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北朝鮮による核実験・弾道ミサイル発射について 防衛省

北朝鮮による核実験・弾道ミサイル発射について...北朝鮮は弾道ミサイルの長射程化を図っており、ICBMの開発を進めていくものとみられる。

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Page 1: 北朝鮮による核実験・弾道ミサイル発射について...北朝鮮は弾道ミサイルの長射程化を図っており、ICBMの開発を進めていくものとみられる。

北朝鮮による核実験・弾道ミサイル発射について

防衛省

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日付 挑発の概要 場所 弾種 飛翔距離

16.01.06 4回目の核実験を実施 豊渓里(プンゲリ)

16.02.07 「人工衛星」と称する弾道ミサイルを発射 東倉里(トンチャンリ) テポドン2派生型(推定) 約2,500km(2段目落下地点)

16.03.03 短距離発射体6発を発射 元山(ウォンサン)付近300ミリ多連装ロケット(可能性)

約100~150km(韓国合参)

16.03.10 弾道ミサイル2発を発射 西岸・南浦(ナンポ)付近 スカッド(推定) 約500km

16.03.18 弾道ミサイル1発を発射 西岸・粛川(スクチョン)付近 ノドン(推定) 約800km

16.03.21 短距離発射体5発を発射 東部・咸興(ハムフン)南方300ミリ多連装ロケット(可能性)

約200km(韓国合参)

16.03.29 短距離発射体1発を発射 元山(ウォンサン)付近300ミリ多連装ロケット(可能性)

約200km(韓国合参)

16.04.01 短距離地対空ミサイル3発(内2発は失敗)を発射 宣徳(ソンドク)付近短距離地対空ミサイル(KN-06)(可能性)

約100km(韓国報道)

16.04.15 弾道ミサイル1発を発射 東岸地域 ムスダン(指摘) 不明、失敗と推定

16.04.23 弾道ミサイル1発を発射 新浦(シンポ)沖 SLBM(推定) 約30km(韓国合参)

16.04.28 弾道ミサイル2発を発射 元山(ウォンサン) ムスダン(推定) 不明、失敗と推定

16.05.31 弾道ミサイル1発を発射 元山(ウォンサン) ムスダン(可能性) 不明、失敗と推定

16.06.22 弾道ミサイル2発を発射 元山(ウォンサン) ムスダン(推定)1発目: 約100km(最大)2発目: 約400km

16.07.09 弾道ミサイル1発を発射 新浦(シンポ)沖 SLBM(推定) 数km(韓国報道)

16.07.19 弾道ミサイル3発を発射 西岸・黄州(ファンジュ)付近 スカッド及びノドン(推定)1発目:約400km3発目:約500km

16.08.03 弾道ミサイル2発を発射 西岸・殷栗(ウンニュル)付近 ノドン(推定)約1,000km(1発は発射直後に爆発)

16.08.24 弾道ミサイル1発を発射 新浦(シンポ)付近 SLBM(推定) 約500km

16.09.05 弾道ミサイル3発を発射 西岸・黄州(ファンジュ)付近 スカッドER(推定) 約1,000km

16.09.09 5回目の核実験を実施 豊渓里(プンゲリ)

16.10.15 弾道ミサイル1発を発射 西岸・亀城(クソン)付近 ムスダン(推定) 不明、失敗と推定

16.10.20 弾道ミサイル1発を発射 西岸・亀城(クソン)付近 ムスダン(推定) 不明、失敗と推定

核実験 弾道ミサイル発射2016年に行われた北朝鮮による核実験・弾道ミサイル発射事案等

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Page 3: 北朝鮮による核実験・弾道ミサイル発射について...北朝鮮は弾道ミサイルの長射程化を図っており、ICBMの開発を進めていくものとみられる。

日付 挑発の概要 場所 弾種 飛翔距離

17.02.12 弾道ミサイル1発を発射 西岸・亀城(クソン)付近固体燃料を使用した新型の地上発射型弾道ミサイル(推定)

