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SDGs経営とは何か~トランスフォーメーションの時代に求められるもの~
2018年2月5日
FRI特別企画コンファレンスSDGs時代の企業経営 ~企業価値創造とビジネス機会~
損保ジャパン日本興亜 CSR室シニア・アドバイザー明治大学経営学部 特任准教授
関 正雄
CSRをめぐる最近の議論には...
●CSRは終わった
●CSRからCSVへ
●SDGsは12兆ドルのビジネス機会
●ESG投資家はCSRには関心がない
●報告書のタイトルは、Sustainability Reportが 40%、
CSR Reportは 10% (WBCSD “Reporting Matters”より)
SDGsに取り組むうえで、今一度CSRの本質を考える必要が
あるのではないか?
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Corporate Social Responsibility
「社会に与えるインパクトに対する企業の責任」
1.法令順守や、関係者間の合意尊重は、その前提
2.社会的、環境的、倫理的な、また人権や消費者の関心事項を、自らの
業務運営や中核的戦略の中に統合する
3.ステークホルダー※と密に協力する
①株主その他ステークホルダー・社会全体との、共通価値の創造を
最大化する
②企業がもたらす可能性のあるマイナス影響を明らかにし、予防し、
緩和する
CSR(企業の社会的責任)の定義
※ステークホルダー:企業の活動により影響を受けたり、企業の活動に対して影響を
及ぼしたりする利害関係者
2011年10月 欧州委員会「CSRコミュニケーション」における定義 3
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CSR ≠ 社会貢献
CSR ≠ コンプライアンス
CSR = グローバルな課題、ローカルな課題にビジネス・ソリューションを提供すること
CSR = 「商品・サービス」や「事業プロセス」の中に、環境や社会への配慮を統合する(組み込む)こと
CSRをどう理解するか?
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SDGs経営を考えるうえでも、正しいCSRの理解が重要
持続可能な開発目標(SDGs)
2016年から2030年までの間に達成すべき17の目標と
169の具体的なターゲット
根本理念1 「大変革(transformatnon)」
根本理念2 「誰も置き去りにしない(Leafe No One Behnni)」
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×これまでの実績や社内事情から、今何が
できるかを考える
〇外部環境を起点にして、将来何を達成
すべきかを考える
×同業他社をベンチマーク(基準)にする
〇「将来の常識」を見極めてベンチマークにする
Transformationに必要な目標設定の考え方
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“Inside-out から Outside-in”へ
“Future-fit benchmnrks”
持続可能な開発目標(SDGs) 和訳
目標1 すべての場所における、あらゆる形態の貧困の解消
目標2 飢餓の終焉、食糧安全保障と栄養の向上の達成、持続可能な農業の促進
目標3 あらゆる年齢のすべての人に対する健康な生活の確保、福祉(well-being)の促進
目標4 すべての人に対する包摂的、公正かつ良質な教育の確保、生涯学習の機会促進
目標5 ジェンダー平等の達成 すべての女性および少女のエンパワーメント
目標6 すべての人に対する、持続可能な水源と水と衛生の確保
目標7 すべての人に対する、手頃で、信頼ができ、持続可能で、近代的なエネルギーへのアクセスの確保
目標8 継続的、包摂的かつ持続可能な経済成長、すべての人に対する完全かつ生産的な雇用と適切な雇用(ディーセント・ワーク)の促進
8注)「包摂的」はinclusiveの訳で、内側に取り込むこと
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目標9 レジリエントな(回復力のある)インフラの構築、包摂的かつ持続可能な産業化、およびイノベーションの促進
目標10 国内および国家間の不平等の削減
目標11 包括的、安全、レジリエント、かつ持続可能な都市および居住区の実現
目標12 持続可能な消費および生産形態の確保
目標13 気候変動およびその影響と闘うための緊急の行動
目標14 持続可能な開発のための海洋、海浜および海洋資源の保存および持続的な活用
目標15 陸圏生態系の保護、回復および持続可能な活用の促進、森林の持続的な管理、砂漠化への対処、土壌侵食の防止および転換、生物多様性の損失の防止
目標16 持続可能な開発のための平和で包摂的な社会の促進、すべての人に対する公正へのアクセスの提供、あらゆるレベルで効果的かつ責任を伴う、包括的な公的機関の設立
目標17 持続可能な開発のための実施手段の強化および、グローバルパートナーシップの再構築
SDGsの根底にある「人権」
• SDGsの「誰も置き去りにしない」という理念の根底には、「人権の尊重」がある
• 世界人権宣言や国際人権規約(社会権規約、自由権規約)の実現を目指したもの、と考えられる。
