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2.事例に学ぶ環境のための農山漁村×SDGsビジネスモデル③ 「もったいない」モデル ビジネスモデルの ポイント 1 “もったいない”を発見する ビジネスモデルの ポイント 新しい技術やアイデアなどに アンテナを張っておく 新たな技術がきっかけとなって、これまで廃棄せざ るを得なかったもの、未活用のものから“価値が生 み出された例は数多くあります。常にアンテナを張 るとともに、採算性等に配慮しながら、こうした技 術を持つ事業者との連携、自組織内での活用な どを検討してみましょう。 また、技術革新に加え、発想の転換によって、価 値を創造した例もあります。アイデアも大事! せっかく生産したものの価値は最大限生かしたい もの。廃棄せざるを得ないものが大量に出ると、 経済面、環境面双方においてマイナスが生じます。 市場に流通させにくい規格外の農産物、食品加 工や販売の際に出てくる残さ物、間伐材など、現 在コストをかけて廃棄しているもの、活用されてい ないものなどを、改めてチェックしてみましょう。 これまで廃棄していたり、未利用だったものを活用し、環境配慮型の商品や材料、エネルギーなどを生出すビジネスモ デル。環境面、経済面でのマイナスをプラスに転じるために、新たな技術やアイデアを活用しよう。 規格外等で廃棄されていた ナガイモを活用して発電 昆虫テクノロジーで 畜産糞尿を商品に 間伐材を「木のストロー」として 商品化 株式会社アキュラホーム P.15 株式会社ムスカ P.12 JAゆうき青森 P.13 木造注文住宅を中心とした住宅メー カーである株式会社アキュラホームは、 間伐材のカンナ削りによる「木のスト ロー」を開発・生産・販売している。 これまで焼却等されていた間伐材を 活用し土に戻るストローを提供するこ とで、環境への負荷が大きなプラス チックの代替を図るとともに、森林環 境の保全にもつながる。 株式会社ムスカでは、選別交配され た「イエバエ」を使うことで、1週間程 度で家畜糞尿を良質な有機肥料や 飼料へと変えるバイオマスリサイクルシ ステムを開発した。 イエバエの幼虫の排泄物を肥料化す るとともに、幼虫を乾燥させ飼料化す るなど、生物の機能に着目した再生 可能な循環システムとなっている。 JAゆうき青森は、国内有数のナガイモ 出荷量を誇る一方、出荷段階で切り 落とされた細部や規格外などの残渣が、 年間1,500トン発生していた。 このため、継続的に民間企業や大学 等と研究を進め、残渣を原料としたバ イオガスで発電する仕組みを構築、廃 棄費用の削減し、売電収入を得る枠 組みを構築した。 ナガイモ残渣を活用したバイオマス発電所 森林の持続性を高める資金循環 イエバエによるバイオマスリサイクルシステム 「もったいない」 モデルのイメージ 処理費 廃棄物 処理 事業者等 原材料 製品 一般 事業者等 材料 代金 一般 事業者等 製品 燃料 電力 事業者等 電力等 代金 代金 ケース1:新しい技術・アイデアを持つ事業者と提携し、支出を収入に変える ケース2:新しい技術・アイデアを自ら採用し、支出を収入に変える 支出を収入に変える 購入者 購入者 捨てずに、 活用できな いかなぁ。 購入者 代金 8 5

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2.事例に学ぶ環境のための農山漁村×SDGsビジネスモデル③

「もったいない」モデル

ビジネスモデルの

ポイント 1

“もったいない”を発見する

ビジネスモデルの

ポイント 2

新しい技術やアイデアなどにアンテナを張っておく 新たな技術がきっかけとなって、これまで廃棄せざるを得なかったもの、未活用のものから“価値が生み出された例は数多くあります。常にアンテナを張るとともに、採算性等に配慮しながら、こうした技術を持つ事業者との連携、自組織内での活用などを検討してみましょう。

また、技術革新に加え、発想の転換によって、価値を創造した例もあります。アイデアも大事!

