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Propeller DWIEPI DWI との比較・検討 (財)脳神経疾患研究所附属総合南東北病院 放射線科 富澤 茂樹 赤石沢 小島 正徳 (Tomizawa Shigeki) (Akaishizawa Takashi) (Ojima Masanori) 【目的】 当院に導入したソフト(Propeller )は、体動によるアーチファクトを低減する他にDWI に用いることで、 susceptibilityの影響や、磁性体アーチファクトを低減することが可能となった。 今回、Propeller法における最適条件を検討し、現在当院にて使用しているEPI DWIとの比較・検討を行 った。 【使用機器】 GE社製 SIGNA Excite Xl 1.5T GE社製 頭部用 HR Brain Array Coil 【方法】 (1) Propeller DWIでの最適撮像条件の検討 (2) Propeller DWIEPI DWIと画像の比較 (3) Propeller DWIEPI DWIでの脳動脈瘤用クリップの材質の違いによる 磁性体アーチファクトの影響の比較 (4) 脳動脈瘤クリッピング術後Propeller DWIEPI DWIでの画像の比較 結果PropellerPeriodically Rotated Overlapping ParallEL Lines with Enhanced ReconstructionPropeller FSE 法をとしておEcho Trainブレとい考えTRとに回転させによりk-スペ 充填す。ブレして1TR時間-スペ複数ラインを収集し、 増分角度で撮像しす。各ブレ位置 ズレ補正をしながら再構成するので動アーチファクトにい画像が得られます。 た、Propeller DWIにおいては、FSEとなっているのでEPI DWIと比て磁化率アーチファクトや磁性体アーチフ ァクトを低減することが可能となりました。 (1)Propeller DWIでの最適撮像条件の検討 撮像条件の最適 今回は、 MatrixEcho Trainいて検討しした。 従来撮影しているEPI DWI と今回導入Propeller DWIを比較しした。 撮像時間延長すが、Propeller を使 用することで、画像の歪み大幅され す。(a,b) Matrix256にすることで、ントラス分解大幅向上す。 し、Matrix128 の画質にしても良好 評価得ました。(b,cFSE -スペ()およPropeller -スペ() Matrix の比較 aMatrix128 b:Matrix128 c:Matrix256Scan time 00:32 Scan time 3:20 Scan time 6:40 EPI (a) Propeller (b) Propeller (c)

Propeller DWI EPI DWI との比較・検討tohoku-b.umin.ac.jp/data/14bukaizassi/14_page129.pdf図5のクリップをファントム 中央に固定し、実際に Propeller DWIとEPI

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Page 1: Propeller DWI EPI DWI との比較・検討tohoku-b.umin.ac.jp/data/14bukaizassi/14_page129.pdf図5のクリップをファントム 中央に固定し、実際に Propeller DWIとEPI

Propeller DWI/EPI DWI との比較・検討

(財)脳神経疾患研究所附属総合南東北病院 放射線科 ○富澤 茂樹 赤石沢 孝 小島 正徳

(Tomizawa Shigeki) (Akaishizawa Takashi) (Ojima Masanori)

【目的】

当院に導入したソフト(Propeller)は、体動によるアーチファクトを低減する他にDWIに用いることで、

susceptibilityの影響や、磁性体アーチファクトを低減することが可能となった。

今回、Propeller法における最適条件を検討し、現在当院にて使用しているEPI DWIとの比較・検討を行

った。

【使用機器】

GE社製 SIGNA Excite Xl 1.5T

GE社製 頭部用 8HR Brain Array Coil

【方法】

(1) Propeller DWIでの最適撮像条件の検討

(2) Propeller DWIとEPI DWIと画像の比較

(3) Propeller DWIとEPI DWIでの脳動脈瘤用クリップの材質の違いによる

磁性体アーチファクトの影響の比較

(4) 脳動脈瘤クリッピング術後のPropeller DWIとEPI DWIでの画像の比較

【結果】

Propeller(Periodically Rotated Overlapping ParallEL Lines with Enhanced Reconstruction)

