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Oracle テクニカル・ホワイト・ペーパー 2011 10 Oracle Data Guard 11g Oracle Database 向けのデータ保護と可用性

Oracle Data Guard-Oracle Database向けのデータ保護と可用性 · Oracle ホワイト・ペーパー-Oracle Identity Management 11g Release 1 「Oracle Active Data Guard 11g

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Oracle テクニカル・ホワイト・ペーパー 2011 年 10 月

Oracle Data Guard 11g Oracle Database 向けのデータ保護と可用性

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Oracle ホワイト・ペーパー-Oracle Identity Management 11g Release 1

はじめに .............................................................................................................................. 1

Oracle Data Guard 11g - 概要 ............................................................................................ 2

Oracle Data Guardの動作 - 詳細な技術情報 ..................................................................... 4

Oracle Data Guard転送サービス ................................................................................... 4

保護モード ..................................................................................................................... 6

Oracle Data Guard適用サービス ................................................................................... 6

自動ギャップ解消 .......................................................................................................... 9

Oracleデータの検証....................................................................................................... 9

Oracle Data Guard構成の管理 .................................................................................... 10

ロール管理サービス ..................................................................................................... 11

計画メンテナンスへの対応 ......................................................................................... 12

プラットフォームの移行 ............................................................................................. 13

Standby-First Patch Apply ........................................................................................... 13

Oracle Data Guardとリモート・ミラー化の比較 ............................................................. 14

Oracle Data GuardとOracle Exadata Database Machine ................................................ 15

Oracle Data GuardとOracle Real Application Clusters .................................................... 15

Data GuardとOracle GoldenGate ..................................................................................... 15

Oracle Maximum Availability Architecture ......................................................................... 16

Oracle Data Guardの顧客 ................................................................................................. 16

結論 ................................................................................................................................... 17

付録:Oracle Data Guard 11gの新機能の概要 ................................................................. 18

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Oracle ホワイト・ペーパー-Oracle Identity Management 11g Release 1

はじめに 効率的な業務、高品質の顧客サービス、政府の規制への適合性、および企業情報資産の保護には、

実現可能な最高水準のデータ保護とデータ可用性が必要です。データの保護と可用性の確保が、規

模や業界を問わないあらゆる企業の最優先事項であるとしても不思議ではありません。

オフサイトのバックアップやストレージのリモート・ミラー化を使用したリカバリは、企業データ

に対して従来から使用されてきたデータ保護および障害時リカバリ(DR)のソリューションです。

しかし、これらのソリューションは、積極的なリカバリ・ポイント(RPO:データ保護)およびリ

カバリ時間(RTO:データ可用性)目標を確実に提供することができません。また、障害が発生す

るまではスタンバイ・システムがアイドル状態にあるため、低い使用率が原因となって十分な投資

収益率が達成されません。

対照的に、Oracle Data Guard 11g はデータ保護ソリューションに対する従来の期待を一新する製品

です。Data Guard は、Oracle Database 向けのデータ保護およびデータ可用性のソリューションで

あり、管理、監視、および自動化ソフトウェアを提供して、1 つまたは複数の同期スタンバイ・デー

タベースを作成して維持することで、データを故障、障害、エラー、破損から保護します。高可用

性要件と障害時リカバリ要件の両方に対応でき、Oracle Real Application Clusters の機能を理想的に

補完します。

Oracle Data Guard は、Oracle のデータを最高レベルで保護するために必要な Oracle データベース

のナレッジを備えています。Oracle Data Guard は、導入と管理が容易です。管理者は安心してスタ

ンバイ・データベースに本番ロールを引き継ぐことができるため、フェイルオーバー時のビジネス・

リスクが解消されます。また、Data Guard のスタンバイ・データベースは障害保護機能を提供する

と同時に、問合せ、レポート、バックアップ、テスト、ローリング・データベース・アップグレー

ド、およびその他の保守作業に使用される際、高い投資収益率を実現します。

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「Oracle Active Data Guard 11g の採用は大成功でした。当社では、10 テラバイトのスタンバイ・データベースを 2 つの目的で簡単に使用できました。

2 つの目的とは、一般に公開している e コマース・アプリケーションの障害保護と、安全な読取り専用アクセスです。ほかの製品をいろいろ評価した

後で、既存の Oracle Data Guard スタンバイ・データベースを活用できる Oracle Active Data Guard 11g に出会うことができ満足しています。これが、

現行の情報に対して連続したアクセスをお客様に提供できるもっともシンプルなソリューションでした。」

Intermap Technologies、Sue Merrigan

Oracle Data Guard 11g - 概要

Oracle Data Guard は、障害、災害、エラー、データ破損から Oracle データを保護する 1 つ以上のス

タンバイ・データベースを作成および維持するための、管理、監視、自動化ソフトウェア・インフ

ラストラクチャを提供します。同期構成(データ損失ゼロ)と非同期構成(データ損失ほぼゼロ)

の両方をサポートするという点において、Data Guard は Oracle レプリケーション・ソリューション

の中でも異色の存在です。プライマリ・システムで障害が発生した場合、ミッション・クリティカ

ルなアプリケーションの高可用性を維持するための本番システムからスタンバイ・システムへの

フェイルオーバーを手動で実行するか、または自動で実行するかを管理者が選択できます。図 1 に、

Data Guard アーキテクチャの概要を示します。

図 1 - Data Guard のアーキテクチャ

スタンバイ・データベースには 2 つのタイプがあります。フィジカル・スタンバイ・データベース

は REDO Apply を使用して、プライマリ・データベースの正確なレプリカをブロック単位で維持し

ます。フィジカル・スタンバイ・データベースは、Oracle Database に対して 高の障害時リカバリ保

護を提供します。

2 番目のタイプのスタンバイ・データベースは、SQL Apply を使用してプライマリ・データベースの

論理レプリカを維持します。ロジカル・スタンバイ・データベースにはプライマリ・データベース

と同じデータが含まれていますが、物理的なデータ編成および構造は異なる場合があります。Data Guard 11g 以降では、SQL Apply とフィジカル・スタンバイ・データベースを組み合わせて使用する

ことで、新しい Oracle Database リリースやパッチセットへアップグレードする際の停止時間が 小

化されています(一時ロジカル・データベースのローリング・アップグレード・プロセス)

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図 2 に示されているとおり、Oracle Data Guard は、多くの統合された Oracle Database High Availability(HA)機能の 1 つです。Oracle Data Guard を使用すると、計画停止時間と計画外停止時間の影響を

