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本紙は、下記のアドレスからでもご覧いただけます。 ファッションリポート Stylesight、日本へ待望の本格上陸! REPORT 6 SPECIAL TOPICS TOPICS ポップカルチャーと海外マーケティング 1-3 2009 毎月 1 回発行 vol.596 since 1960 ■発行/繊維経営企画部 ■大阪市中央区久太郎町 4-1-3 ■TEL06-6241-2027 ■FAX06-6241-2008  12 Vol.596 Contents 4 関係会社紹介 川辺株式会社 ニュース・クリッピング Paul Smith for evian REPORT 5 海外報告 台湾 高い日本品のプレゼンス 発行所 - 去る11月4日、ロシアの首都モスクワ市内で、日本のポップカルチャーを紹介する「ジャパン・ポッ プカルチャー(J-POP)フェスティバル」が開かれました。これは在ロシア日本大使館が主催し、 伊藤忠商事が協力して実現したものです。世界の若者たちから注目される日本のアニメやファッション をモスクワの皆さんに紹介する試みでした。このイベントを仕掛けた繊維カンパニー・ファッションアパ レル第二部の田中主税、モスクワ事務所の志和大樹、吉田惇平らの報告から、ポップカルチャーの 海外市場でのビジネス発展の可能性を探りました。 イベント当日の11月4日、午後2時の開場 の4時間以上前から会場入り口には長蛇の 列……。氷点下のなか、 J-POPファンのロ シアの若者たちは整然と並んで開場を待っ ていました。 在ロシア日本大使館主催の「J-POPフェ スティバル」は、500人収容のモスクワ市中 心部の映画館「35MM」で開催されました。 日本料理レストランなどにおけるチラシの配布 とネットでの告知程度、当日は入場制限も行 いましたが、来場者は3000人を超え、大盛 況のうちに終わりました。口コミのパワーとロ シアにおけるJ-POPマーケティングの潜在性 を体感した催しとなりました。 当日は、第1部「アニメ」、第2部「ファッショ ン」、第3部「J-ROCK」の3部構成で催さ れました。第1部として、海外では初となる アニメ映画『エヴァンゲリオン2』の上映と櫻 井孝昌さん (*1) の講演会「日本のアニメの 過去、現在、未来」、第2部として、カワイ イ大使 (*2) 青木美沙子さんによるファッショ ントークショーやTOKYOファッションショーな ど、第 3 部 とし て、日 本 の ロック バ ンド RADWIMPSのフィルムコンサートという内容 でJ-POPを紹介しました。 今回、伊藤忠は第2部のTOKYOファッショ ンショーを支援しました。参加ブランドは日本 で絶大な人気を誇る ①「BABY, THE STARS SHINE BRIGHT」(http://www.babyssb. co.jp/)、②PUTUMAYO(http://www. putumayo-home.com/)、 ③ア ル ゴ ン キ ン (http://www.algonquins.co.jp/)、 ④SEXY DYNAMITE LONDON(http://www. sexydynamitelondon.com/)、 ⑤CONOMi (http://www.conomi.jp/) の5ブラン ド。日本からは各ブランドの最新コーディネー トのサンプル手配、モスクワからは素人モデ ルの選考など、日本とロシア双方からショーの 運営をサポートしました。 伊藤忠、在ロシア大使館に協力 氷点下のなか、3000人来場 日本から参加した5ブランドのファッションショーで会場は大いに盛り上がった

SPECIAL TOPICS 1-3 - ITOCHU Texモスクワ「J-POPフェスティバル」にみる 去る11月4日、ロシアの首都モスクワ市内で、日本のポップカルチャーを紹介する「ジャパン・ポッ

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Page 1: SPECIAL TOPICS 1-3 - ITOCHU Texモスクワ「J-POPフェスティバル」にみる 去る11月4日、ロシアの首都モスクワ市内で、日本のポップカルチャーを紹介する「ジャパン・ポッ

本紙は、下記のアドレスからでもご覧いただけます。

ファッションリポート Stylesight、日本へ待望の本格上陸!REPORT 6

SPECIAL TOPICS

TOPICS

ポップカルチャーと海外マーケティング 1-3

2009毎月1回発行

vol.596

since 1960

■発行/繊維経営企画部

■大阪市中央区久太郎町4-1-3

■TEL06-6241-2027

■FAX06-6241-2008  12

V o l . 5 9 6 C o n t e n t s

4関係会社紹介 川辺株式会社ニュース・クリッピング Paul Smith for evian

REPORT 5海外報告 台湾 高い日本品のプレゼンス

発行所

ポップカルチャーと海外マーケティング

モスクワ「J-

POPフェスティバル」にみる

 去る11月4日、ロシアの首都モスクワ市内で、日本のポップカルチャーを紹介する「ジャパン・ポップカルチャー(J-POP)フェスティバル」が開かれました。これは在ロシア日本大使館が主催し、伊藤忠商事が協力して実現したものです。世界の若者たちから注目される日本のアニメやファッションをモスクワの皆さんに紹介する試みでした。このイベントを仕掛けた繊維カンパニー・ファッションアパレル第二部の田中主税、モスクワ事務所の志和大樹、吉田惇平らの報告から、ポップカルチャーの海外市場でのビジネス発展の可能性を探りました。

