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RESAS(地域経済分析システム) を活用した分析事例 長野県飯田市 【詳細版】 2016年3月 関東経済産業局

RESAS(地域経済分析システム) を活用した分析事例RESAS(地域経済分析システム) を活用した分析事例 長野県飯田市 【詳細版】 2016年3月

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RESAS(地域経済分析システム)

を活用した分析事例

長野県飯田市

【詳細版】

2016年3月

関東経済産業局

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第1項 STEP0

① 人口の推移(人口マップによる分析)

人口ピラミッドを実績値(2010年)と長期予測(2040年)で表示することにより、過去

や現在と将来の人口構成を把握する。

飯田市の人口ピラミッド(図 0-1-1参照)によると 2010年人口の内訳は、年少人口 14,797

人(14%)、生産年齢人口 60,471 人(57%)、老年人口 29,527 人(28%)となっている。

2040年の人口の内訳は、年少人口 8,927人(11%)、生産年齢人口 40,301人(50%)、老年

人口 30,632人(38%)となっており、老年人口の割合が、10%増加することが予想される。

図 0-1-1 飯田市の人口ピラミッド

5年ごとの総人口/年少人口/生産年齢人口/老年人口の推移を確認することにより、現

在と将来人口の推移を人口区分ごとに把握する。

飯田市の人口推移(図 0-1-2参照)によると、総人口と生産年齢人口はともに、1985年を

ピークに減少することが推計される。年少人口は、1985年から減少しており、今後も減少

することが推計されている。老年人口は、2025年まで単調増加しその後、緩やかに減少す

ると推計されている。

出典:総務省「国勢調査」、国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口」

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図 0-1-2 飯田市の人口推移

人口増減数の折れ線グラフと、それに対する自然増減と社会増減の寄与度を把握する。

飯田市の人口の自然増減・社会増減の推移(図 0-1-3 参照)によると 1995 年から 2003 年

にかけて自然増減はプラスとなっていたが、2004 年以降はマイナスに転じており、マイナ

ス幅は拡大する傾向にある。社会増減をみると、1995年から一貫してマイナスである。

図 0-1-3 飯田市の人口の自然増減・社会増減の推移

出典:総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数に関する調査」

出典:総務省「国勢調査」、国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口」

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飯田市にどこの自治体から人口移動(転入及び転出)が多くあったかを把握する。

飯田市の社会増減 From-to 分析(定住人口)転入超過数内訳(全年齢)と、転出超過数内

訳(全年齢)(図 0-1-4、図 0-1-5 参照)によると、2012 年から 2014 年における全年齢で

の転入内訳は、2012年、2013年は隣接する阿智村、2014年は同じく隣接する下條村からの

転入超過が最も多いが、転入超過数自体は減少傾向にある。一方、転出内訳は、2012 年は

愛知県春日井市、2013年、2014年は隣接する高森町への転出超過がそれぞれ多い。

図 0-1-4飯田市の社会増減 From – to分析(定住人口)転入超過内訳(全年齢)

図 0-1-5 飯田市の社会増減 From – to分析(定住人口)転入超過内訳(全年齢)

出典:総務省「住民基本台帳人口移動報告」

2012年 2013年 2014年

出典:総務省「住民基本台帳人口移動報告」

出典:総務省「住民基本台帳人口移動報告」

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飯田市の社会増減 From-to 分析(定住人口)転入超過数内訳(20 代)と、転出超過数内

訳(20 代)(図 0-1-6、図 0-1-7 参照)によると、2012 年、2013 年とも隣接する阿智村か

らの転入が最も多く、2014年は近隣自治体である下條村からの転入超過が多くなっている。

一方、転出超過の上位自治体をみると、2012年、2013年は愛知県春日井市、2014年は愛知

県豊田市への転出超過が最も多くなっている。

図 0-1-6 飯田市の社会増減 From – to分析(定住人口)転入超過内訳(20歳代)

図 0-1-7 飯田市の社会増減 From – to分析(定住人口)転出超過内訳(20歳代)

2012年 2013年 2014年

出典:総務省「住民基本台帳人口移動報告」出典:総務省「住民基本台帳人口移動報告」

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② 年齢別人口分布の変化(人口マップによる分析)

飯田市の年齢階級別純移動数の時系列分析図(0-2-1 参照)によると、1980 年から 2010

年にかけて、すべての年代で 10~14 歳→15~19 歳、15~19 歳→20~24 歳の年齢階級が転

入超過となっている。一方、20~24歳→25~29歳の年齢階級では、一転してすべての年代

で転出超過となっている。

図 0-2-1 飯田市の年齢階級別純移動数の時系列分析

③ 従業地における産業別従業者数(国勢調査による分析)

飯田市の従業地における産業別従業者数(図 0-3-1 参照)によると、産業別に製造業

(12,425人)、卸売業、小売業(9,295人)、医療、福祉(6,753人)の順で従業者数が多く

なっている。

出典:総務省「国勢調査」、総務省「住民基本台帳人口移動報告」に基づきまち・ひと・しごと創生本部作成

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図 0-3-1 飯田市 従業地における産業別従業者数

④ 通勤通学による人の動き(国勢調査による分析)

飯田市の通勤通学における人の動き(図 0-4-1参照)によると、市内に常住する就業者・

通学者は、59,481人でそのうち市外への通勤通学者は 33.0%を占める。また、市内での従

業通学する者は、64,486 人でそのうち市外からの通勤通学者は、18.5%を占めている。

市内から市外への移動人口は、下伊那郡(5,467人)が主な自治体となっている。市外か

ら市内への移動も同様に、下伊那郡(9,385人)となっている。

県外へは 377人が通勤通学している。県外からの通勤通学は 213人である。

出典:総務省「国勢調査 2010年」

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図 0-4-1 飯田市の通勤通学における人の動き

⑤ STEP0のまとめ

飯田市の総人口は 2000 年から単調減少しており、生産年齢人口は 1985 年をピークに減

少している。人口増減については 2004年から自然減少が拡大傾向にあり、社会減少は、1995

年から一貫してマイナスとなっている。

転出超過状況をみると、20 代を中心に中京圏や首都圏の自治体への転出超過が多い。転

入超過状況をみると、阿智村や下條村など隣接する自治体からの転入が多いが、転入超過

数自体は減少傾向にある。産業別就業者では製造業が 12,425人、卸売業、小売業 9,295人、

医療、福祉 6,753 人となっており、製造業、卸売業、小売業の雇用吸収力が高い地域であ

る。

第2項 STEP1

① 地域の主要産業の特定(産業大分類)

飯田市の産業について「産業マップ(全産業花火図)」を使い 売上高、付加価値額、従

業者数、取引流入額の各指標をおける「産業別構成割合」を確認し、構成割合が高い大分

類を地域の主要産業として特定する。

飯田市における産業大分類別の売上高(企業単位、2012年)(図 1-1-1参照)に占める主

要産業は順に、卸売業・小売業(1,882 億円)、製造業(1,803 億円)、建設業(948 億円)

となった。

飯田市における産業大分類別の付加価値額(企業単位、2012年)(図 1-1-2参照)に占め

る主要産業は順に、製造業(389 億円)、卸売業・小売業(254 億円)、医療・福祉(243 億

円)となった。

長野県

5,467(9.2%)

※カッコ内は通勤通学率(市内に常住する就業者・通学者に占める、各地域へ就業・通学する者の割合)

市内で従業通学する者

市内に常住する就業者・通学者

飯田市

59,481人うち市外へ通勤通学:7,886

64,486人うち市外から通勤通学:11,936

常住者の13.3%が市外へ流出

従業通学者の18.5%が市外より流入

9,385

1,087(1.8%)

