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仕様設計 意匠・構造設計による収縮ひび割れ対策 調合設計による収縮ひび割れ対策 意匠・構造設計による 収縮ひび割れ対策 基本事項, 各部の設計 最小鉄筋比は外壁0.4%,内壁0.3% 壁の面積25m 2 以下,辺長比1.25以下 または,最小鉄筋比からの割増し対策 外壁は壁厚18cm以上,複筋配置 雨がかり外壁は仕上材・防水材使用が基本 端部外壁は斜めひび割れ対策 開口隅角部は誘発目地または斜め補強 設備配管類を埋設しないのが原則 c c 解説図 誘発目地の配置例 25m 2 以下 辺長比 l/h1.25 目地間隔3m以下 l h

意匠・構造設計による 仕様設計 収縮ひび割れ対策...仕様設計 意匠・構造設計による収縮ひび割れ対策 調合設計による収縮ひび割れ対策

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  • 仕様設計

    意匠・構造設計による収縮ひび割れ対策

    調合設計による収縮ひび割れ対策

    意匠・構造設計による収縮ひび割れ対策

    基本事項,

    各部の設計

    最小鉄筋比は外壁0.4%,内壁0.3%

    壁の面積25m2以下,辺長比1.25以下

    または,最小鉄筋比からの割増し対策

    外壁は壁厚18cm以上,複筋配置

    雨がかり外壁は仕上材・防水材使用が基本

    端部外壁は斜めひび割れ対策

    開口隅角部は誘発目地または斜め補強

    設備配管類を埋設しないのが原則

    c 壁 c 壁

    解説図誘発目地の配置例

    25m2以下辺長比 l/h≦1.25目地間隔3m以下

    lh

  • c 壁

    解説表 外壁の最終ひび割れ状況の試算結果の例(壁長5500mmの場合)

    内壁一般

    外壁一般

    c 壁

    解説図 建築物端部スパンに設ける補強筋(ダブル配筋)の例

    6-D13

    6-D13

    10-D13

    c 壁

    解説図 誘発目地による開口部の斜めひび割れ対策

    ×

    c 壁

    解説図 誘発目地がない場合の開口部補強の例

    鉄筋比1%相当

  • c 壁

    打放し仕上げ外壁の推奨例

    乾燥収縮ひずみの小さいコンクリートを使用

    辺長比1.0程度以下

    鉄筋比0.6%程度,誘発目地横筋の半数切断

    開口部では開口端部に誘発目地を設置

    建物端部スパンの斜めひび割れ対策の徹底

    表面保護材塗布

    最小鉄筋比は原則0.4%,一方向スラブ0.3%

    スラブ厚は15cm以上

    出隅・入隅部,開口部は補強

    設備配管類を埋設しないのが原則

    合成デッキスラブの最小鉄筋比も上記に準じる

    外部片持ちスラブは防水仕上げ

    d スラブ

    d スラブ

    5-D13@200 L=2000(上端筋の下側に配筋)

    解説図 出隅・入隅の補強例

    d スラブ

    解説図 開口補強の例

    600以下

    600以下開口

    n2本

    n1本

    n2/2と同等以上の補強筋

    n1/2と同等以上の補強筋

    D13

  • 目地の深さ(欠損率)は実壁厚の1/5以上,目地間隔は3m以下

    耐力壁については目地構造,配置を検討

    部材間の連続性を考慮して配置

    開口辺の欠込み部は目地配置を検討

    e 誘発目地 e 誘発目地

    解説図 スリットと誘発目地による腰壁のひび割れ対策の例

    e 誘発目地

    解説図 誘発目地のシーリングの例

    吹付けタイル

    弾性シーリング材

    タイル

    下地モルタル

    張付けモルタル

    弾性シーリング材

    弾性シーリング材

    バックアップ材

    e 誘発目地

    屋内

    屋外

    塩ビパイプ

    弾性シーリング材

    屋外

    40屋内

    増打ち

    2030

    60180

    2040

    弾性シーリング材

    解説図外壁の誘発目地の例

    解説図横筋を切断し,欠損材を挿入した誘発目地の例

  • e 誘発目地

    解説図耐力壁の誘発目地の例

    弾性シーリング材

    増打ち

    欠損用アングル

    増打ち

    ハーフPCa部材

    目地

    解説図ハーフPCa部材接合部の目地

    調合設計による収縮ひび割れ対策

    基本事項

    使用材料の選定

    調合の設定

    試し練りおよび材料・調合の見直しと確認

    基本事項

    a.設計者は,コンクリートの収縮ひび割れ制御のための設計値が達成されるように,使用するコンクリートの材料および調合を定める.