せっかく生産したものの価値は最大限生かしたいもの。廃棄せざるを得ないものが大量に出ると、経済面、環境面双方においてマイナスが生じます。

市場に流通させにくい規格外の農産物、食品加工や販売の際に出てくる残さ物、間伐材など、現在コストをかけて廃棄しているもの、活用されていないものなどを、改めてチェックしてみましょう。

これまで廃棄していたり、未利用だったものを活用し、環境配慮型の商品や材料、エネルギーなどを生出すビジネスモデル。環境面、経済面でのマイナスをプラスに転じるために、新たな技術やアイデアを活用しよう。

規格外等で廃棄されていたナガイモを活用して発電

昆虫テクノロジーで畜産糞尿を商品に

間伐材を「木のストロー」として商品化

株式会社アキュラホーム P.15株式会社ムスカ P.12JAゆうき青森 P.13

木造注文住宅を中心とした住宅メーカーである株式会社アキュラホームは、間伐材のカンナ削りによる「木のストロー」を開発・生産・販売している。

これまで焼却等されていた間伐材を活用し土に戻るストローを提供することで、環境への負荷が大きなプラスチックの代替を図るとともに、森林環境の保全にもつながる。

株式会社ムスカでは、選別交配された「イエバエ」を使うことで、1週間程度で家畜糞尿を良質な有機肥料や飼料へと変えるバイオマスリサイクルシステムを開発した。

イエバエの幼虫の排泄物を肥料化するとともに、幼虫を乾燥させ飼料化するなど、生物の機能に着目した再生可能な循環システムとなっている。

JAゆうき青森は、国内有数のナガイモ出荷量を誇る一方、出荷段階で切り落とされた細部や規格外などの残渣が、年間1,500トン発生していた。

このため、継続的に民間企業や大学等と研究を進め、残渣を原料としたバイオガスで発電する仕組みを構築、廃棄費用の削減し、売電収入を得る枠組みを構築した。

ナガイモ残渣を活用したバイオマス発電所 森林の持続性を高める資金循環イエバエによるバイオマスリサイクルシステム

「もったいない」 モデルのイメージ

生産者等 ¥

処理費

廃棄物処理

事業者等

生産者等 ¥

原材料 事業者 ¥

製品

一般事業者等

生産者等

材料新技術 ¥

代金

一般事業者等

製品

生産者等

燃料 発電

電力事業者等

電力等

代金

これまで

新しい技術、アイデアなどの導入

代金

ケース1:新しい技術・アイデアを持つ事業者と提携し、支出を収入に変える

ケース2:新しい技術・アイデアを自ら採用し、支出を収入に変える

支出を収入に変える

購入者

購入者

捨てずに、活用できないかなぁ。

購入者¥代金

8

5

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2.事例に学ぶ環境のための農山漁村×SDGsビジネスモデル④

「多角化」モデル

ビジネスモデルの

ポイント 1

自らの活動や地域の良さを棚卸ししよう

ビジネスモデルの

ポイント 2

みんなで設備や研究開発の成果をシェアする 「もったいない」モデルでも触れたように、今まで廃棄せざるを得なかったものや、低未利用だった資源を活用し、新たな収入源にしている例も見られます。

特にエネルギー分野での取組が多く、用水路を活用した水力発電や、農地の上の空間を使ったソーラーシェアリングなどの例があります。

近年、環境に関わる活動への関心が広がりを見せています。体験や学びの機会の提供など、気候変動や生態系の維持・創出につながる実践的な取組の価値を、農産品以外のかたちで提供し、収入の多角化につなげている例が見られます。

また、農村等が持つ魅力を伝えることで、観光や研修など、新たな収入源を作り出している取組もあります。

農産物や加工品の販売などに加え、さまざまな体験やレクチャー、交流人口の創出、電力などを生み出すモデル。環境面の価値をさまざまな形で訴求し、相乗効果を生みだそう。

環境貢献活動などで交流人口を育む

環境配慮型のエネルギー事業と有機栽培との両立

生き物を育む田んぼ”体験”を提供

NPO法人かわごえ里山イニシアチブP.15

二本松有機農業研究会 P.14一般社団法人 ふるさと屋 P.18

NPO法人かわごえ里山イニシアチブは、埼玉県川越市にある1.6町歩の田んぼをシェアして、無農薬・ 無化学肥料による米づくりを行っている。

会員制を採用し、米の頒布費に加えて、会員から徴収する入会費・年会費、「生きもの育む田んぼプロジェクト」参加費などを得ている。

二本松有機農業研究会は、1978年から環境負荷の少ない農業を実践してきた。2018年には、大豆畑を活用したソーラーシェアリング事業(営農型太陽光発電)を開始し、環境配慮型のエネルギー事業と有機栽培とを両立している。

