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2011 年第 2 02/09/11 著作権 © 2011 National Comprehensive Cancer Network, Inc. 無断転載を禁止する。NCCN®の明示の書面による許諾なく、本ガイドラインおよびここに含まれるイラストを複製することは、いかなる形においても禁じられている。 NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology (NCCN Guidelines) NCCN 腫瘍学臨床診療ガイドライン) 膀 胱 癌 20112NCCN.org

Practice Guidelines v.2.2010 NCCN Guidelines™ 膀胱癌...c BL-4を参照 cT3 c 麻酔下での診察/細胞診 BL-5を参照 TURBT b 筋層浸潤癌 cT4a, c BL-6を参照 転移例

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NCCN Guidelines™ Version 2.2011 膀胱癌

ガイドライン索引 膀胱癌 目次

考察

2011年第 2版 02/09/11 著作権 © 2011 National Comprehensive Cancer Network, Inc. 無断転載を禁止する。NCCN®の明示の書面による許諾なく、本ガイドラインおよびここに含まれるイラストを複製することは、いかなる形においても禁じられている。

Guidelines Index

NCCN in Oncology – v.2.2010 Staging, Discussion, References

® Practice Guidelines Bladder Cancer Table of Contents

NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology (NCCN Guidelines™) (NCCN腫瘍学臨床診療ガイドライン)

膀 胱 癌

2011年 第2版

NCCN.org

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NCCN Guidelines™ Version 2.2011 膀胱癌

2011年第 2版 02/09/11 著作権 © 2011 National Comprehensive Cancer Network, Inc. 無断転載を禁止する。NCCN®の明示の書面による許諾なく、本ガイドラインおよびここに含まれるイラストを複製することは、いかなる形においても禁じられている。

®

委員会メンバー

NCCN ガイドライン委員会に関する情報開示

James E. Montie, MD/Co-Chair w

University of Michigan Comprehensive

Cancer Center

Jerome P. Richie, MD w

Dana-Farber/Brigham and Women’s Cancer

Center

Deborah A. Kuban, MD §

The University of Texas MD Anderson

Cancer Center

* Peter E. Clark, MD w Co-Chair

Vanderbilt-Ingram Cancer Center

Timothy M. Kuzel, MD ‡ Robert H. Lurie Comprehensive Cancer Center of Northwestern University

Wade J. Sexton, MD w

H. Lee Moffitt Cancer Center & Research

Institute Neeraj Agarwal, MD ‡ Huntsman Cancer Institute at the

University of Utah

Subodh M. Lele

UNMC Eppley Cancer Center at The

Nebraska Medical Center

William U. Shipley, MD § w

Massachusetts General Hospital Cancer

Center Mario A. Eisenberger, MD † w

The Sidney Kimmel Comprehensive

Cancer Center at Johns Hopkins

Jeffrey Michalski, MD, MBA §

Siteman Cancer Center at Barnes-Jewish

Hospital and Washington University School

of Medicine

Eric J. Small, MD †

UCSF Helen Diller Comprehensive Cancer

Center Rizk El-Galley, MD w

University of Alabama at Birmingham

Comprehensive Cancer Center Donald L. Trump, MD † Roswell Park Cancer Institute

Anthony Patterson, MD w

St. Jude Children’s Research

Hospital/University of Tennessee Cancer

Institute Richard E. Greenberg, MD w

Fox Chase Cancer Center Phillip J. Walther, MD, PhD w

Duke Comprehensive Cancer Center

Kamal S. Pohar, MD w

The Ohio State University Comprehensive

Cancer Center -James Cancer Hospital and

Solove Research Institute

Harry W. Herr, MD w

Memorial Sloan-Kettering Cancer Center

Timothy G. Wilson, MD w

City of Hope Comprehensive Cancer Center

Gary R. Hudes, MD † ‡

Fox Chase Cancer Center NCCN Mary Dwyer, MS Maria Ho, PhD

Michael P. Porter, MD, MS w

Fred Hutchinson Cancer Research

Center/Seattle Cancer Care Alliance w 泌尿器科学

†腫瘍内科学

‡血液学/血液腫瘍学

§放射線療法/放射線腫瘍学

≠ 病理学

* 作成委員会メンバー

ガイドライン索引

膀胱癌 目次

考察

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NCCN Guidelines™ Version 2.2011 膀胱癌

2011年第 2版 02/09/11 著作権 © 2011 National Comprehensive Cancer Network, Inc. 無断転載を禁止する。NCCN®の明示の書面による許諾なく、本ガイドラインおよびここに含まれるイラストを複製することは、いかなる形においても禁じられている。

目次

NCCN膀胱癌委員会メンバー

ガイドライン更新の要約

膀胱癌:

臨床像および初回評価(BL-1)

筋層非浸潤癌または Tisの精査、初回評価/外科的治療(BL-1)

2回目の外科的治療、術後膀胱内注入療法、フォローアップ(BL-2)

cTa、cT1、Tisの治療後再発または治療抵抗例(BL-3)

筋層浸潤癌または転移性膀胱癌の精査、初回評価/外科的治療(BL-1)

cT2の初回治療、補助療法(BL-4)

cT3の初回治療、補助療法(BL-5)

cT4a、cT4b、転移例の追加精査、初回治療、補助療法(BL-6)

フォローアップ、再発または治療抵抗例(BL-7)

外科的治療の原則(BL-A)

病理分類取扱の原則(BL-B)

おおよその再発および進行の確率(BL-C)

膀胱の非尿路上皮癌(BL-D)

膀胱摘除術後のフォローアップ(BL-E)

膀胱内注入療法の原則(BL-F)

化学療法の原則(BL-G)

筋層浸潤癌に対する放射線療法の原則(BL-H)

上部尿路腫瘍:

腎盂腫瘍(UTT-1)

尿管の尿路上皮癌(UTT-2)

前立腺の尿路上皮癌(UCP-1)

病期分類(ST-1)

NCCNガイドラインTMは、エビデンスと現在受け入れられている治療方針に対する見解についての著者らの合意を記述したものである。NCCNガイドラインを適用または参照する臨床医には、患者のケアまたは治療法の決定において、個々の臨床状況に応じた独自の医学的判断を行うことが期待される。National Comprehensive Cancer Network®(NCCN®)は、その内容、使用、または適用に関して、意見陳述ないし保証を行うものではなく、いかなる場合においても、その適用または使用について一切責任を負わない。NCCNガイドラインの著作権はNational Comprehensive Cancer Network®にある。無断転載を禁止する。NCCNの書面による許諾なく、NCCNガイドラインおよびここに含まれるイラストを複製することは、いかなる形態においても禁じられている。©2011.

臨床試験:NCCNは、すべての癌患者にとって最良の管理法は臨床試験にあると考えている。臨床試験への参加が特に推奨される。 NCCN加盟施設における臨床試験のオンライン検索はこちらから:

nccn.org/clinical_trials/physician.html NCCNのエビデンスとコンセンサスによ

るカテゴリー: 特に指定のない限り、

すべての推奨はカテゴリー2Aである。

NCCNのエビデンスとコンセンサスに

よるカテゴリーを参照

ガイドライン索引

膀胱癌 目次

考察

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NCCN Guidelines™ Version 2.2011 膀胱癌

2011年第 2版 02/09/11 著作権 © 2011 National Comprehensive Cancer Network, Inc. 無断転載を禁止する。NCCN®の明示の書面による許諾なく、本ガイドラインおよびここに含まれるイラストを複製することは、いかなる形においても禁じられている。

®

UPDATES

膀胱癌ガイドライン2011年第2版では、考察部分への追加が反映された。

膀胱癌ガイドライン2010年第1版から2011年第1版への変更点の要約は以下の通りである:

ガイドライン索引

膀胱癌 目次

考察

更新

BL-1

筋層浸潤性、精査:「胸部 X 線」が「胸部の画像検査」に変更され

た。

BL-2:

cTa, high grade 以上、フォローアップ:「1 年毎」が削除され、

「膀胱鏡検査および尿細胞診を 3~6 ヵ月毎に 2 年間」の後に「間

隔を延ばした適切な頻度で」が追加された。

BL-3

脚注「j」が修正された:

「BCG+インターフェロンが有効との報告もあるが、第 III 相ラ

ンダム化試験のデータはまだ得られていない」が削除された。

「BCG 抵抗性の上皮内癌に対して valrubicin が承認されてい

る」が追加された。

BL-4:

初回治療、根治的膀胱摘除術:「シスプラチンベースの術前補助化

学療法」の後に「を考慮」が追加され、カテゴリー2A からカテゴ

リー1に変更された。

BL-6

リンパ節異常あり、リンパ節転移のみ:「リンパ節生検」の後に

「を考慮」が追加された。

BL-C

明確化のためタイトル「再発および進行の確率」に「おおよその」

が追加された。

BL-D

小細胞癌成分を含む場合:「または神経分泌形態が認められる」が追

加された。

BL-E

膀胱部分切除術後のフォローアップ:箇条書きの項目が「膀胱鏡検査

および尿細胞診を 3~6 ヵ月毎に 2 年間、その後は間隔を延ばして適

切な頻度で施行」に修正された。

UTT-1

精査:「IVP/CT 尿路造影」が「上部尿路の画像検査」に変更され、

対応する脚注「画像検査としては、IVP、CT 尿路造影、逆行性腎盂

造影、尿管鏡検査、MR 尿路造影を単独または併用で施行する」が追

加された。

UTT-2

下部尿管切除術および所属リンパ節郭清術による下部尿管腫瘍の初回

治療:治療選択肢として「さらに限定された症例では術前補助化学療

法を考慮」が追加された。

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注:特に指定のない限り、すべての推奨はカテゴリー2Aである。

臨床試験:NCCNはすべてのがん患者にとって、最良の管理法は臨床試験にあると考えている。臨床試験への参加が特に推奨される。

2011年第 2版 02/09/11 著作権 © 2011 National Comprehensive Cancer Network, Inc. 無断転載を禁止する。NCCN®の明示の書面による許諾なく、本ガイドラインおよびここに含まれるイラストを複製することは、いかなる形においても禁じられている。

®

臨床像 初回評価 推定される

臨床病期

精査 初回評価/外科的治療 cTa

c

cT1 c

cT2 c

BL-2 を参照

BL-2を参照 麻酔下での診察

(双手診)

TURBT b

広基性、high grade、

またはTis疑いの場合:

▶ ランダム生検

▶ 前立腺のTUR生検を

考慮

乳頭状

または

充実性 上部尿路の画像検査

a

広基性またはhigh

gradeの場合は、経尿

道的膀胱腫瘍切除術

(TURBT)の施行前

に骨盤部CTを考慮

BL-4を参照

筋層非浸潤癌 cT3 c

BL-5を参照

cT4cおよび

転移例 BL-6を参照

Tis BL-2を参照 病歴と診察

外来検査と

して膀胱鏡

検査

細胞診

尿路上皮癌

の疑い 全血算(CBC)

生化学検査(アルカ

リホスファターゼを

含める)

胸部の画像検査

上部尿路の画像検査 a

腹部/ 骨盤部CTまた

はMRI

アルカリホスファタ

ーゼが高値もしくは

症状を認める場合

は、骨スキャン

cT2c

BL-4を参照

cT3 c

BL-5を参照 麻酔下での診察/細胞診

TURBT b

筋層浸潤癌

cT4a,c

BL-6を参照

転移例 BL-6を参照

a 画像検査としては、IVP、CT尿路造影、腎超音波検査と逆行性腎盂造影、尿管鏡検査、MR尿路造影を単独または併用で施行する。

b 外科的管理の原則(BL-A)を参照。

c 「c」という記号は、麻酔下双手診、内視鏡手術(生検または経尿道的切除術)および画像検査での所見に基づく臨床病期であることを意味す

る。「p」という記号は、膀胱摘除術およびリンパ節郭清での評価に基づく病理学的病期であることを意味する。

BL-1

ガイドライン索引

膀胱癌 目次

考察

cT4bc、

肉眼的に

リンパ節

転移陽性

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NCCN Guidelines™ Version 2.2011 膀胱癌

注:特に指定のない限り、すべての推奨はカテゴリー2Aである。

臨床試験:NCCNはすべてのがん患者にとって、最良の管理法は臨床試験にあると考えている。臨床試験への参加が特に推奨される。

2011年第 2版 02/09/11 著作権 © 2011 National Comprehensive Cancer Network, Inc. 無断転載を禁止する。NCCN®の明示の書面による許諾なく、本ガイドラインおよびここに含まれるイラストを複製することは、いかなる形においても禁じられている。

術後補助膀胱内注入療法g,h

臨床病期 c,d,e

2回目の外科治療 フォローアップ

経過観察

または

24時間以内の膀胱内化学療法の単回

施行を考慮(免疫療法ではない)i

および/または

導入膀胱内化学療法 g

膀胱鏡検査を3ヵ月

後、その後は適宜間隔

を延ばして施行

フォローアップの結果(BL-3)を 参照

cTa,

low grade d

経過観察 または 膀胱内注入療法: BCG(望ましい)

または

マイトマイシン

切除が不完全であるか標本

中に筋層を認めないなら

ば、再切除

膀胱鏡検査および尿細

胞診を3~6ヵ月毎に2

年間、その後は間隔を

延ばした適切な頻度で

high grade例では、1

年毎の上部尿路の画像

検査 aを考慮

尿中尿路上皮腫瘍マー

カー(任意)(カテゴ

リー2B)

cTa,

high graded

フォローアップの結果(BL-3)を 参照

BCG(カテゴリー

1)または

膀胱摘除術 b,f

BCG またはマイト

マイシン療法の施

行例では、膀胱内

注入療法施行後の

再発例チャート

(BL-3)を参照

残存病変

あり cT1,

low grade d

再切除を強

く勧める

または

high grade例で

は膀胱摘除術 b,f

残存病変

なし

BCG(望ましい) (カテゴリー1) または マイトマイシン

cT1,

high grade d

すべてのTis BCG

a 利用できる画像検査法としては、IVP、CT尿路造影、逆行性腎盂造影、MR尿路造影がある。

b 外科的管理の原則(BL-A)を参照。

c「c」という記号は、麻酔下双手診、内視鏡手術(生検または経尿道的切除術)および画像検

査での所見に基づく臨床病期であることを意味する。「p」という記号は、膀胱摘除術および

リンパ節郭清での評価に基づく病理学的病期であることを意味する。 d

Montironi R, Lopez-Beltran A. The 2004 WHO classification of bladder tumors: A summary

and commentary. Int J Surg Pathol 2005;13:143-153.病理学的管理の原則(BL-B)を参照。

BL-2

e 再発および進行の確率(BL-C)ならびに膀胱の非尿路上皮癌(BL-D)を参

照。 f 膀胱摘除術後のフォローアップ(BL-E)を参照。

g 術後補助療法の適応:再発および筋層浸潤癌への進行の可能性に基づく(大

きさ、個数、異型度など)。 h 膀胱内注入療法の原則(BL-F)を参照。

I 膀胱内化学療法(免疫療法ではない)の即時施行によって再発を低減できる

可能性がある。

ガイドライン索引

膀胱癌 目次

考察

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NCCN Guidelines™ Version 2.2011 膀胱癌

注:特に指定のない限り、すべての推奨はカテゴリー2Aである。

臨床試験:NCCNはすべてのがん患者にとって、最良の管理法は臨床試験にあると考えている。臨床試験への参加が特に推奨される。

2011年第 2版 02/09/11 著作権 © 2011 National Comprehensive Cancer Network, Inc. 無断転載を禁止する。NCCN®の明示の書面による許諾なく、本ガイドラインおよびここに含まれるイラストを複製することは、いかなる形においても禁じられている。

cTa、cT1、

Tis の治療後

再発または

治療抵抗例

フォローアップの結果 評価 治療

膀胱鏡検査

陽性

腫瘍の状態および異型度に応じて術後補助療法

g

TURBTb

フォローアップを 3 ヵ月毎、

その後は間隔を延ばして施行

フォローアップを3ヵ月毎、

その後は間隔を延ばして施行

または

維持BCG療法(任意)

