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「グラフ理論」第 6 章グラフの平面性
Zeynep Yucel
岡山大学工学部情報系学科[email protected]
https://yucelzeynep.github.io/teaching.html
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ワグナーの定理
定理 2: ワグナーの定理グラフ G が平面的グラフである ⇔ G のすべての部分グラフは K3,3 と K5 どちらにも縮約可能ではない
⇐ の証明 :クラトウスキーの定理を仮定すれば明らか
⇒ の証明 : 次の事実を使って証明する:e が平面的グラフ G の辺ならG において e の辺を縮約して得るグラフ G 〈e〉 も平面的グラフである
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ワグナーの定理
• G : K5 に縮約可能なグラフ
• K5 の各点 v について, v と v 以外の4点を結ぶ4辺による誘導部分グラフの縮約前は, 次のどちらか:(2点間の線はグラフのパスを表す)
(a) (b)
• どの点も (b) の型なら G は K5 に位相同形
• 1 点でも (a) の型になっていれば, 残りの点がどちらの型になって いても G から 2 本の「パス」を除去して K3,3
に位相同形
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ワグナーの定理
• G : K5 に縮約可能なグラフ• K5 の各点 v について, v と v 以外の4点を結ぶ4辺による誘導部分グラフの縮約前は, 次のどちらか:(2点間の線はグラフのパスを表す)
(a) (b)
• どの点も (b) の型なら G は K5 に位相同形• 1 点でも (a) の型になっていれば, 残りの点がどちらの型になって いても G から 2 本の「パス」を除去して K3,3
に位相同形
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ワグナーの定理
• G : K5 に縮約可能なグラフ• K5 の各点 v について, v と v 以外の4点を結ぶ4辺による誘導部分グラフの縮約前は, 次のどちらか:(2点間の線はグラフのパスを表す)
(a) (b)
• どの点も (b) の型なら G は K5 に位相同形• 1 点でも (a) の型になっていれば, 残りの点がどちらの型になって いても G から 2 本の「パス」を除去して K3,3
に位相同形
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ワグナーの定理
• G : K5 に縮約可能なグラフ• K5 の各点 v について, v と v 以外の4点を結ぶ4辺による誘導部分グラフの縮約前は, 次のどちらか:(2点間の線はグラフのパスを表す)
(a) (b)
• どの点も (b) の型なら G は K5 に位相同形• 1 点でも (a) の型になっていれば, 残りの点がどちらの型になって いても G から 2 本の「パス」を除去して K3,3
に位相同形
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幾何学的双対
• G = (V ,E ) 平面グラフ ( 平面描画 )
• G ∗ = (V ∗,E ∗) は G に対する ( 幾何学的 ) 双対グラフ
• G の平面描画から G ∗ の平面描画を作成 :
◦ G の描画中の任意の面 f◦ G ∗ の点 v∗: f 内の任意の点, v∗ = α(f )G の各面 f で1点を選んで, G ∗ の点集合を作る◦ G の各辺 e に対応させて, G で e に接する2つの面で選んだ2点を結ぶ辺 e∗ を作る
• 辺 e と e∗ は丁度 1 回交差する
• G の次数が1の点が辺 e に接続 → G ∗ の辺 e∗ はループ
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幾何学的双対の平面描画の例
• G = (V ,E ) 平面グラフ ( 平面描画 )
• G ∗ = (V ∗,E ∗) は G に対する ( 幾何学的 ) 双対グラフ
◦ G の描画中の面◦ G ∗ の点 v∗: f 内の任意の点,v∗ = α(f )G の各面 f で1点を選んで, G ∗ の点集合を作る
◦ G の各辺 e に対応させて, G で eに接する2つの面で選んだ2点を結ぶ辺 e∗ を作る辺 e と e∗ は丁度 1 回交差する◦ G に次数が1の点があれば, G ∗
にループがある.
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幾何学的双対の平面描画の例
• G = (V ,E ) 平面グラフ ( 平面描画 )
• G ∗ = (V ∗,E ∗) は G に対する ( 幾何学的 ) 双対グラフ
◦ G の描画中の面
◦ G ∗ の点 v∗: f 内の任意の点,v∗ = α(f )G の各面 f で1点を選んで, G ∗ の点集合を作る
◦ G の各辺 e に対応させて, G で eに接する2つの面で選んだ2点を結ぶ辺 e∗ を作る辺 e と e∗ は丁度 1 回交差する◦ G に次数が1の点があれば, G ∗
にループがある.
f
g
h
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幾何学的双対の平面描画の例
• G = (V ,E ) 平面グラフ ( 平面描画 )
• G ∗ = (V ∗,E ∗) は G に対する ( 幾何学的 ) 双対グラフ
◦ G の描画中の面◦ G ∗ の点 v∗: f 内の任意の点,v∗ = α(f )G の各面 f で1点を選んで, G ∗ の点集合を作る
◦ G の各辺 e に対応させて, G で eに接する2つの面で選んだ2点を結ぶ辺 e∗ を作る辺 e と e∗ は丁度 1 回交差する◦ G に次数が1の点があれば, G ∗
にループがある.
