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※本資料の無断転載を禁じます。 (C)Copyright Work Life Balance Co.,Ltd. All Rights Reserved. 現場で起こるコンフリクト 【これまでのご報告より】 機械化には限界があるため、“人”がいなくなることはない。すなわち、“人”の力 を最大化していくことは引き続き重要。 年配と若手の間の世代違いが、それぞれの仕事への意識等に少なからず影響が ありそうである。 団塊世代:強い精神力や体力に自負があり、 若い人のやり方を認めないところがある場合も。 若手世代:がつがつしていない、リクエストを出さないところがる 2 次世代の従業員をどのように巻き込むかがカギを握る 【経営・管理職からの声】 ・働き方を変えるのは難しいから給与で報お うと努力している ・現場の若手社員にやる気を問うが、イメー ジした答えが返ってこない ・すぐに努力することを諦め、辞めてしまう 【現場・若手からの声】 ・金銭的報酬よりも休みがあるかどうか、休 めるかどうかが重要 ・やる気はあるが、その発揮の仕方は先輩世 代とは異なるのだが… ・現場なりの努力はしているが、聞く耳を 持ってもらえていない

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※本資料の無断転載を禁じます。 (C)Copyright Work Life Balance Co.,Ltd. All Rights Reserved.

現場で起こるコンフリクト【これまでのご報告より】

• 機械化には限界があるため、“人”がいなくなることはない。すなわち、“人”の力を最大化していくことは引き続き重要。

• 年配と若手の間の世代違いが、それぞれの仕事への意識等に少なからず影響がありそうである。

• 団塊世代:強い精神力や体力に自負があり、若い人のやり方を認めないところがある場合も。

• 若手世代:がつがつしていない、リクエストを出さないところがる

2

次世代の従業員をどのように巻き込むかがカギを握る

【経営・管理職からの声】

・働き方を変えるのは難しいから給与で報おうと努力している

・現場の若手社員にやる気を問うが、イメージした答えが返ってこない

・すぐに努力することを諦め、辞めてしまう

【現場・若手からの声】

・金銭的報酬よりも休みがあるかどうか、休めるかどうかが重要

・やる気はあるが、その発揮の仕方は先輩世代とは異なるのだが…

・現場なりの努力はしているが、聞く耳を持ってもらえていない

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若者の生き方の変化■人生100年時代に突入

• 先進国の寿命は週に2日ずつ伸びている(リンダ・グラットン氏)2007年生まれの日本人の半数は107歳まで生きるという予測も。

• 1998年生まれの若者(2019年に21歳)は寿命が100歳を超えるため、経済的な理由から75~80歳まで働くことになる

• 約55年という⾧い勤務生活( 23歳で社会人になったと仮定)で、近年のビジネスの変化速度を考慮すると、おそらく1社だけを勤め上げることは困難な時代に

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現在活躍している世代とは事情が大きく異なるそして彼らはそれを感じ取っている

例)今、目の前にいる管理職のようにはなりたくない(なっても将来的に通用しないのはわかっている)この会社だけでしか通用しないスキルを身に着けるのはむしろ不安だ…

管理職・マネジメント層に必要なのは、・自分の将来について考えさせる「問い」を立てる力

・不安や悩み、意見を率直に出させる環境づくり

“関係の質”の向上と“心理的安全性”の確保がヒントになるのでは?

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結果を出すための新アプローチ

組織の成功循環モデル(マサチューセッツ工科大学ダニエル・キム教授提唱)

関係の質

思考の質

行動の質

結果の質

グッドサイクル①関係の質: お互いに尊重し、一緒に考える②思考の質: 気づきがある。面白い③行動の質: 自分で考え、自発的に行動する④結果の質: 成果が得られる⑤関係の質: 信頼関係が高まる

バッドサイクル①結果の質: 成果が上がらない②関係の質: 対立、押しつけ、命令③思考の質: 面白くない、受身で聞くだけ④行動の質: 自発的・積極的に行動しない⑤結果の質: さらに成果が上がらない

結果を求める組織では、定量的な成果を出そうとするばかりに、チームの雰囲気や関係性が悪くなり、結果に繋がる様々な“質”が下がる悪循環にはまってしまいがちです。そこで必要なのは「関係の質」を高めることである、というモデルです。

