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7 総合科学技術・イノベーション会議 Society5.0 Society5.0(ソサエティ 5.0) IoT(Internet of Things)、ロボット、人工知能(AI)、ビッグデータ等の新たな技術をあらゆる産業や社会生活に 取り入れてイノベーションを創出し、一人一人のニーズに合わせる形で社会的課題を解決する新たな社会を「Society 5.0(ソサエティ 5.0) 」と名付けました。この概念は、平成 28 年 1 月に策定された第 5 期科学技術基本計画におい て初めて提唱され、日本は世界に先駆けて新たな社会の実現を目指していきます。 この「Society 5.0」とは、人類史の狩猟社会を第一章(1.0)とすると、米や小麦で安定した食料を手にした農耕 社会である第二章(2.0)、産業化による大量生産が始まった工業社会である第三章(3.0)、通信とコンピュータが融 合した情報社会である第四章(4.0)に続く、第 5 番目の新たな社会を指すもので、人やモノがつながり、全ての技 術が融合してこれまで解決できなかった問題を解けるようになる人類史の第五章、新たな社会の開幕の意味を込めて います。 これまでの情報社会(Society 4.0)では知識や情報が共有されず、分野横断的な連携が不十分であるという問題が ありました。人が行う能力に限界があるため、あふれる情報から必要な情報を見つけて分析する作業が負担であった り、年齢や障害などによる労働や行動範囲に制約がありました。また、少子高齢化や地方の過疎化などの課題に対し て様々な制約があり、十分に対応することが困難でした。 Society 5.0 で実現する社会は、IoT(Internet of Things)で全ての人とモノがつながり、様々な知識や情報が共 有され、今までにない新たな価値を生み出すことで、これらの課題や困難を克服します。また、人工知能(AI)によ り、必要な情報が必要な時に提供されるようになり、ロボットや自動走行車などの技術で、少子高齢化、地方の過疎 化、貧富の格差などの課題が克服されます。イノベーションを通じて、これまでの閉塞感を打破し、希望の持てる社会、 世代を超えて互いに尊重し合あえる社会、一人一人が快適で活躍できる社会となります。

Society 5.0(ソサエティ5.0) - Cabinet Office7 総合科学技術・イノベーション会議 Society 5.0 Society 5.0(ソサエティ5.0) IoT(Internet of Things)、ロボット、人工知能(AI)、ビッグデータ等の新たな技術をあらゆる産業や社会生活に

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Page 1: Society 5.0(ソサエティ5.0) - Cabinet Office7 総合科学技術・イノベーション会議 Society 5.0 Society 5.0(ソサエティ5.0) IoT(Internet of Things)、ロボット、人工知能(AI)、ビッグデータ等の新たな技術をあらゆる産業や社会生活に

7 総合科学技術・イノベーション会議

Society�5.0

Society�5.0(ソサエティ5.0) IoT(Internet of Things)、ロボット、人工知能(AI)、ビッグデータ等の新たな技術をあらゆる産業や社会生活に取り入れてイノベーションを創出し、一人一人のニーズに合わせる形で社会的課題を解決する新たな社会を「Society 5.0(ソサエティ 5.0)」と名付けました。この概念は、平成 28 年 1 月に策定された第 5 期科学技術基本計画において初めて提唱され、日本は世界に先駆けて新たな社会の実現を目指していきます。  この「Society 5.0」とは、人類史の狩猟社会を第一章(1.0)とすると、米や小麦で安定した食料を手にした農耕社会である第二章(2.0)、産業化による大量生産が始まった工業社会である第三章(3.0)、通信とコンピュータが融合した情報社会である第四章(4.0)に続く、第 5 番目の新たな社会を指すもので、人やモノがつながり、全ての技術が融合してこれまで解決できなかった問題を解けるようになる人類史の第五章、新たな社会の開幕の意味を込めています。

 これまでの情報社会(Society 4.0)では知識や情報が共有されず、分野横断的な連携が不十分であるという問題がありました。人が行う能力に限界があるため、あふれる情報から必要な情報を見つけて分析する作業が負担であったり、年齢や障害などによる労働や行動範囲に制約がありました。また、少子高齢化や地方の過疎化などの課題に対して様々な制約があり、十分に対応することが困難でした。

 Society 5.0 で実現する社会は、IoT(Internet of Things)で全ての人とモノがつながり、様々な知識や情報が共有され、今までにない新たな価値を生み出すことで、これらの課題や困難を克服します。また、人工知能(AI)により、必要な情報が必要な時に提供されるようになり、ロボットや自動走行車などの技術で、少子高齢化、地方の過疎化、貧富の格差などの課題が克服されます。イノベーションを通じて、これまでの閉塞感を打破し、希望の持てる社会、世代を超えて互いに尊重し合あえる社会、一人一人が快適で活躍できる社会となります。

Page 2: Society 5.0(ソサエティ5.0) - Cabinet Office7 総合科学技術・イノベーション会議 Society 5.0 Society 5.0(ソサエティ5.0) IoT(Internet of Things)、ロボット、人工知能(AI)、ビッグデータ等の新たな技術をあらゆる産業や社会生活に

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Society�5.0

 新たな経済社会である Society 5.0 を実現していくためには、経済・社会的課題を踏まえた 11 のシステムの開発を先行的かつ着実に進める必要があります。特に、産業競争力向上の観点から、「高度道路交通システム」「エネルギーバリューチェーンの最適化」及び「新たなものづくりシステム」をコアシステムとして開発し、新たな価値創出を容易とするプラットフォームを構築することが重要です(図:「Society 5.0」プラットフォーム構築のイメージ)。Society 5.0 を実現するためのプラットフォームには、具体的には、これらのシステム開発とともに、1)新たな価値やサービスの創出の基となるデータベースの構築と利活用、2)プラットフォームを支える基盤技術の強化、3)知的財産戦略と国際標準化の推進、4)規制・制度改革の推進と社会的受容の醸成、5)能力開発・人材育成の推進、等の取組も重要となります。