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特集
オープンミドルウェアレポート http://www.hitachi.co.jp/soft/omr/ 2012 JanuaryOpenMiddlewareReport
5757vol.
企業の業務プロセス改革を推進するクラウド時代のシステム基盤
はいたっく別冊 Open Middleware Report vol.57●発行 株式会社 日立製作所 情報・通信システム社●お問い合わせ ソフトウェア事業部 販売推進部 TEL:03-5471-2592 http://www.hitachi.co.jp/soft/不許複製 All Rights Reserved. Copyright c 2011, Hitachi, Ltd. 発行日◎2011年11月15日
The carpenter who put on a cap
今回の特集では、システム構築の基盤製品であるCosminexusにフォーカスしていることで、建築の要である大工さんが表紙です。
大工といえば「ニッカポッカ」のズボンが象徴的です。溶接や塗装などで皮膚に火の粉や塗料が直接あたらないために、あえてだぼっとさせており、またズボンで足が突っ張らずに動きやすくもなるとのことで、機能性や安全性に優れています。
で、気になるのが今回の表紙。ズボンがニッカポッカなのかも気になりますが、帽子(しかもキャップ)を被っているんですよね。やっぱり、帽子よりはヘルメットを被っている方が個人的にしっくり来ます。さらに、ヘルメットの下はタオル巻きにしてあるとしっくり感UPです。
*データスタジオ@WEBは、株式会社DTSの登録商標です。*その他記載の会社名、製品名は、それぞれの会社の商標または登録商標です。
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特集
C o v e r S t o r y
オープンミドルウェアレポート http://www.hitachi.co.jp/soft/omr/ 2012 JanuaryOpenMiddlewareReport
5757vol.
企業の業務プロセス改革を推進するクラウド時代のシステム基盤
Interview ● 第1部情報システムの整理・再構築とクラウド化でビジネスを変革Interview ● 第2部クラウド時代の情報システムを支える「Cosminexus」Case Study ● 大同生命保険/T&D情報システムシステム開発の課題と解決策をプロが語る!疎結合型のワークフロー基盤を構築し段階的な基盤統合によるサービスの共通化を実現
本誌は環境に配慮し、植物油インキを使用しております。
13Coffee Break
14DTS
BIツール「データスタジオ@WEB」×業務ポータル「uCosminexus Navigation Platform」BI全社展開の課題、「分析ノウハウの共有」を解決するには?
CASE STUDY
17マンガで読めるJP1 News
18天津提愛斯海泰信息系統有限公司
「JP1」を活用し中国でデータセンタービジネスを展開高品質な運用監視を日系企業に
CASE STUDY
02 Open Middleware Report vol.57
特集 interview特集
企業の業務プロセス改革を推進するクラウド時代のシステム基盤目まぐるしく変化する市場のニーズに
対応するためには、
柔軟かつ迅速な変化を実現できるシステム基盤が求められている。
クラウドコンピューティングはそのための手段のひとつとして認知されつ
つあるが、
企業の情報システムに導入して効果を出すためには多くの課題が横たわ
っている。
有効なクラウド導入のために考えるべきポイントに迫る。
vol.57 Open Middleware Report 03
特集 interview特集 interview
04 Open Middleware Report vol.57
仮想化技術による統合はほぼ浸透SOA 化も進んでいる
ますます速まるビジネス環境の変化をキャッチアップしつつ、グローバル化に伴って激化する競争を勝ち抜くには
どうしたらいいかという課題に、日本の企業の多くが直面している。このような状況に立ち向かうべく、IT の面からも様々な取り組みが行われてきた。その目玉とも言える「サービス指向アーキテクチャ(SOA)に基づく情報システムの整理・再構築」と「仮想化技術を活用した
サーバ統合やストレージ統合」の進捗状況を、IT アナリストの内山悟志氏に聞いた。 「ある程度規模の大きな企業は、既になんらかの形でサーバやストレージの仮想化に手を着けています。第 1 段階の成果として、コスト削減という果実を得た企業も増えてきました。SOA 化についても、企業の IT 部門で粛々と進行中です。IT の構造を柔軟にするための改革プロジェクトの一環として、モジュール化への取り組みが進められています」
(内山氏)。 このような整理・再構築と統合の動きは、早期に ERP を導入した企業で特に顕著だと内山氏は言う。更改を機に基幹系業務システムの構造を見直し、SOAの考え方に基づいて仮想化インフラの上に乗せ換えていくといった作業が行われているのだ。「多くの事業所やグループ企業を抱える企業は、システム環境の仮想化にとどまらず、プライベートクラウドを利用したシェアードサービス化へと舵を切っています」(内山氏)。
クラウドが可能にするコスト削減、変化への即応、人材の高付加価値化
実際、情報システムの変革にあたって、SOA に基づく情報システムの整理・再構築と仮想化技術による統合を経て、
今、多くの企業が情報システムの最適化を進めようとしている。具体的には、SOA の考え方で情報システムを整理・再構築し、仮想化技術で統合したサーバ/ストレージをプライベートクラウドとして運用するというものだ。期待できる効果は、「コスト削減」「迅速な展開と縮退」「IT 人材の高付加価値化」の 3 点。IT 部門の役割も、ビジネスへの直接的な貢献と環境変化への即応へと変わっていく。
第1部
株式会社アイ・ティ・アール代表取締役プリンシパル・アナリスト
内山 悟志 氏
情報システムの整理・再構築とクラウド化でビジネスを変革
特集 interview特集 interview
vol.57 Open Middleware Report 05
情報システムにクラウドを取り入れていくという道筋を描いている企業は多い。その主な狙いは、「コスト削減」「迅速な展開と縮退」「IT 人材の高付加価値化」の 3 点にある。 まず、クラウドを利用することによって、導入費用の削減と運用費用の変動費化ができる。ハードウェアを購入することなく、使った分だけを経費として支払えば済むからだ。長期間利用したときの総額がいくらになるかの検証は必要だが、最も分かりやすい効果であることは確かである。 一方、内山氏は「最大のメリットは、コストよりも迅速な展開と縮退によってビジネス環境の変化に素早く対応できることでしょう」と指摘する。ビジネスの変化のスピードに合わせて情報システムを提供していくには、素早く構築でき、リソースの量を自由自在に調節できるクラウドが最適というわけだ。 また、クラウド化は IT 部門の変革を進めるための重要施策にもなる。「もっとビジネスに前のめりに立ち向かっていく IT 部門へと変わっていくには、既存システムの維持・保守と新規案件の開発・管理に忙殺されている現状から脱却しなければなりません」と、内山氏。ルーチンワークとなった業務はできるだけクラウドサービスに任せ、IT 部門の要員をビジネス寄りの「上流工程」へとシフトすることが、IT 部門のこれからの在り方になるだろうと指摘する。