なお設備投資にあたっては、銀行融資に加え、サポーター56人からの寄付を得ている。

三重県多気町勢和地区の(一社)ふるさと屋では、用水路を使った小水力発電などを活用し小型EVを運用し、農村福祉事業(農村内の定期巡回、高齢者や子供の見守り、獣害パトロールなど)を実施している。

加えて、こうした取組に対する視察ツアー等取り込み、研修費やオリジナル商品の販売などを収入源とし、農村福祉事業へと還元している。

先進的な取組を行い視察者を増やしている 大豆畑に設置されたソーラーパネル

「多角化」 モデルのイメージ

様々な活動を行い普及啓発しながら収入を確保

生産者、事業者等

農産品製品

¥購入者

購入

生産者、事業者等

農産品製品

購入者

購入

電力事業者等

体験、学びなどサービス

¥ 対価

¥ 代金

電力等

96

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2.事例に学ぶ環境のための農山漁村×SDGsビジネスモデル⑤

「売れれば売れるほどエコ」モデル

ビジネスモデルの

ポイント 1

環境に配慮した生産や調達を行う

購入者

製品

事業者等(仕入、製造・販売)

環境に配慮した生産事業者

環境に配慮した自社生産

原材料商品

仕入代

購入エッセーや動画などによるメッセージ、データ、認証などを発信

事業者や生産者などの活動に共感

原材料商品

環境に配慮した電力事業者等

¥電力等 代金

信頼感ファン意識応援意識

ビジネスモデルの

ポイント 2

環境への貢献を伝え、魅力を高め、顧客を掴む 環境に良い取組を購入者などにわかりやすく伝えることが、生産物や製品等のファンの獲得、そして継続的な売上の拡大・安定につながります。

具体的には、エッセーや動画などを活用したメッセージの発信、わかりやすく事実を伝えるデータ・や数字の活用、認証・マークの取得などの方法があります。

環境に良い生産や調達を行うことで、持続可能性に配慮した製品等を提供するビジネスモデル。

具体的には、生物多様性や気候変動に配慮した農産物や原材料、自然再生エネルギーなどの生産・調達を行い、ビジネスを通じた取組を応援していく。

環境へのこだわりを潜在的な購入者層へ積極的に伝えていくビジネスモデル。自分たちの取組が普及すればするほど、SDGsの達成につながるという好循環を生み出していこう。

より多くのCO2を土壌に戻す環境再生型のビール

ぶどう畑として活用することで生物多様性が回復

CO2排出権の販売により森林の持続可能性を確保熊本県小国町 P.21キリンホールディングス株式会社、

メルシャン株式会社P.17パタゴニア・インターナショナル・インク日本支社

P.24

アウトドア衣料品を取扱うパタゴニアの食品事業「パタゴニア プロビジョンズ」では、土壌中の炭素固定につながる多年生穀物「カーンザ」を原材料としたビールを開発・販売している。

「カーンザ」の栽培面積が増えるほど、炭素固定が進むという、環境再生型ビジネスモデルを推進している。

「カーンザ」を原材料としたビール 森林の持続性を高める資金循環草地に近い環境が生物多様性を育む

「売れれば売れるほどエコ」 モデルのイメージ

107

森林が約8割を占める熊本県小国町では、2010年に森林吸収クレジットを取得し、CO2排出量を減らしたい企業や団体へ販売している。

排出権の販売により得た収入は、森林の維持管理に活用されるなど、持続性を高める循環モデルとなっている。

メルシャンでは長野県上田市に椀子ヴィンヤードを2003年に開場した。

ワイン用のブドウは垣根栽培であり、適度に下草を生やすよう維持管理する必要がある。この環境が従前の耕作放棄地の状態に比べ、生物多様性の向上に寄与しており、希少種を含む昆虫168種、植物258種が確認されている。

