサの小型化や測定精度の向上が進み、かつ安価になったことにより、センシング

5

スポーツ関連技術に関して、出願先国(地域)別出願比率を見ると、米国への出願が

33.1%と最も高くなっており、この点は、スポーツアナリティクスの市場シェアで、北米

が最も大きいことと整合している 4。出願先国(地域)別出願件数推移を見ると、中国へ

の出願は近年、急増しているのに対し、米国への出願は 2014 年以降、減少している。

(図 4)。

図 4 出願先国(地域)別出願件数推移及び出願件数比率 5

(日米欧中韓台への出願、出願年(優先権主張年):2006-2017年)

出願人国籍(地域)別ファミリー件数比率を見ると、米国籍による出願が 27.9%と最

も高く、中国籍、韓国籍、日本国籍がそれに続いて拮抗している。出願人国籍(地

域)別ファミリー件数推移を見ると、中国籍は近年、急増しているのに対し、米国籍

は 2014年以降、減少している(図 5)。当該分野の技術が、技術開発段階からビジネス

活用段階に移行している可能性が考えられるとともに、技術開発については、先発

組、後発組と分かれ、後発組が先発組にキャッチアップしようとしている状況と考え

られる。

4 グローバル市場調査会社 Infoholic Research LLPによると、世界のスポーツアナリティクス市場

は年平均成長率 43.5%で成長し、2024年までに 45億ドルに達すると予測されている。地域別に

は、北米のシェアが最も大きく、その主要因として、MLB(メジャーリーグ)や NBA(男子プロバス

ケットボールリーグ)がアーリーアダプターとして採用していることや、多様なアナリティクスを

幅広く活用していることを挙げている(Infoholic Research LLP(2018)「Sports Analytics

Market Forecast up to 2024」RESEARCH AND MARKETS)。 5 2016年以降はデータベース収録の遅れ、PCT出願の各国移行のずれなどで、全データを反映して

いない可能性があるため、点線にて示す(以下同様)。

日本

3,966件

14.1%

米国

9,316件

33.1%

欧州

4,467件

15.9%

中国

5,862件

20.9%

韓国

3,706件

13.2%

台湾

793件

2.8%

合計

28,110件

1 332 1,595 1,538

1,816 1 791

2,219

2 561 2,846

3,125 3,280 3,329

2,678

0

400

800

1,200

1,600

2,000

2,400

2,800

3,200

3,600

4,000

0

200

400

600

800

1,000

1,200

1,400

1,600

1,800

2,000

2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017

合計出願件数(件)

出願先国・地域別出願件数(件)

出願年(優先権主張年)

日本 米国 欧州 中国 韓国 台湾 合計

出願先国・地域

優先権主張

2006-2017年

日本国籍

3,003件

16.1%

米国籍

5,200件

27.9%

欧州国籍

2,264件

12.2%

中国籍

3,786件

20.3%

韓国籍

3,061件

16.4%

台湾籍

720件

3.9%

その他国籍

580件

3.1%

合計

18,614件

863

993 1,009 1,185 1,188 1,245

1,526

1,649 1,820

2,182 2,500

2,454

0

300

600

900

1,200

1,500

1,800

2,100

2,400

2,700

3,000

0

150

300

450

600

750

900

1,050

1,200

1,350

1,500

2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017

合計出願件数(件)

出願人国籍・地域別出願件数(件)

出願年(優先権主張年)

日本国籍 米国籍 欧州国籍 中国籍

韓国籍 台湾籍 その他国籍 合計

出願人国籍・地域

優先権主張

2006-2017年

図 5 出願人国籍(地域)別ファミリー件数推移及びファミリー件数比率 (日米欧中韓台への出願、出願年(優先権主張年):2006-2017 年)

Page 7: 令和元年度 特許出願技術動向調査 結果概要 スポー …...1 令和元年度特許出願技術動向調査 -スポーツ関連技術- 1.はじめに センサの小型化や測定精度の向上が進み、かつ安価になったことにより、センシング