    b.構造体および部材の目標性能を満足するために,使用するコンクリートの乾燥収縮ひずみは800×10-6以下を標準とし,ブリ-ディング量は0.3cm3/cm2以下とする.

    c.設計者は以下の手順に従ってコンクリートの調合設計を行う.

    ①使用材料の選定,②調合の設定,③試し練りおよび材料・調合の見直し

    解説表 修正ベース・マレー式による,コンクリートの乾燥収縮ひずみ,鉄筋比,部材の拘束度とひび割れ幅およびひび割れ本数の関係

  • ・収縮ひび割れ幅w(mm)は,

    ・収縮ひび割れ本数m (本)は,

    係数および固定値:εsh(t,t0):コンクリートの収縮ひずみ, λ:拘束度n:ヤング係数比でクリープ係数φ(t,t’)=1固定で計算εt:コンクリート引張限界ひずみ(εt=0.0001に固定)a:比例定数(a=0.05に固定)b:クリープを考慮した低減係数(b=2に固定)L:部材スパン(mm)

    解説図 乾燥収縮ひずみとひび割れ幅の関係に及ぼす鉄筋比と拘束度の影響

    拘束度0.3~0.5程度で収縮ひび割れ制御の設計値を達成するには、800×10-6以下(部材レベルでは650×10-6以下(鉄筋比0.4%))が必要→「800×10-6以下」を標準仕様とした

    p.107

    解説図 乾燥収縮ひずみとひび割れ本数の関係に及ぼす鉄筋比と拘束度の影響

    拘束度0.3~0.5で、ひび割れ本数を2~3本と目地本数以下とするには、800×10-6以下(部材レベルで650×10-6以下(鉄筋比0.4%))が必要→「800×10-6以下」を標準仕様

    p.107

    解説図 乾燥収縮ひずみとひび割れ本数の関係に及ぼす鉄筋比と拘束度の影響

    拘束度0.5より大,誘発目地本数<ひび割れ本数→「650×10-6以下」の高級仕様,「500×10-6以下」の特級仕様が必要となる

  • 解説図 乾燥収縮ひずみ調査データ

    良質な骨材を用いる工場の選定などが必要

    1979年の乾燥収縮ひずみ調査データ

    1990年代後半までの乾燥収縮ひずみ調査データ

    約100×10-6増大

    解説図 ブリーディング量と単位水量の関係

    単位水量180kg/m3以下でブリーディング量0.3cm3/cm2

    以下を概ね満足する

    解説図 調合設計の流れ

    使用材料の選定および

    調合の設定

    試し練りによる乾燥収縮ひずみおよびブリーディング量の確認

    使用材料・調合の確定

    設計値を満足?

    無一般要求(ex. JIS品)に対する標準的調合の有無?

    Yes

    No

    使用材料・調合の見直しと確認

    開 始

    終 了

    使用材料の選定

    解説図 セメントの種類が乾燥収縮ひずみに及ぼす影響

    セメントの種類

  • 使用材料の選定

    解説図

    セメントの種類

    セメントの種類によるひび割れ発生日数の違い

    使用材料の選定

    解説図 セメントの種類が自己収縮ひずみに及ぼす影響

    セメントの種類

    使用材料の選定

    骨材は,JIS A 5308(レディーミクストコンクリート)附属書1(規定)(レディーミクストコンクリート用骨材)の規定に適合するものを用いる.

    (2)

    乾燥収縮ひずみに影響を及ぼす骨材の品質

    ①ヤング係数、 ②実積率

    ③細骨材の粗粒率、④粗骨材の最大寸法

    ⑤骨材の吸水率、 ⑥細骨材の微粒分量

    JISの品質規格に適合する骨材であっても,乾燥収縮ひずみができるだけ小さくなるものを選定することが望ましい.