小限に抑えて、ビジネスの継続性を確保できます。

図 2 - Oracle Database 高可用性機能

データ保護と可用性を提供するだけでなく、Data Guard のスタンバイ・データベースはスタンバイ・

ロールになっている間、非定型の問合せ、レポーティング、バックアップ、およびテスト・アクティ

ビティをサポートすることで、高い投資収益率を実現します。具体的には、次のような利点があり

ます。

• Active Data Guard オプション(Oracle Database 11g)を使用すると、フィジカル・スタンバイ・

データベースを読取り専用アプリケーションのために使用すると同時に、プライマリ・デー

タベースからの更新を受け取れます。アクティブ・スタンバイ・データベースで実行した問

合せは、 新の結果を返します。Active Data Guard のスタンバイ・データベースは、レプリ

ケーションがアクティブになっている間、プライマリ・データベースと同じレベルの読取り

一貫性を保証できるという点において、その他の物理レプリケーション・メソッドとは一線

を画します。

• スナップショット・スタンバイを使用すると、テストや、本番データの読取り/書込み用のレ

プリカが必要なアクティビティのために、フィジカル・スタンバイ・データベースを読取り

/書込みモードでオープンできます。スナップショット・スタンバイは、受信を続けますが、

プライマリ・データベースで生成された更新は適用しません。テストが完了すると、はじめ

に読取り/書込みモードでオープンされている間の変更を破棄し、次にプライマリ・データ

ベースから受信した REDO を適用することで、スナップショット・スタンバイは同期フィジ

カル・スタンバイ・データベースに戻ります。プライマリ・データは常に保護されます。

• フィジカル・スタンバイ・データベースは、プライマリ・データベースの正確なレプリカな

ので、バックアップ実行時のプライマリ・データベースのオーバーヘッドを軽減するために

も使用できます。すべてのリカバリ処理は、プライマリ・データベースと Data Guard のフィ

ジカル・スタンバイ・データベースの両方に対して同じように適用できます。

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「当社では、SAN から SAN への直接的なレプリケーションの代わりに、Oracle Data Guard を使用しています。Oracle Data Guard は、通信コストを

制御し、ネットワーク・ハードウェアの負荷を軽減するのに役立っています。」

NRMA Motoring & Services、Craig Gibbons

Oracle Data Guardの動作 - 詳細な技術情報

Oracle Data Guard の構成には、プライマリ・データベースと呼ばれる本番データベースと 大 30 の

スタンバイ・データベースが含まれます。プライマリ・データベースとスタンバイ・データベース

は、Oracle Net Services を使用した TCP/IP を介して接続されます。データベースが互いに通信可能で

あれば、設置場所に関する制約はありません。スタンバイ・データベースは、 初はプライマリ・

データベースのバックアップ・コピーから作成されます。Oracle Data Guard は、プライマリ・データ

ベースの REDO(トランザクションをリカバリするために Oracle によって使用される情報)を送信

して、プライマリ・データベースとそのすべてのスタンバイ・データベースを自動的に同期し、ス

タンバイ・データベースに適用します。

Oracle Data Guard転送サービス

ユーザーがプライマリ・データベースでトランザクションをコミットすると、Oracle によって REDOレコードが生成され、ローカルのオンライン・ログ・ファイルに書き込まれます。この際、Data Guardの転送サービスはプライマリ・データベースのログ・バッファからスタンバイ・データベースへと

直接 REDO を転送し、スタンバイ・データベースは、スタンバイ REDO ログ・ファイルに REDO を

書き込みます(図 3 のステップ 1)。Data Guard 11g の転送は非常に効率的であり、プライマリ・デー

タベースでの取得処理やデータベース・アクセス、またはディスク I/O をまったく必要としない唯一

のデータベース・レプリケーション・メソッドです。また、Data Guard は、同期と非同期という 2種類のレプリケーション・メソッドを提供する、唯一の Oracle データベース・レプリケーション製

品でもあります。

同期 REDO 転送(SYNC)では、REDO が受信され、ディスク(スタンバイ REDO ログ・ファイル)

に書き込まれたというスタンバイ・データベースからの確認を待ってから、プライマリ・データベー

スがアプリケーションにコミットの成功を伝えます。このため、あらゆる単一障害からサイト全体

の障害にわたって、障害発生時にデータ損失ゼロの保護が保証されます。さらに追加で Data Guardの 大保護モード(詳しくは後述)を構成すると、独立した障害が複数発生した場合にもデータ損

失ゼロの保護が保証されます。

Data Guard 11g Release 2 では、リモート・スタンバイへの REDO 転送がプライマリ・データベース

でのローカル・オンライン・ログ・ファイルへの書込みと同時に行われるため、同期転送によるプ

ライマリのパフォーマンスへの影響が軽減されています(以前のリリースでは、ローカル・ログ・

ファイルの書込みが完了してから、Data Guard によってメモリからリモート・スタンバイへの REDO転送が実行されていました)。この拡張によって、事実上、プライマリとスタンバイ間での合計ラ

ウンドトリップ時間から、スタンバイ・データベースでの I/O にかかる時間が除外されます(ローカ

ル・ストレージとリモート・ストレージの I/O パフォーマンスが同等と仮定した場合)。以前の Data Guard リリースと比べてラウンドトリップ時間が短縮されるため、データ損失ゼロの同期構成でプラ

イマリ・データベースとスタンバイ・データベースを地理的にさらに離れた場所に配置できるよう

になりました。または、待機時間の短いネットワークを使用することで、同期レプリケーションに

よるプライマリ・データベースのパフォーマンスへの影響をほぼゼロにまで軽減できます。

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図 3 - Oracle Data Guard REDO 転送サービスと適用サービス

