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® 第4.1 版 改良型 Phos-tag ® SDS-PAGE プロトコル登場 ! Zn 2+ -Phos-tag ® SDS-PAGE (p.6、p.10-12) Phos-tag ® SDS-PAGE ガイドブック

Phos-tag SDS-PAGE ガイドブック - Fujifilm...Phos-tag ® SDS-PAGE は、電気泳動により、りん酸化レベルに応じてりん酸化 / 非りん酸化フォームを分離

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Page 1: Phos-tag SDS-PAGE ガイドブック - Fujifilm...Phos-tag ® SDS-PAGE は、電気泳動により、りん酸化レベルに応じてりん酸化 / 非りん酸化フォームを分離

®

第4.1版

改良型 Phos-tag® SDS-PAGE プロトコル登場 !

 Zn2+-Phos-tag® SDS-PAGE (p.6、p.10-12)

Phos-tag® SDS-PAGE ガイドブック

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りん酸化/非りん酸化タンパク質の定量

in vitro in vivo発現タンパク質 細胞 動物・植物組織

無限の可能性

様々なレベル・目的のりん酸化研究に対応!

RI標識不要

りん酸化レベルの増減

内在性タンパク質のりん酸化解析

りん酸化抗体作製の労力から解放

キナーゼカスケード解析 遺伝子改変マウスの解析

キナーゼアッセイ

目  次P.3P.4P.6P.13P.16P.17P.21P.25P.26P.28

1.Phos-tag® とは?2.Phos-tag® SDS-PAGE3.プロトコル4.トラブルシューティング5.Phos-tag®SDS-PAGE の条件検討6.アプリケーションデータと参考文献7.Q&A8.プレキャストゲル:スーパーセップ™ Phos-tag®

9.その他の Phos-tag®シリーズ10.関連製品・受託サービス

カタログ表示記号

本ガイドブックに記載されている希望納入価格は 2018 年 6 月現在の価格です。予告なく変更する場合がございますので、 予めご了承ください。また、希望納入価格は本体価格のみです。消費税は含まれておりませんのでご注意ください。

Ref …2~10℃保存 F …-20℃保存 -80 …-80℃保存 表示がない場合は室温保存です。特定 毒 -Ⅰ…特定毒物 毒 -Ⅰ 毒 -Ⅱ…毒物 劇 -Ⅰ 劇 -Ⅱ 劇 -Ⅲ…劇物 毒…毒薬 劇…劇薬 危…危険物 向…向精神薬 特麻原 …特定麻薬向精神薬原料審-1…化審法 第一種特定化学物質 審-2 …化審法 第二種特定化学物質 化兵1 …化学兵器禁止法 第一種指定物質 化兵2 …化学兵器禁止法 第二種指定物質カルタヘナ …カルタヘナ法 覚…覚せい剤取締法 毒素等 …国民保護法覚せい剤取締法…「覚せい剤原料研究者又は取扱者」の免許を取得して、ご購入に際しては、譲受証及び譲渡証による受け渡しが必要となります。国民保護法…生物・毒素兵器の製造、使用防止のため、「毒素等」を試験研究用に使用することを確認する証を頂載しております。上記以外の法律及び最新情報は、https://labchem.wako-chem.co.jpをご参照ください。

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1.Phos-tag

® とは?

Phos-tag®は、広島大学大学院医歯薬学総合研究科医薬分子機能科学研究室で開発されました。http://www.phos-tag.com/

■Phos-tag®

O OP O-

O-

-O

M2+M2+

R

~1 nm

N

N

NN

N

N

【Phos-tag® 基本構造】

Phos-tag® は、アルカリホスファターゼの活性中心をモデルに合成された Ser / Thr / Tyr のほか、His /Asp / Lys も含め、すべてのりん酸化体を捕捉する機能分子です。Phos-tag® を応用した試薬を、りん酸化タンパク質の分離・検出・MS 解析・精製に使用できる製品としてシリーズ化しました。

1.Phos-tag® とは?

2個の金属イオンが協力してりん酸基を捕捉M2+:亜鉛イオン or マンガンイオン

◆ りん酸イオン(2価陰イオン)の捕捉選択性が非常に高い◆ 生理的条件下(pH 5 ~ 8)で安定な複合体を形成

分離 SDS-PAGE による分離に! ゲルクロマトでの精製に!

MALDI-TOF / MS での検出に! 化学発光検出に!

精製

MS 検出

SDS-PAGE ゲルに混ぜるだけPhos-tag® アクリルアミド

実験操作は生理的条件下 (pH 7.5)Phos-tag® アガロース

Ready-to-use のりん酸化ペプチド精製チップPhos-tag® Tip

Phos-tag® 入りプレキャストゲルスーパーセップ™ Phos-tag®

りん酸化分子のみを高感度に検出Phos-tag® 質量分析用キット

PVDF 膜上の全りん酸化タンパク質を検出Phos-tag® ビオチン

りん酸化 β-casein

非りん酸化 β-casein

フィルターPhos-tag®

アガロース

サンプル

フロースルー画分

溶出画分

充填

®

← りん酸化 α-casein

← 非りん酸化 α-casein

← りん酸化 β-casein

← 非りん酸化 β-casein

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®

-4-

12001200ホスファターゼ処理時間(min.)

りん酸化 α-casein

非りん酸化 α-casein

りん酸化 α-casein+

非りん酸化 α-casein

品  名 容 量 希望納入価格

Phos-tag®アクリルアミド

Phos-tag®アクリルアミド5mM 水溶液

メタノール、水で調製

調製済みの水溶液タイプ

コードNo.

300-93523

304-93521

304-93526

メーカーコード

AAL-107M

AAL-107

AAL-107S1

2 mg

0.3 mL(0.9mg相当)

10 mg

25,000 円

15,000 円

60,000 円

保 存

冷 蔵

【Phos-tag® アクリルアミドの構造】

部位の数や位置が異なるりん酸化フォームも分離できます

■Phos-tag® SDS-PAGE の原理

■Phos-tag® SDS-PAGE とはPhos-tag® SDS-PAGE は、電気泳動により、りん酸化レベルに応じてりん酸化 / 非りん酸化フォームを分離することができる手法です。泳動後は各種染色はもちろん、ウエスタンブロッティング (WB)、質量分析(MS) にも使用できます。Phos-tag® SDS-PAGE のゲルは、 Phos-tag® 分子にアクリルアミドを結合させた “ Phos-tag® アクリルアミド” と 2 価金属 ( MnCl2 または ZnCl2 ) を SDS-PAGE の分離ゲルに添加することで作製することができます。

■Phos-tag® SDS-PAGE の例 ~α-casein の脱りん酸化反応の経時変化~α-カゼインをアルカリホスファターゼにより経時的(インキュベート時間:0‒120min)に脱りん酸化させたサンプルをPhos-tag® SDS-PAGE および通常の SDS-PAGE で分離した。

2.Phos-tag® SDS-PAGE

非りん酸化タンパク質

りん酸化タンパク質

1. 泳動中のりん酸化タンパク質を 2 個の 2 価金属イオンがトラップする 2. りん酸化レベルの高いフォームほど泳動速度が遅くなる3. りん酸化レベルに応じて分離される(りん酸化部位の数が同じでも位置が異なれば分離される)

通常の SDS-PAGE Phos-tag® SDS-PAGE10 % アクリルアミド 10 % アクリルアミド

100 μM Mn2+-Phos-tag® アクリルアミド

備  考

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2.Phos-tag

® SDS-PAGE

りん酸化 p35

非りん酸化 p35

目 的 サンプルの種類 関連製品 アプリケーションデータ応用例

りん酸化部位を特定したい

ライセート Ala 置換体 + WB イムノスター® シリーズ p.18 ④

p.17 ①, ②

p.18 ④、p.19 ⑤, ⑥

p.17 ①, ②

p.17 ②

p.17 ①

p.18 ③

p.18 ③、p.19 ⑤, ⑥

イムノスター® シリーズ

イムノスター® シリーズ

イムノスター® シリーズ

組換え体 + MS免疫沈降 + MS

クイックCBBプラス、銀染色MSキット 等

クイックCBBプラス、銀染色MSキット等

キナーゼガイドブック、阻害剤ガイドブック①

銀染色MSキット、nanoLC-MS/MS タンパク質同定受託サービス

組換えキナーゼ +CBB染色, 銀染色など

CBB染色, 銀染色など

精製タンパク質

ライセート WB

WB

2次元電気泳動

カラムクロマト + WB

ライセート

ライセート

精製タンパク質

精製タンパク質

免疫沈降サンプル

りん酸化しているか知りたい

もっと分離したい

各りん酸化フォームを同時に検出(定量)したい

目的タンパク質に作用するキナーゼや阻害剤を探したい

Phos-tag® SDS-PAGE からの WB の例 Microcystin*ATP

Phos-tag®SDS-PAGE

SDS-PAGE試料:ラット脳抽出液検出:抗 p35 抗体レーン1:インキュベート前のラット脳抽出液レーン2-5:MCおよびATPの存在/非存在下でインキュベート* Microcystin:ホスファターゼ阻害剤

【データ提供】理化学研究所  脳科学総合研究センター 細川 智永 先生

‒‒

‒+

+‒

++

21 3 4 5

■Phos-tag® SDS-PAGE の特長

■Phos-tag® SDS-PAGE を用いた解析応用例

◆ アミノ酸残基の種類 /位置に関わらず使用できる ・未知のりん酸化解析に使用できる ・抗りん酸化抗体が市販されていないりん酸化部位の検出に使用できる

◆ りん酸化部位の数 /位置の異なるりん酸化フォームも分離できる ・どのくらいりん酸化するか、りん酸化フォームがどのくらいあるかわかる

◆ りん酸化 /非りん酸化フォームを同時に検出できる ・各りん酸化フォームの定量ができる ・りん酸化の有無が簡単にわかる

◆ RI 不要、特別な機器も不要(SDS-PAGEの試薬・装置があればすぐに使える) ・手軽 & 低コストで実験ができる

◆ 泳動後は WB, MS による解析が可能、2次元電気泳動に使用することも可能 ・WB:内在性タンパク質の解析が可能(アプリケーションデータ:p.18 ③, ④、p.19 ⑤, ⑥) ・MS:各りん酸化フォームごとのりん酸化部位の組み合わせがわかる

(アプリケーションデータ:p.17 ①, ②) ・2 次元電気泳動:同じ等電点、同じ分子量のりん酸化フォームを分離できる

(アプリケーションデータ:p.17 ②)

関連製品はp.28-31をご参照ください

りん酸化 p35+

非りん酸化 p35

Quantitative Measurement of in vivo Phosphorylation States of Cdk5 Activator p35 by Phos-tag SDS-PAGET. Hosokawa, T. Saito, A. Asada, K. Fukunaga, and S. Hisanaga Mol. Cell. Proteomics, Jun 2010; 9: 1133 - 1143.

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■通常の SDS-PAGE と異なる点・注意点

◆ サンプルの前処理が必要Phos-tag® SDS-PAGE では、EDTA などの影響を受けやすいため、サンプルの前処理 (TCA沈殿など )を強く推奨しております。⇒ 詳細は p.13

◆ 泳動速度が遅くなるPhos-tag® SDS-PAGE では、通常の SDS-PAGE よりも非りん酸化タンパク質でも泳動速度が低下します。 ⇒ 詳細は p.16

◆ 分子量マーカーによる分子量の推定はできないPhos-tag® SDS-PAGE では、分子量マーカーによる分子量の推定はできません。使用する場合は転写効率の目安としてください。⇒ 詳細は p.21また、市販のプレステインマーカーはバンドの歪みの原因となります。目的タンパク質の組換え体や脱りん酸化処理したサンプルを代替とすることを推奨します。⇒ 詳細は p.13

◆ 転写の際に EDTA 処理が必要Phos-tag® SDS-PAGE ゲルから WB を行う際、転写効率向上のため転写前にゲルを EDTA 処理する必要があります。⇒ 詳細は p.12

◆ 通常の SDS-PAGE も同時に行うPhos-tag® SDS-PAGE を行う際は、コントロールとして通常の SDS-PAGE も一緒に行ってください。Phos-tag® SDS-PAGE で複数のバンドが検出された際に目的タンパク質のりん酸化によるものか、分解などによるものかを判断するために必要です。

Phos-tag® SDS-PAGE は通常の SDS-PAGE と異なる点や注意すべき点があります。ご留意ください。

3.プロトコル■2つの Phos-tag® SDS-PAGEPhos-tag® SDS-PAGE ゲルは、 Phos-tag® 分子と結合する2価金属イオンの種類により、下記の2種類に分けることができ、ゲルの作製に用いるバッファーの組成も異なります。それぞれ特長がありますので、目的に応じて選択してください。それぞれの使用例は p. 17-19「6.アプリケーションデータ」に記載されています。

Mn2+-Phos-tag® SDS-PAGE ゲル

Zn2+-Phos-tag® SDS-PAGE ゲル

(Laemmli 法をベースとした組成 )

( 中性バッファーを使用した組成 )

[Ⅰ]

[Ⅱ]

ゲルの種類 長 所 短 所

Mn2+-Phos-tag® SDS-PAGE

Zn2+-Phos-tag® SDS-PAGE

・Laemmli 法とほぼ同じプロトコル・高濃度 Phos-tag® でもセミドライ式で転写可能

・タンパク質によっては分離しない・ゲルを用時調製する必要がある

・高濃度 Phos-tag® ではセミドライ式での転写効率が悪い・5 % 未満の低濃度ゲルではバンドがスメアになる

・分離能が向上した(ABL, MET)・Mn2+-Phos-tag® SDS-PAGEでは分離できなかったバンドを分離できた(FYN)

・分離能が高い・分離できるタンパク質、りん酸化フォームが多い・ゲルの長期保存が可能

ABL MET

Mn2+-Phos-tag® SDS-PAGE

Zn2+-Phos-tag® SDS-PAGE

FYN ABL MET FYN

80μM Phos-tag® Acrylamide, 7.5 % ポリアクリルアミドゲル

【サンプル】レーン左側:非りん酸化Tauレーン右側:りん酸化Tau (ABL, MET, FYN によるりん酸化フォーム)

りん酸化 Tau

非りん酸化 Tau

検出:蛍光染色

Zn2+ -Phos-tag® SDS-PAGE では…

Improved Phos-tag SDS-PAGE under neutral pH conditions for advanced protein phosphorylation profiling. E Kinoshita and E Kinoshita-Kikuta Proteomics, Jan 2011; 11(2): 319-23.