    〔本 文〕 b項

    使用材料の選定

    解説図 砕石用原石の種類とひび割れ発生日数

    石灰石砕石を用いたコンクリートがひび割れ抵抗性に優れていることが認められる.

    原石の種類として,良質の川砂利または石灰石砕石が乾燥収縮ひずみが小さくなる.(解説図4.30)

  • 使用材料の選定

    フライアッシュ

    ◆フライアッシュセメントと同様な乾燥収縮ひずみの低減効果が期待できることが確認されている

    ◆産地ごとの品質のバラツキがあり,強度発現が遅くなる,中性化が大きくなるなど,他の品質に及ぼす影響に留意する必要がある.

    高炉スラグ微粉末

    ◆乾燥収縮ひずみの最終値は無混入コンクリートと同程度であるものの,十分な初期養生が不足した場合には乾燥収縮ひずみが大きくなる.

    ◆近年環境対応として,地下構造物などに用いる場合があり,事前に収縮ひび割れに対する対策を講ずる必要がある.

    使用材料の選定

    膨張材

    コンクリートの初期硬化過程で膨張し,その反力としてコンク

    リートに圧縮応力を生じさせ,乾燥収縮によって生じる引張

    応力を低減する

    膨張材の効果を評価する指標として,拘束膨張率(JIS A 6202附属書2)が用いられ,150×10-6以上が得られることが確認されている.

    使用材料の選定

    解説図 膨張材混和コンクリートの長さ変化率

    使用材料の選定

    解説図 収縮低減剤による乾燥収縮ひずみの低減効果

    収縮低減剤

  • 使用材料の選定

    解説図 収縮低減剤を併用した膨張コンクリートの乾燥収縮

    使用材料の選定

    収縮低減剤

    ◆銘柄によって「空気連行性」や逆に「消泡性」を有するため

    空気調整においては,消泡剤またはAE剤を適切に選定して用いる必要がある.

    ◆空気量の安定性が悪い場合には,凍結融解に対する抵抗

    性が小さくなることもあるため,凍結融解作用の影響が無

    視できない寒冷地では,事前に凍結融解抵抗性を確認して

    から用いる必要がある.

    調合の設定

    a. 設計者は,コンクリートの収縮ひび割れ制御のための設計値が達成されるように調合を設定する.

    収縮ひび割れの原因となる乾燥収縮およびブリーディングについて直接または間接的に対応する

    調合設定上の方法を規定

    〔本 文〕

    b. 調合はJASS 5「5節 調合」によるほか,以下に示す調合上の対策を講じる.

    調合の設定

    (1)単位粗骨材量(2)単位水量(3)水セメント比(4)単位セメント量

    標準仕様の乾燥収縮ひずみ800×10-6以下およびブリーディング量0.3cm3/cm2以下を満足するために特に付加すべき調合上の対策を規定

    〔本 文〕

  • 調合の設定

    単位粗骨材量は,コンクリートに所要のワーカビリティーが得られる範囲内で,できるだけ大きく定める.

    (1)

    骨材がセメントペーストの収縮を拘束→単位粗骨材量がコンクリートの乾燥収縮に大きく影響する.

    解説表(コンクリートの調合設計指針)に示す単位粗骨材かさ容積の標準値をもとに,粗骨材の最大寸法等を考慮して,試験もしくは信頼できる資料に基づいて定める.

    解説図 骨材の体積率がコンクリートの収縮に及ぼす影響

    コンクリートの乾燥収縮ひずみは骨材の容積率の増大に伴って減少する.

    →容積率増加

    コンクリートの収縮率減少

    調合の設定

    180

    0.3

    ブリーディング量0.3cm3/cm2以下⇒W=180kg/m3以下と定めた.

    *JASS 5の乾燥収縮ひずみ800×10-6以下にする単位水量185kg/m3程度以下に対して,さらに安全側に設定したもの

    (2) 単位水量は180kg/m3以下とし,所要のワーカビリ

    ティーが得られる

    範囲内で,できる

    だけ小さく定める.

    解説図

    調合の設定

    水セメント比が乾燥収縮ひずみやブリーディングに及ぼす影響はあまり明確ではないが,耐久性に対しては,水セメント比の小さいコンクリートほどセメントペーストの組織が緻密になり耐久性が向上する.