非同期 REDO 転送(ASYNC)では、スタンバイ・データベースの REDO 受信確認を待つことなく、

プライマリ・データベースがコミットの成功をアプリケーションに伝えることで、プライマリ・デー

タベースのパフォーマンスへの影響が回避されます。機能が強化された Data Guard 11g の ASYNC で

は、(ディスクからではなく)プライマリ・ログ・バッファから直接送信が実行されるため、プライ

マリ・データベースのパフォーマンスへの影響が実質的に排除されるとともに、待機時間の長い広

域ネットワーク(WAN)におけるネットワーク・スループットも向上しています。ただし、コミッ

トされたトランザクションに対するすべての REDO が常にスタンバイ・データベースで受信される

という保証があるわけではないため、ASYNC によるパフォーマンス向上には、少量のデータ損失に

対する潜在的なリスクが伴います。

Data Guard は、1 つの構成で 大 30 のスタンバイ・データベースをサポートする能力を備えていま

す。ますます多くの顧客が、この柔軟性に Data Guard 11g の REDO 転送の拡張を組み合わせて使用

することで、ローカル(HA 用)とリモート(DR 用)の両方の Data Guard スタンバイを配置してい

ます。ローカルの Data Guard スタンバイ・データベースによって追加の HA レイヤーが提供される

ため、想定外の出来事や人為的エラーによって本番システムが利用できなくなった場合でも、プラ

イマリ・サイトの稼働を継続できます。ローカル・スタンバイ・データベースは同期 REDO 転送を

使用できるため、フェイルオーバーが必要になった場合にもプライマリ・データベースへの影響を

小限(またはなし)に抑えて、データ損失ゼロを実現します。また、ローカル・スタンバイをプ

ライマリ・サイトのアプリケーション層近くに配置すると、新しいプライマリ・データベースに対

して迅速にアプリケーション・クライアントを接続できます。ローカル・スタンバイ・データベー

スへのフェイルオーバーまたはスイッチオーバーが実行されると、このような構成に含まれるリ

モート・スタンバイ・データベースはロール移行の発生を自動的に検出し、新しいプライマリ・デー

タベースから REDO を受信し始めるため、DR 保護機能が常に維持されます。 後になりますが、ロー

カル・スタンバイ・データベースは、プライマリ・データベースからのバックアップのオフロード

や、テスト・システムとしての使用、またはローリング方式での計画保守(データベースのローリ

ング・アップグレードなど)の実施など、さまざまな目的で使用できます。

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保護モード

Oracle Data Guard には、コスト、可用性、パフォーマンス、およびデータ保護のバランスを取るため

のデータ保護モードが 3 種類用意されています。各モードは、特定の REDO 転送メソッドを使用し

て、プライマリ・データベースとそのスタンバイ・データベースとの接続が失われた場合に、Oracle Data Guard の構成の動作を支配するルールを確立します。次の表は、各モードの特徴の概要を示した

ものです。

Oracle Data Guard の保護モード

モード データ損失のリスク 転送 スタンバイ・データベースからの確認がない場合の処理

最大保護 データ損失ゼロ

二重障害保護

SYNC トランザクションのREDOがディスクに書き込まれたことを示すスタンバイ・デー

タベースからの確認を受信してから、コミットの成功をアプリケーションに通知し

ます。

最大可用性 データ損失ゼロ

単一障害保護

SYNC スタンバイ・データベースからの確認を受信するか、または NET_TIMEOUT しきい

値に指定された期間が過ぎたら、いずれの場合もコミットの成功をアプリケーション

に通知します。

最大パフォーマン

最小限のデータ

損失の可能性あり

ASYNC プライマリはスタンバイからの確認を待つことなく、コミットの成功をアプリケー

ションに通知します。

Oracle Data Guard適用サービス

適用サービスはスタンバイ REDO ログ・ファイルから REDO レコードを読み取り、継続的な Oracle検証機能を実行して REDO が破損していないことを確認してから、REDO Apply(フィジカル・スタ

ンバイ)または SQL Apply(ロジカル・スタンバイ)を使用して、スタンバイ・データベースに REDOの変更を適用します(図 3 のステップ 2)。Data Guard は、適用サービスが REDO 転送サービスから

完全に独立するように設計されています。その結果、適用サービスが停止している場合でも、同期

Data Guard 構成でデータ損失が発生することはありません。Data Guard の転送サービスはスタンバイ

への REDO 転送を継続し、スタンバイでは、適用が再開された際に使用できるように REDO がアー

カイブされます。また、転送と適用が分離されているため、どのような転送メソッドが使用された

場合も、適用サービスのパフォーマンスによってデータ保護やプライマリ・データベースのパフォー

マンスに影響が及ぶことはありません。

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REDO Apply - フィジカル・スタンバイ・データベース

フィジカル・スタンバイ・データベースは、プライマリ・データベースから受け取った REDO を管

理リカバリ・プロセス(MRP)を使用して適用します。MRP は、Oracle Data Guard に対応する、す

べての Oracle データベースで使用される標準の Oracle メディア・リカバリの拡張機能です。ブロッ

ク単位で見た場合、フィジカル・スタンバイ・データベースはプライマリ・データベースと同一で

あり、索引を含むデータベース・スキーマも同じです。Data Guard のフィジカル・スタンバイ・デー

タベースは、データ型やストレージ種類に制限のない唯一の Oracle データベース・レプリケーショ

ン・メソッドです。このため、本番データベースの完全なレプリカであるスタンバイ・データベー

スを作成できます。

MRP プロセスは、 大のパフォーマンスを得るために並列処理で実行できます。オラクルが実施し

た Oracle Data Guard 11g のパフォーマンス・テストでは、OLTP 形式のワークロードでは 50MB/秒を

超えるリカバリ速度が、またダイレクト・パス・ロードでは 100MB/秒を超えるリカバリ速度が、非

Exadata システムで達成されました(Exadata 固有のパフォーマンス・データについては、本書の

Exadata Database Machine の項を参照)。REDO Apply は、プライマリ・データベースの同期レプリカ

を維持するための、もっとも高速で信頼性の高い、シンプルなメソッドです。

REDO Apply と Oracle Active Data Guard

Active Data Guard は Oracle Enterprise Edition データベースのオプションであり、Data Guard の REDO Apply およびフィジカル・スタンバイ・データベース機能を拡張したものです。Oracle Database Enterprise Edition に含まれているその他の Data Guard 機能とは異なり、Active Data Guard を使用する

には別途ライセンスを購入する必要があります。Active Data Guard のおもな機能は次のとおりです。

• リアルタイム問合せを使用すると、本番データベースから受け取った変更を REDO Apply が

継続的に適用している間に、フィジカル・スタンバイ・データベースへ読取り専用でアクセ

スし、問合せ、ソート、レポーティング、Web ベース・アクセスなどを実行できます。読取

り専用ワークロードを読取り/書込みトランザクションから分離できる場合、Active Data Guard は既存のフィジカル・スタンバイ・データベースを活用する(以前は、スタンバイ・

ロールになっている間は使用されていなかった)ことで、本番データベースの処理能力を事

実上倍増できます(読取り専用の処理能力をさらに拡大するために、追加のアクティブ・ス

タンバイ・データベースを構成に加えることもできます)。Active Data Guard は標準的な Data Guard 機能のスーパーセットであるため、その他のフィジカル・スタンバイ・データベース

と同等の高いパフォーマンスを提供します。このため、その他のレプリケーション・メソッ

ドでは、ソース・データベースから生成されるトランザクション量に対応することが不可能

または困難であるような高スループットのアプリケーションに対しても有効に使用できま

す。

• Active Data Guard の 品 質 保 証 契 約 ( SLA ) は 、 セ ッ シ ョ ン ・ パ ラ メ ー タ の

STANDBY_MAX_DATA_DELAY を使用して実装できます。このパラメータの値には、プラ

イマリ・データベースで変更がコミットされてからアクティブ・スタンバイ・データベース

でその変更内容を問合せできるようになるまでの制限時間(秒単位)を指定します(Data Guard 11g Release 2 の新機能)。制限時間を超えると、古い結果の代わりに ORA-3172 エラー・

コードがアクティブ・スタンバイから返されます。アプリケーションのコーディングを行っ

てこのエラーを切断と同様に処理し、問合せを別のアクティブ・スタンバイ・データベース

またはプライマリ・データベースにリダイレクトすると、要求された SLA を満たすことがで

きます。

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Oracle ホワイト・ペーパー-Oracle Identity Management 11g Release 1