6

日米欧中韓台での出願先国(地域)別の出願件数収支を見ると、各国(地域)への

出願に占める自国(地域)籍出願人の割合は、韓国が 83.9%と最も高く、次いで日本

(74.9%)、中国(63.7%)、台湾(63.1%)、米国(61.0%)、欧州(59.9%)の順である

(図 6)。

日本の出願件数収支は、すべての国(地域)に対してプラスである。特に、米国及

び中国に対して大きく上回っている。米国の出願件数収支は、中国に対してプラス、

日本、欧州、韓国、及び台湾に対してはマイナスである。欧州の出願件数収支は、米

国及び中国に対してプラス、韓国に対しては同数、日本及び台湾に対してはマイナス

である。中国の出願件数収支は、いずれの国に対してもマイナスである。韓国の出願

件数収支は、米国、中国及び台湾に対してプラス、欧州に対しては同数、日本に対し

てはマイナスである。台湾の出願件数収支は、日本及び韓国以外のいずれの国(地

域)に対してもプラスである。

図 6 出願先国(地域)別‐出願人国籍(地域)別の出願件数収支

(日米欧中韓台への出願、出願年(優先権主張年):2006-2017年)

日本国籍

142件

3.8%

米国籍

294件

7.9%

欧州国籍

86件

2.3%

中国籍

20件

0.5%韓国籍

3,109件

83.9%

台湾籍

6件

0.2%

その他

49件

1.3%

韓国への出願

3,706件

日本国籍

955件

10.3%

米国籍

5,684件

61.0%

欧州国籍

1,259件

13.5%

中国籍

184件

2.0%

韓国籍

382件

4.1%

台湾籍

249件

2.7%

その他

603件

6.5%

米国への出願

9,316件

日本国籍

326件

7.3%米国籍

939件

21.0%

欧州国籍

2,676件

59.9%

中国籍

79件

1.8%

韓国籍

102件

2.3%

台湾籍

67件

1.5%その他

278件

6 2%

欧州への出願

4,467件

日本国籍

480件

8.2%米国籍

649件

11.1%

欧州国籍

482件

8.2%

中国籍

3,737件

63.7%

韓国籍

208件

3.5%

台湾籍

156件

2.7%

その他

150件

2.6%

中国への出願

5,862件

日本国籍

2,970件

74.9%

米国籍

452件

11.4%

欧州国籍

283件

7.1%

中国籍

24件

0.6%

韓国籍

127件

3.2%

台湾籍

43件

1.1%その他

67件

1.7%

日本への出願

3,966件

日本国籍

69件

8.7% 米国籍

96件

12.1%

欧州国籍

28件

3.5%中国籍

24件

3.0%韓国籍

66件

8.3%

台湾籍

500件

63.1%

その他

10件

1.3%

台湾への出願

793件

740件

242件

321件209件

20件

25件

697件

881件

72件

53件

72件

41件

69件15件

53件

4件

17件

487件

130件

174件

243件

299件

45件

113件

19件

162件

101件

112件

386件

397件

Page 8: 令和元年度 特許出願技術動向調査 結果概要 スポー …...1 令和元年度特許出願技術動向調査 -スポーツ関連技術- 1.はじめに センサの小型化や測定精度の向上が進み、かつ安価になったことにより、センシング

7

出願人国籍(地域)や出願先国(地域)により近年の出願増減の傾向が異なってい

ることが分かった。この状況を詳しく調べるため、出願人国籍(地域)別に出願件数

推移を見ると、中国籍、韓国籍は、データベース収録の遅れ、PCT出願の各国移行のず

れ等の影響が大きい可能性のある 2017年を除いて見て、2014年以降、出願が大きく増

加している。それ以外の国籍は減少、または、横ばいとなっている(図 7)。

図 7 出願人国籍(地域)別出願件数推移

(日米欧中韓台への出願、出願年(優先権主張年):2006-2017年)

日米欧中韓台への出願全体におけるファミリー件数上位の出願人ランキングを表 1

に示す。2014年の前後で中国籍、韓国籍のプレイヤーが多く新たにランクインしてい

る。一方、2014年以前で上位にランクインしている「セイコーエプソン」「カシオ計算

機」「パナソニック」「ソニー」「住友ゴム工業」などの日本国籍の出願人は、2015年以

降も継続してランクインしており、日本国籍上位企業の強さが見られる(表 1)。

表 1 技術全体技術全体-ファミリー件数上位出願人ランキング

(日米欧中韓台への出願、出願年(優先権主張年))