標準技術ベースで自動処理に強いPaaS基盤が導入成功の鍵となる
では、企業はどのような手順と方法で情報システムの整理・再構築とクラウド
化を進めていけばよいのか。 まず行うべきこととして、内山氏は
「切り分け/切り出し」を挙げる。既存の情報システムを機能や役割に基づいて分解(切り分け)し、共通化や再利用できるものを抽出(切り出し)した上で、SOA のサービスとして整備したりクラウドサービスの利用に転換したりする、といった作業だ。 「make or buy or use(製作/購入/利用)という三つの選択肢に where という条件を加えて、6 象限のマトリックスで考えるとよいでしょう」と内山氏は語る。つまり、ソフトウェアを内製するのか、外注するのか。内製するにしても、社内に開発環境を持つのか、PaaS 上に開発環境を構築するのか。パッケージの利用についても、購入するのか、同じ機能のクラウドサービスを利用するのかという選択肢がある。 クラウドの形態は、基本的には、その企業の IT 部門の状況に合わせて決めればよい。自前のデータセンター(以降、DC)があり、数百人規模の人員を擁する企業の場合は、DC 内に IaaS と PaaSを構築してシステム開発と運用管理の工数削減を図るのがよいだろう。一方、人員が少ない場合は、商用 DC が提供している PaaS を IT 基盤として使うのが適する。ビジネス環境の変化スピードに追随していくには、標準技術を採用した
「乗り換えのしやすい」PaaS 基盤を選ぶことも重要だ。 クラウド化によって工数やコストを削減できるかどうかのポイントは、仮想化の集約度と運用管理の自動化率にある。「おそらく、仮想マシン 4 台程度の集約度ではスケールメリットが出ず、運用管理の負荷を削減することはできないでしょう。その一方で、集約度が 30
前後を超えたあたりから人手による管理は難しくなります」と、内山氏。グループ企業を巻き込んでプライベートクラウドの規模をより大きくし、モニタリングなどの自動処理に強いクラウド基盤を選ぶことが、クラウド導入の秘訣と考えればよいだろう。
IT 部門変革の目標はビジネスへの直接貢献とビジネス環境変化への即応
このように情報システムを整理・再構築してクラウド化し、コストと工数を削減することを通じて、IT 部門の変革は推し進められていく。その最終的な目標は、「ビジネスに直接に貢献できる部門となること」と「ビジネス環境の変化に迅速に対応すること」の二つだ。 ビジネスへの直接貢献に関して IT 部門に期待されているのは、ビジネスプロセス改革の前提となる「ビジネスプロセスの見える化」だ。また、変化への即応を可能にするには、システム開発環境やシステムテスト環境を PaaS 上に構築するのが有効だ。 エンドユーザー開発による過度な個別最適化によって全体の最適化が損なわれてしまうことを避けるには、クラウド利用の在り方を IT 部門が統制していくことも必要だろう。 「現在は、ビジネスがダイナミックに変化し、IT はそれに追いつくのに苦心している状況です。経営の求める変化へのスピードを達成するために、クラウド化は必然的な選択肢となります」(内山氏)。ビジネス貢献のためにも、クラウドへの取り組みを 1 日も早く本格化させていかなければならない。
経営の求める変化へのスピードを達成するために、クラウド化は必然的な選択肢となります(内山)
OMR
『ITpro』2011 年 10月掲載
特集 interview特集 interview
06 Open Middleware Report vol.57
複数のシステム形態を一元的に可視化する
「見えるクラウド」
仮想化技術を活用しサーバやストレージを統合したプライベートクラウドの構築を進めながら、SOA に基づく情報システムの整理・再構築によって、ビジネス環境変化に即応する情報システムを実現していく。そうした IT 変革を支えているのが、日立のアプリケーション開発 / 実行基盤「Cosminexus」だ。 現在のユーザー企業の経営層が求めているのは、業務プロセスを効率化するとともに、新規ビジネスを短期間で立ち
上げられるような IT。もちろん、そのためのコストは低く抑えなければならない。こうした経営ニーズを受けて、IT 部門はアプリケーション開発/実行基盤に「業務アプリケーションの開発期間の短縮」「運用と保守に要する工数の削減」
「IT 費用のオフバランス化」(資産から経費へ)といった効果を期待している。 このような顧客ニーズに応えるべくCosminexus の開発チームがまず取り組んでいるのが、「見えるクラウド」である。その背景にあるのが、これからの業務アプリケーションはオンプレミス、PaaS ベースのプライベートクラウド、パブリッククラウドである SaaS の 3
J2EE 対応のアプリケーション基盤としてスタートした日立製作所(以下、日立)の「Cosminexus(コズミネクサス)」は、今やハイブリッドクラウド環境を構築するための主要コンポーネントへと成長を遂げている。クラウド時代を迎えて、企業の経営企画部門と業務アプリケーションの開発 / 運用部門のニーズに応えるべく、Cosminexus の開発チームは機能強化に日々取り組んでいる。
株式会社 日立製作所情報・通信システム社ソフトウェア事業部AP基盤ソリューションセンタセンタ長小林 敦 ― Kobayashi Atsushi
[経営企画部門]新業務を企画し、利用状況に基づき改修、廃棄を判断
多様な環境において、最適なITリソースで安定稼働
サービスを組み合わせてスピーディーに業務開発
[業務システム運用部門]
業務全体の構成と負荷状況
業務単位のサービス利用状況
業務とサービスの依存関係
業務改善サイクル
企画
作るテスト
調査
実装設計
構築監視
動かす
評価
日立が考える「見えるクラウド」
[業務システム開発部門]
図1■「見えるクラウド」で業務プロセスを改善クラウドにかかわるサービスを可視化して、業務プロセス改善のサイクルを回していく
第2部
クラウド時代の情報システムを支える「Cosminexus」
特集 interview特集 interview
vol.57 Open Middleware Report 07
種類に分化していくという考え方だ。日立の小林敦は、次のように語る。「現在の業務アプリケーションは、垂直統合型のものがほとんど。現状のままで十分というものはオンプレミスとしてそのまま残りますが、変化への即応が要求される も の は リ ソ ー ス を 柔 軟 に 使 え るPaaS、汎用的なサービスでも足りるものはアプリケーション開発が不要なSaaS というように投資が配分されていくことになるでしょう」
業務視点のモニタリングによって 業務プロセス改善も推進していく
この三つの形態(オンプレミス、プライベートクラウド、SaaS)を見通した形で可視化するというのが、「見えるクラウド」の基本的な枠組みだ。大きな業務改善サイクルの中で、個別のサイクルが回る二重の環状になっている(図1)。 サイクルの始まりは、経営企画部門による業務改善の「企画」。その企画に基づいて、開発部門は業務アプリケーションを「作る」作業をスタートさせる。この段階で開発者は、既存あるいは新規の