2,338

県外

その他県内市町村

下伊那郡

喬木村 40.4%高森町 36.5%下條村 34.2%豊丘村 32.5%阿智村 31.9%泰阜村 26.7%松川町 20.6%

阿南町 18.6% 天龍村 14.9%平谷村 12.6% 大鹿村 8.7%売木村 7.2% 根羽村 4.7%

※飯田市への通勤通学率

377

213

出典:総務省「2010年 国勢調査」

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飯田市における産業大分類別の従業者数(事業所単位、2012年)(図 1-1-3参照)に占め

る主要産業は順に、製造業(11,665人)、卸売業小売業(9,809人)、医療・福祉(6,265人)

となった。

飯田市における産業大分類別の取引流入額(取引流入額の図は省略)に占める主要産業

は順に、製造業(51%)、卸売業・小売業(30%)、建設業(7%)、となった。

これにより、飯田市の主要産業について、各指標(売上高、付加価値額、従業者数、取

引流入額)における構成割合の高い産業を確認した結果、卸売業・小売業、製造業、建設

業、医療・福祉を主要産業として特定した。

図 1-1-1 飯田市における産業大分類別の売上高(企業単位、2012年)

図 1-1-2 飯田市における産業大分類別の付加価値額(企業単位、2012年)

卸売業、小売業

製造業

医療福祉建設業

卸売業、小売業

製造業医療、福祉 建設業

出典:総務省・経済産業省「平成 24年経済センサス―活動調査」

出典:総務省・経済産業省「平成 24年経済センサス―活動調査」

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図 1-1-3 飯田市における産業大分類別の従業者数(事業所単位、2012年)

② 地域の主要産業の特定(生産額、移輸出入収支額)(地域経済循環マップによる分析)

飯田市の主要産業を特定するため「地域経済循環マップ 生産分析」を使い、生産額が

大きい産業及び外から稼いでいる産業を把握する。

地域経済循環マップ 生産分析(生産額)(2010 年)(図 1-2-1 参照)における生産額は順

に、サービス業(1,821 億円)、電気機械(1,699 億円)、卸売、小売業(608 億円)となっ

た。

地域経済循環マップ 生産分析(移輸出入収支額)(2010年)(図 1-2-2参照)における主

要産業の移輸出入収支額は順に、電気機械(769億円)、電気・ガス・水道(138億円)、サ

ービス(101億円)となった。

地域の生産活動を支え、資本流入に貢献している産業は、電気機械である。

図 1-2-1 生産額(2010年)

製造業

卸売業小売業

医療福祉

建設業

出典:総務省・経済産業省「平成 24年経済センサス―活動調査」

出典: 環境省「地域産業連関表」、「地域経済計算」(株式会社価値総合研究所(日本政策投資銀行グループ)受託作成)

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図 1-2-2 移輸出入収支額(2010年)

③ 地域の主要産業の特定(中分類)

飯田市の産業について「産業マップ(全産業花火図)」を使い 売上高、付加価値額、従

業者数、取引流入額の各指標における「産業別構成割合」を確認し、構成割合が高い中分

類を地域の主要産業として特定する。

飯田市における産業中分類別の売上高(企業単位、2012年)(図 1-3-1参照)に占める主

要産業は順に、総合工事業(774億円)、電子部品・デバイス・電子回路製造業(493億円)、

機械器具製造業(465億円)となった。

飯田市における産業中分類別の付加価値額(企業単位、2012年)(図 1-3-2参照)に占め

る主要産業は順に、医療業(139億円)、総合工事業(112億円)、社会保険・社会福祉・介

護事業(101億円)となった。

飯田市における産業中分類別の従業者数(事業所単位、2012年)(図 1-3-3参照)に占め

る主要産業は順に、飲食店(3,726人)、社会保険・社会福祉・介護事業(3,543人)、農業

(2,911人)、となった。

飯田市における産業中分類別の取引流入額(取引流入額の図は省略)に占める主要産業

は順に、機械器具卸売業(11%)、電気機械器具製造業(8.7%)、業務用機械器具製造業(8.2%)

となった。

これにより、飯田市の主要産業について、各指標(売上高、付加価値額、従業者数、取

引流入額)における構成割合の高い産業を確認した結果、総合工事業、電子部品・デバイ

ス・電子回路製造業、医療業、社会保険・社会福祉・介護事業、飲食店、農業、電気機械

器具製造業を主要産業として特定した。

出典: 環境省「地域産業連関表」、「地域経済計算」(株式会社価値総合研究所(日本政策投資銀行グループ)受託作成)

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図 1-3-1 飯田市における産業中分類別の売上高(企業単位、2012年)

図 1-3-2 飯田市における産業中分類別の付加価値額(企業単位、2012年)

図 1-3-3 飯田市における産業中分類別の従業者数(事業所単位、2012年)

④ 中分類別の地域の主要産業の特定(工業統計による分析)

飯田市における製造業の製造品出荷額推移(実数)(構成比)(図 1-4-1、図 1-4-2 参照)

によると、製造業の製造品出荷額は、1986年から増加傾向にあり 1992年に 3,000億円規模

に達した。中分類別の推移をみると、電気機械器具製造業の製造品出荷額は、1986 年から

飲食料品小売業

飲食料品卸売業

業務用機械器具製造業

生産用機械器具製造業電子部品・デバ

イス・電子回路

電気機械器具

建築材料鉱物・金属材料等卸売

飲食料品卸売

農業11,660百万円

業務用機械器具

電子部品デバイス電子回路

電気機械器具

飲食料品小売

総合工事業

医療

社会保険社会福祉介護

その他の小売

電子部品・デバイス・電子回路

飲食料品小売

電気機械器具

農業2,911人

出典:総務省・経済産業省「平成 24年経済センサス―活動調査」

出典:総務省・経済産業省「平成 24年経済センサス―活動調査」

出典:総務省・経済産業省「平成 24年経済センサス―活動調査」

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増加しており、2013年には 1,500億円規模に成長している。1991年に 500億円規模の製造

品出荷額であった機械工業は、2013 年には 250 億円規模にまで減少している。また、食料

品製造業が一定の規模を占めており、主要産業として着目すべきである。

図 1-4-1 飯田市における製造業の製造品出荷額推移(実数)

図 1-4-2 飯田市における製造業の製造品出荷額推移(構成比)

(※2004年までは旧飯田市・南信濃村・上村の合算)

出典:経済産業省「工業統計」平成 21年~平成 25年 再編加工

出典:経済産業省「工業統計」平成 21年~平成 25年 再編加工

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飯田市における製造業の従業員数(実数)(構成比)(図 1-4-3、図 1-4-4参照)によると

製造業全体の従業者数は、1986 年から 1993 年にかけて増加し、約 14,000 人に達したが、

1993 年以降、減少傾向にあり 2013 年には約 10,000 人となった。中分類別に従業者数の動

向をみると、電気機械器具製造業、機械工業、食料品製造業のいずれも 1993年以降は微減

傾向にある。

図 1-4-3 飯田市における製造業の従業員数(実数)

図 1-4-4 飯田市における製造業の従業員数(構成比)

(※2004年までは旧飯田市・南信濃村・上村の合算)

出典:経済産業省「工業統計」平成 21年~平成 25年 再編加工

出典:経済産業省「工業統計」平成 21年~平成 25年 再編加工

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⑤ 中分類別の地域の主要産業の特定(自治体比較マップによる分析)

小売業における年間商品販売額の推移をみると、小売業の年間商品販売額は、1997 年の

年間商品販売額の増減率はプラスであったが、1999 年以降、増加率はマイナスで推移して

いる。飯田市における小売業の市場は縮小傾向にある(図 1-5-1)。

図 1-5-1 飯田市における小売業の年間商品販売金額の増減率

小売業における飲食料品小売業の年間商品販売額の増減率をみると、全国、長野県平均

の値は連動しており、1997 年、1999 年はプラスである。飯田市の増加率は、1997 年以降、

マイナスで推移しており、飯田市における飲食料品小売業の市場は縮小を続けていること

がわかる(図 1-5-2)。

図 1-5-2 飯田市における飲食料品小売業の年間商品販売金額の増減率

出典:経済産業省「商業統計」

出典:経済産業省「商業統計」

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卸売業における年間商品販売額の推移をみると、飯田市における卸売業の年間商品販売

