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「カネボウ ― ケイト」の広告
中国における日本化粧品広告の影響
問いと仮説問いと仮説
「カネボウ ケイト」(2011年秋アイシャドウ)は「日本風」イメ ジが強 「カネボウ―ケイト」(2011年秋アイシャドウ)は「日本風」イメージが強
い化粧品イメージ広告として、中国で調査を行うことになった。同じ商
品、広告であっても、同じ年齢層のターゲットが対象であっても、異な
る国、国籍、社会背景によって、必ず異なる意見、印象が生まれると考
える。
中国ではイメ ジ広告は使われることが非常に少なく 台詞が多い 中国ではイメージ広告は使われることが非常に少なく、台詞が多い
と一般的には認識されている。今回、「カネボウ―ケイト」(2011年秋アイ
シャドウ)のコマーシャルは中国の若いターゲットにとって、全て理解す
るのは難しいことだと仮説をたてた。
市場背景【中国市場における国籍別ブランドポジショニングイメ ジ】
化粧水価額
【中国市場における国籍別ブランドポジショニングイメージ】
各グレートの市場規模イメージ
国別ブレンド欧米系 日系** 韓国系・中国系
プレ ● SHU UEMURAステージ
(600元~)
● Dew Superior (カネボウ)
● メナード● POLA● Episteme
● LANCOME
● SK-II
● CHANEL● Dior● HR
● SHISEIDO
● FANCL● コーセー
ハイ
エンド
(300~500元)
● AUPRES (資生堂)● BRNCHIR SUPERIOR(カネボウ)
● ASTALIFT
● WHITIST(コーセー)● DHC
● CLINIQUE ● M.A.C
● LANEIGE (Amore Pacific)● ARTISTRY● BIOTHERM
● CLARINS● Kiehls
日系
■ MILD」を投入。
企業名 取り組み
■ 内陸部・地方都市市場/ミドルマス向けの商品として、化粧品専門店向けに
■ 「URARA」、ドラッグストア向けに「Za」、個人化粧品専門店店向けに 「PURE &
資生堂
<韓国系>● Amore Pacific
ミドル ● NEW YORKマス ● SKIN FOOD
(100~300元) <中国系>
● MISSHA● Za (資生堂)● AQUA LUNASH (カネボウ)● Nature&Co (コーセー)
● L'OREAL● MaryKay ● OLAY
● MAYBELLINE
● PONDS
● Urara (資生堂)● Avene ● THE FACE SHOP
■ 個人化粧品専門店を組織化
POSを使った販売管理や店員の教育研修など販売店の支援
■ 内陸部・地方都市市場/ミドルマス向けの商品として、化粧品専門店向けに
■ 現地生産ブランド「AQUA LUNASH」を投入
■ 内陸部・地方都市市場/ミドルマス向けの商品として、「Nature&Co」を投入
カネボウ
コーセー
日系日系日系日系
● releiver (メナード)
● ORBIS
ロー
エンド
● 佰草集● 自然堂● 相宜本草
● 大宝● 丁家宜● 隆力奇● 宝路絲
● CHIFURE
欧米系
■ 内陸部・地方都市市場/ミドルマス向けの商品として、「reliever」を投入
■ 中国系プレーヤーを買収
2003年12月、大衆ブランド「小護士」を買収
メナード
ロレアル エンド
(~100元)
● 宝路絲● 清妃
■ 中国系プレーヤーを買収
2011年4月、中国の日焼け止め販売最大プレーヤー「丁家宜 (TJOY)」を買収
グループ傘下の「羽新 (YUE-SAI)」を買収
2004年1月、中国の三大国産スキンケアブランドの中の一つで、米国コティ
コティ
欧米系欧米系
「 カ ネ ボ ウ ケ イ ト ( 年 秋 ア イ ド ウ )「 カ ネ ボ ウ ― ケ イ ト」 ( 2 0 1 1 年 秋 ア イ シ ャ ド ウ )
今回研究する「カネボウのケイト」は2010年9月1日から中華人民共和国(中国)に、日本市場における
セルフメイクシェアNo.1ブランド「KATE(ケイト)」(全139品種・9元~159元)を導入した。前のデータから
分析すると、ローエンド市場とミドルマス市場になる。 中国の「80后(バーリンホウ)」と呼ばれる若者をター
ゲットし、日本の主力メイクブランドをアピールし、中国市場における新規愛用者の獲得を目指す。導入流
通はドラッグストア系流通で、ヘルス&ビューティ領域でアジア最大級の小売チェーン「Watsons(ワトソン
ズ)」から先行導入をし、2010年末までに50店舗、2011年には100店舗体制を目指すそうである。
「TV系」(CM KaneboKATE 「ワイドエッジアイズ」篇木村カエラ)
先行研究九 州 大 学 蔵 薇 の 『 日 中 化 粧 品 広 告 デ ス ス の 対 照 分 析 広 告 の九 州 大 学 蔵 薇 の 『 日 中 化 粧 品 広 告 デ ィ ス コ ー ス の 対 照 分 析―広 告 の
発 話 内 容 を 中 心 に― 』