陰性

前立腺のTUR

生検を含めた

ランダム生検b

完全奏効 維持 BCG 療法(任意)

膀胱摘除術 b,f

または

膀胱内注入療

法の薬剤を

変更 h,j

または

臨床試験

膀胱生検陽性 BCG

不完全奏効 細胞診陽性

画像検査

陰性

膀胱鏡検査

陰性

不完全奏効 および 膀胱摘除術b,f

前立腺生

検陽性 前立腺の尿路上皮癌(UCP-1)を参照

陰性 フォローアップを 3 ヵ月毎、その後は間隔を延ばして施行 上部尿路の細胞

診および尿管鏡

検査を考慮 上部尿路陽性

上部尿路腫瘍(UTT-1)を参照

完全奏効 維持BCG療法(任意)

膀胱内注入療法の薬剤を変更h,j

または

膀胱摘除術 b,f

膀胱摘除術 b,f

BCGまたはマイ

トマイシンによ

る膀胱内注入療

法後の再発;

最大で連続

2サイクルまで

TURBTb Tis または cTa

cT1, high grade

b 外科的管理の原則(BL-A)を参照。 f 膀胱摘除術後のフォローアップ(BL-E)を参照。 g 術後補助療法の適応:再発および筋層浸潤癌への進行の可能性に基づく(大きさ、

個数、異型度など)。

BL-3

h 膀胱内注入療法の原則(BL-F)を参照。 j BCG抵抗性の上皮内癌に対してvalrubicinが承認されている。

ガイドライン索引

膀胱癌 目次

考察

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NCCN Guidelines™ Version 2.2011 膀胱癌

注:特に指定のない限り、すべての推奨はカテゴリー2Aである。

臨床試験:NCCNはすべてのがん患者にとって、最良の管理法は臨床試験にあると考えている。臨床試験への参加が特に推奨される。

2011年第 2版 02/09/11 著作権 © 2011 National Comprehensive Cancer Network, Inc. 無断転載を禁止する。NCCN®の明示の書面による許諾なく、本ガイドラインおよびここに含まれるイラストを複製することは、いかなる形においても禁じられている。

初回治療 臨床病期c 補助療法

術前補助療法を施行していない場合

は、病理学的リスク(pT3-4、リン

パ節転移陽性)に応じて術後補助化

学療法 l(カテゴリー2B)を考慮

病理学的リスク(pT3-4、リンパ節

転移陽性、切除断端陽性、high

grade)に応じて、RT m(カテゴリ

ー2B)または化学療法 l(カテゴリ

ー2B)による術後補助療法を考慮

根治的膀胱摘除術 bを施行し、シスプラ

チンベースの多剤併用術前補助化学療法を考慮

l(カテゴリー1)

または

膀胱部分切除術 b(適切な部位に単発病変を有する

限られた患者;Tis病変は除く)、さらにシスプラ

チンベースの多剤併用術前補助化学療法 lを考慮

または

最大限のTURBTと化学療法 l

+RT m同時併用治療による選

択的膀胱温存療法 b(カテゴ

リー2B)(水腎症を認めない症例に限る)

k

または

重篤な併存疾患があるか一般

全身状態が不良である症例に

対しては:

TURBT単独 bまたは

RT単独 mまたは

化学療法単独 l

リンパ節

転移陰性

フォローアップ(BL-7)を参照

経過観察

または

65GyまでのRT mを完遂

および/または

補助化学療法 l(カテゴリー

2B)を考慮

40~50GyのRT完

了時点または3ヵ

月後の時点で以下

による評価を

施行:

膀胱鏡検査、先

の腫瘍占拠部位

の再生検または

TURBT、細胞

診、および腹部/

骨盤領域の画像

検査

腫瘍を

認めない

cT2 腹部/ 骨盤部CT 膀胱摘除術

b,f

(望ましい) 切除可能

腫瘍を

認める 切除不能もしくは手術適応 がない

別のレジメンに

よる化学療法l

を考慮

BL-6を参照(リンパ節転移陽性のcT4a/T4b例に対する治療に従う)

b 外科的管理の原則(BL-A)を参照。

c「c」という記号は、麻酔下双手診、内視鏡手術(生検または経尿道的

切除術)および画像検査での所見に基づく臨床病期であることを意味

する。「p」という記号は、膀胱摘除術およびリンパ節郭清での評価

に基づく病理学的病期であることを意味する。 f 膀胱摘除術後のフォローアップ(BL-E)を参照。

BL-4

®

k 生存率が同等であることを支持するデータも存在するが、これらのアプローチの役割に

ついては一貫したコンセンサスはない。これらの集学的アプローチには専門のチームが

必要であり、すべての施設が経験を有しているわけではない。 l 化学療法による管理の原則(BL-G)を参照。

m 筋層浸潤癌の放射線療法による管理の原則(BL-H)を参照。

リンパ節

転移陽性

ガイドライン索引

膀胱癌 目次

考察

Page 9: Practice Guidelines v.2.2010 NCCN Guidelines™ 膀胱癌...c BL-4を参照 cT3 c 麻酔下での診察/細胞診 BL-5を参照 TURBT b 筋層浸潤癌 cT4a, c BL-6を参照 転移例

NCCN Guidelines™ Version 2.2011 膀胱癌

注:特に指定のない限り、すべての推奨はカテゴリー2Aである。

臨床試験:NCCNはすべてのがん患者にとって、最良の管理法は臨床試験にあると考えている。臨床試験への参加が特に推奨される。

2011年第 2版 02/09/11 著作権 © 2011 National Comprehensive Cancer Network, Inc. 無断転載を禁止する。NCCN®の明示の書面による許諾なく、本ガイドラインおよびここに含まれるイラストを複製することは、いかなる形においても禁じられている。

臨床病期 c 初回治療 補助療法

術前補助療法を施行していな

い場合は、病理学的リスク

( pT3-4、リンパ節転移陽

性)に応じて術後補助化学療

法 l(カテゴリー2B)を考慮

根治的膀胱摘除術 bおよびシスプラ

チンベースの多剤併用術前補助化学

療法(カテゴリー1)を強く考慮

または

最大限のTURBTと化学療法l

+RT m同時併用治療による

選択的膀胱温存療法 b(カ

テゴリー2B)(水腎症を認

めない症例に限る)k

経過観察

または

65GyまでのRT を完遂

および/または

補助化学療法l(カテゴリー

2B)を考慮

フォローアップ(BL-7)を参照

40~50GyのRT

完了時点または

3ヵ月後の時点で

以下による評価を

施行:

膀胱鏡検査、腫

瘍原発部位の再

生検または

TURBT、細胞

診、および腹部/

骨盤領域の画像

検査

腫瘍を

認めない リンパ節

転移陰性

または

重篤な併存疾患があるか一

般全身状態が不良である症

例に対しては:

TURBT単独 bまたは

RT単独 mまたは

化学療法単独l

膀胱摘除術b,f

(望ましい)

切除可能

cT3 腹部/ 骨盤部CT 腫瘍を

認める 切除不能も

しくは手術

適応外

別のレジメンに

よる化学療法 l

を考慮

リンパ節

転移陽性 BL-6 を参照(リンパ節転移陽性の

cT4a/T4b 例に対する治療に従う) b 外科的管理の原則(BL-A)を参照。

c 「c」という記号は、麻酔下双手診、内視鏡手術(生検または経尿道的切除術)および画像検査での所見に基づく臨床病期であることを意味する。「p」という記号は、

膀胱摘除術およびリンパ節郭清での評価に基づく病理学的病期であることを意味する。 f 膀胱摘除術後のフォローアップ(BL-E)を参照。 k 生存率が同等であることを支持するデータも存在するが、これらのアプローチの役割については一貫したコンセンサスはない。これらの集学的アプローチには専門のチ

ームが必要であり、すべての施設が経験を有しているわけではない。 l 化学療法による管理の原則(BL-G)を参照。 m 筋層浸潤癌の放射線療法による管理の原則(BL-H)を参照。

BL-5

ガイドライン索引

膀胱癌 目次

考察

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NCCN Guidelines™ Version 2.2011 膀胱癌

注:特に指定のない限り、すべての推奨はカテゴリー2Aである。

臨床試験:NCCNはすべてのがん患者にとって、最良の管理法は臨床試験にあると考えている。臨床試験への参加が特に推奨される。

2011年第 2版 02/09/11 著作権 © 2011 National Comprehensive Cancer Network, Inc. 無断転載を禁止する。NCCN®の明示の書面による許諾なく、本ガイドラインおよびここに含まれるイラストを複製することは、いかなる形においても禁じられている。

臨床病期 c 初回治療 補助療法 追加精査

化学療法 l

化学療法 2~3

サイクル

地固め化学療法 l±RT

mを考慮

または

膀胱摘除術 b,f

または

化学療法 l+RT

m

または

腫瘍を

認めない

生検または

CT でリンパ

節転移陰性

膀胱鏡検査、

TURBT および腹

部/骨盤領域の画

像検査による評価

リンパ節

転移陰性

化学療法 l±RT

mまたは化学療

法 lを変更

または

膀胱摘除術 b,f

cT4、 T4b

膀胱摘除術b,f

±化学療法 l

(cT4a症例に

限る)

腹部/ 骨盤部 CT

フォローアップ(BL-7)を参照

腫瘍を

認める

フォローアップ(BL-7)を参照

リンパ節

異常あり

リンパ節

生検を

考慮n

経過観察

または

放射線の追加

照射

または

膀胱摘除術 b,f

腫瘍を

認めない

膀胱鏡検査、

TURBT および腹

部/骨盤領域の画

像検査による

評価

化学療法 l また

は 化学療法 l+

RT m

生検また

は CT で

リンパ節

転移陽性

再発または治療抵抗例の治療(BL-7)を参照

腫瘍を

認める 骨スキャン

胸部CT

クレアチニ

ンクリアラ

ンス

リンパ節転移のみ

転移例 再発または治療抵抗例 の治療(BL-7)を参照 化学療法

l 播種性転移

b 外科的管理の原則(BL-A)を参照。 c 「c」という記号は、麻酔下双手診、内視鏡手術(生検または経尿道的

切除術)および画像検査での所見に基づく臨床病期であることを意味

する。「p」という記号は、膀胱摘除術およびリンパ節郭清での評価に

基づく病理学的病期であることを意味する。

BL-6

f 膀胱摘除術後のフォローアップ(BL-E)を参照。 l 化学療法による管理の原則(BL-G)を参照。 m 筋層浸潤癌の放射線療法による管理の原則(BL-H)を参照。 n 技術的に可能な場合。

ガイドライン索引

膀胱癌 目次

考察

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NCCN Guidelines™ Version 2.2011 膀胱癌

注:特に指定のない限り、すべての推奨はカテゴリー2Aである。

臨床試験:NCCNはすべてのがん患者にとって、最良の管理法は臨床試験にあると考えている。臨床試験への参加が特に推奨される。

2011年第 2版 02/09/11 著作権 © 2011 National Comprehensive Cancer Network, Inc. 無断転載を禁止する。NCCN®の明示の書面による許諾なく、本ガイドラインおよびここに含まれるイラストを複製することは、いかなる形においても禁じられている。

フォローアップ 再発または治療抵抗例 再発または治療抵抗例の治療

膀胱摘除術 b,f、手術適応外の場合は化学療法

l

または

RT(RTによる前治療歴がない場合)m

または

姑息的TURBT

浸潤性

局所再発例および

治療抵抗例;

膀胱温存 無効 肝機能検査、クレアチニン、電

解質、胸部X線を6~12ヵ月毎 o

再発発見を目的とした上部尿 a、

腹部および骨盤領域の画像検査

を3~6ヵ月毎に2年間 o、その後

は臨床的に適応となる場合に

施行

膀胱温存例では、膀胱鏡検査+

尿細胞診±ランダム生検を3~6

ヵ月毎に2年間、その後は間隔を

延ばして施行

膀胱摘除例の場合は、膀胱摘除

術後のフォローアップ(BL-E)

を参照

BCG膀胱内注入療法 h

または

膀胱摘除術 b,f

膀胱摘除術b,f

Tis、Ta

または T1

治癒を目指し

た治療が施行

された筋層浸

潤例および

一部の転移例

上部尿

路細胞

診陽性

上部尿路腫瘍 (UTT-1)を参照

追加評価:

尿管カテーテル挿入

による選択的上部尿

路洗浄細胞診

前立腺部尿道生検

細胞診陽性;

膀胱温存;

膀胱鏡検査、麻酔下

での診察、ランダム

生検陰性

前立腺部

尿道生検

陽性

前立腺の尿路上皮癌(UCP-1)を参照

膀胱摘除術後の

転移性または

局所再発 化学療法

lおよび/または RT

m

転移例

a 画像検査としては、IVP、CT尿路造影、腎超音波検査と逆行性腎盂造影、尿管鏡検査、MR尿路造影を単独または併用で施行する。 b 外科的管理の原則(BL-A)を参照。 f 膀胱摘除術後のフォローアップ(BL-E)を参照。 h 膀胱内注入療法の原則(BL-F)を参照。 l 化学療法による管理の原則(BL-G)を参照。 m 筋層浸潤癌の放射線療法による管理の原則(BL-H)を参照。 o 再発リスクを基に判断する。

BL-7

ガイドライン索引

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考察

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注:特に指定のない限り、すべての推奨はカテゴリー2Aである。

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TURBT:乳頭状腫瘍

high gradeの乳頭状病変の場合は、筋層を含めて十分に切除する

初回切除が不完全な場合、標本中に筋層が含まれない場合、または病変が大きい場合は、再切除を施行する

TURBT: Tis

多部位のランダム生検

腫瘍周辺部の生検

前立腺部尿道生検

TURBT:浸潤性

再切除:

異型度に関係なく、すべてのT1症例

生検標本中に筋層が含まれない場合

T2症例で切除片の大きさがリスク評価を行うのに十分でない場合

初回TURBTだけでは治療方針を選択するのに十分な病期診断や危険因子の評価が行えない場合、もしくは化

学療法および/またはRTによる膀胱温存治療を施行している場合には、再度のTURBTを考慮すべきである。

膀胱部分切除術

十分な切除縁を確保しながら部分切除できる位置に存在する、Tisのない単発病変

膀胱部分切除術と併せて骨盤リンパ節郭清術も施行するべきである。

根治的膀胱摘除術

根治的膀胱摘除術には、最低でも総、内、外腸骨リンパ節と閉鎖リンパ節を含めた両側のリンパ節郭清術を

含めるべきである。

外科的管理の原則

BL-A

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考察

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病理学的管理の原則

1973年版のWHO異型度分類でgrade 2に分類される腫瘍の多くは、現在の2004年版WHO分類および1998年のISUP/WHO

分類の下ではhigh gradeに分類される。

生検/TURBT標本の病理報告には、以下の点を明記すべきである:

標本中に固有筋層(排尿筋)が含まれているかどうか、また含まれている場合は腫瘍の筋層浸潤の有無

壁内リンパ管・静脈浸潤の有無

下方における上皮内癌の有無

BL-B

膀胱癌の異型度分類:新旧の分類法*

Modified Bergkvist 1987 WHO 1973 WHO/ISUP 1998 Consensus WHO, 2004

乳頭腫 grade 0 乳頭腫 乳頭腫

異型を伴う乳頭腫 grade 1 TCC grade 1 低悪性度乳頭状尿路上皮腫瘍

尿路上皮癌 grade 2A TCC grade 1 尿路上皮癌、low grade

尿路上皮癌 grade 2B TCC grade 2 尿路上皮癌、low gradeまたはhigh grade

尿路上皮癌 grade 3 TCC grade 3 尿路上皮癌、high grade

*出典:Droller MJ: Bladder Cancer, Current Diagnosis and Treatment. Totowa, NJ, 2001. With kind permission of Springer Science +

Business Media.

