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FUJITSU. 66, 2, p. 47-53 03, 201547 あらまし 2011年にクラウド型ソリューションとして提供を開始したHumanBridge EHRリューションは20147月時点で400近い病院で診療情報連携機能を導入いただき,地域 医療ネットワークも普及期に入ってきていると考える。その中で従来の病診連携だけで なく,様々な運用シーンでの利用が検討され,それに向けた機能開発およびソリューショ ンの提供を行ってきている。 本稿ではそれら運用シーン(救急医療,遠隔診療支援,在宅介護連携,医薬連携,広域 医療連携,地域疾病管理)におけるHumanBridgeで提供される機能およびソリューショ ンを活用事例を交えながら紹介する。 Abstract Launched in 2011 as a cloud-based service, the HumanBridge EHR Solution with features to share healthcare information has been introduced at nearly 400 hospitals (as of July 2014). Regional health information exchange is now considered to have moved on to the stage of proliferation. Against this background, the systems scope of application is expanding beyond conventional connections between hospitals and clinics, and Fujitsu has been developing various features and providing new solutions to accommodate such expansion. This paper describes HumanBridge features and services applied to various areas such as emergency medical care, remote medical care, home-care networks, networks of pharmacies and hospitals, wide-area health information exchange, and regional disease management, among others, with reports on cases of actual uses. 田中良樹   渡辺 響   柳原毅志   瓶子和幸 地域医療連携クラウドソリューション: HumanBridge ~予防医療から地域包括ケアまで~ HumanBridge—Cloud Computing Solution for Regional Health Information Exchange: from Preventive Medicine to Regional Comprehensive Care

地域医療連携クラウドソリューション:HumanBridge...図-1 川根本町いやしの里診療所の遠隔診療支援システム 図-2 在宅ケアコミュニケーションの画面例

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Page 1: 地域医療連携クラウドソリューション:HumanBridge...図-1 川根本町いやしの里診療所の遠隔診療支援システム 図-2 在宅ケアコミュニケーションの画面例

FUJITSU. 66, 2, p. 47-53 (03, 2015) 47

あ ら ま し

2011年にクラウド型ソリューションとして提供を開始したHumanBridge EHRソリューションは2014年7月時点で400近い病院で診療情報連携機能を導入いただき,地域医療ネットワークも普及期に入ってきていると考える。その中で従来の病診連携だけで

なく,様々な運用シーンでの利用が検討され,それに向けた機能開発およびソリューショ

ンの提供を行ってきている。

本稿ではそれら運用シーン(救急医療,遠隔診療支援,在宅介護連携,医薬連携,広域

医療連携,地域疾病管理)におけるHumanBridgeで提供される機能およびソリューションを活用事例を交えながら紹介する。

Abstract

Launched in 2011 as a cloud-based service, the HumanBridge EHR Solution with features to share healthcare information has been introduced at nearly 400 hospitals (as of July 2014). Regional health information exchange is now considered to have moved on to the stage of proliferation. Against this background, the system’s scope of application is expanding beyond conventional connections between hospitals and clinics, and Fujitsu has been developing various features and providing new solutions to accommodate such expansion. This paper describes HumanBridge features and services applied to various areas such as emergency medical care, remote medical care, home-care networks, networks of pharmacies and hospitals, wide-area health information exchange, and regional disease management, among others, with reports on cases of actual uses.

● 田中良樹   ● 渡辺 響   ● 柳原毅志   ● 瓶子和幸

地域医療連携クラウドソリューション:HumanBridge~予防医療から地域包括ケアまで~

HumanBridge—Cloud Computing Solution for Regional Health Information Exchange: from Preventive Medicine to Regional Comprehensive Care

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地域医療連携クラウドソリューション:HumanBridge ~予防医療から地域包括ケアまで~