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3.事業性を高めるヒント

全国の先行的な事例から学ぶ、環境とビジネスの好循環を生みだすための着眼点や工夫を紹介します。

取組をスタートさせる際の工夫環境に良い取組は、手間がかかる、規格外品が増えるなど効率が劣る、原材料の仕入れ

単価が割高といったコスト面での課題を抱えるケースが少なくはありません。こうしたことから、継続性の高い取組を実現するには、事業の初期段階から買い手との関係を築き、販路を確保していくことが有効な手立てのひとつとなります。事例では、生活者に近い事業者(流通・販売、飲食など)と、生産事業者

が協力して「売れる」仕組みを構築し、事業を推進・拡大している取組が見られます。

【関連する主な事例】

価値観を訴求し田植え時点で販路を確保:NPO法人岡山県木村式自然栽培実行委員会 社員の環境活動を商品開発に活かす:株式会社岩田屋三越 「販売」側が取り組む循環型農業:株式会社セブン&アイ・ホールディングス

高く売るための工夫事業の継続性を高めるたには、販路の確保にプラスして、農産品や製品の付加価値を向

上を向上させ、より高く販売することが重要となります。事例の中では、六次産業化などの取組に加え、認証制度の活用、ブランド化、指標・数

値を活用した価値の可視化などにより、共感や理解を育む工夫が見られます。【関連する主な事例】

オーガニック米に付加価値をつける/近江米振興協会ほか ヤマネコ保護への共感で販路を確保する/佐護ヤマネコ稲作研究会 生産者の”哲学”を可視化する/株式会社電通

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安定的に売るための工夫継続的に事業を安定させるためには、常に新規顧客ばかりを相手とするのではなく、一

度つながりをもった購買者層をリピーターへと変えていく視点が重要となります。ヒント集で紹介する取組の中には、環境貢献への共感や地産地消などをキーとしたファ

ン・コミュニティが形成されている例が多くみられます。こうしたコミュニティを安定顧客化するととともに、予約購買(オーナー制度など)や地元産品の優先購買などを推進することで、売上や利益を早期に確定させ、安心して生産等に取組むことのできる環境をつくることなどが考えられます。

【関連する主な事例】

価値の発掘・創出により、作物の多様性を守る/山形在来作物研究会 ファンを増やして棚田を守る/NPO法人越後妻有里山協働機構 農薬不使用ゆずのファンを組織化する/国造柚子生産組合 共感を育み、在来野菜種の保全につなげる/あいち在来種保存会 「ほんまもん農産物」を地域で食べる/臼杵市有機農業推進室

研究会というかたちで、在来作物のファンを結びつける(山形在来作物研究会)

生産物に加え、体験機会などを提供し、コミュニティを醸成する(あいち在来種保存会)

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コストを下げるための工夫“もったいない”モデルにもあるように、新たな技術の活用や提供先の変更になどにより、

これまで廃棄物としてコストをかけて処理せざるを得なかったものを収入に変え、採算性の向上と環境への配慮とを両立している事例が見られます。また、これらに資する施設の導入などにあたっては、“みんなで取り組む”モデルのように、

共同化やリースの導入を図り個々の事業者の負担を軽減することも考えられます。

【関連する主な事例】

捨てられていたナガイモを電気に変える/JAゆうき青森 昆虫テクノロジーで畜産糞尿を商品に/株式会社ムスカ 金融機関が循環型経済をプロデュース/鹿児島銀行

資金調達のための工夫エネルギーやリサイクル、食品加工等の分野では、環境貢献型事業を行うにあたり、

個々の事業者の自己資金のみでは容易ではない設備投資が必要となるケースがあります。国際的にもESG投資の投資額が拡大する中、環境融資などの金融商品を準備している金融

機関も全国で増えつつあります。また、近年クラウドファンディングなど、資金調達手法の多様化も進んでいます。事例

においても、サポーターによる寄付を活用しつつソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)のための設備を整備した取組がみられるなど、共感をベースに幅広い方々の協力や参加を得る可能性も広がっています。

【関連する主な事例】

再造林費用を上乗せし地元材を買取る/北都銀行 サポーターの力でソーラーシェアリングの設備投資を実現/二本松有機農業研究会 環境ビジネスを成長産業ととらえて後押し/滋賀銀行

