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Oracleホワイト・ペーパー 20131Oracle Database 12cに搭載したAutomatic Storage Managementの新機能の技術概要

Oracle Database 12cに搭載したAutomatic Storage ......Oracleホワイト・ペーパー - Oracle Database 12cに搭載した Automatic Storage Managementの新機能の技術概要

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Oracleホワイト・ペーパー

2013年1月

Oracle Database 12cに搭載したAutomatic Storage Managementの新機能の技術概要

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目次 はじめに ...................................................................................................................................................... 1

ASMの概要 ............................................................................................................................................ 1

Oracleプラットフォームの全体的なストレージ管理 .................................................................... 2

Oracle Database 12cに搭載したASMの新機能 .................................................................................... 4

クラウドでのAutomatic Storage Management ............................................................................ 4

Oracle Flex ASM ................................................................................................................................... 4

専用のASMネットワーク .............................................................................................................. 6

リモート・アクセス ...................................................................................................................... 6

Oracle Flex ASMのその他の機能 ................................................................................................. 7

Oracle Flex ASMのデプロイ ......................................................................................................... 7

Oracle Flex ASMの管理 ................................................................................................................. 8

エンジニアド・システム用のASM機能 ........................................................................................... 9

障害グループの修復時間 .............................................................................................................. 9

ASMのディスク障害処理の拡張機能 ......................................................................................... 9

ASMデータ割当ての拡張機能 .................................................................................................. 10

エクステント読取り選択の拡張機能 ....................................................................................... 11

結論 ............................................................................................................................................................ 12

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はじめに

Automatic Storage Management(ASM)は、Oracle Database 10gの機能として初めて導入されました。ASMによって、Oracleデータベースのファイル・システムとボリューム管理が非常に簡単になりました。ASMでは、ストレージの自動化が拡張されているほか、ファイル・システムのスケーラビリティ、パフォーマンス、およびデータベースの可用性が向上しています。シングル・インスタンスのOracleデータベースとOracle Real Application Clusters(Oracle RAC)データベースのいずれの環境でも、これらの利点が得られます。Oracle Database 12cには、ASMの新機能がいくつか導入されています。このホワイト・ペーパーは、おもに以下の技術者を対象に、これらの新機能について説明します。

• データベース、システム、またはストレージの管理者

• アーキテクト

• コンサルタント

• システム・エンジニア

• 技術マネージャー

ASMの概要

ASMは、統合クラスタ・ファイル・システムとボリューム・マネージャを追加コストなしで実現する、Oracleデータベースの機能の1つです。ASMは、従来のファイル・システムやボリューム管理ソリューションよりもパフォーマンスと可用性を高めながら、Oracleデータベース・ストレージの総所有コストを削減し、ストレージ使用率を向上させます。ASMによって、データベース・ストレージ環境の管理が簡単になります。

ASMは、従来のファイル・システムと比べ管理が簡単で、ストレージ・ハードウェアのパフォーマンスを最適化し、Oracle Databaseと緊密に統合されています。さらに、ASMを使用することで、サード・パーティ製のボリューム・マネージャやファイル・システムを使用しなくてもOracleデータベース・ファイルを管理できるようになります。

図1

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ASMは、Oracle Databaseプラットフォームに重要な価値をもたらします。ASMにより、ストレージ・プロビジョニング、ストレージ・アレイの移行、ストレージの統合が簡素化され、管理性が向上します。また、SQL*Plus、Oracle Enterprise Manager、ASMCMDと呼ばれるUNIXライクなコマンドライン・インタフェースなど、柔軟な管理用インタフェースを備えています。

さらに、管理のしやすさだけでなく、革新的なリバランシング機能により、クラス最高のパフォーマンスを実現します。ASMでは、ストレージ構成の変更後にすべてのストレージ・リソース間でデータが均等に分散されるため、IOが均等に分散されてパフォーマンスが最適化されます。ASMは、機能やパフォーマンスを低下させずに、非常に大規模なデータベースにまで効率的に拡張できます。