NEW!

⇒p.17-19②③④⑤

⇒p.17 ①

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2.Phos-tag

® SDS-PAGE

3.プロトコル

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■Phos-tag® SDS-PAGE のプロトコル

① 試薬の調製 :調製済みの試薬がございます。「10.関連製品・受託サービス」をご参照ください。

:0.50 mol/L Tris/HCI Solution, pH 6.8 (4x solution for stacking gel)濃縮ゲル用Tris-HCl バッファー,pH 6.8

Sol. CTris base 6.06 g6.0 mol/L HCl(0.96 equivalent of Tris base) 8.0 mL

蒸留水 90 mL

コードNo. 199-11051濃縮ゲル用緩衝液(× 4)

※SDS含有

(250 mL)

6.0 mol/L HCI (ca. 0.1 mL) で pH 6.8 に調整し、蒸留水で 100 mL にメスアップしてください。 【保存】4℃

分離ゲル用Tris-HCl バッファー,pH 8.8

Sol. B :1.5 mol/L Tris/HCI Solution, pH 8.8 (4x solution for resolving gel)Tris base(MW:121, pKa= 8.2 at 20℃) 18.2 g

6.0 mol/L HCl(0.19 equivalents of Tris) 4.85 mL

コードNo. 192-11041分※SDS含有離ゲル用緩衝液(× 4)(250mL)

蒸留水で 100 mL にメスアップしてください。【保存】4℃

:10% (w/v) SDS SolutionSDS 溶液 Sol. DSDS 10.0 g蒸留水 90 mL撹拌後、蒸留水で 100 mL にメスアップしてください。 【保存】4℃

コードNo. 311-9027110% SDS 溶液(100 mL)コードNo. 313-9027510% SDS 溶液(500 mL)

アクリルアミド溶液 Sol. A:30% (w/v) Acrylamide Solution(30% T, 3.3% C)

acrylamideN, N'-methylene-bisacrylamide

29.0 g 1.0 g

蒸留水で 100 mL にメスアップし、ろ過してください。【保存】4℃の暗所

コード No. 015-25635 30w/v% アクリルアミド溶液,29:1(500 mL)

:5.0 mmol/L Phos-tag®Solution containing 3% (v/v) methanolPhos-tag® アクリルアミド溶液

Sol. E※カッコ内は 2 mg包装の場合

Phos-tag®Acrylamide(MW:594.7) 10 mg(2 mg)methanol 0.10 mL(0.02 mL)蒸留水 3.2 mL(0.64 mL)

チューブ内の本品を0.10 mL のmethanol で完全に溶かしてください。

Phos-tag® アクリルアミド

蒸留水のみによる溶解も可能ですが、時間がかかります。ゆっくり溶解させてください。40℃程度で温めるか、超音波洗浄機につけるなどすると良く溶けます。

調製済の製品を販売しております。(p.4掲載コード No. 304-93526)

3.2mL の蒸留水を加えピペッティングで溶かしてください。

混合した直後

注)蒸留水を加えてすぐは右の写真のように白濁することがありますが、しばらく放置すると透明になります。透明になってからご使用ください。溶液中に白く細かい粒子(不純物)のような不溶物が少量見えた場合、 2 mL 容マイクロ遠心チューブで遠心分離し、上清を使用してください。

【保存】アルミ箔で遮光、4℃の暗所

DS S

[Ⅰ]Mn2+-Phos-tag®SDS-PAGE ※ゲルは用時調製してください

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Sol. F:10 mmol/L MnCl2 SolutionMnCl2(H2O)4(MW:198) 0. 10 g蒸留水 50 mL

MnCl2溶液

Sol. J:Acidic Solution for Fixation of Proteins(1 L)acetic acid 0.10 Lmethanol 0.40 L蒸留水 0.50 L

固定液

APS溶液 Sol. G:10% (w/v) Ammonium Peroxodisulfate Solution(NH4)2S2O8(MW:228) 10 mg蒸留水 0.10 mL コードNo. 019-15922

10w/v% ペルオキソ二硫酸アンモニウム溶液(25 mL)用時調製不要の溶液タイプ

ランニングバッファー

Sol. H:Running Buffer, pH 8.3(10x solution)Tris base (0.25mol/L) 15.1 gSDS 5.0 gglycine (1.92 mol/L) 72.0 g蒸留水で 0.50L にメスアップしてください。酸や塩基によるpH 調整の必要はありません。【保存】4℃

使用時は50mLの10 x solution に 450mLの蒸留水を加えて使用してください。

コードNo. 184-01291泳動用緩衝液(× 10)(1 L)

コード No. 318-90323 SDS-PAGE 10 ×ランニングバッファー( 5 L )

蒸留水で10mLにメスアップしてください。【保存】ー20℃【使用法】「④サンプルの準備」をご参照ください。

サンプルバッファー

Sol. I:Sample Buffer(3x solution)Bromophenol Blue (BPB) 1.5 mgSDS 0.60 gglycerol 3.0 mLSol. C:0.5mol/L Tris/HCI Solution,pH 6.8 3.9 mL2-mercaptoethanol 1.5 mL

コードNo. 191-13272試料用緩衝液(2ME+)(×4)(25 mL)コードNo. 196-11022試料用緩衝液(2ME+)(×2)(25 mL)

Sol. L:Washing and Destaining Solution (1 L)methanol 0.25 Lacetic acid 0.10 L蒸留水 0.65 L

洗浄・脱色液

methanol に CBBを溶解後、酢酸と水を加えてください。

銀染色や蛍光染色も可能です。

CBB染色液 Sol. K:CBB Staining Solution (0.5 L)Coomassie Brilliant Blue (CBB) 1.25 gmethanol 0.20 Lacetic acid 50 mL蒸留水 0.25 L

コードNo. 174-00553クイックCBBプラス(250mL)コードNo. 178-00551クイックCBBプラス(1 L)

注)Mn(NO3)2 や Mn(CH3COO)2のような他の陰イオン塩は使用しないでください。塩基性水溶液中で白色沈殿(Mn(OH)2)を生じ、次第に酸化されて褐色の(MnO(OH))になり、ゲルに色が着きます。また Mn2+ の機能も低下します。

※ 用時調製してください

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3.プロトコル

※ SDS は分離/濃縮ゲルに必ずしも加える必要はありません。SDS を含むゲルでは、タンパク質のバンドがブロードになったり、テーリングを起こすことがあります。

Resolving Gel Solution12% ポリアクリルアミドゲル、50μmol/L Phos-tag® アクリルアミドを 10mL作製する場合

TEMED(tetramethylethylenediamine)

蒸留水< 2分間脱気してください>

② 分離ゲルの作製ゲルは必ず用時調製してください。 Sol. A:30%(w/v)Acrylamide Solution

Sol. B:1.5 mol/L Tris/HCl Solution, pH 8.8Sol. E:5.0 mmol/L Phos-tag® SolutionSol. F:10 mmol/L MnCl2 SolutionSol. D:10%(w/v)SDS Solution

Sol. G:10%(w/v)Ammonium Persulfate Solution

③ 濃縮ゲルの作製 Stacking Gel Solution4.5% ポリアクリルアミドゲルを 10 mL 作製する場合

TEMED(tetramethylethylenediamine)

蒸留水 5.84 mL(1.17 mL)

0.10 mL (20μL)2.50 mL (0.50 mL)1.50 mL (0.30 mL)

10μL (2μL)*2)

< 2分間脱気してください>

Sol. A:30%(w/v)Acrylamide SolutionSol. C:0.50 mol/L Tris/HCl Solution, pH 6.8Sol. D:10%(w/v)SDS Solution

Sol. G:10%(w/v)Ammonium Persulfate Solution 20~50μL(4~10μL)*2)

 ※カッコ内は 2 mL 作製する場合

4.00 mL2.50 mL0.10 mL0.10 mL*1)

0.10 mL10 μL*2)

20~50μL*2)

3.14 mL

Resolving Gel Solution(3.0% ポリアクリルアミドゲル、0.5% アガロース、20 μmol/L Phos-tag® アクリルアミドを10 mL 作製する場合)

〈200-350 kDa の高分子りん酸化タンパク質を分離したい場合〉0.5%のアガロースで補強することにより、3-5%の低濃度ポリアクリルアミドを作製することができます。

TEMED(tetramethylethylenediamine)

蒸留水1.5%(w/v)Agarose H*3)*4)

アガロースが固まる前に素早くゲル作製台に流し込んでください。

②’アガロース入り低濃度分離ゲルの作製

Sol. A:30%(w/v)Acrylamide SolutionSol. B:1.5 mol/L Tris/HCl Solution, pH 8.8Sol. E:5.0 mmol/L Phos-tag® SolutionSol. F:10 mmol/L MnCl2 SolutionSol. D:10%(w/v)SDS Solution

Sol. G:10%(w/v)Ammonium Persulfate Solution

1.00 mL

2.50 mL0.04 mL0.04 mL*1)

0.10 mL10 μL*2)

50 μL*2)

2.93 mL3.33 mL

アガロース H(高強度タイプ)コードNo. 315-01203(1 g)コードNo. 319-01201(10 g)コードNo. 317-01202(25 g)

*3)アガロースは蒸留水を加えて電子レンジで完全に溶解させたものを熱いうちに加えてください。

*4) 必要に応じてピペットチップとゲル作製台を予め40-45℃に温めておいてください。

*1)MnCl2はPhos-tag®アクリルアミド濃度の2倍量(モル比)加えます。

*2)TEMEDとSol.Gは通常使用する濃度で問題ありません。上記の添加量は一例です。

Sol. E ( Phos-tag® Acrylamide Solution) とSol. A (Acrylaide Solution) の添加量は、条件検討が必要です。目的タンパク質ごとにPhos-tag®アクリルアミド濃度とアクリルアミド濃度の最適化を行ってください。 詳細は p.16 の「5.Phos-tag® SDS-PAGE の条件検討」をご参照ください。

ご注意

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[Ⅱ]Zn2+-Phos-tag® SDS-PAGE

④ サンプルの準備 1)サンプルを入れたマイクロ遠心チューブに Sol. I(サンプルバッファー)3μLを加え、蒸留水で全量が 9μLになるようにしてください。

2)95℃で 5分間加熱後、室温で冷ましてください。3)サンプル溶液(例 1.5μL/ウエル)をアプライしてください。※βーcaseinでは5~10μg/ウエルできれいなバンドが確認できます。

1)電気泳動装置を組み立て、容器を Sol. H(ランニングバッファー)で満たしてください。2)濃縮ゲルからコームを静かに抜き取り、ウエルにサンプルをアプライしてください。3)ゲル 1 枚あたり 30 mA の定電流をかけ、BPB が分離ゲルの底に届くまで電気泳動してください。2 枚の場合は 60 mA で泳動してください。※ウエスタンブロッティング、質量分析を行う場合は電気泳動後、p.12 をご参照ください。