左図:2006-2014年、右図:2015-2017年

順位 出願人 件数 out1 ナイキ(米国) 2892 セイコーエプソン 2223 カシオ計算機 1524 パナソニック 1415 ソニー 1326 ゴルフゾン(韓国) 1257 マイクロソフト(米国) 112 〇8 フィットビット(米国) 72 〇9 サムスン電子(韓国) 69

10 住友ゴム工業 6311 アディダス(ドイツ) 62 〇12 ポラール・エレクトロ(フィンランド) 59 〇13 アメアスポーツ(フィンランド) 58 〇14 アップル(米国) 5715 ブラザー工業 55 〇16 フィリップス(オランダ) 5316 アイコンヘルス&フィットネス(米国) 53 〇18 セイコーインスツル 4919 キャロウェイゴルフ(米国) 48 〇20 インテル(米国) 4520 ユピテル 45 〇22 横浜ゴム 42 〇23 ハルビン師範大学(中国) 41 〇23 コナミ 41 〇25 日本電気 39 〇26 ヤマハ 38 〇26 日立製作所 38 〇28 NTT 3728 IBM(米国) 3730 韓国科学技術院(韓国) 36

順位 出願人 件数 in1 セイコーエプソン 1882 カシオ計算機 623 サムスン電子(韓国) 574 ソニー 545 ナイキ(米国) 436 杭州Qianboテクノロジー(中国) 40 〇7 富士通 38 〇8 ゴルフゾン(韓国) 369 NTT 35

10 住友ゴム工業 3210 パナソニック 3210 IBM(米国) 3213 韓国電子通信研究院(韓国) 30 〇13 寧波Bulaiweierプロダクトデザイン(中国) 30 〇13 インテル(米国) 3016 中国科学院(中国) 29 〇17 シャオミ(中国) 27 〇17 フィリップス(オランダ) 2719 フィコム(中国) 25 〇20 BOEテクノロジー(中国) 24 〇21 キヤノン 22 〇21 韓国科学技術院(韓国) 2221 スウォッチ(スイス) 22 〇24 アップル(米国) 2125 オムロン 18 〇25 リアルベースボールゾーン(韓国) 18 〇25 SGM(韓国) 18 〇25 LGエレクトロニクス(韓国) 18 〇29 ZTE(中国) 17 〇29 仏山Shenfengアビエーションテクノロジー(中国) 17 〇

0

200

400

600

800

1,000

1,200

1,400

1,600

2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017

出願

件数

出願年(優先権主張年)

出願人国籍(地域)

日本国籍 米国籍 欧州国籍中国籍 韓国籍 台湾籍その他国籍

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017

出願

件数

出願年(優先権主張年)

出願人国籍(地域)

中韓 中韓以外

Page 9: 令和元年度 特許出願技術動向調査 結果概要 スポー …...1 令和元年度特許出願技術動向調査 -スポーツ関連技術- 1.はじめに センサの小型化や測定精度の向上が進み、かつ安価になったことにより、センシング

8

(2)技術区分別動向

特許出願で「目的」別のフ

ァミリー件数推移を見ると、

「みる」市場に該当する「観

戦支援」よりも、「する」市

場やそれを「ささえる」市場

に該当する「トレーニング管

理」や「競技管理」、「健康

目的の運動」の件数が多い

(図 8)。

図 8 技術区分「目的」 – 出願人国籍(地域)別

–ファミリー件数

(日米欧中韓台への出願のうち国外出願、出願年

(優先権主張年):2006年-2017年)