ガイドライン索引

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考察

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臨床試験:NCCNはすべてのがん患者にとって、最良の管理法は臨床試験にあると考えている。臨床試験への参加が特に推奨される。

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おおよその再発および進行の確率

BL-C

Ta, low grade 50% 軽微

Ta, high grade 60% 中等度

T1, low grade(まれ) 50% 中等度

T1, high grade 50~70% 中等度~高度

Tis 50~90% 高度

病理診断 5 年以内の

おおよその再発確率

筋層浸潤癌への

おおよその進行確率

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考察

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注:特に指定のない限り、すべての推奨はカテゴリー2Aである。

臨床試験:NCCNはすべてのがん患者にとって、最良の管理法は臨床試験にあると考えている。臨床試験への参加が特に推奨される。

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膀胱の非尿路上皮癌

BL-D

管理方針は尿路上皮癌の場合と同様であるが、以下の点に注意する:

混合型:

尿路上皮癌に純粋な扁平上皮癌、腺癌、micropapillary、nested、plasmacytoid、sarcomatoidなどの成分が混在する腫瘍は、急速に進

行する可能性があるため、正しく同定しておくべきである。

管理方針は膀胱の尿路上皮癌(BL-1)に従うが、膀胱温存を考慮した場合に完全奏効が得られる可能性は低い

純粋な扁平上皮癌:

膀胱摘除術、RTまたは他部位の扁平上皮癌の治療に一般的に使用される薬剤(5-FU、タキサン系、メトトレキサートなど)

腺癌:

根治的膀胱摘除術または膀胱部分切除術

尿路上皮癌に対する従来の化学療法(例、MVAC)は有効でないが、化学療法またはRTを個別に考慮すべきであり、

限定された症例では有益となる可能性がある。

代替療法または臨床試験への参加を検討する

小細胞癌成分を含む(または神経内分泌形態が認められる)場合:

小細胞癌用のレジメンによる術前または術後補助化学療法および局所治療(膀胱摘除術または放射線療法)

小細胞肺癌の場合と同様のレジメンによる初回化学療法(NCCN小細胞肺癌ガイドラインを参照)

尿膜管癌:

尿膜管の完全切除が必要である

尿路上皮癌に対する従来の化学療法は有効でないが、化学療法またはRTを個別に考慮すべきであり、限定された症例では有益となる

可能性がある。

原発性膀胱肉腫:

NCCN Soft Tissue Sarcoma Guidelinesに準じた治療

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考察

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膀胱摘除術後のフォローアップ

再発または治療抵抗例(BL-7 を参照)

BL-E

根治的膀胱摘除術の施行後

尿細胞診、クレアチニン、電解質を3~6ヵ月毎に2年間、その後は臨床的に適応となる場合に施行

胸部、腹部および骨盤部の画像検査を再発リスクに応じて3~12ヵ月毎に2年間、その後は臨床的に適応となる場合に施行

尿道洗浄細胞診を6~12ヵ月毎;特に膀胱または前立腺部尿道にTis病変が発見されていた場合

禁制型尿路変向術が施行された場合は、ビタミンB12欠乏症のモニタリングを年1回

膀胱部分切除術の施行後

以下に加えて、上記と同様のフォローアップを行っていく:

膀胱鏡検査および尿細胞診を3~6ヵ月毎に2年間、その後は実施間隔を延ばして適切な頻度で施行

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考察

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2011年第 2版 02/09/11 著作権 © 2011 National Comprehensive Cancer Network, Inc. 無断転載を禁止する。NCCN®の明示の書面による許諾なく、本ガイドラインおよびここに含まれるイラストを複製することは、いかなる形においても禁じられている。

膀胱内注入療法の原則

BL-F

適応:再発または筋層浸潤癌への進展の確率に基づく(大きさ、個数、異型度など)

即時膀胱内化学療法

切除後24時間以内に開始される

Ta, low grade腫瘍では、TUR後の施行により再発率が低下する

TURBTが広範囲に及んでいる場合もしくは膀胱穿孔が疑われる場合は施行すべきでない。

導入膀胱内化学療法

切除後3~4週目に開始される

完全奏効が得られない場合は、最大2回まで導入療法を行ってよい

維持療法の役割は不明である

導入膀胱内免疫療法

切除後3~4週目に開始される

カテーテル操作による尿道損傷、細菌尿、持続する肉眼的血尿、持続する重度の局所症状または全身症状を認める場合は、差し控えること

完全奏効が得られない場合は、最大2回まで導入療法を行ってよい

維持療法の有益性を示唆したデータも存在する

維持療法中にかなりの局所症状を認めた場合には、投与量の減量が推奨される

ガイドライン索引

膀胱癌 目次

考察

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臨床試験:NCCNはすべてのがん患者にとって、最良の管理法は臨床試験にあると考えている。臨床試験への参加が特に推奨される。

2011年第 2版 02/09/11 著作権 © 2011 National Comprehensive Cancer Network, Inc. 無断転載を禁止する。NCCN®の明示の書面による許諾なく、本ガイドラインおよびここに含まれるイラストを複製することは、いかなる形においても禁じられている。

化学療法による管理の原則

BL-G

一次化学療法(術前補助、術後補助、転移例)

ゲムシタビン+シスプラチン(望ましい、カテゴリー1)本レジメンをMVACと比較した1件の大規模ランダム化試験より、ゲムシタビン/シスプ

ラチンはMVACと比較して客観的奏効率と無増悪および全生存率で同等の有効性を有する一方、毒性プロファイルは良好であることが実証され

ている。この併用レジメンが大半の患者における一次療法の標準の選択肢とされている。

MVAC(メトトレキサート+ビンブラスチン+ドキソルビシン+シスプラチン)(カテゴリー1)。毒性に関する懸念から本レジメンの使用は

現在制限されているが、歴史的にみれば旧来のレジメンからの生存率および奏効率の改善に基づいた標準のレジメンである。

ゲムシタビン+シスプラチン+パクリタキセルなどの3剤レジメンについては、ゲムシタビン+シスプラチンに対する優越性は証明されていな

い。

腎機能が正常の場合は、シスプラチンをカルボプラチンで代用するべきではない。腎機能が微妙な患者や軽微な腎機能障害を認める患者には、

シスプラチンの分割投与を考慮してもよい(1および2日目または1および8日目に35mg/m 2など)(カテゴリー2B)。安全は高いものの、この

ような修正を加えた場合のシスプラチンを含む多剤併用レジメンの相対的な有効性は明らかにされていない。

内臓転移がみられECOGのPerformance Statusが2点以上である場合は、化学療法の結果は不良に終わることが強く予測される。

一方これらの予後不良因子を認めない患者では、化学療法の有益性は最も大きくなる。

筋層浸潤性膀胱癌患者における術前補助化学療法については、膀胱摘除術の施行前に3サイクルの投与を行った(放射線療法は施行されていな

い)ランダム化試験およびメタアナリシスにおいて、一定の生存期間の改善が示されている。

一次化学療法(代替レジメン)

腎機能障害を始めとする併存症のためにシスプラチンベースの化学療法を受けることのできない患者は、かなりの割合にのぼる。

そのような患者には、カルボプラチンとタキサン系薬剤をベースにしたレジメンあるいは単剤療法を考慮することができる。

二次化学療法(転移例)

この状況では標準療法は存在しない。新規薬剤の臨床試験への参加が推奨される。症状緩和を目的とした選択肢としては、一次療法の内容に応

じてブレオマイシン、シスプラチン、カルボプラチン、ドセタキセル、ドキソルビシン、5-フルオロウラシル、ゲムシタビン、イホスファミ

ド、パクリタキセル、ペメトレキセド、メトトレキサート、ビンブラスチンなどの単剤療法が挙げられる。

放射線増感剤を含む化学療法レジメン(選択的な膀胱温存を意図した放射線療法との同時併用治療に用いる)

一次化学療法

シスプラチン単剤またはシスプラチン+5-フルオロウラシル

マイトマイシンC+5-フルオロウラシル(カテゴリー2B)

代替レジメン

臨床試験

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考察

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NCCN Guidelines™ Version 2.2011 膀胱癌

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再発したTa~T1症例とびまん性のTis症例では、外照射療法はほとんど適切な治療法とならない。

外照射療法は水腎症を認めない患者で最も成功を収めやすい。

医学的な理由により手術が不可能な場合や緩和目的の場合にも、外照射療法を用いることができる。.

安全に施行できるならば、放射線照射前に最大限のTURを施行する。

また腫瘍細胞傷害作用を高めるために、化学療法と放射線療法の同時併用が推奨される。そのような治療は専門の集学的

チームによって行われるのが最も望ましい。

シミュレーションと治療は膀胱を空にした状態で施行する。

多門照射により直線加速器の高エネルギー放射線を照射する

膀胱全体と骨盤リンパ節または膀胱全体のみに対して40~45Gyを照射した後、可能ならば、膀胱の正常領域には高線量が

照射されないようにしつつ総線量が64~66Gyとなるように膀胱腫瘍に対して追加照射を行う。

浸潤性腫瘍に対して部分切除術を行う場合は、低線量での術前放射線療法を考慮する(カテゴリー2B)。

BL-H

筋層浸潤癌の放射線療法による管理の原則

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考察

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上部尿路腫瘍

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精査 初回治療

膀胱カフ切除を伴う

腎尿管摘除術

または

ネフロン温存手術

または

内視鏡的切除術±術後の

抗がん剤またはBCGの

腎盂内注入療法

Low gradeb

手術可能

上部尿路の画像検査a

細胞診

膀胱鏡検査

腎機能検査

胸部X線

CBC、生化学検査

腎スキャン(任意)

酵素値の異常または

骨症候を認める場合は

骨スキャン

膀胱カフ切除を伴う腎尿管摘

除術+所属リンパ節郭清術、

さらに限定された症例では

術前補助化学療法cを考慮

術後補助療法およびフォローアップ(UTT-3)を参照

high gradeb、

大きい、

または実質浸潤あり 腎盂の

腫瘍

化学療法c 転移例

a 画像検査としては、IVP、CT尿路造影、逆行性腎盂造影、尿管鏡検査、MR尿路造影を単独または併用で施行する。

b Montironi R, Lopez-Beltran A. The 2004 WHO classification of bladder tumors: A summary and commentary. Int J Surg Pathol 2005;13:143-153. 病理学

的管理の原則(BL-B)を参照。 c 化学療法による管理の原則(BL-G)を参照。

UTT-1

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考察

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NCCN Guidelines™ Version 2.2011

上部尿路腫瘍

注:特に指定のない限り、すべての推奨はカテゴリー2Aである。

臨床試験:NCCNはすべてのがん患者にとって、最良の管理法は臨床試験にあると考えている。臨床試験への参加が特に推奨される。

2011年第 2版 02/09/11 著作権 © 2011 National Comprehensive Cancer Network, Inc. 無断転載を禁止する。NCCN®の明示の書面による許諾なく、本ガイドラインおよびここに含まれるイラストを複製することは、いかなる形においても禁じられている。

膀胱カフ切除を伴う腎尿管摘除術および

high grade症例なら所属リンパ節郭清術、

さらに限定された症例では術前補助化学療

法cを考慮

または 内視鏡的切除術

上部尿管

上部尿路の画像検査a

細胞診

膀胱鏡検査

腎機能検査

腎スキャン(任意)

胸部X線

CBC、生化学検査

酵素値の異常または

骨症候を認める場合は

骨スキャン

切除術と尿管尿管吻合術 または 内視鏡的切除術 または 膀胱カフ切除を伴う腎尿管摘除術、さらに所属リンパ節郭清術を考慮

Low gradeb

尿管の

尿路上皮癌 中部

尿管

膀胱カフ切除を伴う腎尿管摘除術および所

属リンパ節郭清術、さらに限定された症例

では術前補助化学療法cを考慮

High grade b

下部尿管切除術およびhigh grade症例なら

所属リンパ節郭清術ならびに尿管膀胱新吻

合術(臨床的に可能ならば望ましい)、さ

らに限定された症例では術前補助化学療法c

を考慮

または 内視鏡的切除術(low grade) または 膀胱カフ切除を伴う腎尿管摘除術および high grade症例なら所属リンパ節郭清術、 さらに限定された症例では術前補助化学療法

cを考慮

下部尿管

a 画像検査としては、IVP、CT尿路造影、逆行性腎盂造影、尿管鏡検査、MR尿路造影を単独または併

用で施行する。 b

Montironi R, Lopez-Beltran A. The 2004 WHO classification of bladder tumors: A summary and

commentary. Int J Surg Pathol 2005;13:143-153. 病理学的管理の原則(BL-B)を参照。 c 化学療法による管理の原則(BL-G)を参照。

UTT-2

術後補助療法およびフォローアップ(UTT-3)を参照

ガイドライン索引

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考察

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NCCN Guidelines™ Version 2.2011

上部尿路腫瘍

注:特に指定のない限り、すべての推奨はカテゴリー2Aである。

臨床試験:NCCNはすべてのがん患者にとって、最良の管理法は臨床試験にあると考えている。臨床試験への参加が特に推奨される。

2011年第 2版 02/09/11 著作権 © 2011 National Comprehensive Cancer Network, Inc. 無断転載を禁止する。NCCN®の明示の書面による許諾なく、本ガイドラインおよびここに含まれるイラストを複製することは、いかなる形においても禁じられている。

®

病理学的病期d 補助療法 フォローアップ

膀胱鏡検査を3ヵ月毎に1年間、

その後は間隔を延ばして施行

上部尿路の画像検査a,を3~12ヵ

月毎(内視鏡的切除術の場合)

±CTまたはMRI

±胸部X線

pT0, pT1 なし

腎盂および尿管

のTCCに対する

初回治療

膀胱鏡検査を3ヵ月毎に1年間、

その後は間隔を延ばして施行

上部尿路の画像検査aを3~12ヵ月毎

±CTまたはMRI

±胸部X線

補助化学療法c, e

±RT を考慮

pT2, pT3,

pT4, pN+

a 画像検査としては、IVP、CT尿路造影、逆行性腎盂造影、尿管鏡検査、MR尿路造影を単独または併用で施行する。

c 化学療法による管理の原則(BL-G)を参照。

d 記号「p」は、それが膀胱切除術とリンパ節郭清術に基づいた病理学的病期であることを意味する。

e 転移を否定できる十分な病期診断を行った後に、補助化学療法に関する推奨事項に従うこと。

UTT-3

ガイドライン索引

膀胱癌 目次

考察

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NCCN Guidelines™ Version 2.2011 前立腺の尿路上皮癌

ガイドライン索引

膀胱癌 目次

考察

注:特に指定のない限り、すべての推奨はカテゴリー2Aである。

臨床試験:NCCNはすべてのがん患者にとって、最良の管理法は臨床試験にあると考えている。臨床試験への参加が特に推奨される。

2011年第 2版 02/09/11 著作権 © 2011 National Comprehensive Cancer Network, Inc. 無断転載を禁止する。NCCN®の明示の書面による許諾なく、本ガイドラインおよびここに含まれるイラストを複製することは、いかなる形においても禁じられている。

精査 病理診断 追加精査 初回治療

膀胱前立腺摘除術

±尿道切除術

±術前補助化学

療法 b

間質浸潤 術後補助化学療法 b

を考慮 胸部 X線/CT

直腸指診

膀胱鏡検査(膀胱生検を

含む)

間質を含めた前立腺の

TUR生検

PSA

DREが異常の場合は針生

検(限定された症例

のみ)

上部尿路の画像検査a

前立腺の

尿路上皮癌

膀胱前立腺摘除術

±尿道切除術または

TURPおよびBCG

導管+

腺房

膀胱前立腺摘除術±

尿道切除術 胸部 X線±CT 再発

前立腺部

尿道 膀胱前立腺摘除術±

尿道切除術 TURP + BCG 再発

a 画像検査としては、IVP、CT尿路造影、逆行性腎盂造影、尿管鏡検査、MR尿路造影を単独または併用で施行する。

b 化学療法による管理の原則(BL-G)を参照。

UCP-1

ガイドライン索引

膀胱癌 目次

考察

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NCCN Guidelines™ Version 2.2011膀胱癌

病期分類

2011年第 2版 02/09/11 著作権 © 2011 National Comprehensive Cancer Network, Inc. 無断転載を禁止する。NCCN®の明示の書面による許諾なく、本ガイドラインおよびここに含まれるイラストを複製することは、いかなる形においても禁じられている。

