注染染めの別軸展開の可能性調査と、 ワークショップ型の普及手段開発 PUDDLE TEXTILE

PUDDLE TEXTILE‚‚くじ PUDDLE TEXTILE 団体説明・当事業説明 ・・・・・ 注染について 注染のなりたち・・・・・ 注染の特徴

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注染染めの別軸展開の可能性調査と、

ワークショップ型の普及手段開発

P U D D L E T E X T I L E

もくじ

PUDDLE TEXTILE 団体説明・当事業説明 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

注染について 注染のなりたち ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 注染の特徴 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

注染の製作工程 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

調査報告 組合:浜松織物染色協同組合/ 工場:二橋染工場 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ メーカー:白井商事 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 工場:㈱ナカニ/ブランド:にじゆら ・・・・・・・・・・

ワークショップ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

まとめ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

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団体概要

注染の普及を目指し、新たな柄づくり、注染生地の活用などに取り組む、呉服店、

デザイナーなどを中心とした任意団体。

当事業説明

浴衣や和物に限定されない注染の展開を探るため、現状調査を軸として、染工場、

メーカー、先進ブランドにヒアリングを実施。また染め体験を可能にする移動

式注染実演機を、プロダクトデザイナー、地元 FAB LAB とともに設計しました。

P U D D L E T E X T I L E

団体概要/事業説明PUDDLE TEXTILE

注 染 についてPUDDLE TEXTILE

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明治に入って増大した浴衣・てぬぐいの需要への対応と、色柄のデザインをより

自由にするために開発されたと言われています。(注染の技法が開発された正確な

場所は特定されていません)

一時、取り扱い数では日本一だったという浜松の注染は、関東大震災の後新天地

を求めて東京から来た職人たちによって大正時代に始められたと言います。

豊富な水源、多くの河川、安定した強い風という自然条件が、大量の水と風を必

要とする注染には適していました。

注 染 に つ いてPUDDLE TEXTILE

注 染 のなりたち

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注染とは、染料を生地に「注」いで「染」める技法です。

何層にも折り重ねた生地に、細い注ぎ口を持つ専用のやかんを使用して染料を注

ぎ込みます。注がれた染料は生地の下からコンプレッサーによって吸引され、各

層の生地を糸一本一本まで染め上げます。

ちがった色や水を同時に注ぐことによって、色のまじわりや、ぼかしをつくるこ

とができ、それが仕上がり品のやわらかな印象をつくりだしています。

安価な浴衣で多く出回っているシルクスクリーンと、注染浴衣の大きな違いは、

吸水性と通気性の良さです。繊維一本一本に染料がしみこみ染め上げられるため、

糸と糸の間を空気が通り、織物自身が本来持っている通気性を損なうことなく柄

を表現することができます。

一方でシルクスクリーンは、細かい柄の再現と使用可能な色数が多いという利点

はあるのだが、生地の表面に塗料の膜ができるため空気が通る穴がふさがれてし

まい、人の熱がこもって蒸れるため、それが着心地の差となります。

注 染 に つ いてPUDDLE TEXTILE

布 布染料 染料

【シルクスクリーン】 【 注 染 】

注 染 の 特 徴

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柿渋で染められた紙に図柄を彫って型として使用します。

注 染 に つ いてPUDDLE TEXTILE

❶型注 染 の 製 作 工 程

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生地の上に下ろされた型に木ベラを使って防染糊を置いていきます。糊が置かれ

た部分には染料が通らず、柄を浮き上がらせます。注染は生地が幾重にも折り重

ねられ、各層に置かれた糊が染料の通り道となることで、複数の反物を同時に染

めることができます。

注 染 に つ いてPUDDLE TEXTILE

❷糊付注 染 の 製 作 工 程

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染める色ごとに、生クリームの搾り出し袋の様な道具で生地の行面に糊の土手を