額増減率は、2002年以降、マイナスとなっている。2002年までは全国平均、長野県平均と

同様に飯田市の卸売業の増減率は推移していたが、2004 年は全国平均、県平均と異なりマ

イナス幅が拡大している(図 1-5-3)。

図 1-5-3 飯田市における卸売業の年間商品販売金額の増減率

卸売業における飲食料品卸売業の年間商品販売額の増減率をみると、1999 年を除く年で

マイナスである。全国平均、県平均の増減率推移と比較すると、飯田市の増減率の変動幅

は長野県平均と同様に全国平均よりも小さいことがわかる。1999年から 2004年にかけての

増加率の変動をみると、2002年にマイナスとなった増加率は、2004年には回復せず減少率

が拡大していることがわかる。一方、2004 年において、長野県平均と全国平均の増減率の

マイナス幅は減少している(図 1-5-4)。

出典:経済産業省「商業統計」

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図 1-5-4 飯田市における飲食料品卸売業の年間商品販売金額の増減率

⑥ 中分類別の地域の主要産業の特定(農林水産業マップ等による分析)

「農林業センサス」(農林水産省 2010年)より農業の売上高は 116億円、従業者数 2,911

人である。従業者数では社会保険・社会福祉・介護事業に次ぐ規模であり、市内で 3 番目

の規模である。農業マップもあわせてみると、農業部門別販売金額では「果樹類」、「その

他の作物」、「肉用牛」、「養豚」、「酪農」が合わせて約 7 割を占めており、主要な産業とな

っている(図 1-6-1)。

図 1-6-1 農業部門別販売金額 総額(2010年)(農業マップによる分析)

農業の品目別産業規模を RESAS以外の統計データである「産作況調査(果樹)」(農林

水産省)(図 1-6-2、図 1-6-3、図 1-6-4参考)をみると、果樹においては、りんごと柿、

日本なしの生産が盛んである。「産作況調査(野菜)」(農林水産省)をみると、きゅうりの

生産が盛んであることがわかる(図)。「平成 18年生産農業所得統計」(農林水産省)をみ

ると、畜産においては、豚と乳用牛、肉用牛の生産が盛んである。

果樹類

その他の作物

肉用牛

養豚

酪農

出典:経済産業省「商業統計」

出典: 農林水産省「農林業センサス」再編加工

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図 1-6-2 飯田市の果樹収穫量(2006年)(農林水産省統計による分析)

図 1-6-3 飯田市の野菜出荷量(2006年)(農林水産省統計による分析)

出典:農林水産省「産作況調査(果樹)」

出典:農林水産省「産作況調査(野菜)」

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図 1-6-4 飯田市の農業産出額・畜産(2006年)(農林水産省統計による分析)

2005年から 2010年への林業の総収入(総額)(図 1-6-5参照)は、林産物販売金額は、6

億 6025 万円(2005 年)から 1,425 万円(2010 年)減少している。林業作業請負収入も、

11億 6,550万円(2005年)から 10億 8,275万円(2010年)に減少している。

図 1-6-5 飯田市の林業総収入(総額)(農業マップ)

2010年2005年飯田市

林産物販売金額(総額)

林業請負収入(総額)

出典:農林水産省「平成 18年生産農業所得統計」

出典: 農林水産省「農林業センサス」再編

加工

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⑦ STEP1のまとめ

これにより、飯田市の主要産業について、各指標(売上高、付加価値額、従業者数、取

引流入額)における構成割合の高い産業を確認した結果、大分類では卸売業・小売業、製

造業、建設業、医療・福祉を主要産業と特定した。

飯田市の主要産業について、各指標(売上高、付加価値額、従業者数、取引流入額)に

おける構成割合の高い産業を確認した結果、中分類では、総合工事業、電子部品・デバイ

ス・電子回路製造業、医療業、社会保険・社会福祉・介護事業、飲食店、農業、電気機械

器具製造業、業務用機械器具製造業を主要産業と特定した。

また、製造品出荷額・従業者数の推移からは、食料品製造業も着目すべき主要産業でと

特定した。

第3項 STEP2

① 製造業の他地域との比較

飯田市の全産業における製造業の売上高の構成割合は 28.8%で、長野県平均 37.1%と比

して低く、全国平均 25.7%より比して高い。

製造業における中分類別売上高の構成割合(図 2-1-1 参照)は、順に、電子部品・デバ

イス・電子回路製造業(27.4%)、電気機械器具製造業(25.9%)、その他の製造業(10.1%)

となった。

図 2-1-1 製造業 中分類別売上高 構成割合(2012年)

飯田市の全産業における製造業の付加価値額の構成割合は 26.2%で、長野県平均 32.9%

と比して低く、全国平均 23.1%より比して高い。

製造業における中分類別付加価値額の構成割合(図 2-1-2 参照)は、順に、電子部品・

デバイス・電子回路製造業(21.0%)、電気機械器具製造業(19.1%)、食料品製造業(10.2%)

となった。

飯田市

長野県

全国

電子部品・デバイス・電子回路製造業

その他の製造業

出典:総務省「平成 21年経済センサス-基礎調査」、総務省・経済産業省「平成 24年経済センサス-活動調査」再編加工

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図 2-1-2 製造業 中分類別付加価値額 構成割合

図 2-1-2 製造業 中分類別付加価値額 構成割合(2012年)

飯田市の全産業における製造業の従業者数(事業所単位)の構成割合は 23.0%で、長野

県平均 23.1%と比して同水準、全国平均 16.6%より比して高い。

製造業における中分類別従業者数(事業所単位)の構成割合(図 2-1-3参照)は、順に、

電子部品・デバイス・電子回路製造業(20.7%)、電気機械器具製造業(16.7%)、食料品

製造業(14.3%)となった。

図 2-1-3 製造業 中分類別従業者数 構成割合(2012年)

飯田市の全産業における製造業の取引流入額の構成割合は 51.1%で、長野県平均 48.9%、

全国平均 36.2%と比して高い。

製造業における取引流入額の構成割合(製造業 取引流入額 構成割合の図は省略)は、

順に、電気機械器具製造業(17.2%)、業務用機械器具製造業(16.1%)、パルプ・紙・紙

加工品製造業(9.8%)となった。

製造業について他地域を比較し特化係数としてまとめる、飯田市の製造業の特化係数一

覧(表 2-1-4 参照)のとのとおりとなる。

業務用機械器具製造業

出典:総務省「平成 21年経済センサス-基礎調査」、総務省・経済産業省「平成 24年経済センサス-活動調査」再編加工

飯田市

長野県

全国

電気機械器具 製造業

食料品製造業

電子部品・デバイス・電子回路製造業

電気機械器具製造業

食料品製造業

業務用機械器具製造業

電子部品・デバイス・電子回路製造業

電気機械器具製造業

食料品製造業

出典:総務省「平成 21年経済センサス-基礎調査」、総務省・経済産業省「平成 24年経済センサス-活動調査」再編加工

飯田市

長野県

全国

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表 2-1-4 飯田市の製造業の特化係数一覧

※電子部品・デバイス・電子回路製造業、電気機械器具製造業、食料品製造業、業務用機械器具製造業については取

引流入額の特化係数が 1.5以上となっている。(取引流入額の数値については省略)

飯田市の製造業(中分類)の特化係数一覧(表 2-1-4参照)のとおり、各指標(売上高、

付加価値額、従業者数、取引流入額)の特化係数が、複数、1.5以上(特化係数の全国平均

は1)である業種は、電子部品・デバイス・電子回路製造業、電気機械器具製造業、その

他製造業、業務用機械器具製造業、となった。

② 卸売業、小売業の他地域との比較

飯田市の全産業における卸売業・小売業の売上高の構成割合は 30.1%で、長野県平均

27.5%と比して高く、全国平均 31.1%と比して低い。

卸売業・小売業における中分類別売上高の構成割合(図 2-2-1 参照)は、順に、建築材

料、鉱物・金属材料等卸売業(17.7%)、飲食料品卸売業(17.0%)、その他の小売業(16.7%)、

となった。

図 2-2-1 卸売業、小売業 中分類別売上高 構成割合(2012年)