イリノイ州シカゴのAmerican Joint Committee on Cancer(AJCC)の許可を得て使用。この情報の原本および一次資料は、Springer Science and Business Media LLC(SBM)発

行のAJCC Cancer Staging Manual 第7版(2010年)である。(更に詳しい情報は www.springer.comを参照。)本資料の引用についてはすべて、出典としてAJCCを表記しなけれ

ばならない。ここに本情報を掲載することは、AJCCの代理人であるSpringer SBM社の書面での許可無くして、再利用および再頒布を行うことを是認するものではない。

ST-1

膀胱癌のAmerican Joint Committee on Cancer(AJCC) TNM病期分類(第7版、2010年)

原発腫瘍(T)

TX 原発腫瘍の評価が不可能である

T0 原発腫瘍を認めない

Ta 非浸潤性の乳頭状癌

Tis 上皮内癌:「flat tumor」

T1 腫瘍が上皮下結合組織まで浸潤している

T2 腫瘍が固有筋層まで浸潤している

pT2a 腫瘍が固有筋層の浅層(内側半分)まで浸潤している

pT2b 腫瘍が固有筋層の深層(外側半分)まで浸潤している

T3 腫瘍が膀胱周囲脂肪組織まで浸潤している

pT3a 顕微鏡的浸潤

pT3b 肉眼的浸潤(膀胱外腫瘤)

T4 腫瘍が前立腺間質、精嚢、子宮、膣、骨盤壁、腹壁のいずれかに浸潤している

T4a 腫瘍が前立腺間質、子宮、膣のいずれかに浸潤している

T4b 腫瘍が骨盤壁、腹壁のいずれかに浸潤している

所属リンパ節(N)

所属リンパ節には、一次リンパ流域だけでなく二次リンパ流域も含まれる。大動脈分

岐部より上方に位置するその他のリンパ節は、すべて遠隔リンパ節とする。

NX リンパ節の評価が不可能

N0 リンパ節転移を認めない

N1 小骨盤内の所属リンパ節(内腸骨、閉鎖、外腸骨、正中仙骨リンパ節)の1つ

に転移を認める

N2 小骨盤内の所属リンパ節(内腸骨、閉鎖、外腸骨、正中仙骨リンパ節)の複数

に転移を認める

N3 総腸骨リンパ節への転移を認める

遠隔転移(M)

M0 遠隔転移を認めない

M1 遠隔転移を認める

表1

ガイドライン索引

膀胱癌 目次

考察

解剖学的病期/予後分類

0a 期 Ta N0 M0

0is 期 Tis N0 M0

I 期 T1 N0 M0

II 期 T2a N0 M0 T2b N0 M0

III 期 T3a N0 M0 T3b N0 M0 T4a N0 M0

IV期 T4b N0 M0

すべての T N1-3 M0

すべての T すべての N M1

次ページにつづく

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NCCN Guidelines™ Version 2.2011膀胱癌

病期分類

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表1(つづき)

イリノイ州シカゴのAmerican Joint Committee on Cancer(AJCC)の許可を得て使用。この情報の原本および一次資料は、Springer Science and Business Media LLC(SBM)発

行のAJCC Cancer Staging Manual 第7版(2010年)である。(更に詳しい情報は www.springer.comを参照。)本資料の引用についてはすべて、出典としてAJCCを表記しなけれ

ばならない。ここに本情報を掲載することは、AJCCの代理人であるSpringer SBM社の書面での許可無くして、再利用および再頒布を行うことを是認するものではない。

ST-2

膀胱癌のAmerican Joint Committee on Cancer(AJCC) TNM病期分類(第7版、2010年)

臨床病期分類

原発巣の評価には、内視鏡手術(生検または経尿道的切除術)の前後に行う

麻酔下での双手診と、適応となる場合は腫瘍の有無に関する組織学的な検証

が含まれる。

その内視鏡手術の施行後に行う双手診が臨床病期の指標となる。膀胱壁の肥

厚、可動性のある腫瘤、可動性のない腫瘤という所見は、それぞれT3および/

またはT4病変の存在を示唆する。臨床病期の診断には、原発巣の膀胱外進展

の検出とリンパ節の評価を可能にする適切な画像診断法を組み込むべきであ

る。適応となる場合の遠隔転移の評価には、胸部の画像検査、生化学検査、

ならびに転移好発部位の病巣検出が可能な核医学検査が含まれる。

病理学的病期分類

顕微鏡下での進展度の検索および確認が求められる。病理学的病期の診断に

は、一般に膀胱全摘除とリンパ節郭清が必要である;しかしながら、膀胱部

分切除時の標本についても病理学的な病期分類が行われるべきである。患側

か対側かはN分類に影響しない。

組織学的異型度(G)

尿路上皮腫瘍の組織学的分類については、World Health

Organization/International Society of Urologic Pathology(WHO/ISUP)が推

奨する現行の異型度分類法に合わせて、次のようにlow gradeとhigh gradeに

分ける分類法が採用されている:

LG low grade HG high grade

異型度について特に分類法を明記していない場合は、一般に次の分類法を

採用している:

GX 異型度の評価が不可能

G1 高分化

G2 中分化

G3 低分化

G4 未分化

組織型

組織型は以下の通りである:

尿路上皮(移行上皮)癌

上皮内

乳頭状

平坦型

扁平上皮分化を示すもの

腺上皮分化を示すもの

扁平上皮および腺上皮分化を示すもの

扁平上皮癌

腺癌

未分化癌

最も頻度が高い癌は尿路上皮(移行上皮)癌である。

組織学的亜型としてはmicropapillaryやnestedなども含まれる。

ガイドライン索引

膀胱癌 目次

考察

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NCCN Guidelines™ Version 2.2011膀胱癌

病期分類

2011年第 2版 02/09/11 著作権 © 2011 National Comprehensive Cancer Network, Inc. 無断転載を禁止する。NCCN®の明示の書面による許諾なく、本ガイドラインおよびここに含まれるイラストを複製することは、いかなる形においても禁じられている。

イリノイ州シカゴのAmerican Joint Committee on Cancer(AJCC)の許可を得て使用。この情報の原本および一次資料は、Springer Science and Business Media LLC(SBM)発

行のAJCC Cancer Staging Manual 第7版(2010年)である。(更に詳しい情報は www.springer.comを参照。)本資料の引用についてはすべて、出典としてAJCCを表記しなけれ

ばならない。ここに本情報を掲載することは、AJCCの代理人であるSpringer SBM社の書面での許可無くして、再利用および再頒布を行うことを是認するものではない。

ST-3

膀胱癌のAmerican Joint Committee on Cancer(AJCC) 腎盂尿管癌のTNM病期分類(第7版、2010年)

原発腫瘍(T)

TX 原発腫瘍の評価が不可能である

T0 原発腫瘍を認めない

Ta 乳頭状の非浸潤癌

Tis 上皮内癌

T1 腫瘍が上皮下結合組織まで浸潤している

T2 腫瘍が筋層まで浸潤している

T3 (腎盂の場合)腫瘍が筋層を越えて腎盂周囲脂肪組織または腎実質

まで浸潤している

(尿管の場合)腫瘍が筋層を越えて尿管周囲脂肪組織まで浸潤して いる

T4 腫瘍が隣接臓器まで、または腎臓を介して腎周囲脂肪組織まで浸潤 して

いる。

所属リンパ節(N) *

NX 所属リンパ節の評価が不可能

N0 所属リンパ節への転移を認めない

N1 最大径が2cm以下のリンパ節転移を1つ認める

N2 最大径が2cmを超えるが5cmは超えないリンパ節転移を1つ認める;

または最大径が5cmを超えないリンパ節転移を複数認める

N3 最大径が5cmを超えるリンパ節転移を認める

*注: 患側か対側かはN分類に影響しない。

遠隔転移(M)

M0 遠隔転移を認めない

M1 遠隔転移を認める

解剖学的病期/予後分類

0a 期 Ta N0 M0

0is 期 Tis N0 M0

I 期 T1 N0 M0

II 期 T2 N0 M0

III 期 T3 N0 M0

IV期 T4 N0 M0

すべての T N1 M0

すべての T N2 M0

すべての T N3 M0

すべての T すべての N M1

次ページにつづく

表2

ガイドライン索引

膀胱癌 目次

考察

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NCCN Guidelines™ Version 2.2011膀胱癌

病期分類

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行のAJCC Cancer Staging Manual 第7版(2010年)である。(更に詳しい情報は www.springer.comを参照。)本資料の引用についてはすべて、出典としてAJCCを表記しなけれ

ばならない。ここに本情報を掲載することは、AJCCの代理人であるSpringer SBM社の書面での許可無くして、再利用および再頒布を行うことを是認するものではない。

ST-4

膀胱癌のAmerican Joint Committee on Cancer(AJCC) 腎盂尿管癌のTNM病期分類(第7版、2010年)

組織学的異型度(G)

尿路上皮腫瘍の組織学的分類については、World Health Organization/International

Society of Urologic Pathology(WHO/ISUP)が推奨する現行の異型度分類法に

合わせて、次のようにlow gradeとhigh gradeに分ける分類法が採用されている:

LG Low grade HG High grade

異型度について特に分類法を明記していない場合は、一般に次の分類法を

採用している:

GX 異型度の評価が不可能 G1 高分化 G2 中分化 G3 低分化 G4 未分化

組織型

組織型は以下の通りである:

尿路上皮(移行上皮)癌

上皮内

乳頭状 平坦型 扁平上皮分化を示すもの 腺上皮分化を示すもの 扁平上皮および腺上皮分化を示すもの

扁平上皮癌 腺癌 未分化癌

最も頻度が高い癌は尿路上皮(移行上皮)癌である。 組織学的亜型としてはmicropapillaryやnestedなども含まれる。

表2(つづき)