情報が存在していない,情報があったとしても同意や情報提供元による診療情報の公開設定を行う運用が難しいなど,従来地域医療ネットワークシステムが苦手としてきた領域である。これに対してHumanBridgeではいくつか新たな取組みを行っており,救急医療における利用が進みつつある。以下にその機能を紹介する。(1)フェースシート機能かかりつけ医が患者の生活状況や終末期の意思なども含めた情報をミニマムデータセット(患者の基本情報)として事前にフェースシート画面に登録しておき,救急時は救急隊や受け入れ先の医療機関がこの情報を参照して活用するというものである。この仕組みにより,地域住民にとって何かあったときにも希望する病院に診てもらえる安心感につながっている。(2)ネットワーク同意機能これまでは,患者の診療情報の共有に対して,情報の提供元と情報参照先の1対1の関係ごとに同意をとって公開設定を行う「個別同意」が一般的であった。ネットワーク同意では,あらかじめネットワーク全体で同意を取り,患者用のカードを発行,患者が受診した際に受診先の患者IDを地域の患者IDとひも付けることで,同様に患者IDをひも付けているほかの医療機関の診療情報を閲覧できるという仕組みである。特に複数の医療機関による輪番制で救急を行っているような地域では,救急時に普段受診している病院以外に搬送された場合にも,患者のこれまでの治療に関する情報を確認することが可能となりその効果を発揮している。いずれの運用も,事前に患者を地域医療ネットワークシステムに登録し,患者向けのカードを発行しているのが特徴で,カード発行のための事務局設置など,運用面での検討が必要となるが,新たな領域への取組みとして今後広がりを見せてくるのではないかと思われる。

遠隔診療支援

少子高齢化が進むにつれ,地方では山間部を中心に医療体制そのものを維持できなくなりつつある地域も増えてきている。自治体の財政難を理由

遠隔診療支援

ま え が き

2011年にクラウド型ソリューションとして提供を開始したHumanBridge EHRソリューション(以下,HumanBridge)は2014年7月時点で400近い医療機関に,電子カルテの診療情報をほかの医療機関へと提供する「診療情報連携機能」を導入いただき,地域医療ネットワークも普及期に入ってきていると考える。地域医療ネットワークが電子カルテをはじめとするほかのシステムと大きく異なる点は,異なる法人に属するメンバーから構成される組織を立ち上げて運営していく点にある。そのため機能面だけでなく運営面,例えばどのように資金調達するのか,どのように参加医療機関を増やしていくのか,患者の同意をどう取るかなどが成功のための重要なファクタとなっている。この課題を解決するために,より多くの医療機関やICTベンダーが活発に議論・情報共有できる場として地域医療ネットワーク研究会(1)が設立されており,全国で地域医療ネットワークを運営されている方々の活発な議論や事例紹介がなされている。こうした活動を通じて,HumanBridgeも一般的な病診連携だけでなく,様々なシチュエーションに対応できるよう進化し続けている。本稿では,救急医療,遠隔診療支援,在宅介護連携,医薬連携,広域医療連携,地域疾病管理といった運用シーンでの活用事例を紹介する。

救 急 医 療

一般的に地域医療ネットワークシステムは中核病院の電子カルテシステムと連携し,地域で情報共有する形態をとっている。これはネットワークを介して画像,検査結果といった大容量のデータをリアルタイムにやり取りすることが,紹介状を用いた紙運用と比較して利便性が高く,投資する価値が見出しやすいというのが理由の一つである。この形態においては,患者が中核病院で受診,入院,手術などを行った後,連携先の病院や診療所と治療計画とともに診療情報を共有しながら患者の診療を行っていく後方連携においてその効果を発揮しやすい。逆に突然の発症による救急時の連携については,そもそもシステム上にその患者の

ま え が き

救 急 医 療

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地域医療連携クラウドソリューション:HumanBridge ~予防医療から地域包括ケアまで~

ている。HumanBridgeでは在宅医療および介護との連携に関する仕組みとして「在宅ケアオプション」と「介護支援システム連携機能」を提供している。(1)在宅ケアオプション在宅訪問時などにタブレット端末を用いて,関係者間でのコミュニケーションを図るためのツールである(図-2)。入力された内容はHumanBridgeの画面にも反映される。実際の運用では,訪問時にカメラ機能を用いて患者の状況(褥

