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Gojinkai Motomachi HD Clinic On-line HDFi-HDFおよび HD施行時の除去性能比較 五仁会元町HDクリニック 臨床工学部 1) 、臨床検査部 2) 、内科 3) 森上辰哉 1) 、阪口剛至、吉本秀之、田淵篤嗣、 清水 2) 、田中和弘、申 曽洙 3) 60回日本透析医学会学術集会 20156

On-line HDF i-HDFおよびmotomachihd.com/pdf/gakkai/002.pdf• 3種の浄化法でどの程度の除去性能差が生じるのか比較検討した。併せてHD施行 中の18例をi-HDFに変更し、変更後3カ月時点の効果を判定した。

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Gojinkai Motomachi HD Clinic

On-line HDF,i-HDFおよびHD施行時の除去性能比較

五仁会元町HDクリニック 臨床工学部1)、臨床検査部2)、内科3)

森上辰哉1)、阪口剛至、吉本秀之、田淵篤嗣、

清水 康2)、田中和弘、申 曽洙3)

第60回日本透析医学会学術集会 2015年6月

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Gojinkai Motomachi HD Clinic

慢性維持透析濾過(複雑なもの)が保険収載され、on-line HDFなど浄化法も多様化されてきた。これら多様化された浄化法でどの程度の除去性能差が生じるのか、3種の浄化法を用いて物質除去性能を比較検討した。

目的

年齢(歳) 54.9±8.6

透析歴(年) 12.3±5.7

体重(kg) 63.6±9.8

Hct(%) 31.9±1.8

透析時間(Hour) 4.2±0.5

QB(mL/min) 238.8±23.0

対象患者 n=8

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浄化法 On-line HDF,i-HDF HD

対象浄化器 FIX-210S APS-21E

メーカー ニプロ 旭化成メディカル

膜材質 Asymmetric Triacetate(ATA) ポリスルホン(PS)

膜面積 2.1m2 2.1m2

滅菌方法 γ線 γ線

内径(μm) 200 200

膜圧(μm) 25 45

容量(mL) 125 114

対象とした浄化法および浄化器

HD、前希釈on-lineHDF(OLHDF)、およびi-HDFを1週間(各3回)のクロスオーバーで施行した。各治療(HDF)モードおよび評価に用いた透析装置は以下のとおり。

<浄化法>on-line HDFモード:10L/Hr

i-HDFモード:200mL/30min毎

<透析装置>TR-3000MA(東レ・メディカル)

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評価項目等 1. 小分子量物質除去特性(UN,Cr,UA,iP) ・除去率:RR=(CBpre-CBpost)/CBpre×100 (%) 2. 低分子量蛋白除去特性(β2-MG,α1-MG) ・Ht補正除去率:RR = CBpost (1-Htpost / 100) Htpre 1- × × ×100 (%) CBpre (1-Htpre / 100) Htpost 3. 低分子量蛋白除去特性(β2-MG,α1-MG,Alb) ・除去量(漏出量):M= 貯留排液濃度×排液量 (mg) ・クリアスペース:CS=M/C0 (L) 4. 透析液排液採取方法 監視装置排液ラインより定量ポンプにて0.5L/hrで抽出。排液貯留容器吸着への対応として、非イオン性界面活性剤(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート:Tween20)を、終濃度0.02w/v%となるよう排液容器に添加。 5. HD施行中の18例について、i-HDFに変更。変更後3カ月時点の効果を判定。 検定にはpaired t-testを用い危険率5%未満を有意とした。

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小分子量物質除去率

0.0

10.0

20.0

30.0

40.0

50.0

60.0

70.0

80.0

90.0

UN Cr UA iP

HDOLHDFi-HDF

除去率(%)

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β2-MG・α1-MG除去率

0.0

10.0

20.0

30.0

40.0

50.0

60.0

70.0

80.0

90.0

100.0

β2-MG α1-MG

HDOLHDFI-HDF除

去率

(%)

* ** * p<0.05

** p<0.01

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β2-MG除去量・CS

0.00

2.00

4.00

6.00

8.00

10.00

12.00

HD OLHDF i-HDF

除去量

(m

g)

