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高品質なヨーグルトの製造コスト管理 概要 ヨーグルトなどの発酵乳製品は良質の栄養と健康効果 によりもっとも成功を収めた乳製品のひとつとなりま した。現在のヨーグルト工場の特長である大量の連続 処理では、生乳の受け入れから最終充填に至るまで製 品の品質に注意を払うことが必要です。 ろ過はプロセスの安全性、即ち生乳処理、発酵、 充填工程中の汚染予防の重要な要素の一つです。 課題 ヨーグルト工場では、水、蒸気、その他ユーティリテ ィからの粒子除去にはじまり、空気や原料からの微生物 除去に至る様々な用途に応じたフィルターが必要となり ます。またその用途の約2/3は、高圧システム、タンク ベントまたは圧縮空気用です。 通常、液体用フィルターは処理液体により数週間または 数ヶ月間で交換差圧に達して交換し、気体用フィルターは 目詰まらなければ1年以上使用することが可能です。 保守的なメンテナンス計画ではろ過時間やスチーム滅菌 回数を考慮に入れるので、使用可能なフィルターでも確 実性を重視するために頻繁に交換を行います。 大手ヨーグルトメーカーは、空気中の汚染物質からプロ セスを効率的に保護するために“エンフロンPFRW”フィ ルターを選択しました。サイズ、仕様の異なるフィル ターが175箇所のエアとその他気体のCCPに設置されま した。50m 3 の熟成タンクから充填エリアの800Lのフ ルーツコンテナまで、すべてに効率的な微生物管理が 求められます。 この製造工場の用途では、115°Cのスチームを30分か けて微生物除去フィルターを滅菌します。滅菌の頻度 は各ポイントでのリスク評価に基づいており、週に数 日から最長で3週間毎となっています。“エンフロン PFRW”フィルターは実験室において、一般的なメンテ ナンス条件を基にしたスチーム滅菌を繰り返し実施し た後(142°Cで最長165時間の累積滅菌時間)も機能が劣 化しておらず、限界に達することはありませんでした。 微生物リスクに応じ、フィルターの交換は、50回滅菌 毎、100回滅菌毎、1年間操業後と分けられました。 この方法は確実性を非常に重視しているように思えま すが、差圧超過やスチーム滅菌条件のリスク、またそ れらがフィルターに及ぼす潜在的な影響については考 慮されていません。 ポールの技術はフィルターの運用を最適化し品質管理 をサポートするソリューションを提供します。 ソリューション:完全性試験装置“ポールトロニ ック・フロースター”によるモニタリング 乳製品工程に設置された“エンフロンPFRW”フィル ターは、気体中のバクテリオファージ、細菌、芽胞、 及び液体中の細菌(凝集水からの菌汚染)に対する高 い除去性能を発揮するよう設計されました。これらの 液体用ろ過滅菌グレード(0.2µm)フィルターの完全 性試験の定期的な実施は、それを継続使用できること の確認となります。 すべてのポール滅菌用フィルターは開発過程において 多くの認定プロセス(バクテリア/ウィルスチャレンジ 試験の他、機械的ストレス、種々のスチーム耐久性) を経ています。数バッチに跨るフィルターの膨大な データはその製品に要求される性能のベースとなり ます。除菌性能と非破壊の完全性試験の相関性は、 ポール滅菌フィルターのバリデーション・プログラ ムの重要な項目であり、“エンフロンPFRW”フィル ターの安定した性能を保証します。 重要なフィルターの完全性試験を行うことによって、 使用ポイントでの微生物リスクに適応し、スチーム滅 菌サイクルの頻度に適合することによって、ヨーグル トメーカーはプロセスの安全性を高め、運転コストを 下げることができました。 各フィルターの使用記録は、1ヶ月に1回から1週間 に3回までの期間で定期的に文書化されました。このト レースが可能な文書には、サービスおよびスチーム滅 菌圧力等の条件、滅菌回数、試験結果が含まれていま す。一貫したデータにより、品質管理部門は完全性試 験計画の要求適合とさらなる最適化を図ることができ ました。今ではフィルターは完全性試験結果に基づい て交換されており、寿命が>2年間を超えるため大幅な コスト削減となりました。 Application Bulletin “ポールトロニック・フロースター”完全性試験装置

