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ディジタル信号処理の更なる理解のために 離散フーリエ変換による信号解析の理解 ディジタルフィルタの設計と性能評価 サンプリング AD 変換 変調 ディジタル 信号処理 伝送 アナログ 信号 H4.1 P4 通信システム P4.1 ディジタルフィルタの設計とその応用 P4.2 分布定数線路のCAD P4.1 H4.1 1

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ディジタル信号処理の更なる理解のために

離散フーリエ変換による信号解析の理解ディジタルフィルタの設計と性能評価

サンプリングAD変換

変調ディジタル信号処理

伝送

アナログ信号

H4.1

P4 通信システムP4.1 ディジタルフィルタの設計とその応用P4.2 分布定数線路のCAD

P4.1 H4.1

1

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TUT

ディジタル信号処理とは

アナログ信号をディジタル信号に変換し,ディジタル的に演算すること

科学技術のあらゆる分野に必要不可欠な基盤技術

信号の処理・加工が容易

定義?!

なぜ?!

どこで利用?!

離散フーリエ変換ディジタルフィルタリング

ディジタル信号処理の重要かつ有用な基本アルゴリズム

2

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TUT

アナログ信号とディジタル信号

アナログ信号 サンプリング サンプル値信号

AD変換 ディジタル信号サンプリング周波数が,x(t)に

含まれる最高周波数の2倍よりも大きい場合,元の信号を再生可能

サンプリング定理とは

sωω <02通常の表記(T:削除)

注意

x(n)x(nT)

3

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TUT

アナログとディジタルフィルタの比較(LPF)

t0

y(t)

( )RCt

e−1u(t) y(t)

RC

u(t)、u(n):単位ステップ

y(n)+

bZ-1

u(n)

n0

y(n)

)()()( txtydt

tdyRC =+

)()1()( nxnbyny +−=

アナログフィルタ

ディジタルフィルタ

線形微分方程式

線形差分方程式

4

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TUT

ディジタルフィルタの構成

)1()( −= nxny遅延素子 Z-1y(n)x(n)

∑=

=k

ii nxny

1)()(加算器 +

y(n)

x1(n)x2(n)

xk(n)

係数乗算器 ay(n)x(n))()( naxny =

要素 式表現 ブロック表現

5

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TUT

簡単なディジタルフィルタの例

)2()()( −+= nxnxny

ω0 ω0

ω0

)1()()( −+= nxnxny)1()()( −−= nxnxny

6

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TUT

実験内容

1. ディジタルフィルタの基礎

2. FIR形ディジタルフィルタの設計とその応用

(1)線形と非線形特性を持つディジタルフィルタの理解(2)離散フーリエ変換による信号解析

(1)フーリエ級数法による設計(2)周波数サンプリング法による設計

具体的には,LPF,HPF,BPFを設計し,離散フーリエ変換によりその入出力特性を調べる

注意:C言語を利用して,実験を行う.

7

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TUT

離散フーリエ変換

Nj

N

n

kn

eW

WnxkX

π2

1

0)()(

=

=

=∑

∫∞

∞−

−= dtetxX tjωω )()(フーリエ変換(連続)

離散フーリエ変換(離散)

時間領域

周波数領域

:回転因子

8

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TUT

離散フーリエ変換の解釈

⎥⎥⎥⎥

⎢⎢⎢⎢

⎥⎥⎥⎥⎥

⎢⎢⎢⎢⎢

=

⎥⎥⎥⎥

⎢⎢⎢⎢

)3()2()1()0(

)3()2()1()0(

33323130

23222120

13121110

03020100

xxxx

WWWWWWWWWWWWWWWW

XXXX

Nknj

NknW kn ππ 2sin2cos −=

1131 2),sin(3.0)sin(3.0)( ftttx πωωω =++=

各周波数成分との内積!!