飯田市の全産業における卸売業・小売業の付加価値額の構成割合は 17.2%で、長野県平

均 17.0 %と同水準、全国平均 18.6%と比して低い。

卸売業・小売業における中分類別付加価値額の構成割合(図 2-2-2 参照)は、順に、そ

売上高 27.4 20.5 4.5 6.09

付加価値額 21 12.7 4 5.25

従業者数(事業所単位) 20.7 14.5 5.5 3.76

売上高 25.9 5.1 5.6 4.63

付加価値額 19.1 6.1 6.3 3.03

従業者数(事業所単位) 16.7 7.6 6 2.78

売上高 10.1 2.3 1.7 5.94

付加価値額 9.5 2.6 2 4.75

従業者数(事業所単位) 7.1 5 2.7 2.63

売上高 8.7 9 8.6 1.01

付加価値額 10.2 10 9.5 1.07

従業者数(事業所単位) 14.3 11.4 14 1.02

売上高 6.2 3.8 3.4 1.82

付加価値額 9.6 4.9 4.2 2.29

従業者数(事業所単位) 7.9 5.1 2.8 2.82

業務用機械器具製造業

電子部品・デバイス・電子回

路製造業

電気機械器具製造業

特化系数(①÷②)長野県構成比

その他製造業

業種 基準値 飯田市構成比① 全国構成比②

食料品製造業

出典:総務省・経済産業省「平成 24年経済センサス―活動調査」、株式会社帝国データバンク「企業間取引情報」を再編加工

建築材料、鉱物・金

属材料等卸売業

出典:総務省「平成 21年経済センサス-基礎調査」、総務省・経済産業省「平成 24年経済センサス-活動調査」再編加工

飯田市

長野県

全国

飲食料品卸売業

その他の小売業

その他の卸売業

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の他の小売業(19.7%)、機械器器具小売業(19.7%)、飲食料品小売業(16.6%)となっ

た。

図 2-2-2 卸売業、小売業 中分類別付加価値額 構成割合(2012年)

飯田市の全産業における卸売業・小売業の従業者数(事業所単位)の構成割合は 19.4%

で、長野県平均 19.4%と同水準、全国平均 21.0%と比して低い。

卸売業・小売業における中分類別従業者数(事業所単位)の構成割合(図 2-2-3 参照)

は、順に、その他の小売業(27.0%)、飲食料品小売業(22.5%)、機械器具小売業(10.8%)

となった。

図 2-2-3 卸売業、小売業 中分類別従業者数 構成割合(2012年)

飯田市の全産業における卸売業・小売業の取引流入額の構成割合は 30.3%で、長野県平

均 32.3%、全国平均 43.8%と比して低い。

卸売業・小売業における取引流入額の構成割合(卸売業・小売業 取引流入額 構成割

合の図は省略)は、順に、機械器具卸売業(36.6%)、建築材料、鉱物・金属材料等卸売業

(26.2%)、その他の卸売業(11.2%)となった。

卸売業・小売業について他地域と比較し特化係数としてまとめると、飯田市の卸売業・

小売業の特化係数一覧(表 2-2-4参照)のとおりとなる。

飲食料品小売業

建築材料、鉱物・金属材料等卸売業

出典:総務省「平成 21年経済センサス-基礎調査」、総務省・経済産業省「平成 24年経済センサス-活動調査」再編加工

飯田市

長野県

全国

飯田市

長野県

全国

機械器具小売業

飲食料品卸売業

出典:総務省「平成 21年経済センサス-基礎調査」、総務省・経済産業省「平成 24年経済センサス-活動調査」再編加工

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表 2-2-4 飯田市の卸売業、小売業の特化係数一覧

※飲食料品卸売業、その他の小売業、機械器具卸売業については取引流入額の特化係数が 1.5以上となっている。(取引

流入額の数値については省略)

飯田市の卸売業・小売業の特化係数一覧(表 2-2-4 参照)のとおり、各指標(売上高、

付加価値額、従業者数、取引流入額)の特化係数が、複数、1.5以上(特化係数の全国平均

は1)である業種は、その他の小売業、機械器具卸売業となった。

これらを飯田市における主要産業として特定する。

③ 宿泊業、飲食サービス業

飯田市の全産業における宿泊業・飲食サービス業の売上高の構成割合は 2.3%で、長野県

平均 2.4%と比して同水準、全国平均 1.5%より比して高い。

宿泊業・飲食サービス業における中分類別売上高の構成割合(図 2-3-1参照)は、順に、

飲食店(71.1%)、宿泊業(25.6%)となった。

図 2-3-1 宿泊業、飲食サービス業 中分類別売上高 構成割合(2012年)

飯田市の全産業における宿泊業・飲食サービス業の付加価値額の構成割合は 3.9%で、長

野県平均 3.9%、全国平均 3.0%と比して同水準である。

宿泊業・飲食サービス業における中分類別付加価値額の構成割合(図 2-3-2 参照)は、

順に、飲食店(65.5%)、宿泊業(31.8%)となった。

売上高 17.7 13.9 21.3 0.83

付加価値額 13.5 9.7 12.5 1.08

従業者数(事業所単位) 5.7 5.6 6.3 0.90

売上高 17 16.5 14 1.21

付加価値額 12 8.8 9.7 1.24

従業者数(事業所単位) 9 7.2 6.9 1.30

売上高 16.7 17.7 9.4 1.78

付加価値額 19.7 22.9 16.3 1.21

従業者数(事業所単位) 27 27.6 21.8 1.24

売上高 14.2 12.4 10.6 1.34

付加価値額 5.1 6.6 8.9 0.57

従業者数(事業所単位) 5.1 5.6 7.6 0.67

売上高 12.7 11.2 6.8 1.87

付加価値額 19.7 16.8 9.6 2.05

従業者数(事業所単位) 10.8 8.8 7.5 1.44

売上高 11.1 13.7 8.5 1.31

付加価値額 16.6 18.2 14.9 1.11

従業者数(事業所単位) 22.5 26.5 26.4 0.85

全国構成比②飯田市構成比①業種 特化系数(①÷②)

機械器具卸売業

飲食料品小売業

長野県構成比

建築材料、鉱物・金属材料等卸売業

飲食料品卸売業

その他の小売業

その他の卸売業

基準値

飯田市

長野県

全国

出典:総務省「平成 21年経済センサス-基礎調査」、総務省・経済産業省「平成 24年経済センサス-活動調査」再編加工

出典:総務省・経済産業省「平成 24年経済センサス―活動調査」、株式会社帝国データバンク「企業間取引情報」を再編加工

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図 2-3-2 宿泊業、飲食サービス業 中分類別付加価値額 構成割合(2012年)

飯田市の全産業における宿泊業・飲食サービス業の従業者数(事業所単位)の構成割合

は 9.2%で、長野県平均 10.7%、全国平均 9.7%と比して同水準である。

宿泊業・飲食サービス業における中分類別従業者数(事業所単位)の構成割合(図 2-3-3

参照)は、順に、飲食店(80.0%)、宿泊業(12.1%)となった。

図 2-3-3 宿泊業、飲食サービス業 中分類別従業者数 構成割合(2012年)

飯田市の全産業における宿泊業・飲食サービス業の取引流入額の構成割合は、長野県平

均、全国平均共に 0.1%となった。(引流入額の図は省略)。

宿泊業・飲食サービス業について他地域と比較し特化係数としてまとめると、飯田市の

宿泊業・飲食サービス業の特化係数一覧(表 2-3-4参照)のとおりとなる。

表 2-3-4 飯田市の宿泊業、飲食サービス業の特化係数一覧

(取引流入額の数値については省略)