「MorphoTrak では、Oracle Active Data Guard を使用することで、ミッション・クリティカルな大規模システムにおいて最大で$100,000 のシステム・

コストを削減できます。Oracle Active Data Guard は、ディスクのミラー化やレプリケーションよりも使用が簡単であり、11g Release 2 の新機能に

より、レポートの正確さに対する品質保証契約を満たせるようになりました。」

MorphoTrak、Aris Prassinos

• Active Data Guard 11g Release 2 を使用すると、ユーザーやアプリケーションに影響を与える

ことなく破損ブロックを自動修復できます。ブロックレベルのデータ損失は、通常、断続的

なエラー、ランダム I/O エラー、およびディスクへの書込みによるメモリの破損によって生

じます。Oracle システムで破損が検出されると、そのブロックにはメディア破損というマー

クが付けられ、ディスクに書き込まれます。そして、通常は ORA-1578 エラーがアプリケー

ションに返されます。そのブロックに対する後続の読取りは、そのブロックを手動でリカバ

リするまで成功しません。ただし、Oracle Active Data Guard のスタンバイ・データベースが

稼働しているプライマリ・データベースで破損が発生した場合は、スタンバイ・データベー

スのブロックの正常なコピーを使用して、アプリケーションに対して透過的に、ブロック・

メディア・リカバリが自動的に実行されます。反対に、スタンバイ・データベースの不良ブ

ロックは、プライマリ・データベースの正常なバージョンのブロックを使用して自動的に修

復されます。

• Active Data Guard のフィジカル・スタンバイ・データベースでは Oracle Recovery Manager(Oracle RMAN)のブロック・チェンジ・トラッキングがサポートされているため、プライマ

リ・データベースから Oracle RMAN 高速増分バックアップをオフロードできます。

Active Data Guardの技術情報については、Active Data Guardのベスト・プラクティス(Oracle 11g Redo Applyのベスト・プラクティスを含む)を参照してください。

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Oracle ホワイト・ペーパー-Oracle Identity Management 11g Release 1

「Oracle Data Guard ロジカル・スタンバイは、ユーザー向けの処理能力とスケーラビリティを大幅に向上させる長期的な戦略のハードウェアとソフ

トウェア・プラットフォームの重要なコンポーネントです。この完全なソリューションを実装したことで、ほとんどのバッチ処理操作で 50~95%パ

フォーマンスが向上しました。」

e-Rewards Market Research、David Sink

SQL Apply - ロジカル・スタンバイ・データベース

ロジカル・スタンバイ・データベースには、プライマリ・データベースと同じ論理情報が含まれて

いますが、データの物理編成と物理構造は異なる場合があります。SQL Apply は、プライマリ・デー

タベースから受け取った REDO を SQL 文に変換し、その SQL 文を読取り/書込みモードでオープン

されたスタンバイ・データベースで実行することによって、ロジカル・スタンバイ・データベース

の同期を維持します。SQL Apply にはいくつかの制限が適用されます。詳しくは、Oracle ドキュメン

トを参照してください。

SQL Apply は、前提条件を満たしており、かつ次のような場合に使用します。

• スタンバイ・データベースに読取り/書込みアクセスを行う必要があるレポート・アプリケー

ションを実行する場合。SQL Apply によって維持されるデータは変更できません。

• プライマリ・データベースには存在しない表、追加のスキーマ、索引、およびマテリアライ

ズド・ビューをスタンバイ・データベースに追加する場合。

• Oracle Database 10g リリースのデータベースからデータベース・ローリング・アップグレー

ドを実行する場合、またはリスクおよび停止時間を軽減するために、ローリング方式でその

他のデータベース保守を実行する場合。データベースのバージョンが Oracle Database 11g 以

降の場合は、フィジカル・スタンバイと一時ロジカル・データベースのローリング・アップ

グレード・プロセスを使用してください。詳しくは、計画メンテナンスへの対応の項を参照

してください。

自動ギャップ解消

プライマリ・データベースとスタンバイ・データベースの接続が(ネットワーク障害またはスタン

バイ・サーバー障害により)切断された場合、使用している保護モードに応じて、プライマリ・デー

タベースは、引き続きトランザクションを処理し、新しいネットワーク接続が確立されるまでスタ

ンバイに送信できない REDO のバックログを蓄積しますアーカイブ・ログ・ギャップ、転送ラグと

して測定)。この場合、Oracle Data Guard は、スタンバイ・データベースのステータスを継続的に監

視し、接続が再確立されたことを検出すると、スタンバイ・データベースとプライマリ・データベー

スを自動的に再同期させます(図 3 の手順 4)。スタンバイ・データベースを再同期するために必要

なアーカイブ・ログがプライマリ・データベースのディスクで使用できる限り、管理者の介入は必

要ありません。停止時間が長く、必要なアーカイブ・ログを保持することが現実的な選択肢ではな

い場合は、 後にスタンバイに適用された SCN の時点から取得されたプライマリ・データベースの

Oracle RMAN 高速増分バックアップを使用し、フィジカル・スタンバイ・データベースを素早く再

同期できます。

Oracleデータの検証

Data Guard はスタンバイ・データベースに REDO を適用する前に、Oracle プロセスを使用して継続

的に REDO を検証しています。Oracle Data Guard は、REDO ブロックを適用してスタンバイ・デー

タベースが同期される疎結合アーキテクチャです。このため、プライマリ・データベースで発生す

る可能性のあるデータファイルの破損から完全に切り離されます。REDO はメモリ(システム・グ

ローバル領域)から直接送信されるため、プライマリ・データベースの I/O の破損から完全に切り離

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Oracle ホワイト・ペーパー-Oracle Identity Management 11g Release 1

されています。破損の検出チェックは、REDO 転送および適用の間、多数の主要インタフェースで

行われます。また、スタンバイ・データベースで実行されるソフトウェア・コードパスは、プライ

マリ・データベースとは基本的に異なります。このため、プライマリ・データベースに影響する可

能性があるファームウェア・エラーおよびソフトウェア・エラーからスタンバイ・データベースが

事実上切り離されます。

フィジカル・スタンバイは、次のパラメータも利用します。Oracle Database 11gで使用できる

DB_LOST_WRITE_PROTECTです。永続ストレージで書込みが実際に発生しなかった場合でも、I/Oサブシステムで書込みの終了を確認する際に書込み損失が発生します。このI/Oサブシステムは、後

続ブロックの読取りで古いバージョンのデータ・ブロックを返します。次に、このブロックがデー

タ ベ ー ス の 他 の ブ ロ ッ ク の 更 新 に 使 用 さ れ る こ と で 破 損 が 広 が り ま す 。

DB_LOST_WRITE_PROTECT初期化パラメータが設定されている場合、データベースはバッファ・

キャッシュ・ブロック読取りをREDOログに記録します。スタンバイ・データベースのREDO Applyはこの情報を使用して、書込み損失があったかどうかを判断します。これによって、プライマリ・