約500km

17.03.06 弾道ミサイル4発を発射 西岸・東倉里(トンチャンリ)付近 スカッドER(推定) 約1,000km

17.03.22 弾道ミサイル1発を発射 元山(ウォンサン)付近 分析中発射後数秒以内に爆発、失敗と推定

17.04.05 弾道ミサイル1発を発射 新浦(シンポ)付近 分析中 約60km

17.04.16 弾道ミサイル1発を発射 新浦(シンポ)付近 分析中 発射直後に爆発、失敗と推定

17.04.29 弾道ミサイル1発を発射 北倉(プクチャン)付近 分析中約50km離れた内陸部に落下、失敗と推定

17.05.14 弾道ミサイル1発を発射 西岸・亀城(クソン)付近IRBM級の新型弾道ミサイル(推定)

約800km

17.05.21 弾道ミサイル1発を発射 北倉(プクチャン)付近新型弾道ミサイル(17.02.12と同型)(推定)

約500km

17.05.29 弾道ミサイル1発を発射 元山(ウォンサン)付近スカッドを改良した新型弾道ミサイル(推定)

約400km

17.07.04 弾道ミサイル1発を発射 西岸・亀城(クソン)付近ICBM級の新型弾道ミサイル(推定)

約900km

17.07.28 弾道ミサイル1発を発射 舞坪里(ムピョンニ)付近ICBM級の新型弾道ミサイル(17.07.04と同型)(推定)

約1,000km

17.08.26 ミサイル又はロケットを複数発発射 旗対嶺(キテリョン)付近 分析中 約250km(韓国合参)

17.08.29 弾道ミサイル1発を発射 順安(スナン)付近IRBM級の新型弾道ミサイル(17.05.14と同型)(推定)

約2,700km

17.09.03 6回目の核実験を実施 豊渓里(プンゲリ)

17.09.15 弾道ミサイル1発を発射 順安(スナン)付近IRBM級の新型弾道ミサイル(17.05.14及び08.29と同型)(推定)

約3,700km

17.11.29 弾道ミサイル1発を発射 平城(ピョンソン)付近ICBM級の新型弾道ミサイル(17.07.04及び07.28とは異なる型)(推定)

約1,000km

核実験 弾道ミサイル発射2017年に行われた北朝鮮による核実験・弾道ミサイル発射事案等

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北朝鮮が保有・開発する弾道ミサイル

トクサスカッドB・C・ER

・改良型

ノドン・

改良型ムスダン SLBM SLBM改良型

IRBM級の新型

ICBM級の新型

テポドン2派生型

KN-08/KN-14

射程 約120km

約300km/約500km/約1,000km/ 分析中

約1,300km/1,500km

約2,500~4,000km

1,000km以上

1,000km以上

最大で約5,000km

5,500km以上

約10,000km以上

5,500km以上(ICBMとの

指摘)

燃料 固体 液体 液体 液体 固体 固体 液体 液体 液体 液体

運用 TEL TEL TEL TEL 潜水艦 TEL TEL TEL 発射場 TEL

10

20

30(m)

(JANE’S STRATEGIC WEAPON SYSTEMS等を基に作成)

【改良型】

【ER】

【B・C】

【08】

【14】

【改良型】

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テポドン

平壌

沖縄

東京

グアム

ハワイ

サンフランシスコ

ワシントンD.C.

ニューヨーク10,000km

4,000km

※上記の図は、便宜上平壌を中心に、各ミサイルの到達可能距離を概略のイメージとして示したもの

北京

デンバー

シカゴ

ロサンゼルス

北朝鮮の弾道ミサイルの射程

1,000km

ノドン (射程約1,300㎞/1500km)ノドン (射程約1,300㎞/1500km)

スカッドER (射程約1,000㎞)スカッドER (射程約1,000㎞)

ムスダン(射程約2,500-4,000㎞)ムスダン(射程約2,500-4,000㎞)

1,300km

テポドン2派生型(射程約10,000km以上)テポドン2派生型(射程約10,000km以上)