中国籍・韓国籍以外の国籍(地域)によるファミリー件数の 2006年から 2014年の年平

均増加率を横軸に、2014年から 2016年の年平均増加率を縦軸にとり、技術区分をプロッ

トした(図 9~12)。ただしここで、2006年から 2014年の年平均増加率とは、2006年か

ら 2014年に同じ割合で増加しているとしたときの 1年当たりの増加率である。2014年ま

での年平均増加率が正で、2014年以降の年平均増加率が高い技術区分は、年平均増加率

が上がっている、成長分野と考えることができる。2014年までの年平均増加率が負で、

2014年以降の年平均増加率が高い技術区分は、減少から増加またはなだらかな減少に転

じている、再脚光分野と考えることができる。「対象技術」の「センシング」の「測定対

象」で、「視聴者」「チーム」が再脚光分野となっているのが注目される(図 9)。「解析」

では、「機械学習」「負荷」「選手のコンディション」「フォーメーション」が成長分野とな

っており、「ルールベース」が再脚光分野となっていることが注目される(図 10)。

図 9(左)「対象技術」の「センシング」の「測定対象」に関する技術区分

図 10(右)「対象技術」の「解析」に関する技術区分

中国籍・韓国籍以外の 2014年までの年平均増加率×2014年以降の年平均増加率

(日米欧中韓台への出願のうち国外出願、出願年(優先権主張年):2006年-2017年)

運動する人チーム

観衆

視聴者

投射物

バット等

その他スポーツ器具

プレー環境

-1

-0.8

-0.6

-0.4

-0.2

0

0.2

0.4

0.6

0.8

1

-0.3 -0.2 -0.1 0 0.1 0.2 0.3 0.4

中国籍・韓国籍以外の

2014年以降の年平均増加率

中国籍・韓国籍以外の2014年までの年平均増加率

ルールベース

機械学習

個体識別

フォーム

軌道

フォーメーション

目的音抽出

音声入力

負荷

選手のコンディション

環境のコンディション

能力

パフォーマンス予測

シーン採点

戦略

-1

-0.8

-0.6

-0.4

-0.2

0

0.2

0.4

0.6

0.8

1

-0.3 -0.2 -0.1 0 0.1 0.2 0.3

中国籍・韓国籍以外の

2014年以降の年平均増加率

中国籍・韓国籍以外の2014年までの年平均増加率

競技スポーツ 625 721 711 856 873 920 1,117 1,319 1 367 1 502 1 785 1 575

・トレーニング管理 464 552 491 598 583 621 696 1,007 1,030 1,082 1,338 1,187

・競技管理105 107 151 164 220 194 261 276 211 283

341 298

・観戦支援46 62 72 89 87 128 166 170 162 149 141 108

・運営強化35 53 68 62 66 81 117 201 160 143 162 125

・マーケティング41 35 52 37 68 71 104 87 59 46 36 23

・その他1 2 1

レクリエーションスポーツ51 49 70 76 92 15 137 131 222 215 85 61

・多様な人の参加13 14 28 7 6 12 25 9 7 19 12 15

・その他1 1 1 3 1

健康目的の運動 264 298 303 345 316 362 501 488 568 726 801 932

・予防医療89 126 82 70 63 68 78 89 134 229

413 539

・リハビリ91 90 106 113 95 36 162 152 193 246 219 261

・その他1

技術区分「目的」

出願年(優先権主張年)

2009200820072006 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017

Page 10: 令和元年度 特許出願技術動向調査 結果概要 スポー …...1 令和元年度特許出願技術動向調査 -スポーツ関連技術- 1.はじめに センサの小型化や測定精度の向上が進み、かつ安価になったことにより、センシング

9

「対象技術」の「提示」では、「VR・ARトレーニング」「VR・AR観戦」「VR・ARスポー

ツ」が成長分野の最も近くに位置することが注目される(図 11)。

「技術課題」では、「耐環境・再現性」「簡便性」「高精度化」「公平性」「正確な再現」

が成長分野となっていること、「高臨場感」が再脚光分野となっていることが注目される

(図 12)。

図 11(左)「対象技術」の「提示」に関する技術区分

図 12(右)「技術課題」に関する技術区分

中国籍・韓国籍以外の 2014年までの年平均増加」×2014年以降年平均増加率

(日米欧中韓台への出願のうち国外出願、出願年(優先権主張年):2006年-2017年)