データベースで発生する可能性のある書込み損失の影響からスタンバイが切り離されるとともに、

スタンバイで独自に発生する書込み損失が検出されます。詳しくは、テクニカル・ホワイト・ペー

パー『Preventing, Detecting, and Repairing Block Corruption: Oracle Database 11g』を参照してください。

Oracle Data Guard構成の管理

プライマリ・データベースとスタンバイ・データベース、およびデータベース間のさまざまな通信

は、SQL*Plus を使用して管理できます。また、Oracle Data Guard には、Oracle Data Guard 構成の作

成、メンテナンス、監視を自動化および一元化するための、Oracle Data Guard Broker と呼ばれる分散

型管理フレームワークも実装されています。管理者は、Oracle Enterprise Manager Grid Control または

Oracle Data Guard Broker のコマンドライン・インタフェース(DGMGRL)を使用して、Oracle Data Guard Broker を操作できます。

Oracle Enterprise Manager Grid Control には、Oracle Data Guard 構成の作成をさらに簡単にするウィザー

ドがあります。Oracle Data Guard の主要なメトリック(適用ラグ、転送ラグ、REDO 速度、構成ステー

タスなど)は、新たに統合された HA Console に含まれています(図 4 を参照)。

Oracle Enterprise Manager は、監視する Oracle Data Guard メトリックに関する傾向分析の履歴(たと

えば、過去 24 時間あるいは過去 5 日間のメトリック・パフォーマンスの推移など)を取得できます。

また、Oracle Enterprise Manager を使用して通知アラームも設定できるため、メトリックが設定した

しきい値に達した場合、管理者は通知を受けることができます。

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「ファストスタート・フェイルオーバーは、緊急時でも 24 時間態勢で重要な顧客サービスを提供するため、PPL が依存する停止管理システムの人を

介さない簡単で高速なフェイルオーバーを実現します。Oracle9i から障害時リカバリ(DR)に Oracle Data Guard を使用していますが、ファストス

タート・フェイルオーバーは高可用性と DR の境界をなくします。このため、単一のソリューションで両方の要件を満たすことができます。」

PPL Services Corporation、Chris Carter

図 4 - Oracle Enterprise Manager Grid Control(10.2.0.5)HA Console

ロール管理サービス

Oracle Data Guard のロール管理サービスを使用すると、指定したスタンバイ・データベースをプライ

マリ・ロールに迅速に移行できます。スイッチオーバーは、オペレーティング・システムやハード

ウェアのアップグレード、Oracle データベースのローリング・アップグレード、およびその他のデー

タベースのメンテナンスなどの計画メンテナンス時の停止時間を短縮するために使用される計画的

な操作です。使用している転送サービス(SYNC または ASYNC)や保護モードとは関係なく、スイッ

チオーバーは常にデータ損失ゼロの操作です。

フェイルオーバーを行うと、プライマリ・データベースが計画外停止している間、スタンバイ・デー

タベースが新しいプライマリ・データベースとしてオンラインになります。フェイルオーバー操作

では、プライマリ・ロールを引き継ぐためにスタンバイ・データベースを再起動する必要はありま

せん。また、元のプライマリ・データベースのデータベース・ファイルが損傷していなければ、デー

タベースをマウントできます。さらに、フラッシュバック・データベースを使用して、新しいプラ

イマリ・データベースのスタンバイ・データベースとして元のプライマリ・データベースを回復さ

せて再同期できます。バックアップからリストアする必要はありません。

手動フェイルオーバーは、Oracle Enterprise Manager の GUI インタフェース、または Oracle Data Guard Broker のコマンドライン・インタフェースを使用するか、SQL*Plus を直接使用して、管理者が開始

します。Oracle Data Guard では、オプションで、ファストスタート・フェイルオーバーを使用して、

詳細に制御された方法で自動フェイルオーバーを実行できます。

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Oracle ホワイト・ペーパー-Oracle Identity Management 11g Release 1

ファストスタート・フェイルオーバー

ファストスタート・フェイルオーバーでは、Oracle Data Guard は、事前に選択したスタンバイ・デー

タベースに自動的にフェイルオーバーできます。フェイルオーバーを起動するために人が介入する

必要はありません。Oracle Data Guard のオブザーバ・プロセスは、ファストスタート・フェイルオー

バー構成のステータスを継続的に監視します。オブザーバおよびスタンバイ・データベースの両方

がプライマリ・データベースとの接続を失うと、オブザーバはファストスタート・フェイルオーバー

を開始する前に、設定可能な時間の範囲でプライマリ・データベースとの再接続を試みます。ファ

ストスタート・フェイルオーバーは、プライマリ・データベース、スタンバイ・データベース、お

よびオブザーバという 3 つのファストスタート・フェイルオーバー・メンバーの内、少なくとも 2つのメンバーが主要な状態移行に同意することで、スプリット・ブレイン・シナリオまたは不要な

フェイルオーバーの発生を回避するように設計されています。障害が発生したプライマリ・データ

ベースは、修復されてマウントされたら、オープンする前にオブザーバ・プロセスとの接続を確立

する必要があります(スプリット・ブレインの防止)。接続が確立されると、フェイルオーバーが

すでに行われており、元のプライマリ・データベースが、新しいプライマリ・データベースのスタ

ンバイとして自動的に復帰することが元のプライマリ・データベースに通知されます。ファストス

タート・フェイルオーバーのシンプルなアーキテクチャは、高可用性とデータ保護の両方が必要な

状況での使用にもっとも適しています

クライアント・フェイルオーバーの自動化

データベース・フェイルオーバーを迅速に実行する能力は、高可用性のための 初の要件にすぎま

せん。アプリケーションは、障害が発生したプライマリ・データベースからすみやかに接続を解除

し、新しいプライマリ・データベースに迅速に再接続できる必要もあります。

Oracle Data Guard のコンテキストにおける効率的なクライアント・フェイルオーバーには、次の 3 つの

要素があります。

• 高速データベース・フェイルオーバー

• 新しいプライマリ・データベースでのデータベース・サービスの高速起動

• クライアントへのすみやかな通知、および新しいプライマリ・データベースへの迅速な再接続

Oracle Data Guardの以前のリリースにおいて、クライアント・フェイルオーバーを自動化するには、

構成に応じてユーザーが作成した 1つ以上のデータベース・トリガーが必要でした。Oracle Data Guard 11g Release 2 では、クライアント・フェイルオーバーを自動化するためのユーザーが作成するトリ

ガーが不要になったため、構成が大幅に簡素化されています。Oracle Data Guard Brokerによって管理

されるロール移行により、人が介入することなく、データベースの自動フェイルオーバー、新しい

プライマリ・データベースでの適切なサービスの開始、障害が発生したデータベースからのクライ

アントの切り離し、および新しいプライマリ・データベースへのクライアントのリダイレクトを実

行できます。詳しくは、テクニカル・ホワイト・ペーパー『Client Failover Best Practices for Highly Available Oracle Databases: Oracle Database 11g Release 2』を参照してください。