じょくそう

瘡や皮膚疾患の状況など)を写したり,テキストで入力すると時間のかかる内容を写真で共有したりといった使われ方がなされている。在宅医療では担当医,訪問看護師,各種介護サービス提供者が別々の時間に訪問するため,ICTにより情報伝達のための負荷削減が図られる。特に定期的に行われるカンファレンスにおいて集合するための調整(特に医師は夜間でないと難しいなど)が課題となっており,情報共有によりこうした負荷の軽減が期待されている。(2)介護支援システム連携機能介護施設や訪問看護ステーションに導入されている介護支援システムと連携を行い,介護情報を医療側に提供する試みも進みつつある。この連携に関しては,現在総務省,厚生労働省などを中心に標準化の検討や実証が進められており,今後更に連携内容などが充実してくると予想される。

に地域医療を担う医療機関の統廃合の話も後を絶たない。こうした中,ICTを用いて遠隔診療支援を実現し,この課題を解決しようと試みる事例が出てきている。図-1は川根本町いやしの里診療所様での事例である。(2)システム構成は,HumanBridgeと診療所向け電子カルテ(本事例ではFUJITSU ヘルスケアソリューション HOPE EGMAIN-RXが採用されている)を接続し,ビデオ会議システムと組み合わせて運用している。週のうち何日か都市部にある中核病院の専門医がビデオ会議システムを通じて,山間部にある診療所を受診した患者の様子を確認しながら,HumanBridgeを用いてお互いの電子カルテの診療情報を共有し,診察を行っている。これにより患者は,これまで2時間近くかけて都市部の中核病院を受診していたが,遠隔診療支援の仕組みと組み合わせることで中核病院への受診回数を大幅に減らすことができるようになり,患者自身の負担軽減,特に高齢者にとっての配慮につながっている。こうした仕組みを普及させることでICTの側面から医療崩壊が叫ばれる地域医療の支援と,地域の住民が安心して暮らせる町づくりに貢献していく。

在宅医療・介護連携

2025年に団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となり,社会保障費の急増や介護に関するマンパワーの不足が懸念されている。(3)地域医療ネットワークにおいても医療だけでなく介護との連携が叫ばれ

在宅医療・介護連携

川根本町いやしの里診療所

静岡県立総合病院

ビデオ会議システム

川根本町

島田市

藤枝市

焼津市

駿河区

ビデオ会議システム葵区葵区

焼津市

駿河区

図-1 川根本町いやしの里診療所の遠隔診療支援システム 図-2 在宅ケアコミュニケーションの画面例

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地域医療連携クラウドソリューション:HumanBridge ~予防医療から地域包括ケアまで~

医 薬 連 携

各地で運営されている地域医療ネットワークのアンケート結果などから,医師の次に地域医療ネットワークの効果を感じているのは調剤薬局の薬剤師であることが分かってきている。薬剤師からは以下のような効果が挙げられている。・カルテの内容を参照することで,処方内容の間違いに気づき医師に連絡をとることで問題を未然に防ぐことができた。

・外来化学療法時に検査結果を時系列に確認できることで薬物療法の管理に役立った。

・ネットワークで診断内容や検査結果などの情報が得られるため,これまでのように患者さんに色々質問して,診断や病態を予測する必要がなくなるので,患者さんを不快にせずに済んだ。また単にHumanBridgeを用いてカルテの情報を薬剤師の方に参照してもらうだけでなく,調剤レセコンから調剤の情報をHumanBridgeと連携し,例えば処方医がジェネリック薬の使用状況を把握するといった取組みが既に始まっている。この連携にはNSIPS(New Standard Interface of Pharmacy-system Specifi cation:日本薬剤師会が著作権を持つ調剤システム処方IF共有仕様)(4)と呼ばれる規格を用いており,ほとんどのベンダーの調剤レセコンとの連携が可能となっている。今後は実証事業が行われている電子処方箋が正式に運用開始になっていく見込みであるなど,医薬連携の領域は大きく発展していく可能性が高い。

広域医療連携

地域医療ネットワークは一般的には2次医療圏,3次医療圏を中心に構築されるが,例えば県境にある地域の医療機関であるとほかの医療圏とも連携を行いたいということも多い。この課題を解決するためHumanBridgeでは,異なる地域同士でのHumanBridge連携や,IHE(Integrating the Healthcare Enterprise)の統合プロファイル(PIX/PDQ,XCAなど)(5)に基づいた標準化による他ベンダー製の地域医療ネットワークとの連携を推進している。広域医療連携に関しては,システム面での課題もあるが運用面での課題も大きい。