 イベント当日の11月4日、午後2時の開場の4時間以上前から会場入り口には長蛇の列……。氷点下のなか、 J-POPファンのロシアの若者たちは整然と並んで開場を待っていました。 在ロシア日本大使館主催の「J-POPフェスティバル」は、500人収容のモスクワ市中心部の映画館「35MM」で開催されました。日本料理レストランなどにおけるチラシの配布とネットでの告知程度、当日は入場制限も行いましたが、来場者は3000人を超え、大盛況のうちに終わりました。口コミのパワーとロシアにおけるJ-POPマーケティングの潜在性

を体感した催しとなりました。 当日は、第1部「アニメ」、第2部「ファッション」、第3部「J-ROCK」の3部構成で催されました。第1部として、海外では初となるアニメ映画『エヴァンゲリオン2』の上映と櫻井孝昌さん(*1)の講演会「日本のアニメの過去、現在、未来」、第2部として、カワイイ大使(*2)青木美沙子さんによるファッショントークショーやTOKYOファッションショーなど、第3部として、日本のロックバンドRADWIMPSのフィルムコンサートという内容でJ-POPを紹介しました。 今回、伊藤忠は第2部のTOKYOファッショ

ンショーを支援しました。参加ブランドは日本で絶大な人気を誇る ①「BABY, THE STARS SHINE BRIGHT」(http://www.babyssb. co.jp/)、 ②PUTUMAYO(http://www. putumayo-home.com/)、 ③アルゴンキン(http://www.algonquins.co.jp/)、 ④SEXY DYNAMITE LONDON(http://www. sexydynamitelondon.com/)、 ⑤CONOMi(http://www.conomi.jp/)─ の5ブランド。日本からは各ブランドの最新コーディネートのサンプル手配、モスクワからは素人モデルの選考など、日本とロシア双方からショーの運営をサポートしました。

伊藤忠、在ロシア大使館に協力氷点下のなか、3000人来場

日本から参加した5ブランドのファッションショーで会場は大いに盛り上がった

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2 ポップカルチャーと海外マーケティング2009年(平成21年)12月号

 近年、日本の独自文化とされるポップカルチャー。ニッチな市場ではありながらも、アニメや “ゴスロリ系”(ゴシック&ロリータ)といわれるファッションは海外でも人気が高く、

商品として受け入れられる土壌が広がってきました。日本では “キワモノ” ととらえられがちですが、日本で考える以上に海外では関心を呼んでいます。

評価高い日本ポップカルチャー欧州各地で人気集めるイベント

 日本政府も、アニメやファッションなどのソフトパワーが経済活動に与える効果に着目しています。 2009年4月、政府の知的財産戦略本部は「日本ブランド戦略~ソフトパワー産業を成長の原動力に~」と題する提言をまとめ、その基本戦略として「ソフトパワー産業の振興」「創造基盤の整備」「外に向けての発信力強化」「訪日促進等を通じた認知度の向上」「推進体制の構築」の5つを掲げました。その提言の「はじめに」の冒頭に以下の指摘があります。 「日本のアニメ、マンガ、ファッション等は、日本の文化的土壌の中で育まれてきたものであり、海外で高く評価されているにもかかわらず、日本人はこれらの持つ潜在力に必ずしも十分気づき、評価してこなかった。今こそ、日本人自らが日本のソフトパワーの価値を再認識する必要がある。(中略)無形の資産や国家の魅力がグローバル競争に大きな影

響を及ぼすようになっている時代だからこそ、日本の強みであるソフトパワーを海外市場拡大・内需拡大の原動力にすることを、真剣に国家戦略として打ち出す必要がある。このため、日本のソフトパワーを生み出すアニメ、マンガ、映画、ドラマ、音楽、ゲーム等のコンテンツや、食、ファッション、デザインといった日本特有のブランド価値創造に関する産業を『ソフトパワー産業』として位置付け、これら産業の振興や海外展開を総合的に推進すべきである」 また、外務省管轄の特殊法人国際交流基金も日本文化紹介の一環として、日本のポップカルチャーを紹介する事業を実施しています。 厳寒のモスクワで、開場を待つ若者たち。劇場内は常に大歓声に沸き、楽屋裏での出演モデルたちの感動の涙と笑顔……。こうした光景を思い出すたびに、この戦略の正しさを痛感します。