ガイドライン索引

膀胱癌 目次

考察

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膀胱癌

MS-1

ガイドライン索引

膀胱癌 目次

考察 考察

NCCN のエビデンスとコンセンサスによるカテゴリー

カテゴリー1:高レベルのエビデンス(例、ランダム化比較試験)に基づ

く推奨で、NCCN の統一したコンセンサスが存在する。

カテゴリー2A:比較的低レベルのエビデンスに基づく推奨で、NCCN の

統一したコンセンサスが存在する。

カテゴリー2B:比較的低レベルのエビデンスに基づく推奨で、NCCN の

統一したコンセンサスは存在しない(ただし大きな意見の不一致もな

い)。

カテゴリー3:いずれかのレベルのエビデンスに基づく推奨ではあるが、

大きな意見の不一致がある。

特に指定のない限り、すべての推奨はカテゴリー2Aである。

概要

2010 年に米国において新たに膀胱癌と診断される症例数は 70,530

例(男性 52,810 例、女性 18,170 例)と推定されている 1,2。米国

では、膀胱癌は男性で 4 番目に多い癌であり、女性の 3 倍多くみら

れる。同期間における膀胱癌による死亡数は、約 14,680 例(男性

10,410 例、女性 4,270 例)と予測されている。40 歳未満で膀胱癌

が診断されることはまれである。診断時年齢の中央値が 65 歳であ

ることから、患者管理において併存症の存在がしばしば問題となる2。

膀胱癌は臨床的に 3 つのカテゴリーに分類でき、それぞれで予後、

管理方針および治療目標が異なる。第 1 のカテゴリーは筋層非浸潤

癌であり、この場合は再発および病期進行の予防を目標とした治療

が行われる。第 2 のカテゴリーは筋層浸潤癌であり、治療に際して

は、膀胱摘除術を行うか、生存の可能性を損なわずに膀胱温存を図

るかを決定することと、原発巣に対する局所治療のみで管理可能で

あるか、遠隔転移のリスクが高く治癒の可能性を高めるには全身的

なアプローチが必要であるかを見極めることが重要である。第 3 の

カテゴリーは転移性膀胱癌であり、この場合は、いかにして患者の

余命を延長していくかが治療上重要となる。本疾患では、作用機序

の異なる多数の薬剤で膀胱癌に対する抗腫瘍効果が認められている。

それらの薬剤を用いていかに最善の成績を得るかが現在の課題とな

っている。

組織学

尿路上皮腫瘍の 90%以上は膀胱から発生したものであり、8%が腎

盂、残りの 2%が尿管および尿道から発生する。尿路上皮(移行上

皮)癌は、米国で最も頻度の高い組織型であり、移行上皮の存在す

る部位であれば腎盂から尿管、膀胱、尿道の近位 3 分の 2 に至るま

で、どこからでも発生しうる。尿道の遠位 3 分の 1 は主に扁平上皮

によって構成される。扁平上皮腫瘍は米国で診断される尿路腫瘍の

3%を占めており、その診断には病理標本中で角化の存在を確認す

ることが求められる。

その他の組織型としては、腺癌が 2%、小細胞腫瘍(腫瘍随伴症候

群を伴うことがある)が 1%を占める。腺癌は膀胱頂部の尿膜管遺

残組織や尿道周囲組織から発生する場合が多く、また印環細胞成分

を伴うこともある。尿路上皮腫瘍ではしばしば異なる組織型の混在

がみられるが、具体的な亜型としては、尿路上皮(移行上皮)癌、

扁平上皮癌、腺癌のほか、最近になって認識されるようになった

nested、micropapillary、sarcomatoid などがある 3。このような腫

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膀胱癌

MS-2

ガイドライン索引

膀胱癌 目次

考察 瘍は尿路上皮癌として治療すべきである。

尿路上皮(移行上皮)癌の治療に用いられる全身化学療法のレジメ

ンは一般に、腺癌や扁平上皮癌など非尿路上皮(非移行上皮)癌成

分のみで構成される腫瘍に対しては無効である。一部の混合型症例

では、全身治療の施行後に非尿路上皮(非移行上皮)癌成分だけが

残存することがある。

臨床像および精査

膀胱癌患者の主症状として最も多いのは顕微鏡的血尿であるが、膀

胱刺激や膀胱容量の減少が原因で頻尿を来たす場合もある。頻度は

やや低くなるが、尿路感染症が主症状となる場合もあり、また進行

例では上部尿路の閉塞や疼痛も起こりうる。これらの症状を認める

患者には、病変の有無を確認すべく外来検査として膀胱鏡による評

価を行うべきである。病変が確認された場合は、確定診断と膀胱内

の進展度評価を目的として経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)を

施行すべきである。膀胱鏡検査の最中に尿細胞診を施行してもよい。

膀胱鏡検査において腫瘍の肉眼形態が充実性(広基性)、 high

grade と判定される場合、もしくは肉眼形態から筋層浸潤が示唆さ

れる場合は、TURBT の前に腹部および骨盤部の CT(コンピュータ

断層撮影)または MRI(磁気共鳴映像法)を施行することが推奨さ

れる。純粋な乳頭状腫瘍の場合、もしくは粘膜面の異常だけを認め

る(上皮内癌[CIS]が示唆される)場合は、CT の結果によって管

理方針が変更されるのがまれであることから、これらの状況では

CT は推奨されない。全例を対象とした更なる精査には、尿細胞診

(未施行の場合)ならびに静脈性腎盂造影(IVP)、腎超音波検査と

逆行性腎盂造影、CT 尿路造影、および尿管鏡検査または MR 尿路

造影による上部尿路の評価を含めるべきである。CT 尿路造影は、

従来法である静脈性尿路造影に代わる検査法として用いられている。

特に上部尿路に発生した浸潤性腫瘍では、CT 尿路造影で IVP より

多くの情報を得ることができる。しかしながら、CT 尿路造影には

IVP と比べて放射線被曝量が遥かに多いという欠点も存在する。

麻酔下での双手診(EUA)とともに TURBT を施行して、可視的腫

瘍を切除するとともに、浸潤の有無を評価するために腫瘍占拠部位

から筋層組織を採取する。大きな乳頭状腫瘍を認める場合は、完全

な腫瘍切除に複数回の切除操作が必要になることもある。CIS を認

める場合は、腫瘍存在部位の多様性についての評価を目的として、

腫瘍周辺部の生検と多部位ランダム生検を施行してもよい。さらに

経尿道的切除術(TUR)による前立腺生検も考慮してよい。最後に、

筋層浸潤癌を認めた場合は、筋層を十分に含む組織標本が採取され

ている必要がある。筋線維をわずかしか含まない小さな腫瘍片では、

深達度を評価し、推奨治療の選択の判断材料とするには不十分であ

る。

血中アルカリホスファターゼ値の上昇がみられる場合は、骨スキャ

ンなどの追加的な診断検査も施行するべきである。その後は、腫瘍

の進展度に応じて筋層非浸潤性、筋層浸潤性、転移性という 3 つの

大きなカテゴリーに分けて治療方針の決定を進めていく。筋層浸潤

癌が疑われる場合には、胸部画像検査の適応となる。

尿細胞診での陽性所見は、尿路内のどこかに尿路上皮腫瘍が存在す

る可能性を示唆する。細胞診は陽性となるが膀胱鏡検査は正常とな

る場合は、上部尿路と男性では前立腺の評価を行う必要があり、さ

らに尿管鏡検査を考慮する必要がある。

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膀胱癌

MS-3

ガイドライン索引

膀胱癌 目次

考察 膀胱癌の管理方針は、生検標本の病理所見に基づいて、組織型、異

型度および深達度を考慮しながら決定する。これらの因子は再発お

よび病期進行の確率の推定に用いられる。倍数性、血管分布、p53

の状態、その他の尿中マーカー(例、NMP-22、BTA、M344)、

FISH 法による染色体変化については、臨床的な有益性が確認され

ていないことから、実験的なプロトコルという状況を除き、治療方

針決定の判断材料としては使用されていない。

病理および自然史

新しく発見される症例の約 70%は外方増殖性の乳頭状腫瘍であり、

その多くは粘膜内に限局したもの(Ta)(70%)で、粘膜下組織に

まで浸潤したもの(T1)はやや少ない(30%)4。 これらの腫瘍は

脆弱である傾向があり、非常に出血を起こしやすい。その自然史は

膀胱内の同一または別の部位における再発傾向が特徴的であり、再

発時の病期は初発時と同じこともあれば、より進行していることも

ある。

粘膜または粘膜下組織に限局した乳頭状腫瘍は、一般に内視鏡によ

る完全切除によって管理される。病期が進行すると局所症状が現れ

るようになり、頻度は低くなるが、転移巣の関係する症状が出現す

ることもある。

腫瘍が粘膜内に限局している患者の 10~70%は、5 年以内に尿路上

皮(移行上皮)癌の再発または新規発生を経験すると推定されてい

る。これらの進行の確率は、初発時の病期および異型度、腫瘍の大

きさ、多発か否かに応じて異なる。現在、個々の患者における進行

確率の推定精度を向上させるための研究が活発に行われている 5。

病期分類および異型度分類

現在最も頻用されている病期分類法は、アルゴリズムに示した

American Joint Committee on Cancer(AJCC)による TNM 分類 6

である。

腫瘍の異型度は、再発および進行の可能性を反映するという点で重

要な予後予測因子と認識されている。これまでに最も広く使用され

てきた筋層非浸潤性尿路上皮腫瘍の異型度分類は、1973 年の世界

保健機関(WHO)分類である。この分類法は乳頭腫および Grade

1, 2, 3 の癌という項目から成る。2004 年には、WHO および

International Society of Urological Pathology(ISUP)によって、

乳頭状腫瘍の改訂版コンセンサス分類が公表され、勧告が出された7。この分類法では、乳頭腫と比較して尿路上皮の重層化が著しい

ものの悪性を示唆する細胞学的所見を欠く病変を表す新しいカテゴ

リーとして、低悪性度乳頭状尿路上皮腫瘍が設けられた。この

2004 年版の WHO 分類では、Grade 2 病変の一部は low grade に、

残りは high grade に分類される。この新しい分類法は、予後予測

の精度を向上させる可能性を秘めているが、実際に診断を行う病理

医に依存している。2004 年版の WHO 分類については臨床試験に

よる妥当性の検証がまだなされていないため、現時点では 1973 年

版および 2004 年版の WHO 分類の両方が異型度分類に用いられて

いる。表 1「病理学的管理の原則」において個々の分類法を比較し

ている。第 7 版の AJCC 病期分類では、従来の 4 段階の異型度分類

から、現行の WHO/ISUP 推奨の異型度分類と整合した分類法に改

められている。

病期および異型度の診断が完了したら、病変の深達度および進展度

に基づいて治療方針を決定する。

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膀胱癌

MS-4

ガイドライン索引

膀胱癌 目次

考察 治療

膀胱癌の治療には泌尿器外科、放射線科および腫瘍内科の関与が必要

となる。複雑な治療戦略の多くは、集学的チームが担当することによ

って最善の結果が得られるようになる。手術、膀胱摘除術後のフォロ

ーアップ、膀胱内注入療法、化学療法ならびに放射線療法についての

一般原則をアルゴリズムの中で解説している。

筋層非浸潤性膀胱癌の治療

通常、筋層非浸潤癌は診察では発見できない。筋層非浸潤癌は、非浸

潤性の乳頭腫または乳頭状癌(Ta)、固有層まで浸潤した腫瘍(T1)お

よび上皮内癌(CIS)に分けられる 8。これらの腫瘍はかつて表在性

(superficial)腫瘍と呼ばれていたが、これは不正確な用語であり、使

用すべきでない。乳頭状または T1 腫瘍を認める症例の一部では、上皮

内癌成分(Tis)の随伴が証明される。

筋層非浸潤癌は、初回評価での膀胱鏡検査と細胞診によって診断でき

る場合もある。一旦疑われたならば、上部尿路の画像検査を施行する

必要がある。以上に加えて、広基性または high grade の腫瘍が疑われ

る場合には、経尿道的膀胱腫瘍切除術(TURBT)の前に骨盤部 CT を

施行する必要がある。

Ta、T1、Tis 症例に対する標準治療は TURBT である。これは確定診断、

病期診断および可視病変の治療を目的として施行される。麻酔下での

双手診(EUA)とともに TURBT を施行して、可視的な腫瘍を切除す

るとともに、浸潤の有無を評価するために腫瘍占拠部位から筋層組織

を採取する。男性の Ta、T1、Tis 膀胱腫瘍患者では、前立腺部尿道お

よび前立腺導管への浸潤も報告されている。そのリスクは膀胱頸部に

腫瘍が発生した症例でより高くなる。したがって、細胞診所見が広基

性、high gradeである場合と Tisが疑われる場合には、ランダム生検と

前立腺の TUR生検を考慮する必要がある。

TUR または生検で得られた組織標本の臨床的検討は、膀胱癌の診断お

よびその後の管理に重要である。病期を示す記号の前に「c」と付記さ

れている場合は、それが麻酔下での双手診と内視鏡手術(生検または

TUR)ならびに画像検査の結果に基づいた臨床病期であることを意味

する。一方「p」と付記されている場合は、それが膀胱摘除術とリンパ

節郭清術による組織診断に基づいた病理学的病期であることを意味す

る。

初回の TUR にて high grade の T1 腫瘍が発見された場合は、またおそ

らくは Ta 腫瘍が発見された場合にも、セカンド TUR を施行する。し

かしながら、深達度と異型度によっては膀胱内注入療法が推奨される

場合もある。この提案は再発(すなわち膀胱内での新たな腫瘍の発

生)および病期進行(通常は筋層浸潤癌への進行)の確率の推定に基

づいたものであり、これらの事象はそれぞれ個別に考慮すべきである。

Ta, low grade症例で膀胱摘除術が考慮されることはまれである。

膀胱内注入療法が施行される状況としては、大きく分けて、内視鏡下

での完全切除後に予防ないし術後補助療法として施行する場合と、ま

れではあるが、完全切除しえなかった残存病変の根絶を目標として施

行する場合の 2 つがある。公表データのほとんどが再発の予防や異型

度の上昇または病期進行の遅延を目標とした予防ないし術後補助療法

でのものであることから、これらの状況を区別して考えることは重要

である。再発の可能性が低い患者や進行が緩徐な患者では、膀胱内注

入療法は多くの場合、過剰治療となる可能性がある。Bacillus

Calmette-Guérin(BCG)は、TURBT 後の膀胱癌再発に対する予防法

として有効であることが示されている。異型度の異なる複数の組織型

を認める筋層非浸潤癌の管理については、以降の節において概要を示

す。

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2011年第 2版 02/09/11 著作権 © 2011 National Comprehensive Cancer Network, Inc. 無断転載を禁止する。NCCN®の明示の書面による許諾なく、本ガイドラインおよびここに含まれるイラストを複製することは、いかなる形においても禁じられている。