⑤ 電気泳動

1)ゲルを Sol. J(固定液)50 mL に浸し、約10分間ゆっくりと振とうさせてタンパク質を固定します。

2)ゲルをSol. K(CBB 染色液)50 mLに浸し、ゆっくりと振とうさせて染色します(約2時間)。

3)ゲルをSol. L(洗浄・脱色液)50 mLに浸し、バックグラウンドが十分にクリアになるまで脱色します(50 mL×3回)。

4)ゲルの写真を撮影してください。

⑥ CBB染色と脱色

Stacking Gel Solution(3.0% ポリアクリルアミドゲル, 0.5% アガロースを10 mL(2 mL)作製する場合)

TEMED(tetramethylethylenediamine)蒸留水1.5%(w/v)Agarose H*3)*4)

アガロースが固まる前に素早くゲル作製台に流し込んでください。

③’アガロース入り低濃度濃縮ゲルの作製 Sol. A:30% (w/v) Acrylamide Solution

Sol. C:0.50 mol/L Tris/HCl Solution, pH 6.8Sol. D:10%(w/v)SDS Solution

Sol. G:10%(w/v)Ammonium Persulfate Solution

3.01 mL(602μL)3.33 mL(666μL)

0.10 mL (20μL)2.50 mL (0.50 mL)1.00 mL (0.20 mL)

10μL (2μL)*2)

50μL(10μL)*2)

分子量マーカーに関しては、「4.トラブルシューティング」や「7.Q&A」をご参照ください。

*2)*3)*4)

→前ページをご参照ください

銀染色や蛍光染色も可能です。

10 mmol/L Zn(NO3)2も使用できます。

TCA沈殿や透析処理などにより、不純物を除去することを強く推奨します。「4.トラブルシューティング」も併せてご参照ください。

NEW!※ゲルは作製から 3ヶ月使用できます

Mn2+-Phos-tag® SDS-PAGE は一般的な Laemmli のSDS-PAGE 法を適用しており、簡便ではあるものの、タンパク質によってはりん酸化/非りん酸化フォームを分離できない事例がありました。これに対して、中性 Bis-Tris ゲルの SDS-PAGE 系を用いる Zn2+-Phos-tag® SDS-PAGE はPhos-tag® が最も高いりん酸基補足能を示す中性 pH での電気泳動が可能であり、分離能が飛躍的に向上しています。

① 試薬の調製 :調製済みの試薬がございます。「10.関連製品・受託サービス」をご参照ください。

アクリルアミド溶液SDS 溶液Phos-tag®アクリルアミド溶液APS 溶液

塩化亜鉛溶液

Sol. A:

Sol. D :

Sol. E :

Sol. G :

30% (w/v) Acrylamide Solution (30% T, 3.3% C)

10% (w/v) SDS Solution

5.0 mmol/L Phos-tag® Solution containing 3% (v/v) methanol

10% (w/v) Ammonium Persulfate Solution

Sol. M : 10 mmol/L ZnCl2 Solution ※用時調整してください。ZnCl2 (MW: 136, 純度 98 % 以上)

[Ⅰ] Mn2+-Phos-tag® SDS-PAGEをご参照ください。

0. 70 g

蒸留水 500 mL注)ZnCl2 は潮解性なので新しいものを使用してください。溶液中に ZnO のような不純物が見られた場合は、 ろ過により除去してください。

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3.プロトコル

※用時調製してください

※ SDS は分離/濃縮ゲルに加える必要はありません。

Sol. N:1.4 mol/L Bis-Tris/HCl Solution, pH 6.8 (4x solution for resolving gel)Bis-Tris base (MW: 209, pKa = 6.5 at 20℃)

29.9 g

6.0 mol/L HCl (0.42 equivalent of Bis-Tris) 10 mL蒸留水で 100 mL にメスアップしてください。 【保存】:4℃

Running BufferSol. P:Running Buffer, pH 7.8 (5x solution) 100 mLSol. O:0.5 mol/L Sodium Bisulfite Solution 5 mL蒸留水で 500 mL にメスアップしてください。

~ 2分間脱気してください ~

ビストリス-塩酸溶液

Sol. P:Running Buffer, pH 7.8 (5x solution)Tris base (FW: 121, pKa = 8.2 at 20℃, 0.50 mol/L) 30.3 gMOPS (FW: 209, pKa = 7.2 at 20℃, 0.50 mol/L) 52.3 g

蒸留水で 500 mL にメスアップしてください。 pH 調整はしないでください。【保存】:4℃Sol. D:10% (w/v) SDS Solution (0.5% (w/v)) 25 mL

ランニングバッファー

Sol. O:0.5 mol/L Sodium Bisulfite SolutionNaHSO3 (FW: 106) 5.3 g

蒸留水で 100 mL にメスアップしてください。 【保存】:4℃( 空気に触れないよう保存してください)

亜硫酸水素ナトリウム溶液

Resolving Gel Solution(12% アクリルアミド、50 μmol/L Phos-tag® アクリルアミド、100 μmol/L ZnCl2 ゲルを10 mL 作製する場合)

TEMED(tetramethylethylenediamine)

蒸留水

Sol. A:30% (w/v) Acrylamide SolutionSol. N:1.4 mol/L Bis-Tris/HCl Solution, pH 6.8Sol. E:5.0 mmol/L Phos-tag® SolutionSol. M:10 mmol/L ZnCl2 Solution

4.00 mL

2.50 mL0.10 mL0.10 mL*1)

Sol. G:10% (w/v) Ammonium Persulfate Solution 50 μL*2)

10 μL*2)

3.24 mL

~ 2分間脱気してください ~

Stacking Gel Solution(4.5% アクリルアミドゲルを 10 mL (2 mL)作製する場合  ※カッコ内は 2 mL 作製する場合)

TEMED(tetramethylethylenediamine)

蒸留水

Sol. A:30% (w/v) Acrylamide SolutionSol. N:1.4 mol/L Bis-Tris/HCl Solution, pH 6.8

1.50 mL (0.30 mL)

2.50 mL (0.50 mL)

Sol. G:10% (w/v) Ammonium Persulfate Solution 50 μL (10 μL)*2)

10 μL (2 μL) *2)

5.94 mL (1.19 mL)

*1)ZnCl2はPhos-tag® アクリルアミドの2倍量(モル比)を加えます。

*2) TEMED と Sol.Gは通常使用する濃度で問題ありません。上記の添加量は一例です。

Sol. E ( Phos-tag® Acrylamide Solution) とSol. A (Acrylaide Solution) の添加量は、条件検討が必要です。目的タンパク質ごとにPhos-tag®アクリルアミド濃度とアクリルアミド濃度の最適化を行ってください。 詳細は p.16 の「5.Phos-tag® SDS-PAGE の条件検討」をご参照ください。

「サンプル調製」、「電気泳動」、「CBB染色・脱色」は [Ⅰ] Mn2+-Phos-tag® SDS-PAGE の項目をご参照ください。タンパク質によってはバンドのスマイリングが見られることがあります。原因のひとつとして、タンパク質の金属配位子(チオール基、イミダゾール基、カルボキシル基など)の影響による Phos-tag® 分子からの Zn2+の解離が考えられます。サンプルバッファー中に終濃度 1mM 程度の ZnCl2 を加えると、スマイリングが改善され、分離能が向上します。

ご注意

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<200 kDa 以上の高分子りん酸化タンパク質を分離したい場合>

① セミドライ式を使用の場合

■Phos-tag® SDS-PAGE 後の解析◆ ウエスタンブロッティング

Phos-tag® SDS-PAGE ゲルではメンブレンに転写する際に、りん酸化フォームの転写効率が著しく低下する性質があります。 転写効率向上ため、 EDTA による Mn2+ / Zn2+ の除去が必要です。転写装置の種類に応じて下記の操作を行ってください。p.14もご参照ください。

◆ 質量分析電気泳動後、銀染色や CBB 染色を行い、通常のゲル内消化プロトコルに従ってサンプル調製を行ってください。EDTA 処理など操作は特別に必要ありません。

通常の [Ⅱ] Zn2+-Phos-tag® SDS-PAGE では分離 / 濃縮ゲルに Bis-Tris を用います。 Bis-Tris は TEMEDに構造が似ているため、ラジカルクエンチャーとして作用します。その結果、低濃度ポリアクリルアミドゲル(5% 未満)では分子ふるい効果が失われ、バンドがスメアになってしまいます。3 % や 4 % の低濃度ポリアクリルアミドで Zn2+-Phos-tag® SDS-PAGE を行う場合は、Bis-Tris の代わりに 下記組成の Tris-AcOH ゲルを作製してください([Ⅰ]-③’ 「アガロース入り低濃度ゲルの作製」も合わせてご参照ください)。200 kDa 以上の高分子タンパク質におすすめです。

組 成 Tris-AcOH ゲル Bis-Tris ゲル

泳動バッファー

濃縮/分離ゲルバッファー

サンプルバッファー

ゲル濃度

・50mM Tris・50mM Tricine

・200mM Tris-AcOH (pH 7.0)

・通常の Laemmli 系

・3~4 % ポリアクリルアミド + 0.5 % アガロース

・通常の Laemmli 系

・≧ 5 % ポリアクリルアミド

・357mM Bis-Tris-HCl (pH 6.8)

・0.1%(w/v) SDS・5.0mM Sodium Bisulfite

・100mM Tris・100mM MOPS

・0.1%(w/v) SDS・5.0mM Sodium Bisulfite

1) 電気泳動後、ゲルを1-10 mmol/L EDTA を含む転写バッファーに浸し、ゆっくりと振とうしてください(10分間×1-3回)。※ EDTA 濃度、処理時間、EDTA 入りバッファーの交換回数は一例です。必要に応じてご検討ください。※ EDTA 入りバッファー処理はゲルの厚さなどによって変えてください(例.1.5 mm 厚:20 分×2 回)。

2) 次にゲルを EDTA を含まない転写バッファーに浸し、ゆっくりと振とうさせてください(10 分間×1 回)。※ 時間や温度などのブロッティング条件は、目的りん酸化タンパク質ごとに必ず最適化を行ってください。

② タンク(ウェット)式を使用の場合0.1 % SDS を含む転写バッファーを使用してください。タンク式の場合は、SDS を含む転写バッファーを用いれば EDTA 処理は省略しても、問題ありません。タンパク質がメンブレンを抜けてしまうことがありますのでご注意ください。SDS 濃度の最適化は 0.05~0.2 % の間で行ってください。

高濃度 Zn2+-Phos-tag® ゲル(例.100 μM Phos-tag® )の場合、EDTA 処理をしても十分な転写効率が得られないことがあります。 その場合はタンク式を使用してください。

ご注意

コードNo. 019-25111アクアブロット™ 10×トリス -グリシン -SDS 転写バッファー(1 L, 0.05% SDS)

コードNo. 299-58901銀染色MSキット( 20 テスト )

電気泳動後のゲル(金属イオン含む)

金属イオンを除いたゲル

PVDF 膜へ転写10 分 × 1 回10 分 × 1~3 回

1-10 mM EDTA 入り転写バッファーでゆっくりと振とう

EDTA を含まない転写バッファーでゆっくりと振とう

(金属イオンの除去)

タンパク質

重 要

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3.プロトコル

3.プロトコル

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4. トラブルシューティング

1

1. 他社プレステインマーカー2. β-casein3. β-casein

* TCA沈殿後の再溶解は下記サンプル バッファーを推奨しています。•尿素入り 1× サンプルバッファー(組成例:65 mM Tris-HCl(pH 6.8),2.0% LDS(lithium lauryl sulfate),100 mM DTT, 10% glycerol,0.01% BPB, 6 M 尿素) ※加熱処理はしないでください。

•2 ×サンプルバッファー** 粘性の原因となるDNAを切断するためです。*** 少量サンプル用の透析ツールなどをご検討 ください。(例. Tube-O-DIALYZER®→ 詳細は p.30)

2 3

4.トラブルシューティング4.トラブルシューティング

■はじめに ~成功のカギは「サンプル調製」~

■よくあるトラブルシューティング(原因と対処法)

泳動の結果はサンプルの状態に大きく左右されます。下記のことに留意してサンプルを調製してください。

●影響のある物質の混入:特に EDTA は絶対に避けてください。市販の阻害剤カクテルやバッファー類に含まれていることもありますのでご確認ください。培地成分も除去してください。●試料の状態:オーバーコンフルエントになった細胞のライセートなど、粘性の高いサンプルは避けてください ( 希釈してもあまり改善しません )。●サンプルのバッファー組成の統一:ゲルにアプライする各サンプルのバッファー組成に差が出ないようにしてください。特にホスファターゼ処理を行ったサンプルやマーカーを用いる場合はご注意ください。キレート剤や界面活性剤のほか、MnCl2 や ZnCl2 の濃度も影響します。