国内外のファミリー件数全体に占める日本国籍によるものの比率を横軸に、米国籍によ

るファミリー件数の 2006年から 2016年の年平均増加率を縦軸に、技術区分をプロットし

た。「対象技術」の「センシング」の「測定手段」では「慣性センサ」について、米国籍

が注力度を高めており、中国籍・韓国籍との競争が増している中で日本国籍の出願比率が

高いことが注目される。また、「圧力センサ」が、日本国籍の技術蓄積が少ない中で中国

籍・韓国籍との競争が増している技術分野となっていることが注目される(図 13)。

「解析」で、成長分野と分析された「機械学習」「負荷」について、米国籍が注力度を

高めている中で日本国籍と米国籍の出願比率が拮抗していることが注目される。また、

「能力」「パフォーマンス予測」が、日本国籍の技術蓄積が少ない中で中国籍・韓国籍と

の競争が増している技術分野となっていることが注目される。(図 14)。

映像編集

3D映像生成

音響生成

体感生成

配信

選択

VR・ARトレー

ニング

VR・ARスポーツ

VR・AR観戦

-1

-0.8

-0.6

-0.4

-0.2

0

0.2

0.4

0.6

0.8

1

-0.3 -0.2 -0.1 0 0.1 0.2 0.3

中国籍・韓国籍以外の

2014年以降の年平均増加率

中国籍・韓国籍以外の2014年までの年平均増加率

低コスト化

センサの小型化

センサの省電力化

時間分解能向上

空間分解能向上

測定距離

耐環境・再現性

配置

自動制御

キャリブレーション

簡便性

支障低減

安全性防水

無線通信

高精度化

公平性

高速化

リアルタイム性

同時多数認識

高臨場感

解像度向上

正確な再現

-1

-0.8

-0.6

-0.4

-0.2

0

0.2

0.4

0.6

0.8

1

-0.3 -0.2 -0.1 0 0.1 0.2 0.3

中国籍・韓国籍以外の

2014年以降の年平均増加率

中国籍・韓国籍以外の2014年までの年平均増加率

Page 11: 令和元年度 特許出願技術動向調査 結果概要 スポー …...1 令和元年度特許出願技術動向調査 -スポーツ関連技術- 1.はじめに センサの小型化や測定精度の向上が進み、かつ安価になったことにより、センシング

10

図 13(左)技術区分「対象技術」の「センシング」の「測定手段」に関する技術区分

図 14(右)技術区分「対象技術」の「解析」に関する技術区分

(上段)「日本国籍の出願比率」×「米国籍の年平均増加率」

(下段)「日本国籍の件数比率」×「中国籍・韓国籍の年平均増加率」

(日米欧中韓台への出願のうち国外出願、出願年(優先権主張年):2006年-2017年)

「対象技術」の「提示」で、最も成長性が高いと分析された「VR・ARトレーニング」

「VR・AR観戦」「VR・ARスポーツ」について、米国籍が注力度を高めている中で日本国籍

の出願比率が低いことが注目される。また、「VR・AR観戦」は中国籍・韓国籍がほとんど

進出していない技術分野となっているのに対し、「VR・ARトレーニング」「VR・ARスポー

ツ」は日本国籍の技術蓄積が少ない中で中国籍・韓国籍との競争が増している技術分野と

なっていることが注目される(図 15)。

「技術課題」で、成長分野と分析された「簡便性」「高精度化」「正確な再現」につい

て、米国籍が注力度を高めている中で日本国籍の出願比率が高いことが注目される。一

方、成長分野の「耐環境・再現性」について、米国籍が注力度を高めている中で日本国籍

の出願比率が低いことが注目される。また、「高臨場感」が、日本国籍の技術蓄積が少な

い中で中国籍・韓国籍との競争が増している技術分野となっていることが注目される(図

16)。

RFID

位置情報デバイス

慣性センサ

磁気センサ

RGBカメラ

レーザー

赤外線カメラ

レーダー

カメラアレイ

圧力センサ

マイク

-0.2

-0.15

-0.1

-0.05

0

0.05

0.1

0.15

0.2

0 0.05 0.1 0.15 0.2 0.25 0.3

米国籍の年平均増加率

日本国籍の出願比率

ルールベース

機械学習

個体識別

フォーム

軌道

目的音抽出音声入力

負荷

選手のコンディション

環境のコンディション

能力

パフォーマンス予測

シーン

採点

-0.2

-0.15

-0.1

-0.05

0

0.05

0.1

0.15

0.2

0 0.05 0.1 0.15 0.2 0.25 0.3

米国籍の年平均増加率

日本国籍の出願比率

位置情報デバイス

慣性センサ

磁気センサ

RGBカメラ

レーザー赤外線カメラ

圧力センサ

マイク

0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0 0.05 0.1 0.15 0.2 0.25 0.3

