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(1) (4) S A N G A S A N G A 平成21年6月 平成21年6月 姿 。「 題字「組長 前田彰道」  6 21 6 ※2011年4月~2012年1月 法要修行 「親鸞聖人750回大遠忌」が行われます。 http://www.kokuraso.jp/(小倉組ホームページ) 締め切り間近!!

SANGA SANGA(3) SANGA (2) 第 六 回 ・【 こ の 人 に 聞 き た い 】 SANGA 平成21年6月 平成21年6月 ※ 「 さ ん が 小 倉 」 紙 面 に 於 い て

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Page 1: SANGA SANGA(3) SANGA (2) 第 六 回 ・【 こ の 人 に 聞 き た い 】 SANGA 平成21年6月 平成21年6月 ※ 「 さ ん が 小 倉 」 紙 面 に 於 い て

(1) (4)S A N G AS A N G A

「生」

平成21年6月平成21年6月

 五月に入り、夏を思わせるような日

射しが続いていたある日、そのお婆

ちゃんはお寺にやって来ました。

数日前、お婆ちゃんから「今後の事で

お話が御座います…。」と電話で相談

を受け、お寺で話をすることになって

いたのです。

 当日、私は法務の都合で十分程遅

れてお寺に戻りました。向拝の階段の

先に見覚えのある靴が一足揃えて脱い

でありました。

 急いで本堂に入ると、椅子に座って

いるお婆ちゃんと、かたわらに立って

いる坊守の周りを二歳と三か月にな

る娘が「きゃっ、きゃっ」と言いながら

飛び回っていました。娘と同様に、お

婆ちゃんも手を叩き、目を輝かせ、楽

しそうに歌を歌っていました。

「今から大事なお話があるから……、

ねっ。」と坊守に促され、物足りなさと

未練タラタラの娘は、半ば強引に抱え

られ本堂を出て行きました。二人きり

になって静まり返る本堂。阿弥陀経を

お勤めし、振り返りました。そこには、

胸の前で合わせた、小刻みに震える乾

き切った両手に、大粒の涙がボタボタ

と落ちているお婆ちゃんの姿があり

ました。お婆ちゃんはとつとつと話し

始めました。

 結婚された後、お子様を授かる事

が出来ないお身体である事がわかり、

生後十か月であった甥御を養子とし

て迎えたそうです。我が子以上に大切

にし、親子三人での生活を送られて来

られたそうです。昭和四十六年にご主

人がお亡くなりになり、それからは母

一人子一人で暮らしてこられたと聞き

ました。その生活も三年前に、息子さ

んを事故で亡くされ終わりました。

 それからはきつい坂道の先にある

高台の一軒家で一人暮しをされていま

した。御月忌参りに行くと、いつも寂し

そうに御仏壇の前に座っておられた

ご様子が目に浮かびます。お婆ちゃん

は、一つ息を吸い込み座り直しました。

そしてあらたまった様子でなおも小

声で語りました。

「家を売って施設に入る事になりまし

た……。そこで御院家さんにお願いな

のですが、私が死んだら、夫と子ども

の御骨をお寺で預かって下さい。お寺

以外に頼れる先はないのです……。」

 一瞬、わたしは息をのみました。しか

し住職として瞬時に返事せねばなら

ない。「わかりました……。どうぞご安

心ください。」そう言いました。しかし

後に続く言葉が出ない……。

 坊守がお茶を入れ替えに来ました。

娘も一緒に本堂に入ってきます。

そして涙の乾かないお婆ちゃんの手に

「まだ遊ぶ」と娘がしがみつきました。

 横一列の命に、眩しく温かい日射し

が南無阿弥陀仏と降りそそぐ……。

共に生きていくのだと、生きていって

もらうのだと。

古法寺住職・長岡

題字「組長 前田彰道」 

621

6月

※2011年4月~2012年1月 法要修行 「親鸞聖人750回大遠忌」が行われます。 http://www.kokuraso.jp/(小倉組ホームページ)

締め切り間近!!