政府の「ソフトパワー」戦略

会場前には長蛇の列。500人収容の映画館に3000人が押し寄せた

混乱もなく、整然と入場を待つ来場者

 外務省が任命した「カワイイ大使」の青木美沙子さんのトークショーやモスクワ事務所が募集した素人モデルらに着用してもらったファッションショーは大いに盛り上がりました。日本の若者文化の発信役として各国・地域を訪れている青木さんは、この日も日本で人気の最新の衣装を自ら披露するなどして、その魅力をアピールしました。 ショーには、日本のアニメやゲームのキャラクターなどに扮したロシアの若者たちも大勢参加し、ロシアでも日本のポップカルチャーへの関心が高まっていることを印象づけました。まさに “クールジャパン” の熱気を感じ取ることができた一日でした。 当日、会場で「BABY, THE STARS SHINE BRIGHT」と「PUTUMAYO」の

ウエアの即売のほか、雑誌『KERA(ケラ)』(http://www.indexcomm.co.jp/kera/)を日本から持ち込み、現地小売業との提携販売も実施しました。ウエアは、日本における小売価格の1.5倍程度の売り値であったことと現金のみの販売であったため、単価の高いものは一部売れ残ったものの、日本で5000円から1万円程度の小物や服は完売。雑誌は日本の価格の2倍程度で販売しましたが、日本語版にもかかわらず手配した50部が開場10分で売り切れ、イベントとはいえ日本のJ-POPファンの日本のファッション情報へのニーズの高さを改めて認識しました。 今回のファッションショーの模様はNHKの全国ニュースで放送されましたので、ご覧になった方も多いと思います。

「クールジャパン」の熱気青木カワイイ大使も参加

あっという間に売り切れたゴスロリ系ファッション誌『KERA』

 日本のアニメなどのポップカルチャーを紹介するイベントとしては、パリにおける「ジャパンエキスポ」が最大規模を誇ります。マンガ、アニメ、ゲームを中心とし、音楽、モードを含めた日本のポップカルチャーと、書道や武道、茶道、折り紙などの伝統文化を合わせた、日本文化のフェスティバルです。 会場ではマンガやアニメDVD、グッズなどの販売やゲームの試遊、ゲスト作家のサイン会、コンサート、ファッションショー、プロレス、柔道、剣道などのデモンストレーション、書道の体験コーナーなど、日本に関する様々な内容、催し物が開催されます。 毎年、フランス国内をはじめ、近隣のヨーロッパ諸国から来場者が訪れ、今年は約16万人の来場とヨーロッパ最大規模の日本フェスティバルとなっています。 今年はこの「ジャパンエキスポ」と同時期に「ジャパン・ポップカルチャーフェスティバル」も開催され、原宿ファッションショーやカワイイ大使のトークショー、アニメの上映会などが行われました。会場となったパリ日本文化会館では、開場の1時間前から長蛇の列ができ、大ホールが満席になるなど、大好評を得ました。 米国でも同様なイベントが現地企業主催

で開かれています。毎年7月の独立記念日の週末に、ロサンゼルスで開催されている「アニメエキスポ」がそれです。アニメやマンガのみならず、音楽やゲーム、メイドカフェなど日本のポップカルチャーを満載しているイベントです。1992年に来場者1750人からスタートし、現在では約4万人を動員するまでに成長しました。 このほか、7万人の動員力を誇るスペイン・バルセロナでの「サロン・デル・マンガ」をはじめ、イタリアやドイツなどでも大規模なイベントが開催されています。しかしこれらのイベントには日本企業はほとんどと言っていいほど関与していません。逆に中国や韓国の企業がビジネスチャンスを狙って参加しているほどです。 今回、ロシアでのJ-POPフェスをプロデュースし、前述したフランスでの企画の総合プロデューサーでもあった櫻井孝昌さんは、ファッションの分野でも、フランスやスペインの女の子がマジメな顔をして「日本人になりたい」と言う、と話しています。そして、「アニメで育った若者は、日本に対する好印象を持ち続ける可能性が高い」「アニメを通して日本にこうした感情を持った人々は、今後ますます増え続けていくであろう」と指摘しています。

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3ポップカルチャーと海外マーケティング2009年(平成21年)12月号