Processing Cost Control for High Quality Yogurts (Japanese ... · 易いタッチスクリーン、シンプルなメニューによる 操作 •高精度な測定 (ウォーターイントルージョン試験

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Page 1: Processing Cost Control for High Quality Yogurts (Japanese ... · 易いタッチスクリーン、シンプルなメニューによる 操作 •高精度な測定 (ウォーターイントルージョン試験

高品質なヨーグルトの製造コスト管理概要ヨーグルトなどの発酵乳製品は良質の栄養と健康効果によりもっとも成功を収めた乳製品のひとつとなりました。現在のヨーグルト工場の特長である大量の連続処理では、生乳の受け入れから最終充填に至るまで製品の品質に注意を払うことが必要です。

ろ過はプロセスの安全性、即ち生乳処理、発酵、充填工程中の汚染予防の重要な要素の一つです。

課題ヨーグルト工場では、水、蒸気、その他ユーティリティからの粒子除去にはじまり、空気や原料からの微生物除去に至る様々な用途に応じたフィルターが必要となります。またその用途の約2/3�は、高圧システム、タンクベントまたは圧縮空気用です。

通常、液体用フィルターは処理液体により数週間または数ヶ月間で交換差圧に達して交換し、気体用フィルターは目詰まらなければ1年以上使用することが可能です。保守的なメンテナンス計画ではろ過時間やスチーム滅菌回数を考慮に入れるので、使用可能なフィルターでも確実性を重視するために頻繁に交換を行います。

大手ヨーグルトメーカーは、空気中の汚染物質からプロセスを効率的に保護するために“エンフロンPFRW”フィルターを選択しました。サイズ、仕様の異なるフィルターが175箇所のエアとその他気体のCCPに設置されました。50�m3 の熟成タンクから充填エリアの800Lのフルーツコンテナまで、すべてに効率的な微生物管理が求められます。

この製造工場の用途では、115°C�のスチームを30分かけて微生物除去フィルターを滅菌します。滅菌の頻度は各ポイントでのリスク評価に基づいており、週に数日から最長で3週間毎となっています。“エンフロンPFRW”フィルターは実験室において、一般的なメンテナンス条件を基にしたスチーム滅菌を繰り返し実施した後�(142°Cで最長165時間の累積滅菌時間)も機能が劣化しておらず、限界に達することはありませんでした。微生物リスクに応じ、フィルターの交換は、50回滅菌毎、100回滅菌毎、1年間操業後と分けられました。この方法は確実性を非常に重視しているように思えますが、差圧超過やスチーム滅菌条件のリスク、またそれらがフィルターに及ぼす潜在的な影響については考慮されていません。

ポールの技術はフィルターの運用を最適化し品質管理をサポートするソリューションを提供します。

ソリューション:完全性試験装置“ポールトロニック・フロースター”によるモニタリング�乳製品工程に設置された“エンフロンPFRW”フィルターは、気体中のバクテリオファージ、細菌、芽胞、及び液体中の細菌(凝集水からの菌汚染)に対する高い除去性能を発揮するよう設計されました。これらの液体用ろ過滅菌グレード(0.2�µm)フィルターの完全性試験の定期的な実施は、それを継続使用できることの確認となります。

すべてのポール滅菌用フィルターは開発過程において多くの認定プロセス(バクテリア/ウィルスチャレンジ試験の他、機械的ストレス、種々のスチーム耐久性)を経ています。数バッチに跨るフィルターの膨大なデータはその製品に要求される性能のベースとなります。除菌性能と非破壊の完全性試験の相関性は、ポール滅菌フィルターのバリデーション・プログラムの重要な項目であり、“エンフロンPFRW”フィルターの安定した性能を保証します。

重要なフィルターの完全性試験を行うことによって、使用ポイントでの微生物リスクに適応し、スチーム滅菌サイクルの頻度に適合することによって、ヨーグルトメーカーはプロセスの安全性を高め、運転コストを下げることができました。