ASMは、データベースの可用性を最大化するように構築されています。また、自己修復機能を備えた自動ミラー再構築および再同期化、ローリング・アップグレード、パッチ適用などの機能も備えています。ASMでは、単一インスタンス構成およびOracle RACデータベース構成の両方で、動的なオンライン・ストレージ再構成も可能です。ASMを導入すると、ジャストインタイム・プロビジョニング、データベース統合に理想的なクラスタ化ストレージ・プールなどの機能によって、大幅なコストの節約と総所有コストの削減を実現できます。ASMの機能を使用するために、新たにライセンスを取得することや追加のライセンス料を支払う必要はありません。

つまり、ASMはOracleデータベース・ファイル用に最適化されたファイル・システムでありボリューム・マネージャでもあります。次の機能が含まれています。

• ストレージ管理の簡素化と自動化

• ストレージ使用率、アップタイム、俊敏性の向上

• 予測可能なパフォーマンスと可用性のサービス・レベルの提供

Oracleプラットフォームの全体的なストレージ管理

Oracle Database Release 11.2では、Automatic Storage Managementを補完するため、ASM Cluster File System(ACFS)が追加されました。ACFSのストレージ管理レベルは、ASMと同じです。ACFSは、ストレージ管理機能を簡素化および自動化し、ストレージの使用効率とアップタイム、および俊敏性を高めることで、Oracle Databaseの外部に保管されたファイル・データに、予測可能なパフォーマンスと可用性をもたらします。

• ACFSには、Automatic Storage Management Dynamic Volume Managerが含まれており、Automatic Storage Management Cluster File Systemとサード・パーティのファイル・システムのボリューム・マネージャとして機能します。

• Automatic Storage Management Cluster File Systemは、汎用ファイルの管理向けに高度なデータ・サービスとセキュリティ機能を提供します。

• ASM、ACFS、およびOracle Clusterwareは、完全なパッケージとしてバンドルされており、Oracle Grid Infrastructureと呼ばれます。

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図2

ASM Cluster File System、Automatic Storage ManagementおよびOracle Clusterwareは、Oracle Grid Infrastructureという1つの製品としてバンドルされています。Oracle Grid Infrastructureは、データベース・ファイル、汎用ファイル、およびクラスタ環境のインフラストラクチャ向けの統合基盤です。Oracle Grid Infrastructureによって、ボリューム、ファイル・システム、およびクラスタ構成の管理が合理化されるため、複雑さとコストが増す原因となるさまざまなサード・パーティのソフトウェア・レイヤーが不要となります。

「ASM機能のおかげで、DBAはディスクI/Oの最適化で悩む必要があり

ません。ASMによってデータが均等に分散されるため、ホット・スポッ

トがなくなり、エンドユーザーやアプリケーションが必要とする最適

な帯域幅が提供されます。」

Qualcomm、Senior Manager IT、Arvind Gidwani氏

「ASMを導入すると、Linux上で安価なストレージを使用してOracleを

稼働したときに発生するパフォーマンスや管理性に関する問題の大半

が解決され、大規模な高パフォーマンス・システムを構築できます。」

Amazon.com、Principal Database Engineer、Grant McAlister氏

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Oracle Database 12cに搭載したASMの新機能

クラウドでのAutomatic Storage Management

Oracle 10gでASMを導入した際、ASMは、Oracleデータベースのストレージの管理性の向上という1つの目標に特化して設計されていました。ASMの次の段階となる進化は、Oracle Release 11.2で導入されたASM Cluster File System(ACFS)でした。ACFSによって、すべての顧客データの完全な管理性が提供されました。Oracle Database 12cのASMでは、企業のクラウド・コンピューティングのストレージ管理のニーズにも引き続き取り組んでいます。企業におけるクラウド・コンピューティングとは、アプリケーションとこれをサポートするインフラストラクチャが、クラスタ/サーバー内やクラスタ/サーバー間で適応性があるということです。Oracle Database 12cでのASMの新機能によって、ストレージ管理が変化の多い要件や構成にシームレスに適応できるようになりました。また、この進化によるいくつかの新機能のおかげで、オラクルのエンジニアド・システム(Oracle ExadataやOracle Database Applianceなど)の管理が大幅に強化されています。