 繊維カンパニーのファッションアパレル第二部は、主に日本のアパレル企業向けに製品から生産までを提案するODM(ORIGINAL DESIGN MANUFACTURINGの略)事業を手掛けており、年に2回オリジナルの開発素材・デザインを中心とする製品展示会を都内で開催しています。 また、日本のアパレル企業向けを主軸に置きながら、新規顧客開拓、海外新市場開拓の観点から、米国や欧州、ロシア向け販売のトライアルも重ねています。昨秋のリーマン・ショック以降、ロシア向け販売は低迷していますが、潜在的な需要は大きいとみています。とくにポップカルチャーの展開には注目されます。 日本独自の文化といわれるポップカルチャー。アニメが海外でも幅広い人気が得られるという背景があり、そこにビジネスチャンスが生まれてきました。日本でも不況に強いとされる同マーケットは、海外でも根強いファンに支えられているため、世界的な景気

の低迷にあってもビジネス展開できるチャンスがあります。 今回のロシアでのイベントは、こうした一連の海外新市場開拓への動きが実を結んだといえます。実際、企画段階から在ロシア日本大使館と緊密に連絡を取り、櫻井さんのコーディネートのもと、最終的にアニメ、ファッション、ミュージックの3本立てによるフェスティバルを開催することができました。 とりわけ在ロシア日本大使館のフェスティバル成功への意気込みには感じ入るものがありました。会場では、大使館公使自ら、汗を流して照明設備などのチェックをする姿を目の当たりにし、また、公使から「ファッションショーの実現は伊藤忠のサポートのおかげです」とのお言葉をいただき、感動しました。3000人の来場者を集め、イベントが大成功を収めた結果、様々な取り組みの可能性が生まれており、今後はいかにそれを慎重かつ迅速に発展させていくかがカギとなります。

マーケティングの可能性ビジネスチャンス広がる

 先にご紹介したように、フランスやスペイン、イタリア、米国などにおいてはイベント、展示会開催を通じて、ある程度日本のポップカルチャーが浸透しています。ロシアや周

辺CIS諸国はまだ開拓の余地があります。ある意識調査によれば、ロシア人の74%が「日本が好き」と答えています。 確かにクルマ、家電、寿司、小説、アニ

開拓余地あるロシア74%が「日本が好き」

日本から持ち込んだウエアと雑誌を展示即売

今回のイベントのポスター

モスクワ事務所が募集したショーのモデル

(*1)櫻井孝昌さん 著述業、企業・官公庁の事業企画・イベントプロデュースなどの仕事と並び、世界における日本のポップカルチャーについて研究。フランス、スペイン、チェコ、サウジアラビア、ミャンマー、韓国など世界13カ国、延べ27都市で講演やイベント企画といった「ポップカルチャー文化外交」活動を実施している。また、外務省のポップカルチャー全般に関するアドバイザーも務める。『アニメ文化外交』(ちくま新書)などの著書がある。

(*2)カワイイ大使 外務省が、我が国に対するより一層の理解や信頼を図るうえで、従来から取り上げている伝統文化・芸術に加え、近年世界的に若者の間で人気の高い日本のポップカルチャーをさらに積極的に活用することを考え、この分野で顕著な活動を行っている若手リーダーに「ポップカルチャー発信使」(通称「カワイイ大使」)の名称を付与した。広報関連業務等を委嘱するとともに、可能な範囲で、在外公館及び国際交流基金が実施する文化事業への協力を求めている。今年2月26日にポップカルチャーのなかで、とくにファッション分野に関し、青木美沙子さん(ロリータファッション界のカリスマ)、木村優さん(原宿系ファッションリーダー)、藤岡静香さん(ブランド制服ショップ「CONOMi」のアドバイザー)の3人に委嘱した。今回のモスクワでのイベントには青木さんが参加した。

メなどロシアではいま、“日本ブーム” に沸いています。日本文学はもともと人気が高く、例えば村上春樹はロシアで最も読まれている作家の一人です。アニメやマンガオタクも多くいます。 ゴスロリ系ファッションもすでにある程度浸透しています。ファンクラブとも言うべき「ロリータ協会」には約1500人が加盟、今回のイベントにも多くが参加しました。彼女らは日本のインターネットサイトを通じてゴスロリファッションを注文し、クーリエでモスクワまで取り寄せることも少なくありません。 当社は、ファッションに関しては、ロシアのパートナー企業を核としたモスクワでの展開を計画しています。市内中心部には大規模

なショッピングモールも続 と々誕生しており、卸売も可能性があります。東京のラフォーレ原宿がゴスロリ系ファッションの言わば“聖地”ですが、ロシア企業と共同で“モスクワの原宿”を作り、そこでの雑誌など周辺商材を含めた販売という夢もあります。 出版では、この12月11日に駐ロシア大使館が現地の出版社、大手書店を集め、日本のコミック販売についてのセミナーを開催する予定です。ここでは日本の大手出版社担当者を派遣し、日本国内におけるアニメコミックの販売の実情などを説明する計画です。まだまだ未知数な市場ですが、日本のポップカルチャーにとって、ロシアは夢のあるマーケットとなりそうです。