中国籍・韓国籍の年平均増加率

日本国籍の件数比率

ルールベース

個体識別

フォーム

軌道

音声入力

負荷

選手のコンディション

環境のコン

ディション

能力

パフォーマンス予測

シーン

採点

0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0 0.05 0.1 0.15 0.2 0.25 0.3

中国籍・韓国籍の年平均増加率

日本国籍の件数比率

Page 12: 令和元年度 特許出願技術動向調査 結果概要 スポー …...1 令和元年度特許出願技術動向調査 -スポーツ関連技術- 1.はじめに センサの小型化や測定精度の向上が進み、かつ安価になったことにより、センシング

11

図 15(左)「対象技術」の「提示」に関する技術区分

図 16(右)「技術課題」に関する技術区分

(上段)「日本国籍の出願比率」×「米国籍の年平均増加率」

(下段)「日本国籍の件数比率」×「中国籍・韓国籍の年平均増加率」

(日米欧中韓台への出願のうち国外出願、出願年(優先権主張年):2006年-2017年)

映像編集

3D映像生成

音響生成

体感生成

配信選択

VR・ARトレーニング

VR・ARスポーツ

VR・AR観戦

-0.2

-0.15

-0.1

-0.05

0

0.05

0.1

0.15

0.2

0 0.05 0.1 0.15 0.2 0.25 0.3

米国籍の年平均増加率

日本国籍の出願比率

低コスト化

センサの小型化

センサの省電力化

時間分解能向上

空間分解能向上

耐環境・再現性

自動制御

キャリブレーション簡便性

支障低減

安全性

防水

無線通信

高精度化

高速化

リアルタイム性

同時多数認識高臨場感

解像度向上

正確な再現

-0.2

-0.15

-0.1

-0.05

0

0.05

0.1

0.15

0.2

0 0.05 0.1 0.15 0.2 0.25 0.3

米国籍の年平均増加率

日本国籍の出願比率

映像編集3D映像生成

音響生成

体感生成

配信選択

VR・ARトレーニング

VR・ARスポーツ

0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0 0.05 0.1 0.15 0.2 0.25 0.3

中国籍・韓国籍の年平均増加率

日本国籍の件数比率

低コスト化

センサの小型化

自動制御

簡便性

支障低減

安全性

無線通信

高精度化

高速化リアルタイム性

高臨場感

0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0 0.05 0.1 0.15 0.2 0.25 0.3

中国籍・韓国籍の年平均増加率

日本国籍の件数比率

Page 13: 令和元年度 特許出願技術動向調査 結果概要 スポー …...1 令和元年度特許出願技術動向調査 -スポーツ関連技術- 1.はじめに センサの小型化や測定精度の向上が進み、かつ安価になったことにより、センシング

12

6.非特許文献動向

研究者所属機関国籍(地域)別の論文発表件数の推移をみると、全調査期間を通じて

増加傾向にあり、特に 2015年以降は大きく増加している。

研究者所属機関国籍(地域)の比率をみると、欧州国籍が 48.0%と最も多く、次いで

米国籍(17.5%)、日本国籍(3.0%)、中国籍(1.9%)、韓国籍(1.1%)の順である。その

他の国籍では、オーストラリア(11.5%)が最も多く、次いでブラジル(4.9%)、カナダ

(3.2%)の順である。

国籍(地域)別の推移をみると、調査期間を通じて欧州国籍が多い。また、2015年以

降に米国籍が大きく増加している(図 17)。

図 17 研究者所属機関国籍(地域)別論文発表件数比率及び論文発表件数推移 6

(発行年:2006-2018年)