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膀胱癌

MS-5

ガイドライン索引

膀胱癌 目次

考察 cTa, low grade 腫瘍

経尿道的切除術が cTa, low grade 腫瘍に対する標準治療である。

cTa, low grade 腫瘍は完全な TUR だけで根絶しうるが、再発のリ

スクが比較的に高い。したがって当委員会は、TUR 施行後には経過

観察に加えて、切除後 24 時間以内の即時膀胱内化学療法(免疫療

法ではない)の単回施行を考慮すべきであると推奨する。Ta, low

grade 腫瘍では、膀胱内注入療法の即時(TUR 後 24 時間以内)施

行によって再発リスクが低下する。7 件のランダム化試験をまとめ

たメタアナリシスにて、単発例か多発例かを問わず即時膀胱内注入

療法は再発リスクを 12%(48%から 36.7%に)低下させたことが

確認されている 9。また即時膀胱内化学療法の施行後に、6 週間の

導入膀胱内化学療法を施行してもよい。マイトマイシン C が最も頻

用されている薬剤であり、これらの患者では免疫療法は推奨されな

い。

術後補助療法の必要性は患者の予後に依存しており、再発リスクが

低い患者であれば、単回の即時膀胱内注入療法で十分である可能性

もある。考慮すべき因子としては、腫瘍の大きさ、個数、異型度に

加えて、併存する CIS、リンパ管浸潤、前立腺部尿道病変などがあ

る 10。再発リスクの軽減という点での術後補助膀胱内化学療法の有

効性は、複数のメタアナリシスにて確認されている 11,12。TURBT

が広範囲に及んだ場合もしくは膀胱穿孔が疑われる場合は、即時膀

胱内注入療法は控えるべきである。

病期進行のリスクは低いものの、全例に対して綿密なフォローアッ

プが必要である。そのため、膀胱鏡検査をまず 3 ヵ月後の時点に施

行し、その後は間隔を延ばして行っていくことが勧められる。

cTa, high grade 腫瘍

cTa, high grade 病変と診断される腫瘍は、再発および浸潤リスクが比

較的高い乳頭状腫瘍である。研究データによると、TUR 標本中に固有

筋層が含まれていない場合には、そうした症例の 20~40%に残存腫瘍

および/または未検出の筋層浸潤性病変が存在していると示唆されてい

る 13,14。切除が不完全に終わった場合もしくは標本中に筋層組織が含

まれていない場合には、再切除が推奨される。

Ta, high grade 症例の TUR 施行後の管理としては、経過観察に加えて、

BCG またはマイトマイシン C の膀胱内注入による治療を施行してもよ

い。文献的には、4 件のメタアナリシスにより、high grade の Ta およ

び T1 腫瘍の再発予防という点では TUR 後に BCG 療法を施行する治

療が TUR 単独および TUR+(膀胱内)化学療法よりも優れているこ

とが確認されている 15-18。NCCN 膀胱癌委員会は、high grade 腫瘍に

対する望ましい術後補助療法の選択肢として BCGを推奨している。

フォローアップについては、尿細胞診および膀胱鏡検査を最初の 2 年

間は 3~6 ヵ月毎、その後は実施間隔を延ばした適切な頻度で施行して

いくことが推奨される。また high grade 腫瘍の場合は、上部尿路の画

像検査を 1~2 年毎に施行していくことも考慮すべきである。現在では

尿路上皮腫瘍の尿中マーカーの測定も利用可能である 19。そのほとん

どは尿細胞診と比べて膀胱癌の検出感度は良好であるものの、特異度

は低い。しかしながら、筋層非浸潤癌の発見および管理に有用となる

情報が尿中腫瘍マーカー検査によって新たに得られるのか否かについ

ては、依然として不明である。したがって NCCN 膀胱癌委員会は、こ

の検査をカテゴリー2Bの推奨としている。

cT1 腫瘍

T1 腫瘍は、粘膜下結合組織(固有層とも呼ばれる)まで浸潤した腫瘍

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膀胱癌

MS-6

ガイドライン索引

膀胱癌 目次

考察 である。組織学的な分化度に基づけば、cT1 病変の大半は high grade

であり、再発および進行リスクが高い、潜在的な危険性を秘めた腫瘍

と考えられている。単発性病変として発生することもあれば、多発性

腫瘍として発生することもあり、後者では上皮内癌成分の随伴をみる

場合もある。

これらにも内視鏡下での完全切除による治療が行われる。高リスク病

変を有する患者では、腫瘍の大きさや占拠部位を理由に完全切除が不

確実である場合、標本中に筋層組織が認められない場合、リンパ管浸

潤を認める場合、病期診断が不十分と考えられる場合などでは特に、

腫瘍の再切除が強く勧められる。再切除後に残存病変が発見された場

合は、BCG による免疫療法(カテゴリー1)か膀胱摘除術が推奨され

る。

T1 症例のなかでも、多発性の場合、脈管浸潤を認める場合および

BCG 注入療法後に再発を来たした場合は、特に高リスクとされる。残

存病変が発見された場合には病期進行のリスクが高いことから早期に

膀胱摘除術を施行するのが望ましいという可能性を示唆したデータが

存在する 4。保存的に管理された高リスク病変に対して BCG またはマ

イトマイシン C 療法が奏効しない場合には、膀胱摘除術を施行するべ

きである。再切除後に残存病変が発見されない場合は、BCG(望まし

い;カテゴリー1)またはマイトマイシン C による膀胱内注入療法が

推奨される。フォローアップは high grade Ta症例の場合と同様に行う。

Tis

原発性の上皮内癌(CIS)ないし Tis は、浸潤性膀胱癌の前駆病変

と考えられる high grade 病変である。Tis 病変に対する標準治療は、

内視鏡下で完全切除を行った後に BCG 膀胱内注入療法を施行する

というものである。この治療法は週 1 回の頻度で 6 週間施行し、4

~6 週間の休止期間を置いてから、治療開始より 12 週間後(すな

わち 3 ヵ月後)の時点で綿密な再評価を行う。患者が BCG 療法に

耐えられない場合は、マイトマイシン C の膀胱内注入を施行しても

よい。

フォローアップとしては、尿細胞診および膀胱鏡検査を最初の 2 年

間は 3~6 ヵ月毎、それ以降は実施間隔を延ばした適切な頻度で施

行していくことが推奨される。また上部尿路の画像検査を 1~2 年

毎に施行することも考慮すべきである。尿中分子マーカー検査は任

意である(カテゴリー2B)。

cTa、cT1、Tis の治療後再発例および治療抵抗例の管理

膀胱鏡検査の結果に基づく場合

初回 TURBT 後の経過観察中に膀胱鏡検査の陽性所見によって再発

が証明された患者には、まず再度 TURBT を施行してから、再発病

変の病期および異型度に応じて術後補助膀胱内注入療法(後述の

「術後補助化学療法」の節を参照)を行った後、3 ヵ月毎のフォロ

ーアップを行っていく。

導入膀胱内注入療法に反応がみられた再発/治療抵抗例では、12 週

間(3 ヵ月)後の評価を行った後に BCG またはマイトマイシン C

による 2 コース目の導入療法を施行することができる(導入療法は

最大で連続 2 コースまでとする)。2 コース目の BCG 療法が施行さ

れ、2 回目の 12 週間(3 ヵ月)後の評価にて残存病変が確認された

場合は、TURBT を施行する。前治療、病変の進展度および再発の

頻度によっては、他の薬剤による膀胱内注入療法が膀胱摘除術の代

替治療となる。BCG 抵抗性の CIS を対象として valrubicin が承認

されているが、その有用性については当委員会の中でも見解の不一

致がある。BCG 膀胱内注入療法とインターフェロンα-2b の併用に

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膀胱癌

MS-7

ガイドライン索引

膀胱癌 目次

考察 ついては、この状況において有効となりうることが示されているが

20、第 III 相のランダム化研究によるデータはまだ得られていない。

しかしながら施設によっては、こうした患者は依然として試験的治

療の候補者とされているであろう。

フォローアップの膀胱鏡検査にて完全奏効と判定された患者では、

導入療法の施行が 1 コースか 2 コースかには関係なく、BCG によ

る維持療法を任意で施行できる。この推奨は、膀胱内注入による導

入療法後に維持療法を施行する治療の成績が膀胱内化学療法より良

好であるという知見に基づいている 15,16,18,21-23。

フォローアップ中のいずれかの時点で筋層浸潤癌への進行が証明さ

れた場合には、根治的膀胱摘除術が推奨される。筋層浸潤病変が証

明される前に筋層非浸潤癌での再発を来した患者については、依然

として議論が続いているものの、膀胱温存治療の候補者とはしない

のが一般的である。

細胞診の結果に基づく場合

再発の確証はないが細胞診が陽性となり膀胱鏡検査および画像検査は

陰性の患者では、TUR を前立腺の TUR 生検を含めた標的生検または

ランダム生検とともに施行する必要がある。さらに、尿細胞診による

上部尿路の評価も必要であり、上部尿路腫瘍の検出を目的とした尿管

鏡検査も考慮する必要がある。

ここで膀胱のランダム生検が陽性となった場合は、その後の推奨治療

は BCG 膀胱内注入療法となり、それで完全奏効が得られれば、続いて

維持 BCG 療法を(任意で)施行する。BCG 療法が無効または不完全

奏効となった場合のその後の管理方針の選択肢としては、膀胱摘除術、

マイトマイシン C への注入薬剤の変更ならびに臨床試験への参加があ

る。二次治療における代替薬剤の有効性を確立するには、治療成績の

更なる調査と検証が必要である 24,25。

前立腺の TUR 生検で陽性となった場合の治療法については、前立腺の

尿路上皮癌の節に記載されている。上部尿路の細胞診および/または尿

管鏡検査で陽性となった場合の治療法については、上部尿路腫瘍の節

に記載されている。

膀胱および前立腺の TUR 生検が陰性となった場合は、その後は 3 ヵ月

毎のフォローアップが推奨され、さらに BCG による維持療法も任意で

施行できる。上部尿路の細胞診と尿管鏡検査が陰性となった場合は、3

ヵ月毎のフォローアップが推奨される。

筋層浸潤性膀胱癌の治療

何らかの治療法を勧める前に、臨床病期を正確に診断するため、いく

つかの精密検査を施行することが推奨される。まず全血算や生化学検

査(アルカリホスファターゼを含める)などの臨床検査を施行する必

要があり、さらに所属リンパ節転移と遠隔転移の有無について評価を

行うべきである。この評価には、膀胱鏡検査、胸部 X線または CT、骨

スキャン(有症状またはアルカリホスファターゼ高値の場合)ならび

に腹部および骨盤部の CT または MRI による上部尿路の評価を含める

べきである。画像検査は、局所浸潤の程度とリンパ節および遠隔臓器

への転移を評価する上で補助的な役割を果たす。局所浸潤の評価には

CT および MRI を用いることができる。しかし残念ながら、CT、超音

波検査および MRIでは深達度の正確な予測は不可能である 26。

TURBT が初回治療となる。TUR の目標は正確に病期を判定すること

であり、したがって、切除標本中に膀胱筋層が含まれている必要があ

る。筋層まで浸潤する腫瘍は、すべて high grade の尿路上皮癌である27。

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膀胱癌

MS-8

ガイドライン索引

膀胱癌 目次

考察 T2 および T3 腫瘍

これらの患者の管理および予後予測において決定的に重要となる問題

は、触知可能な腫瘤を麻酔下での診察で正しく認識できるか否かとい

う点と、膀胱壁外への腫瘍の進展の有無である。臓器限局性(T2)の

腫瘍は、膀胱壁を越えて膀胱周囲脂肪組織(T3)以上に進展した腫瘍

と比べると、予後が良好である。

2 件のランダム化試験の結果に基づき、T2 および T3 病変(CT 上リン

パ節転移が陰性の場合)に対する外科的な初回治療は根治的膀胱摘除

術とし、さらに術前補助化学療法も考慮するべきである(カテゴリー

1)28,29。T3 病変については、術前補助化学療法を支持したより強固な

エビデンスが存在する。術前補助化学療法を施行しない場合は、リン

パ節転移陽性や病理学的病期が T3~T4 などの病理学的リスクに応じ

て、術後補助化学療法を考慮する。術前および術後補助化学療法に用

いるレジメンについては、後述の節において詳細に考察している。

膀胱部分切除術を考慮できるのは、Tis の随伴を認めない単発性(適当

な位置に孤発したもの)の T2 症例のみである;過去に多発性膀胱癌で

あった症例では術前補助化学療法と一緒であれば考慮できる。T3 症例

では、膀胱部分切除術は選択肢とならない。膀胱部分切除術を施行し

た場合は、リンパ節転移陽性、切除断端陽性、high grade、病理学的病

期が T3~T4 などの病理学的リスクに応じて、放射線療法または化学

療法による術後補助療法を考慮するべきである(カテゴリー2B)。

高度に限定された症例では、化学療法と放射線療法の同時併用による

膀胱温存治療(詳細は後述)(カテゴリー2B)も選択肢のひとつとなる。

こうした膀胱温存治療の候補者となるのは、肉眼的に完全な TURBT

が施行可能で水腎症を認めない症例である。

重大な併存症を有する患者と一般全身状態が不良の患者における治療

選択肢としては、TURBT 単独、化学療法単独および放射線療法単独が

ある。

T2 および T3 症例における初回治療後のフォローアップとしては、3

ヵ月後もしくは 40~50Gy の放射線療法完了の時点で、膀胱鏡検査、

原発腫瘍部位の再生検または TURBT、細胞診ならびに腹部/骨盤部の

画像検査を施行することが推奨される。

評価時に腫瘍を認めないならば、その後は綿密な経過観察としてもよ

い。また初回治療として放射線療法を施行していた場合は、最大 65Gy

となるまで継続してもよい。さらに、これらの患者には寛解維持を目

的とした化学療法を施行してもよい(カテゴリー2B)。

初回治療に反応がみられない場合の選択肢としては、腫瘍が切除可能

であれば膀胱摘除術が望ましい治療法となる。手術適応がない患者や

腫瘍が切除不能な患者には、別のレジメンによる化学療法を検討する

こと。

病理学的病期が T2 または T3 であり、リンパ節転移が CT 上陽性で生

検でも確認される場合には、全身再発のリスクが高い(>50%)ため、

リンパ節転移陽性の T4症例と同様に取り扱うべきである(後述)。

T4 腫瘍

腹部/骨盤部 CT と生検でリンパ節転移を認めない患者に対して推奨

される初回治療としては、化学療法を放射線療法併用下または単独

で 2~3 コース施行した後に、TURBT、膀胱鏡検査および腹部/骨盤

部 CT により評価を行うというものがある。T4a でリンパ節転移陰

性の高度に限定された症例では、化学療法併用下または単独での膀

胱摘除術もまた初回治療の選択肢のひとつとなる。初回化学療法へ

の反応が良好な場合は、放射線療法併用下または単独での地固め化

学療法を考慮してもよい。あるいは、膀胱摘除術もまたこれらの患

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膀胱癌

MS-9

ガイドライン索引

膀胱癌 目次

考察 者における初回治療後の管理方針の選択肢のひとつである。一方、

初回治療後の評価で治療への反応が認められない場合には、新たな

化学療法レジメンを放射線療法併用下または単独で使用することが

できる。膀胱摘除術が施行可能な場合は、初回治療奏効例と非奏効

例のいずれにおいても、再度、選択肢のひとつとなる。

画像検査でリンパ節転移が認められる患者では、リンパ節転移の確

定診断のため、可能であれば生検を考慮する。リンパ節転移陽性の

患者には、化学放射線療法または化学療法を施行し、膀胱鏡検査、

TURBT および腹部/骨盤部画像検査による評価を行うべきである。

残存腫瘍が検出されない場合は、その後は経過観察としてもよい。

その他の選択肢としては、追加照射や膀胱摘除術がある。初回治療

後に癌の残存が認められた場合には、転移性膀胱癌の管理方法に従

うべきである。

化学療法の選択肢については「転移性膀胱癌」の節で考察している

が、化学療法と放射線療法を用いた集学的アプローチについてはこ

こで考察する。多剤併用化学療法と放射線療法の併用治療に耐えら

れない患者では、放射線増感剤を併用した放射線療法が代替治療の

ひとつであり、使用できる増感剤としてはシスプラチン単独やシス

プラチンまたはマイトマイシン C と 5-FU との併用などがある。ま

ず膀胱全体と骨盤リンパ節もしくは膀胱全体のみを対象として 40

~45Gy の照射を行った後、総線量が 64~66Gy となるまで正常領

域を避けながら膀胱内の病変部位に対して追加照射を行う。

転移性膀胱癌

全患者の約半数が膀胱摘除術後に再発を経験するが、そのリスクは原発巣の

病理学的病期とリンパ節の状態に依存する。局所再発は再発例全体の約 10~

30%であり、遠隔転移の方が多くみられる。膀胱温存例で初回治療後に浸潤

性の局所再発または治療抵抗性の病変が証明されている場合には、膀胱摘除

術、化学療法、放射線療法(過去に受けていない場合)、緩和的 TURBT など

の選択肢がある。再発腫瘍が小さい(Tis、Ta または T1)患者には、そのま

ま膀胱摘除術を施行してもよいし、その前にBCG膀胱内注入療法を施行して

もよい。切除不能な転移巣のある患者や、さらに播種性転移も来した患者で

は、一般に全身化学療法による治療が行われる。化学療法に耐えられない患

者には放射線療法を施行してもよい。一部の症例では、上部尿路腫瘍または

前立腺の尿路上皮癌としての再発もみられる。これらについては、選択的尿

管洗浄細胞診または前立腺部尿道生検で診断を確定してから、それぞれの管

理方法に従うべきである。

推奨される具体的な化学療法レジメンは、一部には心疾患や腎機能障害など

の併存症の有無に依存するとともに、病変の進展度に基づくリスク分類も参

考にされる。低リスク(good risk)群は、一般全身状態が良好で、内臓(肺、

肝臓)および骨に病変がなく、アルカリホスファターゼまたは乳酸脱水素酵

素値が正常である患者と定義されているが、これまでに多剤併用化学療法の

みで長期生存が報告されているのは、ほぼこの群の患者だけに限られている。

一方、一般全身状態が不良であるか内臓病変が存在する患者と定義されてい

る高リスク(poor risk)群では、依然として多剤併用治療への忍容性が非常に

不良であり、治癒の前提条件である完全寛解が得られることはまれである。

進行膀胱癌の管理で現在使用されている薬剤はシスプラチン、タキサン系薬

剤、ゲムシタビンの 3種類である。これらのうち 2剤または 3剤を用いた多

剤併用レジメンに臨床的有益性が示されている(表 2)。一般的に用いられて

いる多剤併用レジメンは、ゲムシタビン+シスプラチン(GC)30と、MVAC31

などのシスプラチンベースの多剤併用レジメンである。どちらもカテゴリー1

の推奨治療であるが、大半の患者ではシスプラチン+ゲムシタビンが一次治

療における標準の選択肢とされており、MVAC よりも推奨されている。この

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膀胱癌

MS-10

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膀胱癌 目次

考察 推奨は、MVACとの直接比較を行って GCが生存率で MVACに劣らないこと

を示した大規模ランダム化試験 32を根拠としている。GC は MVAC と同等の

活性を示す一方、毒性はMVACよりも若干少ないことが実証されている 33。

使用レジメンを決定する上では一般全身状態が主要な決定因子のひとつであ

り、肝臓または腎臓の状態が不良な患者や重篤な併存症のある患者では、よ

り毒性の少ないレジメンが推奨される。糸球体濾過量(GFR)が 60mL/分未

満の患者では、カルボプラチンが上述のレジメンにおけるシスプラチンの代

替薬剤となりうる。しかしながら、そうしたカルボプラチンを含むレジメン

の治療上の同等性に関するデータは限られている。

タキサン系薬剤については、最近になって一次療法と緩和療法のいずれとし

ても有効であることが示されてきた。それらの研究結果を根拠として、初回

治療としてのタキサン系薬剤を含む 2 剤および 3 剤併用レジメン(シスプラ

チンを含むものと含まないものがある)の検討がいくつかの研究グループに

よって行われている。代替レジメンにはシスプラチン/パクリタキセル、ゲム

シタビン/パクリタキセル 34、シスプラチン/ゲムシタビン/パクリタキセル 35、