医 薬 連 携

広域医療連携

一番の課題は異なるルールで運用されている二つの組織をまたがって連携する際にどのようにルールを適用するかという点になる。例えば個別同意で運用している地域と包括同意で運用している地域で連携する場合の同意の在り方をどうするかなどである。もう一つは異なるネットワーク同士をつなぐことで,セキュリティ面での責任分界点をどうするかという点である。2014年度から2015年度前半にかけてこれら運用課題を地域医療ネットワーク研究会での検討や実証などを通じて検証・解決していく。また全国の地域医療ネットワークを接続可能な中継センターを構築し,中継センターの存在する富士通のデータセンターに接続するネットワーク環境があれば,ほかの地域の地域医療ネットワークと連携できる環境を提供していく予定である(図-3)。

地域疾病管理

地域医療ネットワークに求められる効果の一つとして医療費の削減が挙げられる。近年この医療費削減に効果が高いと言われているのが,糖尿病などの慢性疾患の重症化予防である。特に重症化により透析を受けるようになると一人あたり年間約500万円の医療費増になると言われており,この予防により一人でも透析患者を減らすことが医療費削減に大きく寄与すると言われている。この重症化予防を支援するためのソリューションが地域疾病管理システムである(図-4)。地域疾病管理システムでは,病院や検査センターから検体検査結果を集め,疾病の重症化の指標となる検査と基準となる検査値をミニマムデータセットとして選定,患者横断で一覧化することで,介入が必要な患者とそうでない患者とをトリアージする。慢性疾患では通常診療所に通院し,必要に応じて専門医を受診するため診療所における検査結果が必要である。検査センターと連携することで地域の診療所の検査結果を網羅的に把握することが可能となっている。この仕組みの効果としては,例えば栄養士が栄養指導しなければならない患者のピックアップを自発的に行える点などが挙げられ,地域および多職種で慢性疾患患者を役割分担して診療していくことが可能となる。現在糖尿病を中心に運用して

地域疾病管理

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地域医療連携クラウドソリューション:HumanBridge ~予防医療から地域包括ケアまで~

検査システム(検査センター)など多種多様なシステムが接続可能であり,これらの接続はSS-MIXやIHE PIX/PDQ,XCAなどの標準規格によりマルチベンダー環境下で実現可能である。富士通は,2014年度にクラウド型の介護支援システムFUJITSU ヘルスケアソリューション HOPE Cloud WINCARE,中堅病院様向け電子カルテFUJITSU ヘルスケアソリューション HOPE Cloud Chartをリリースした。今後もヘルスケアの各製品をクラウド型のソリューションとして提供

いる事例が存在するが,今後CKD(慢性腎臓病)などほかの慢性疾患への展開が期待されている。

今後の展開

これまで紹介したとおり,HumanBridgeは様々な運用シーンに対応できる情報連携基盤として進化を続けており,健康(予防),医療,介護へとその連携領域を広げてきている。病院向けの電子カルテだけでなく,診療所向け電子カルテ,レセコン,介護支援システム,健診システム,調剤レセコン,

今後の展開

富士通クラウドセンター

HumanBridge 中継センター

医療機関 医療機関

PIX/PDQXCAなどによる標準化連携

他社サービス用データセンター

GWサーバ(他社製)各医療機関に導入されているGWサーバ(診療情報連携機能)

地域のデータセンターなど

拠点型 HumanBridgeのセンター機能

C地域A地域 D地域B地域

他社製の地域医療ネットワークシステムクラウド版 HumanBridgeの

センター機能

糖尿病疾患DB

【分析DB】

【情報提供病院A】

電子カルテ

【情報提供病院B】

電子カルテ

検査データ検査

データ

検査データ

【A検査センター】検査センター】

転送 検査

データ

【B検査センター】検査センター】

転送 検査

データ

【C検査センター】検査センター】

転送

抽出

転送

転送

疾病管理インターフェース

格納

SS-MIXストレージ

格納

検査結果DB

【データセンター】

地域疾病管理システム

将来構想

■疾病管理 マップ

【診療所】(かかりつけ医)