計画メンテナンスへの対応

Oracle Data Guard のスタンバイ・データベースを使用して、さまざまな種類の計画メンテナンスにお

ける停止時間とリスクを軽減できます。一般的なアプローチでは、スタンバイ・データベースに変

更内容を実装し、テストしてからスイッチオーバーを行います。これまでも、Oracle Database バージョ

ンの違いや、データベースの論理構造への変更、またはハードウェア・アーキテクチャの違いが含

まれない保守では常に、REDO Apply を使用してローリング方式で変更を適用できました。新しい

Oracle リリースが発表されるたびに REDO Apply は柔軟性を増し、さらに幅広い計画保守要件に対応

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できるようになっています。詳しくは、次の項以降で説明します。

プラットフォームの移行

Oracle 10g以降、REDO Applyを使用したクロス・プラットフォーム・サポートはますます柔軟になっ

ています。一部のData Guard構成では、異なるOS(例:Windows/Linux)やワード・サイズ(32 ビッ

ト/64 ビット)、またはハードウェア・アーキテクチャが使用されたシステム上で、プライマリ・デー

タベースとスタンバイ・データベースを実行できます。また、REDO Applyは、Oracle Automatic Storage Management(Oracle ASM)への移行、単一インスタンスのOracle DatabaseからOracle RACへの移行、

テクノロジー更新の実行、またはデータセンター間の移行という目的でも使用できます。Data Guard構成でサポートされている混合プラットフォームの組合せについて、詳しくはMy Oracle Support Note 413484.1を参照してください。

Standby-First Patch Apply

Oracle Database 11.2 以降では Standby-First Patch Apply が導入されているため、フィジカル・スタン

バイで REDO Apply を使用することで、プライマリ・データベースとフィジカル・スタンバイ・デー

タベース間での異なるソフトウェア・パッチ・レベルをサポートできます。これは、ローリング方

式で Oracle パッチを適用し、検証できるようにするための機能です。Standby-First Patch Apply の対

象となるパッチには、次が含まれます。

• Patch Set Update(PSU)

• Critical Patch Update(CPU)

• Patch Set Exception(PSE)

• Oracle Database にバンドルされたパッチ

• Oracle Exadata Database Machine にバンドルされたパッチ

• Oracle Exadata Storage Server ソフトウェアのパッチ

Standby-First Patch ApplyはOracle Database Enterprise Edition Release 2(11.2)リリース 11.2.0.1 以降の

認定済みソフトウェア・パッチに対してサポートされています。詳しくはMy Oracle Support Note 1265700.1を参照してください。また、目的のパッチがStandby-First Patchとして認定されているかど

うかを判断するには、各パッチのREADMEを参照してください。

データベース・ローリング・アップグレード

Oracle Database 10g以降では、新しいOracle Databaseリリースやパッチ・セットへのアップグレード、

またはデータベースの論理構造の変更は、SQL Applyおよびロジカル・スタンバイ・データベースを

使用したローリング方式で実行できます。Oracle Database 11g以降では、Data Guardのフィジカル・

スタンバイ・データベースから始めて、一時ロジカル・スタンバイのローリング・アップグレード・

プロセスを使用して実施することもできます。一時ロジカル・プロセスでは既存のフィジカル・ス

タンバイ・データベースを使用できる上に、1 つのカタログをアップグレードするだけでプライマ

リ・データベースとスタンバイ・データベースの両方を新しいOracleリリースへ移行できるため、非

常に便利です。異なるデータベース・バージョン間でレプリケーションが実行されている間のみ、

一時的にSQL Applyが使用されますが、アップグレード・プロセスが完了すると、データベースが新

しいバージョンで実行されていることを除いて、構成はプライマリ・データベースとフィジカル・

スタンバイ・データベースが存在する元の状態に戻ります。詳しくは、テクニカル・ホワイト・ペー

パー『データベース・ローリング・アップグレードの簡略化』を参照してください。

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Oracle ホワイト・ペーパー-Oracle Identity Management 11g Release 1

「Oracle High Availability機能の利用と Oracle Maximum Availability Architecture(MAA)ベスト・プラクティスを活用した実装によって、Fidelity National

Financial は、最小限のコストで品質保証契約を満たすことができました」

Fidelity Information Services、Charles Kim

ローリング方式で実行される保守作業に必要な停止時間は、スイッチオーバーにかかる時間のみで

す。REDO Apply を使用したスイッチオーバーは、60 秒未満で完了します。

Data Guard 11g Release 2 の SQL Apply では、バイナリ XML、Oracle Advanced Compression(OLTP Table Compression)、Oracle Secure Files、およびオンライン再定義に対するネイティブ・サポートが追加

されています。また、SQL Apply には、ネイティブ・サポートが提供されていない場合に拡張データ

型をサポートする機能が含まれているため、列オブジェクト(単純なユーザー定義型やネストされ

たユーザー定義型)、VARRAY、オラクルの提供する Spatial 型の SDO_GEOMETR のレプリケーショ

ンがサポートされます。これらの拡張機能を組み合わせて使用することで、SQL Apply を使用して停

止時間を 小限に抑えたローリング方式でアップグレードできるデータベースの範囲が大きく広が

ります。

Oracle Data Guardとリモート・ミラー化の比較

アクティブなOracle DatabaseにI/Oを発生させるデータベース・プロセスは多数あります。データベー

ス・ライター・プロセスは、継続的にデータファイルを更新し、その間、コントロール・ファイル

の更新と、オンラインREDOログ・ファイルのローカル・アーカイブにより追加のI/Oが生成されま

す。各プロセスは 適なパフォーマンスとリカバリ可能性が得られるように設計されていますが、

Oracle Data Guardの従来の代替ソリューションであるホストまたは配列ベースのリモート・ミラー化

ソリューションでは問題となることがあります。そのようなソリューションでは、リモート・レプ

リカとのリアルタイムの同期を維持するために、それぞれのファイルに対する各書込みを書込み順

にレプリケートする必要があります。Oracle Data GuardはOracleが認識するプロセスであり、オンラ

インREDOログ・ファイルに対する書込みだけをレプリケートします。内部テストの結果によると、

配列ベースのリモート・ミラー化では、Oracle Data Guardよりも、 大 7 倍のデータが送信され、27倍のネットワークI/O操作が必要であることが示されています。詳しくは、『Oracle Data Guardとリ

モート・ミラー化ソリューション』を参照してください。

Oracle Data Guard には、エンド・ツー・エンドの Oracle データの検証、簡単にプライマリ・データ

ベースのロールを引き継ぐことができるオープン・スタンバイ・データベースなどの利点もありま

す。配列のミラー化がアクティブな間は、スタンバイに Oracle データベースをマウントできないの

で、リモート・ミラー化では実現不可能です。

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Oracle ホワイト・ペーパー-Oracle Identity Management 11g Release 1