0

50

100

150

200

250

300

350

HD OLHDF i-HDF

CS(L)

* ** ** * p<0.05

** p<0.01

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Gojinkai Motomachi HD Clinic

α1-MG除去量・CS 除去量

(m

g)

CS(L)

** ** **

**

* p<0.05

** p<0.01

0

50

100

150

200

HD OLHDF i-HDF0.000

0.200

0.400

0.600

0.800

1.000

1.200

1.400

1.600

1.800

HD OLHDF i-HDF

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アルブミン漏出量・CS

0

1000

2000

3000

4000

5000

6000

HD OLHDF i-HDF

3.1~4.4g

2.7~3.7g

0.000

0.020

0.040

0.060

0.080

0.100

0.120

0.140

HD OLHDF i-HDF

漏出量

(m

g)

CS(L)

3.5~4.9g

**

* **

* p<0.05

** p<0.01

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α1-MG,Albの関係

100

120

140

160

180

200

220

240

2000 3000 4000 5000

OLHDF

i-HDF

α1-MG

(m

g)

アルブミン(mg)

46.59 49.93

0.0

10.0

20.0

30.0

40.0

50.0

60.0

HD OLHDF

Alb1g当たりのα1-MG除去量

α1-M

G/Alb

(m

g)

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HDからi-HDFに変更後の効果

0 5 10

中止

変化なし

効果あり

3名

足つりなくなった,治療後が楽,

除水ができる,血圧低下減少

現状で満足している,

大量補液が気分的に負担

わからない,血圧低下は同じ,

下肢つり程度は同じ

全18名について、HDからi-HDFに変更後3ヶ月目の状況調査。

(人)

n=18

5名

10名

血圧低下率

0.0 5.0 10.0 15.0

i-HDF

OLHDF

HD

(%)

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考察・まとめ • 3種の浄化法でどの程度の除去性能差が生じるのか比較検討した。併せてHD施行

中の18例をi-HDFに変更し、変更後3カ月時点の効果を判定した。

• 小分子量物質について、 on-line HDFでは前希釈による希釈効果およびQD減量によるクリアランス低下、i-HDFでは頻回の補液によるタイムロスが拡散除去性能に影響を与えることが推測されたが、今回設定した浄化モードでは3群間に差はなかった。

• β2-MGについて、on-line HDF群が他の2群に比較して除去率、除去量/CSで優位であった。

• α1-MGについて、on-line HDF=HD>i-HDFとなり、アルブミン漏出量にほぼ比例した結果となった。On-line HDF,i-HDFの除去性能差は、用いた膜が同一であることから補液方法(量)の差によることが示唆された。

• アルブミンでは、HDモードで用いた膜(APS-21E)が比較的高めの漏出量となったが、 On-line HDF,i-HDFではα1-MGと同様に補液方法(量)の差によることが示唆された。

• 各浄化モードで1週間(各3回)施行時の血圧低下率は3群間に差はなかった。

• HDからi-HDFに変更した効果として、15例(中止3例除く)中5例に何らかの臨床効果が得られた。 i-HDFは補充・濾過を間歇的に繰り返すことにより、組織間のプラズマリフィリングを促進させる。その結果、除水による血管内ボリュームの低下が抑制され、血圧が維持できていることが推測された。On-line HDFによる同様の効果は確認していない。

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結語

3種の浄化モードを検討した結果、それぞれの特性を知ることができた。

今後、これらの浄化法を用い、膜種を含めて補液量等を検討して、病態に適した治療モードを構築していく。

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演題発表に関連し、開示すべきCO I 関係にある企業などとして、

①顧問: なし

②株保有・利益: なし ③特許使用料: なし ④講演料: なし ⑤原稿料: なし ⑥受託研究・共同研究費(検査費): なし ⑦奨学寄付金: なし ⑧寄附講座所属: なし ⑨贈答品などの報酬: なし

第60回日本透析医学会学術集会

CO I 開示

筆頭発表者名: 森上辰哉