飯田市の宿泊業・飲食サービス業の特化係数一覧(表 2-3-4参照)のとおり、各指標(売

上高、付加価値額、従業者数、取引流入額)の特化係数が、複数、1.5以上(特化係数の全

国平均は1)である業種はなかった。

売上高 71.1 47.4 66.5 1.07

付加価値額 65.5 51.9 70 0.94

従業者数(事業所単位) 80 60.6 77.9 1.03

売上高 25.6 46.7 23.2 1.10

付加価値額 31.8 42.9 19.3 1.65

従業者数(事業所単位) 12.1 32.7 12.9 0.94

飲食店

基準値 飯田市構成比① 全国構成比② 特化系数(①÷②)

宿泊業

業種 長野県構成比

出典:総務省・経済産業省「平成 24年経済センサス―活動調査」、株式会社帝国データバンク「企業間取引情報」を再編加工

飯田市

長野県

全国

飯田市

長野県

全国

出典:総務省「平成 21年経済センサス-基礎調査」、総務省・経済産業省「平成 24年経済センサス-活動調査」再編加工

出典:総務省「平成 21年経済センサス-基礎調査」、総務省・経済産業省「平成 24年経済センサス-活動調査」再編加工

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④ 医療、福祉

飯田市の全産業における医療・福祉の売上高の構成割合は 7.1%で、長野県平均 5.6%と

比して同水準、全国平均 5.6%より比して高い。

医療・福祉における中分類別売上高の構成割合(図 2-4-1参照)は、順に、医療業(60.3%)、

社会保険・社会福祉・介護事業(39.7%)となった。

図 2-4-1 医療、福祉 中分類別売上高 構成割合(2012年)

飯田市の全産業における医療・福祉の付加価値額の構成割合は 16.4%で、長野県平均

12.3%と比して同水準、全国平均 9.9%より比して高い。

医療・福祉における中分類別付加価値額の構成割合(図 2-4-2参照)は、順に、医療業(57.7%)、

社会保険・社会福祉・介護事業が(42.3%)となった。

図 2-4-2 医療、福祉 中分類別付加価値額 構成割合(2012年)

飯田市の全産業における医療・福祉の従業者数(事業所単位)の構成割合は 12.3%で、

長野県平均 10.8%と比して同水準、全国平均 10.1%より比して高い。

医療・福祉における中分類別従業者数(事業所単位)の構成割合(図 2-4-3 参照)は、

順に、医療業(56.6%)、社会保険・社会福祉・介護事業(42.5%)となった。

飯田市

長野県

全国

飯田市

長野県

全国

出典:総務省「平成 21年経済センサス-基礎調査」、総務省・経済産業省「平成 24年経済センサス-活動調査」再編加工

出典:総務省「平成 21年経済センサス-基礎調査」、総務省・経済産業省「平成 24年経済センサス-活動調査」再編加工

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図 2-4-3 医療、福祉 中分類別従業者数 構成割合(2012年)

飯田市の全産業における医療・福祉の取引流入額の構成割合は 0.4%で、長野県平均 0.1%

と比して同水準、全国平均 0.1%より比して高い。

医療・福祉における中分類別取引流入額の構成割合は、順に、社会保険・社会福祉・介

護事業(91.9%)、医療業(8.1%)となった。

医療・福祉について他地域と比較し特化係数としてまとめると、飯田市の医療・福祉の

特化係数一覧(表 2-4-4参照)のとおりとなる。

表 2-4-4 飯田市の医療、福祉の特化係数一覧

※社会保険・社会福祉・介護事業については取引流入額の特化係数が 1.5以上となっている。(取引流入額の数値につい

ては省略)

飯田市の医療・福祉の特化係数一覧(表 2-3-4 参照)のとおり、各指標(売上高、付加

価値額、従業者数、取引流入額)の特化係数が、複数、1.5以上(特化係数の全国平均は1)

である業種はなかった。

⑤ 建設業

飯田市の全産業における建設業の売上高の構成割合は 15.2%で、長野県平均 9.4%、全

国平均 6.2%より比して高い。

建設業における中分類売上高の構成割合(図 2-5-1参照)は、順に、総合工事業(81.7%)、

設備工事業(11.8%)となった。

売上高 60.3 60.6 36.9 1.63

付加価値額 57.7 65.3 59.8 0.96

従業者数(事業所単位) 56.6 47.8 43.9 1.29

売上高 39.7 38.6 62.6 0.63

付加価値額 42.3 34 39.5 1.07

従業者数(事業所単位) 42.5 51.7 55.3 0.77

全国構成比② 特化系数(①÷②)業種 基準値 飯田市構成比① 長野県構成比

医療業

社会保険・社会福祉・介護事業

出典:総務省・経済産業省「平成 24年経済センサス―活動調査」、株式会社帝国データバンク「企業間取引情報」を再編加工

飯田市

長野県

全国

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図 2-5-1 建設業 中分類別売上高 構成割合(2012年)

飯田市の全産業における建設業の付加価値額の構成割合は 10.5%で、長野県平均 8.1%、

全国平均 6.4%より比して高い。

建設業における中分類付加価値額の構成割合(図 2-5-2 参照)は、順に、総合工事業

(72.2%)、設備工事業(17.6%)となった。

図 2-5-2 建設業 中分類別付加価値額 構成割合(2012年)

飯田市の全産業における建設業の従業者数(事業所単位)の構成割合は 9.7%で、長野県

平均 7.7%、全国平均 6.9%より比して高い。

建設業における中分類従業者数(事業所単位)の構成割合(図 2-5-3 参照)は、順に、

総合工事業(57.1%)、設備工事業(23.9%)となった。

図 2-5-3 建設業 中分類別従業者数 構成割合(2012年)

飯田市

長野県

全国

出典:総務省「平成 21年経済センサス-基礎調査」、総務省・経済産業省「平成 24年経済センサス-活動調査」再編加工

飯田市

長野県

全国

設備工事業

飯田市

長野県

全国

出典:総務省「平成 21年経済センサス-基礎調査」、総務省・経済産業省「平成 24年経済センサス-活動調査」再編加工

出典:総務省「平成 21年経済センサス-基礎調査」、総務省・経済産業省「平成 24年経済センサス-活動調査」再編加工

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飯田市の全産業における建設業の取引流入額の構成割合は 7.0%で、長野県平均 6.8%、

全国平均 4.8%より比して高い。

建設業における中分類取引流入額構成割合の構成割合は、順に、職別工事業(55.6%)、

総合工事業(30.1%)となった(取引流入額の図は省略)。

建設業について他地域と比較し特化係数としてまとめると、飯田市の建設業の特化係数

一覧(表 2-3-4参照)のとおりとなる。

表 2-3-4 飯田市の建設業の特化係数一覧

(取引流入額の数値については省略)

飯田市の建設業の特化係数一覧(表 2-3-4参照)のとおり、各指標(売上高、付加価値

額、従業者数、取引流入額)の特化係数が、複数、1.5以上(特化係数の全国平均は1)で

ある業種はなかった。

⑥ STEP2のまとめ

STEP1で主要産業として抽出した産業のうち、各指標(売上高、付加価値額、従業者数、

取引流入額)における特化係数を中分類別に確認する。その結果、構成比が上位かつ特化

係数が、複数、1.5以上ある大田原市の産業(中分類別)は、電子部品・デバイス・電子回

路製造業、電気機械器具製造業、その他の製造業、業務用機械器具製造業、その他の小売

業、機械器具卸売業となった。これらを飯田市の主要産業として特定する。

⑦ STEP1と STEP2のまとめ

STEP1 と STEP2 の結果をグラフとしてまとめると以下の図 2-7-1、図 、図 、図 、図 、

図 のようになる。

売上高 81.7 69.1 63.8 1.28付加価値額 72.2 60.4 54.4 1.33従業者数(事業所単位) 57.1 56.5 49.1 1.16

売上高 11.8 14.1 23.5 0.50付加価値額 17.6 19.7 29.4 0.60従業者数(事業所単位) 23.9 21.8 28.3 0.84

業種 基準値 飯田市構成比① 特化系数(①÷②)