うまく行かないときは上記を留意してサンプルの再調製をおすすめします。

バンドが歪む

サンプルにEDTAなどのキレート剤、バナジン酸、無機塩類、

界面活性剤などが混入している

(キレート剤が原因の場合)プレステインマーカーは使用せず、サンプルに1mM のMnCl2 または

ZnCl2 を加えてください

TCA 沈殿*、透析***などによりサンプルを調製してください

バッファー類、阻害剤カクテルなどの組成をご確認ください

サンプルに粘性がある

サンプルが酸性になっている

空レーンがある・レーン間で濃度勾配がある

サンプルバッファーを加えた後、色が黄色~オレンジ色の場合は、1 M Tris を加えて、中和(青紫) に

してください

空レーンにはサンプルと同量の1×サンプルバッファーをアプライし、

レーン間の濃度勾配を無くしてください

十分にボイルし** (例. 10 min)、サンプルを再調製してください。オーバーコンフルエントの細胞を用いると粘性が出ます。希釈しても

改善は期待できません

〈問題点〉 〈考えられる原因〉 〈対処法〉

キレート剤などを含むプレステインマーカーはバンドが歪み、隣のサンプルレーンにも影響があります。

遠心チューブ型透析ツールTube-O-DIALYZER®

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下記の方法もご検討ください•電流を強くする(例 200 mA)。

〈問題点〉 〈考えられる原因〉 〈対処法〉

バンドがスメアになる

電気泳動中の温度が高い

目的タンパク質の移動度が大きすぎる

(移動度が大きいとスメアになる)

MnCl2 または ZnCl2 が十分に除去できていない*

ゲルが固い

Zn2+-Phos-tag® が高濃度(例.100 μM)

低電流・長時間の条件で電気泳動を行ってください

低温室で電気泳動を行ってください

目的タンパク質の検出位置がゲルの上半分になるようゲル濃度を調製してください

EDTA 処理時間を長くし、EDTA入りバッファーの交換回数を

増やしてください

EDTA 処理の際に強めにシェイクしてください

アクリルアミド濃度を下げてください

転写バッファーのメタノール濃度を下げてください

EDTA 入り転写バッファーに0.5 - 2% SDS を加えてください

メンブレンへの転写がうまくいかない

① ② ③ ④

① EDTA処理なし② 1 mM EDTA 10分×2回③ 10 mM EDTA 10分×1回④ 10 mM EDTA 10分×2回

【サンプル】 ワイドビュー™ プレステインタンパク質サイズマーカーⅢ (コードNo. 230-02461等)【ゲ  ル】 スーパーセップ™ Phos-tag® (50μmol/l), 12.5%, 13 ウェル(コードNo.196-16701)

* EDTA 処理を行わないと転写効率が著しく低下します(①と②③④の比較より)。 まずは1-10 mM EDTA で10分×2回で行うことをおすすめします。 特に処理時間とEDTA入りバッファーの交換回数が重要です。

セミドライ式による転写後のメンブレン

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コードNo. 200-17071トリシン泳動用緩衝液(×10)(1 L)

4. トラブルシューティング

分離能が低い アクリルアミド濃度、Phos-tag® 濃度が最適でない

〈問題点〉 〈考えられる原因〉 〈対処法〉

条件検討を行い、最適化してください

(詳細は p.16 「5.Phos-tag®SDS-PAGE の条件検討」を

ご参照ください)

下記の方法もご検討ください•ゲル中のPhos-tag® アクリルアミドに対する金属イオン(MnCl2 またはZnCl2)のモル比を大きくする(例. 1:4)。

•Tris-Tricine バッファーをランニングバッファーとして使用する。•(Mn2+-Phos-tag® SDS-PAGEの場合)Zn2+-Phos-tag® SDS-PAGEを検討する。•試薬を新しく調整する。

■その他のトラブルシューティング◆ 免疫沈降サンプルでりん酸化フォームが得られないモノクローナル抗体を使用するとエピトープとりん酸化部位が重複し、りん酸化フォームが得られないことがあります。目的タンパク質を免疫沈降により精製するときはポリクローナル抗体の使用をおすすめします。

◆ サンプルの状態がおかしい細胞ライセート調製の際に、PBS で Wash するとりん酸化の状態に影響を与える可能性があります。培地を除去後、直ちに TCA を加えてください。

◆ゲルに問題があるのか、サンプルに問題があるのか判断できないポジティブコントロールとして、りん酸化 α-カゼインと脱りん酸化 α-カゼインの混合物を製品化しております (コードNo. 038-23221、α-カゼイン , ウシ乳由来 , 脱りん酸化, 1 mg)。本製品をサンプルとし、通常のSDS-PAGEも同時に行ってください。

◆ Phos-tag® アクリルアミドが溶けないメタノールおよび水を加えた後、40℃程度に温める、超音波洗浄機につける、などすると溶けやすくなります。

◆ レーンによって分離能、泳動速度にばらつきがあるサンプルによって、 Phos-tag® 活性に関わる物質の濃度が大きく異なっている可能性があります(EDTA、Mn2+、Zn2+など)。 サンプル間で濃度に差が出ないように調製してください。

◆ タンパク質が拡散してしまう定電流の長時間泳動は過剰な発熱によりタンパク質の分解および拡散の原因になります。下記の方法をご検討ください。①定電流で泳動したい場合: 低温室で泳動する、使用直前まで泳動バッファーをよく冷やしておく、泳動槽に保冷剤を巻く(氷は感電する恐れがあるので使用しないでください)などをご検討ください。②定電圧でもよい場合: 定電圧(例 200 V)で泳動してください。泳動速度は遅くなりますが、熱の発生は抑えられます。

◆ ゲルが壊れやすいゲル濃度に応じて下記の方法をご検討ください。①ゲル濃度が5%以上の場合:ビスアクリルアミドの割合を上げることにより、ゲルの強度をあげてください(例.24:1)。 ②ゲル濃度が5%未満の場合:アガロースによるゲルの補強をご検討ください。詳細は「3. プロトコル」の[Ⅰ]-②’③’、p.12の「Tris-AcOHゲル」をご参照ください。

◆ 染色の際にバックグラウンドが高くなるウエスタンブロッティングと同様にEDTA 処理によりゲル中の金属イオンを除去してから染色してください。

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5.Phos-tag® SDS-PAGE の条件検討

次に、 Phos-tag®アクリルアミドの濃度を検討します。低濃度から高濃度の順に試すことをおすすめします。 

① アクリルアミド濃度の検討

② Phos-tag®アクリルアミド濃度の検討

アクリルアミドの濃度を検討します。通常の SDS-PAGE で目的タンパク質がゲルの先端まで泳動されるアクリルアミド濃度を決定してください*。同じアクリルアミド濃度でも、Phos-tag®アクリルアミドを加えるとバンドが全体的に上にシフトします(非りん酸化タンパク質も同様です)。そのため、通常の SDS-PAGE で一番下にくる濃度を検討することで、高い分離能で、きれいなデータが得られます(下図参照)。Phos-tag®が高濃度であるほど泳動速度は遅くなります。

*:泳動時間は、その指標となる BPB 色素(サンプルバッファーに含まれる色素)がゲルの先端に泳動されるまでとしてください(BPB の泳動度:Rf=1)。また、目的タンパク質の泳動度 Rf 値が 0.9 ~ 0.8 の範囲内になるようにアクリルアミド濃度の至適濃度を決定して下さい。

【細胞ライセート】サンプルが細胞ライセートなどの場合は、まずは Phos-tag® アクリルアミド濃度を 20 μM と低めの濃度から検討を行い、 100 μM まで濃度を上げ、りん酸化フォームと非りん酸化フォームの移動度の差が大きくなる濃度に設定してください。

(情報提供:香川大学 農学部 応用生物科学科 杉山康憲 先生)

←目的タンパク質のバンド

SDS-PAGEPhos-tag®SDS-PAGE

例)10% ゲルの場合

Ⓟ Ⓟ

  60 kDa 以上:6%ゲル、60 kDa 以下:8%ゲル目 安

<高分子量のタンパク質の場合>アクリルアミド濃度が4% 以下の場合、アガロースを加えてゲル強度を上げる方法があります。350kDa の分離実績があります。「7.Q&A」の【分離】をご参照ください。また、N, N’‒メチレンビスアクリルアミドの割合を上げることでゲル強度を上げることもできます。例 5%アクリルアミド(24:1)。

Phos-tag®SDS-PAGE では、アクリルアミドの濃度と Phos-tag®アクリルアミドの濃度を最適化することで、より良いデータを得ることができます。①→②の順に検討することをおすすめします。

例)20μM→50μM→100μM

Phos-tag® 濃度と分離能・移動度の関係一般に分離能はPhos-tag®が高濃度のほうが良くなります。しかし、高濃度では非りん酸化タンパク質も含めて泳動も遅くなるため、同じ電気泳動時間では、結果的に低濃度のほうが分離能が良くなることもあります。結果はタンパク質の種類に依存します。 Phos-tag®濃度の検討は低濃度から行うことをおすすめします。

0 μM 50 μM

Mn2+-Phos-tag®0 50 100150

Zn2+-Phos-tag®10 μM

A : β-casein, B: Ovalbumin, C: Pepsin, M: Marker+ : りん酸化タンパク質(A: 5ヶ所, B: 2ヶ所, C: 1ヶ所)‒ : 脱りん酸化タンパク質(アルカリホスファターゼ処理)

【Phos-tag® 濃度と分離能】 【Phos-tag® 濃度と移動度】

Phos-tag® 濃度 →

μ

Phosphorylase b(97.2 kDa)

Carbonic Anhydrase (29.0 kDa)

Trypsin Inhibitor (20.1 kDa)

BSA(66.4 kDa)

Ovalbumin(りん酸化,45.0 kDa)

μM

高 分離能 高 Phos-tag® 濃度 →高 移動度 低

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6.アプリケーションデータと参考文献

6.アプリケーションデータと参考文献

■アプリケーションデータ

アプリケーションデータと参考文献6.

Phos-tag® を推薦します 東京大学大学院医学系研究科 小川覚之Phos-tag® は、サンプルの種類や研究の目的にあわせて応用のきく、大変便利な試薬です。in vitro assay サンプルはもとより、in vivo サンプルのりん酸化状態も定量的に解析できます。Phos-tag® SDS-PAGEは通常の電気泳動を応用したもので、特別な装置を購入する必要がなく、コストパフォーマンスの良い試薬とも言えます。抗りん酸化抗体やRIといった多くの試薬が必要だったこれまでのりん酸化研究が、Phos-tag® によって大きく前進するでしょう。

約40 kDaのタンパク質をリン酸化するキナーゼを探索するために、キナーゼアッセイしたサンプルをPhos-tag SDS-PAGE で分離した。リン酸化していないサンプル(NC)と比較して、他のサンプルでは反応するキナーゼの種類によってリン酸化/非リン酸化の量比、リン酸化の程度やpopulation の分布などが異なることなど、少ないサンプル量から多くの情報を得ることができた。この情報を足掛かりとして質量分析などを用いたより詳細な分析を行い、各キナーゼによる特異的なリン酸化部位を明らかにできた。(参考文献:Ogawa T, Hirokawa N. Cell Rep. 2015 Sep 22; 12(11): 1774-88)

NCNC:Negative Control

リン酸化タンパク質(赤矢印)(40KDa)

非リン酸化タンパク質(黒矢印)

7.5% acrylamide, 75μM Phos-tag® acrylamide, 150μM Zn(NO3)2

BSA▲

各種Kinaseと反応

Phos-tag®アクリルアミド、スーパーセップ™ Phos-tag®をご使用いただいているお客様のご感想をご紹介いたします。東京大学の小川覚之先生にコメントとキナーゼアッセイしたサンプルを Phos-tag® SDS-PAGE で分離したデータをいただきました。また、横浜市立大学の木村先生には 2次元電気泳動への応用データを、香川大学の杉山先生、理化学研究所の細川先生、東京大学の榎本先生、日本医科大学の中嶋先生にはウエスタンブロッティングへの応用データをいただきました。

5.Phos-tag

® SDS-PAGE の

条件検討

②2次元 電気泳動への応用:hnRNP K のアイソフォームのりん酸化解析LPSで刺激したマウスマクロファージ様細胞株J774.1細胞の核抽出液から免疫沈降によりhnRNP K を分離し、1次元目にIPGストリップゲル(pH 4.7-5.9)、2次元目に Phos-tag® SDS-PAGEを用いてhnRNP Kのアイソフォーム(66 kDa,64 kDa)を分離した。それぞれのスポットについては質量分析装置を用いてアイソフォームや修飾部位を同定した。

【データ掲載論文】Characterization of multiple alternative forms of heterogeneous nuclear ribonucleoprotein K by phosphate-affinityelectrophoresis. Y Kimura, K Nagata, N Suzuki, R Yokoyama, Y Yamanaka, H Kitamura, H Hirano, and O Ohara,Proteomics, Nov 2010; 10(21): 3884-95.【データ提供】 横浜市立大学 生命ナノシステム科学研究科 生体超分子システム科学専攻 木村弥生 先生、平野久 先生