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幾何学的双対の平面描画の例
• G = (V ,E ) 平面グラフ ( 平面描画 )
• G ∗ = (V ∗,E ∗) は G に対する ( 幾何学的 ) 双対グラフ
◦ G の描画中の面◦ G ∗ の点 v∗: f 内の任意の点,v∗ = α(f )G の各面 f で1点を選んで, G ∗ の点集合を作る
◦ G の各辺 e に対応させて, G で eに接する2つの面で選んだ2点を結ぶ辺 e∗ を作る辺 e と e∗ は丁度 1 回交差する
◦ G に次数が1の点があれば, G ∗
にループがある.
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幾何学的双対の平面描画の例
• G = (V ,E ) 平面グラフ ( 平面描画 )
• G ∗ = (V ∗,E ∗) は G に対する ( 幾何学的 ) 双対グラフ
◦ G の描画中の面◦ G ∗ の点 v∗: f 内の任意の点,v∗ = α(f )G の各面 f で1点を選んで, G ∗ の点集合を作る
◦ G の各辺 e に対応させて, G で eに接する2つの面で選んだ2点を結ぶ辺 e∗ を作る辺 e と e∗ は丁度 1 回交差する◦ G に次数が1の点があれば, G ∗
にループがある.
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幾何学的双対の平面描画の例
• G = (V ,E ) 平面グラフ ( 平面描画 )
• G ∗ = (V ∗,E ∗) は G に対する ( 幾何学的 ) 双対グラフ
◦ G の描画中の面◦ G ∗ の点 v∗: f 内の任意の点,v∗ = α(f )G の各面 f で1点を選んで, G ∗ の点集合を作る
◦ G の各辺 e に対応させて, G で eに接する2つの面で選んだ2点を結ぶ辺 e∗ を作る辺 e と e∗ は丁度 1 回交差する◦ G に次数が1の点があれば, G ∗
にループがある.
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幾何学的双対に関する命題
命題:G は連結平面的グラフ,G ∗ は G に対する ( 幾何学的 ) 双対グラフ
F は G の平面描画中の面全体,
F ∗ は G ∗ の描画中の面全体,
n = |V (G )|, m = |E (G )|, f = |F |n∗ = |V (G ∗)|, m∗ = |E (G ∗)|, f ∗ = |F ∗|→ n∗ = f , m∗ = m, f ∗ = n
G と G ∗ の平面描画に依存せずに成り立つ
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外平面的グラフの定義
• 外平面的グラフ: すべての点が1つの面の境界上に現れるように平面描画できる平面的グラフ
• 極大外平面的グラフ: 単純グラフである外平面的グラフのG が隣接していない任意の 2 点 v と w を辺で結ぶと外平面的グラフでなくなれば極大外平面的グラフと呼ばれる
• 極大外平面的グラフの平面描画の有限面はすべて三角形
極大ではない外平面的グラフ
極大外平面的グラフ
外平面的ではない平面的グラフ
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外平面的グラフの条件
• 次の条件 A, B, C は, どの一つも グラフ G が外平面的グラフであるための必要十分条件
◦ 条件 A: G と K1 (孤立点のみ) の結び G +K1 が平面的G +H: G の各点から H の各点へ辺を作る操作 (完全2部グラフ) (pp. 29)
◦ 条件 B: G は K4 または K2,3 の細分と同形な部分グラフを もたない◦ 条件 C: G に辺の開放除去と縮約を繰り返し適用してK4 あるいは K2,3 を作ることができない
K4 K2,3
• 外平面性の観点から, K4 と K2,3 は特別
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K4 と K2,3 が外平面的グラフでない理由
• K4 が外平面的グラフでない
◦ K4 + K1 は K5 になる◦ K5 の非平面性を証明済み◦ K4 は条件Aを満たさない → 外平面的ではない
• K2,3 が外平面的グラフでない
◦ K2,3 は外平面的であれば◦ K2,3 の外面に K1 を置いて◦ K1 と K2,3 の3点からなる部集合の各点を結んだら◦ K3,3 の平面描画を作れる◦ K3,3 の非平面性は証明済み → 矛盾
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グラフの交差数
• グラフ G の交差数は G を平面上に埋め込んだときの2辺の交差の最小数• グラフ G の交差数は cr(G ) で表す• 3本以上の辺が同一の点を通らないように埋め込むこと• グラフがどのくらい「平面的でないか」を測る尺度
x y z
u v wG1
v w
x y
z
G2
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グラフの厚さ
• グラフ G の厚さは G を平面的グラフの重ね合わせで表すときに使う平面的グラフの最小個数
• グラフ G の厚さは t(G ) で表す
◦ どのくらい「平面的でないか」を示す(交差数に類似)
• V (G1) = V (G2) = . . . = V (Gk) = V のとき,
G1, G2, . . ., Gk の重ね合わせは,(V ,⋃k
i=1 E (Gi ))
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