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4 関係会社紹介/ニュース・クリッピング2009年(平成21年)12月号

 大正12年(1923年)創業のハンカチーフ業界の老舗リーディングカンパニーである川辺㈱は、お客様に「夢を与える」をモットーに日本国内あまねく商品を供給している。 2009年5月、ブランドライセンス業務における長期にわたる取引関係を経て伊藤忠商事の連結対象会社となった。従来のブランドライセンス業務に加え、情報共有・協業による商品生産・供給・プロモーション、繊維業界内での異業種アライアンス、M&A、海外展開な

ど多様な業容の拡充をさらに加速させる。 川辺の特徴として、まず、グループ内の一貫生産体制が挙げられる。ハンカチーフ、スカーフ類の高品質捺染工場であるレインボーワールド(秋田県能代市)、バッグなどの服飾雑貨企画や製造・販売などを行うモノライフ、スポーツ系の服飾雑貨製造卸販売を得意とするソルティー、グループ会社である3社それぞれの機能を生かし、グループ内で企画・製造から販売まで一貫して対応できる体制を一部のアイテムで確立した。これは、国内業界内では他社を寄せ付けない。 また、顧客満足向上のため、従来東西2カ所で分割運営していた自社物流センターを『川辺今治センター』1カ所に集約、去る11月4日に盛大な落成式を執り行った。今回の物流拠点集約化で、商材の全国取引先への生産・出荷加工を一貫で行う物流拠点として、お客様からの納品リクエストに対しより迅速なサービスの提供が可能となったのも大きな強みである。 自社ブランドである『プレイヤーズ自由が丘』は、軽くておしゃれなレディースエコバッグとして誕生し、今年で10年を迎えた。周辺雑貨

アイテムも充実させ、直営店の展開も加速させている。また、環境配慮型商品の開発を推進や、WWFジャパン、日本盲導犬協会などへの寄付を通じ、社会貢献に対しても積極的に取り組んでいる。 これからも川辺は、確かな品質管理・商

品提案力を武器に、様々なお客様へのOEM生産に対応し、また、積極果敢に新たなビジネス展開に挑戦していく。

関係会社グループ経営を目指して

川辺株式会社

「夢を与える」モットーに

会 社 名 川辺株式会社  T.KAWABE & CO.,LTD.

所 在 地 〒160-8403 東京都新宿区四谷4丁目16番3号電話:03-3352-7123 FAX:03-3352-2070 HP:http://www.kawabe.co.jp

代 表 者 代表取締役社長 吉田 久和

業 種 ハンカチーフ・スカーフ・バッグ等雑貨の製造・販売・輸出入

従 業 員 数 269人(2009年6月末現在)

生産(販売)ア イ テ ム年 産

年商:14,983百万円(2009年3月期)ハンカチーフ:73.8%、スカーフ:19.6%、タオル:2.3%、その他:4.3%(販売先:全国百貨店・量販店・その他専門店など)

企 業 沿 革

企 業 概 要

1923年 東京日本橋橘町に川辺富造商店創業1979年 株式上場(店頭)2004年 ジャスダック証券取引所株式上場2009年 伊藤忠商事が株式の25%を保有し、伊藤忠商事の持分法適用会社となる

資 本 金出資者・出資比率

1,720百万円一広㈱:26.1%、伊藤忠商事㈱:25.0% その他

大正12年の創業以来、「夢を与える」をコンセプトに、川辺㈱自社オリジナルブランドに加え、セリーヌ、ポロ・ラルフローレン、ヴィヴィアン・ウェストウッドなど多くの一流ブランドのハンカチーフをはじめ、スカーフ、マフラー、タオル、雑貨バッグ類を百貨店、チェーンストア、専門店、直営店事業、E-コマース、コンビニエンスストア、駅・空港売店、高速道路、TVショッピング、カタログなど様々な媒体を通じて広く皆様に提供しています。自社製品プリント工場、バッグ企画生産会社、海外縫製工場をもグループ内に擁し、独自の商品提案・一貫生産を背景に「夢を与える」ファッションアイテムを創造し続けます。

11月7日千葉ペリエ2にオープンした『プレイヤーズ自由が丘』

紹介

2010SS展示会 世界初のライセンス商品となるLADURE(ラデュレ)。 【前列左より】越智専務営業統括本部長、吉田社長、川村執行役員大阪支店長、黒田執行役員商品本部長、【後列左より】稲子取締役チェーンストア本部長、高沢執行役員東京支店長、安田取締役㈱モノライフ社長、小谷取締役リテール本部長(筆者)