総合工事業

設備工事業

全国構成比②長野県構成比

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⑦ -1 製造業

図 2-7-1 飯田市 製造業の売上高と売上高特化係数(企業単位、2012年)

図 2-7-2 飯田市 製造業の従業者数と従業者数特化係数(企業単位、2009 年、2012年)

0

1

2

3

4

5

6

7

8

0

10,000

20,000

30,000

40,000

50,000

60,000

特化係数

系列1 系列2

売上高(百万円)

0

1

2

3

4

0

500

1,000

1,500

2,000

2,500

3,000

特化係数従業者数(人)

従業者数(2009) 従業者数(2012)

特化係数(2009) 特化係数(2012)

特化係数(2012) 売上高(2012)

出典:総務省・経済産業省「平成 24年経済センサス―活動調査」

出典:総務省・経済産業省「平成 24年経済センサス―活動調査」

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図 2-7-3 飯田市 製造業の付加価値額と付加価値額特化係数(企業単位、2012年)

⑦ -2 卸売業、小売業

図 2-7-4 飯田市 卸売業、小売業の売上高と売上高特化係数(企業単位、2012年)

0

1

2

3

4

5

6

7

8

01,0002,0003,0004,0005,0006,0007,0008,0009,000

特化係数

付加価値額(2012) 特化係数(2012)

付加価値額(百万円)

0

1

2

3

0

10,000

20,000

30,000

40,000

特化係数

売上高(百万円) 特化係数(2012)

売上高(百万円)

出典:総務省・経済産業省「平成 24年経済センサス―活動調査」

出典:総務省・経済産業省「平成 24年経済センサス―活動調査」

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図 2-7-5 飯田市 卸売業、小売業の従業者数と従業者数特化係数(企業単位、2012年)

図 2-7-6 飯田市 卸売業、小売業の付加価値額と付加価値額特化係数

(企業単位、2012年)

第4項 STEP3

STEP1及び STEP2において特定した飯田市の主要産業(電気機械器具製造業、業務用機械

器具製造業、電子部品・デバイス・電子回路製造業、その他の製造業、その他の小売業、

機械器具卸売業)について、産業マップの企業別花火図を用い、売上高、従業員数、コネ

クター度・ハブ度、雇用貢献度、利益貢献度の観点を総合的に踏まえ中核企業候補の抽出

を行った。

0

0.5

1

1.5

2

0

750

1,500

2,250

3,000

特化係数従業者数(人)

従業者数(2009) 従業者数(2012)

特化係数(2009) 特化係数(2012)

0

1

2

3

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

特化係数

付加価値額(2012) 特化係数(2012)

付加価値額(百万円)

出典:総務省・経済産業省「平成 24年経済センサス―活動調査」

出典:総務省・経済産業省「平成 24年経済センサス―活動調査」

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32

① 電気機械器具製造業の中核企業候補抽出

電気機械器具製造業における中核企業候補抽出については、抽出条件を 2013年の全産業、

取引関係は販売を対象とした。これにより、中核企業候補が 16社抽出される(表 3-1-1 参

照)。そのうち売上高規模では、100億円規模の企業が 1社、50億円規模の企業 1社、10億

円規模の企業 5 社、5 億円規模の企業 2 社、1 億円規模の企業 4 社、5,000 万円規模の企業

1 社、1,000 万円規模以下の企業 2 社が所在した。従業員数規模では、100 名超規模の企業

4社、50名規模の企業 2社、20名規模の企業 6社、20名以下の企業 4社となった。

表 3-1-1 電気機械器具製造業の中核企業候補

② 業務用機械器具製造業の中核企業候補抽出

業務用機械器具製造業における中核企業候補抽出については、抽出条件を 2014年の全産

業、取引関係は販売を対象とした。これにより、中核企業候補が 6社抽出される(表 3-2-1

参照)。そのうち売上高規模では、10 億円規模の企業 1 社、1 億円規模の企業 3 社、5,000

万円規模の企業 2社が所在した。従業員数規模では、20名規模の企業 2社、20名以下の企

業 4社となった。

A社 8 11 1 7 3 10 14B社 5 5 2 5 7 9 5C社 7 7 3 6 8 1 4D社 4 4 4 3 11 7 3E社 11 13 5 1 13 3 11F社 14 14 6 10 4 14 12G社 2 3 7 4 14 5 16H社 10 9 8 15 1 8 7I社 16 16 9 2 16 16 9J社 12 8 10 8 9 4 13K社 13 11 11 9 10 13 6L社 1 1 12 11 12 6 1M社 3 2 13 12 6 2 2N社 6 6 14 13 2 12 10O社 9 10 15 14 5 11 15P社 15 15 16 16 15 15 8

ハブ度

100雇用貢献度100 利益貢献度100企業名 売上高順位 従業員数順位

コネクター度・

ハブ度(50/50)コネクター度100

出典:株式会社帝国データバンク「企業概要データベース COSMOS2」、株式会社帝国データバンク「企業間取引データ TRD」

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33

表 3-2-1業務用機械器具製造業の中核企業候補

③ 電子部品・デバイス・電子回路製造業の中核企業候補抽出

電子部品・デバイス・電子回路製造業における中核企業候補抽出については、抽出条件

を 2014年の全産業、取引関係は販売を対象とした。これにより、13社抽出される(表 3-3-1

参照)。そのうち売上高規模では、10 億円規模の企業 3 社、5 億円規模の企業 3 社、1 億円

規模の企業 7 社が所在した。従業員数規模では、100 名超規模の企業 1 社、50 名規模の企

業 3社、20名規模の企業 3社、20名以下の企業 6社となった。

表 3-3-1 電子部品・デバイス・電子回路製造業の中核企業候補

④ その他の製造業の中核企業候補抽出

その他の製造業における中核企業候補抽出については、抽出条件を 2014年の全産業、取

引関係は販売を対象とした。これにより、3 社抽出される(表 3-4-1 参照)。そのうち売上

高規模では、5億円規模の企業 1社、1億円規模の企業1社が所在した。従業員数規模では、

秘匿の企業を除き、50名規模の企業1社 20名以下の企業1社となった。

A社 2 3 1 1 1 4 5B社 4 1 2 3 2 6 2C社 1 4 3 6 3 3 6D社 3 2 4 2 4 1 1E社 5 5 5 4 5 2 3F社 6 6 6 5 6 5 4

ハブ度100

雇用貢献度100 利益貢献度100企業名 売上高順位 従業員数順位コネクター度・

ハブ度(50/50)コネクター度100

A社 12 11 1 11 1 1 9B社 2 2 2 2 3 2 12C社 9 8 3 7 4 4 3D社 5 6 4 9 2 8 5E社 3 3 5 3 5 5 1F社 1 1 6 1 6 9 2G社 6 4 7 4 8 12 10H社 7 12 8 5 9 13 11I社 8 10 9 6 10 11 13J社 10 7 10 8 11 6 6K社 11 13 11 10 12 3 7L社 4 5 12 12 7 7 4M社 12 8 13 13 13 10 8