カルボプラチン/ゲムシタビン/パクリタキセル 36、シスプラチン/ゲムシタビン

/ドセタキセルなどあり、第 I~II相試験で膀胱癌に対する一定の有効性が示さ

れている。しかしながら、データが予備的なものに限られるため、現時点で

は、これらのレジメンを臨床試験以外での一次治療の選択肢として推奨する

ことはできない。

尿路上皮(移行上皮)癌に有効なレジメンを非尿路上皮(非移行上皮)癌患

者に使用したとしても、その有効性は限られている。これらの患者には、同

定された組織型に応じた治療が行われることが多い。例えば、腺癌の場合は

根治的膀胱摘除術または膀胱部分切除術による外科的治療を行った後に、化

学療法と放射線療法による術後補助療法を最大限の利益が得られるよう個別

化した上で施行し、純粋な扁平上皮腫瘍の場合には、膀胱摘除術、放射線療

法もしくは他部位の扁平上皮癌で一般的に用いられる他の薬剤(5-フルオロ

ウラシルやタキサン系薬剤など)による治療を施行する。しかしながら、非

尿路上皮癌(非移行上皮腫瘍)全体での化学療法の経験は限られている。

使用するレジメンには関係なく、転移例に対する化学療法では 2~3サイクル

の終了後に再評価を行い、そこで奏効もしくは病勢安定と判定された場合は、

もう 2 サイクル継続する。切除不能な原発腫瘍に対して大きな部分奏効が得

られた患者と化学療法後に切除可能な残存病変を 1 ヵ所のみに認める患者で

は、手術または放射線療法を考慮してもよい。限定された症例では、このア

プローチによって生存率の改善がもたらされることが示されている。病変が

完全切除されている場合は、患者の忍容性に応じて 2 サイクルの化学療法の

追加を考慮することができる。手術および放射線療法が選択肢とならない患

者は、反応に応じて最大 6 サイクルの化学療法によって治療するのが一般的

である。

2 サイクル終了後に反応がみられない場合もしくは重大な合併症を認めた場

合は、その時点での一般全身状態、病変の進展度および前治療の具体的内容

を考慮して治療法を変更することが勧められる。術後補助化学療法の施行後

に全身再発を来した患者にも同じことが言える。

この状況における二次化学療法に関するデータは非常に多様かつ不明確であ

り、したがって標準療法は存在しない。NCCN 膀胱癌委員会は臨床試験への

登録を強く推奨している。一次治療の内容に応じて選択可能な緩和的化学療

法の選択肢としては、ブレオマイシン、5-フルオロウラシル、シスプラチン、

カルボプラチン、ドセタキセル、ドキソルビシン、ゲムシタビン、イホスフ

ァミド、パクリタキセル、ペメトレキセド、メトトレキサート、ビンブラス

チンなどがあり、いずれも小規模の第 II 相試験にて一定の有益性が示されて

いる 36-44。

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膀胱癌

MS-11

ガイドライン索引

膀胱癌 目次

考察 外科的アプローチ

適切な手術手技は、男性では膀胱前立腺摘除術、女性では膀胱摘除

術と一般的には子宮摘出術を施行した後に、尿路変向術を行うとい

うものである。尿路変向術の形態としては回腸導管や代用膀胱の造

設などがあり、尿の排出経路としては腹壁か尿道が用いられる。尿

道の使用に関しての相対的禁忌には、前立腺導管内の Tis と尿道断

端陽性がある。自然排尿型尿路変向術すなわち新膀胱造設術では、

本来のものと同様の膀胱機能が得られるものの、夜間失禁のリスク

や間欠自己導尿を要する尿閉のリスクが幾分高くなる。

根治的膀胱摘除術

残念ながら、病期診断における膀胱鏡検査や TURBT の正確性はあ

まり高くなく、病期の過小診断(under-staging)がしばしば認め

られる。膀胱癌の外科的管理においては、骨盤リンパ節郭清術

(PLND)が不可欠の要素と考えられている。拡大 PLND(総腸骨

リンパ節、さらには下部の傍大動脈または傍大静脈リンパ節などを

含める術式)では、検索対象となるリンパ節が増えて陽性リンパ節

の数も増え、生存率の改善と下部骨盤領域での再発率の低下が認め

られている。PLND の施行を困難にする患者因子がいくつか存在し、

過去の治療や手術による重度の瘢痕、高齢、重度の併存症などが挙

げられる。

膀胱摘除術後のフォローアップには尿細胞診、肝機能検査、クレア

チニンおよび電解質を含めるべきであり、これらを最初の 2 年間は

3~6 ヵ月毎、その後は臨床的に必要となる場合に施行する。さら

に胸部、腹部、骨盤部の画像検査を、最初の 2 年間は再発リスクに

応じて 3~12 ヵ月毎、その後は臨床的に必要となる場合に施行する。

また禁制型尿路変向術の施行例では、ビタミン B12 欠乏症に対する

モニタリングを 1 年毎に行うべきである。また 6~12 ヵ月毎の尿道

洗浄細胞診も勧められ、膀胱または前立腺部尿道に Tis が発見され

ていた患者では特に推奨される。

膀胱部分切除術

全体の約 5%未満ではあるが、初診時に筋層浸潤癌が膀胱内の一部分

に限局していた症例では、尿禁制の障害や膀胱容量の有意な減少を来

すことなく、軟部組織と 2cm 以上の正常尿路上皮からなる十分な切除

縁を確保しながら腫瘍を切除することが可能である。膀胱部分切除術

が最もよく推奨されるのは、病変の占拠部位が膀胱頂部で、かつ他領

域の尿路上皮に Tis の随伴を認めない症例である。本術式の相対的禁

忌は、病変が三角部または膀胱頸部に発生した場合である。一方、尿

管膀胱新吻合術が必要となることは、本術式の絶対的禁忌ではない。

根治的膀胱摘除術と同様に、膀胱部分切除術も開腹(腹膜内)と骨盤

リンパ節の切除から始まる。術中所見より膀胱部分切除術は不可能と

判断される場合は、根治的膀胱摘除術を施行する。放射線療法または

化学療法による術後補助療法を勧めるかどうかは、根治的膀胱摘除術

の場合と同様、病理学的病期(すなわちリンパ節転移や膀胱周囲組織

への浸潤の有無)に基づいて決定される。

膀胱部分切除術後のフォローアップは、根治的膀胱摘除術の場合と同

様であるが、それらに加えて 3 ヵ月毎の継続的な細胞診および膀胱鏡

検査による膀胱内再発に対するモニタリングも行っていく。温存され

た膀胱内での局所再発には、新たな癌として評価を行うべきである。

Tis、Ta、T1での再発患者には膀胱内注入療法を考慮してもよい。筋層

浸潤癌での再発患者には、膀胱摘除術を施行するか、手術の適応がな

ければ放射線療法(放射線療法による治療歴がない場合)か化学療法

または両者の併用治療を考慮するべきである。緩和的 TURBT もまた

選択肢のひとつである。

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膀胱癌

MS-12

ガイドライン索引

膀胱癌 目次

考察 術前補助化学療法

T2 および T3 病変に対する膀胱摘除術前の術前補助化学療法の役割

を支持したデータが蓄積されてきている 28,29,45。2 件のランダム化

試験において術前補助化学療法による生存率の改善が示されており、

特に臨床病期が T3(麻酔下の診察で触知可能な腫瘤または CT 上明

らかな腫瘤あり)の患者で明らかである 28,29。Grossman らによる

研究では、メトトレキサート+ビンブラスチン+ドキソルビシン+

シスプラチン(MVAC)療法を 3 サイクル施行された患者において

術後の合併症発生率および死亡率に明らかな上昇は示されなかった28。最新のメタアナリシスでは、全生存率の改善と一致して統計学

的に有意な死亡率の低下が認められている 46。

NCCN 膀胱癌委員会は、シスプラチンベースの多剤併用術前補助化

学療法を考慮することを推奨している(T3 症例ではカテゴリー1、

T2 症例ではカテゴリー2A)。ECOG の Performance Status が 2 以

上の患者では、術前補助化学療法は推奨されない。腎機能障害のあ

る患者では、カルボプラチンまたはタキサン系薬剤をベースにした

多剤併用レジメンか単剤レジメンによる化学療法を考慮することが

できる。

術後補助化学療法

筋層浸潤性膀胱癌における術後補助全身化学療法の役割については

データが一貫しておらず、十分な症例数で生存率の改善を明確に示

したランダム化比較試験は存在しない 47。生存率の改善が示された

臨床試験の多くはランダム化試験ではなく、アウトカムの解析にお

いて選択バイアスが働いている可能性が指摘されている。

2 件の試験 48 により、シクロホスファミド+ドキソルビシン+シス

プラチン(CAP)療法と MVAC またはメトトレキサート+ビンブ

ラスチン+エピルビシン+シスプラチン(MVEC)療法による生存

率の改善が示されている 49,50。しかしながら、方法論上の問題点か

ら、これらの研究結果をすべての尿路上皮腫瘍患者に適用可能であ

るかは疑問視されている。MVEC の試験では、再発した対照群の患

者に対して化学療法が施行されておらず、これは最近の症例におい

ては典型的な方針とは言えない。

それでもなお、現時点で出揃っている臨床試験の結果からは術後補

助化学療法に再発を遅らせる可能性のあることが示唆されており、

再発リスクの高い患者では化学療法の施行が正当化されうる。術後

補助療法を施行する場合は、MVAC51 やゲムシタビン+シスプラチ

ン(GC)33,52 など(現在は後者の方が多く用いられている)のシ

スプラチンベースの多剤併用レジメンを 3 サイクル以上で用いるこ

とができる。非尿路上皮(非移行上皮)癌に対する術後補助化学療

法の施行を支持したデータは、いずれの病期についても存在しない。

病理学的病期が T2 以下でリンパ節転移およびリンパ管浸潤を認め

ない患者は低リスクと考えられており、術後補助化学療法は必ずし

も必要ない。p53 の状態について、変異陽性細胞が 20%以上を占め

る腫瘍では全身再発のリスクが高くなるようであることから、一部

の研究グループから腫瘍の p53 の状態に基づく患者の層別化が提唱

されている。しかし腫瘍細胞の p53 の状態を特定する検査は依然と

して実験的な手法と考えられており、ルーチンの管理には組み込ま

れていない。

膀胱温存を目指した選択肢

T2 および T3a の尿路上皮(移行上皮)癌の限定された症例では、

膀胱温存治療を考慮できる場合がある。その選択肢としては、内視

鏡による積極的な経尿道的切除術のみを施行するというものと、経

尿道的切除術の施行後に化学療法単独、放射線療法単独または化学

療法と放射線療法の併用治療を行うというものが挙げられる。これ

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膀胱癌

MS-13

ガイドライン索引

膀胱癌 目次

考察 らのアプローチが T2 症例の管理に適用可能かどうかについては、

一貫したコンセンサスは得られていない。

膀胱温存治療は、医学的理由から手術が不適当とされる患者や手術

以外の治療法を希望する患者にとって膀胱摘除術に代わる合理的な

選択肢となる。膀胱温存治療を採用するかどうかの決定では、病変

の位置、深達度、腫瘍の大きさ、「正常」尿路上皮の状態ならびに

患者の状態(膀胱容量、膀胱機能、併存症など)が判断基準の一部

となる。さらに膀胱癌の現病歴も考慮すべきである。水腎症を認め

る患者は膀胱温存治療の候補者としては適さない。膀胱温存治療を

考慮する患者には、治療を開始する前に、経尿道的腫瘍切除術を可

能な限り完全に施行し、麻酔下での診察と転移巣の検索を行うべき

である。

膀胱摘除術以外の治療法が採用された場合に、再度の TURBT を含

めた臨床的評価に基づいて内視鏡的に腫瘍は存在しない(T0)と判

定された症例において実際に病理学的にも腫瘍が存在しない

(pT0)と確信をもって断定できるか否かについては、依然として

懸念が示されている。研究間で差もみられるが、化学療法施行後の

手術前の段階で膀胱内に病変は存在しないと判定されていた症例の

うち、膀胱摘除術の施行時に残存病変が確認される症例は 30~

40%以上と報告されている 53。T2 症例における病変残存の頻度は

低いものの、膀胱温存治療を提案する際には残存頻度を考慮に入れ

る必要がある。可能ならば、膀胱温存治療は臨床試験として選択さ

れるべきである。当ガイドラインでは、最大限の経尿道的切除術を

施行した後の治療選択肢としては、経過観察、化学療法単独、放射

線療法単独ならびに化学療法と放射線療法の併用が適切であるとし

ている。これらのアプローチについては、限定された症例において

有益であることが示されている。しかしながら、前向きのランダム

化比較試験での正式な評価が済んでいるのは化学療法と放射性療法

の併用のみであり、それ以外は依然として試験的な治療法とされて

いる。

膀胱を温存するアプローチはどれも、膀胱摘除術の即時施行は必ず

しも全症例で必要というわけではなく、膀胱摘除という決定は治療

への反応を評価するまで延期させてもよい、という原則に基づくも

のである。化学療法と放射線療法の併用治療を行う場合は、治療期

間の途中(導入期)で膀胱鏡検査と膀胱生検を施行するのが一般的

である。そこで病変が認められた場合は、膀胱摘除術が推奨される。

その他のすべての治療法の場合は、再度の経尿道的切除術を導入療

法の 2~3 ヵ月後に施行する。そこで治療抵抗性の病変が認められ

た場合は、可能ならば膀胱摘除術による迅速な救済治療が推奨され

る。

治療完了後の再発を否定するためのルーチンのフォローアップとし

ては、膀胱鏡検査、かつての腫瘍占拠部位の再生検または TURBT

のいずれかを施行する。ただし、膀胱温存治療を受けた患者では尿

路内の他の部位や遠隔部位から再発を起こすリスクも残っているた

め、再発部位としての膀胱に対する検査は、これらの患者における

管理全体の一部でしかない。膀胱摘除術後のフォローアップの節で

概要を示した画像検査も施行すべきである。さらに膀胱温存例の管

理には、尿細胞診(任意でランダム生検も施行)による継続的な尿

路上皮のモニタリングが全例でルーチンに組み込まれる。フォロー

アップの実施間隔は、最初の 2 年間は通常 3~6 ヵ月毎とし、その

後は担当医の裁量で間隔を延ばしていく。

経尿道的切除術単独

単発性の病変で、その大きさが 2cm 未満、かつ筋層浸潤がごくわずか

という限定された症例においては、経尿道的切除術のみでも治癒的な

治療となりうる。その場合はさらに、上皮内癌成分の随伴、触知可能

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膀胱癌

MS-14

ガイドライン索引

膀胱癌 目次

考察 な腫瘤、水腎症の合併をいずれも認めないことも条件とすべきである

54。

TURBT 単独での治療を考慮する場合は、初回切除後 4 週間以内に同部

位の積極的な再切除を施行し、残存病変がないことを確認すべきであ

る。再度の TURBT にて残存腫瘍陰性となった場合、再発が証明され

るまでは、内視鏡評価と細胞診を 3 ヵ月毎に繰り返すことにより、保

存的に管理することが可能である。再発後の管理方針は、再発時に証

明された病変の病期に依存するであろう。

放射線療法単独

放射線療法の単独治療は、筋層浸潤性膀胱腫瘍の患者に対する標準治

療とはされていない。一方、化学療法と放射線療法の併用治療の方が

当初の完全奏効率も長期の膀胱温存率も高いことから、こちらが望ま

しい治療法である。放射線療法単独での治療成績は根治的手術より劣

るとされることから、放射線療法単独での治療は、併存症のために膀

胱摘除術にも化学療法にも耐えることのできない患者でのみ適応とな

る 55。

化学療法単独

化学療法単独での治療は、膀胱に対する追加治療なしでは不十分と考

えられており、依然として試験的な治療とされている。この見解は、

術前補助化学療法のみで膀胱に病理学的な完全奏効が得られた患者の

割合が 20~30%程度でしかなかったという症例報告に基づいている28,29。化学療法と放射線療法を同時併用した方が、膀胱内から腫瘍を根

絶できる(したがって膀胱を温存できる)症例の割合は高くなる。

化学療法単独での治療を行う場合は、一般に 3 サイクルが施行され、

膀胱鏡検査と生検を含む再評価が勧められる。この評価の目的は、膀

胱摘除術の即時施行が必要となる病勢の進行や好ましくない反応を除

外することにある。

3 サイクルの化学療法に反応がみられた患者には、さらにもう 1~3 サ

イクルの施行を勧めてもよく、その場合は終了後に膀胱鏡検査と生検

を施行する。この時点で膀胱の管理方針を決定する。化学療法 3 サイ

クルの終了後に残存病変が証明された場合には、一般に、膀胱摘除術

を施行するべきである。たとえ病変が確認されない(T0)場合であっ

ても、その後の治療方針には膀胱内での潜在的な残存の可能性を考慮

に入れる必要がある。

集学的治療戦略

臓器温存を目指した最近の治療戦略は、最大限の局所制御を目標とし

て TURBT、化学療法、放射線療法を組み合わせたものである。

術前化学療法と膀胱部分切除術:

当初から膀胱部分切除術によって治癒的切除が可能な位置および形態

で発生する筋層浸潤癌の割合は 5%未満である 56。ある報告では、当

初は腫瘍制御に根治的膀胱摘除術が必要と判断された腫瘍の 27%が、

MVAC 化学療法の施行後に膀胱部分切除術によって除去可能な状態と

なっていた。現時点では、このアプローチは広く用いられていない。

この方法には、膀胱の病変部を外科的に除去でき、リンパ節転移の確

定診断が可能であるという長所がある。フォローアップは膀胱部分切

除術の場合と同じである。

化学療法と放射線療法

TURBT 施行後の同時または逐次化学放射線療法に関する研究が、いくつ

かのグループによって行われている。まず、内視鏡的切除術を可能な限

り完全に施行する。これまで検討されてきた 2 つの主なアプローチは、

1)化学療法と放射線療法を同時併用するものと、2)最初に化学療法の

みを行ってから化学療法と放射線療法を同時併用するというものである。

Radiation Therapy Oncology Group protocol 89-03では、最初にMCV(メ

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膀胱癌

MS-15

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膀胱癌 目次

考察 トトレキサート+シスプラチン+ビンブラスチン)2 サイクルによる導

入化学療法を行った後にシスプラチン投与と放射線療法を同時施行する

治療法と、シスプラチンと放射線療法を同時併用するだけの治療法との

比較が行われた 57。 臨床的な完全奏効率と 5 年全生存率について両群間

に差は観察されなかった。しかしこの試験は、同時化学放射線療法施行

前の化学療法による生存率の改善効果を評価するには検出力が不十分で

あった。よって、膀胱温存を目指した化学放射線療法施行前の化学療法

について有意な有益性を示唆した明確なデータは存在しない。

シスプラチンと放射線療法の同時併用は、筋層浸潤性膀胱癌の治療法と

しては最も一般的でよく研究されている化学放射線療法である。まず完

全な TURBT を施行した後に、40Gy の外照射療法を、一般的には 4 門照

射法により施行する。同時併用としてのシスプラチン投与は 1 週目およ

び 4 週目の 2 回行う。以上の導入期が終了したら、内視鏡による再評価

を行う。ここで残存病変が発見された場合は、膀胱摘除術が勧められる。

肉眼的病変を認めず細胞診と生検でも陰性となる場合(T0)は、さらに

25Gyの外照射をもう 1回のシスプラチン投与と並行して行う。その後は、

前述のように継続的な尿細胞診と膀胱鏡検査によるフォローアップを行

っていく。

単一および多施設の前向き研究では、このレジメンを完了した患者の

70%以上において治療後の最初の膀胱鏡検査で膀胱内の腫瘍消失が確認

された。しかしながら、そのうちの約 1/4 において、フォローアップ期

間中に追加治療を必要とする新たな病変の発生がみられた。このような

患者には、前述のような全身再発に対するモニタリングも行っていく必

要がある。

5-フルオロウラシル(5-FU)と放射線療法の併用に関するやや古い経験

から、この併用治療の効果が示されている 33,59,60。より最近では、シスプ

ラチン+5-FU+放射線療法の併用治療について試験が行われており、成

績の改善が得られている 61-63。これらの試験のなかには 1 日 2 回の分割

照射法を採用したものもある。当初の完全奏効率は 85%以上であった。

この結果は期待を抱かせるものであるが、これらのレジメンが上述のシ

スプラチン+放射線療法の併用という、より単純なアプローチよりも優

れているか否かは不明である。これらの新しいアプローチによる臨床試

験に患者を参加させることが、何よりも重要である。

膀胱温存治療後の膀胱内再発:

再発例の治療方針は、前治療の内容も考慮に入れつつ、再発時の病変

の進展度に基づいて決定する。

Tis、Ta、T1 腫瘍は一般に BCG 膀胱内注入療法によって管理される。

反応がみられない場合は、膀胱摘除術が勧められる。細胞診は陽性で

あるが膀胱内に病変を確認できない場合は、選択的な上部尿路洗浄細

胞診と前立腺部尿道の評価を直ちに行うべきである。選択的細胞診が

陽性となった場合は、後述の節の記載に従って管理を行っていく。

浸潤例では根治的膀胱摘除術によって管理するのが一般的であり、膀

胱温存を再度試みるのは賢明ではない。フルコース(65Gy 以上)の外

照射療法を受けた後で bulky な残存病変を認める患者では、膀胱摘除

術が不可能な場合もある。そのような患者には緩和的化学療法が勧め

られ、一般的には使用済みのレジメンとの間で交差耐性がみられない

レジメンが使用される。放射線療法の治療歴がない患者の場合は、1

コースの放射線療法を考慮するべきである。転移例は未使用のレジメ

ンを用いた緩和的化学療法によって治療する。

上部尿路腫瘍

上部尿路腫瘍には腎盂または尿管に発生した腫瘍が含まれるが、こ

れらは比較的まれな疾患である。

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膀胱癌

MS-16

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膀胱癌 目次

考察 腎盂腫瘍

腎盂内に発生する腫瘍は、血尿や腎腫瘤の評価の際に同定されること

がある。後者の場合は、より典型的にみられる腎実質に発生した腺癌

と腎盂腫瘍とを鑑別する必要がある。この腎盂腫瘍はまた、膀胱鏡検

査が陰性の状況で細胞診陽性となった場合に、後者の原因を特定すべ

く逆行性腎盂造影による評価が行われた際に発見されることもある。

精査

腎盂腫瘍が疑われる患者の評価には、膀胱鏡検査と IVP、CT 尿路造影、

逆行性腎盂造影、尿管鏡検査、MR 尿路造影またはこれらの併用によ

る上部尿路の画像検査を含めるべきである。転移巣の有無や可能性の

ある併存症の評価では胸部 X 線が有用となりうる。通常の尿検体や膀

胱鏡検査時の採取尿による尿細胞診は癌細胞の同定に役立つことがあ

る。血液、腎臓、肝臓の機能についても評価を行うべきである。さら

に以上の検査結果や特定症状の存在から適応がある場合には、腎スキ

ャンや骨スキャンなどの追加的な画像検査が必要となることもある。

初回治療

一般に腎盂腫瘍に対する初回治療は手術となる。

高分化型、すなわち low grade 腫瘍は、膀胱カフ切除を伴う腎尿管摘

除術か経尿管的または経皮的到達法によるネフロン温存手術を施行し、

場合により術後に抗がん剤または BCG の腎盂内注入療法を行うことに

よって管理される。high grade 腫瘍および腎実質浸潤を認める大きな

腫瘍は、膀胱カフ切除を伴う腎尿管摘除術と所属リンパ節郭清術によ

って管理する。限定された症例では、膀胱癌症例でのデータの外挿に

基づき術前補助化学療法を考慮してもよい 28,29,45。転移が証明されてい

る場合もしくは併存症のある場合は、膀胱の尿路上皮(移行上皮)腫

瘍に用いられるものと同様のレジメンによる全身化学療法を治療に組

み込むべきである。

上部尿路細胞診では陽性であるが画像検査と生検では陰性という状況

については、現在も治療法に関する議論が続いており、適切な管理方

針が明確に規定されるには至っていない。そのような患者にはモニタ

リングを頻繁に行う必要がある。

フォローアップ

その後の管理方針は手術時の病変の進展度に応じて決定される。病理

学的病期が pT0 または pT1 の症例では、継続的な膀胱鏡検査によるフ

ォローアップを行っていくべきであり、実施頻度は 1 年目は 3 ヵ月毎、

陰性ならばその後は 6 ヵ月毎とする。このような症例で内視鏡的切除

術を考慮する場合には、さらに尿管鏡検査と上部尿路の画像検査(IVP、

逆行性腎盂造影、可能なら CT、MR 尿路造影など)によるフォローア

ップも 3~12ヵ月間隔で実施していくべきである。

病理学的病期が pT2、pT3、pT4 またはリンパ節転移陽性の症例では、

前述のように、化学療法と放射線療法もしくは化学療単独による術後

補助療法を考慮するべきである。さらに、転移の否定を目的とした画

像検査とともに、継続的な尿路の評価も行っていくべきである。

尿管腫瘍

尿管腫瘍は、新たに発生する場合もあれば、膀胱原発の筋層非浸

潤癌がうまく治療された症例で発生する場合もある。その臨床像

は病変の進展度に応じて異なる。尿管腫瘍は、細胞診陽性で膀胱

鏡検査陰性の患者において選択的な尿管カテーテル法が施行され

た際などに確認される。病変が進展度が増せば、疼痛や閉塞を引

き起こすこともある。

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膀胱癌

MS-17

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膀胱癌 目次

考察 精査

評価法は前述の腎盂腫瘍の場合と同様である。

治療

切除可能な尿管腫瘍に対する初回管理は手術となる。必要となる

具体的な手技は腫瘍の占拠部位(上部、中部、下部)と進展度に

応じて異なる。根治的手術の施行前に浸潤の程度が確定している

場合など、限定された症例では、術前補助化学療法を考慮しても

よい 6 4。

上部尿管に発生した腫瘍では、ときとして内視鏡による管理も可

能な場合もあるが、膀胱カフ切除を伴う腎尿管摘除術と high

grade 腫瘍には所属リンパ節郭清術を施行するのがより一般的で

ある。膀胱カフ切除では、膀胱壁内尿管の全体が確実に切除され

るように、膀胱壁の一部を切除する。中部尿管に発生した腫瘍は

異型度と大きさで分類できる。小さな low grade 腫瘍は、切除

術と尿管尿管吻合術、内視鏡的切除術、もしくは膀胱カフ切除を

伴う腎尿管摘除術(さらに所属リンパ節郭清術も考慮)によって

治療可能である。大きな high grade 腫瘍は、膀胱カフ切除を伴

う腎尿管摘除術と所属リンパ節郭清術によって管理される。下部

尿管に発生した腫瘍は、下部尿管切除術と尿管膀胱新吻合術(臨

床的に可能ならば望ましい)、内視鏡的切除術、もしくは一部の

症例では膀胱カフ切除を伴う腎尿管摘除術により治療し、さらに

high grade 症例では所属リンパ節郭清術の追加が推奨される。

フォローアップ

その後の管理方針については、他部位に発生した腫瘍の場合と同様、

最終的な病理学的病期を基に判断する。pT1 以下の症例では、術後

補助療法は勧められないが、尿路または残存部分に関する継続的な

フォローアップ(「腎盂」の節で前述)が推奨される。

より進展した病変のある症例では、併存症の状態から予想されるレ

ジメンへの忍容性に応じて、化学療法による全身的な術後補助療法

を考慮することが勧められる。術後補助療法を考慮する理由は、膀

胱に発生した腫瘍の場合と同様である。

前立腺の尿路上皮(移行上皮)癌

前立腺の尿路上皮(移行上皮)癌は、独自の病期分類法が適用され

る固有の疾患である。この点において、膀胱壁を越えて前立腺に浸

潤してきた膀胱原発の尿路上皮(移行上皮)癌とは区別して考える

必要がある。前立腺の尿路上皮(移行上皮)癌は、前立腺において

新たに発生することもあるが、一般的には膀胱癌と同時あるいは膀

胱癌の治療後に発生することの方が多い。前立腺の尿路上皮(移行

上皮)癌の管理方針も、他部位の尿路上皮に発生した腫瘍の場合と

同様、病変の進展度に基づいて決定されるが、特に尿道、導管・腺

房(ductal acini)および間質への浸潤が重要である。

精査

前立腺の尿路上皮癌が疑われる場合の評価には、直腸指診(DRE)、

膀胱鏡検査と膀胱生検、ならびに前立腺間質を含めた前立腺の TUR

生検を含めるべきである。さらに間質の多部位生検も勧められ、

DRE で異常がみられる場合は、一部の患者では前立腺原発の腺癌

を除外するために前立腺特異抗原の測定と更なる針生検が必要とな

る場合もある。上部尿路の画像検査も推奨される。

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膀胱癌

MS-18

ガイドライン索引

膀胱癌 目次

考察 初回治療

組織学的な確定診断が得られる前の段階でも、腺房および間質に浸

潤を認めない前立腺部尿道に限局した腫瘍であれば、BCG 療法と

経尿道的前立腺摘除術(TURP)によって管理することが可能であ

り、その後は表在性膀胱腫瘍の場合と同様のフォローアップを行う。

導管、腺房または間質への浸潤を認める場合は、まず遠隔転移を否

定するために胸部 X 線もしくは必要なら CT による追加精査を施行

するべきであり、その後は膀胱前立腺摘除術と場合により尿道切除

術を施行するべきである。間質浸潤を認める患者では、膀胱癌患者

でのデータの外挿に基づき、術前補助化学療法を考慮してもよい28,29,45。一方、導管および腺房浸潤のみを認める患者には、TURP

および BCG 療法を提案してもよい。間質浸潤の患者には初回治療

後に補助化学療法を勧めてもよい。TURP および BCG 療法施行後

の再発例には、膀胱前立腺摘除術と場合により尿道切除術による治

療を行う。

膀胱の非尿路上皮(非移行上皮)癌

膀胱腫瘍の約 10%は非尿路上皮(非移行上皮)癌である。その組

織型としては、混合型、純粋な扁平上皮癌、腺癌、小細胞腫瘍、尿

膜管癌、原発性膀胱肉腫などが挙げられる。これらには病理所見に

応じて、術後補助化学療法が推奨される場合と推奨されない場合が

ある。浸潤性の非尿路上皮腫瘍の患者では一般に膀胱摘除術による

治療が行われるが、特定の尿膜管腫瘍の患者では、尿膜管の完全切

除が必要となり、膀胱部分切除術が適切な治療となる場合もある。

非尿路上皮癌の患者では、再発リスクが高い場合もあるものの、い

ずれの病期でも術後補助化学療法の施行を支持したデータは存在し

ない。尿路上皮(移行上皮)癌に適用される管理の一般原則は、そ

れ以外のまれな組織型に適用できるものもある。そのような組織型

についてはアルゴリズムに記載されている。

膀胱小細胞癌の患者では、もし転移巣が存在しないのであれば、最

初に化学療法(NCCN 小細胞肺癌ガイドラインを参照)を施行した

後に地固め療法として放射線療法か膀胱摘除術のいずれかを行うこ

とが最善の治療法となる。原発性膀胱肉腫は、NCCN Soft Tissue

Sarcoma Guidelinesに従って治療する。

要約

尿路上皮腫瘍の予後は多様である。尿路内のいずれかの部位で腫瘍

が診断された患者では、その後も別の部位や同じ部位に同様なある

いは進行した病期で新たな病変が発生するリスクがある。再発例の

ほとんどが筋層非浸潤性腫瘍で内視鏡的に治療可能であることから、

再発に対する継続的なモニタリングは必須である。現在、個々の患

者における治癒および臓器温存の可能性を最大限に高めることを目

標として、分子学的手法による病期分類に基づく予後予測や治療選

択のより精密な方法が、本疾患のそれぞれのカテゴリー毎に開発さ

れている。

進行症例に対して新しい治療法が試みられており、新しく考案され

た手術手技や正確な放射線照射を目的とした 3 次元治療計画などを

組み合わせた集学的アプローチが用いられるのが典型的である。こ

うした治療はすべての症例に対し適切となるわけではないが、QOL

の改善や生存期間の延長について期待がもたれている。

最後に転移性膀胱癌については、現在標準療法とされているものよ

り優れていると思われる新規薬剤がいくつか確認されている。その

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膀胱癌

MS-19

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膀胱癌 目次

考察 ため専門家の間では、尿路上皮腫瘍の治療は今後数年間で急速に進

歩し、すべての病期で治療成績が改善されるだろうと考えられてい

る。

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膀胱癌

MS-20

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膀胱癌 目次

考察

表 1.病理学的管理の原則:膀胱癌の異型度分類:新

旧の分類法 a,b

Modified Bergkvist

1987

WHO 1973 WHO/ISUP 1998 Consensus

WHO, 2004

乳頭腫 grade 0 乳頭腫 乳頭腫

異 型 を伴 う 乳頭 腫

grade 1

TCC grade 1 低悪性度乳頭状尿路上皮腫瘍

尿路上皮癌 grade 2A TCC grade 1 尿路上皮癌、low grade

尿路上皮癌 grade 2B TCC grade 2 尿路上皮癌、 low grade または

high grade

尿路上皮癌 grade 3 TCC grade 3 尿路上皮癌、high grade

aFrom Droller MJ.Bladder Cancer, Current Diagnosis and Treatment.Totowa (NJ):

Humana Press, 2001.

bSeveral classifications have been proposed for grading of tumors of the bladder

epithelium.Because they are in general usage, the current NCCN guidelines for bladder and upper tract cancers continue to use the World Health Organization (WHO) histologic classification of tumors of the urinary tract from 1973. However, a revised classification has been adopted by numerous organizations, including the WHO in their most recent publication in 2004. This classification has also been adopted by the College of American Pathologists, the American Society of Clinical Pathology, and the International Society of Urologic Pathologists.

Please note several major changes in this classification.First, the term transitional cell is changed to urothelial.Also, dysplastic changes of the urothelium without invasion are now classified either as carcinoma in situ or as dysplasia without specification of mild, moderate, or severe.Any dysplastic, flat, non-invasive lesion that does not meet the criteria of CIS is referred to as dysplasia.

The criteria used for the new classification system are more specific than those for the 1973 WHO classification system.The entire classification system, including the range of types of tumors, is presented on pages 90–91 of the new WHO classification of tumors.

参考文献

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膀胱癌

MS-21

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膀胱癌 目次

考察

表 2. 多剤併用化学療法のレジメン

レジメン 用量

ゲムシタビン/

シスプラチン33,52

ゲムシタビン* 1000 mg/m

2 1、8、15 日目、

28 日間隔

シスプラチン 70 mg/m2 2 日目

M-VAC31,51

メトトレキサート 30 mg/m2 2、15、22 日目

ビンブラスチン 3 mg/m2 2、15、22 日目

ドキソルビシン 30 mg/m2 2 日目

シスプラチン 70 mg/m2 2 日目

*放射線療法を併用する場合は、この用量を用いるべきではない。

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膀胱癌

MS-1

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考察

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