∫∞

∞−

−= dtetxX tjωω )()(

)(tx

DC

1f

12 2 ff =

13 3 ff =

t

0W

1W

2W

3W

)0(x )1(x )2(x )3(x )0(x

3.0

1

0

3.0

9

n=0 1 2 3 0

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TUT

1. 基礎項目のまとめ

1. フィルタの作成a. 入力信号生成(離散信号)b. 入出力信号の観測(時間領域)

2. DFTの作成a. DFTの理解b. 入出力信号の観測(周波数領域)

10

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TUT

実験内容

1. ディジタルフィルタの基礎

2. FIR形ディジタルフィルタの設計とその応用

(1)フーリエ級数法による設計(2)周波数サンプリング法による設計

具体的には,LPF,HPF,BPFを設計し,離散フーリエ変換によりその入出力特性を調べる

注意:C言語を利用して,実験を行う.

(1)線形と非線形特性を持つディジタルフィルタの理解(2)離散フーリエ変換による信号解析

11

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TUT

フーリエ・ラプラス・z変換の関係

∫∞

∞−

−= dtetfF tjωω )()(

)(

)()(

ωσ js

dtetfsF st

+=

= ∫∞

∞−

∑∞

=

−=0

)()(n

nZnTfzF

可積分関数でなければならない

te σ− を乗ずることで,可能(σ=0の時フーリエ変換)

連続関数f(t)を離散化

ラプラス変換ラプラス変換

z変換z変換

フーリエ変換フーリエ変換

12

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TUT

FIRフィルタとIIRフィルタ

FIRフィルタ

∑∑==

−−−=N

kk

M

kk knybknxany

10)()()(

IIRフィルタa0

Z-1

y(n)

x(n)+Z-1 Z-1 Z-1 Z-1 Z-1+

a1

a2

aM

-b1

-b2

-bN

N次差分方程式

13

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TUT

伝達関数

[ ] [ ] [ ]

[ ][ ] ∑

∑∑

=

=

=

=

+=

ΖΖ

=

Ζ−Ζ=Ζ

N

k

kk

M

k

kk

N

k

kk

M

k

kk

zb

za

nxnyzH

nyzbnxzany

1

0

10

1)()()(

)()()(

N次差分方程式の両辺をZ変換し,入出力の比を取る

伝達関数

( )

( )k

N

k

k

M

k

pz

zzHzH

−=

=

=

1

10

)(

上式を因数分解する

極零点配置(安定性判別)零点: Mzzz ,,, 21 L

Nppp ,,, 21 L極:

14

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TUT

極零配置の例とインパルス応答

未知システムに,インパルスを入力⇒未知システムがわかる

Re

Im

1

LPF 1

1

11)( −

−+

=zzzHρ BPF

21)( −−= zzH

極Re

Im

1

極がZ平面の単位円内:安定

未知システムn

)(nδ ( )

( )k

N

k

k

M

k

pz

zzHzH

−=

=

=

1

10

)(

15

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TUT

たたみこみ

)()()()(

)()()(

nxnhnhnx

knhkxnyk

∗=∗=

−= ∑∞

−∞=

実際のフィルタリング(式での表現)

入力とインパルス応答が与えられると,出力は?

)(ny

出力?

)(nh

インパルス応答

0 1 2 3 n

43

2 1)(nx

入力

0 1 2 3 n

21

16

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TUT

たたみこみの例

)( kx −

)1( kx −

)2( kx −

)3( kx −

)4( kx −

21

21

21

21

21

)(ny

0 1 2 3 4 n

8 7

4

1

10

2x4=8

2x3+1x4=10

2x2+1x3=7

2x1+1x2=4

1x1=1

)(nh0 1 2 3 n

43

2 1

17

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TUT

周波数特性の導出法

=

=

+= N

k

kk

M

k

kk

zb

zazH

1

0

1)(

上式のzにejω (振幅1の全周波数)代入する

)()(tan)(arg

)()(

)(arg)(

)()()(

ωω

ωω

ωωω

ωθω

jR

jIj

jj

jI

jR

j

eHeHeH

M

eHeH

ejHeHeH

−=

∠=

∠=

+=

M(ω)

ω0 π振幅特性

∠θ

(ω)

ω

π位相特性

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TUT

周波数特性

低域通過フィルタ(LPF)

ωωc

高域通過フィルタ(HPF)

ωωc

帯域通過フィルタ(BPF)

ωωL ωH

帯域除去フィルタ(BEF)

ωωL ωH

19

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TUT

システム表現

時間領域時間領域 周波数領域周波数領域

Z領域Z領域

)()()( nxnhny ∗=

)()()( zXzHzY =

)()()( ωωω jjj eXeHeY =

z変換

離散時間フーリエ変換

ωjez =

伝達関数

インパルス応答 周波数特性

20

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TUT

フィルタ設計とは?!