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4.SDGs達成に向けたヒント

SDGsは2030年までに達成すべき目標群です。この実現に向けて、取組をより積極的に進めるためのヒントを、事例の中から紹介します。

“環境負荷の低減”から、環境貢献へ気候変動に対応するパリ協定の実現に向け、大気中の二酸化炭素等をより積極的に回収

し、土壌中に定着させる手法について、社会的な関心が集まっています。一次産業の分野であれば、水田・畑など農地は、管理方法によっては、土壌中の炭素を

増加させることにつながり、吸収源として貢献できる可能性を有しています。また植物の幹や根などに、より多くの炭素を固着しながら、農産物を生産する品種や技術の開発なども進んでいます。生物多様性の面でも同様に、「いかに環境への影響を小さくするか」から、農業を行う

ことを通して「いかに生態系を豊かにするか」へと、より積極的な取組が見られます。

参考となる事例 農地の維持管理の工夫で生物多様性を向上/キリンホールディングス株式会社・メルシャン株式会社 調達から世界を変える/パタゴニア・インターナショナル・インク日本支社

環境に良い“エコひいき”を環境に良い取組の継続性を高めるポイントの一つは「高く売ること」。逆に生産者等か

ら「高く買うこと」で、取組を推進している事例も多く見られます。具体的には、環境への影響が小さな方法で栽培された米などの農産物を高く買い取る取

組、森林の間伐材について平均的な単価に対して再造林費用等を追加した価格で発電用燃料として買い取る取組などが見られます。

参考となる事例 再造林費用を上乗せし地元材を買い取る/北都銀行 「魚のゆりかご水田米」をJAが高く買い取る/滋賀県 金融機関が循環型経済をプロデュース/鹿児島銀行

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ページ展開エリア タイトル 事業主体13 青森県 捨てられていたナガイモを電気と収入に変える JAゆうき青森 ほか

13 秋田県 再造林費用を上乗せし県内チップを買取る 北都銀行 ほか

14 山形県 価値の発見・創出により、作物の多様性を守る 山形在来作物研究会

14 福島県 サポーターの力でソーラーシェアリングの設備投資を実現 二本松有機農業研究会

15 埼玉県 生き物を育む田んぼ”体験”を提供する NPO法人かわごえ里山イニシアチブ

15 神奈川 間伐材をストローとして商品化する 株式会社アキュラホーム

16 新潟県 ファンを増やして棚田を守る NPO法人越後妻有里山協働機構

16 石川県 農薬不使用ゆずのファンを組織化する 国造柚子生産組合

17 長野県 農地の維持管理の工夫で生物多様性を向上 キリンホールディングス メルシャン

17 愛知県 共感を育み、在来野菜種の保全につなげる あいち在来種保存会

18 三重県 環境貢献活動で交流人口を育む 一般社団法人ふるさと屋

18 滋賀県ほか 環境ビジネスを成長産業ととらえて後押し 滋賀銀行

19 滋賀県 産地一体でのブランド化で価値を上げる 近江米振興協会 ほか

19 滋賀県 「魚のゆりかご水田米」をJAが高く買い取る 滋賀県

20 岡山県 価値観を訴求し田植え時点で販路を確保 NPO法人岡山県木村式自然栽培実行委員会/株式会社やまと

20 福岡県 社員の環境活動を商品開発に活かす 岩田屋三越

21 長崎県 ヤマネコ保護への共感で販売先を確保する 佐護ヤマネコ稲作研究会

21 熊本県 森林の力を経済価値に変える 熊本県小国町

22 大分県 「ほんまもん農産物」を地域で食べる 臼杵市有機農業推進室

22 宮崎県 昆虫テクノロジーで畜産糞尿を商品に 株式会社ムスカ

23 宮崎県 小水力発電の利益で水路を維持管理 大人発電農業協同組合

23 宮崎県 生産者の”哲学”を可視化する 株式会社電通

24 鹿児島県金融機関が循環型経済をプロデュース 鹿児島銀行

24 全国 調達から世界を変える パタゴニア・インターナショナル・インク日本支社

25 全国 種糸で環境貢献と資金捻出を両立 海の森づくり推進協会

25 全国 「販売」側が先導する循環型農業 セブンアンドアイ・ホールディングス

5.取組事例

目 次