ハブ度100

雇用貢献度100 利益貢献度100企業名 売上高順位 従業員数順位コネクター度・

ハブ度(50/50)コネクター度100

出典:株式会社帝国データバンク「企業概要データベース COSMOS2」、株式会社帝国データバンク「企業間取引データ TRD」

出典:株式会社帝国データバンク「企業概要データベース COSMOS2」、株式会社帝国データバンク「企業間取引データ TRD」

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34

表 3-4-1 その他の製造業の中核企業候補

⑤ 機械器具卸売業の中核企業候補抽出

機械器具卸売業における中核企業候補抽出については、抽出条件を 2014年の全産業、取

引関係は仕入を対象とした。これにより、11社抽出される(表 3-5-1参照)。そのうち売上

高規模では、50 億円規模の企業 1 社、10 億円規模の企業 2 社、5億円規模の企業 1 社、1

億円規模の企業 4 社、1,000 万円規模以下の企業 3 社が所在した。従業員数規模では、50

名規模の企業 2社、20名規模の企業 3社、10名以下の企業 6社となった。

表 3-5-1 機械器具小売業の中核企業候補

⑥ 小売業の中核企業候補抽出

その他の小売業における中核企業候補抽出については、抽出条件を 2014 年の全産業、

取引関係は仕入を対象とした。これにより、19社抽出される(表 3-6-1参照)。そのうち売

上高規模では 10億円規模の企業 6社、5億円規模の企業 1社、1億円規模の企業 11社、5,000

万円規模の企業 1社が所在した。従業員数規模では、50名規模の企業 1社、20名規模の企

業 5社、20名以下の企業 13社となった。

A社 1 1 1 1 3 2 1B社 3 - 2 2 1 3 2C社 2 2 3 3 2 1 3

ハブ度100

雇用貢献度100 利益貢献度100企業名 売上高順位 従業員数順位コネクター度・

ハブ度(50/50)コネクター度100

A社 9 8 1 2 1 1 9B社 8 10 2 1 9 8 5C社 5 4 3 3 6 3 4D社 1 1 4 4 2 5 2E社 2 3 5 5 3 7 1F社 4 6 6 6 5 6 11G社 3 2 7 7 4 4 3H社 10 8 8 8 10 10 8I社 6 7 9 9 7 9 6J社 7 4 10 10 8 2 7K社 11 10 11 11 11 11 10

ハブ度100

雇用貢献度100 利益貢献度100企業名 売上高順位 従業員数順位コネクター度・

ハブ度(50/50)コネクター度100

出典:株式会社帝国データバンク「企業概要データベース COSMOS2」、株式会社帝国データバンク「企業間取引データ TRD」

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表 3-6-1 その他の小売業の中核企業候補

第5項 STEP4

① 目的地分析

飯田市内への訪問について、訪問先への検索回数データを元に観光マップを用い目的地

分析を行う。検索条件を 2014年平日とし、交通手段を自動車と公共交通に指定し分析した。

その結果、2014年平日の自動車による目的地検索の候補では、10カ所抽出されるが、公共

交通では 1 か所のみ検索された(図 4-1-1、図 4-1-2 参照)。交通手段別の目的地では、自

動車による目的地検索の上位は、元善光寺、天竜峡、下栗の里となった。公共交通では下

栗の里が抽出された。

図 4-1-1 自動車による訪問先と推定訪問数(2014年、平日)

A社 13 14 1 14 1 18 12B社 15 16 2 15 2 7 13C社 7 8 3 7 3 17 8D社 6 5 4 1 9 2 1E社 12 8 5 2 15 11 4F社 1 1 6 3 10 9 3G社 11 10 7 4 6 6 7H社 3 2 8 5 7 4 18I社 2 4 9 6 8 13 19J社 4 3 10 9 4 1 2K社 19 16 11 19 5 14 17L社 14 14 12 8 16 16 5M社 5 6 13 10 11 3 6N社 8 12 14 11 12 15 9O社 9 7 15 12 13 10 10P社 10 10 16 13 14 5 11Q社 16 19 17 16 17 19 14R社 17 16 18 17 18 8 15S社 18 13 19 18 19 12 16

ハブ度100

雇用貢献度100 利益貢献度100企業名 売上高順位 従業員数順位コネクター度・

ハブ度(50/50)コネクター度100

出典:株式会社ナビタイムジャパン「経路検索条件データ」

出典:株式会社帝国データバンク「企業概要データベース COSMOS2」、株式会社帝国データバンク「企業間取引データ TRD」

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図 4-1-2 公共交通による訪問先と推定訪問数(2014年、平日)

自動車による訪問先と推定訪問数(2014 年、平日)(図 4-1-1 参照)を元に上位 5 カ所

の訪問先について 2014 年 4 月から 2015 年 3 月までの検索数推移を分析する。その結果、

目的地検索ランキング上位 5 カ所の検索数推移(図 4-1-3 参照)では、検索回数の最も多

い元善光寺が 12 月から 3 月にかけて検索回数が増加する傾向にある。下栗の里は、6 月か

ら 10 月にかけて検索回数が増加しているが、10 月から 11 月に検索回数が急減している。

元善光寺と天竜峡と下栗の里を除く目的地は、8月から検索回数が減少してゆく傾向となっ

た。

図 4-1-3 自動車による目的地検索ランキング(2014年 4月~2015年 3月、平日)

飯田市内への訪問について、訪問先への検索回数データを元に観光マップを用い目的地

分析を行う。検索条件を 2014年休日とし、交通手段を自動車と公共交通に指定し分析した。

その結果、平日と同様に、自動車による検索回数が公共交通を上回り、公共交通では 1 か

出典:株式会社ナビタイムジャパン「経路検索条件データ」

出典:株式会社ナビタイムジャパン「経路検索条件データ」

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所のみが検索された。(図 4-1-4、図 4-1-5参照)。交通手段が自動車の場合、目的地検索の

上位 3 カ所は、平日と同じ下栗の里、天竜峡、元善光寺である。公共交通の場合は、下栗

の里のみが抽出される。休日における飯田市への目的地検索は、平日と同傾向となった。

図 4-1-4 自動車による訪問先と推定訪問数(2014年、休日)

図 4-1-5 公共交通による訪問先と推定訪問数(2014年、休日)

自動車による訪問先と推定訪問数(2014 年、休日)(図 4-1-4 参照)を元に上位 5 カ所

の訪問先について 2014 年 4 月から 2015 年 3 月までの検索数推移を分析する。目的地検索

ランキング上位 5カ所の検索数推移(図 4-1-6参照)では、天竜峡以外の目的地検索は、5

月と 9月に検索回数が高い。1月から 3月の目的地検索では、元善光寺以外の訪問先は低調

となるが、元善光寺は検索回数の大きな変動はない。

出典:株式会社ナビタイムジャパン「経路検索条件データ」

出典:株式会社ナビタイムジャパン「経路検索条件データ」

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図 4-1-6 自動車による目的地検索ランキング(2014年 4月~2015年 3月、休日)

② メッシュ分析(流動人口)

飯田市内の流動人口について、月別、平日・休日別の流動人口推移をヒートマップで把

握し、任意の地域を選択し、流動人口の推移を時系列で把握する。

メッシュ分析(流動人口)の検索条件を 2014 年 10 月休日に設定し、ヒートマップから

流動人口が多いメッシュを把握した。これにより、目的地検索の上位三カ所(元善光寺、

天竜峡、下栗の里)と市内で流動人口の多い場所(153 号線沿い店舗集積地(比較点①)、

飯田市立動物園)に着目して流動人口の推移を把握する。

出典:株式会社ナビタイムジャパン「経路検索条件データ」

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39

図 4-2-1 飯田市 メッシュ分析 流動人口(2014年 10月、休日)

流動人口密度が高い場所の詳しく流動人口の月別推移(図 4-2-2 参照)によると、比較

点①と天竜峡においては、6月をピークに減少する傾向がみられる。飯田市立動物園は 6月

から 9 月まで変動幅が少なく、10 月にピークとなる。元善光寺や下栗の里における流動人

口は変動幅が小さい。

下栗の里

元善光寺

天竜峡

飯田市立動物園

出典:株式会社 Agoop「流動人口データ」

比較点①

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40

図 4-2-2 飯田市 流動人口の月別推移(2014年、休日)

2014年 6月休日の時間帯別の流動人口の推移によると(図 4-2-3参照)、比較点①は 8時

から流動人口が増加し、11時頃から 15時の間まで流動人口が高い時間が続く。一方、天竜

峡は 7 時から 15 時までの間流動人口は少ないが、15 時から増加し、18 時以降に流動人口

が多くなる。飯田市立動物園付近の流動人口は、時間帯による変動が少ない。

図 4-2-3 飯田市 流動人口の時間別推移(2014年 6月、休日)

