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令和2年11月12日 関係者各位 ミキサー食注入で健康をのぞむ会 代表 下釜櫻子 「既存規格接続コネクタ存続と使用継続の要望」への賛同のお願い 平素より障害者の福祉の向上と医療の充実にご理解ご支援いただき感謝申し上げます。 私たちは、様々な障害があるため経腸栄養で生命をつないでいる重度の障害児者とその家族の集まり です。 重症心身障害児者は、予想もしなかったアクシデントや病気に見舞われ、命を脅かす危機的な状況 に直面しながらも、懸命に乗り越えてきました。それは、「大切な命」として本人と家族と共に、力 を尽くして助けて下さった方々が存在したからにほかなりません。医療の方々からの専門的で実際的 な助け、行政による的確な支援、教育・福祉施設の指導と援助を受け、子供の命と共に家族も守られ てきたことと痛感し、感謝いたします。 「毎日の食事」の大切さは、言うまでもなく障害児者にとっても同様です。栄養指導によるミキサ ー食注入を実践することで、栄養を食品によって摂取できるようになりました。腸内の免疫細胞が活 性化し便秘は解消し、良い睡眠をもたらし、障害児者の健康状態が格段に改善され維持されてきたこ とを見て、その効果を実感してきました。ミキサー食注入の実践は、重症心身障害児者の各家庭に普 及し、施設、学校、病院においても提供されるようになりました。 昨年12月、他システムとの誤接続防止を目的とした国際規格の導入が開始され、既存規格接続コ ネクタが廃止されることが決定しました。この決定により「既存規格接続コネクタ(非ネジ式)」が 出荷停止となり「新規格接続コネクタ(ネジ式)」のみの供給になれば、ネジを回す作業を繰り返す ために、手指の酷使は増し、注入に要する時間は何倍にもなり、家族、施設等介護者の負担が増すこ とがわかりました(新規格接続コネクタを使ってアンケート調査実施、結果報告別紙にて)。このた め、ミキサ―食注入を続けていくことが困難になり、それは重症心身障害児者にとって生命を脅かす 一大事となります。「嘔吐」「下痢」「逆流性食道炎」「アレルギーの悪化」「肺炎」「拒食」「てんかん 発作の増加」などの、ミキサー食注入によって改善されていた症状が再発し、免疫力低下により感染 症にかかるリスクは増し、持病の悪化をも招き、生命を落とす危険性が高くなることは、家族がすで に体験していることです(母親の手記、別紙にて)。 重症心身障害という弱さを抱えた子供たちを介護する親たちは、健康状態が悪化していく子供から 目を離すことができず、ひたすら介護をするだけの日々を再び味わうことになります。しかし、ミキ サー食注入が継続し健康状態が安定する日常には、お互いの痛みと弱さを共有できるだけの、気持ち の余裕が生まれ、良きコミュニティが育まれていき、生きる力と勇気が湧いてきます。 ミキサー食注入を継続するために、「既存規格接続コネクタ(非ネジ式)」の存続と使用継続を可能 にしていただけるよう、各機関に要望書を提出しております。 ご賛同を賜りますよう何卒よろしくお願い申し上げます。ご賛同くださる場合は、 [email protected](下釜櫻子)までご連絡をお願いいたします。

令和年月 日ww100092/mikityu.pdf令和年月 日 関係者各位 ミキサー食注入で健康をのぞむ会 代表 下釜櫻子 既存規格接続コネクタ存続と使用継続の要望