6研究者の所属機関及び国籍が不明な論文(12件)を除く。

日本国籍

223件

3.0%米国籍

1,286件

17.5%

欧州国籍

3,530件

48.0%

中国籍

137件

1.9%

韓国籍

79件

1.1%

台湾籍

85件

1.2%

その他国籍

2,013件

27.4%

合計

7,353件

210 239 254

379 400 365

420 452

551

827

910

1,020

1,326

0

200

400

600

800

1,000

1 200

1,400

0

100

200

300

400

500

600

700

2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 2014 2015 2016 2017 2018

合計論文発表件数(件)

研究者所属機関国籍・地域別論文発表件数(件)

発行年

日本国籍 米国籍 欧州国籍 中国籍

韓国籍 台湾籍 その他 合計

研究者所属機関国籍・地域

発行年

2006-2018年

Page 14: 令和元年度 特許出願技術動向調査 結果概要 スポー …...1 令和元年度特許出願技術動向調査 -スポーツ関連技術- 1.はじめに センサの小型化や測定精度の向上が進み、かつ安価になったことにより、センシング

13

7.提言

調査分析結果を踏まえた提言を以下に示す。

【提言 1】スポーツ関連技術のビジネス活用に向けた、成長性の高い技術分野、日本国

籍に強みのある技術の活用への注力

日本企業は、スポーツ ICT 市場の中でも規模の大きい「みる」市場、それに比して

市場規模は未だ大きくないが技術蓄積が豊富で、プロスポーツ、競技スポーツ向け

のみならず、一般の人のスポーツや運動向けへと展開することで、大きな潜在市場

がある「する」「ささえる」市場に向け、スポーツ関連技術の展開を図るべきである。

そのため、特許出願などから見られる技術動向を踏まえ、今後成長性の高い技術分

野、日本国籍に強みがある技術の活用に向けた技術開発を推進すべきである。

【提言 2】観戦支援など「みる」市場で注目される技術への注力

日本企業は、付加価値のある解説情報提供のための「フォーメーション」「シーン」

などの解析技術、高度な映像サービスのための「映像編集」「音響生成」、カメラの

「配置」や「自動制御」「キャリブレーション」、その「高臨場感」などのスポーツの

現場と連携した技術開発を強化すべきである。また、今後の 5G利活用によるスタジ

アムにおける観戦体験の向上に資する技術として「VR・AR 観戦」、その「解像度向

上」、単に競技を見るだけでなくスタジアムで観戦する観衆や放送・通信で観戦する

視聴者同士の交流やインタラクション、その場の緊張感や盛り上がりの様子、選手

の頑張り具合などを共有して楽しむことも観戦体験の一環として提示する「交流の

場形成」、手に汗握る状況、心拍数、歓声などの計測・活用、配信を通じた遠隔地で

の観戦の拡大に向け「マルチスクリーン」などの技術への取り組みを進めるべきで

ある。

【提言 3】「する」「ささえる」市場で極めるスポーツにとって価値の高い技術の強化

日本企業は、「能力」「パフォーマンス予測」「戦略」「負荷」「選手のコンディション」

の解析、その「リアルタイム性」など、選手やチームのパフォーマンス向上やプレ

ーの安全性に効果がある技術や、「採点」「その他審判」など、プロスポーツ、競技ス

ポーツで重要性の高い「公平性」を担保するためのスポーツの現場と連携した技術

開発を強化すべきである。

【提言 4】一般の人がスポーツや運動を楽しみ、健康増進するための「する」「ささえ

る」市場にも適用できる技術の展開

日本企業は、一般の人が、スポーツや運動の効果や「負荷」を可視化したり、効果が

Page 15: 令和元年度 特許出願技術動向調査 結果概要 スポー …...1 令和元年度特許出願技術動向調査 -スポーツ関連技術- 1.はじめに センサの小型化や測定精度の向上が進み、かつ安価になったことにより、センシング

14

現れやすくしたり、過度な「負荷」を警告して安全性を高めたり、プレーしている

様子を共有できるようにしたりする、「スポーツウェア」「カメラアレイ」などによ

るセンシング技術、「軌道」「フォーメーション」「パフォーマンス予測」「シーン」

「採点」「その他審判」などの解析技術、「体感生成」「配信」「選択」などの提示技術

を、一般の人も活用できるよう展開を図るべきである。