Oracle Data GuardとOracle Exadata Database Machine

Oracle Data Guardは、データベース障害やサイト障害から保護するために、Exadataストレージにある

Oracle Databaseの完全に独立した物理レプリカを維持することができる唯一のテクノロジーです。ま

た、Data Guardのフィジカル・スタンバイは、Oracle Databaseの同期化された独立コピーを維持する

ためのソリューションとして、もっとも単純でありながらもっとも高いパフォーマンスを実現する

ため、Exadata Database Machineで処理される非常に大量のデータをサポートできる唯一のテクノロ

ジーでもあります。Exadataを使用したOracle Database 11g Release 2 の内部テストでは、REDO Applyを使用して、600MB/秒を超える持続的な速度でスタンバイ・データベースに変更を適用することに

成功しました。詳しくは、テクニカル・ホワイト・ペーパー『Oracle Data Guard: Disaster Recovery for Oracle Exadata Database Machine』を参照してください。

Oracle Data GuardとOracle Real Application Clusters

Data Guard、Oracle RAC、および Oracle RAC One Node は、 高水準のスケーラビリティ、可用性、

およびデータ保護を提供する補完的なテクノロジーです。Oracle RAC と単一ノード・データベース

を組み合わせることで、Oracle Data Guard 構成の任意のロールに関与し、ロールを引き継ぐことがで

きます。Oracle RAC は、業界で唯一のワークロード管理とスケーラビリティの機能を提供するとと

もに、サーバー障害から保護する理想的な HA ソリューションです。Oracle Data Guard は、ストレー

ジ・アレイ障害、オペレータ・エラー、ローリング方式で実行できない Oracle RAC ノード全体の特

定の計画メンテナンス、またはデータベース障害(SAN 配列の障害など)やサイト障害(火災、洪

水、台風、地震など)を発生させる可能性のある複数の相関障害による停止時間を 小限に抑える

完全な冗長性とともに、1 段階上のレベルのデータに対する可用性と保護を提供します。

Data GuardとOracle GoldenGate

Oracle Data Guard と Oracle GoldenGate は、オラクルのソフトウェア・ポートフォリオに含まれる戦

略的機能です。これらの製品はおおまかにはレプリケーション・テクノロジーとして分類されます

が、それぞれの重点領域は大きく異なります。

Data Guard の REDO Apply は、データ保護、高可用性、および障害時リカバリの目的で使用されます。

Data Guard は論理的なレプリケーションと比べて数多くの利点を提供するため、データ保護に対する

Oracle ソリューションとして推奨されています。

GoldenGate は高度な論理レプリケーション製品であり、マルチマスター・レプリケーション、ハブ・

アンド・スポーク配置、データ変換をサポートすることで、あらゆる種類のレプリケーション要件

に対応した非常に柔軟なオプションを提供しています。また、さまざまな異種ハードウェア・プラッ

トフォームおよびデータベース管理システム間のレプリケーションをサポートしています。Data Guard とは異なり、GoldenGate はディスクから REDO レコードを読み取り、これらのレコードをプ

ラットフォームに依存しない証跡ファイルの形式に変換してターゲット・データベースに送信する

ことで、プライマリ・データベースの変更を取得します。また、証跡ファイルを SQL に変換し、こ

の SQL をターゲット・データベースに適用することで、論理レプリカを維持します。

GoldenGate は、データ分散、データ統合、双方向のマルチマスター・レプリケーション、クロス・

プラットフォーム移行、および Data Guard でサポートされないその他の計画保守に対して使用しま

す。

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Oracle ホワイト・ペーパー-Oracle Identity Management 11g Release 1

「当社のリカバリ戦略は、常にテープ・バックアップに基づくものでした。また、Oracle Data Guard を単に"あってもなくてもいい"追加のオプション

として認識し、設定していました。その後、SAN の全体的な障害が発生し、数カ月後に別の SAN でも大規模なディスクの破損が発生しました。いず

れも間接的な原因は停電でした。いずれのケースでも、Oracle Data Guard により、データを損失させることなくリカバリすることができました。今

では、Oracle Data Guard は、"あってもなくてもいい"ものではなく、"不可欠なもの"になりました。」

Oxford Brookes University、Rachel Slade

これらの戦略的Oracleテクノロジーの長所について、詳しくは『Active Data Guard and Oracle GoldenGate』を参照してください。

Oracle Maximum Availability Architecture

Oracle Maximum Availability Architecture は、オラクルの高可用性テクノロジーを配置するためのテス

トおよび顧客検証済みのベスト・プラクティスの青写真です。Oracle MAA の目標は、 適な高可用

性アーキテクチャを設計および操作するために複雑さを排除し、顧客の習熟期間を短縮することに

あります。

MAAベスト・プラクティスには、Oracle RACの構成、REDO転送の 適化、スイッチオーバー/フェ

イルオーバー処理、クライアント・フェイルオーバー、REDO Applyのパフォーマンス、ネットワー

クの構成とチューニング、Exadata Database Machineの使用など、Data Guard構成のさまざまな側面に

関する推奨事項が含まれています。Data Guardのベスト・プラクティス、デモ、ドキュメント、顧客

事例、ハンズオン・ラボ、技術記事を確認するには、Oracle Technology Networkを参照してください。

Oracle Data Guardの顧客

Oracle Data Guardの機能は、Oracle Version 7 で始めて利用可能になり、継続して新機能が追加されて

います。また、後続のOracleリリースではさらに充実したテクノロジーが提供されています。このこ

とから、世界中の顧客のミッション・クリティカルなアプリケーションに使用されています。多数

ある詳細な実装の事例は、Oracle Technology Networkから入手できます。

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Oracle ホワイト・ペーパー-Oracle Identity Management 11g Release 1

結論

Oracle Data Guard 11g は、ほかに例のないデータ保護機能とともに統合された HA/DR ソリューショ

ンを提供することで、従来の障害時リカバリ・パラダイムを根本的に改変します。スタンバイ・シ

ステムは、スタンバイ・ロールとして使用される間も本番機能またはテスト機能を同時にサポート

します。

Oracle Data Guard は、Oracle Database のデータ保護、データ可用性、および障害時リカバリのための

包括的なソリューションです。計画停止と計画外停止の両方に対処する、柔軟性に優れた管理しや

すいフレームワークを提供します。フィジカル・スタンバイ・データベースとロジカル・スタンバ

イ・データベースは、プライマリ・データベースのオーバーヘッドを軽減する一方で、価値の高い

データ保護機能を提供します。各データ保護モードによって、保護、パフォーマンス、インフラス

トラクチャに関するさまざまな要件に適合した柔軟性を備えています。また、Oracle Data Guard Brokerと Oracle Enterprise Manager を組み合わせることで、構成と管理のための使いやすいフレームワーク