Oracle Flex ASM

Oracle Database 12cでのASMのもっとも重要な拡張機能は、まとめてOracle Flex ASMと呼ばれる機能セットです。Oracle Flex ASMによって、エンタープライズ環境のクラウド・コンピューティングに必要な重要な機能が提供されます。通常、このような環境では、厳しいパフォーマンスと信頼性の要件があるさまざまな規模のデータベース・クラスタをデプロイするだけでなく、最小限の管理オーバーヘッドで、変化の多いワークロードに迅速に適応する必要があります。

Oracle Flex ASMでは、ASMクラスタのアーキテクチャが根本的に変更されています。Oracle Database

12cでOracle Flex ASMが導入される前は、クラスタ内のすべてのサーバーでASMインスタンスが実行

されていました。これらのASMインスタンスは、クラスタ内の他のサーバー上のASMインスタンス

と通信し、そのクラスタ内で実行されるデータベース・クライアントに対し、共有ディスク・グルー

プをまとめて示していました。このASMサーバーのコレクションによって、ASMクラスタが形成さ

れていました。ASMインスタンスに障害が発生すると、そのASMインスタンスと同じサーバー上で

実行されているすべてのデータベース・インスタンスにも障害が発生しました。図3の灰色のボック

スは、ASM 12cより前の環境のASMインスタンスを示しています。

図3

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Oracle Database 12cのOracle Flex ASMでは、ASMのクラスタ組織に関するアーキテクチャが変更されています。Oracle Database Release 12cでは、クラスタ内のサーバーのサブセットで実行が必要なASMインスタンスの数が少なくなります。実行されるASMインスタンスの数は、ASMカーディナリティと呼ばれます。ASMインスタンスを実行しているサーバーに障害が発生すると、Oracle Clusterwareによって、別のサーバーへのASMインスタンスの置換えが開始され、ASMカーディナリティが維持されます。何らかの理由でASMインスタンスに障害が発生すると、そのASMインスタンスに依存していたアクティブなOracle 12cデータベース・インスタンスは、別のサーバー上の存続しているASMインスタンスに再接続します。また、使用可能なASMインスタンス・セット間で、データベース・インスタンスの接続がロードバランスされます。デフォルトのASMカーディナリティは3ですが、Clusterwareコマンドで変更できます。これらの機能は、まとめてOracle Flex ASMと呼ばれます。

図4:Oracle Flex ASM

図4a:ASMインスタンスのフェイルオーバー

図4に、Oracle Flex ASMを含むASMのアーキテクチャを示します。クラスタ内で選択されているサーバー上のASMインスタンスの数が少なくなり、Oracle Database 12cクライアントが、別のサーバー上のASMインスタンスにネットワーク経由で接続できます。また、ASMインスタンスを含むサーバーに障害が発生すると、Oracle Database 12cクライアントは、ASMインスタンスを含む存続しているサーバーにフェイルオーバーできます。すべての操作は、データベース・クライアントに対して中断することなく実行されます。

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専用のASMネットワーク

Oracle Database 12cには、ASMネットワーク・トラフィックのプライベート・ネットワーク専用の機能があります。通常、ASMネットワーク上のトラフィックはそれほど重要ではなく、ほとんどはメタデータ(特定のファイルのエクステント・マップなど)です。必要な場合は、Oracle Clusterwareのプライベート・ネットワークをASMと共有でき、専用のASMネットワークは不要です。Oracleインストーラでは、DBAがASM専用のネットワークの要否について選択できます。