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(3) (2)S A N G A

第六回・【この人に聞きたい】

平成21年6月平成21年6月S A N G A  

※「さんが小倉」紙面に於いて、

小倉組の各教化団体代表者の

方々にインタビューをしていき

ます。お名前やお顔は拝見した

ことがあるけれど、素顔はどん

な方なんだろう、という疑問に

大いに答えてくれることと思い

ます。

 第六回目は小倉組仏教青年会

世話人の宇戸田

和俊さんです。

《聞き手》小倉組仏教青年会部長

村上

以下文中(村上)

《語り手》小倉組仏教青年会世話人

宇戸田

和俊

以下文中(宇戸田)

村上「仏教青年会の世話人という

ことですが、若いのにお寺関係の

行事に参加するのは珍しいです

ね」

宇戸田「実は中学校から鎮西敬愛

で仏教の勉強を学んでいたので、

お寺に対する抵抗はそんなに

ありませんでした…。敬語やめ

ようか。」

村上「うん、確かに気持ち悪いわ。」

宇戸田「昔から、お寺に行くことに

抵抗はなかったね。中・高・大と

仏教関係で周りの友達もお寺の

出身ばっかりやったし……。」

村上「まわりにお寺の友達が多す

ぎて自分も寺族と思い込んで、

就職活動忘れとったもんね」

宇戸田「うん。でも地元で就職した

のは顕(永照寺若院)や、クッツ

ン(善行寺若院)がおったのが大

きいかもしれん。」

村上「仏青の活動についてどう思

う?」

宇戸田「まず、誘われんとそういう

活動があるってわからんよね。

新聞に広告が載ってるわけでも

ないし。俺は恥ずかしがりなと

ころがあるけど、行ってみると

みんな気楽に話しかけてくれる

し、なんか温かい雰囲気がある

と思う。」

村上「キッズキャンプにも毎回スタ

ッフとして参加してくれてるよ

ね。」

宇戸田「1年に1回だから気合をい

れて参加しているよ。会議はちょ

っと長いけど(笑)充実感と達成

感はあるね」

村上「いろいろな行事に参加してく

れてるけど、負担になってない?」

宇戸田「お寺と個人というよりは、

個人と個人で結びついている感じ

だから、強制されているという印

象はないね。一緒に遊びに行くと

いう感覚の方が近いかもしれん。

負担になんてなってないよ。」

村上「初の世話人ということだけど

プレッシャーはない?」

宇戸田「お寺の人間でないので、全体

的にどういう仕組みかわからんし、

なんで世話人になったのかもわか

らん。」

村上「みんなの推薦です。」

宇戸田「そうなんや。ここ何年かの繋

がりでそういってくれるのは嬉

しいね。でも何をしていいのかわ

からん部分はある。名前だけの

世話人っていうのは嫌だから、

浄土真宗についていろいろ学ん

でいこうと思う」

村上「これからどんな活動を目指

そうか?」

宇戸田「う〜ん。酒も飲んでないの

にこんな話するの嫌だな。」

村上「まあ、これは記事に載せない

から。」 |(以下略)

宇戸田「僧侶の人は多分いろんな

世代の人と交流があると思うん

よ。でも俺らは意外と縦の交流

というのがないんよね。同じ世

代の人間ばかり集まってワイワ

イするのも楽しいけど、考え方

に限界があるし、偏ると思う。総

代会や壮年会・婦人会・若婦人

会と世代を超えて交流を深めて

いければいいなと思う。少しずつ

でいいと思うけど。」

村上「でも、仕事先に上司がおるや

ん。」

宇戸田「会社ならどうしても仕事

の話になってしまうね。雇用関

係があると本当のその人が見え

ないことも多いし。」

村上「へえ、意外な意見!仏青に対

 する理想はある?」

宇戸田「会を大きくするのを目標

にするのではなくて、少ない人

数でもいいんで

 『楽しく集まれる』

 『充実感のある』

 仏青を目指していこうと思

う。」

村上「最後に、まだ仏青に参加さ

れていない御門徒さんにメッセ

ージを。」

宇戸田「普段の生活では出会えない

人と出会えますし、学校や会社で

は教えてくれないものに触れるこ

とができます。若い世代の多くは、

お寺に対して暗いイメージを持っ

ているかもしれませんが、そんな

イメージとは対照的にみんな明る

くイキイキ活動をしています。難

しく考えずに気楽な気持ちで参

加してみてくださいね」

村上「今日はありがとうございまし

た。世話人の宇戸田さんでした」

※インタビュー日時

 平成二十一年五月二十四日

 永照寺門徒会館にて

 文 「さんが小倉」編集 村上 顕

うとだ

かずとし