各フィルターの使用記録は、1ヶ月に1回から�1�週間に3回までの期間で定期的に文書化されました。このトレースが可能な文書には、サービスおよびスチーム滅菌圧力等の条件、滅菌回数、試験結果が含まれています。一貫したデータにより、品質管理部門は完全性試験計画の要求適合とさらなる最適化を図ることができました。今ではフィルターは完全性試験結果に基づいて交換されており、寿命が�>2�年間を超えるため大幅なコスト削減となりました。

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“ポールトロニック・フロースター”完全性試験装置

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食品フィルター事業部

東京都新宿区西新宿6-5-1

TEL.03(6901)5760

[email protected]

©�Copyright�2012,�Pall�Corporation.�Pall,� ,�Palltronic�と�Emflon�はポール・コーポレーションの商標です。®�は米国の登録商標であることを示しています。「ろ過、分離、精製」SM と�「液体総合管理」SM はポール・コーポレーションのサービスマークです。�

FBABDAIRYFYEN 2012�年�7�月

当社ウェブサイトwww.pall.com/foodandbevをご覧ください。ポール・コーポレーションは、世界中に営業所および工場があります。あなたの地域の代理店については�www.pall.com/contact�でお調べください。

製品が水と食品の使用に関する国の法令および地域の規制に適合するか、ポール・コーポレーションまでお問い合わせください。

本書に記載の製品、システム、およびサービスに関連する技術開発のため、データと手順は通知することなく変更する場合があります。本書の情報の有効性を確認するため、ポールまでお問い合わせくださるか、�www.pall.com�にアクセスしてください。

ポール・コーポレーションについてポール・コーポレーションは世界最大規模のろ過、分離、精製会社です。ポールは、信頼性と費用効果を高めるよう設計された先進的なメンブレンろ過技術とシステムによって食品および飲料業界に貢献します。当社のシステムは設置が簡単で使い易く、広範囲なろ過用途に適合します。

完全性試験装置“ポールトロニック・フロースター”は、試験計画の開発と工場の操業プログラムへの統合に最適な製品となりました。

高疎水性“エンフロン�PFRW”のバリデーション時に行っている完全性試験は、フォワードフロー試験とウォーターイントルージョン試験です。フォワードフロー試験は�110kPaの試験圧で、含水アルコールで湿潤したメンブレンを通過する気体流量を測定します。ウォーターイントルージョン試験は乾燥したフィルターを装着したハウジングの一次側を水で満たし、250kPaの試験圧で通過する水の流量を測定します。ウォーターイントルージョン試験は有機溶媒が不要なので、気体用メンブレンフィルターにとって望ましい試験となりました。

• “ポールトロニック・フロースター”完全性試験装置はダイレクトフロー測定技術により、微生物除去フィルターのウォーターイントルージョン試験またはフォワードフロー試験を行います。

• 流量安定性のリアルタイム感知と試験時間の自動制御により、最短時間で精度の高い結果が得られます。

• 製造現場向け設計:�完全自動化、携帯性、防滴、使い易いタッチスクリーン、シンプルなメニューによる操作

• 高精度な測定�(ウォーターイントルージョン試験で�0.01mL/min)

• GAMPのガイドラインに基づいて開発

気体フィルターの完全性試験に加えて、ユーザーは同じ機器を使用して液体フィルターのフォワードフロー試験も実施しました。これによって品質管理部門はモニタリングと文書化の要求に対応しました。

利点“ポールトロニック・フロースター”による完全性試験は、フィルターの性能が要求を満たすことを確認します。この測定結果はポールによって実施された膨大なバリデーションデータと有効な相関性があります。

• CCPで使用されたフィルターの品質記録によりプロセスの安全性を高め、TQMをサポートします。

• 不適切な取扱(例、蒸気温度/圧力の設定)�に起因する破損の早期検知

• 過剰に保守的なメンテナンス計画による早期フィルター交換を避けることで運転コストを削減

• 1台の装置で気体用と液体用フィルターの両方に使用可能な設計。

“エンフロン”フィルター