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2 3 広報こまつ[2011.11162910 11 12 21 1142使―― 平成22年12月 準備委員会設置。小松市、宮本 三郎美術館、世田谷美術館、石川県立美術館、地 元作家らによってコンクールの内容を協議。 10月 コンクールの骨子が固まる 平成23年4月 実行委員会設置 4月3日 デッサン大賞展開催記者発表 3月~9月 作品募集 国内外から629点の応募 10月11日・12日 審査会 10月30日 展覧会開催(~12月4日) 開場式 11月14日 授賞式 第1回デッサン大賞展の歩み 鈴木 治男 さん デッサン大賞展実行委員会 委員長 I N T E R V I E W 宮本三郎(1905~1974)

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23 広報こまつ[2011.11]

 

このコンクールには2つの大きな特徴があり

ます。1つはテーマや素材を限定せず、幅広いデッ

サン作品を募集したこと。規定の大きさの範囲

内であれば、作者が「これが自分のデッサンだ」と

考えるものならどんな作品でも応募できること

にしました。次に、作品と併せて作文の提出を求

め、作者のデッサン観やデッサンについての考え

方を求めました。

 

今までの概念にとらわれない、全く新しいデッ

サンの表現を問うこのコンクールには高い関心

が集まり、国内のみならず、アメリカ、イギリス、

スペインなどから全629点の作品が寄せられ

ました。そして10月11日・12日の2日間、日本の

現代美術界を代表する3人の審査員(酒井忠康、

山本容子、横尾忠則)を招いて審査会が行われ、

大賞1点、宮本三郎記念賞1点、優秀賞1点、佳

作4点、そして審査員賞2点が選ばれました。

(審査の結果は次のページで)

回のコンクールには、宮本三郎の

顕彰という目的がひとつにはあ

りますが、それには宮本がこだわりを

見せたデッサンをテーマに扱うことが

最も効果的だと考えました。宮本のデッ

サンの素晴らしさはやはり描写力で、

晩年の作品に見られる、1本1本の線

そのものに込めた迫力は他の追随を許

さない洗練された高度な表現です。

 

しかし、創作を行う人たちの中でも

デッサンの捉え方はさまざまで、今で

も、デッサンは下絵であり、修練の場だ

と考えている人も少なくありません。

そこで、テーマや素材を限定せず、新た

なデッサン表現・デッサン観を求めると

いう内容にチャレンジしています。これ

は、出品する側にも選ぶ側にも「何を表

現するのか」という本質的な問題、ある

種の覚悟を問う課題です。今回、どんな

作品が受賞するのか、美術界全体がそ

の結果を固唾をのんで見守っていたと

いっても過言ではないでしょう。

 

市民の皆さんにとっても、発想や技

術力など時代の最先端の表現に触れる

ことができるチャンスです。デッサンは

創作活動の原点。人間の一番素朴な感

覚、感性に触れ、そこから、新たな表現

の可能性を感じ取っていただきたいと

思います。

デッサンの捉え方に

一石を投じる取り組みを小松から発信

国内外から629点の応募! 

 

天賦の素描力と華麗なる色彩で「鬼才」と評さ

れ、時代を代表する油絵画家となった小松市出身

の宮本三郎。豊かな色使いで独自の美を開拓する

一方、日々のデッサンは怠らず、デッサンに芸術的

な価値を認め、鑑賞作品としての制作にも取り組

んでいます。

 

宮本の時代もそうですが、かつてデッサンは「習

作」、「下絵」とされていました。しかし今では絵画

に限らず、彫刻や建築、工芸などあらゆるものづ

くりの創作の原点として、作者の生の感覚が映し

出されるデッサンの意義が見直されています。

 

デッサンとは何か―

。「宮本三郎記念デッサン

大賞展」は、郷土の美術家・宮本三郎を顕彰し、ま

た、新たなデッサンの可能性を探る美術コンクー

ルとして創設されました。デッサンに特化し豊か

な表現を求める、全国にも類をみない文化事業の

発信が始まったのです。

平成22年12月 準備委員会設置。小松市、宮本三郎美術館、世田谷美術館、石川県立美術館、地元作家らによってコンクールの内容を協議。10月 コンクールの骨子が固まる平成23年4月 実行委員会設置4月3日 デッサン大賞展開催記者発表3月~9月 作品募集 国内外から629点の応募10月11日・12日 審査会10月30日 展覧会開催(~12月4日) 開場式11月14日 授賞式