 川辺・川辺㈱名誉会長が理事長を務める日本ハンカチーフ連合会では、2010年3月に地球に優しいエコアイテムであるハンカチーフのキャンペーンを実施する。

ハンカチーフキャンペーン(日本ハンカチーフ連合会)

 エビアンが毎年発表するデザイナーボトルのデザインを、イギリスを代表する世界的なファッションデザイナーであるポール・スミスが手掛けました。彼のシンボルとなっている色鮮やかなマルチストライプをガラスボトルの上

部にあしらい、いきいきとした遊び心をポップでスタイリッシュに表現しています。 エビアンは1992年から毎年イヤーボトルとして様々なデザインのボトルを発表しています。2008年からは、クリスチャン・ラクロワ(2008年)、ジャン・ポール・ゴルチ エ

Paul Smith for evian~ポール・スミスが2010「エビアン」デザイナーズボトルをデザイン~

伊藤忠商事株式会社 繊維経営企画部 TEL 06-6241-2027http://www.paulsmith.co.jp/  http://www.evian.co.jp/

この件に関するお問い合わせ

11月4日に落成式を行った物流の「川辺今治センター」

(2009年)など著名なファッションデザイナーがデザインするデザイナーズボトルを発表しており、コレクターが出るほどの人気を博しています。 11月16日にガラスボトル(750ml、価格735円)を数量限定で発売しました。

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海外報告

高い日本品のプレゼンス

5海外報告2009年(平成21年)12月号

台湾伊藤忠 繊維部 山本 敦哉market report

1日35往復 日本と結ぶ 1日35往復。九州の90%(でしかない)の面積の台湾と日本各地を結ぶ航空便数である。この数字から見ても日本と台湾の交流がいかに密なものであることかがうかがい知れる。当地を訪れたことのある方には当地で海外とは思えない安心感、居心地のよさを感じられた方も少なくないのではないだろうか? 島国であること、山が常に見えること、コンビニが多い(2300万の人口に対して約9300店舗、交差点の四つ角すべてがコンビニであることも珍しくない)ことなど、異国でありながら日本との違いをそれほど感じさせない風景などもその要因だろう。 しかし、私たち日本人をそんな気持ちにさせる最大の要因は、台湾の人たちの人柄で

ある。この地の人柄に触れることで多くの人たちが居心地の良さを感じ、リピーターとして、ビジネスでも、プライベートでもこの地を二度、三度訪れることになるのだろう。 よく台湾人は “親日的” と表現されるが、長くこの地に住むと、この “親” は必ずしも“日” にばかり向けられるものではないことが見えてくる。また、この “親” は “好き” という意味だけではなく “理解している”“受け入れる” という意味であることに気づかされる。 台湾の人々は様々な国の人々、文化、考え方に対して、間口を大きく、懐深く理解し、受け入れる。その “親” に世界の人々が魅了され、台湾との活発な交流を求めるのである。台湾の人たちもその交流を通じて、自分たちの文化を大切にしながらも柔軟性を持って新たな何かを取り込みつつ、自らにとっても居心地の良い環境に育て上げているのだと思う。 そんな居心地の良い台湾も、抱える問題は多い。日本同様、少子高齢化の問題や地震・台風などの自然災害には毎年のように苦しめられている(今年8月8日に台湾を襲った台風8号では、ひとつの村全部が一瞬にして土砂に埋没してしまうという大災害となり、台湾全土が悲しみに暮れた)。

「経済建設633目標」に壁 経済的には昨年のリーマンショックの影響は日本同様相当大きい。世界経済がまだ資源高を背景に好調を維持していた2008年5月に発足した馬英九政権が掲げた経済発展に関する数値目標、年平均成長率6%、2016年の一人当たりのGDP3万ドル、失業率3%以下(いわゆる「経済建設633目標」)は、初年度にして大きな試練にぶち当たることとなった。 実質GDP成長率は08年第4四半期にはマイナス8.6%、09年第1四半期はマイナス10.2%、一人当たりGDPは08年の1万7083米ドルから09年には1万5841米ドルへの縮小が予想され、さらには失業率も09年9月時点で6%を上回る状況となっている。 国内の商業営業額も09年第1四半期には前年同期比マイナス13%と落ち込んだ(食を非常に大切にする当地の飲食業でさえ、09

年2月には前年同期比マイナス9.64%を記録)。さらにこれに追い打ちをかけるように2010年に成立する可能性のある「東アジアFTA(ASEAN+日中韓)」により台湾経済が孤立化する可能性が生まれてきた。この危機を回避する目的で中国との間で「両岸経済協力枠組み協議(ECFA)」が進められているが、国内産業のさらなる空洞化を懸念する声も聞かれるのが実情である。