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  • 令和2年11月12日

    関係者各位

    ミキサー食注入で健康をのぞむ会

    代表 下釜櫻子

    「既存規格接続コネクタ存続と使用継続の要望」への賛同のお願い

    平素より障害者の福祉の向上と医療の充実にご理解ご支援いただき感謝申し上げます。

    私たちは、様々な障害があるため経腸栄養で生命をつないでいる重度の障害児者とその家族の集まり

    です。

    重症心身障害児者は、予想もしなかったアクシデントや病気に見舞われ、命を脅かす危機的な状況

    に直面しながらも、懸命に乗り越えてきました。それは、「大切な命」として本人と家族と共に、力

    を尽くして助けて下さった方々が存在したからにほかなりません。医療の方々からの専門的で実際的

    な助け、行政による的確な支援、教育・福祉施設の指導と援助を受け、子供の命と共に家族も守られ

    てきたことと痛感し、感謝いたします。

    「毎日の食事」の大切さは、言うまでもなく障害児者にとっても同様です。栄養指導によるミキサ

    ー食注入を実践することで、栄養を食品によって摂取できるようになりました。腸内の免疫細胞が活

    性化し便秘は解消し、良い睡眠をもたらし、障害児者の健康状態が格段に改善され維持されてきたこ

    とを見て、その効果を実感してきました。ミキサー食注入の実践は、重症心身障害児者の各家庭に普

    及し、施設、学校、病院においても提供されるようになりました。

    昨年12月、他システムとの誤接続防止を目的とした国際規格の導入が開始され、既存規格接続コ

    ネクタが廃止されることが決定しました。この決定により「既存規格接続コネクタ(非ネジ式)」が

    出荷停止となり「新規格接続コネクタ(ネジ式)」のみの供給になれば、ネジを回す作業を繰り返す

    ために、手指の酷使は増し、注入に要する時間は何倍にもなり、家族、施設等介護者の負担が増すこ

    とがわかりました(新規格接続コネクタを使ってアンケート調査実施、結果報告別紙にて)。このた

    め、ミキサ―食注入を続けていくことが困難になり、それは重症心身障害児者にとって生命を脅かす

    一大事となります。「嘔吐」「下痢」「逆流性食道炎」「アレルギーの悪化」「肺炎」「拒食」「てんかん

    発作の増加」などの、ミキサー食注入によって改善されていた症状が再発し、免疫力低下により感染

    症にかかるリスクは増し、持病の悪化をも招き、生命を落とす危険性が高くなることは、家族がすで

    に体験していることです(母親の手記、別紙にて)。

    重症心身障害という弱さを抱えた子供たちを介護する親たちは、健康状態が悪化していく子供から

    目を離すことができず、ひたすら介護をするだけの日々を再び味わうことになります。しかし、ミキ

    サー食注入が継続し健康状態が安定する日常には、お互いの痛みと弱さを共有できるだけの、気持ち

    の余裕が生まれ、良きコミュニティが育まれていき、生きる力と勇気が湧いてきます。

    ミキサー食注入を継続するために、「既存規格接続コネクタ(非ネジ式)」の存続と使用継続を可能

    にしていただけるよう、各機関に要望書を提出しております。

    ご賛同を賜りますよう何卒よろしくお願い申し上げます。ご賛同くださる場合は、

    [email protected](下釜櫻子)までご連絡をお願いいたします。

  • 経腸栄養分野の新規格コネクタ使用に関するアンケート結果

    ミキサー食注入で健康をのぞむ会

    深町 真理・三嶋 末子

    Ⅰ.目的

    2019 年 12 月より血管、呼吸器、泌尿器などの他ルートと、胃ろうなど経腸ルートの誤接続防止のた

    め経腸栄養分野での新規格コネクタ導入が決定され、2021 年 11 月末には変換コネクタの支給も終了す

    ることが国の方針で決定しています。新規格コネクタ導入にあたり、多くの経管栄養利用者の保護者が

    不安に思っています。現時点では新規格のシリンジ、採液ノズル、新規格胃ろうの使用者がいないため、

    今回変換コネクタ B を用いてミキサー食の注入検証を行い、一連の操作による身体的負担、使用感につ

    いてアンケート調査を実施しました。

    Ⅱ.方法

    静岡市重症心身障害児(者)を守る会共催のもと、シリンジを使って胃ろうからの経管栄養食注入を行

    っている介護者に呼びかけ、それぞれの家庭で使用してもらい、使用感・負担について回答してもらいま

    した。回答はアンケート用紙への記入形式で実施期間は 2020.9.1~9.25 です。アンケートの配布・回答

    数は 26 でした。

    下記に今回アンケート対象者が使用した新規格のシリンジ、採液ノズル、変換コネクタ B とミキサー

    食の充填・注入方法について図示します。

    ① 左から採液ノズル、変換コネクタB、新規格

    シリンジを 1 セットとして、介護者に配布。

    ② 新規格シリンジに採液ノズルを付ける、薬や

    ミキサー食を吸い取る。採液ノズルをはずす。

    ③ 新規格シリンジに変換コネクタBをつけ、使

    用している栄養チューブに差し込み、注入す

    る。一食分の食事中使用してもらう。

    ② ③ ③

  • アンケート内容の概要は以下の通りです。

    1.回答者の属性

    使用者の年齢・介護者の年齢・ミキサー食の継続年数・一日の注入回数

    2.胃ろうチューブの抜去の危険性、事故、新規格コネクタ変更による子供の拘束の必要性の有無当等

    3.採液ノズルの付け外しの負担、注入剤吸い取り、注入の負担、変換コネクタに新規格シリンジを着脱

    する負担

    アンケートの項目に対しては、1:「全く負担はない」~5:「非常に負担がある」までの数字で評価し

    て回答してもらいました。

    Ⅲ.結果

    1.回答者の属性

    使用者の年齢は学齢(6~18 歳)14 名、青年期(18~39 歳)12 名でした。(グラフ1)介護者の年齢

    は 30~40 歳代 14 名、50~60 歳代 12 名でした。(グラフ2)経管栄養食の継続年数、一日の投与回数に

    ついては、グラフ3、グラフ4に示しました。

    2.胃ろうチューブ抜去の危険性

    過去に胃ろう抜去の危険性があったかという設問の結果、危険性を感じていた割合は 26%(グラフ5)