結果を出すためには、組織の関係の質を向上させていくことがこれからのマネジメントのポイントになっていく

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心理的安全性とは5

心理的安全性:対人関係においてリスクある行動を取ったときの結果に対する個人

の認知の仕方。「無知、無能、ネガティブ、邪魔だと思われる可能性のある行動をしても、このチームなら大丈夫だ」と信じられるかどうかを意味する。

心理的安全性の高いチームのメンバーは、他のメンバーに対してリスクを取ることに不安を感じていない。自分の過ちを認めたり、質問をしたり、新しいアイデアを披露したりしても、誰も自分を馬鹿にしたり罰したりしないと信じられる余地がある。

https://rework.withgoogle.com/jp/guides/understanding-team-effectiveness/steps/identify-dynamics-of-effective-teams/ よりご紹介

効果的なチームに備わっているものをグーグルが調査した結果、「心理的安全性」「相互信頼」「構造と明確さ」「仕事の意味」が影響していることがわかった。※マネージャー・チームリーダー・チームメンバーによるチームの評価および四半期ごとの売上ノルマに対する成績によって、効果性を計測

生産性を高めるためにも、“心理的安全性”を高めることに経営戦略として取り組む企業が増えている

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プロジェクトアリストテレス6

■Google社「プロジェクトアリストテレス」生産性の高いチームチームの共通点を探ったプロジェクト。成功するチームの因子は何かをGoogle社内の様々なチームを対象とした大規模な調査分析した。

例)「ある課題で成果を出したチームは別の課題においても成果を出すことができるが失敗するチームはどの課題を与えても失敗してしまう」という現象の理由の調査

■プロジェクトアリストテレスの結論生産性の高いチームには2つの共通点がある。

①均等な発言の機会がある:チームメンバーひとりひとりが同じ発言量である②社会的感受性が高い:自身の発言の影響を理解し相手の感情を読み取ることができる※人の写真顔の写真を見せて、その人の感情や考えていることを説明させる実験でチーム内平均値が高かった。

①②の共通点はチーム内の「心理的安全性」を高める要素であり、「このチームの中でなら自分の意見を笑われない、拒絶されない、罰されたりしない」という心理的安全性がチームの生産性を高めている。

高い生産性は「有能な人材」「リーダーシップ」等が要因ではなく、「心理的安全性が高い」環境が整備されていることが要因であった

「チームの中でミスをしても、それを理由に非難されることはない」と思えるか、がチェックポイント

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チームが作られるまでのプロセス

成果

時間

形成期 混乱期 統一期 機能期メンバーがお互いのことを知らない。共通目標が定まっていない。認識があいまいで感覚的に仕事を進めている。

人間関係の対立。具体的な業務の進め方に対立。それぞれの意見の主張が展開され、異なる考えが対立している。

目的・進め方・メンバーの役割が統一され、共有されている。他メンバーの活動が許容され成果が上がり始める。

結束力・連動性が生まれ、相互サポートが進む。これまでの過程がうまくいっていれば成果が最大化される。

働きやすさ・働きがいが感じられる

イノベーションが創出される

出典:B.W.タックマン氏考案のタックマンモデルに基づき弊社にて編集(第5段階「解散期」については非掲載)

チーム作りには必ず混乱期がある、という前提で環境整備や仕組みづくりを行うことが重要

チームカルテの作成▶

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食品業界においても心理的安全性の向上がカギ 8

食品業界でも、生産性を高めるために、よい人材が成⾧実感を持って定着する職場づくりが重要に。特に、心理的安全性を作るためには管理職のチームマネジメントスキルが肝要。

例えば…「うちの部署のここが自慢!」「人には言えないけれど…ここを直したい」などを付箋を用いて、年次や職種に関係なく出し合っていく会議(カエル会議)の実施。付箋を用いることで忖度なく本音が言えることが多く、心理的安全性が高まる。内容によっては職場の生産性改善にもなるため、業務上のモチベーションの向上にとも相まって一石二鳥の取組みになっている。

▲新菱冷熱工業株式会社 ▲信幸プロテック株式会社

現場参加型のこまめな仕掛けを継続することが効果的

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働き方改革における一般的なスケジュール

1年目

2年目

3年目

モデル部署への集中と周辺環境の整備・意識醸成・働き方改革に高い意識を寄せている幹部職の下で実施・モデル部署が行動を取りやすいよう周囲の理解を得る・2年目以降を見据えて全組織的な意識改革に着手する