各種統計

研究論文検査データ

検歴参照 疾患データ取込み/書込み

図-3 HumanBridge中継センターと標準化技術を用いた広域連携

図-4 疾病管理システムの概要

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地域医療連携クラウドソリューション:HumanBridge ~予防医療から地域包括ケアまで~

していく予定である。これらはHumanBridgeといつでも接続可能な状態で提供される(図-5)。現状においても地域医療ネットワークに中小病院や診療所,介護事業者のシステムを接続したいというニーズは高いが,各施設でのネットワーク環境構築やシステムの改修,設定などを行うコストがかかるため思ったように普及していない。今後こうしたクラウド製品をご利用いただくことで,より地域間での情報共有が進んでいくものと考えている。更に今後は個人の持つスマートフォンやウェアラブルデバイスとも連携し,これまでの医療・介護従事者間での連携だけでなく,医療・介護従事者と地域の住民をつなぐ形に発展していくことが想定される。富士通もそれに向けた研究・開発を進めているところである。

む  す  び

冒頭でも述べたとおり,地域医療ネットワークは異なる法人に属するメンバーから構成される組織を立ち上げて運営していく点がほかのシステムとの大きな違いであり,運用開始から1年,2年と時間をかけて運用が軌道に乗ることが少なくない。地域医療ネットワークではシステム稼働はゴールではなくスタート地点にすぎない。

む  す  び

そのため富士通では地域医療ネットワーク研究会などの活動を通じて,皆様のご意見を伺いながら継続的にシステムを成長させていく。またシステムだけでなく運用面のノウハウの研究・取りまとめも行い,地域医療ネットワークに携わっておられる方々の活動を支援することで,超高齢化社会を迎える日本の地域医療に対してICTベンダーの立場から微力ながら貢献していきたいと考える。

参 考 文 献

(1) 地域医療ネットワーク研究会. http://www.humanbridge.net/healthcarenet/(2) 富士通:導入事例 川根本町いやしの里診療所様. http://jp.fujitsu.com/solutions/medical/chiiki/201212a/(3) 厚生労働省:今後の高齢化の進展 ~ 2025年の超高齢社会像~.

http://www.mhlw.go.jp/shingi/2006/09/dl/s0927-8e.pdf(4) 公益社団法人 日本薬剤師会:NSIPS®とは?. http://www.nichiyaku.or.jp/kokumin.php?global_

menu=日本薬剤師会の取り組み&side_menu= 調剤システム処方IF共有仕様(5) 一般社団法人 保健医療福祉情報システム工業会:

JAHIS 地域医療連携のためのIHE ITI適用ガイド. http://www.jahis.jp/jahis_ihe_iti13101/

富士通データセンター

富士通ヘルスケアクラウド基盤

富士通ヘルスケアクラウド基盤医療機関様向け

クラウドサービス医療機関様向けクラウドサービス

健保様向けクラウドサービス

健保様向けクラウドサービス

介護事業者様向けクラウドサービス介護事業者様向けクラウドサービス

地域医療ネットワーク向けクラウドサービス

地域医療ネットワーク向けクラウドサービス

個人向けクラウドサービス個人向けクラウドサービス

図-5 富士通のヘルスケアクラウドサービス(イメージ)

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FUJITSU. 66, 2 (03, 2015) 53

地域医療連携クラウドソリューション:HumanBridge~予防医療から地域包括ケアまで~

田中良樹(たなか よしき)

ヘルスケア文教システム事業本部ヘルスケアクラウドシステム事業部 所属現在,HumanBridgeを中心としたクラウドサービスの開発に従事。

渡辺 響(わたなべ きょう)

ヘルスケア文教システム事業本部ヘルスケアクラウドシステム事業部 所属現在,HumanBridgeを中心としたクラウドサービスの開発に従事。

柳原毅志(やなぎはら たけし)

ヘルスケア文教システム事業本部ヘルスケアクラウドシステム事業部 所属現在,HumanBridge EHRソリューションの開発に従事。

瓶子和幸(へいし かずゆき)

ヘルスケア文教システム事業本部ヘルスケアクラウドシステム事業部 所属現在,HumanBridgeを中心としたヘルスケアクラウド基盤の設計・構築に従事。

著 者 紹 介