2014 年 11 月休日の時間帯別の流動人口の推移によると(図 4-2-4 参照)、比較点①の流

動人口の変動傾向は、6 月と類似した傾向にある。天竜峡付近では 0 時から 11 時まで流動

人口が減少し 11 時以降微増し横ばいで推移する点は、6 月の流動人口と異なる。飯田市立

動物園付近の流動人口は、6 月の流動人口と異なり 6 時、18 時、21 時にピークとなる。下

栗の里と元善光寺の流動人口については、時間帯による変動が少ない。

出典:株式会社 Agoop「流動人口データ」

出典:株式会社 Agoop「流動人口データ」

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41

図 4-2-4 飯田市 流動人口の時間別推移(2014年 11月、休日)

③ From-to分析

飯田市における滞在人口を平日・休日別にどの地域からの滞在人口が多いかを都道府県

別・市区町村別に把握する。From-to分析を 2014年の平日、表示地域単位を市区町村単位・

都道府県単位にて選択して把握したところ、滞在人口の 98.2%は県内由来であり、そのう

ち、69%が飯田市由来となっている。長野県内からは、近隣市町村の高森町、松川町など

からの滞在人口が多くなっている。滞在人口の 1.7%は県外由来となっており、愛知県、岐

阜県、山梨県からの訪問者が多くなっている(図 4-3-1 参照)。

図 4-3-1 飯田市 滞在人口(2014年、平日)

県内 県外

<都道府県単位><市区町村単位>

県外

出典:株式会社 Agoop「流動人口データ」

出典:株式会社 Agoop「流動人口データ」

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42

From-to 分析を 2014 年の休日、表示地域単位を市区町村単位・都道府県単位にて選択し

て把握したところ、滞在人口の 96.0%は県内由来であり、そのうち、74%が飯田市由来と

なっている。長野県内からは、近隣市町村の高森町や松川町、豊丘村からの滞在人口が多

くなっている。滞在人口の 3.9%は、県外由来となっており、愛知県、岐阜県、山梨県から

の訪問者が多くなっている(図 4-3-2 参照)。

図 4-3-2 飯田市 滞在人口(2014年、休日)

④ 滞在人口の推移(月別・時間別)

飯観光マップの滞在人口率を用いて飯田市の月別・時間別の滞在人口推移をみると、平

日休日ともに滞在人口は 5 月から 8 月にかけて多くなるが、10 月から 2 月にかけて少なる

(図 4-4-1 参照)。

図 4-4-1 飯田市 滞在人口の月別推移(2014年)

2014年の滞在人口の時間別推移をみると、平日の滞在人口は、6時から増加し 18時以降

は減少する傾向にあることがわかる。休日の場合は、すべての時間で滞在人口の変動はみ

られないことがわかる(図 4-4-2 参照)。

県内 県外

<都道府県単位><市区町村単位>

県外

出典:株式会社 Agoop「流動人口データ」

出典:株式会社 Agoop「流動人口データ」

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図 4-4-2 飯田市 滞在人口の時間別推移(2014年)

⑤ 長野県における観光地延利用者数

「観光地利用者統計調査」(長野県)によると、日帰り客と宿泊客の延数合計では、長野

県内で下伊那地域は下位 2 位である。長野県における観光地延利用者数のうち宿泊数をみ

ると、下伊那地域のシェアはさらに小さくなるが、上伊那地域よりは多い(図 4-5-1参照)。

図 4-5-1 長野県における観光地延利用者数

飯田市内における観光地別の延利用者数(図 4-5-2 参照)をみると、天竜峡・天竜川下

りに年間 2,592 人訪れており、次いで山本・水晶山(1,640 人)、元善光寺(1,180 人)の

利用者が多い。

観光地別延利用者数の時系列変化(図 4-5-3 参照)をみると、天竜峡、元善光寺は観光

客が減少傾向にある一方、しらびそ高原、下栗の里は観光客が増加傾向にある。

図表4-12 長野県地方事務所別 観光地延利用者数(2014年)

(千人 %)

図表4-13 長野県地方事務所別 延宿泊者数(2014年)

(千人 %)

出典:株式会社 Agoop「流動人口データ」

出典:長野県「観光地利用者統計調査」

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44

図 4-5-2 飯田市内における観光地別の延利用者数(2014年)

図 4-5-3 延利用者数上位 6カ所(2014年)の利用者数時系列変化

⑥ STEP4のまとめ

メッシュ分析では、下栗の里や元善光寺、天竜峡、飯田市立動物園がマグネット施設で

あることが明らかになった。目的地検索で抽出される以外の場所では、国道 153 号沿いの

店舗集積地の周辺で流動人口が多くなっている。

マグネット施設の流動人口(時間帯別)を見ると、 天竜峡と飯田市立動物園、国道 153

出典:長野県「観光地利用者統計調査」

出典:長野県「観光地利用者統計調査」

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号沿いの店舗集積地では、16~18 時頃をピークに正午から夕方の人口が多くなっており、

流動人口のボリュームゾーンは午後であることがわかった。

滞在人口の内訳をみると、県内は近隣地域から、県外は愛知県・岐阜県からの訪問者が

多い。休日の滞在人口は、15万人前後(人口は 10万人規模)となっている。滞在人口の地

域外割合は休日の方が高くなっており、平日 1.7%、休日 3.9%となっている。

第6項 長野県飯田市の定性分析

定量分析では把握が難しい点である「自治体の取組」や「中核企業候補が抱える課題」

などについては、ヒアリングなどの定性的な分析を実施し、それを踏まえた当該地域の特

徴・課題、政策的方向性は以下のとおり。

① 自治体の取組および中核企業候補の課題・ニーズ

飯田市は、同市版総合戦略において「重点① 若者が帰ってこられる産業をつくる」と

「重点② 飯田市への新しい人の流れをつくる」を重点戦略として位置付けている。重点

①においては、新産業クラスターの形成支援を行っており、近年では、アジア No.1航空宇

宙産業クラスター形成特区の指定を受けるなど、航空宇宙分野への参入を進めている。重

点②では、飯田型ツーリズムである「ほんもの体験」を展開しており、今後はリニア中央

新幹線の開業による首都圏での知名度向上にも大きな期待を寄せいている。

リニア中央新幹線の開業に合わせた産業振興施策では、地域産業の更なる発展を支える

「知の拠点」づくりを進めている。「地の拠点」の整備の一貫として、公益財団法人南信州・

飯田産業センターの移転と機能強化を行っている。ソフト面では、高い技術力を持つ人材

の育成を進める機能を強化している。ハード面では、企業の研究開発を支援する公的試験

場としての試験・検査機能の強化を行っている。

② 分析から導き出された飯田市の特徴と課題

当該地域における製造業をみると、電気機械器具製造業、業務用機械器具製造業、電子

部品・デバイス・電子回路製造業、食料品製造業が支える構造となっており、それぞれの

産業で利益貢献度や雇用貢献度の高い多数の中小企業が存在している。製造品出荷額から

は、業務用機械器具製造業を含む機械工業が近年減少傾向にあり、これらの産業への対応

が必要である。

観光面では、2027 年にリニア中央新幹線の開通が予定されており、当該地域への訪問者

数等の増加が想定される。現状の観光地としての利用状況をみると、観光地利用者数と宿

泊者数ともに長野県内での順位は下から 2番目となっている。

③ 政策的方向性

飯田市の主要産業に対する支援施策として、主要産業の担い手である中核企業に続く二

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番手企業の成長支援(Tier1へのステージアップ等)を図ることが製造業の発展には重要で

あると考えられる。支援施策の立案に向けて、ヒアリング等により中核企業が抱える課題

を把握し、課題解決への施策を検討していくことが必要である。