ロンドン

パリ

モスクワ

5,500km

ICBM級の新型弾道ミサイル(射程5,500㎞以上)ICBM級の新型弾道ミサイル(射程5,500㎞以上)

1,500km

5,000km

IRBM級の新型弾道ミサイル(射程最大で約5,000㎞)IRBM級の新型弾道ミサイル(射程最大で約5,000㎞)

東倉里(トンチャンリ)

アンカレッジ

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○ 北朝鮮は弾道ミサイルの長射程化を図っており、ICBMの開発を進めていくものとみられる。

○ また、長射程の弾道ミサイルの発射は、人工衛星打ち上げと称する場合であっても、他の弾道ミサイルの性能の向上等にも資するもの。

○ 2016年には、2月に「人工衛星」と称する長距離弾道ミサイル(テポドン2派生型)を発射したほか、グアムが射程に入ると言われる中距離弾道ミサイル(ムスダン)の発射を繰り返し実施。

○ 2017年5月14日にロフテッド軌道で発射され、8月29日及び9月15日には我が国の上空を通過する形で発射された新型の中距離弾道ミサイルについては、その射程は、現時点では、最大で約5,000kmに達すると見込まれる。

○ 2017年7月4日及び28日に発射された新型弾道ミサイルについては、その飛翔高度・距離等を踏まえれば、射程が少なくとも5,500kmを超えるとみられる。

〇 2017年11月29日に発射された新型弾道ミサイルについては、その飛翔高度・距離、公表された映像等を踏まえた初期的な評価として、搭載する弾頭の重量によっては、1万キロを超える射程となり得る。

1.長射程化

ICBM級の新型弾道ミサイル(2017年7月4日)

弾道ミサイルの発射

1段目

2段目

1段目 2段目

人工衛星の打ち上げ

例:多段階推進装置の分離技術

3段目の推進装置を含むとみられる物体は地球周回軌道へ投入されたものと推定

弾道ミサイルの発射と人工衛星の打ち上げは、大型の推進装置の制御、多段階推進装置の分離、姿勢・誘導制御等、必要となる技術は共通。

テポドン2派生型(2016年2月7日)

最近の北朝鮮の弾道ミサイル発射の動向 ①

IRBM級の新型弾道ミサイル(2017年8月29日)5

Page 7: 北朝鮮による核実験・弾道ミサイル発射について...北朝鮮は弾道ミサイルの長射程化を図っており、ICBMの開発を進めていくものとみられる。

○ 2016年9月5日に発射された3発のスカッドERと推定される弾道ミサイルは、同時に発射され、いずれも約1,000km飛翔した上で、ほぼ同じ地点に落下したと推定される。

○ 2017年3月6日に発射された4発のスカッドERと推定される弾道ミサイルは、同時に発射され、いずれも約1,000km飛翔し、そのうち3発は、我が国の排他的経済水域(EEZ)内に、残り1発もEEZ付近に落下したと推定される。

最近の北朝鮮の弾道ミサイル発射の動向 ②

17年3月6日の弾道ミサイル発射(イメージ)

黄州(ファンジュ)

16年9月5日の弾道ミサイル発射(イメージ)

同時に発射された4発のスカッドER (17年3月)

2.飽和攻撃のために必要な正確性及び運用能力の向上

飽和攻撃のために必要な正確性及び運用能力の向上を企図している可能性

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Page 8: 北朝鮮による核実験・弾道ミサイル発射について...北朝鮮は弾道ミサイルの長射程化を図っており、ICBMの開発を進めていくものとみられる。

○ 発射台付き車両(TEL)や潜水艦を使用する場合、任意の地点からの発射が可能であり、発射の兆候を事前に把握するのが困難となるが、北朝鮮は、TELからの発射や潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の発射を繰り返している。

○ また、2016年に発射を繰り返したSLBMや2017年2月12日及び5月21日に発射されたSLBMを地上発射型

に改良したと推定される新型弾道ミサイルは、固体燃料を使用しているものとみられ、北朝鮮は、弾道ミサイルの固体燃料化を進めている可能性がある。(一般的に、固体燃料推進方式は、液体燃料推進方式に比べ、即時発射が可能であり、発射の兆候が事前に察知されにくく、軍事的に優れているとされる。)