図5

リモート・アクセス

Oracle Database 12cより前は、データベース・クライアントは、オペレーティング・システムの認証を使用して、ASMインスタンスにログインしていました。従来はデータベース・インスタンスとASMインスタンスが同じサーバー上で実行されていたため、この方法はうまく機能していました。Oracle Database 12cでは、データベース・インスタンスとASMインスタンスが別のサーバー上にある可能性があります。このため、クラスタ内でASMインスタンスと接続するデータベース・インスタンスを認証するためのパスワード・ファイルが、ASMインスタンスで必要となります。ほとんどの構成では、インストール中にデフォルトのASMパスワード・ファイルが作成され、ASMディスク・グループに格納されます。

ディスク・グループにパスワード・ファイルを格納する機能は、Oracle Databases 12cクライアントに拡張されています。クラスタ内に共通のグローバル・パスワード・ファイルがあることで、(以前には使用する必要があった)複数のパスワード・ファイルの同期に関する一般的な問題が解決します。

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Oracle Flex ASMのその他の機能

Oracle Flex ASMのその他の重要な機能は、次のとおりです。

• ASMディスク・グループの最大数が63から511に増加しています。

• Oracle Flex ASMでサポートされるOracle Database 12cクライアントのLUNサイズが(32PBに)増加しています。

• ディスク・グループ内のASMディスクの名前を変更するための新しいコマンドがあります。

• ASMクラスタ内のすべてのインスタンスで、クラスタ全体のパッチ・レベルの検証により、同じコード・リリースが実行されるようになりました。

Oracle Flex ASMのデプロイ

以前のリリースのOracleデータベースが実行されている環境にOracle Database 12cのASMをデプロイすると、古いデータベース・クライアントで、ASMの新機能の一部を使用できません。使用できない重要な機能とは、リモート・サーバー上で実行されるOracle Flex ASMインスタンスに対し、データベース・インスタンスが実行されているサーバーから12cより前のデータベース・クライアントがアクセスできない点に関するものです。このような環境でのOracle Flex ASMのデプロイ方法には、2つのモデルがあります。新規デプロイメントでは、Oracle Flex ASMとOracle 12cのデータベースを別々のクラスタに作成します。アプリケーションとデータは、Oracle Flex ASM環境に徐々に再配置されます。このモデルでは、以前のデータベース・リリースとOracle Database 12cがほぼ分離されます。図6を参照してください。

図6

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2番目の方法は、同じクラスタ内に以前のデータベース・リリースとOracle Database 12cのクライアントの混合環境を作ることです。この特有のモデルでは、クラスタ内のすべてのサーバーで実行されるOracle 12c ASMインスタンスによって、Oracle 12cリリースと以前のデータベース・リリースの両方がクラスタ内で動作します。以前と同様、ASMディスク・グループの互換性属性は、データベース・インスタンス間の互換性の管理に使用されます。

この混合モデルを運用するには、2つの方法があります。最初の方法は、ASMインスタンスをすべてのサーバーに割り当てる標準モードで、クラスタをインストールすることです。ただし標準モードの場合、あるASMインスタンスに障害が発生すると、そのASMインスタンスを使用するOracle 12cデータベースにも障害が発生します。

すべてのサーバーでASMインスタンスの目的を達成するもう1つの方法は、Oracle Flex ASMをインストールして、ASMカーディナリティを"all"に設定することです。これにより、クラスタ内のすべてのサーバーにASMインスタンスが存在するようになります。この方法の利点は、Oracle 12cデータベース・インスタンスとASMインスタンスの間の接続性が失われても、別のサーバー上の他のASMインスタンスにデータベース接続がフェイルオーバーされることです。図7を参照してください。

図7

Oracle Flex ASMの管理

Oracle Flex ASMは、初期構成後の監視や稼働中の管理が最小限で済みます。管理者の第一の目的は、ASMインスタンスが稼働していることです。これは、Oracle Clusterwareのsrvctlコマンドを使用して実行できます。

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Oracle Database 12cには、Oracle Flex ASM固有の新しいインスタンス・パラメータはありません。また、デフォルトのパラメータ設定が、Oracle Flex ASMアーキテクチャに合わせて調整されています。このためほとんどの状況で効果的にサポートできます。