    で、実際に抜去事故があったのは 23%(グラフ6)でした。

    既存規格品では、体の移動や手の振り払いなどでチューブを引っ張られたり、何らかの力が加わった場

    合、差し込むだけのシリンジ-接続チューブ間や栄養セット-接続チューブ間部分で外れるが、新規格コネ

    クタでは、胃ろう-接続チューブ-シリンジ間がしっかり固定され、何らかの力が加わった場合、胃ろう部

    付近の受傷や胃ろうの抜去が従来品より発生するかもしれないとアンケート実施者が想定しました。そ

    の危険性を回避するため、「お子さんの拘束を考えますか」との設問をしたところ、「全く考えない」79%、

    「非常に考える」4%でした(グラフ7)。アンケート実施者が想定したように「接続チューブとシリン

    ジや栄養セットが固定されることで、何らかの力が加わった時に胃ろうボタンごと抜けてしまうのでは

    ないか」という自由記入欄への意見がありました。

    3.採液ノズルの付け外しの負担、注入剤吸い取り、注入の負担、変換コネクタに新規格シリンジを着脱

    する負担

    採液ノズルの付け外しを負担であると感じている介護者は半数以上でした。(グラフ8、10)負担を感

    じる代表的な意見は、「着脱固定などの作業工程が増えることで、時間がかかる」「洗い物が増える」「失

    くしてしまいそう」「置き場所に困る」「採液ノズルが外れやすく片手では吸い上げできない」「(コネクタ

    類が小さく)名前を付けられないので施設・学校で注入をお願いできない」などでした。

    採液ノズルを付けたシリンジでの注入剤の吸い取りへの負担に対して、「全く負担はない」は 27%、「非

    常に負担がある」27%と同数となりました(グラフ 9)。「(注入剤を)吸い取りやすい」「以前と変わらな

    い」という意見がある一方、「ミキサー食は吸い取りにくい」「薬を吸うには採液ノズルは必要」などがあ

    りました。また、注入剤を注入する負担についても、「全く負担はない」12%、「非常に負担がある」12%

    と同数となりました。(グラフ 12)「特に変わらない。」という意見がある一方、「白湯でも負担を感じる。」

    などがありました。

    変換コネクタBに新規格シリンジをつける負担の質問には、付けるときには「非常に負担がある」27%、

  • 外すときには「非常に負担がある」42%という結果になりました。(グラフ 11、12)意見としては、「ね

    じる動作が手首や肘へ負担をかけ、腱鞘炎の不安がある」という記載が多くありました。また、「変換コ

    ネクタBが接続チューブに深くはまってしまい、外すのが大変だった」という記載もありました。

    最後に一連の投与(注入)動作全体の負担感を尋ねた質問には、「全く負担はない」0%、「非常に負担

    がある」63%、「負担がある」29%、回答者のほとんどが負担を感じているという結果になりました。(下

    図)「細かい手間が増えて時間がかかる事と手首にかかる負担がある。」「作業工程が増えて、施設に頼み

    づらい。」などの意見がある一方、「慣れるしかない。」とあきらめの意見がありました。

    Ⅳ考察

    多くの介護者が新規格コネクタ変更による手首への負担・腱鞘炎の悪化、コネクタ清掃に要する手間、

    所要時間の増加、管理の難しさを訴えていました。この結果は、静岡市重症心身障害児(者)を守る会主

    催の「経腸栄養分野相互接続防止コネクタ(ISO80369-3)導入に対する在宅医療的ケア児者の介護者へ

    のアンケート」での介護者の不安と全く同じ事が証明されました。今回変換コネクタBを使って、新規格

    シリンジを接続しているので、半回転のひねりで接続できますが、新規格接続チューブでは1回転ひね

    らないと接続できないため、さらに手首や肘への身体的負担が増加します。

    吸い取りに関して「全く負担はない」「非常に負担がある」が同数になったのは、それぞれの家庭のミ

    キサー食濃度の違いにあると考えられます。カロリーを上げるために量を増やすということは、障害児

    (者)には嘔吐誘発の危険も高まり難しく、少ない量でカロリーをあげる事が重要です。栄養価を上げた

    粘度が高いミキサー食では新規格シリンジでは吸い取りにくいと考えられます。介護者の回答では、水

    分量を増やさないと新規格シリンジは使えないと懸念する意見もありました。それはすなわち、使用者

    の栄養不足につながる恐れがあります。また、注入回数を増やすことで一日のカロリーを補うために、介

    護者の負担を増やすことが想定されます。

    変換コネクタBに関して、現行の接続チューブの溝にねじ込まれてしまうため、外すのが大変だったと

    いう意見がありました。ミキサー食注入は何回もシリンジを接続、押すという作業があるため、その間に

    コネクタ部分が押し込まれてしまいます。在宅介護者にとってはさらに負担が増しています。

    ①全く負担はない

    0%

    4% ③

    4%

    29%

    ⑤非常に負担があ

    63%

    一連の投与(注入)動作全体の負担感はどうですか?

  • 今回のアンケートでは、長期間使用しての耐久性や接続部の衛生管理については検証できませんでし

    たが、長期間の使用によるシリンジのネジ部分や採液ノズルや変換コネクタBの劣化は大丈夫なのか、

    ネジ部分を清潔に保てるのかなどを懸念する意見はありました。在宅ならではの不安ではありますが、

    自己負担額の増加を考えると頻繫に交換することはできません。また、部品が増えることで保管場所に

    困る。失くしてしまったら注入はできなくなるなどの意見もありました。学校や施設のように数人の胃

    ろうケア児(者)がいるような状況では、さらに管理が難しくなり、介護者が依頼しづらくなるという意

    見もあり、結果的に十分な栄養の摂取が妨げられ、子どもの健康を犠牲にしてしまうことが想定されま

    す。

    また在宅では誤接続による医療事故の可能性は低い考えられる一方で、新規格コネクタでは胃ろうか

    らシリンジや栄養チューブまでがしっかり固定されてしまうため、何らかの力が加わった時、胃ろうボ

    タンごと抜けてしまう危険性が考えられます。アンケートでも、数名の保護者から、心配する意見があり

    ました。

    以上のことから、既存規格コネクタ製品の出荷が継続され、利用者の状況に応じて適切な製品が選択で

    きる権利を保障してください。また、介護者の身体的・精神的な負担を考慮し、親子共に幸せな在宅生活

    を過ごすことが出来るよう支援をお願いいたします。

  • グラフ1

    グラフ2

    0

    14

    12

    00

    2

    4

    6

    8

    10

    12

    14

    16

    未就学 学齢(6~18) 青年期(18~39) 40歳以上

    人数

    Q1.お子さんの年齢(人)

    0

    14

    12

    00

    2

    4

    6

    8

    10

    12

    14

    16

    20歳代 30~40歳代 50~60歳代 70歳以上

    人数

    Q2.主な介護者の年代(人)

  • グラフ3

    グラフ4

    6

    12

    7

    1

    0

    2

    4

    6

    8

    10

    12

    14

    1~5年 6~10年 11~15年 16年以上

    人数

    Q3.ミキサー食にして何年ですか?(人)

    2

    20

    1 2

    0

    5

    10

    15

    20

    25

    5回以下 6~10回 11~15回 16回以上

    回数

    軸ラベル

    Q4.1日に食事と水分と投薬などで何回注入しますか?

  • グラフ5

    グラフ6

    ①全く危険

    はない

    30%

    22%

    22%

    9%

    ⑤非常に危険が

    ある

    17%

    Q5.お子さんの手や体が動いてチューブ抜去の危険はありま

    すか?

    無かった

    77%

    あった

    23%

    Q6.今までに胃ろうボタンなどの抜去事故がありましたか?

  • グラフ7

    グラフ8

    ①全く考えない

    79%

    9%

    8%

    0%

    ⑤非常に考える

    4%

    Q7.ねじ式コネクタでチューブを固定することで、お子さんの拘束

    を考えますか?

    ①全く負

    担はない

    15%

    19%

    12%④

    15%

    ⑤非常に負担が

    ある

    39%

    Q8. ねじ式シリンジに採液ノズルを付ける負担はあるか?

  • グラフ9

    グラフ10

    ①全く負担はな

    27%

    8%

    23%

    15%

    ⑤非常に負担が

    ある

    27%

    Q9.採液ノズル付けたシリンジで、注入剤の吸い取りの負担は?

    ①全く負担

    はない

    20%②

    8%

    16%④

    20%

    ⑤非常に負担が

    ある

    36%

    Q10.採液ノズルをシリンジから外す負担は?

  • グラフ11

    グラフ12

    ①全く負担はない

    11%

    15%

    35%

    12%

    ⑤非常に負

    担がある

    27%

    Q11.コネクタにねじ式シリンジを付ける負担は?

    ①全く負担はな

    12%

    32%

    24%

    20%

    ⑤非常に負担が

    ある

    12%

    Q12.注入剤を注入する負担は?

  • グラフ13

    グラフ14

    ①全く負担はない

    4%

    12%

    27%

    15%

    ⑤非常に負担がある

    42%

    Q13.ねじ式シリンジをコネクタから外す負担は?

    ①全く負担はない

    0%

    4%③

    4%

    29%

    ⑤非常に負

    担がある

    63%

    Q14.一連の投与(注入)動作全体の負担感はどうですか?

  • 胃ろう食(経管)栄養でミキサー食を注入されている皆様へ

    新規格品(変換コネクタ・ねじ式シリンジ・採液ノズル)使用の感想を

    アンケートに記入してください。①~⑤の数字で評価してください。

    ★お子さんについて

    Q1.お子さんの年齢 未就学  学齢(6~18) 青年期(18~39) 40歳以上

    Q2.主な介護者の年代  20歳代 30~40歳代 50~60歳代 70歳以上

    Q3.ミキサー食にして何年ですか?(    年)

    Q4.1日に食事と水分と投薬などで何回注入しますか?(     回)

    ★お子さんの身体的負担について

    Q5.お子さんの手や体が動いてチューブ抜去の危険はありますか?