PropellerはFSE法をベースとしており、

Echo Trainをブレードという1つの帯と考え、

これをTRごとに回転させる事によりk-スペ

ースを充填します。ブレードに対して1つの

TR時間でk-スペースの複数ラインを収集し、

増分角度で撮像します。各ブレードの位置

ズレ補正をしながら再構成するので動きの

アーチファクトに強い画像が得られます。

また、Propeller DWIにおいては、FSE法

がベースとなっているのでEPI DWIと比べ

て磁化率アーチファクトや磁性体アーチフ

ァクトを低減することが可能となりました。

(1)Propeller DWIでの最適撮像条件の検討

撮像条件の最適化にあたり今回は、

MatrixとEcho Trainについて検討しました。

従来撮影しているEPI DWIと今回導入さ

れたPropeller DWIを比較しました。

撮像時間は延長しますが、Propellerを使

用することで、画像の歪みが大幅に軽減され

ます。(図2-a,b)

Matrix256にすることで、コントラスト分解能

が大幅に向上します。

しかし、Matrix128の画質に関しても良好

な評価を得ました。(図2-b,c)

図1 FSEのk-スペース(左)および

Propellerのk-スペース(右)

図2 Matrixの比較

(a:Matrix128 b:Matrix128 c:Matrix256)

Scan time 00:32 Scan time 3:20 Scan time 6:40

EPI (a) Propeller (b) Propeller (c)

Page 2: Propeller DWI EPI DWI との比較・検討tohoku-b.umin.ac.jp/data/14bukaizassi/14_page129.pdf図5のクリップをファントム 中央に固定し、実際に Propeller DWIとEPI

次にMatrixを128に統一し、ETLを可変し比較

しました。

ETLを上げることによりTEの値も増加し、また

ブレード内のk-スペース収集ラインが密になる

のでコントラスト・空間分解能ともに良好な画像

を得ることが出来ます。分解能はETL12では、低

下した画像となり、ETL16以上では、差の無い画

像であると評価を得ることが出来ました。

撮像時間と制限枚数を考慮した上で、当院で

はETL16を採用しております。

(2)Propeller DWIとEPI DWIと画像の比較(図4)

図4-a,bは実際に当院にて使用している画

像と撮像条件となっております。

b値は1000に統一しており、コントラスト分解能・

撮像時間を考慮して上記の条件に設定しました。

また、SNRについてはPropeller DWIがS-I方向

にて46%向上しております。

(3)Propeller DWIとEPI DWIでの脳動脈瘤用クリップの材質の違いによる磁性体アーチファクトの影響の比較

ETL 24/TE 122

ETL 20/TE 110.2

ETL 16/TE 98.4

ETL 12/TE 86.7

図3 Echo Train Lengthの比較

図4-a EPI DWI 図4-b Propeller DWI

TR/TE 8000/minimum(89.2) TR/TE 4000/98.4

ETL 16

NEX 1 NEX 1.5

Scan time 0:32 Scan time 3:20

図5 脳動脈瘤用クリップ(左:チタン製 右:コバルト合金製)

Page 3: Propeller DWI EPI DWI との比較・検討tohoku-b.umin.ac.jp/data/14bukaizassi/14_page129.pdf図5のクリップをファントム 中央に固定し、実際に Propeller DWIとEPI

図5のクリップをファントム

中央に固定し、実際に

Propeller DWIとEPI DWI

を撮像し、磁性体アーチ

ファクトの径を計測してど

の程度アーチファクトが抑

えられたのかを比較しまし

た。(図6に示す。)

図6よりチタン製クリップで

は、Propellerを使用するこ

とによって、当院の撮像条

件のEPI DWIと比較して

40%ほど磁性体アーチフ

ァクトが低減された。

同様にコバルト合金製

については、31.3%ほど

磁性体アーチファクトが低

減された。

(4)脳動脈瘤クリッピング術後のPropeller DWIとEPI DWIでの画像の比較

症例 73歳 女性

【考察】

Propeller(GE社製)は、susceptibility・磁性体アーチファクトを大幅に低減することが可能となり、クモ膜

下出血におけるクリッピング術後の血管攣縮による脳梗塞の評価など臨床において、十分活用されるソフト

であると考えます。

【参考文献】

・ 森 懇、 青木 茂樹、 阿部 修、他:Propeller MRIの基礎的検討および臨床応用.日本医放会誌、

62(6)、287-289(2002)

Propeller DWI

チタン コバルト合金

EPI DWI

図6 材質の異なるクリップによる磁性体アーチファクトの比較

a b

図7 前交通動脈瘤クリッピング術後(a:EPI DWI b:Propeller DWI)