理化学研究所 RCAI 小原收 先生

2次元電気泳動

Isoform 1

Isoform 3Isoform 2

Isoform 4

p-Ser116/p-Ser284(スポット1,2)

p-Ser116(スポット3,4,5,6)

p-Ser284(スポット7,8)

非りん酸化フォーム(スポット9,10,11,12)

りん酸化フォーム

25 μM Mn2+-Phos-tag® Acrylamide, 7.5% ポリアクリルアミドゲル

酸性 1st:等電点電気泳動 塩基性

2nd :Phos-tag® SDS-PAGE

※各 Isoform はスプライシングバリアントに由来Isoform 1,3:C末端がSGKFFIsoform 2,4:C末端がADVEGFIsoform 3,4:exon が1つ少ない

hnRNP K:ヘテロ核リボヌクレオタンパク質 K

同じ等電点で異なるりん酸化状態のスポットをアイソフォームごとに検出できた!(例.スポット6と8, 4と7)

①Phos-tag® SDS-PAGEによるりん酸化/非りん酸化タンパク質の比較

Phos-tag® SDS-PAGEによるりん酸化/非りん酸化タンパク質の比較

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③Dnmt1をりん酸化させるキナーゼを含むフラクションの決定

④Ala 置換変異体を使用したCdk5活性化サブユニットp35 のりん酸化部位の探索Cdk5:サイクリン依存性キナーゼ5

Dnmt1:DNA メチルトランスフェラーゼ

【データ掲載論文】The DNA-binding activity of mouse DNA methyltransferase 1 is regulatedby phosphorylation with casein kinase 1delta/epsilon. Y. Sugiyama, N. Hatano, N. Sueyoshi, I. Suetake, S. Tajima, E.Kinoshita, E. Kinoshita-Kikuta, T. Koike, and I. Kameshita Biochem J, May 2010; 427(3): 489-97.【データ提供】 香川大学 農学部 応用生物科学科 杉山康憲 先生

香川大学 農学部 応用生物科学科 動物機能生化学研究室 亀下勇 先生

【データ掲載論文】Quantitative Measurement of in Vivo Phosphorylation States of Cdk5 Activator p35 by Phos-tag SDS-PAGE.T. Hosokawa, T. Saito, A. Asada, K. Fukunaga, and S. Hisanaga, Mol. Cell. Proteomics, Jun 2010; 9: 1133 - 1143.【データ提供】理化学研究所 脳科学総合研究センター 回路機能メカニズムコア 記憶メカニズム研究チーム 細川智永 先生

首都大学東京 理工学研究科 生命科学専攻 神経分子機能研究室 久永眞市 先生

p35 の既知りん酸化部位 Ser8、Thr138について、3つの Ala 置換変異体を作製し(Ser8:S8A、Thr138:T138A、 Ser8 と Thr138:2A)。これらと wild-type p35 を Cdk5 またはキナーゼ活性を持たない kinase-negative Cdk5と COS-7 細胞で共発現させ、細胞抽出液を Phos-tag® SDS-PAGE を用いたウエスタンブロッティングで検出した(検出:抗 p35 抗体)。

目的のキナーゼを含むフラクションを決定できた!

りん酸化部位とバンドシフトの関係が明確に示された!

ウエスタン

ウエスタン

りん酸化バンド

Wash

GST-Dnmt1(1-290)をりん酸化させるキナーゼを含むフラクション

20 μM Mn2+-Phos-tag® Acrylamide,6% ポリアクリルアミドゲル

Input

Pass

非りん酸化バンド

1 M NaCl0.3 M NaCl

①マウス脳抽出液からアフィニティークロマトによりGST-Dnmt1(1-290)結合タンパク質を得た。

② DNA-celluloseカラムに通し、0.3 Mおよび 1 M NaCl により溶出した。③ GST-Dnmt1(1-290)を基質として各フラクション中の in vitroキナーゼアッ

セイを行った。④ Phos-tag® SDS-PAGEを用いたウエスタンブロッティングにより、フラクション

中のキナーゼ活性をシフトバンドにより確認した。 (検出:抗マウスDmnt1(72-86 抗体))

レーン1(L2, L4), 5(M1):Cdk5によりp35はりん酸化される。

レーン1(L2, L4), 3(L2, L4):半分程度のp35はkinase-nagat ive Cdk5でもThr138がりん酸化され、Thr138はCdk5以外のキナーゼでもりん酸化される。

レーン5(M1), 6(L3, L4):Ser8とThr138が主なりん酸化部位である。

レーン5(M1), 7(L1, L2), 8(M2):M1はSer8, Thr138がりん酸化部位である。M2はSer8のみがりん酸化部位である。L1, L2はThr138のみがりん酸化部位である。

※L1, L3のX:未同定※L4:非リン酸化p35

りん酸化p35

M1(pSer8/pThr138)M2(pSer8)

kinase-negativeCdk5

P35

wild-type

WT 2A S8AT138AWT 2A S8

AT138A

L1(pThr138/X)L2(pThr138)L3(X)L4(非りん酸化)

1 2 3 4 5 6 7 8

非りん酸化p35

100 μM Mn2+-Phos-tag® Acrylamide, 7.5% ポリアクリルアミドゲル

詳説はウェブセミナーからどうぞ!「DNAメチルトランスフェラーゼ1をリン酸化するプロテインキナーゼの同定」

https://www.youtube.com/watch?v=Ks7qlzRKHx4&feature=youtu.be

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6.アプリケーションデータと参考文献

6.アプリケーションデータと参考文献

【データ掲載論文】Noxa determines localization and stability of MCL-1 and consequently ABT-737 sensitivity in small cell lung cancer.Wataru Nakajima, Mark A. Hicks, Nobuyuki Tanaka, Geoffrey W. Krystal, and Hisashi HaradaCell Death and Disease (2014) 5, e1052; doi:10.1038/cddis.2014.6【データ提供】 日本医科大学 先端医学研究所 遺伝子制御部門 中嶋 亘 先生

⑤野生型/変異型 Noxa 発現下での MCL-1 のりん酸化レベルの変化野生型(Wt)および変異型(3E, KR, 5A)の Noxa を 肺小細胞癌細胞株 H209 細胞で発現させ、さらに細胞質(Cytosol)分画および HM (Heavy Membrane, ミトコンドリアを多く含む)分画に分けた。これらのサンプル中の MCL-1(40 kDa)を Phos-tag® SDS-PAGE で分離し、抗 MCL-1 抗体を用いたウエスタンブロッティングで検出した。

野生型およびKR変異型のNoxaを発現させたH209細胞では、ミトコンドリアでMCL-1のりん酸化レベルが上がることがわかった!

X線照射により、p53の蓄積は4時間後にピークになることが、プロテインXはりん酸化状態が経時変化することがわかった!

ウエスタン

⑥p53 およびプロテインXのX 線照射後のりん酸化状態の経時変化ヒト肺ガン由来 Lu99 細胞に X 線 (5Gy) を照射し、経時的に 細胞を回収した。細胞抽出液を調製し、スーパーセップ™ Phos-tag® (50μmol/l), 10%, 13 ウェルを用いて SDS-PAGE を行った。 ゲルを 10 mM EDTA を含むトランスファーバッファーで振とう後、 PVDF 膜へ転写した。メンブレンは、 2% Milk/TBS-T でブロッキングした後、一次抗体と反応させた(上段: p53, 下段:細胞周期関連タンパク質 プロテインX)。 検出は化学発光試薬を用いて行った。

ウエスタン

25 μM Mn2+-Phos-tag® Acrylamide, 10%ポリアクリルアミドゲル

Cytosol

- WtNoxa

野生型 Noxa

MCL-1

p53

プロテインX

Time after X-irradiation

3E 5A

Cytosol

- Wt KR

HM

- Wt KR

HM

- Wt 3E 5A

スーパーセップ™ Phos-tag®使用データ

りん酸化バンド

非りん酸化バンド

BH3Wt

3E E E EKR5A AA AAA

MPGKKARKNAQPSPARAPAELEVECATQLRRFGDKLNFRQKLLNLISKLFCSGT

RR R R R R

1 54

変異型 Noxa

MTD

MTD:mitochondrial targeting domain

スーパーセップ™ Phos-tag® (50μmol/l), 10%, 13 ウェル

- 1 2 4 6 8 (h)

バンドシフト

【データ提供】 東京大学医学系研究科 疾患生命工学センター 放射線分子医学部門 榎本 敦 先生

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Phos-tag® 試薬● Matrix-assisted laser desorption/ionization time-of-flight mass spectrometry of phosphorylated compounds using a novel phosphate capturemolecule, Rapid Communications of Mass Spectrometry, 17, 2075-2081 (2003), H. Takeda, A. Kawasaki, M. Takahashi, A. Yamada, andT. Koike

● Phosphate-binding tag: A new tool to visualize phosphorylated proteins, Molecular & Cellular Proteomics, 5, 749-757 (2006), E. Kinoshita,E. Kinoshita-Kikuta, K. Takiyama, and T. Koike

● Separation and detection of large phosphoproteins using Phos-tag SDS-PAGE, Nature Protocols, 4, 1513-1521 (2009), E. Kinoshita, E.Kinoshita-Kikuta, and T. Koike

Mn2+-Phos-tag® SDS-PAGE● Spatial regulation of Fus3 MAP kinase activity through a reaction-diffusion mechanism in yeast pheromone signalling, Nat. Cell Biol.,9 ,1319-1326 (2007),C. I. Maeder et.al. M. A. Hink, A. Kinkhabwala, R. Mayr, P. I. H. Bastiaens and M. Knop

● Regulation of PKD by the MAPK p38d in Insulin Secretion and Glucose Homeostasis, Cell, 136, 235-248 (2009), G. Sumara, I. Formentini,S. Collins, I. Sumara, R. Windak, B. Bodenmiller, R. Ramracheya, D. Caille, H. Jiang, K. A. Platt, P. Meda, R. Aebersold, P. Rorsman, and R.Ricci1

● Dbf4-Dependent Cdc7 Kinase Links DNA Replication to the Segregation of Homologous Chromosomes in Meiosis I, Cell, 135, 662-678(2008) J. Matos, J. J. Lipp, A. Bogdanova, S. Guillot, E. Okaz, M. Junqueira, A. Shevchenko, and W. Zachariae

● Kinome Profiling in Pediatric Brain Tumors as a New Approach for Target Discovery, Cancer Res., 69, 5987‒5995 (2009) , A. H. Sikkema,S. H. Diks, W. F.A. den Dunnen, A. ter Elst, F. J.G. Scherpen, E. W. Hoving, R. Ruijtenbeek, P. J. Boender, R. de Wijn, W. A. Kamps, M. P.Peppelenbosch, and E. S.J.M. de Bont

● Regulation of mitochondrial transport and inter-microtubule spacing by tau phosphorylation at the sites hyperphosphorylated in Alzheimer'sdisease, J Neurosci., 32, 2430-2441 (2012), K.Shahpasand, I. Uemura, T.Saito, T.Asano, K.Hata, K.Shibata, Y.Toyoshima, M.Hasegawa,S.Hisanaga

● The Hsp90 Kinase Co-chaperone Cdc37 Regulates Tau Stability and Phosphorylation Dynamics, J. Biol. Chem., 286, 16976 ‒ 16983(2011)., Umesh K. Jinwal, Justin H. Trotter, Jose F. Abisambra, John Koren, III, Lisa Y. Lawson, Grant D. Vestal, John C. O'Leary, III, AmeliaG. Johnson, Ying Jin, Jeffrey R. Jones, Qingyou Li, Edwin J. Weeber, and Chad A. Dickey

● PINK1-Phosphorylated Mitofusin 2 Is a Parkin Receptor for Culling Damaged Mitochondria, Science, Apr 2013; 340: 471 - 475., Yun Chenand Gerald W. Dorn, II

● Parkin-mediated mitophagy directs perinatal cardiac metabolic maturation in mice, Science, Dec 2015; 350: aad2459., Guohua Gong,Moshi Song, Gyorgy Csordas, Daniel P. Kelly, Scot J. Matkovich, and Gerald W. Dorn, II

Zn2+-Phos-tag® SDS-PAGE● Phosphorylation of Phytochrome B Inhibits Light-Induced Signaling via Accelerated Dark Reversion in Arabidopsis, PLANT CELL, Feb2013; 25: 535 - 544., Mátyás Medzihradszky, János Bindics, Éva Ádám, András Viczián, Éva Klement, Séverine Lorrain, Péter Gyula,Zsuzsanna Mérai, Christian

● MAPK feedback encodes a switch and timer for tunable stress adaptation in yeast, Sci. Signal., Jan 2015; 8: ra5., Justin G. English, JamesP. Shellhammer, Michael Malahe, Patrick C. McCarter, Timothy C. Elston, and Henrik G. Dohlman

● Mechanism of Activity-Dependent Cargo Loading via the Phosphorylation of KIF3A by PKA and CaMKIIa., Neuron. 2015 Sep 2; 87(5):1022-35., Ichinose S, Ogawa T,and Hirokawa N.