エンジニアド・システム用のASM機能

Oracle Database 12cのASMには、オラクルのエンジニアド・システム(ExadataやOracle Database Applianceなど)の独自機能を促進するいくつかの機能があります。これらの機能によって、オラクルのエンジニアド・システムの価値が向上するだけでなく、非エンジニアド・システムのデプロイメントでもほぼ同じ機能が提供されます。これらの機能には、以下のものがあります。

障害グループの修復時間

ハードウェア障害が原因で、個々のASMディスクに障害が発生すると、その障害はほぼ絶望的で、ディスク交換が必要となります。ただし、ASM障害グループ内のすべてのASMディスクが同時に使用できなくなった場合は個々のディスクすべてに、同時に障害が発生したとは考えにくく、通常は、一時的な問題が、ASM障害グループに関連して障害を引き起こす可能性の方が高いと言えます。たとえば、Exadataストレージ・セルに一時的な障害が発生すると、Exadata環境で、ASM障害グループのすべてのディスクが使用できなくなります。障害グループの停止は本質的に一時的である可能性が高く、ASMのリバランスで冗長性をリカバリするのは、1台のディスクの交換よりはるかにコストがかかるため、このような環境では、個々のディスクの欠落よりも障害グループの欠落に対して長い修復時間をかけるのは理にかなっています。修復時間の値が大きいと、短時間のリカバリ可能な障害グループの停止が発生しても、すべてのディスクが自動的に除外されることはありません。したがって、Oracle Database 12cのASMには“failgroup_repair_time”という新しいディスク・グループ属性があります。この属性は、デフォルトで24時間です。

ASMのディスク障害処理の拡張機能

Oracle 12cでは、標準または高冗長性のディスク・グループで、ミラー同期と関連する管理に役立つ新しい機能が導入されています。この機能によって、管理者は、ミラー再同期専用のリソースの量を制御できます。これは、以前のASMリリースの機能と似ています。管理者はこの機能を使用して、ディスク・グループのリバランス操作専用のリソースの使用を制御できます。

Oracle Database 12c ASMでの再同期の関連機能として、再同期操作が中断後に再開された場合、前に完了した再同期のフェーズがスキップされ、再同期操作の残りの未完了フェーズから、処理が再開されます。

ASMディスクがオフラインになり修復できない場合、管理者はディスクを交換する必要があります。以前のバージョンのASMでは、管理者は障害のあるディスクを除外し、新しいディスクをディスク・グループに追加し直す必要がありました。このプロセスでは、ディスク・グループ全体がリバランスされます。この場合、データの移動が非常に高額となり、時間がかかる可能性があります。Oracle Database 12c ASMでは、管理者が1回の迅速かつ効率的な操作で、オフライン・ディスクを簡単に交換できます。この機能を使用すれば、交換ディスクに他のディスクのASMエクステントのミラー・コピーを移入でき、影響を受けない残りのディスク・グループで、別の再編成やリバランシングを実行する必要はありません。

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標準または高いASM冗長性を使用するディスク・グループ内でデータ冗長性をリストアするために、ASMのリバランス操作が必要な場合があります。たとえば、ディスクに障害が発生し、使用可能な交換ディスクがない場合、ディスク・グループ内の残りのディスクでデータを再分散させて、冗長性をリストアするには、リバランスが必要です。Oracle Database 12c ASMでは、リバランスは優先順位に従って実行されます。この機能では重要なファイル(制御ファイルやオンラインのREDOログ・ファイルなど)の冗長性をまず優先的に迅速にリストアし、二次的な障害に対して最初に保護されるようにします。

ASMの最初のリリース以降、データ・ブロックが読み取られると、データで一連のチェックが実行され、ブロックの論理的な整合性が検証されます。標準または高冗長性のディスク・グループが使用されている場合、破損が検出されると、ミラー・コピーの読取りによって、データベースが自動的にリカバリされます。Oracle Database 12cの新機能として、このタイプの保護が、アクセスされないデータの見えない破損にまで拡張されています。管理制御では、データベース・クライアントがデータにアクセスしなくても、ASMによってデータ破損を予防的にチェックできます。予防的なスクラビング値がこれにあたり、これがないと、アクセス頻度の低いデータのすべてのコピーに影響する、複数のデータ破損が存在する可能性があります。予防的なスクラビングによって破損がチェックされ、可能な場合は、検出された破損が修復されます。また、リバランス操作中やスクラビング・コマンドの実行中に、このデータ・チェックをトリガーできます。オンデマンドのスクラビングは、ディスク・グループや個別のファイルまたはディスクで実行できます。