サービスを組み合わせて迅速に業務システムを開発できることを業務アプリケーション開発/実行基盤に求める。具体的な条件としては、業務プロセスとサービスの依存関係を簡単な方法で定義でき、プライベートクラウドのサービスも SaaS のサービスも利用できる汎用性が挙げられる。 業務アプリケーションが出来上がって本稼働を開始すると、業務システム運用部門による「動かす」フェーズに移る。 この段階での業務運営のポイントは、多様なシステム環境においても最適な量の IT リソースを業務アプリケーションに割り当てて安定稼働させること。そのためには、業務アプリケーションの構成と負荷の状況を業務視点でモニタリングするための機能が欠かせない。モニタリングされていなければ、業務アプリケーションの運用管理担当者が PaaSのリソースプールをコントロールすることもできないからだ。SaaS も利用している場合は、SaaS に対するモニタリングとコントロールもできるとさらによいだろう。 業務アプリケーションのモニタリン
グ結果は、さらに、経営企画部門による「評価」の材料としても使われる。企画担当者は業務アプリケーションを構成するサービスの利用状況を基に、改修すべきものや廃棄してもかまわないものがないかをチェック。その判断を次の管理サイクルに向けた業務改善の企画に生かしていく。 「経営層の主な関心事は、業務プロセス改善をいかに短期・効率的に進められるかということ。そのためには、業務そのものも、業務アプリケーションを動作させるための PaaS 環境の中も、どちらも可視化する必要があります」と、小林。“雲”ゆえに内部が見えにくくなりがちなクラウドを見える化して顧客価値を高めることが、日立の狙いだと説明する。
クラウド向けの強化ポイントはPaaS 環境管理とサービス連携バス
「PaaS の土台となっているインフラの構成を管理・可視化することと、業務プロセスの観点からシステム全体の流れを可視化すること。『見えるクラウド』
Cosminexus
サービス連携バス(ESB)
プライベートクラウド
リソースプール
[業務システム運用部門]
[経営企画部門]
業務単位のサービス利用状況
新業務を企画し、利用状況に基づき改修、廃棄を判断
多様な環境において、最適なITリソースで安定稼働
サービスを組み合わせてスピーディーに業務開発
業務全体の構成と負荷状況
業務とサービスの依存関係
[業務システム開発部門]
モニタリング
新業務 業務システム
業務システム
外部SaaS
業務システム
PaaS環境管理
ESB:Enterprise Service BusPaaS:Platform as a Service
図2■見えるクラウドを実現するCosminexus業務とサービスの依存関係を明らかにし、負荷やサービス利用の状況を業務視点で示す
特集 interview特集 interview
08 Open Middleware Report vol.57
の実現に向けて、われわれはこの二つのテーマに今取り組んでいます」。小林はこう述べた上で、PaaS 環境管理とサービス連携バス(ESB)の二つが、次期Cosminexus での機能強化の主要ポイントになっていると明かす(図2)。 PaaS 環境管理を強化するのは、業務アプリケーション視点でリソースプールを効率良く運用管理することが狙いだ。仮想化基盤やシステム運用管理ツールとの連携に基づき、運用管理者の指定に従って IT リソースを業務アプリケーションに割り当てたり、稼働状況のモニタリングをしたりといった役割を担わせるのだという。 また、従来のバージョンにも装備されていたサービス連携バス(ESB)については、オンプレミス、プライベートクラウド、SaaS のいずれについても、業務プロセスとサービスの依存関係や業務単位のサービス利用状況を把握できるように可視化能力を強化。「作る」と「評価」の効率と質を高めることによって、業務プロセスの改善スピードを高めようとしている。
業務アプリの運用管理担当者がPaaS を容易に構築・設定できる
ク ラ ウ ド 時 代 に 対 応 し た 次 期Cosminexus では、具体的にどのようなことが可能になるのだろうか。 まず、業務アプリケーションの運用管理担当者向けには、PaaS 環境の構築や設定変更を容易にするための仕組みが提供される。この目的で新設されるのが、日立の統合運用管理ツール「JP1」と Cosminexus を連携させるためのインタフェースだ。「従来は業務アプリケーションを稼働させるための環境を構築するために、リソースプールから割り当てられた仮想サーバに対する詳細な設定を運用管理担当者がいちいち手作業でする必要がありました。今後はJP1 との連携によって、運用管理担当者は業務アプリケーションの種類と用途を指定することで自動的な設定が可能になります」と、小林は説明する。 さらに、テンプレート機能を利用すれば、業務用途に沿った設定を簡単な操作で迅速に適用することも可能になる。テ
ンプレートには基本的な仮想マシン設定があらかじめ登録されているので、運用管理担当者はアプリケーションサーバの台数などの「スケール情報」と補助的なパラメーターを補うだけだ。テンプレートを使って実際に構築したシステムは、マスターイメージとして管理され、業務システム環境の再構築やスケールの変更も容易になる。「シェアードサービスを利用するグループ企業や事業所が増えたときや、月末処理のときだけ仮想マシンの台数を一時的に増やしたい場合など、PaaS の設定を簡単に変更できます」と小林はメリットを語る(図3)。
サービス利用状況を可視化して業務プロセス改善も可能にする
また、クラウド時代の Cosminexusでは、業務プロセスとサービスの依存関係や業務単位のサービス利用状況を調べるのも容易になる。これを可能にするのが、サービス連携バス(ESB)が取得したサービス利用に関する情報を稼働
テンプレート選択
ユーザープログラム
テンプレート集 マスターイメージ
受注システム本番用
JP1/IM、JP1/ITSLM、JP1/PFM
ロードバランサー APサーバ DBサーバ
選択パターン
テンプレート
業務
受注 検証用
開発用
本番用
用途
スケール割り当てリソースの確定
パラメーターの確定
スケール情報
受注システム本番用
Web+DB
DB AA
AA
BA
品質保証レベル
JP1/ITRM
ハイパーバイザー管理ツール
PaaS管理サーバ
PaaS環境管理
スケール指定
デプロイ指示
業務システム開発 /運用担当
・
・
イロプデ
図3■PaaS環境の設定をテンプレートで迅速化テンプレートを選び、アプリケーションサーバの台数を指定すればPaaS 環境が出来上がる
特集 interview特集 interview
vol.57 Open Middleware Report 09
OMR
状況モニタリング機能に集めて可視化する仕組みだ。 「いろいろなシステムやサービスをESB に接続するようになると、サービスの利用頻度や依存関係など業務改善に必要な情報が ESB に集まってきます」(小林)。利用状況を見た上で、使用頻度が低くてコア業務でないシステムについては外部 SaaS に移すといったサービスのライフサイクル管理ができるようになる(図4)。 同じ仕組みは、業務プロセスのどこにボトルネックがあるかをあぶり出すためにも役立つ。「業務アプリケーションを稼働させるための環境がオンプレミス、プライベートクラウド、SaaS と多様化するにつれて、業務プロセスの滞留がどこで起こっているのかを突き止めるのは難しくなります。そこで、ESB で取得したサービス利用状況を基にドリルダウンする仕組みを実装しようと考
えました」と、小林は語る。業務アプリケーションが利用しているシステムやサービスが複数に分散している場合でも、業務プロセスからドリルダウンできるようになるという。
日立のハイブリッドクラウドソリューションを支えるCosminexus