• 誰もが生まれながらにして持つ「人権」の実現を妨げている、社会的制約を取り除くこと
• 企業の社会的責任のベースラインとしての、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」(2011年)の理解と実践
⇒人間の尊厳を守り、多様性を尊重すること
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ドイツの「ビジネスと人権」に関する動き
• NAP(国別行動計画)策定において、マルチステークホルダー・プロセスを採用。
• 12の主要論点を決めて各論点ごとに徹底的に議論。
• 議論をふまえて、NAPドラフト作業は政府(連邦労働・社会省)が行い、2016年12月に発表。
• マルチステークホルダー・プロセスは時間とエネルギーを要するが、より安定的な合意ができる。
• NAPでは,従業員500人以上の全企業に対して,任意なが
ら人権デューディリジェンスの実施と報告を求める。支援策として業種別導入マニュアルを作成。対象となる6,000社の半数が,2020年までに実施・報告していなかった場合,法制化することを検討。
122017年11月 CBCC訪独ミッションでのヒアリングから
企業行動憲章とは
経団連が1991年に会員企業が遵守すべき企業行動の指針(10の条文)として制定。
幹: 10の条文(指針)
枝: 手引きの49項目
小枝:具体的アクションプランの例
葉: 事例、コラム
※ 憲章の精神を実践するうえで必要と思われる取り組みや参考になる項目、具体的アクションプランの例を示した「実行の手引き」を作成。今回は第7版発行(163ページ)。
詳しくは、経団連ホームページ
以来、経済社会の変化を踏まえて改定。今回は第5回改定。
2017年11月8日改定版憲章と手引きを
発表
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企業行動憲章の改定主旨
近年、様々な社会的課題の深刻化を背景に、反グローバリズム・保護主義が台頭し、自由で開かれた国際経済秩序の維持・発展が脅かされる懸念がある。
一方、国際社会では、「ビジネスと人権に関する指導原則」(2011年)、
「パリ協定」(2015年)、「持続可能な開発目標(SDGs)」(2015年)が採択され、企業に対して、グローバルな課題への取り組みを促している。
そうした中、経団連では、革新技術を最大限活用することによって、人の暮らしや社会全体が最適化された未来社会「Society 5.0」 の実現を
目指している。これは経済成長と社会的課題の解決とが両立した社会であり、国連が掲げるSDGsの理念とも軌を一にするものである。
そこで、経団連では、「Society 5.0の実現を通じたSDGsへの達成」を柱として企業行動憲章を改定する。
会員企業は、持続可能な社会の実現に向けて、イノベーションを通じて社会に有用な付加価値および雇用を創出、ESG(環境・社会・ガバナンス)に配慮した経営を推進する。
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- Society 5.0 -
狩猟社会
自然との共生
潅漑技術の開発定住化の定着
蒸気機関⾞の発明⼤量生産の開始
コンピュータの発明情報流通の開始
Society 5.0
第5期科学技術基本計画で掲げられた日本の新しい成長モデル
農耕社会
工業社会
情報社会
超スマート社会
人類誕生 紀元前13000年 18世紀末 20世紀後半 21世紀初頭〜
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Society 5.0 for
IoT、AI、ビッグデータを活用したスマート農業により⾷糧生産を増⼤最先端のバイオテクノロジーを用い生産されたスマートフードにより栄養状態を改善
多種多様なモニタリングデータを組み合わせ、感染症予防のための早期警戒システムを開発
最先端の技術を活用したe-ラーニングシステムを用いることで、地球上の誰もが高品質の教育を手頃な価格で享受可能に
インターネットを通じた教育や情報へのアクセスにより⼥性の地位を向上ICTを活用して⼥性に起業の機会を提供
スマートグリッドシステムの構築による持続可能な電⼒需給の管理
i-Constructionを活用し、レジリエントなインフラの構築と持続可能な産業化を促進
産業界、学術界、その他のステークホルダーを結びつけることで、グローバルなイノベーションエコシステムを構築
利便性、安全性、経済性を両⽴させたスマートな都市を創出
スーパーコンピューターを用いて、気象観測データの解析に基づくシミュレーションにより、気候変動問題を解決
⽔質、森林、⼟地劣化、生物多様性などのモニタリングおよびマネジメントに、リモートセンシング・データや、海洋観測データを活用
経団連はSDGsを支援しています。
企業行動憲章の構成
企業行動憲章の本文は、①サブタイトル、②前文、③各条文の3つから構成され、①サブタイトルには憲章の理念を、②前文には各条文の前提となる包括的な内容を、③各条文には、括弧書きで見出しを付し、具体的な取り組み事項が示されている。
全体を通じた留意点
「 Society 5.0 の 実 現 を通 じ た S DGs の 達 成 」 と いう 観 点 か ら 、 企 業 の主体的な取り組みを促すような前向きな表現を使用。
憲章を国内外問わず適用できるよう、グローバル化を扱っていた旧 第8条を削除するとともに、各条文に要素を散りばめ、表現に留意。