     全く危険はない①---------------⑤非常に危険がある (   )

    Q6.今までに胃ろうボタンなどの抜去事故がありましたか?

      なかった     あった(    回)

    どんな時

    Q7.ねじ式コネクタでチューブを固定することで、お子さんの拘束を考えますか?

     全く考えない①---------------⑤非常に考える (   )

    ご意見

    ★投与中(注入中)の介護者の身体的負担について

    Q8. ねじ式シリンジに採液ノズルを付ける負担はあるか?

     全く負担はない①---------------⑤非常に負担がある (   )

    ご意見

    Q9.採液ノズル付けたシリンジで、注入剤の吸い取りの負担は?

     全く負担はない①---------------⑤非常に負担がある (   )

    ご意見

    Q10.採液ノズルをシリンジから外す負担は?

     全く負担はない①---------------⑤非常に負担がある (   )

    ご意見

    Q11.コネクタにねじ式シリンジを付ける負担は?

     全く負担はない①---------------⑤非常に負担がある (   )

  • ご意見

    Q12.注入剤を注入する負担は?

     全く負担はない①---------------⑤非常に負担がある (   )

    ご意見

    Q13.ねじ式シリンジをコネクタから外す負担は?

     全く負担はない①---------------⑤非常に負担がある (   )

    ご意見

    Q14.一連の投与(注入)動作全体の負担感はどうですか?

     全く負担に感じない①---------------⑤非常に負担に感じる (   )

    ご意見

    ※ご協力ありがとうございました。以下余白に自由にご意見をお書きください。

    ※この調査結果は個人が特定できない形で取りまとめ、目的以外に使用しません。

    ※この試用セットは静岡市重症心身障害児(者)を守る会のご協力があってっできました。

    ※アンケート用紙はFAXやメール・郵送で(    )まで担当者に返却願います。

  • 「34 年にわたる食事との戦い!?」 M さん (34 歳)

    私の息子は 1986 年夏に産まれ、生後 3 日目にてんかん発作があり、脳性麻痺となりました。

    現在は寝返りもできない全介助状態で、胃ろうから食事を摂っています。私の 34 年の育児と介

    護は息子の食事との戦いと言っていいものでした。

    乳児期は母乳もミルクもよく飲んで、順調に体重を増やしていましたが、離乳期からが大変で

    した。口腔内の過敏や脳性麻痺による嚥下障害のため、ミキサー食を食べさせるのに 30 分以上

    時間をかけても、むせて吐き出し体重が増えません。15 歳の時誤嚥性肺炎を繰り返し経鼻経管

    栄養にしました。少量でもグルメだった息子が、数か月に及ぶ咳と吸引による体力の消耗で疲れ

    果て、食事に全く興味をなくしていました。経口摂取を止めても痰の吸引は続き、胃の中に未消

    化のミルクが残る胃残が多く、体重が増えません。筋緊張による胃食道逆流もあって、19 歳で

    胃ろう造設と逆流防止の手術をしました。

    胃ろうにしてようやく呼吸状態が落ち着き、体重が念願の 20 ㎏を超えたのは 20 歳でした。た

    だ胃ろうにしても胃残の問題は残っていました。経腸栄養剤を 1 時間かけてゆっくり滴下し、さ

    らに 1 時間座位を保って腸に送るようにしても消化しないのです。夜の注入から 8 時間たった朝

    に胃残があり胃が空になりません。便も緩いか固いかで浣腸と下痢の繰り返しでした。

    経腸栄養剤を半固形化する方法を試し、微量元素と食物繊維を補う補助食品があると聞いては

    購入し、野菜ジュースやスムージーも試しました。そんな時、ある障がい者施設で胃ろうミキサ

    ー食の作り方を教わり、簡単で注入しやすいミキサー食(1g1kcal)に夕食だけを切り替えまし

    た。1 食変えただけなのに胃残が減り、朝自力排便するようになり、吸引も減り熱も出なくな

    り、褥瘡で赤くなっていた耳もピンク色になりました。

    理想的ミキサー食ですが、短期入所先の病院では手間がかかるので、頼みにくい状態でした。

    まずは半固形経腸栄養剤をシリンジで注入するところから頼みました。人手のある昼食で慣れて

    もらい、次第に朝も夜も半固形にし、その後昼食に市販のミキサー食を注入してもらいました。

    さらにもう一押し、昼食のミキサー食を病院食で出してもらえるまでになりました。利用を重ね

    少しずつ頼み、慣れてもらうことで家庭の食事に近づけていきました。毎日利用するデイサービ

    ス先では、私が自宅のミキサーを持ち込んで給食を加工し、ミキサー食注入を試してもらいまし

    た。厨房の栄養士さんも胃ろうミキサー食の勉強会に行ってくださって、今では仲間 6 人が胃ろ

    うミキサー食を注入しています。デイサービス先の給食があまりにおいしいので、体重が 1 年で

    1 ㎏も増えカロリー制限を考えるまでになっています。20 歳で 20 ㎏やっとだったことが嘘のよ

    うです。

    食べることは生きること、15 歳でなくした食事への興味もすっかり取り戻して、今ではデイ

    サービスの献立を白版に写す係を率先してやっています。34 年の間に食事は戦いではなくなっ

    ていました。これからも健康で楽しい食事で長く在宅介護を続けたいと思います。

    食事に興味深々の洋太

  • 「ミキサー食で健康に」 K さん (15 歳)