川中産業、最重要ベンダーの地位 そういった環境下での当地繊維産業は、2000年代初頭まで中国の需要拡大に支えられ、輸出がけん引する形で拡大を続けてきた。しかし、その後中国、インドなど新興国からの追い上げを受け、競争力の相対的な低下とともに、その規模縮小を余儀なくされている。08年の化合繊・紡績糸・生地を中心とする紡織業の生産指数は00年の60%、縫製業のそれは30%の水準にまで落ち込んだ。さらに08年の11月以降は、それぞれ前年同期と比較して70%の水準に落ち込んだまま推移している。 これら指標から見て取れるように、台湾の繊維産業は日本と同じ道をたどるのだろうと言われる。しかし、当地川中業界内での淘汰を勝ち抜いた有力企業においては、必ずしもそうではない。その根拠は以下の4つの特徴があるためだ。(1)繊維産業勃興時から日本との交流の

中で発展してきた経緯により“親日”であること

(2)成熟したサプライチェーンに身を置くが、なにがしかの系列下にはないこと

(3)技術力も高く、機械化、合理化は進んでいるが、その生産規模は維持していること

(4)新しいことに着手する決断および行動が速いこと

 実際上記(2)~(4)により当地有力川中企業は現在でも欧米スポーツアパレル分野やワーキングユニフォームを含む工業資材分野において、品質的にも数量的にも最重要ベンダーとしての地位を維持し続けている。昨

今同じようにもがき苦しむ日台の繊維業界ではあるが、今一度それぞれの特徴を見つめ直し、双方が協力しあって、これからの時代に必要とされるものをタイムリーに、しかもある程度の規模(迫力)をもって打って出ることを考えるべきではないだろうか?

氾濫する「キレイ」「カワイイ」 一方、消費社会に目を向けると、他アジア諸国同様、日本製品はそのプレゼンスの高さを誇っている。とくにファッション文化における“親日” 度合いには目を見張るものがある。当地ケーブルテレビでは日本のドラマやバラエティー番組が24時間見られることもあり、「キレイ」や「カワイイ」と言う日本語が若者に広く浸透し、街には日本語を使った看板があふれている。 特筆すべきは日本のファッション雑誌。代表的な女性ファッション誌は広告以外すべて日本オリジナルのまま。文字のみ中文に訳した雑誌(これは海賊版ではなく、オフィシャルのもの)が主要なものだけでも計40万部以上発行されているという。若い消費者はその雑誌を見て、インターネット、買い付け代行または週末飛行機に乗って直接店舗に向かうと言った方法を通じて日本のトレンドを取り入れている。(※下記「美姫購」参照) 台湾は市場としての規模は小さいかも知れないが、台湾の若い世代または消費者にも日本という存在が十分に意識されており、古くから続く日本と台湾の繊維産業における緊密な関係もその形を変えながら継続している。 ここに生活する一日本人としては、このような関係が途切れることなく、さらに発展させていくために、当地の人々に負けないくらいに “親台的” となり、微力ながら努力を続けることが必要であることを再認識する。同時に、難しすぎて一度はあきらめた台湾語(閩南語)の勉強を再開しようかと考える昨今である。

85.00

90.00

95.00

100.00

105.00

 米農務省11月発表によれば2009/10年度の世界綿花需給見通しは、生産減、消費増による季末在庫の減少が特徴。季初在庫は6200万俵と前月より50万表、生産高は1億270万俵と中国、米国を含めて100万俵超それぞれ下方修正。消費高は1億1250万俵と前月より約90万俵上方修正した。前季比では2%の増加。季末在庫は季初比13%減少の5370万俵と3年連続で減少する。これは2003/04年度以来の低水準。

 豪州羊毛価格は9月上旬、足踏みの後、再び騰勢を強め、豪州羊毛東部指標価格(EMI)は、10/22、873AUC/ 807USC/735円まで値上がりしたが、これを天井に、その後若干緩んで、11/19現在、850AUC/787USC/703円となっている。買い付けは依然中国一色で、イタリアは買い付けを見送っている。

 11月初旬の米FOMCやG20を経て、市場が米国の低金利政策の継続を確認した以降は、低金利通貨のドルを売って新興国や資源国などの高金利通貨を買うドルキャリー取引が大きな市場のトレンドとなっている。ドル円相場も10月27日に92円33銭の高値を付けた後は、ドル売りの流れを受けて再び88円台前半までドル安円高が進展した。当面は今年1月に付けた円高値である87円10銭をうかがいながら、ドルの上値が重い展開か。            (11/25)