● Microtubule Destabilizer KIF2A Undergoes Distinct Site-Specific Phosphorylation Cascades that Differentially Affect Neuronal Morphogen-esis, Cell Reports, 2015 Sep 22; 12(11):1774-88

スーパーセップ™ Phos-tag®●A laborsaving, timesaving, and more reliable strategy for separation of low-molecular-mass phosphoproteins in Phos-tag affinity electrophore-sis. Int. J. Chem. 4, 1‒8 (2012), Kinoshita-Kikuta, E., Kinoshita, E., and Koike, T.

●In vivo collective cell migration requires an LPAR2-dependent increase in tissue fluidity, J. Cell Biol., Jul 2014; 206: 113 - 127., SeiKuriyama, Eric Theveneau, Alexandre Benedetto, Maddy Parsons, Masamitsu Tanaka, Guillaume Charras, Alexandre Kabla, and RobertoMayor

● DNA replication and spindle checkpoints cooperate during S phase to delay mitosis and preserve genome integrity, J. Cell Biol., Jan 2014;204: 165 - 175., Maria M. Magiera, Elisabeth Gueydon, and Etienne Schwob

0

2004年2005年2006年2007年2008年2009年2010年2011年2012年2013年2014年2015年

1006

200

300

400

3 7 18 3667 81

130183

240283

370

Google Scholar 調べ※特許・引用部分は含まず

■参考文献

■Phos-tag® 使用文献数の推移

検索 Phos-tag

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6.アプリケーションデータと参考文献

6.アプリケーションデータと参考文献

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7.Q&A

7.Q&A7.Q&A■Phos-tag®アクリルアミド

Phos-tag® 20 μM 50 μM 100 μM

0.3 mL 包装(0.9 mg )

約 9枚 約 4枚 約 2枚

2 mg 包装 約 20枚 約 8枚 約 4枚

10 mg 包装 約 100枚 約 40枚 約 20枚

スーパーセップ™Phos-tag® ー 5枚入り ー

定 量Q. りん酸化タンパク質の定量は可能か?A. 定量性のある染色剤(CBBなど)により、バンドの濃さから定量することができます。

分 離Q. 何 kDa までのタンパク質を分離できるのか?A. 350 kDa のりん酸化タンパク質の分離実績があります。低濃度のアクリルアミドにアガロースを加えるなどしてください。詳細は「3. プロトコル」の [Ⅰ]-②’,③’、p.12 の「Tris-AcOHゲル」をご参照ください。(例 . 20 μM Phos-tag® アクリルアミド, 3% アクリルアミド+0.5% アガロース)文献:Proteomics, 9, 4098-4101(2009), E. Kinoshita, E. Kinoshita-Kikuta, H. Uchijima, and K. Koike

Phos-tag® アクリルアミド溶液の使用期限Q. メタノールと蒸留水に溶解した後、どのくらい保存可能か?A. 冷蔵・遮光保存で1年間は安定です。

染 色Q. ゲルの染色は、CBB以外は可能か?A. 可能です。ネガティブ染色、銀染色、蛍光染色ができます。

使用回数Q. ゲル何枚分なのか?A. 使用濃度によって異なります。右表をご参照ください。※ 厚さ1mm, 幅 9cm, 長さ 7.7cmのゲルの場合

ゲルの使用期限Q. Phos-tag® 入りゲルは作製後、保存可能か?A. Mn2+-Phos-tag® SDS-PAGE ゲルは保存できません。ゲルは作製後、その日のうちにご使用ください。Zn2+-Phos-tag® SDS-PAGE ゲルは冷蔵で3ヶ月保存可能です。

6

1,2  :他社プレステインマーカー(3 μL)3,4,5 :ワイドビューTMプレステイン

タンパク質マーカーⅢ(3 μL)6   :ワイドビューTMプレステイン

タンパク質マーカーⅢ(5 μL)空レーン:1×サンプルバッファー(5 μL)ゲル :スーパーセップTM Phos-tagⓇ(50 μM),

 12.5%(20 mA定電流)

4 5321図1 プレステインマーカーの比較

Phos-tag® アクリルアミド溶液の調製Q. Phos-tag® をプロトコル通りに溶解したら白濁した。大丈夫か?A. 大丈夫です。白濁するのはメタノールの影響で、一時的なものです。透明になってから使用してください。

Q. Phos-tag® アクリルアミドを蒸留水のみでの溶解することは可能か?A. 可能です。ただし、メタノールを加える場合に比べて溶解に時間がかかります。完全に溶解しないときは遠心し、上清を使用してください。

分子量マーカーQ. 分子量マーカーは何を使えばよいのか?A. 一般にプレステインマーカーは、Phos-tag® SDS-PAGEゲルではバンドが歪みます(図1)。弊社のワイドビュー™ プレステインタンパク質マーカーⅢ(コードNo.230-02461等)は、歪みが少ないマーカーです。ただし、分子量を推定することはできませんので、転写効率の目安としてください。レーンは1つ空け、空レーンには 1×サンプルバッファーをアプライしてください。

ATPの影響Q. りん酸化反応液中のATP は電気泳動に影響を与えるのか?A. 2.0 mM ATP では、特に影響はありませんでした。限界量は未調査です。

プレキャストゲルでの使用Q. サンプル溶液に混ぜるなどしてプレキャストゲルに使うことはできるのか?A. できません。スーパーセップ™ Phos-tag®をご使用ください。詳細は「8. スーパーセップ™ Phos-tag®」をご参照ください。

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■Phos-tag®ビオチン(製品については「9. Phos-tag® シリーズ」をご参照ください)

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複数バンドの解釈

Q. Phos-tag® SDS-PAGEでバンドシフトが見られ、複数のバンドを検出できたが、りん酸化なのか、目的タンパク質が分解されているだけなのかを区別する方法は?

A. 同時に通常の SDS-PAGE(Phos-tag® なし)を行い、目的タンパク質が分解されていないことを確認してください。

DNAの分離Q. DNAの分離に使用できるのか?A. 可能です。次の文献をご参照ください。・A SNP genotyping method using phosphate-affinity polyacrylamide gel electrophoresis, Analytical Biochemistry,

361, 294-298 (2007), E. Kinoshita, E.Kinoshita-Kikuta, and T. Koike (The phosphate group at DNA-terminal isefficiently captured by Zn2+‒Phos-tag.)

・A mobility shift detection method for DNA methylation analysis using phosphate affinity polyacrylamide gelelectrophoresis, Analytical Biochemistry, 378, 102-104 (2008), E. Kinoshita-Kikuta, E. Kinoshita, and T. Koike

BTL-111

BTL-104

β-Casein

(ng protein)

200

200

100 50 25 12.5 6.25

3.13

1.56

0.78

0.39

0.2

0.1

BTL-104分子量767

O

H

O

HNH

HN NH

S

BTL-111分子量1,367

O

O H

O

HHN NH

SHN O

12 NH

BTL-104と BTL-111の違いQ. BTL-104 と BTL-111 は何が違うのか?A. リンカーの長さが異なります。BTL-111 がより高感度です。

感 度Q. 感度はどの程度か?A. ng レベルです。イムノスター® LD など高感度発光試薬をご使用ください。イムノスター® LD については「10. 関連製品」をご参照ください。

他に必要な試薬Q. 本品以外に必要な試薬はあるか?A. Streptavidin-conjugated HRP 溶液、イムノスター® シリーズなどの化学発光試薬をご用意ください。イムノスター® シリーズ については「10. 関連製品」をご参照ください。

使用回数Q. 何回使用できるのか?A. 使用濃度によって異なります。下記を目安にしてください。BTL-104:130-1300 回、BTL-111 1 mM 水溶液:10-100 回

定 量Q. りん酸化タンパク質を定量できるか?A. バンドの濃淡で半定量的な観察は可能です。

細胞・組織の染色Q. 細胞染色や組織染色に使用できるのか?A. できません。メタノールなどで洗浄する際に流れてしまうため、染色には不向きです。

ストリッピングQ. Phos-tag® ビオチンのストリッピングはできるか?A. できます。62.5 mM Tris-HCl(pH6.8)/ 2%(w/v)SDS / 0.1 M 2- メルカプトエタノール溶液で、15 分間振とう後、1×TBS-Tで10 分間×3 回洗浄してください。

メンブレンQ. メンブレンは何を使えばよいか?A. PVDF 膜をご使用ください。

ブロッキングQ. Phos-tag® ビオチンを使用する場合、ブロッキング操作を行う必要があるか?A. 必要ありません。ブロッキング操作を行うと感度が下がりますので行わないでください。

アルカリホスファターゼ処理

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7.Q&A

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■Phos-tag® アガロース(製品については「9. その他のPhos-tag® シリーズ」をご参照ください)

SDS-PAGE の際の前処理

Q. Phos-tag® アガロースで精製したサンプルは前処理なしでそのまま SDS-PAGE にアプライできるか?A. できません。プロトコル推奨の溶出バッファーは塩濃度が高く、バンドが乱れる恐れがありますので、SDS-PAGE のサンプルバッファーを溶出バッファーに用いる方法をおすすめします。

再利用

Q. Phos-tag® アガロースの再利用は可能か?A. 推奨しておりません。

■Phos-tag® 質量分析用キット(製品については「9. その他のPhos-tag® シリーズ」をご参照ください)

使用回数Q. 何回使用できるのか?A. 1,000 回以上使用できます(1 回の測定に5 μL 使用した場合)。

3種類の試薬の使い分けQ. キットに含まれるPhos-tag® MS-101L、Phos-tag® MS-101H、Phos-tag® MS-101N はどのように使い分けるのか?A. 101L、101H、101N は亜鉛の種類が異なります。下記のように使い分けてください。101N:条件検討用にご使用ください。天然亜鉛のため多くの同位体を含むため、スペクトルが複雑になります。101L、101H:りん酸基の存在の確認用にご使用ください。101L は質量数が 64、101H は質量数 68 の亜鉛からなリ、別々に同じサンプルを測定するとm/eが8ずれます。

Phos-tag® SDS-PAGE ゲルのサンプル

Q. Phos-tag® SDS-PAGE で分離したサンプルを測定する場合、ゲル内消化の際にPhos-tag® を外す必要はあるのか?A. 必要ありません。通常のSDS-PAGE からのゲル内消化と同じ手順で行ってください。

ESI 法

Q. ESI 法による質量分析にも使用可能か?A. 使用できます。文献をご参照ください。Phos-tag® MS-101N をプローブとして ESI-MS 分析した例です。酸性の溶液にするとPhos-tag® が外れるので中性の溶液で分析してください。文献:Anal. Chem. (2008) 80, 2531-2538(MS-101N ESI-MS)

非りん酸化分子の検出

Q. 非りん酸化分子のピークが検出されないのはなぜかA. りん酸化分子と非りん酸化分子でイオン化効率が大きく異なるためです。Phos-tag® を使った試料溶液には pH 6~8のバッファーを使い、マトリックスにもフェノール系の弱酸性のもの(THAP など)や、弱塩基性の HAMAN などが適しています。一方、一般的なポジティブモードでのペプチド分析では、サンプル溶液は酸性で、マトリックスも酸性のものが使用されます。よって、りん酸化分子-Phos-tag® 複合体のイオン化効率が劇的に増加する一方で、非りん酸化分子のイオン化効率は極めて小さくなります。

IMAC との比較

Q. IMAC と比較して、Phos-tag® アガロースの利点は?A. Phos-tag® アガロースは実験操作を全て生理条件下(pH7.5)で行うことが可能で、還元剤や界面活性剤を使用しないため、Native な形でりん酸化タンパク質を精製することができます。精製したタンパク質は質量分析やウエスタンブロットなどに使用可能です。

His-tag タンパク質の精製

Q. His-tag タンパク質の精製に使用できるのか?A. His-tag は Zn2+に弱い親和性があるため、可能であれば GST など他の種類のタグを使用してください。Phos-tag®アガロースで His-tag タンパク質を精製した実績は確認できていませんが、Zn2+ -Phos-tag® SDS-PAGE でHis-tag タンパク質を分離できた実績はあるため、Zn2+は His-tagよりも Phos-tag® に高い親和性を示すと考えられます。

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使用できる試薬と使用できない試薬

Q. 使用できる試薬、使用できない試薬は?A. 下表をご参照ください。キレート剤やりん酸誘導体は避けてください。

試薬の種類

還元剤

変性剤

界面活性剤(陰イオン性)

界面活性剤(非イオン性)

界面活性剤(両性イオン性)

りん酸誘導体

キレート剤

試薬

DTT

尿素

SDS

デオキシコール酸ナトリウム

Nonidet P40

Tween 20

CHAPS

β-グリセロりん酸塩

ピロりん酸塩

EDTA

使用可否

×

×

×

使用可能な濃度

0.1 M 程度は問題ありません。

8 M で使用しても問題ありません。

0.5 % 以上で結合に影響があります。

0.25 % 以上で結合に影響があります。

1 % までは問題ありません。

1 % までは問題ありません。

0.2 % までは問題ありません。

使用しないでください。

使用しないでください。

使用しないでください。

Phos-tag® ビオチン● Highly sensitive detection of protein phosphorylation by using improved Phos-tag Biotin., E Kinoshita, E Kinoshita-Kikuta, Y Sugiyama, YFukada, T Ozeki, and T Koike, Proteomics, Apr 2012; 12(7): 932-7.