つくり、色の不要な混ざりを防ぎます。

注 染 に つ いてPUDDLE TEXTILE

❸土手注 染 の 製 作 工 程

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専用のやかんで土手の中に染料を注ぎ込みます。にじみやぼかしの効果を出す場合

には、2 つのやかんから同時に染料や水を注ぎ、その量の調節で注染独特のやわら

かな色合いをつくりだします。浜松は、吸引の強弱を細かくコントロールすることによ

り、にじみやぼかしをより豊かに表現する技術が特徴的だと言われています。

注 染 に つ いてPUDDLE TEXTILE

❹染め注 染 の 製 作 工 程

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余分な染料や糊を落とすために、長い洗い場で水洗いします。

注 染 に つ いてPUDDLE TEXTILE

❺洗い注 染 の 製 作 工 程

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均等に間隔を空けて梁が何本も並ぶ天井の高い干場で、脱水した生地を乾燥させま

す。12.5 mほどの長い生地がズラッとならぶ姿はとてもきれいで圧巻です。

注 染 に つ いてPUDDLE TEXTILE

❻乾燥注 染 の 製 作 工 程

12注 染 に つ いてPUDDLE TEXTILE

❼完成注 染 の 製 作 工 程

調 査 報 告PUDDLE TEXTILE

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広巾について

のりづけ、折口の揃え、吸引ムラ、

移動などで不具合が多い。現在は、

大手からの発注で年に数回程度つ

くることがある。

現行の注染実演機について

現行のものはサイズが小さいが、

原寸のてぬぐいサイズに対応でき

るものを現在制作中。重量がかな

りあるが、素材をアルミとした場

合に吸引力に耐えられるか不安が

ある。

今後

小学校 4 年生の教科書に注染が出

ているということもあり、より地

元での認知を高めるために小学校

での実演を増やしたい。

調 査 報 告PUDDLE TEXTILE

組合:浜松織物染色協同組合/工場:二橋染工場調 査 報 告

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メーカー:白井商事調 査 報 告

流通・制作について

流通のながれ

制作のながれ

今のバイヤーの価値観が値段中心になってきた。昔は工場の技術を活かし商品企画に関わる提案をするバイヤーもいた。

産地ごとの特色浜松:吸引の強さ調節が効くため、カラフルにぼかしを活かす。

大阪:吸引スイッチがオンオフだけのため、ぼかしのコントロールが効きにくい。

東京:色数が少なく、シンプルですっきりしたものが多い

魅力について風合いや通気性、肌触りなどよく言われるもの以外では、色の入れ方、ぼかしの作

り方によって、染め上がった時にひとつの型がまったくちがった顔を見せる。同じ型

紙を使って、色やぼかしを変えた別物に見えるような商品の制作もしている。

普及について一気にあがるブーム的な認知度の上げ方ではなく、じわじわ浸透していく広ま

りを期待している。そのため、目にする機会や、実際に物に触れる機会を増や

す方向の取り組みに積極的。地元でのイベントを各所協同でおこなっているが、

地元のお客さんから小売店への問い合わせを増やしていくことが目的。魚河岸

シャツの展開は注目している。呉服屋だけでなく、化粧品店など様々な店がオ

リジナル柄を作り、それぞれの特色が出ている。着物と違って、浴衣には「遊び」

の部分が多いので、そこがもっと盛り上がるとおもしろい。

デザイナーに頼んだこともあったが、ゆかたへの理解度の低さがネックになった。

調 査 報 告PUDDLE TEXTILE

商品企画

社長が原案を決める

小売店

型紙を彫ってもらう

工場 (制作)

問屋 (東京・大阪・名古屋・京都)