発射の兆候把握を困難にするための秘匿性や即時性を高め、奇襲的な攻撃能力の向上を図っているものとみられる。

TELからの発射

潜水艦からの発射

(様々な場所から発射されるイメージ)

固定式発射台からの発射

3.奇襲的な攻撃能力の向上

移動可能任意の地点から発射可能⇒見つかりにくい

海中から発射⇒見つかりにくい

外部からの攻撃に脆弱

最近の北朝鮮の弾道ミサイル発射の動向 ③

TELから発射されるIRBM級の新型弾道ミサイル(17年9月)

海中の潜水艦から発射されるSLBM(16年8月)

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2016年6月22日のムスダン発射、2017年5月14日、7月4日、28日及び11月29日の新型弾道ミサイル

発射にみられるような、高い角度で発射し、通常の軌道に比べて高高度まで打ち上げる一方で、短い距離を飛翔させる、いわゆる「ロフテッド軌道」と考えられる発射形態が確認された。

一般論として、ロフテッド軌道で発射された場合、迎撃がより困難になると考えられる。

ロフテッド軌道

ミニマムエナジー軌道

ミニマムエナジー軌道最も効率的な飛しょうパターン。

ロフテッド軌道ミニマムエナジー軌道と比べ、高度を高くとり、高仰角で落下するため、対処が困難。

最近の北朝鮮の弾道ミサイル発射の動向 ④

2017年5月14日の新型弾道ミサイル1発発射の翌日に公開された画像

・ 2016年6月22日に発射されたムスダン(2発目)は、1,000kmを超える高度に達した上で、約400km飛翔。

・ 2017年5月14日に発射された中距離弾道ミサイル(IRBM)級の新型弾道ミサイルは、2,000kmを超える高度に達した上で、約800km飛翔。

・ 2017年7月4日に発射された大陸間弾道ミサイル(ICBM)級新型弾道ミサイルは、2,500kmを大きく超える高度に達した上で、約900km飛翔。

・ 2017年7月28日に発射された大陸間弾道ミサイル(ICBM)級新型弾道ミサイルは、3,500kmを大きく超える高度に達した上で、約1,000km飛翔。

・ 2017年11月29日に発射された大陸間弾道ミサイル(ICBM)級新型弾道ミサイルは、4,000kmを大きく超える高度に達したうえで、約1,000km飛翔。

4.発射形態の多様化

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17年11月29日の北朝鮮による弾道ミサイルの発射について(イメージ)

平城(ピョンソン)

平壌(ピョンヤン) EEZ

防空識別圏(ADIZ)

現時点までに得られている諸情報を総合的に勘案すると、○発射時刻

午前3時18分頃○発射の状況

北朝鮮西岸の平城(ピョンソン)付近から、1発の弾道ミサイルを東の方向に発射した模様。

○落下推定地点及び飛翔高度発射された弾道ミサイルは、4,000kmを大きく超える高度

に達し、約53分程度、約1,000km飛翔し、青森県西方約250kmの日本海上の我が国の排他的経済水域(EEZ)内に落下したものと推定。

○弾種詳細については分析中であるが、7月4日及び28日に発射さ

れたICBM級弾道ミサイルとは異なる、新型のICBM級弾道ミサイルであったと考えられる。

概要

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17年9月15日の北朝鮮によるミサイルの発射について(イメージ)

平壌(ピョンヤン)

順安(スナン)

現時点までに得られている諸情報を総合的に勘案すると、○発射時刻

6時57分頃○発射の状況

北朝鮮西岸の順安(スナン)付近から、1発の弾道ミサイルを東北東方向に発射した模様。午前7時04分頃から06分頃に渡島半島付近及び襟裳岬付近の上空を約700~800kmの高度で太平洋に向けて通過。○落下推定地点

発射された弾道ミサイルの最高高度は約800kmに達し、約3,700km飛翔し、午前7時16分頃、襟裳岬の東約2,200kmの太平洋上に落下。落下地点は我が国の排他的経済水域(EEZ)外と推定。○弾種