第1回デッサン大賞展の歩み

鈴木 治男さん

デッサン大賞展実行委員会委員長

デッサンを通して、人間の持つ

一番素朴な感性に触れてみてほしい

I N T E R V I E W

 「ぼくはほとんど毎日、主に裸体

を素描することにしている。油の材

料は非常に不自由な物で、どうして

も材料に引き回される傾向になる

が、鉛筆や木炭となると、表現手段

としては申し分なくこなせ、画家の

真価を見て貰うことができる」

(『宮本三郎素描集』より)

かた

もら

宮本三郎(1905~1974)

◀入選作より

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45 広報こまつ[2011.11]

大賞

中村

俊樹(大阪府)

「困った感じの人」

宮本三郎記念賞

杉沢

光(静岡県)

「居ること」

佳作

丸山 知子(東京都)「喪・2011」

 中 京春(奈良県)「林-1」

山本 哲生(東京都)「線の風景・弐」

横尾忠則賞

山本容子賞三木 コヲジ(東京都)「父と蟹と八月の空」

廣野 典子(宮城県)「海岸」

庄司 朝美(東京都)「my mothers」

優秀賞

楠野

幸子(小松市)

「風の中」

受賞作品

審査員講評

 

副賞として、大賞に100万円、宮本三郎記念

賞と優秀賞には各50万円、佳作には10万円が贈ら

れます。また、今回特別に、審査員の横尾忠則さん

と山本容子さんが1点ずつ選んだ作品に審査員

賞が贈られることになりました。

ガはデッサンについて、「モ

ノの見方の提案である」と

言っています。賞候補に挙がった

作品は、いかにもデッサンという

ものから大変個性的な作品、時代

の気分を巧みに自分の表現世界

に取り入れたものまで、いずれも

現代の問題意識が生き生きと呼

吸する作品で、それぞれに「モノ

の見方の提案」がされていたと思

います。

 

デッサン展というのは日本国内

でも類例がないコンクールです。

地方の町の意欲的な文化事業と

して開催されていますので、今後

さらに注目を集め、活発な活動に

つながることを期待します。(談)

作において、さまざまな材

料に出会い、その特性を知

ることはとても大切です。審査で

は、材料と描く人たちの親密度、

関係に注目しました。デッサンの

魅力は、描かれたものから、描いた

人たちの姿を発見していくこと

ではないかと思います。描いてい

る時間や、試行錯誤を繰り返して

いる姿が想像でき、親しみを持っ

てこちらに何かを訴えかけるも

のが、明日を拓くデッサンの根本

として大事だと思います。

 

作品を見ていると、自分の中で

凝り固まったものが解きほぐさ

れていくような、見ていて心のし

こりが溶けていくような、そんな

気分になりました。

は昔からデッサンが嫌いで、

いきなり油絵のできあがっ

たものを書きたくなるのですが、

今回さまざまなデッサンを見て、

その多様性に驚きました。また、

従来のように流行とか時代の潮

流とかをあまり意識しない、より

自由な表現を求めていると思い

ました。

 

全体としては、可能性のあるも

のというか、やむにやまれない内

面の衝動を素直に表現した作品

が上位の賞に選ばれたと思いま

す。次回のデッサン大賞に応募さ

れる人は、第1回の傾向を一度頭

から払拭して、今回選ばれたもの

とは違った作品を提出してもら

いたいです。

【展覧会】

 

受賞作品9点と入選作品48点のほか、宮本作

品も展示します。各作品から、デッサンに対する

考え方やその違いなどを比べてみませんか。

会 

期 

10月30日(日)〜12月4日(日)

ところ 

宮本三郎美術館

入館料 

一般400円、大学生200円、65歳

以上100円、高校生以下無料(要証明書提示)

◎ギャラリークルーズ

 

市内在住のクリエイターと一緒に作品鑑賞を

します。作品について意見を交わしたり一緒に

考えたりしながら展覧会を楽しみます。

と 

き 

11月5日(土)、12日(土)、26日(土)

いずれも14時〜 

申し込み不要

参加費 

無料(ただし、美術館入館料が必要)

【授賞式】

と 

き 

11月14日(月)11時〜

ところ 

市民ギャラリー「ルフレ」(博物館1階)

【山本容子講演会「私の美術遊園地」】

と 

き 

11月19日(土)14時〜

ところ 

絵本館ホール十九番館

参加費 

1000円(美術館入館料込み) 

申し込み 

往復ハガキで事前申し込みが必要

です。詳しくは、問い合わせください。

酒井

忠康

Tadayasu Sakai

美術評論家・世田谷美術館館長

山本

容子

Yoko Yamam

oto

銅版画家

横尾

忠則

Tadanori Yokoo

美術家

宮本三郎美術館

☎20・3600

問い合わせ

第1回宮本三郎記念デッサン大賞展

「明日の表現を拓く」

ひら

ふっしょく