    息子は、早期胎盤剥離により、お腹の中で心肺停止状態となり、産まれてから蘇生されま

    した。「低酸素性虚血性脳症」のために、嚥下反応は全くありませんでした。そのため、鼻

    から腸まで ED チューブを入れてミルクを注入していました。しかし、胃食道の逆流症状が

    酷く、誤嚥性肺炎を繰り返しました。逆流性食道炎をも繰り返すことで、さらに食道裂孔ヘ

    ルニアになってしまいました。生後 6 ヶ月という小さな時期に、「食道裂孔ヘルニア」、「噴

    門形成」、「胃ろう造設」の手術を行うことになりました。

    現在 15 歳の息子が胃ろうを造設した 15 年前は、まだラコールやエネーボ等の液体栄養

    剤が主流でした。液体栄養剤を入れると筋緊張の強い息子は、さらに筋緊張が増し、その腹

    圧で胃ろうボタンが入っている穴の周りから液体の栄養剤がビシャビシャに漏れてしまう

    ことが多く見られました。栄養状態もあまり良くなかったです。

    数年経つと、「ミキサー食の勉強会」が始まり、作り方を知る

    ことによって、ミキサー食を家で作ることができ注入を始めま

    した。栄養剤だけで育ってきた息子に、私達家族と同じ食事を

    食べさせてあげられることの喜びはとても大きなものでした。

    人間は食べた物で身体ができています。栄養剤のみの偏った栄

    養から、ミキサー食の食事に変わったことで今まで摂取できていなかった微量元素等もと

    れるようになりました。ミキサー食を食べるようになってからは肌艶が目に見えて良くな

    りました。良い便も毎日出るようになりました。

    息子は重症心身障がい児で寝たきりです。全てに介助が必要で、夜間も呼吸器を使用して

    います。毎日、機械を使用しての肺のリハビリを欠かせません。喉頭気管分離をしているた

    めに、毎日頻回な吸引を行っています。口鼻腔の吸引も必要です。そして、胃ろうからのミ

    キサー食や薬の注入を日に何度も行います。とにかく毎日手をよく使うので手首の腱鞘炎

    やばね指に日々悩まされています。現在でも大変なのに、さらに負担が増える新規格接続コ

    ネクタとシリンジには、反対です。介護者の一人として、ミキサー食を喜んで食べている息

    子の親として、既存規格接続コネクタを継続して利用できるように、心から願っています。

    クリスマス会でのミキサー食

    15歳の優希

  • 「一人ひとりに合った胃ろう食のオーダーメイド」 Y さん (26 歳)

    娘は、生まれた直後からミルクを飲み込むことができず、経鼻栄養をしていましたが、

    20歳の時に胃ろうの手術を受けました。胃ろうから食べ物を入れることができるという

    ことを教えてもらったので、それが魅力だったのです。

    ところが術後の合併症を生じてしまい、胃ろうが使えない状況となり、最終的には胃ろ

    うを諦めなければならなくなりました。そしてまた経鼻チューブの生活に戻りましたが、

    普通の食事を胃から入れてあげたいという願いが叶わなくなってしまったことに、とても

    落胆した日々を過ごしていました。

    5年半ほど前、水のような下痢が止まらなくなりました。薬をもらってもなかなか良く

    ならず、悩んで悩んで長い月日がたちました。ある時、知人に勧められて、ある障がい者

    の施設で受診と相談をしたところ、経鼻チューブからでも食事が入れられる方法を知るこ

    とができたのです。相談に乗って下さった医師はこういわれました。

    「経鼻チューブからの液体栄養剤を注入している方にも食事を楽しんでほしいと考えてい

    たところ、酵素剤を使って食事を液体にする方法を栄養士・調理師が見つけてくれまし

    た。それ以来この施設でも経鼻栄養の方にも、食事が提供できるようになりました。胃ろ

    うにすることにまだ決心がつかないとか、病状によって胃ろうを作れない人にも、この方

    法であれば食事を入れてあげることができます。胃ろう食や液状食の良いところは、オー

    ダーメイドの栄養食であり、かつおいしいこと。いくら成分がよい栄養剤でも、1 つの製

    剤で全員の体質に合わせることはできません。しかし食事であれば、その時々の体調にあ

    わせて調整してあげることができます。そして美味しいということは、とても大切です。

    腸内シグナルが活発に刺激され、各種ホルモンが分泌され、消化吸収だけでなく、精神面

    においても良い結果をもたらすことが最近の研究で明らかになっています。」

    大きな励ましと、食事をあげられる喜びを胸に、家に帰りました。早速、酵素剤を入れ

    て食事をミキサーにかけると食事が液体状になり、細い管からも注入できるような状態の

    食事ができあがりました。その液体状の食事と豆乳、野菜ジュースなどを注入してみたと

    ころ、その晩から便が固まりました。全く奇跡のようでした。このような食事を毎日取り

    入れたことで、注入の回数も減らすことができ、夜の注入がなくなったおかげで、親子

    共々も夜はゆっくり眠ることができるようになったのです。

  • 「好物を食べられる幸せ」 Fさん (21 歳)

