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発行 : 株式会社ファルコバイオシステムズ 編集・制作 : 株式会社ファルコバイオシステムズ バイオメディカル部 HBC16FXI(2016 年6月発行 ) 乳がん・卵巣がんと遺伝について

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発行 : 株式会社ファルコバイオシステムズ編集・制作 : 株式会社ファルコバイオシステムズ バイオメディカル部

HBC16FXI(2016 年6月発行)

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乳がん・卵巣がんと遺伝について

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乳がんの中には「遺伝性乳がん・卵巣がん症候群(HBOC)」と呼ばれるものが

あります。医学の進歩によって、遺伝性の乳がん・卵巣がんについて多くのこと

が分かってきました。がんの発症に関与する遺伝子が同定され、その遺伝子の

変化と乳がんや卵巣がんの発症リスクの関係が明らかになりました。そして海外

ではその知見をもとに遺伝性の乳がん・卵巣がんについての検診方法や手術方

法が比較検討されました。その成果は NCCN(National Comprehensive

Cancer Network) のガイドラインにまとめられています。

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・卵巣がん

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乳がんや卵巣がんになりやすい人がいるの?私はがん家系?

乳がんや卵巣がんの発症には、出産、授乳、食生活などの他に、家族歴が関係していることが知られています。例えば、ご家族の中にが乳がんや卵巣がんになった方がいらっしゃる場合は、一般の人と比べて2~ 4倍乳がんや卵巣がんになりやすいと言われています。乳がんや卵巣がんになりやすい”体質”というものがあり、これが親から子へと遺伝していくことによると考えられています。

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がんは、「環境要因」と「遺伝要因」の”かけ算”の結果で発症すると考えられています。

「環境要因」には食生活や飲酒、喫煙、妊娠、出産、生活環境など、さまざまなものがあります。「遺伝要因」とは、がんになりやすい”体質”で、顔かたちが似るように、親から子へと遺伝することがあります。遺伝要因には、強いもの・弱いもの、特定のがんになりやすくするものなど、さまざまなものが知られています。それぞれの個人やがんによって、”かけ算”の要素 - 環境要因と遺伝要因 ‐ のうち、どちらがより大きく影響しているのか、その比率が違っているようです。

強い遺伝要因がある場合、血縁者で複数の方に特定のがんが発症する --- つまり「がんの家族歴」が見られることがあります。こればがんになりやすい体質が遺伝することがあるためです。

一方でご家族でがんを発症された方が多くいらっしゃる場合でも、全てに強い遺伝要因があるとは限りません。遺伝要因が強いかどうかは、遺伝カウンセリングという場で相談することができます。

* 参考資料中村清吾 編著「遺伝性乳がん・卵巣がんの基礎と臨床」(篠原出版新社 2012 年 6月)国立がん研究センターがん対策情報センター「全国がん罹患モニタリング集計 2011年罹患数・率報告」(2015年 3月)

家族歴の見られる乳がん *15~20%

乳がん7.3万人/年(日本)

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乳がんや卵巣がんは遺伝するの?乳がんや卵巣がんの遺伝要因って?

乳がんの遺伝要因には強いもの・弱いもの、さまざまなものがあると考えられていますが、その中で特に強いものがあることが分かっています。「BRCA1遺伝子」と「BRCA2遺伝子」と呼ばれる2つの遺伝子のどちらかに変異(変化)があると、乳がんや卵巣がんだけでなく、前立腺がん、膵がんなどにもなりやすいことが分かっています。

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*HBOC: Heredeitary Breast and Ovarian Cancer Syndrome

BRCA1 遺伝子や BRCA2 遺伝子に変異がある --- このように遺伝的な原因がはっきりとした乳がんや卵巣がんは「遺伝性乳がん・卵巣がん症候群」、または英語の疾患名 *を省略して「HBOC」と呼ばれます。

変異のある遺伝子は、親から子へと、性別に関係なく --- 母から娘だけでなく、父からも、あるいは息子へも --- 1/2 (50%) の確率で受け継がれます。また、変異のある遺伝子を持っている女性や男性が全員、乳がんや卵巣がんになるわけではありません。そのため、HBOC であっても、乳がんや卵巣がんの家族歴が見られないこともあります。

ヒトは、約2万種類の遺伝子を持っているといわれています。遺伝子の情報は、DNAという物質にA、T、G、Cの4つの暗号の並び方(配列)として書きこまれています。

遺伝子の配列はすべての人類で基本的には共通ですが、ひとりひとりで違っている部分があります。この遺伝子の配列の違いが、私たちの個性 --- 顔かたち、髪の色や皮膚の色、そして病気のなりやすさなどにも関係しています。

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私の乳がん、卵巣がんは遺伝性?家族・親戚のこと、遺伝子検査のこと・・・いろいろ相談したいのですが。

遺伝性の乳がん・卵巣がんについての遺伝カウンセリングができる病院は増えています。そこでは、遺伝性の病気やご家族(血縁者)のこと、遺伝子検査のことから些細な質問まで様々なを相談することができます。また、ご本人やご家族(血縁者)の病気の状況をお聞きして、ひとりひとりにあった治療・検診などについて時間をかけて話し合います。

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次のいずれかにあてはまる場合などには、まずは遺伝カウンセリングを受けることが勧められています。

□若年性乳がん(目安:40歳もしくは50歳以下で診断された)□60歳以下で診断されたトリプルネガティブ乳がん□(お1人の方で)2個以上の原発性乳がん□卵巣がん□男性乳がん□乳がんを発症したことがあり、かつ、次にあてはまる血縁者†がいる ・50歳以下で乳がんを発症 ・卵巣がんを発症 ・乳がんまたは膵がんを発症(2人以上)†血縁者とは第1度、第2度、第3度近親者をさします。下図をご参考ください。‡上記の項目は、あくまでも目安です。詳細は、主治医または遺伝カウンセリングを行っている病院にお問い合わせください。

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HBOC(遺伝性乳がん卵巣がん症候群)と分かったらどうしたらいいの?一般の乳がん、卵巣がんとHBOCの違いは?