Cosminexus に興味を持った企業の導入を支援するソリューションとして、
「ミドルウェア活用ソリューション」も今年度から始まった。「以前からあるシステム構築・運用を支援するテクニカルサービスの枠組みを広げて、次期システムを本格的に導入・展開する前のお客様にもご活用いただけるよう、システム構想の段階から支援するためのソリューションを開発しました」と、小林。提供されている主なサービスには、企画時の
支援、実機でのトライアル、システム設計/開発時の技術支援などがある。 また、日立では、「安全・安心」「スピード・柔軟」「協創」をコンセプトに社会イノベーションを加速する「Harmonious Cloud」と呼ばれるクラウドソリューションを提供しており、このソリューションの基礎をなすのが、ハイブリッドクラウド技術の枠組みである「Harmonious Cloud Framework」(HCF)である。 CosminexusはこのHCFを構成する主要コンポーネントの一つとして、クラウド間のアプリケーション連携を中心とした機能を提供する。 オンプレミスの環境を生かしつつ、クラウドの利用も徐々に拡大させ、総合的なハイブリッドクラウドの環境を構築していく―そうしたクラウド時代に向けた Cosminexus の歩みは、これからも続けられていく。
稼働統計生成
PaaS環境
ERPパッケージ
業務プロセス
業務プロセス サービス
メッセージ取得
uCosminexus Service Platform
SaaS
メインフレーム OpenTP1 Database
業務システム
稼働状況モニタリング
OpenTP1:分散トランザクションマネージャ「uCosminexus OpenTP1」
・稼働統計
・サービス利用頻度・サービス依存関係
図4■ESB/BPM基盤の稼働状況をモニタリングサービス利用状況をライフサイクル管理や業務プロセスのボトルネック検出に活用できる
『ITpro』2011 年 10月掲載
10 Open Middleware Report vol.57
特集 Case Study ● 大同生命保険/T&D情報システム特集 Case Study ● 大同生命保険/T&D情報システム
最小のコストで高品質を得るシステム開発とは
日経 BP 社 コンピュータ・ネットワーク局 プロデューサー 田島 篤氏(以下、田島氏)ビジネスを取り巻く環境が急速に変化する中で、企業情報システムにもさらなる変革が求められています。実際、ソフトウェア開発の現場ではどのようなことが起こっているのでしょうか。日立製作所 情報・通信システム社 ソフトウェア事業部 第 2AP 基盤ソフト設計部 担当部長 吉村 誠(以下、吉村) 日立製
作所(以下、日立)では、技術がお客様にどう貢献できるかを考えてソフトウェアを開発・販売しています。これまではお客様の三つの立場、すなわち、アプリケーション開発者、システム運用者、業務主管のそれぞれに向けて価値をご提案してきました。最近では、さらに、第4の立場である経営層に向けて IT 投資に対する効果をお見せすることも求められるようになりました。T&D情報システム 事業三部 シニアマネージャー 国富隆氏(以下、国富氏) 当社は、T&D保険グループのシステムを支える
会社として、システムの開発から運用までの全フェーズを担当しています。以前はコストをかけても先進的で良いシステム、役に立つシステムを作ることが求められてきましたが、この3〜 4年は特に、最小のコストでソフトウェアの品質と生産性を高めることが最優先の課題となりました。T&D情報システム 事業三部 新契約システム開発課 プロフェッショナル 内田浩貴氏
(以下、内田氏) 例えば、大同生命保険の基幹系オンラインシステムは営業と事務の2系統に分かれており、サーバも
ますます加速する経営スピードに対応できるシステムを構築するとともに、システム開発コストや運用コストを削減していく——。今、多くのシステム開発者がこの課題に直面している。その解決に役立つのが、企業情報システムの将来像を見据えたミドルウェア。例えば、SOA ベースのワークフロー基盤だ。これを使うことによって、どのような成果が得られるのか。中小企業経営者向け保険のリーディング・カンパニーである大同生命保険のシステム開発を手がける T&D 情報システムの国富隆氏と内田浩貴氏、そしてミドルウェアを提供する日立製作所の吉村誠に、日経 BP 社の田島篤氏がシステム開発の課題と解決策を聞いた。
システム開発の課題と解決策をプロが語る!疎結合型のワークフロー基盤を構築し段階的な基盤統合によるサービスの共通化を実現
T&D情報システム株式会社事業三部シニアマネージャー国富 隆 氏
T&D情報システム株式会社事業三部
新契約システム開発課プロフェッショナル
内田 浩貴 氏
株式会社 日立製作所情報・通信システム社ソフトウェア事業部第2AP基盤ソフト設計部担当部長吉村 誠
日経BP社コンピュータ・ネットワーク局
プロデューサー田島 篤 氏
特集 Case Study ● 大同生命保険/T&D情報システム
vol.57 Open Middleware Report 11
特集 Case Study ● 大同生命保険/T&D情報システム
システム開発の課題と解決策をプロが語る!疎結合型のワークフロー基盤を構築し段階的な基盤統合によるサービスの共通化を実現
それぞれに数十台ずつあります。これだけの台数があると運用管理コストも高くなりますし、システム開発や更改も別々に行わなければなりません。コスト効率を高めるには統合する必要があると考えています。
システム統合への第一歩として疎結合型ワークフロー基盤を構築
田島氏 2系統ある基幹系オンラインシステムを統合することが、新システムを構築するにあたっての重要テーマになっていたわけですね。国富氏 元々はリスク分散が目的でした。仮に一方のシステムが止まっても、もう一方の業務は続けられるようにしたいという考え方です。しかし、最近は営業と事務の間で業務をきれいに切り分けられなくなっていますし、コストがかさむという問題もあります。そこで、
2010年に開発がスタートした新契約システムでは2系統あるシステムの統合を見据えた “ 次世代 ” のワークフロー基盤をまず構築し、そこに新契約システムを再構築することにしました。吉村 現行の事務システムには日立のワークフロー基盤をお使いいただいております。新契約システムの構築にあたって「業務ロジックとワークフローコントロールを分離して保守性を高めたい」とのご要望がありましたので、疎結合にも対応したSOAベースのワークフロー基盤を日立から提案し、ご採用いただきました。国富氏 実は、現行の事務システムでは業務とワークフローの間に自社製ミドルウェアを介在させているのです。このミドルウェアは業務ごとに作りこまれてきたシステムであったため、ワークフローの開発やテストには大きな工数が必要でした。そこで、本来はシステム基盤整備を狙ったプロジェクトではな
かったのですが、新契約システムを開発する際に疎結合のワークフロー基盤も併せて構築し、将来の本格的なシステム統合に向けた第一歩にしようと考えました。
段階的な移行で統合を着実に進めて本社事務部門の工数を削減
田島氏 稼働中のワークフロー基盤を入れ替えるのは、かなり難しい作業になると思いますが。国富氏 新契約システムは2012年の本稼働を目指しており、その時点で事務システム内の新契約に関する部分は新しいワークフロー基盤に乗ることになります。営業システムはその後に更改することになると思いますので、そのタイミングから順次新ワークフロー基盤に乗せる予定です。最終的には一つに統合するとしても、一度で実現するには “体