    現在 21 歳の娘は、中学 3 年生の 10 月に通学中の交通事故で軽自動車の下敷きになり、推定で 8 分の

    心肺停止状態になり、救急救命士の心肺蘇生で息を吹き返し、その後救急ヘリで病院に運ばれました。そ

    こで、低酸素脳症と診断されました。大脳基底核と前頭葉に大きなダメージを受けて、四肢全麻痺になり

    ました。2 か月間ずっと急性期病院の ICU に入院後、療養型病院に転院しました。そこで、機能回復の

    ための訓練を受けましたが、口から食べることはできませんでした。そこで、胃ろう造設を勧められて、

    事故後 7 か月の時に胃ろうを造設しました。その頃の食事は三食経腸栄養剤でした。その頃はバルーン

    付きの気管切開部カニューレをしていて、吸引の刺激や体調の優れないときなど、嘔吐し、誤嚥性肺炎を

    頻繫に起こしていました。その度に高熱をだし、抗生物質の点滴や薬を服用していました。苦しむ娘を見

    るのはとても辛いことでしたし、このまま亡くなってしまうのではないかと、不安な毎日でした。

    意思伝達のための訓練で視線入力の練習をしている時、「一番何が食べたい?」と聞きました。娘は必

    死に「ひ」と「さ」の文字を選びました。はじめは分かりませんでしたが、娘の好物を考えたとき、「ピ

    ザ」であると思いつきました。「ピザが食べたいの?」と聞くと頷きました。口から食べさせることはで

    きないし、望みを叶えてあげられない事がとても辛かったです。

    事故から一年半後に普通食のミキサー食を知り、早速、娘に試してみました。すると、娘は全く嘔吐を

    しなくなりました。そればかりか、体の不快感からくる筋緊張も少なくなり、顔の表情も優しくなりまし

    た。便の状態も水様からほぼ通常の便に変わり、介護する私たちも楽になりました。何より娘が食べたい

    と思うものを食べさせてあげられることができたことが私たち家族にとっての喜びでした。今は家族み

    んなで同じものを食べています。好きだったピザもミキサー食にしてあげることが出来ます。体調が良

    くなり嘔吐をすることもほとんどなくなったので気管切開部のバルーン付きカニューレも外れ、薬の量

    も減らすことが出来ました。

    娘の生活の質を向上させ、私たちに幸せを与えてくれたミキサー食ですが、新規格接続コネクタへの変

    更で介護する私たちの生活に影響が出ています。ミキサー食を吸い取るために何度も採液ノズルの付け

    外しが必要です。また、カロリーを高く保つため、我が家のミキサー食は水を少なくして作っているため

    、かなり固めです。現行のシリンジと比べ小口の採液ノズルでは吸いづらく、投与に倍の時間を費やしま

    す。シリンジは現行品を使って、変換コネクタ A を使っての注入も考えていますが、シリンジを押す圧

    力が大きくなり、手首や肘への負担が増えていて、このまま続ければ腱鞘炎を起こすこととなるでしょ

    う。でも、娘の健康維持や口から摂取できなくとも食事の風味を感じることが出来ていることを思えば、

    自分にとってどんなに負担でもミキサー食は続けていきます。しかし、今後負担が増えることは明らか

    です。是非とも既存規格接続コネクタも残していただき、娘との笑顔のふれあいの時間を作っていただ

    けますようお願いいたします。

  • 「食で健康にしてあげたい」 S さん (12 歳)

    息子は、胃ろう設置をした後、三歳から、ミキサー食シリンジ注入を始めました。12 歳

    になる今現在も、シリンジで手押しをしてミキサー食を注入しています。

    日頃作るおかずを、本人用にミキサーで支度をして注入をします。忙しいながらも、私が簡

    単に準備をしてできるのです。

    私は、「いろんな食材を、おいしく食べてほしい。」と思っています。それは、何よりも身

    体が育ってほしいのです。息子は、幼児の頃から食べたものを吐くことが多かったので、強

    くそう思っていました。

    もちろん、口から食べることができれば、パンのふわふわ感など、食感も楽しめ、脳にも

    刺激が与えられるし、栄養価の高いものを食べて身体も育つと思いますが。

    でも、「ミキサー食注入」は、それを補うことができることがわかりました。おかずやご

    はんのおいしいにおいを感じ、香りを楽しむことができます。胃にあるセンサーで味わうこ

    ともできると聞きました。私の願いである「いろんな食材を、おいしく食べる。」ことがで

    きるのです。

    私達家族が、食卓を囲んでおいしそうに食べ

    ていると、息子は、口をもぐもぐと動かし始め、

    食べたそうにしています。息子自身が、「食べた

    い」と表現しているので、何としてでも、おか

    ずやご飯をあげたくなります。

    そして、家族と同じ食事を、同じ時間にできる

    ので、同じご飯の話も一緒にできます。

    栄養剤だけでは味わうことができない、家族の

    だんらんのひと時があります。さらにうれしい

    ことは、食事の注入を日々続けていくことで、10 歳ころから、吐くことがなくなりました。

    吐くことがなくなると、さらに「食べる」楽しみが増してきました。

    「食べられる」ことは、とても大事だと思います。親だったら、誰でも思うことです。

    それができない子に、「胃ろう」という手段で、いろんなものを食べさせてあげられる喜び

    を知りました。それはとてもかけがえのないものです。

    ただでさえ、未熟で病気のある子で産んでしまったので、「ミキサー食注入」で食べられる

    なら「食」で健康にしてあげたいと、切に思っています。

    そのために、簡単に使え、食材のつまりのない、既存規格接続コネクタを残してくださる

    ように、お願いいたします。

    チンジャオロースーとごはんのミキサー食

  • 「食べることは生きる力」 Kさん(34歳)

    息子は、難産のために酸欠状態が続き、帝王切開後には、前頭葉、側頭葉、頂頭葉の脳細胞に大き

    な損傷をもって生まれ、脳性麻痺、精神遅滞、てんかんを負うことになりました。

    しかし、息子はかけがえのない大切な存在であり、私達の尊い宝です。そのことを息子に伝えるた

    めにも、共に一生懸命に問題に向かっていきました。てんかん発作が続き眠れない日々、成育の難し

    さや、食物アレルギーによるアトピー性皮膚炎、中でも特に難しかったのは、「食べること」でした。

    食べたいのにむせてしまい、食べ終わった後に喘息のようなゼロゼロやヒューヒューとする症状がで

    ました。そこで、親が口で咀嚼し一塊にしてあげると食べることができるようになりました。当時は

    ミキサーや、トロミ剤もなかったのです。

    イモ類やおはぎ、ネギトロなど、柔らかくひと塊になり易い状態のものを用意すると、飲み込みが上

    手になっていきました。すると、笑顔が増え元気になっていきました。

    しかし、成長期になるにつれて側弯や骨盤のゆがみなど、身体的

    な変形が顕著になっていきました。それに伴い、23歳過ぎには、食

    べることが難しくなっていきました。唾液の量が減り始め、食後の

    喘息様も頻繁にみられるようになっていきました。肺炎をおこして

    入院にならないように気をつけながら、トロミ剤をふんだんに使い

    ましたが、次第に痩せ細っていき、体力も目に見えて落ちていきま

    した。主治医の先生も困惑されていました。

    途方に暮れる中、重症身障者のための摂食外来を訪れました。そこでの診察と検査により、食べも

    のが気管に入る可能性が高く常に誤嚥性肺炎の危険があること、逆流性食道炎により喘息症状が起こ

    っていることが判明しました。医師の勧めにより一大決心をして胃瘻を造設しました。側弯や骨盤の

    変形が大きいので、負担の大きい外科的手術となりましたが、その後には今まで食べられなかった美

    味しいどんな食べ物でも、胃ろう食注入で食べることができるようになったのです。噴門形成術はで

    きなかったのですが、さらにとろみをつけたミキサーペースト食に調理し、注入することで、逆流症

    状を抑えることができました。息子の食事は、安全で夢のような時間へと全く変わりました。アトピ

    ー性皮膚炎も完治したので、卵も鶏肉料理、小麦粉入りのピザも注入できるようになりました。薬の

    取りこぼしもなく、ゼリー状水分もたっぷり摂ることができます。小松菜とリンゴのスムージーやウ

    ナギのかば焼き、玄米粥も簡単に調理できます。息子の変化は、目を見張るものがありました。衰弱

    していた身体と心は次第に元気を取り戻し、食事の時間が近づくと声を出し、目をキラキラさせ両手

    を合わせて口を動かして、「早くちょうだい」と催促します。食べることが辛かった息子が食べる喜

    びを知り生きる力を得たのです。

    ミキサー食を通すことが容易にできる「既存規格接続コネクタ」は、息子の「いのちづな」です。

    大切な必需品であり、息子が生きることに直結しています。既存規格接続コネクタを継続して使える

    ようにして頂くことを切望します。

    ( ミキサー食とシリンジとチューブ )