モデル部署の取り組みを横展開・意識醸成・1年目のモデル部署の取り組みを踏まえ、取り組み部署を拡大・2年目のモデル部署を広く選定し、1年目よりスムーズにスタート・モデル部署と本社主管部門を連携させる施策を検討していく・周囲の環境整備を行い、引き続き全社的な意識を醸成する

複数部署で個別の取り組み・全社施策の検討・意識を行動へ・全部署での取り組みへと展開・困難性の高い部署については支援を強化・強化対象部署と本社主管部門を連携させる施策を検討していく・1,2年目のモデル部署等からの提案を全社施策へと広げる

1年目は選択と集中。2年目以降は実行しながら改善を重ねていく計画づくり(スパイラルアップ)

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職場単位で実践すること

<ステップ1>現在の働き方を

確認する

<ステップ2>業務の課題を抽出

<ステップ3>会議で働き方の見直し

カエル会議

<ステップ4>見直し施策の実施

週に1回30分最低:週に1回15分最大:週に1回50分

・朝メール.com・エクセル書き出し・スケジューラー活用・A4用紙回覧

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シンプルなステップを2週間で1周する(目安)会議で問題点を洗い出し原因を探り、解決策を考えて実行する

心理的安全性・関係の質が重要心理的安全性・関係の質が重要

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【事例】褒め合う取り組み 11

株式会社 ベアレン醸造所

【取組み前】

・体制変更により、お互いのことをよく知らない社員が集まっている状態だった

・お互いを知らないので職場が非常に硬い雰囲気に

【取組み後】

・誰がどのような貢献をしているのか、どういう人となりなのかがわかるようになった(「知っている人」になった)

・職場の雰囲気が和やかになり、業務改善などへの意見が活発に生まれるようになった

“ありがとう”をテーマにしたメッセージを書いた色紙を

手渡す(パート社員にも実施)

株式会社岩手ホテルアンドリゾート

【取組み前】

・ひそひそと話すほど静かな雰囲気だったため、意見を出しにくかった

【取組み後】

・同僚の「褒めポイント」を毎週探すため、それぞれの仕事をじっくり観察し、些細なことでも言葉で褒める環境に変化した

・ひそひそ話す雰囲気から、自分の思いをはっきりと伝える環境になった

カエル会議の最後5分で

“褒め会”を実施

https://www.baerenbier.co.jp/

パナソニックヘルスケア株式会社

【取組み前】

・定年間際で仕事への意欲やチャレンジ精神を失いかけていたベテラン社員がいた

【取組み後】

・「残された会社生活の中で、自分がチームに貢献して感謝される行動をとりたい」というようになった

・人脈や知識を後進育成のために伝える行動を増やした

“ありがとうカード”(付箋)を

手渡す

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これからの政策に必要な要素1. 従業員(労働者)の“意欲”に資する取組みのさらなる後押し

1. “仕事とは”“幸せとは”“(私の)意欲とは”などの答えのない問いに向き合う時間の確保。そのためにはさらなる機械化、効率化が必要。

2. 適切な問いを投げかけられる経営者や管理職の育成もしくは専門家の派遣

2. 職場環境の改善等すでに効果が実証されつつある取組みの強化1. 働き方改革の流れを活用し、職場環境改善に悩む企業への専門家の派遣や取り組み

への予算的補助が必要2. 特に中小企業においては、上流工程を握る大企業の発注方法などから見直さねば、

真の環境改善が進まないことが多いことや、他業界(小売業など)を巻き込んだ取り組みが必要となるため、横断的なプロジェクトとしての取りまとめ役・けん引役としての政府に期待

3. 取組み結果の検証(意欲向上と生産性の関係性のさらなる分析)日本の食品業界における関係性について調査し、傾向を分析、課題を発掘して解決策を講じる基盤づくりにより力を入れることも必要

(参考)英ウォーリック大学の研究によると、社員が幸福な気持ちで仕事をすると生産性が10~12%向上し、不幸な気持ちで仕事をすると生産性が10%低下する、といったデータがあるhttps://www.rieti.go.jp/jp/special/from-iza/005.htmlhttps://warwick.ac.uk/newsandevents/pressreleases/new_study_shows/

4. 成果や変化の大々的な発信日本全体が人手不足にあえぐなか、“人材奪い合い時代”になっている。食品業界個社の発信には限界があるため、省としての業界全体での変革に関する発信・PRが必要

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