が提供されます。

クラスタ、ディスクのミラー化、さまざまなバックアップとリカバリ戦略を使用して、IT インフラ

ストラクチャに事前に組み込まれている高可用性の度合いに関係なく、使用中の IT アーキテクチャ

に Oracle Data Guard を加えることで、データ保護、可用性、および IT 投資収益率が強化されます。

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Oracle ホワイト・ペーパー-Oracle Identity Management 11g Release 1

付録:Oracle Data Guard 11gの新機能の概要

ORACLE DATA GUARD 11G RELEASE 1

領域 機能

Oracle Active

Data Guard

フィジカル・スタンバイ・データベースは、Apply がアクティブな場合に読取り専用でオープン。スタンバイ・データベー

スでの問合せで最新の結果を取得。Oracle RMAN のブロック・チェンジ・トラッキングによる Active Data Guard フィジカ

ル・スタンバイでの高速増分バックアップ

スナップショット・

スタンバイ

障害保護を提供しながら、スタンバイ・データベースを一時的に読取り/書込みモードでオープン

Oracle Real Application Testing を理想的に補完

ファストスタート・

フェイルオーバー

非同期転送と最大のパフォーマンス - 目的の RPO を実現するための構成可能なしきい値。事前に指定されたヘルス・チェッ

ク条件またはアプリケーション・リクエストに応じて自動フェイルオーバーを開始。フォルトトレラントなオブザーバによ

るファストスタート・フェイルオーバー - 障害の発生したオブザーバを 2 番目のホストで自動的に再起動

REDO 転送 非同期の REDO 転送により、待機時間の長い広域ネットワークのスループットが大幅に向上

アーカイブ・ログ・ギャップを解決する場合の REDO 転送圧縮

Apply の

パフォーマンス

REDO Apply パフォーマンスの強化:Oracle Data Guard 10g のパフォーマンスの 2 倍

SQL Apply のさまざまなパフォーマンスの強化により、スタンバイ・データベースにもパラレル DDL を並行して適用可能

計画停止時間 フィジカル・スタンバイ・データベース(一時ロジカル・スタンバイ)を使用したデータベース・ローリング・アップグレード

プライマリ/スタンバイの混合構成に対する柔軟性の強化による、選択移行の推進

保護機能 フィジカル・スタンバイ・データベースを使用した書込み損失破損に対する保護

セキュリティ パスワード・ファイルの代わりに SSL 認証を使用して、REDO 転送を認証可能

ロール移行 Active Data Guard スタンバイでの Apply パフォーマンスのチューニング用の Standby Statspack。REDO 転送の応答時間ヒ

ストグラムを使用した、適切な NET_TIMEOUT 値の決定。DBMS_LOGSTDBY.APPLY_SET を使用した Data Guard SQL

Apply パラメータの動的な設定。Oracle RMAN を使用することで、中間ストレージを使用せずにプライマリ・データベース

からスタンバイ・データベースを直接作成。Enterprise Manager のウィザードを使用した、単一インスタンスのスタンバイ・

データベースから Oracle RAC への変換

SQL Apply の

データ型

SQL Apply による XMLType(CLOB として格納時)、透過的データ暗号化(TDE)、DBMS_FGA(ファイングレイン監査)、

DBMS_RLS(仮想プライベート・データベース)のサポート

管理性 Oracle Active Data Guard のスタンバイ・データベースでの Apply パフォーマンスのチューニング用の Standby Statspack

NET_TIMEOUT の適切な値を決定するために使用する REDO 転送の応答時間ヒストグラム

DBMS_LOGSTDBY.APPLY_SET を使用した Oracle Data Guard SQL Apply のパラメータの動的な設定

中間ストレージを使用しない、Oracle RMAN を使用したプライマリ・データベースからのスタンバイ・データベースの直接作成

Oracle Enterprise Manager のウィザードを使用した、Oracle RAC への単一インスタンス・スタンバイ・データベースの変換

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Oracle ホワイト・ペーパー-Oracle Identity Management 11g Release 1

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ORACLE DATA GUARD 11G RELEASE 1

領域 機能

Oracle Active

Data Guard

アクティブ・スタンバイ・データベースでの問合せ時の最大データ遅延のサービス・レベル目標の自動実施

アクティブ・スタンバイ・データベースを使用した、破損ブロックのオンラインでの自動修復

REDO 転送 プライマリ・データベースでのオーバーヘッドを削減する同期 REDO 転送の強化

同期および非同期 REDO 転送の REDO 転送圧縮

単一プライマリ・データベースに対する最大 30 のスタンバイ・データベースのサポート(以前は最大 9)

Oracle RAC(単一インスタンスだけでなく)を使用したカスケード・スタンバイ構成のサポート

Apply の

パフォーマンス

Exadata ストレージを備えた Oracle Database Machine での持続的な Apply の最高速度を 500MB/秒以上に増やす REDO

Apply の機能強化

計画停止時間 REDO Apply および SQL Apply の両方における Oracle Edition ベースの再定義のための透過的サポート

Oracle SecureFiles、ウェアハウス圧縮、OLTP 表圧縮、またはオンライン再定義の実装時に、リスクのない、最小停止時間

での移行に SQL Apply を使用可能

保護機能 データ損失ゼロを実現するためのフェイルオーバーの前に、最大パフォーマンス・モードを使用した非同期構成の未送信

REDO をスタンバイ・データベースにフラッシュ可能(障害が発生したプライマリはマウント状態に設定可能と仮定)

ロール移行 REDO Apply のスイッチオーバーでは、スタンバイ・インスタンスの停止不要

Oracle Data Guard Broker のロールベースのデータベース・サービスを使用した自動クライアント・フェイルオーバー

Oracle Data Guard Broker の管理ロール移行が Oracle Restart と透過的に連動

SQL Apply の

データ型

Oracle SecureFiles、ウェアハウス圧縮、OLTP 表圧縮、バイナリ XML。拡張データ型へのサポート強化による、列オブジェ

クト(簡単なユーザー定義型またはネストされたユーザー定義型)、VARRAYS、およびオラクルが提供する Spatial タイプ

SDO_GEOMETRY のレプリケーション

管理性 SQL Apply 使用時の大量トランザクション(800 万行以上)のパフォーマンス向上。Oracle Streams 構成でロジカル・スタ

ンバイ・データベースをソース・データベースとして使用可能。トリガーをロジカル・スタンバイに定義することで、プラ

イマリに依存しないローカル処理を実行。Data Guard Broker のステータスおよびエラー報告機能の強化。Data Recovery

Advisor による、使用可能なスタンバイ・データベースを利用した Intelligent Data Repair の実現

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Oracle Data Guard と

Oracle Database 11g Release 2

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切間違いがないことを保証するものではなく、さらに、口述による明示または法律による黙示を問わず、特定の目的に対する商

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Oracle は米国 Oracle Corporation およびその子会社、関連会社の登録商標です。その他の名称はそれぞれの会社の商標です。

0109

2011 年 10 月

著者:Joe Meeks

共著者:Larry Carpenter、Ashish Ray

Oracle Corporation

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