  • 「食事の喜びを続けるために」 S さん (12 歳)

    乳児の時、母乳を飲む事ができず経鼻より経腸栄養剤を注入していました。経口摂取(歯

    科医師、OT の先生の了承のもと)でも並行して食事をとっていましたが、経口摂取のみで

    は体重、体調の維持が難しい状態でした。その間も誤嚥性肺炎を繰り返し、2、3 ヶ月に 1

    度は入院という生活でした。経口摂取を諦め、経鼻よりの注入のみとなると 1 日5回の注

    入+水分補給。寝ている間も注入し続けている状態。液体の注入物がなかなか胃に収まらず、

    嘔吐したり、誤嚥性肺炎も繰り返していました。また経腸栄養剤では微量元素が摂取できず

    セレンなどの栄養剤を別に摂ることとなりました。また注入中の姿勢にも気を配り注入中

    は目を離せない状態。それがほぼ 1 日中という生活を何年か過ごし、主治医の勧めもあり 6

    歳の時に胃ろうを造設しました。主治医の Dr.もミキサー食を推進している方だったので、

    ミキサー食を摂取するようになりました。誤嚥を気にせずみんなと同じ食事を与えられる

    事を嬉しく思いました。ミキサー食を注入できるようになってからは嘔吐は減り、胃ろう造

    設から今現在に至るまで誤嚥性肺炎での入院はなく、体調もみるみる良くなりました。身体

    も丈夫になり、今ではほぼ毎日学校に通えています。

    経腸栄養剤の注入を続け逆流を起こしている時は楽しいはずの食事が苦痛であったはず

    です。経腸栄養剤を時間通りに「いただきます」と滴下して、時間通りに終わり「ごちそう

    さまでした」と、毎回の食事がこれで良いのか?健康面、精神面からしても最善の方法では

    ないはずです。みんなと楽しく食事ができるミキサー食はこれまで苦痛でさえあった食事

    を喜びにかえられる手段なのです。ミキサー食の食事の時間はただ

    滴下する時間と違って会話も増え、嗅覚で味わう事もできます。生

    きるためだけの食事から家族で味わう本当の食事になっています。

    在宅での QOL の向上とはそういう小さな些細なことひとつから始

    まるのです。

    そんな日々を送っている中、既存規格接続コネクタの出荷停止と、新規格接続コネクタの

    話がありました。ただでさえ、ミキサー食の注入は腕や手首に負担がかかり、腱鞘炎になる

    方も少なからずいます。新規格接続コネクタはネジ式で介護者の身体に今まで以上の負担

    がかかります。もし私がシリンジを押せなくなったら…この子は楽しく、健康な食事(ミキ

    サー食)を食べる事ができなくなります。その時にこの子は健康を維持していく事ができる

    のか?また、今回の変更に関して情報が少なすぎて一部の方だけが知り得る情報となって

    おり、私達当事者が置き去りになっている感が否めません。当事者を置き去りにして物事だ

    けが粛々と進んでいく様は納得がいかないというのが本音です。新規格接続コネクタが出

    荷されるにしても既存規格接続コネクタを残していただき、私達にどちらが使いやすいの

    か選ぶ権利を与えてほしい。この事を切に願います。

  • 「母の願い」 Mさん (14 歳)