企業行動憲章(本文)の留意点
旧 第8条(削除)
事業活動のグローバル化に対応し、各国・地域の法律の遵守、人権を含む各種の国際規範の尊重はもとより、文化や慣習、ステークホルダーの関心に配慮した経営を行い、当該国・地域の経済社会の発展に貢献する。
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企業行動憲章(サブタイトル、前文)
旧 新
―社会の信頼と共感のために―
企業は、公正な競争を通じて付加価値を創出し、雇用を生み出すなど経済社会の発展を担うとともに、広く社会にとって有用な存在でなければならない。そのため企業は、次の10原則に基づき、国の内外において、人権を尊重し、関係法令、国際ルールおよびその精神を遵守しつつ、持続可能な社会の創造に向けて、高い倫理観をもって社会的責任を果たしていく。
―持続可能な社会の実現のために―
企業は、公正かつ自由な競争の下、社会に有用な付加価値および雇用の創出と自律的で責任ある行動を通じて、持続可能な社会の実現を牽引する役割を担う。そのため企業は、国の内外において次の10原則に基づき、関係法令、国際ルールおよびその精神を遵守しつつ、高い倫理観をもって社会的責任を果たしていく。
改定理由
「Society 5.0の実現を通じたSDGsの達成」という観点から、社会の信頼と共感を前提としつつ、持続可能な社会の実現に前向きに行動するという主旨に変更。憲章を国の内外で適用することを明記。
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第1条(持続可能な経済成長と社会的課題の解決)
旧 第1条 新 第1条
社会的に有用で安全な商品・サービスを開発、提供し、消費者・顧客の満足と信頼を獲得する。
イノベーションを通じて社会に有用で安全な商品・サービスを開発、提供し、持続可能な経済成長と社会的課題の解決を図る。
改定理由
広義のイノベーション(技術や生産方法、流通販路や組織の変革など)を通じて、持続可能な経済成長と社会的課題解決のいずれをも実現することを強調するため新たに項目立て。
改定前の後半部分、消費者との信頼関係の構築については、第5条で扱う。
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第4条(人権の尊重)
第4条(新規条文)
すべての人々の人権を尊重する経営を行う。
改定理由
国連「ビジネスと人権に関する指導原則」の採択などを踏まえ、「人権の尊重」を強調するために新たに条文を追加。
具体的な人権尊重への取り組みについては、実行の手引きの中で扱う。
項目:人権尊重への理解の促進、人権を尊重する仕組みの構築、
包摂的な社会づくりへの貢献。
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旧 第9、10条 新 第10条
(9条)経営トップは、本憲章の精神の実現が自らの役割であることを認識し、率先垂範の上、社内ならびにグループ企業にその徹底を図るとともに、取引先にも促す。また、社内外の声を常時把握し、実効ある社内体制を確立する。
(10条)本憲章に反するような事態が発生したときには、経営トップ自らが問題解決にあたる姿勢を内外に明らかにし、原因究明、再発防止に努める。また、社会への迅速かつ的確な情報の公開と説明責任を遂行し、権限と責任を明確にした上、自らを含めて厳正な処分を行う。
経営トップは、本憲章の精神の実現が自らの役
割であることを認識して経営にあたり、実効あるガ
バナンスを構築して社内、グループ企業に周知徹
底を図る。あわせてサプライチェーンにも本憲章の
精神に基づく行動を促す。
また、本憲章の精神に反し社会からの信頼を失う
ような事態が発生した時には、経営トップが率先し
て問題解決、原因究明、再発防止等に努め、その
責任を果たす。
改定理由
旧 第9条と第10条を組み合わせて項目立て。
憲章の精神を経営に活かす観点から「経営にあたり」という文言を追加。
サプライチェーンにも本憲章の精神に基づく行動を促すことを追記。
本憲章の精神に反し社会からの信頼を失うような事態が発生した時は、経営トップが率先して対応し、責任を果たすことを確認。
第10条(経営トップの役割と本憲章の徹底)
SDGsは、SBDGs(ビジネス開発目標)
1. サステナビリティ(持続可能な発展)を事業と一体化して、新たな長期戦略を構築する良い機会。
2. SDGs はアイディア・ヒントの宝庫。17の目標レベルで自社との関連性を考えるのではなく、169のターゲットレベルで。
3. SDGsの根本理念と全体像を理解する。「木を見て森を見ず」、「チェリーピッキング(いいとこどり)」にならないよう。
4. 人権尊重はSDGsの基本理念。人権侵害に関与しないだけではなく、積極的な人権の増進も要検討。
5. これまでにないレベルで、ステークホルダーとの協働が必要に。
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人間中心の、包摂的で持続可能な経済成長への 「トランスフォーメーション」が求められている。
企業は、変革へのリーダーシップ発揮を期待されている。
そのために活用すべき有用なドキュメントが、「企業行動憲章」および「同実行の手引き」。
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SDGsは、SBDGs(ビジネス開発目標)