    ⇒耐久性の確保より水セメント比を60%以下

    水セメント比は60%以下とする.(3)

  • 調合の設定

    単位セメント量は,270 kg/m3以上450 kg/m3以下とする.

    (4)

    単位セメント量があまり少いと,コンクリートのワーカビリティーが著しく悪くなり,充てん性も低下し仕上がり・水密性・耐久性などに悪影響を及ぼす.⇒ C=270kg/m3以上(JASS 5と同じ)

    単位セメント量が必要以上に多いと,経済上不利になる,水和熱の増大による温度ひび割れの危険性が増す,クリープや乾燥収縮が大きくなるなどの弊害が生じる.⇒Fc=36N/mm2以下,Wの最大値180kg/m3を考慮し,C=450kg/m3以下

    試し練りおよび材料・調合の見直しと確認

    〔本文の構成〕

    a.試し練りあるいは信頼できる資料による品質の確認

    b.材料・調合の見直し

    c.品質の再確認

    試し練りおよび材料・調合の見直しと確認

    <試験方法>

    ・乾燥収縮ひずみ:7日間標準養生→

    基長→ 20±3℃、60±5%、6ヶ月、JIS A 1129ただし、膨張材を使用する場合、

    標準使用:メーカーの技術資料それ以外の使用:JIS A 6202

    ・ブリーディング量:JIS A 1123短期の乾燥収縮のデータから長期の乾燥収縮ひずみの推測例(乾燥期間4週と26週の関係、主として普通セメント使用)

    ・両者の比の平均値≒1.8(3.2節による検証でも同程度)・乾燥収縮ひずみの設計値:平均値に1σ程度を累加した値

    解説図 乾燥期間4週と26週の乾燥収縮ひずみの関係

  • 試し練りおよび材料・調合の見直しと確認

    〔本 文〕

    b.乾燥収縮ひずみおよびブリーディング量の設計値を満足しなかった場合には,使用材料または調合を見直す.品質の設計値との差異の程度に応じて,以下から適切な項目を選び,材料・調合の見直しを行う.(1)単位骨材量の見直し(2)単位水量の見直し(3)使用材料(骨材,セメントまたは混和材料)の見直し(4)石灰石骨材の使用(5)膨張材の使用(6)収縮低減剤の使用(7)上記(4)~(6)の併用

    <ポイント> 調合の見直し:収縮低減効果小使用材料の見直し:収縮低減効果大

    解説表 乾燥収縮ひずみを低減する目的で使用する材料の乾燥収縮低減効果例

    対策No.

    使用する材料

    対策の具体的内容

    期待される効果

    ① 石灰石骨材 石灰石骨材への骨材置換

    600~700×10-6

    の実現

    ② 膨張材 膨張材を標準量使用

    膨張材を使用しない場合より150×10-6以上の低減

    ③ 収縮低減剤 収縮低減剤を標準量使用

    収縮低減剤を使用しない場合より-15% ~-30%

    解説表 乾燥収縮ひずみの目標品質を満足するための使用材料の組み合わせの例(普通セメントを用いる場合)

    収縮低減の対象となるコンクリートの乾燥収縮ひずみ(×10-6)

    目標とするコンクリートの乾燥収縮ひずみ(×10-6)

    650~800

    (標準仕様)

    500~650

    (高級仕様)

    500以下

    (特級仕様)

    800~1000 低減0~20% 低減20~35% 低減35~50%

    ①又は②又は③

    ①+②又は①+③又は②+③

    ①+②+③

    650~800 低減0% 低減0~20% 低減20~40%

    - ①又は②又は③ ①+②又は①+③又は②+③

    500~650 - 低減0% 低減0~25%

    - - ②又は③

    解説図 材料・調合の見直しと確認手順の流れ

    Yes

    No

    ① ②

    開 始

    単位水量の見直し

    試し練りによる乾燥収縮ひずみおよびブリーディング量の確認

    終 了

    Case1:ブリーディング量がNG

    設計値満足?

    使用材料の見直し

    Case2:乾燥収縮ひずみがNG

    調合の再設定

    単位骨材量の見直し

  • 課題

    自分が関わる研究分野もしくは興味ある分野における性能型設計と仕様型設計について例を挙げて概要をA4 1枚で述べよ。

    END