一点目は、日本の広告は品質の情報を重視する一方、中国の広告は商品とブランド中心と指摘している。
二点目は 中国側は権威者から 証言による ミ ケ シ は中国側 特徴と指摘して る 二点目は、中国側は権威者からの証言によるコミュニケーションは中国側の特徴と指摘している。
今回研究している「カネボウ―ケイト」(2011年秋アイシャドウ)というテーマはポスター広告の発話を中心として研究してい
ないが、テレビコマーシャルをカットし、分析すると、どんな国の化粧品広告でも日本側と中国側はメーカーの情報を強調して
いる。
化粧品広告は権威者、有名人を使用しておらず、一般人を起用して宣伝することは非常に少ないケースである。どこの
国の化粧品コマーシャルも有名人と専門家からの証言を利用するのは一般的だと思う。例として,「SKⅡ」日本の広告は女優
の綾瀬はるかを起用している。一方で、中国の広告は中国の女優(タン・ウェイ)を起用している。
日本 中国
調査・実験の設計と方法調査 実験の設計と方法
調査の手段はアンケートとインタビューを実施することになった。
調査対象は20代前半から20代後半までの女性を絞っている。外資企業cargillと中国の行政機関で30人にアンケートをした。インタビュー対象は24歳で中国の行政機関に働いている公務員である。
言語は中国標準語で行った。 言語は中国標準語で行った。
年齢(20前半~後半) 人数(30人)
22歳 3人
24歳 10人
25歳 6人
26歳 3人
27歳 4人27歳 4人
28歳 2人
29歳 2人
アンンケートト
調査・実験の結果の分析と考察調査・実験の結果の分析と考察
アンケートの結果を分析すると、欧米系化粧品広告と日系化粧品広告は何れも高い認知度を占めていることが分かる。特に、
日本化粧品メ カ 広告の認知度が中国で非常に高いことを知り その中でも日系の資生堂は圧倒的に多い日本化粧品メーカー広告の認知度が中国で非常に高いことを知り、その中でも日系の資生堂は圧倒的に多い。
日本の化粧品広告のイメージとしては品質がよく、おしゃれで、上品など、いい印象が多い。今回、ケイトの広告案でも品質が良
く、クールな印象を持っている人が多い。特に今回のコマーシャルはイメージ広告として、台詞がないため、音楽と最後のキャッチコ
ピーしかないので、他の面にタレントと広告の空間を注目する人の答えが最も多い。意味を理解しなくてもカッコいい印象を強く感じ
ることが分かる。しかし、この広告についていい印象を持っている人は多いが、この広告は何を伝えたいか、何を売りたいか理解しが
たいと回答した人も多い。内容は確かに新鮮でカッコいい感じであるが、内容が理解しにくいため、実際に広告を見って、興味を
持って買いたくなると答える人が半分以下である。結果として、中国の若者は日本のイメージ広告は受け入れて、いい印象を持って
いる一方で、具体的な意味を理解することが難しい。
調査の結果と今後の課題調査の結果と今後の課題
結果について、イメージ広告に対して、意味を理解しなくても、何を表現するのか
分からなくてもカッコいい印象を強く感じ、いいと思っている人が多いという現状が把
握できた 従って 仮説をたてたように 中国の若者女性にとって「カネボウ ケイト」握できた。従って、仮説をたてたように、中国の若者女性にとって「カネボウ―ケイト」
(2011年秋アイシャドウ)のテレビコマーシャルを深く理解することは困難であるが、イ
メージ広告が多くない中国においても、いいイメージを感じると答えた人が多いことを
考慮すると、ある程度イメージ広告は効果を果たしていると考える。
今後の課題について、今回このテーマはイメージ広告を中心とした調査であるが、
一つしか調査してないため、一般化しづらい。今後、日本メーカーの化粧品広告と欧調査 な た 、 般化 ら 。今後、日本メ 化粧品広告 欧
米メーカーの化粧品広告を同時に比較する研究にも取り組むべきと考える。
引用・参考文献リスト引用 参考文献リスト
井上輝子(1989)『女性雑誌を解読するCOMPAREPOLITAN 日 米 メキシ 比較研究』垣内出 井上輝子(1989)『女性雑誌を解読するCOMPAREPOLITAN―日・米・メキシコ比較研究』垣内出
版株式会社
中川 真紀子 「富国生命投資顧問(株)アナリストの眼 化粧品業界の現状と展望」 中川 真紀子 「富国生命投資顧問(株)アナリストの眼 化粧品業界の現状と展望」
http://www.fukoku-life.co.jp/economic-information/report/download/analyst_VOL210.pdf (2012.11.01入手)
日本貿易振興機構(ジェトロ)海外調査部『中国化粧品市場調査報告書』(2012年)
http://www.jetro.go.jp/jfile/report/07000887/cn_cosmetics_market.pdf (2012.11.01入手)
蔵薇「日本化粧品広告ディスコースの対照分析 広告の発話内容を中心に 」 『比較社会文化 蔵薇「日本化粧品広告ディスコ スの対照分析―広告の発話内容を中心に―」、『比較社会文化
研究』NO.26(2009)p.25~32