ンイランオ業営
ンイランオ務事
新ワークフローシステム (クラウドサービスプラットフォーム
Cosminexus)●新契約業務のワークフロー●案件の進捗管理
運用管理(統合システム運用管理 JP1)●ジョブ管理 ●障害監視●性能監視●ソフトウェア配布
アプリケーション・ゲートウェイ・システム
●メッセージプロトコル変換●各種システムアダプタ接続●文字コード変換
Hubシステム●メッセージプロトコル変換●各種システムアダプタ接続●文字コード変換
クラウドサービスプラットフォーム
Potalシステム
出力システム
イメージシステム
出力システム
現行ワークフローシステム
●Potalメニュー画面●シングルサインオン(認証)
Webシステム●メニュー画面(JSP)●オンライン画面(JSF)●ワークフロー画面(JSF)
Webシステム●メニュー画面(JSP)●オンライン画面(JSF)●ワークフロー画面(JSF)
大同生命保険の新契約システム概念図
JSP:JavaServer Pages JSF:JavaServer Faces
12 Open Middleware Report vol.57
特集 Case Study ● 大同生命保険/T&D情報システム
力 ” が必要ですし、リスクも伴います。稼働しているシステムへのリスクを抑えつつ、出来るところから段階的に進めていくことが重要でしょう。内田氏 営業システムにも事務システムにもたくさんの業務があります。すべての乗せ替えが完了するのは数年先になると思います。吉村 欧米では、SOAを利用して一気にシステムを統合することが多いと聞いています。しかし、日本では、現在の仕事を動かしながら統合を進めていかなければならないのが現実です。まず基盤を統合し、業務を共通モジュール化して段階的につなぐ手順のほうが日本の企業風土には適しているでしょう。田島氏 ワークフロー基盤を統合することによってどのような効果が期待できますか。国富氏 新契約システムの稼働後は本社事務部門の作業工数が減ると見込んでいます。現状では営業システムにはワークフローが備わっていないため、支社の営業部門から送られてきた契約書類を本社事務部門で審査し、不備が見つかると、メールなどで連絡して対処しています。メールでの処理が介在すると、審査処理の進捗がシステム上に残らないため、案件の状況管理が難しくなります。新契約システムではそうした不備への対処もワークフローで一元管理でき
るため、人手による介入は最小限で済みます。
クラウド・コンピューティングの利活用
田島氏 IT 基盤について、システム統合以外にも中長期のテーマをお持ちですか。国富氏 やはり、クラウド・コンピューティングへの対応でしょう。社内でも「クラウドを利用すればシステムをもっと短期間にシステム構築できるのではないか」と質問を受けています。政府のエコポイントの申請システムがあれほど早く稼働したのはSaaS を採用したためだということをよく理解しています。今後、何を開発するにしても、クラウド・コンピューティングは、キーワードになってきますね。内田氏 クラウド・コンピューティングには、開発環境としての役割も期待しています。既存システムに影響を及ぼすことなく、担当者別や言語別にテストを行えるようにするには、複数の専用環境がどうしても必要になります。仮想マシンを使うとしても社内で準備できるリソース量には限界がありますから、外部のリソースを期間限定で使いたいですね。ただし、テストデータをどうやって安全に社外に持ち出すかという課題は
あります。吉村 業務量に応じてリソースを柔軟に割り当てできるクラウド技術をお客様にご提供することは、日立の使命であると考えております。また、ソフトウェア開発でクラウドを使いたいというご要望があることは承知しておりますので、仮想マシンと開発ツールのライセンスを組み合わせた開発環境クラウドの仕組みもいずれご提供することになるでしょう。さらに、経営層向けに「IT 投資の価値を “ 見える化 ” してくれるクラウド」といったものも構想中です。田島氏 それは IT ポートフォリオ分析のような機能ですか。吉村 プラットフォームとしてご提供するPaaS の中にアプリケーションの稼働状況を監視・分析する仕掛けを組み込んでおき、既存の社内業務であれ、新規に開発したシステムであれ、クラウドに乗せるだけで分析結果をグラフなどで見られるようにするというものです。国富氏 当社でも、稼働状況を可視化していく必要があると思います。吉村 ご提供を開始するまでに、それほど時間はかからないものと思います。ご期待ください。田島氏 本日は、どうもありがとうございました。
『ITpro』2011年9月掲載
OMR
USER PROFILE大同生命保険株式会社本 社:大阪/大阪府大阪市西区江戸堀 1-2-1 東京/東京都港区海岸 1-2-3設 立:1947年7月14日(創業 1902 年 7 月)資 本 金:1100 億円従 業 員 数:内務職員 3520 名 営業職員 3954 名(2011 年 3 月末現在)
http://www.daido-life.co.jp/事 業 概 要:T&D 保険グループの中核企業として、企業市場に特化した独自のビジネスモデルを展開する生保大手。お客様に「最高の安心」と「最大の満足」をお届けするために、質を重視した経営の推進による持続的な成長の実現に向けて、「コアビジネスの強化」「さらなる成長に向けた “ 業務革新 ”」「財務基盤の一層の強化」に取り組んでいる。
PARTNER PROFILET&D情報システム株式会社本店所在地:埼玉県さいたま市浦和区針ヶ谷 4-2-18東京事業所:東京都港区海岸 1-2-3大阪事業所:大阪府大阪市西区江戸堀 1-2-1設 立:1999 年 7 月 15 日資 本 金:3 億円従 業 員 数:722 名(平成 23 年 7 月 1 日時点)
http://www.td-system.co.jp/事 業 概 要:戦略的 IT 投資により先進的サービス提供とコスト競争力強化を図るため、太陽情報産業株式会社と大同生命保険株式会社システム部および大同生命計算センターとシステム組織を統合。常に先進的で高度な技術を探求し、T&D 保険グループ企業各社に対して、システム構築・運用などのサービスを提供している。
くるくる商事練り物(なると・かまぼこ等)など柔らかいものを中心に取り扱う商社。業界でのポジションは中の下。「志は常に高く」を社訓とし、「ナンバーワンよりも、オンリーワン企業をめざす」というのが会社ホームページでの社長訓示だが、実態は…。
まる夫超プラス志向のお気楽社員。履歴書の「PC 歴 15 年」が買われて入社したが、実のところはアイドルの情報集めがメインのため、知識が限定的。何かにつけ周囲を悪夢に巻き込むが、本人は会社期待のホープと思っている。特技は「妄想」。
イタバサミ課長事務畑一筋で歩んできたはずが、突如IT担当兼務にされてしまった ITオンチの50 代。権力とカミさんにめっぽう弱い。社長のむちゃぶり、頼りがいのない部下との板挟みに悶絶しつつ、医者に高血圧を忠告されている。
筋肉センパイ体育大・空手部出身。責任感が強く仕事に取り組む姿勢は感心されるが、時々熱くなりすぎて暴走するのが玉にキズ。同級生だった妻を愛する35歳。
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クラウド対応に向けたCosminexusの取り組みとして、○○○○環境管理を機能強化していきます。さて、○○○○に入る言葉は次のうちどれでしょうか?❶ IaaS❷ PaaS❸ SaaS