図案をおこす

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工場:㈱ナカニ/ブランド:にじゆら調 査 報 告

今年 50 周年を向かえる注染工場。

「にじゆら」について注染の特性を本当に活かしたものに

なっているのか?プリントものと値段

の差にある価値をお客さんに伝えてい

るのか?という工場経営の長年の自問

自答から、てぬぐいブランド「にじゆ

ら」を立ち上げた。プロデューサー、

コピーライター、デザイナーらととも

に制作した 8 柄からスタート。

これまでの 4 年で 300 柄を商品化。

注染の認知度について

注染の一般的認知度は、にじゆら前も

後も変わらず低い。

東京店に来た 4000 人の内、注染を知っ

ていた人は 100 名ほど。

広巾注染について

ブランド化し、ミラノサローネに出品

したが値段の折り合いがつかず、高

まってきていた「にじゆら」のニーズ

に応えるために現在は休止中。問い合

わせは多い。

【課題】

生産効率のよさが死んでしまうほど、

時間と人工がかかる。

【難点】

すべての工程にかかる機械の改良

注染の強みが活きるアウトプット(製品)

技術、製品用途、販路にそれぞれにお

ける革新、開拓

調 査 報 告PUDDLE TEXTILE

実 演 機 デ ザインPUDDLE TEXTILE

18実 験 機 デ ザインPUDDLE TEXTILE

実験機デザイン

ヒアリングを通じて、国内には移動式の注染実演機をもっている工場もあるという話を

聞いた。それらを使用した実演へのお客さんの反応はとてもよく、注染という技術を知

らせる機会として頻繁に行われているという。一方でそれらは実演を通じて、職人の技

を見せることに特化したものであった。

当事業では、職人の技とともに、染めの工程や仕組みも同時に見せ、一歩踏み込んだ理

解促進を目的にすえた実演機をデザインした。

19ワー クショップPUDDLE TEXTILE

まとめPUDDLE TEXTILE

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展開の可能性検討まとめ

取り組むべき点  クリエイターなどの外部人材や、分野を越えた取り組みを促進する

・認知度向上→ 「知る」「理解する」「体感する」と目的別にわけた PR 企画

・従来の価値感にしばられない注染の特徴・特性抽出

 →それぞれを活かす製品・用途の開発

  「やわらかな印象」「通気性」「光の透過性」「手で裂ける」「とび、にじみ

が必ずでる」「肌触りがいい」「気軽に洗える」etc.

・制作工程、浴衣文化に理解のあるデザイナーの育成

広幅の染めには人工が倍かかるため、

今導入すると他の仕事がストップしてしまう(中尾氏)

毎シーズンの図案は社長が自ら考えているが、制作後、既存の図案との類似性が

高すぎてしまうということが起こったことがある(白井氏)

まとめPUDDLE TEXTILE

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打ち合わせを通じてクリエイター達から、注染制作の工程も魅力的だという声が聞かれ

た。そこから工程に焦点を当てた企画のブレインストーミングが始まり、PR イベント

企画ができあがった。

異業種の視点、クリエイターの発想が入り込むことで生まれた、このアイディアは業界

内からはなかなか生まれないもので、一般的に想像される物をつくる職能とは別の、ク

リエイターが関わる効果の一側面だと感じた。

まとめPUDDLE TEXTILE

P R 事業企画

事業企画「重ねて、抜いて、盛って、注ぐフェスティバル」

まとめ

目 的

概 要

カフェメニュー

折り重ねる、型抜く、注ぐという注染の工程にある特徴を、

体感し、理解してもらう。

注染制作工程それぞれの技法と類似した手法を持つ他分野の

技術を体験するワークショップを集めた体験イベント

[ワークショップメニュー]

・テリーヌ

・ラザニア

○折り重ねる  ・ミルフィーユづくり(パティシエ) ・切り紙(アーティスト)

○型抜く ・料理の盛り付け(シェフ) ・テリーヌづくり(シェフ)  ・ステンシルグラフィティ(アーティスト)

○土手づくり ・ケーキのデコレーション(パティシエ)

○注ぐ  ・コーヒードリップ(バリスタ)

○注染実演(注染職人)

・ミルフィーユ

・バームクーヘン  など