ASMデータ割当ての拡張機能

標準または高冗長性のASMディスク・グループの場合、セカンダリ・エクステントの配置を決めるアルゴリズムでは、隣接メジャーを使用して、データのミラー・コピーの配置が決定されます。以前のバージョンのASMでは、同じアルゴリズムと隣接メジャーがすべてのディスク・グループに使用されていました。Oracle Database 12c ASMでは、各ASMディスク・グループに関連するコンテンツ・タイプを管理者が指定できます。データ、リカバリ、およびシステムの3つの設定が可能です。コンテンツ・タイプ設定ごとに、セカンダリ・エクステントの配置アルゴリズムが使用する隣接メジャーが変更されます。

この利点は、コンテンツ・タイプ設定が異なるディスク・グループのコンテンツが、使用可能なディスク間に、別々に分散される点です。このため、コンテンツ・タイプ設定が異なる標準冗長性のディスク・グループ間で、二重障害によりデータ損失が発生する可能性が低くなります。同様に、コンテンツ・タイプ設定が異なる高冗長性のディスク・グループ間で、三重障害によりデータ損失が発生する可能性が低くなります。

図8

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エクステント読取り選択の拡張機能

ASMの以前のリリースでは、ASMのデフォルト動作は必ず、ミラー化されたエクステントのプライマリ・コピーの読取りです(障害状態により別の動作が必要な場合を除く)。または、拡張クラスタ環境用に、管理者が任意の読取り障害グループを構成できます。標準または高冗長性のASMディスク・グループに対して示される各I/Oリクエストの場合、データを含む1つまたは複数のディスクがあります。Oracle Database 12c ASMの均等読取り機能によって、ブロックのどのコピーを読み取るかの選択が均等に分散されます。均等読取りが有効な場合、もっとも負荷の少ない使用可能ディスクに対し、各読取りリクエストが送信されます。

Oracle Database 12cでは、均等読取りがデフォルトで有効になっています。均等読取りはアプリケーションに対して透過的であるため、I/Oバウンド・システム上のユーザーは、バージョンをOracle Database 12cにアップグレードすると、パフォーマンスが向上したことが分かります。均等読取りは、優先読取り障害グループによって提供される機能の代わりにはならないので注意してください。

Oracle Database 12c ASMを含むExadata環境では、リバランス操作によって実行されるエクステントの再配置を、ほとんどExadata Storageセルにオフロードできます。この機能により、複数の読取り/書込みI/Oリクエストを1つのオフロード・リクエストで置き換えることができます。再配置のオフロードにより、ASMホストへのデータ送信が不要となり、その結果リバランスのパフォーマンスが向上します。

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結論

Oracle Database 12cのASMにより、Oracle 10gから始まったOracleデータベースの優れたストレージ管理が進化を続けています。Oracle 10gでは、ASMはOracleデータベースのストレージの自動化と管理性の向上という1つの目標に特化して設計されていました。ASMの進化の次の段階は、Oracle Release 11.2でのACFSの導入でした。ACFSにより、すべての顧客データの完全な管理性が提供されました。Oracle 12cのASMは、企業のクラウド・コンピューティングのストレージ管理要件に取り組むことで、この伝統を守っています。Oracle 12cでのASMの新機能によって、ストレージ管理が変化の多い要件や構成にシームレスに適応できるようになりました。この段階における本質的部分として、オラクルのエンジニアド・システム(ExadataやOracle Database Applianceなど)の管理を強化するいくつかの新機能が登場しています。

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2013年1月

著者:Jim Williams

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