フィルタの係数を決定すること

望まれるフィルタの特性を決定振幅特性と位相特性

使用するフィルタを決定FIRかIIRかその他

設計方法を決定どの設計アルゴリズムを利用するか

ωωc0 π

通過域

遷移域

阻止域

減衰量

そのためには?!

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TUT

正規化周波数とは?!

サンプリング周波数fsに応じて,周波数特性を表現するのは無駄(ex.カットオフ周波数fc=1kHz,サンプリング周波数fs=10kHz,20kHz)

ωωc0 π

回避するために?!

対象となる周波数は,0からサンプリング周波数fsの半分fs/2(サンプリング定理より)

すなわち,0からπを利用して表現(正規化と呼ぶ)

πππ

=⇒s

s

s f

f

ff 222

22

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TUT

フーリエ級数法による設計

∫− −=π

πdffHfDMSE 2)()(

ωωc0 π

理想特性:D(f)

実際の特性:H(f)

理想特性と実際の特性の平均二乗誤差(MSE)が最小となるように設計

ωωπ

ωπ

πdeDh ij

i ∫−= )(21

ちょっと複雑な計算

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TUT

LPFからHPF,BPF(周波数変換)

LPF:HL(z)

ωωc

HPF:HH(z)

ωωc

BPF:HBP(z)

ωωL ωHω0

)()cos(2)( 0 nhnnh LBP ⋅= ω

)()( )( πωω −= jL

jH eHeH

)()1()( nhnh Ln

H −=

少し複雑な計算

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TUT

窓関数

( )

⎟⎠⎞

⎜⎝⎛

−+⎟⎠⎞

⎜⎝⎛

−+=

−−=

⎟⎠⎞

⎜⎝⎛

−−×=

=

14cos08.0

12cos5.042.0)(

12

1)(

12cos1)(

1)(

Nn

Nnnw

Nn

nw

Nnnw

nw

ππ

πααハニング窓(α=0.46)ハミング窓(α=0.5)

バートレット窓

ブラックマン窓

矩形窓

)()()( nwnhnhw ⋅=窓関数

Gibb’s現象の軽減(スペクトルの洩れ)

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TUT

周波数サンプリング法による設計

ωωc0 π

理想特性:D(f)

所望特性:H(f)

周波数特性(所望特性)

時間特性(フィルタ係数)

逆フーリエ変換

時間領域

周波数領域

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TUT

2. フィルタ設計のまとめ

LPF,HPF,BPFの作成a. 各設計法によるフィルタ係数導出の理解b. サンプリング周波数,カットオフ周波数(各自が設定)c. 入出力信号の観測(時間領域,周波数領域)d. 次数に対する考察e. 窓関数に対する考察

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TUT

参考文献

中村尚五,“ビギナーズデジタルフィルタ”,東京電機大学出版局

樋口龍雄,“ディジタル信号処理の基礎”,昭晃堂

樋口龍雄,川又政征,“MATLAB対応ディジタル信号処理”,昭晃堂

武部幹,“ディジタルフィルタの設計”,東海大学出版会

臼井支朗,“信号解析”,オーム社

貴家仁志,“ディジタル信号処理”,昭晃堂

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TUT

報告書の書き方

初めて読む人が,すぐに理解できる(実験の目的,原理,手順,結果,考察)その報告書に基づき,容易に再実験が可能

概要:報告書の内容を簡単にまとめたもの中身:目的

原理実験内容・手順結果・考察参考文献(感想・意見)

その他:式,図,表には通し番号と適切な表題下欄にページ番号,図の書き方の工夫

報告書とは

表紙と報告書の中身

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