飛翔距離等を踏まえれば、本年5月14日及び8月29日に発射された中距離弾道ミサイルと同型であったと推定。

概要

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Page 12: 北朝鮮による核実験・弾道ミサイル発射について...北朝鮮は弾道ミサイルの長射程化を図っており、ICBMの開発を進めていくものとみられる。

17年8月29日の北朝鮮によるミサイルの発射について(イメージ)

平壌(ピョンヤン)

順安(スナン)

現時点までに得られている諸情報を総合的に勘案すると、○発射時刻

5時58分頃○発射の状況

北朝鮮西岸の順安(スナン)から、1発の弾道ミサイルを北東の方向に発射した模様。午前6時05分頃から07 分頃に北海道渡島半島、襟裳岬付近の上空を太平洋に向けて通過。○落下推定地点

発射された弾道ミサイルの最高高度は約550kmに達し、約2,700km飛翔し、午前06時12分頃、襟裳岬の東約1,180kmの太平洋に落下。落下地点は我が国の排他的経済水域(EEZ)外と推定。○弾種

本年5月14日に発射された中距離弾道ミサイルと同型であったと考えられる。

概要

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Page 13: 北朝鮮による核実験・弾道ミサイル発射について...北朝鮮は弾道ミサイルの長射程化を図っており、ICBMの開発を進めていくものとみられる。

17年7月28日の北朝鮮による弾道ミサイルの発射について(イメージ)

舞坪里(ムピョンニ)

平壌(ピョンヤン)

EEZ

防空識別圏(ADIZ)

現時点までに得られている諸情報を総合的に勘案すると、○発射時刻

23時42分頃○発射の状況

北朝鮮内陸部の舞坪里(ムピョンニ)付近より、1発の弾道ミサイルを北東方向に発射した模様。

○落下推定地点発射された弾道ミサイルは3,500kmを大きく超える高度に

達し、約45分間、約1,000km飛翔し、北海道積丹半島から約200km、同奥尻島から約150kmの日本海上の我が国の排他的経済水域(EEZ)内に落下したものと推定。

○弾種現時点において詳細は分析中であるが、ICBM級の弾道ミサ

イルであったと考えられる。また、北朝鮮が翌日(7/29)に発表した内容・画像等を踏まえれば、7月4日に発射された新型弾道ミサイルと同型であったと考えられる。

概要

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Page 14: 北朝鮮による核実験・弾道ミサイル発射について...北朝鮮は弾道ミサイルの長射程化を図っており、ICBMの開発を進めていくものとみられる。

17年7月4日の北朝鮮による弾道ミサイルの発射について(イメージ)

亀城(クソン)

平壌(ピョンヤン)

EEZ

防空識別圏(ADIZ)

現時点までに得られている諸情報を総合的に勘案すると、○発射時刻

9時39分頃○発射の状況

北朝鮮西岸の亀城(クソン)付近より、1発の弾道ミサイルを東方向に発射した模様。

○落下推定地点発射された弾道ミサイルは2,500kmを大きく超える高度に

達し、約40分間、約900km飛翔し、男鹿半島から約300kmの日本海上の我が国の排他的経済水域(EEZ)内に落下したものと推定。

○弾種詳細については分析中であるが、飛翔高度・距離等を踏まえ

れば、射程が少なくとも5,500kmを超えるとみられることから、ICBM級の弾道ミサイルであると考えられる。

概要

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Page 15: 北朝鮮による核実験・弾道ミサイル発射について...北朝鮮は弾道ミサイルの長射程化を図っており、ICBMの開発を進めていくものとみられる。

17年5月29日の北朝鮮による弾道ミサイルの発射について(イメージ)

○発射時刻5時40分頃

○発射の状況北朝鮮東岸の元山(ウォンサン)付近より、弾道ミサイル

を東方向に発射した模様。詳細については分析中であるが、発射された弾道ミサイルは1発。

○落下推定地点及び飛翔高度発射された弾道ミサイルは、100km程度の高度に達し、

約400km飛翔し、新潟県佐渡島から約500km(島根県隠岐諸島から約300km)の日本海上に落下したものと推定。なお、落下したのは我が国の排他的経済水域(EEZ)内と推定。