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Open Middleware Report Web公開:2011年11月22日~ 前回のこたえ:③
Coffee Break
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C a s e S t u d y
ビジネスインテリジェンス(BI)ツールを導入したのに、なかなか活用が進まない。BI を導入した企業の多くが抱える悩みだ。特に近年では、データ統計・分析の専門家のみならず、業務現場の社員自らがツールを活用し、日々の業務に役立つ知見を引き出すことを目指した BIソリューションが数多く提供されている。しかし現場での BI 活用は、多くの場合なかなか根付かないのが実情のようだ。 その主な原因は、簡単に言ってしまえば「BI ツールの使い方が分からない」ことにある。「使い方」と言っても、単にツールの操作方法が分からないといったレベルの話ではない。データ分析から本当に価値ある知見を引き出すためには、定型の分析作業を一度回すだけでは不十分だ。ある分析の結果が出たら、それを受けて仮説を立て、それに基づいて別の切り口で分析を行い、さらにその結果を受けて別の分析を……といったよ
うに、仮説検証のサイクルを繰り返し行う必要がある。この仮説検証のノウハウが、どうしても現場の一般社員には不足しているのだ。 かといって、データ分析に関する専門的な教育を社員に施しさえすれば、ある日を境に全社員が統計・分析の専門家になれるわけではない。従って、統計・分析の専門家が持っているノウハウを、現場の社員に効率的にフィードバックできる何らかの方法があればいいのだが……。
現場のための純国産BIツール「データスタジオ@ WEB」
DTS が提供する「データスタジオ@ WEB」は、2002 年の初代バージョンのリリース以来、国内 350 サイト、利用者数 5 万人以上の導入実績を誇る純国産 BI ツールである。その特徴について、DTS 新市場企画営業部 営業グ
ループ アライアンスビジネスチーム マネジャー 横溝雅彦氏は、次のように説明する。 「BI の歴史を振り返ってみると、3 つの世代に分けることができる。第 1 世代の BI はごく限られた統計・分析の専門家向けのツール。第 2 世代になるとダッシュボード機能が搭載され、経営層向けに経営状態を可視化する用途で使われるようになった。そして現在の第 3 世代の BI では、専門家や経営層だけでなく、現場の社員が日々の業務の中でいかにデータを有効活用できるか、という段階まで進化してきている。データスタジオ@ WEB は、まさにこの第 3 世代に当たる製品だ」 同製品のコンセプトは、「全社員が毎日の実業務の中で使える BI ツール」。これを実現するために、現場の従業員にとっての使い勝手に徹底的にこだわって開発されているという。 ユーザーインタフェースは Web に完
「第 3 世代」ともいわれる現在の BI ツール。経営層などの限られたユーザーだけでなく、あらかじめ全社利用を前提にした製品も登場している。スムーズに BI を全社展開するために必要な要素とは。
BIツール「データスタジオ@WEB」×業務ポータル「uCosminexus Navigation Platform」BI全社展開の課題、「分析ノウハウの共有」を解決するには?
DTS新市場企画営業部 営業グループアライアンスビジネスチーム マネジャー横溝雅彦 氏
DTSビジネスソリューション部
パッケージソリューショングループ プロダクトマネジャー須田修司 氏
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DTS
BIツール「データスタジオ@WEB」×業務ポータル「uCosminexus Navigation Platform」BI全社展開の課題、「分析ノウハウの共有」を解決するには?
全対応。また、分析の対象データや条件設定をあらかじめ定義し、テンプレートとして保存可能だ。そして、これを BI の利用ノウハウとして社内に蓄積・共有できるようにすることで、現場レベルでのBI の活用促進を支援する。また、ライセンス価格は最小構成時(1 サーバ・10ユーザー)で 150 万円と、極めて安価に設定されている。さらに、製品の開発を自社で行う純国産の製品であるため、製品サポート面でも迅速できめ細かい対応が期待できる。
分析作業のフローを共有化できるかどうかが BI 活用の鍵
このように、現場レベルでの BI 活用を促進する機能を備えるデータスタジオ@ WEB だが、それでも実際にユーザーに BI ソリューションを提案する場面では、課題にぶつかることも少なくないという。DTS ビジネスソリューション部 パッケージソリューショングループ プロダクトマネジャー 須田修司氏は、次のように述べる。 「定型分析をテンプレート化する機能
を備えているものの、そこから導き出せるのはあらかじめ決められた条件を基に抽出したワンショットの分析結果でしかない。しかし実際の多次元分析の作業では、一度出てきた分析結果を見て、さらに分析軸を変えたり、条件の範囲を変えたり、あるいは対象データの範囲を変えたりして、試行錯誤を繰り返しながら分析の精度を上げていく。こうした一連のプロセスのノウハウが、業務現場のユーザーにはない」 横溝氏も次のように述べる。「従来、管理部門があらかじめ業務フローを設計し、それを手組み開発でシステム化するやり方が多かった。しかしユーザー自身が現場ニーズにフィットする形にフローをカスタマイズすることができないため、積極的に BI を活用しようという機運が現場レベルで生まれにくかった」
業務ポータル「uCosminexus Navigation Platform」とBI の連携
この課題を解決するためには、ユーザー自身が柔軟にフローをカスタマイ
ズして、分析プロセスを自然に追えるような仕組みが必要だ。そこで DTSが目を付けたのが、日立製作所(以下、日立)が提供する業務ポータル製品
「uCosminexus Navigation Platform」(以下、Navigation Platform)だ。この製品は動的な業務の流れ、つまり業務フローそのものをポータルの中で実現することを目指した製品である。しかも、フローの中に含まれる個々の業務の詳細な手順を、ガイダンス付きでユーザーに提示できるようになっている。 また、業務フロー自体をユーザーが簡単な操作で実装・更新できる機能も備えているため、大掛かりなプログラム改修は一切必要なく、ユーザー自身が簡単にフローに変更を加えることができるのだ。 「Navigation Platformをデータスタジオ@ WEB と併せて使えば、分析の高度なノウハウや手順を業務フローの形に実装して、ユーザーに提供できると考えた。また、ユーザー自らが日々の実業務に合わせて分析のフローを設計・改変し、さらにその内容をノウハウとして蓄積していけるようなソリューションも可能になる。そこで、この 2 つの製品を
経営情報
顧客情報
販売情報
仕入情報
人事情報
財務/会計
マーケティング
CRM
コールセンター
販売/在庫
物流
ログ管理
製造
調達
人事
DatabaseDWH
DataMart
マルチベンダー対応 クロスプラットフォーム対応 100%Web対応
各データベースからの直接連携
BI NavigationStudio
カンタンなデータベース連携設定
さまざまな参照権限によるアクセス制御
あらゆる角度から最適な切り口でデータ分析が可能!