遺伝性の乳がん・卵巣がんも、一般的な乳がん・卵巣がんと基本的には同じで、早期発見・早期治療が有効です。ただし、一般の人と比べて乳がんは数倍から十数倍、卵巣がんは数十倍なりやすいと言われていますので、一般的な検診や手術とは異なる対応が検討されます。

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一般の方と比べ若い時期から乳がんになりやすいため、まずは早い時期から細かな検診(25歳から1年に1回)が必要です。乳がんと診断された場合は、温存療法が可能であっても、あえて乳房切除術を選択することや、反対側の乳房を予防的に切除することもできるようになってきました。

また卵巣がんは検診が難しい臓器として知られています。定期的な検診が行われる場合もありますが、さまざまな状況を考慮した上で、予防的に卵巣・卵管を摘出することも増えてきました。ただし、予防的な手術に関しては、できる医療機関も限られています。手術のメリット、デメリットを十分に理解した上でご自身の状況にあった選択をするために、遺伝カウンセリングという場で納得のいくまで相談することができます。

また、ご家族の方も乳がん、卵巣がんになりやすい体質を受け継いでいる可能性があります。あらかじめご自身のリスクを知っておくことで、早期発見、早期治療につなげることができます。

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HBOCどうかを調べる検査があるの?

HBOC(遺伝性乳がん・卵巣がん症候群)の発症に関与しているBRCA1遺伝子や BRCA2遺伝子に変異があるかどうかは遺伝子検査で分かります。この遺伝子検査は、遺伝カウンセリングで十分な説明を受けた後に行われます。

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HBOCかどうかを判断するためには、BRCA1遺伝子やBRCA2遺伝子に変異があるかどうかを調べる必要があります。この検査は「BRCA1/2遺伝子検査」と呼ばれています。

BRCA1/2遺伝子検査は、採血で行われます。血液中の細胞(白血球)の中からDNAを取り出し、BRCA1遺伝子やBRCA2遺伝子に変異があるかどうかを調べます。

BRCA1/2遺伝子検査を受けるか受けないかは、あくまでも選択肢の一つであり、遺伝カウンセリングで十分に相談した上で、ご本人の意思で決定します。がんになりやすいということや遺伝ということに対し、不安や負い目を感じるかもしれませんが、状況に合わせて長くあたならしく過ごすために、ご自身やご家族のリスクを知ることはとても大切です。まずは遺伝カウンセリングで相談しましょう。日本ではBRCA1/2遺伝子検査は自費診療で行われています(2016年5月現在)。

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● 体験談が知りたいときは…遺伝性乳がん・卵巣がん症候群 当事者団体Clavis Arucs(クラヴィス アルクス)

HBOC 当事者による HBOC 当事者やそのご家族のための団体です。当事者の視点での様々な情報発信や当事者同士の交流などが行われています。活動内容や入会については、ホームページをご覧ください(http://www.clavisarcus.com/)。

● HBOCの治療や予防について知りたいときは…患者さんのための乳がん診療ガイドライン 2014 年版編集:日本乳癌学会 出版:金原出版株式会社

日本乳癌学会が発行している「科学的根拠に基づく乳癌診療ガイドライン」の情報を元にした患者さん・ご家族向けのガイドラインです。ホームページでも見ることができます(http://jbcsfpguideline.jp/)。

患者さんとご家族のための子宮頸がん・子宮体がん・卵巣がん治療ガイドライン 第2版編集:日本婦人科腫瘍学会 出版:金原出版株式会社

日本婦人科腫瘍学会 治療ガイドライン作成委員会のメンバーによって、Q&A方式でわかりやすく解説された患者さんとご家族向けのガイドラインです。

NCCN(National Comprehensive Cancer Network)ガイドライン日本語訳:NPO法人日本乳がん情報ネットワーク

NCCN ガイドラインの「Genetic/Familial High-Risk Assessment : Breast and Ovarian」には遺伝性の乳がん・卵巣がんの治療や予防に関する情報がまとめられています。日本乳がん情報ネットワークによって翻訳された同ガイドラインをホームページで閲覧することができます(http://www.jccnb.net/)。

関連情報 の

https://www.facebook.com/hbocpatientsお問い合わせメール:[email protected]

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● 相談できる病院を探すときは…遺伝性乳がん・卵巣がん症候群(HBOC)の情報サイト

HBOCについて詳しく知りたいときや相談できる病院を探すときには、このホームページをご覧ください。スマートフォンやタブレットからのアクセスにも対応しています。

HBOCについて相談できる病院の検索はこちらから

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報 のご案内

hboc infohboc info 検 索

http://www.hboc.info/

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