○弾種詳細については分析中なるも、スカッドミサイルを改良し

た新型弾道ミサイルと推定。

概要

5月29日の発射翌日に北朝鮮が発表した画像に登場する弾道ミサイルと形状が類似しているミサイル 14

Page 16: 北朝鮮による核実験・弾道ミサイル発射について...北朝鮮は弾道ミサイルの長射程化を図っており、ICBMの開発を進めていくものとみられる。

17年5月21日の北朝鮮による弾道ミサイルの発射について(イメージ)

○発射時刻16時59分頃

○発射の状況北朝鮮の北倉(プクチャン)付近より、1発の弾道ミサイル

を東方向に発射した模様。○落下推定地点

発射された弾道ミサイルは、約500km飛翔し、北朝鮮東岸から東に約350kmの日本海上に落下したものと推定。なお、現時点において、落下したのは我が国の排他的経済水域(EEZ)外と推定。

○弾種現時点において詳細は分析中なるも、2017年2月12日

に発射されたのと同一のSLBMを地上発射型に改良した新型弾道ミサイルと推定。

概要

5月21日の発射翌日に北朝鮮が発表した画像に登場する弾道ミサイルと形状が類似しているミサイル 15

Page 17: 北朝鮮による核実験・弾道ミサイル発射について...北朝鮮は弾道ミサイルの長射程化を図っており、ICBMの開発を進めていくものとみられる。

17年5月14日の北朝鮮による弾道ミサイルの発射について(イメージ)

○発射時刻午前5時28分頃

○発射の状況北朝鮮西岸亀城(クソン)付近より、1発の弾道ミサイル

を東北東方向に発射した模様。○落下推定地点及び飛翔高度

発射された弾道ミサイルは、2,000kmを超えた高度に達し、30分程度、約800km飛翔し、北朝鮮東岸から約400kmの日本海上に落下したものと推定。なお、落下したのは我が国の排他的経済水域(EEZ)外と推定。

○弾種現時点において詳細は分析中なるも、中距離弾道ミサイ

ル(IRBM)級の新型弾道ミサイルと推定。

概要

5月14日の発射翌日に北朝鮮が発表した画像に登場する弾道ミサイルと形状が類似しているミサイル 16

Page 18: 北朝鮮による核実験・弾道ミサイル発射について...北朝鮮は弾道ミサイルの長射程化を図っており、ICBMの開発を進めていくものとみられる。

東倉里(トンチャンリ)

平壌(ピョンヤン) EEZ

防空識別圏(ADIZ)

17年3月6日の北朝鮮による弾道ミサイルの発射について(イメージ)

○発射時刻午前7時34分頃

○発射の状況北朝鮮西岸東倉里(トンチャンリ)付近より、4発の弾道ミサイル

が発射された模様。○落下推定地点

ミサイルは、いずれも約1,000km、東方向に飛翔し、秋田県男鹿半島から西に約300~350kmの日本海上に、そのうち3発は日本海上の我が国の排他的経済水域(EEZ)内に落下したものと推定。

○弾種詳細は分析中であるが、飛翔距離やこれまでの北朝鮮の弾道ミサイル開発動向などの関連情報等を総合的に勘案すれば「スカッドER」と推定。

概要

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Page 19: 北朝鮮による核実験・弾道ミサイル発射について...北朝鮮は弾道ミサイルの長射程化を図っており、ICBMの開発を進めていくものとみられる。

亀城(クソン)

○発射時刻午前7時55分頃

○発射の状況北朝鮮西岸亀城(クソン)付近から、1発の弾道ミサイルを

発射した模様。○落下推定地点

発射された弾道ミサイルは約500km飛翔し、北朝鮮東岸から東に約350kmの日本海上に落下したものと推定。

○ 弾種詳細は分析中なるも、SLBMを地上発射型に改良した新

型弾道ミサイルと推定。

17年2月12日の北朝鮮による弾道ミサイルの発射について(イメージ)