● Protein phosphorylation in encystment-induced Colpoda cucullus: localization and identification of phosphoproteins., Yoichiro Sogame,Katsuhiko Kojima, Toshikazu Takeshita, Shigeki Fujiwara, Seiji Miyata, Eiji Kinoshita, and Tatsuomi Matsuoka., FEMS Microbiol Lett, Jun2012; 331: 128 - 135.

● Novel repressor regulates insulin sensitivity through interaction with Foxo1., Jun Nakae, Yongheng Cao, Fumihiko Hakuno, Hiroshi Take-mori, Yoshinaga Kawano, Risa Sekioka, Takaya Abe, Hiroshi Kiyonari, Toshiya Tanaka, Juro Sakai, Shin-Ichiro Takahashi, and Hiroshi Itoh.,EMBO J., May 2012; 31: 2275 - 2295.

● Chk1 phosphorylates the tumour suppressor Mig-6, regulating the activation of EGF signalling., Ning Liu, Masaki Matsumoto, KyokoKitagawa, Yojiro Kotake, Sayuri Suzuki, Senji Shirasawa, Keiichi I Nakayama, Makoto Nakanishi, Hiroyuki Niida, and Masatoshi Kitagawa.,EMBO J., May 2012; 31: 2365 - 2377.

● TGFβ-activated kinase 1 (TAK1)-binding proteins (TAB) 2 and 3 negatively regulate autophagy., Giichi Takaesu, Takashi Kobayashi, andAkihiko Yoshimura, J. Biochem., Feb 2012; 151: 157 - 166.

● Arabidopsis heterotrimeric G protein β subunit, AGB1, regulates brassinosteroid signalling independently of BZR1., Daisuke Tsugama,Shenkui Liu, and Tetsuo Takano., J. Exp. Bot., Aug 2013; 64: 3213 - 3223.

Phos-tag® アガロース● Enrichment of phosphorylated proteins from cell lysate using phosphate-affinity chromatography at physiological pH, Proteomics, 6, 5088-5095 (2006), E. Kinoshita-Kikuta, E. Kinoshita, A. Yamada, M. Endo, and T. Koike

● Improved method of phosphopeptides enrichment using biphasic phosphate-binding tag/C18 tip for versatile analysis of phosphorylationdynamics., T Nabetani, YJ Kim, M Watanabe, Y Ohashi, H Kamiguchi, and Y Hirabayashi., Proteomics, Dec 2009; 9(24): 5525-33.

●Co- and post-translational modifications of the 26S proteasome in yeast., Kikuchi J, Iwafune Y, Akiyama T, Okayama A, Nakamura H,Arakawa N, Kimura Y, and Hirano H., Proteomics. 2010;10:2769-2779.

Phos-tag® 質量分析用キット● Matrix-assisted laser desorption/ionization time-of-flight mass spectrometry of phosphorylated compounds using a novel phosphate capturemolecule., H Takeda, A Kawasaki, M Takahashi, A Yamada, and T Koike., Rapid communications in mass spectrometry 17.18 (2003):2075-2081.

● Formation of lysophosphatidic acid, a wound-healing lipid, during digestion of cabbage leaves., Tanaka T, Horiuchi G, Matsuoka M, HiranoK, Tokumura A, Koike T, Satouchi K., Biosci Biotech Biochem., 2009;73:1293-1300.

■参考文献

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8.スーパーセップ

TM Phos-tag

®7.Q&A

8.スーパーセップTM Phos-tag®

スーパーセップ TM Phos-tag®は、50 μmol/L の Phos-tag®アクリルアミドを含むプレキャストゲルです。開封後すぐに使用できるため、ゲル作製の時間を省くことができます。中性ゲルバッファーと ZnCl2 を採用しており、保存安定性、分離能に優れています。また、全ロットで実用試験を実施しています。

ウェル数ウェル容積Phos-tag®濃度ZnCl2濃度プレートサイズゲルサイズ

50μmol/L100μmol/L

1330μL

1725μL

90×85×1 mm

■使用例 ―β-caseinの経時的脱りん酸化―

■製品仕様

イージーセパレーターTM

[泳動用緩衝液]トリス‐グリシン‐SDS泳動緩衝液[サンプル]M:ワイドビューTMプレステイン

タンパク質サイズマーカーⅢ1 : 0分 β‐casein(AP処理)2 : 15分 β‐casein(AP処理)3 : 30分 β‐casein(AP処理)4 : 45分 β‐casein(AP処理)5 : 60分 β‐casein(AP処理)[泳動条件]35 mA定電流、60分[染色]クイック-CBB

(コードNo. 299-50101)[脱色]脱イオン水(電子レンジ処理)

品 名

スーパーセップ™ Phos-tag® (50μmol/l), 6%, 13 ウェル

スーパーセップ™ Phos-tag® (50μmol/l), 6%, 17 ウェル

スーパーセップ™ Phos-tag® (50μmol/l), 7.5%, 13 ウェル

スーパーセップ™ Phos-tag® (50μmol/l), 7.5%, 17 ウェル

スーパーセップ™ Phos-tag® (50μmol/l), 10%, 13 ウェル

スーパーセップ™ Phos-tag® (50μmol/l), 10%, 17 ウェル

スーパーセップ™ Phos-tag® (50 μmol/L), 12.5%, 13 ウェル

スーパーセップ™ Phos-tag® (50 μmol/L), 12.5%, 17 ウェル

スーパーセップ™ Phos-tag® (50 μmol/L), 15%, 13 ウェル

スーパーセップ™ Phos-tag® (50 μmol/L), 15%, 17 ウェル

イージーセパレーター™

コード No.

192-17401

199-17391

195-17371

192-17381

193-16711

190-16721

195-16391

193-16571

193-16691

196-16701

058-07681

M 1 2 3 4 5

りん酸化β-casein

脱りん酸化β-casein

M 1 2 3 4 5

りん酸化β-casein

※WBのアプリケーションデータは p.19に記載

脱りん酸化β-casein

スーパーセップTM Phos-tag®12.5%,13ウェル

スーパーセップTMエース12.5%,13ウェル

β-casein を経時的にアルカリフォスファターゼ(AP)で脱りん酸化処理を行った。本品を使用することでβ- casein と脱りん酸化β-casein の分離が確認できた。

冷 蔵

保 存

5 枚

容 量

30,000円

希望納入価格

スーパーセップ™ Phos-tag®は下写真の電気泳動槽「イージーセパレーター™」に最適化されたプレキャストゲルです。本品を使用する前にコントロールとして「スーパーセップ™ エース」など通常の SDS-PAGE も行ってください。

室 温1 セットスーパーセップ™ エースのラインアップは p.29 をご参照ください。

53,000円

100×100×3 mm

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9. その他の Phos-tag® シリーズ

■Phos-tag®ビオチン―ウエスタンブロッティング用りん酸化タンパク質検出―

■Phos-tag®質量分析用キット―MALDI-TOF/MS用 検出感度アップ―

Phos-tag® 分子にビオチンを結合させた製品です。抗りん酸化抗体を使用せずに、PVDF膜上のりん酸化タンパク質を特異的に検出することができます。リンカーの長い BTL-111S1 がより高感度です。

MALDI-TOF/MSのサンプルと混合して使用します。ポジティブモードでりん酸化分子-Phos-tag® の複合体を検出することで、 りん酸化分子の検出感度が向上します。3種類の試薬は含まれる亜鉛の種類が異なります。

● りん酸化の種類に関わらず結合● 抗りん酸化抗体がないときにおすすめ● 特別な試薬・機器は不要

特 長

● りん酸化分子の検出感度が向上● 非りん酸化分子は検出されない●りん酸化ペプチド以外のりん酸化分子にも適用

特 長

BTL-104 分子量 767

PVDF 膜

BTL-111

β-casein

AP 処理(200 ng)

BTL-104

BTL-111

200タンパク質添加量(ng)

LPA2- :1-oleoyl-L-α-lyzophosphatidate(分子量 434.2)※使い分けについては p.23 【3種類の試薬の使い分け】 をご参照ください。

キット内容 分子式

Phos-tag® MS-101L

Phos-tag® MS-101H

Phos-tag® MS-101N

[(C27H29N6O64Zn2]3+

[(C27H29N6O68Zn2]3+

[(C27H29N6OZn2]3+

分子量

581.4

589.4

584.3

容量

5 mg

5 mg

10 mg

0.1

BTL-104

BTL-111 分子量 1,367

原理 使用例 ~β-casein, Ovalbumin の検出~

使用例~Phos-tag®-りん酸化 LPA複合体の検出~

発光基質

りん酸化タンパク質 非りん酸化タンパク質

ウエスタンブロッティングにおける抗りん酸化抗体と同様にPVDF膜上のりん酸化タンパク質を検出することができます。

品 名メーカーコード

BTL-111S1

BTL-104

Phos-tag® ビオチン BTL-111 1mM 水溶液

Phos-tag® ビオチン BTL-104

0.1 mL

10 mg

20,000 円

70,000 円

冷蔵

冷蔵

コード No. 保 存 容 量 希望納入価格

308-97201

301-93531

品 名メーカーコード

MS-101KIT Phos-tag® 質量分析用キット 1 セット 100,000 円冷蔵

コード No. 保 存 容 量 希望納入価格

305-93551

25000

400 600 800 1000Mass(m/z)

Counts

1200 1400

20000

15000

10000

5000

0

りん酸化 LPA の検出感度が向上

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9. そ

の他の Phos-tag

® シリーズ

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■Phos-tag® アガロース―アフィニティークロマトグラフィーによるりん酸化タンパク質精製―

Phos-tag®をアガロースに結合させた製品です。りん酸化タンパク質およびりん酸化ペプチドの分離、精製、濃縮ができます。

● 1時間以内にりん酸化タンパク質の精製が可能● 全ての操作は生理条件下 (pH7.5)● 還元剤や界面活性剤は不使用

特 長

りん酸化タンパク質   非りん酸化タンパク質   Phos-tag® アガロース

吸光度(215nm)

M

蛍光染色

Phos-tag® Tip

M :分子量マーカー1 :未吸着画分2 :溶出画分3 :洗浄画分

抗pTyr抗体検出

1 2 3 M 1 2 3

使用例 ~A431 細胞ライセートのりん酸化タンパク質の精製~

使用例~6 nmol β-casein トリプシン消化物の分離~

品 名メーカーコード

AG-501

AG-503 Phos-tag® アガロース 冷蔵

コード No. 保管温度 容 量 希望納入価格

302-93561

308-93563

品 名メーカーコード

AG2-103 Phos-tag® Tip 8 本 39,000 円冷蔵

コード No. 保 存 容 量 希望納入価格

387-07321

Phos-tag® アガロース

Phos-tag® アガロース

溶出画分にりん酸化タンパク質が濃縮されていることが確認できた。

架橋導入型アガロースゲルビーズ

吸着 洗浄 溶出

 非  P

0.5 mL

3 mL

20,000 円

98,000 円

■Phos-tag® Tip―Ready-to-use のりん酸化ペプチドの濃縮チップ―

Phos-tag® をアガロースをピペットチップに詰めた Ready-to-use のりん酸化ペプチド前処理ツールです。

● 操作時間は < 30 min● 高回収率● 高額機器は不要

特 長架橋導入型アガロースゲルビーズ

Phos-tag® Tip をシリンジ (製品に付属)に装着して使用します。

結合 洗浄 溶出サンプル

フロースルー画分

溶出画分

溶出時間(0-22 min)

P1 : FQpSEEQQQTERELQDKP2 : RELEELDVPGEIVEpSLpSpSpSEESITR

検出(HPLC)