アプリケーションサーバ
Webポータル
経営情報ポータル
管理ポータル
業務ポータル
活用シーン
経営層
中間管理層
実務層
データスタジオ@WEB Navigation Platform
※「ナビプラ」はuCosminexus Navigation Platformの略称です。
BI NavigationStudio の概要
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連携させた商品を提供することを思い立った」(横溝氏) こうして誕生したのが、データスタジオ@ WEB と Navigation Platformを 連 携 し た 共 同 開 発 製 品 の「BI NavigationStudio」である。
個々の分析ノウハウと仮説検証フローのノウハウが一体に
データスタジオ@WEBとNavigation Platform の連携イメージを具体的に解説しよう。Navigation Platform の画面は、メニュー画面と業務フロー画面、そして実際の業務内容をガイダンスするポータル画面の 3 つに分かれている。業務フローの画面には、データ分析業務の手順がシンプルなフローチャート形式で表示される。このフローは、開発ツール上で簡単なドラッグ&ドロップ操作で作成・更新できるようになっているが、これに加えて、実務で使われることの多い分析シナリオのフローが、あらかじめテンプレートとして用意されている。 条件分岐や繰り返しを含む一連の作業フローがフロー画面上に表示され、現
在フローの中のどの段階の作業を実行しているのかが、一目で把握できるようになっている。そしてフロー画面の隣には、フローの中で現在実行している作業に対応するポータル画面が表示される。ここには、データスタジオ@ WEB の画面が HTML のインラインフレームとして組み込まれており、さらにその前後には操作の方法や手順をガイドするテキストや画像をレイアウトできる。また、フローの遷移や条件分岐などの操作は、ボタンやチェックボックスなどを配置することで実現される。 ユーザーは、この画面の説明に従ってデータスタジオ@ WEB の操作を行い、そしてあらかじめ準備されたフローに従って次の作業に自動的にナビゲートされることで、知らぬ内に自然と高度な分析作業の手順を追っているというわけだ。
日立製のミドルウェアを採用した信頼性の高いソリューション
ま た デ ー タ ス タ ジ オ @ WEB とNavigation Platform との連携には、 ア プ リ ケ ー シ ョ ン サ ー バ と し て
「uCosminexus Application Server」、そしてデータベースソフトウェアに
「HiRDB」という、日立製の極めて信頼性の高いミドルウェアを採用している。これは、BI ソリューションをユーザーに提供する側にとって、大きな強みになると須田氏は言う。 「日立のミドルウェア製品は極めて品質が高く、また開発元の手厚いサポートが受けられるため、われわれとしても安心してユーザーに提案できる」(須田氏) DTS は今後、BI NavigationStudioという新たな武器を得たことで、より一層現場ユーザーにとって価値の高い BIソリューションを提供できるようになると確信しているという。 「ERP と同時に BI を導入する場合などには、BI の利用目的が明確でないまま導入が先行してしまうこともある。しかし Navigation Platform のような仕組みがあれば、現場で具体的な BI のニーズが見えてきた時点で、素早く柔軟に運用を立ち上げられるはずだ。今後はさらに、報告書作成フローのテンプレートを追加するなど、BI NavigationStudioのソリューションの幅を広げていきたいと考えている」(横溝氏) OMR
『TechTarget Japan』2011 年 10 月掲載
BI NavigationStudio の画面の例
マンガで読める JP1 Newsマンガで読める JP1 News
検索JP1 マンガ
「マンガで読める JP1 News」では、ネム子さん、レム男くん、新人オペレータ君の3名をナビ
ゲーターに、JP1の各ソリューションのポイントや導入メリットなどをマンガと図解でわかりや
すく紹介しています。
「ビジネスデータを守るディザスタリカバリ -目的に応じて使い分けを-」では、データの重要
度に応じて、ディザスタリカバリの方式をどう使い分けすれば良いのかをご紹介しています。
JP1では、既存のバックアップシステムへオプション追加するだけで、低コストの遠隔地保管
を実現できます。
この他にも、「BCP(事業継続)」や「省電力」に役立つソリューション、また「仮想化」が抱える問題
と解決策など、きっとお役に立つコンテンツが満載です。
何かあった時でもビジネスを継続させるためには、データを別の拠点に保存しておくディザス
タリカバリが有効です。しかし、データには「コピーの遅延が許されない、重要なデータ」と
「リアルタイム性を必要としないため、最小限のコストでコピーしたいデータ」があります。
続きはWEBで・・・ http://www.hitachi.co.jp/soft /mail/jp1/special/ 検索JP1 マンガ
レム男くん情報システム部で、JP1 を使って社内システムの管理を担当。新人オペレータ君に頼られて、自分をしっかり者と思い込んでいる。いつも同期のネム子さんには頭があがらない。
新人オペレータ君
同じくJP1を使って社内システムの管理をしている。レム男くんを頼って、よく仕事の相談をしにくる後輩。ITシステムの仕組みの理解はなかなかだが、運用管理についての理解はまだまだ(レム男くん情報)。
ネム子さんレム男くんと同じ情報システム部に所属。レム男くんより仕事が早く、レム男くんには、いつも上から目線。いつもダイエットしているが、お菓子が好きなのであまり効果が出ていない(レム男くん情報 )。ちなみにレム男くんとは同期だが訳あって年は一つ上。
リモートサイトバックアップうーん…。 あら、どうしたの?
いざという時のためにデータを別の拠点に保存しておこうと思うんだけど...
ディザスタリカバリね、いいじゃない。
リアルタイムでコピーしておきたいデータと、そんなに重要じゃないデータがあって、どういう方式にしようか悩んでるんだよ~。
ディザスタリカバリはこうやって方式を使い分けるのよ!