    息子は 14 歳の男の子。食べる事が大好きでした。

    でも、気管支炎、肺炎を繰り返すようになり、食事の度に咳き込み、日に日に痩せて行く息子をみてい

    るのが辛くて2歳半の時、胃ろう造設を決心しました。ですが、アレルギーがある為に栄養剤は使えま

    せん。その頃はミキサー食を注入している知り合いは居なく、試行錯誤しながらミキサー食注入を始め

    ました。有難い事に入院もしなくなり、元気に過ごせるようになりました。

    食事の準備でミキサーの音がすると大喜びします!口から食べられなくなって、息子の前で食事をす

    るのは心が痛みましたが、私達が食べてる様子が嬉しいようで、ニコニコするんです。私達が食べてる

    様子も嬉しいんだな。とわかりました。

    息子は微量の乳製品、卵でアナフィラキシーショックを起こします。食物アレルギーのある子にとっ

    て食事は命に関わる事。細心の注意を払って食事を作ります。とても大変ですが、息子の笑顔が嬉しく

    て、元気でいてくれる事が幸せに思えるので、頑張れています。

    ディサービスに行く時はお弁当を持参します。メニューを伝え、ニオイを嗅ぐとニッコリ笑顔になり、

    口をパクパクします。

    誕生日には息子も食べられるケーキを作り、みんなでお祝いします。一緒の食事を食べ、「美味しい

    ね」と言葉を交わし、息子が笑ってくれる事が本当に幸せに感じています。

    しかし、学校では経腸栄養剤以外の注入が出来ない決まりなので、成分栄養剤(エレンタールP)を

    使用しています。この栄養剤は重い腸の病気の子が使用する栄養剤で消化を必要としません。腸の病気

    ではない子にとっては逆に体調を崩してしまう原因になる栄養剤です。でも大好きな学校に通うため、

    仕方なく使用しています。

    息子が健康で、笑顔で居られるためにはミキサー食の注入しかありません。今回、新規格の栄養接続

    チューブを使用してみました。1回の着脱はそれほど負担ではありませんでしたが、朝食だけで 15 回

    着脱しました。時間と手間もかかります。洗浄も大変。昼間の水分補給は白湯の注入なので、そこまで

    負担はありませんでしたが、夜中の水分注入は暗さと眠さで余計に手間取り、イライラしてしまいまし

    た。使用して2日目の夜に右手首が痛くなり、3 日目はオムツ替えや着替えなど、他の介護時にも痛み

    が出てしまいました。4 日目には何もしていなくても痛むようになりました。今回使用してみて、1回

    の着脱は負担が少ないものの、ミキサー食を注入する事で1日の着脱回数が多くなり、継続して使う事

    で負担になる事を体験しました。

    在宅で介護をするのは本当に大変です。体温、呼吸、排泄管理には休みはなく、24 時間常に気を付け

    てあげなければいけないのです。母子家庭で介護者は私だけ。休みのない毎日の中、体調を崩しても私

    しか息子の世話は出来ません。これ以上負担が増える事にとても不安を感じています。私達親子が笑顔

    で生活できるように既存規格接続コネクタを残していただきたいと切に願っております。

  • ① メニュー「スパゲティ」「ブロッ

    コリーとアンチョビのサラダ」

    「卵とセロリのコンソメスープ」

    ② 採液ノズルで、薬を吸うときは

    スムーズ

    ③ 採液ノズルで、汁ものは吸えた

    ④-1 採液ノズルをつけず、パスタを

    吸うが引きにくく、空気が多い

    ④-2 採液ノズルをつけず、パスタを

    吸うが、食べ物が引けない

    ④-3 吸うたびにシリンジがすごく

    汚れるので、綺麗にしてチュ

    ーブにつける必要がある

    ⑤-1 採液ノズルをつけて吸うが、

    口が細くペースト食が固いた

    め空気が多く入る

    ⑤-2 採液ノズルをつけて吸うが、

    口が細くペースト食が固いた

    め食べ物が引けない

    ⑥ ノズルを外し、ネジ式をはめて

    注入する。ネジ式は、手間と手

    首への負担がます

    <総評> ペースト食はかたく、ネジ式シリンジは先が短く吸いにくく、空気が引けてしまう。

    ペースト食を吸うのに時間がかかり、注入する時にも、ネジの先端が細くなっているため、いつもより抵抗が大きく、より多くの時間がかかりました。 汁ものは、大丈夫でした。

    「新規格接続コネクタ」使用による 「ペースト食」注入の検証

  • 「既存規格接続コネクタ」と「新規格接続コネクタ」の比較検証

    ごはん

    うどん汁

    肉じゃが

    マグロの

    ネギ味噌焼き

    <1回あたりで吸い取った量> <1回あたりで吸い取った量>

    ペースト食よりは、胃ろう食の方が吸い取りやすく、注入もスムーズでした。

    ペースト食は、吸い取るとき空気を引いてしまいやすく、何度も空気を抜いては

    吸い取るという作業が必要でした。

    ペースト食

    マグロのネギ味噌焼き6回、ごはん4回、汁3回、肉じゃが7回

    胃ろう食

    マグロのネギ味噌焼き3回、ごはん1回、汁1回、肉じゃが3回

    ③④は、25㏄吸い取るのにかかった回数(

    空気を抜いて吸い取るを繰り返しながら)

    <総評>

    ペースト食 胃ろう食

    うどん汁 非

    式 空気

    マグロ

    空気

    肉じゃが

    空気

    (胃ろう食にトロミ剤を加え、

    テリーヌ状にしたもの)

    式 ごはん

    空気

    32cc

    50cc 25cc

    50cc

    20cc 15cc

    28cc

    8cc

    ネジ式 30ccシリンジ 非ネジ式 50ccシリンジ

    両方とも 30ccシリンジ

    ― 空気を抜く作業にかかる手間の違い ― 吸い取る量の違い

  • 下記の「要望書」を、厚労省などの政府機関、野田聖子代議士に提出しています

    令和 2 年 11 月 12 日

    関係者各位

    経腸栄養接続コネクタに関する要望書

    ミキサー食注入で健康をのぞむ会

    代表 下釜櫻子

    平素より障害者の福祉の向上と医療の充実にご理解ご支援いただき感謝申し上げます。

    近年は医療的ケアのある児者の支援にもお力をいただいています。

    私たちは、様々な障害があるため経腸栄養で生命をつないでいる重度の障害児者とその

    家族の集まりです。日々の生活の中で医療や在宅福祉サービスの下、本人たちの幸せを願

    い、小さな喜びを積み重ねて生きる力としています。

    昨年 12 月、他システムとの誤接続防止を目的とした国際規格の導入が開始され「既存

    規格接続コネクタ」が廃止されることが決定されました。今回の変更により医療機関等の

    「医療的なミス」は減ると思われますが、家族介護の負担は確実に増大すると当事者家族

    から声が上がりました。

    私たちは「新規格接続コネクタ」(ネジ式)を入手し、26 人の障害児者に実際に使用し

    てもらいアンケート調査を行いました。一つひとつの手技の負担はさほどでなくても一連

    の投与(注入)動作では「非常に負担がある」との回答が 63%「負担がある」との回答を

    合わせると 92%になりました。1日の投与回数が 6 回以上は 23 人(88%)で、毎日の食

    事や投薬の介護が大変な負担となっていることがわかります。

    年齢も障害も様々な人たちですが、家庭や施設でミキサー食を注入することで健康にな

    り生活の QOL が格段に良くなったことを実感しています。ミキサー食は単なる食事では

    なく、治療薬と言っていいものです。今回の「新規格接続コネクタ」への切り替えによっ

    て介護者の負担が増しミキサー食注入が難しくなることで、病状が悪化し生命をも脅かす

    のではないかと恐れています。家庭でも大変な作業になれば、慢性的人手不足の医療や福

    祉サービス事業者も手を引いてしまうことは容易に想像がつきます。

    これまで通り「既存規格接続コネクタ」(非ネジ式)を存続していただき、ミキサー食

    の注入が可能になるよう、下記の通りお願いするものです。アンケート調査の結果や母親

    たちの手記は別紙に添えました。是非ご覧いただき私たちの願い「ミキサー食注入で健康

    をのぞむ」を叶えてください。何卒よろしくお取り計らいくださいますよう、重ねてお願

    い申し上げます。

    1. 経腸コネクタの変更に関して「既存規格接続コネクタ」の使用継続を可能にする

    1-2 要望申請への賛同のお願い(櫻子)ー関係者各位2 経腸栄養分野の新規格コネクタ試用に関するアンケート結果と考察3 経腸栄養分野の新規格コネクタ試用に関するアンケート結果のグラフ4 経腸栄養分野の新規格コネクタ試用に関するアンケート用紙5 母親の手記(8人分)-イニシャル・子供写真なし〇「34年にわたる食事との戦い」三嶋洋太-イニシャル・子供写真なし〇「ミキサー食で健康に」菊地優希-イニシャル・子供写真なし〇「胃ろう食のオーダーメイド」関口有佳(VOICE再掲)-イニシャル・子供写真なし〇「好物を食べられる幸せ」ー子供写真無し・イニシャル〇「食で健康にしてあげたい」芹沢やまと(完成)-イニシャル・子供写真なし〇「食べることは生きる力」下釜光(完成)-イニシャル・子供写真なし〇「食事の喜びを続けるために」杉本咲和-イニシャル・子供写真なし〇「母の願い」ー子供写真無し・イニシャル

    6 「新規格接続コネクタ」使用による「ペースト食」注入の検証7 「既存規格接続コネクタ」と「新規格接続コネクタ」の比較検証8 接続コネクタの要望書(三嶋)ー関係機関各位ーNHKの人~会社関係へ【最後に】