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品  名 用  途コードNo. 容 量 希望納入価格

10.関連製品・受託サービス

■Phos-tag® SDS-PAGE ゲル作製用試薬

015-25635 30w/v% アクリルアミド/ビス混合液(29:1) Sol.Aとして使用できます。30%T, 3.3%C

Sol.Gとして使用できます。用時調製不要の便利な溶液タイプです。

TEMED

Sol.C、Dとして濃縮ゲルに使用できます(SDS含有)。

Sol.B、Dとして分離ゲルに使用できます(SDS含有)。

分子生物学用、純度98.0%以上。Sol.Mの調製にご使用ください。

分子生物学用、純度99.0%以上Sol.Fの調製にご使用ください。

Sol.Dとして使用できます。

アガロース入り低感度ゲルの作製にご使用ください。高強度タイプであり低アガロース濃度でも強度が高く、大きな核酸フラグメントの電気泳動に適しています。

アガロース H(高強度タイプ)

10% SDS 溶液

塩化マンガン(Ⅱ)四水和物

塩化亜鉛

分離ゲル用緩衝液(×4)

濃縮ゲル用緩衝液(×4)

N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン

10w/v% ペルオキソ二硫酸アンモニウム溶液(過硫酸アンモニウム溶液)

315-01203

319-01201

317-01202

311-90271

313-90275

134-15302

136-15301

268-01902

192-11041

199-11051

205-06313

019-15922

保存

冷蔵

冷蔵

冷蔵

冷蔵

冷蔵

冷蔵

室温

冷所

室温

室温

室温

室温

室温

室温

冷蔵

冷蔵

暗所

冷蔵

500 mL

1 g

10 g

25 g

100 mL

500 mL

25 g

100 g

25 g

250 mL

250 mL

25 mL

25 mL

8,600 円

3,200 円

14,000 円

26,800 円

5,000 円

9,000 円

3,400 円

6,500 円

2,800 円

Sol.Nの調製にご使用ください。Bis-Tris345-04741 室温100 g 14,800 円

亜硫酸水素ナトリウム (分子生物学用)190-16461 100 g 9,650 円

MOPS345-01804 100 g 7,200 円

341-01801 250 g 17,200 円

MOPS, 分子生物学用341-08241 100 g 9,600 円

343-08245 500 g 34,800 円

Sol.Oの調製にご使用ください。

Sol.Pの調製にご使用ください。

亜硫酸水素ナトリウム (試薬特級)196-01372 冷所

(25℃以下)

25 g 1,000 円

198-01371 100 g 1,230 円

4,200 円

4,200 円

1,950 円

5,000 円

品  名 用  途コードNo. 希望納入価格

■プレミックスバッファー

泳動用緩衝液(×10)

SDS-PAGE 10×ランニングバッファー

SDS-PAGE バッファー、pH 8.5

トリシン泳動用緩衝液(×10)

試料用緩衝液(2ME+)(×2)

試料用緩衝液(3-メルカプト-1,2-プロパンジオール含有)(×2)

試料用緩衝液(3-メルカプト-1,2-プロパンジオール含有)(×4)

Sol.Hとして使用できます。

Sol.Hとして使用できます。

Sol.Hとして使用できます。希釈せずに使用できる1×バッファーです。

組成:0.5 M トリス/0.5 M トリシン/1% SDS

SDS-PAGE(Laemmli法)用サンプルバッファー。2-メルカプトエタノール含有です。

2-MEに代わる毒劇物ではない還元剤3-メルカプト-1,2-プロパンジオールを含んでおります。

184-01291

312-90321

318-90323

192-16801

200-17071

196-11022

199-16132

196-16142

1 L

1 L

5 L

5 L

1 L

25 mL

25 mL

25 mL

5,300 円

9,000 円

32,000 円

13,000 円

14,000 円

5,000 円

7,700 円

10,200 円

保存容 量

劇 ‒Ⅲ

劇 ‒Ⅲ

劇 ‒Ⅲ

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10.関連製品・受託サービス

室温

室温

冷蔵

冷蔵

室温

品  名 用  途コードNo. 容 量 希望納入価格

■染色用試薬

Sol.Kのかわりに使用できます。有機溶媒不使用、最短10分で染色・脱色できます。

Sol.Kのかわりに使用できます。

グルタルアルデヒドを除きゲル内消化の効率を高めています。1ng 以下の検出が可能です。

銀染色キットワコーより簡便・短時間に染色できます。同梱の停止液で濃さを調整できます。

クイックCBBプラス

クイック-CBB

銀染色MSキット

銀染色Ⅱキットワコー

ネガティブゲル染色MSキット 質量分析、ウエスタンブロッティングに使用できます。

174-00553

178-00551

299-50101

299-58901

291-50301

293-57701

250 mL

1 L

2 L

20 テスト

10 枚用

20 回用

4,200 円

11,000 円

9,000 円

19,000 円

13,000 円

34,000 円

品  名 用  途コードNo. 容 量 希望納入価格

■脱りん酸化酵素

アルカリホスファターゼ(生化学用) タンパク質試料の脱りん酸化にご使用ください。018-10693 50 U 9,800 円

012-10691 100 U 13,000 円

品  名 用  途コードNo. 容 量 希望納入価格

■電気泳動装置・プレキャストゲル

イージーセパレーター

スーパーセップ™ エース, 6%, 13 ウェル

スーパーセップ™ エース, 7.5%, 13 ウェル

スーパーセップ™ エース, 7.5%, 17 ウェル

スーパーセップ™ エース, 10%, 13 ウェル

スーパーセップ™ エース, 10%, 17 ウェル

スーパーセップ™ エース, 12.5%, 13 ウェル

スーパーセップ™ エース, 12.5%, 17 ウェル

スーパーセップ™ エース, 15%, 13 ウェル

スーパーセップ™ エース, 15%, 17 ウェル

スーパーセップ™ シリーズ用電気泳動槽

スーパーセップ™ Phos-tag® 使用時にコントロールとして一緒にご使用ください。

058-07681

195-15171

198-14941

191-14931

195-14951

192-14961

199-14971

196-14981

193-14991

190-15001

1 セット

10 枚

10 枚

10 枚

10 枚

10 枚

10 枚

10 枚

10 枚

10 枚

53,000 円

18,000 円

14,000 円

14,000 円

14,000 円

14,000 円

14,000 円

14,000 円

14,000 円

14,000 円

冷凍

室温

冷蔵

冷蔵

冷蔵

冷蔵

冷蔵

冷蔵

冷蔵

冷蔵

冷蔵

品  名 用  途コードNo. 容 量 希望納入価格

■タンパク質サイズマーカー

ワイドビュー™ プレステインタンパク質サイズマーカーⅢ

Phos-tag® SDS-PAGEに使用してもバンドが歪みにくいプレステインマーカーです。

236-02463 25 µL 3,200 円

230-02461 500 µL 22,500 円

234-02464 500 μL×3 55,000 円

冷凍

保存

保存

品  名 用  途コードNo. 容 量 希望納入価格

■ポジティブコントロール(Phos-tag® SDS-PAGE ゲルの分離能の確認にご利用ください。)

α-カゼイン, ウシ乳由来, 脱りん酸化りん酸化 α-カゼインと脱りん酸化 α-カゼインの混合物です。

038-23221 1 mg 5,000 円

034-23223 10 mg 15,000 円冷凍

保存

保存

保存

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サンプル : FLAG-BAPゲ  ル :スーパーセップ™ エース,10-20%,17 ウェル(コードNo.198-15041)一次抗体 :抗DYKDDDDK タグ,モノクローナル抗体(コードNo.014-22383),2,000 倍希釈二次抗体 :マウスIgG(H+L),ウサギ,IgG 分画,ペルオキシダーゼ結合,20,000 倍希釈露光時間 :60 秒間(LAS4000, standard)

イムノスター® ゼータ他社品イムノスター® LD レーンNo.12345

20 ng10 ng5 ng2.5 ng1.3 ng

FLAG-BAP

品  名 用  途コードNo. 容 量 希望納入価格

■ウエスタンブロッティング用試薬

イムノスター® LD

イムノスター® ゼータ

イムノエンハンサー

高感度ウエスタンブロッティング化学発光試薬(fg レベル)です。便利な2液の等量混合タイプです。A液、B液 各100 mL(2,000 ㎝2の場合)

フェムトグラム中域~低域レベルのタンパク質検出にご利用ください。発光シグナルが安定しており、持続性に優れています。

296-69901

292-69903

290-69904

291-72401

297-72403

295-72404

294-68601

290-68603

298-68604

200 ㎝2

1,000 ㎝2

2,000 ㎝2

200 ㎝2

1,000 ㎝2

2,000 ㎝2

2 回用

10 回用

40 回用

8,000 円

30,000 円

48,000 円

8,600 円

30,000 円

48,000 円

4,800 円

11,000 円

28,400 円

冷蔵

冷蔵

冷蔵

保存

ウエスタンブロッティングのシグナル増強試薬です。一次抗体反応用のReagent Aと、二次抗体反応用のReagent Bの2つから構成されており、原液をそのまま抗体希釈液として使用します。

【発光強度】

1 2 3 4 5 1 2 3 4 5 1 2 3 4 5

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10.関連製品・受託サービス

■キナーゼアッセイスクリーニングキット(ADP蛍光測定キット)

【特長】・エンドポイント & リアルタイムアッセイに対応・優れたZ'-factor(データのバラつきが少ない)・ADP量を高感度に測定・ADP 30μmol/Lまで直線性を保って測定・1 step反応で短時間測定(~30分)・低コスト

【キットの概要】

【キット内容】①基質液②酵素液③レサズリン液④還元剤ブロッカー⑤反応停止液 (カップリング反応の停止)⑥10mmol/L ATP溶液 (キナーゼ基質、検量線作成)⑦10mmol/L ADP溶液 (検量線作成)

【サービスの流れ】

キナーゼ反応で生じたADPを蛍光物質レゾルフィンへ変換し、その蛍光強度を指標としてADPを定量することで、キナーゼ活性を測定します。

Fluorospark® Kinase/ADP Multi-Assay Kitは東京大学創薬機構と共同で開発したADP蛍光測定キットです。High throughput screening(HTS)に必要な高感度、高精度、低コスト、簡便性を満たす性能を持ちます。本キットはキナーゼに限らず、ATPアーゼ、アセチル-CoAカルボキシラーゼなど、ADP生成を伴う酵素の活性測定にも応用できます。

■【受託】 nanoLC-MS/MS タンパク質同定サービスSDS-PAGE 等により得られたゲル断片からタンパク質を同定するサービスです。

■【受託】りん酸化サイト同定解析高感度質量分析計 ultraflex TOF/TOF (Bruker Daltonics社製)を用いた、りん酸化サイト同定解析サービスです。りん酸化タンパク質を数種のタンパク質分解酵素(Trypsin、Asp-N、Glu-Cなど)で切断することにより、検出ペプチドのカバー率を高めます。 また、りん酸化ペプチドを多段階精製することにより、濃縮します。

2×検出液の調製

品  名 希望納入価格コードNo.

希望納入価格

納  期

解析結果報告

ご提供いただくもの

60,000 円/サンプル

約2週間 ※ 混雑や解析難易度等により、多少遅れることがあります。

•解析サンプル(サンプル必要量:100 fmol 以上)•サンプルの情報(ゲル断片個数、生物種、目的タンパク質の分子量、SDS-PAGE 画像 等)NCBlnrのデータベースにてMascot Search Results(pdf)、同定されたタンパク質に関する付加情報資料(UniProtKB などによる)資料(pdf)、およびそれらのデータをExcel形式のレポートにまとめたものをメールでご報告いたします。

希望納入価格納  期

概算:500,000円~1ヶ月~

容 量

Fluorospark® Kinase/ADP Multi-Assay Kit 酵素活性測定用291-77401 1,000 回用 65,000 円

297-77403 10,000 回用 照会冷凍

保存規格

株式会社 日本バイオサービス

電気泳動写真・依頼書より

解析可否の確認

ゲル断片の脱色・還元処理

アルキル化

ゲル内消化(トリプシン)

ペプチド断片の抽出

脱塩処理

測定

解析結果をメールで送付

サンプル(

ゲル断片)

送付

着払い・冷蔵・平日着荷

検索 和光 nanoLCサービスの詳細・お申込みはHPをご参照ください

※価格は作業内容により変動します。詳細はお問い合わせください。

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18701開02F

本  社 〒540-8605 大阪市中央区道修町三丁目1番2号 TEL 06-6203-3741(代表) 東京本店 〒103-0023 東京都中央区日本橋本町二丁目4番1号 TEL 03-3270-8571(代表)

● 九州営業所● 東海営業所● 筑波営業所● 北海道営業所

● 中国営業所● 横浜営業所● 東北営業所

フリーダイヤル 0120-052-099フリーファックス 0120-052-806

試薬URL:https://labchem.wako-chem.co.jp

最新の法規情報・価格等は、試薬検索サイト siyaku.com(www.siyaku.com)でご確認ください。法規制により、収載品目であっても販売できない場合がございます。詳細は弊社までお問い合わせください。