おお~
なるほどね
~ BCP( 事業継続計画 )/ 省電力の巻~ビジネスデータを守るディザスタリカバリ -目的に応じて使い分けを-
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C a s e S t u d y
「日本品質」を中国で自社保有のDCを天津市で開業
天津 TIS 海泰は、2010 年 4 月に「天津濱海高新インターネット DC(天津濱海高新 IDC)」を全面開業し、中国国内でアウトソーシング事業を展開している。同社には今、そのサービス品質の高さから、日系企業からの関心も高まっている。
中国全土をみても、天津 TIS 海泰のように自前のDCを持っている日系企業はまだ少ない。日本の DC 運営思想に基づいてセキュリティ体制を構築しているだけでなく、中国の複数キャリアとのアライアンスによって、信頼性の高いキャリアフリーのネットワークを提供できることを強みとしている。第一期施工分の 200 ラックはほぼ完売し、開業当時から目標として掲げている 1200 ラックの販売に向けて、好調な推移をみせている。 天津 TIS 海泰の丸井崇董事 総経理は
「高品質な運用監視を中国の現地価格で利用できることが日系企業のお客様にとって最大のメリットになります。高度な運用監視ノウハウは、現地の DC 事業者が視察に訪れるほど注目を集めています」と語る。 親会社である日本国内大手 SIer のTIS は、金融向けシステムを得意とし、40 年以上のアウトソーシング経験を持ち、日本国内では 9 か所の DC を運営している。日本の DC 運用思想を組み込んだ天津濱海高新 IDC は、日本と同等の高セキュリティ・高品質なサービスを提供することができる。この運用監視を支えているのが、日立製作所の統合システム運用管理製品「JP1」である。「JP1」には、TIS の日本における DC 運用ノウハウが凝縮されている。「日立製作所様の海外での実績や、中国における『JP1』
のサポート体制が確立されていたことも、製品選定のポイントとなりました」
(丸井董事 総経理)と評価する。 天津 TIS 海泰は、「JP1」を DC 運用基盤として導入するにあたり、これまで培った運用監視の考え方を組み込みながら設計・構築を行った。その際「JP1」に種々のカスタマイズを実施している。天津 TIS 海泰の小柳隆司副総監は「DCでは一つのツールを活用して、複数顧客の個別運用監視を統合的に行っていく必要がありました」とシステムの要件を説明する。そのため、「JP1」をカスタマイズして、オペレータの監視画面で顧客にユニーク ID を付与する機能を追加した。 また、多くの顧客から「サーバ入れ替え時やメンテナンス時に出るエラーメッセージを抑止してもらいたい」という要望が挙がっていた。そこで、不要なエラーメッセージをシステムに事前登録することで、自動静観する機能を組み込んだ。 さらに「JP1」が標準で提供している、メッセージ画面から視覚的にステータスを識別できる機能に手を加えた。正常なステータスの場合はメッセージ画面にそれを表示しないように変更するとともに、オペレータがエラー対応を終えたタイミングでも、メッセージを画面上から消去する仕組みに変更したのだ。画面上からエラーメッセージを消しても
金融業界向けのシステムを得意とする国内大手 SIer の TIS が、天津市の投資会社・海泰集団と合併して設立した天津提愛斯海泰信息系統有限公司(天津 TIS 海泰)。天津 TIS 海泰のように、中国全土で建物の設計段階から関わった自前のデータセンター(以降、DC)を持っている日系企業はまだ少ないのが現状だ。同社では「『ジャパンクオリティ』を『チャイナスタンダード』で提供する」というコンセプトのもと、日立製作所の統合システム運用管理製品「JP1」を採用。日本のDC運営ノウハウを生かした、きめ細かい運用監視サービスで、中国市場に進出する日系企業をサポートしている。
「JP1」を活用し中国でデータセンタービジネスを展開高品質な運用監視を日系企業に
董事 総経理丸井崇 氏
専業服務部副総監小柳隆司 氏
首席技術官専業服務部総監肥田圭介 氏
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天津提愛斯海泰信息系統有限公司
「JP1」を活用し中国でデータセンタービジネスを展開高品質な運用監視を日系企業に
過去ログとして記録が保持されているため、後で参照することができる。 また、ネットワークでは、マルチキャリア環境でキャリアの切り替えを自動的に行える BGP* 接続を採用。万一障害が発生した場合にも、他のキャリアネットワークに接続することが可能となっている。アジア最大の通信事業者であるパックネットとの提携により、国際回線接続も実現。信頼性高いネットワークサービスにより、グローバル企業の拠点としても天津濱海高新 IDC を利用できる。 システムの工夫に加えて、オペレータの運用手順書を整備し、現地で人材を採用して、運用オペレータに育成することで、きめ細かく効率のよい運用管理体制も実現している。
クラウドサービス開始で事業強化「JP1」の仮想化対応強化に期待
天津 TIS 海泰は、今後、ハウジングだけでなく、クラウドサービス販売の両輪を回すことで、DC 事業の拡大を狙う。2011 年 3 月、天津 TIS 海泰は中国の大手コンピュータメーカーである曙光と提携して、PaaS/IaaS サービスであ
る「翔シャンユン
雲」を新たに開始した。 ハウジングはいわば「不動産」を販売しているのと同じなので、他の地域の企業へ拡販しようにも、距離の問題が障壁となっていた。クラウドサービスを展開することで、場所の概念は気にせず、幅広い地域に販売のすそ野を広げていくことができる。運用監視の費用も料金に含まれているため、信頼性の高いサービスを享受できる点で日系企業が利用する価値は大きい。 天津 TIS 海泰専業服務部の肥田圭介総監 首席技術官は「クラウドサービスは、お客様のご要望にあわせてリソースの変更を行えることが利点の一つです。今後は、リソースの監視状況をリアルタイムに把握できるようにすることで、お客様からもやりたいことを速やかに反映できる、競争力あるサービスの展開を視野に入れています」。 そうした点を踏まえて、天津 TIS 海泰が「JP1」に要望することは、仮想環境への対応強化だ。「仮想環境は中国でも非常によく使われています。お客様からお預かりするシステムも、仮想技術を活用していることが多いので、仮想環境に適した監視での『JP1』の強化に期待し
ています」(丸井崇董事 総経理)。 今、中国市場でも高度なセキュリティや SLA* 契約に対するニーズは高いが、一方で、それに応えるだけの設備や運用体制を持っている DC は少ない。そのため、顧客から天津 TIS 海泰に問い合わせがくるケースが増えている。「JP1」の性能と、日本で培った DC 運用ノウハウを最大限に生かした天津 TIS 海泰の天津濱海高新 IDC ならば、日系企業も安心してサービスを任せられる。
*BGP:Border Gateway Protocol *SLA:Service Level Agreement
USER PROFILE天津提愛斯海泰信息系統有限公司天津 TIS 海泰は、国内大手 SIer の TISと、天津市の投資会社である天津海泰控股集団の合弁企業として2008年2月に設立。2010年4月に全面開業し、中国市場向けに ITアウトソーシング事業を展開している。顧客の構成比は中国現地企業が5割、外資系企業が3割、日系企業が2割。
天津 TIS DC JP1 監視システム環境
『週刊BCN』2011年10月31日号掲載
OMR