概要

平壌(ピョンヤン)

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Page 20: 北朝鮮による核実験・弾道ミサイル発射について...北朝鮮は弾道ミサイルの長射程化を図っており、ICBMの開発を進めていくものとみられる。

※いずれも震源地は北朝鮮北東部・豊渓里周辺

豊渓里(プンゲリ)

北朝鮮による核開発の現状について

観測された地震の規模及び推定出力

2006年10月

2009年5月

2013年2月

2016年1月

2016年9月

2017年9月

地震の規模(CTBTO発表の値)

M4.1 M4.52 M4.9 M4.85 M5.1 M6.1

推定される出力(※TNT換算)

約0.5-1kT

約2-3kT

約6-7kT

約6-7kT

約11-12kT 約160kT

過去5回の核実験と比較すれば、最大の出力

過去の核兵器開発疑惑が解明されていないこと及び過去6回の核実験を通じた技術的な

成熟が予見されることなどを踏まえれば、北朝鮮の核兵器開発が相当に進んでいるものと考えられる。

推定出力から考えれば、水爆実験であった可能性も否定できないものと認識。

○ 17年9月の核実験について、北朝鮮は、水爆実験を成功裏に断行したと主張。

技術的な成熟が予見されることなどを踏まえれば、北朝鮮が核兵器の小型化・弾頭化の実現に至っている可能性が考えられる。

ICBMに搭載する水爆と主張する物体を視察する金正恩党委員長

○ 5回目の核実験について、「新たに研究、製作した核弾頭の威力判定のための核爆発実験が成功裏に行われた」、6回目の核実験について、「ICBM装着用水爆実験を成功裏に断行」と発表

水爆の保有に関する評価 小型化・弾頭化に関する評価

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Page 21: 北朝鮮による核実験・弾道ミサイル発射について...北朝鮮は弾道ミサイルの長射程化を図っており、ICBMの開発を進めていくものとみられる。

○ 金正恩党委員長は、2016年5月の党大会において、自国を「核保有国」と位置づけ、経済建設と核武力建設の並進路線を恒久的に堅持し、自衛的な核武力を質・量的にさらに強化していくと発言。

〇 2018年1月1日の「新年の辞」では、国家核武力完成という歴史的大業を成就し、核実験やその運搬

手段の実験の断行を通じて強力な抑止力を保有するに至った旨発言したほか、既にその威力と信頼性が確固として保証された核弾頭と弾道ロケットを大量生産して実戦配備する事業に拍車を掛けていくべきである旨発言。

○ また、国営メディアを通じ、「実用衛星をさらに多く宇宙空間へ打ち上げるであろう」などと、衛星打ち上げを継続する主張を繰り返しており、「人工衛星打ち上げ」と称する弾道ミサイル発射を含め、今後も核・ミサイル開発のための活動を継続していく姿勢を崩していない。

核・ミサイル開発の今後の見通し

2016/9/20 金正恩、

新型静止衛星運搬ロケット用大出力エンジン地上燃焼実験を指導との報道

2016/4/9 金正恩、

新型ICBMエンジンの地上噴射試験を指導との報道

2016/3/15 金正恩、

弾道ロケット大気圏再突入環境模擬試験を指導との報道

2017/3/19 金正恩、

新型大出力エンジン地上燃焼実験を指導との報道

2017/8/23 金正恩、

国防科学院化学材料研究所を現地指導との報道

(新型弾道ミサイルの開発を示唆)

2017/9/3 金正恩、

大陸間弾道ロケットの戦闘部(弾頭)に装着する水爆を視察との報道

北朝鮮は、2016年来、3回の核実験のほか、40発もの弾道ミサイルの発射を強行。こうした北朝鮮

の核・ミサイル開発は、我が国の安全に対する、これまでにない重大かつ差し迫った脅威であり、地域及び国際社会の平和と安全を著しく損なうものになっている。

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