NY綿花

豪州羊毛 M/I

為 替70.00

65.00

60.00

55.00

50.00

45.00

(USセント/LB) (AUSTセント/KG) (円/US$)900

850

800

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700

目で見る

市況 71

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台湾店スタッフ

台北市内の夜景

台湾店が8月に開設した「美姫購」(マガシークの3サイト「マガシーク」「アウトレットピーク」「mfm」からの公式お取り寄せサイト)

Page 6: SPECIAL TOPICS 1-3 - ITOCHU Texモスクワ「J-POPフェスティバル」にみる 去る11月4日、ロシアの首都モスクワ市内で、日本のポップカルチャーを紹介する「ジャパン・ポッ

使い勝手の良い機能を安価に提供 2003年発足のスタイルサイトは、ZARAのインディテックスグループやポロ・ラルフローレン、ナイキやロレアルなど名だたる企業を含め、世界に約1000社の会員を抱える。ニューヨークを拠点に、ロサンゼルス、パリ、ロンドン、メルボルン、香港、上海、デリー、サンパウロに支社を置き、イタリアやスペイン、ドイツ、トルコ、韓国、メキシコ、カナダ、日本など世界を網羅するコレスポンデントを配する。比較的若い会社だが、現地法人立ち上げから2年目に入った中国では、180%の成長率を誇るなど、業界ではぐんぐんと存在感を

増している。 スタイルサイトの勝因は何か。クオリティーの高いコンテンツはもちろん、テクノロジーを駆使して実現した使い勝手の良さ、そしてそ

れを安価に届けるというポリシーだ。

新しいワークスタイルを提案 立ち上げたのは、元アパレル企業の社長であったフランク・ボバー氏。「私自身いろいろな情報サービスを利用してきましたが、実際の仕事に使える、という観点では満足するものになかなか出会えませんでした。業界人にとって使いやすい情報サービスとは何か、を突き詰めていくと、テクノロジーとの融合が必要だったのです」。スタイルサイトを他のトレンド会社と分ける最大の特徴は、単なる情報サービスにとどまらず、使えるツールであるということだ。 例えば、デザイナーがトレンド情報と連動したPantone番号付カラーパレットを作る、MDが展示会でのイメージボードをスタイルサイト上で作る、あるいは、マーケッターが、アイテム別に小売りでの売れ筋情報を引き出し、そのサーチ結果をチームで共有する……、インターネットを介して提供される情報ということで、テクノロジーを駆使した使い勝手の良さが至るところに工夫されている。ハイテク機能は

自分には使いこなせない?と、つい尻込みしてしまう読者もいるかもしれないが、あくまでこのような機能は、「こう使えたら便利だな」の積み重ねで進化したものであり、自然と手が動いてしまうようにデザインされている。 「インターネットの登場は私たちのビジネススタイルを大きく変えました。例えば今ではEメールがない生活は考えられないが、以前は当然のようにFAXでコミュニケーションしていた。今は自分の手で切り貼りして作っているイメージボードも、一度スタイルサイト上で、いとも簡単に作業できることを知ってしまえば、後戻りはできない」(ボバー氏)。つまり、スタイルサイトが提供するのは、情報だけにとどまらず、新たなワークスタイルそのものであるということ。「これがなければ仕事ができない!」ツールとなるサービスなのだ。従い、会員企業において、スタイルサイトに充てるバジェットというのは、必ずしも情報予算でない。商品企画を行うデザイナーにとっては、企画ツール費であり、海外の展示会情報をサーチするMDにとっては出張経費でもある。そこに、スタイルサイトが見いだした、これからのファッション情報サービスの形がある。

ファッションリポート

業界のワークスタイルを変える?オンラインファッション情報サービスの革命児Stylesight(スタイルサイト)、日本へ待望の本格上陸!

伊藤忠ファッションシステム株式会社 R&Dグループ マーケティング開発チーム 呉 佳子 [email protected]

 スタイルサイトがどう “使える” のか、具体的に見てみよう。膨大なコンテンツの構造は実はとてもシンプル。大きく ①イメージ画像サーチ機能、 ②スタイルサイト独自の予測&分析視点、 ③カレンダー、マップなどの情報データベース─ の3つに分かれている。

   日増しに増えるイメージストックは   現在総数400万点

 世界中のコレスポンデント = トレンドの目利きが日々 撮影し本社に送るビジュアル画像は、毎日約1000点。コレクションの洋服やアクセサリーのほか、各種小売店頭の画像も充実している。今もどんどん増え続ける総数400万点の画像は、量だけでも圧倒されてしまいそうだが、イメージライブラリーのサーチ機能を使えば、的確に欲しい画像にたどりつける。一つの画像が、洋服のタイプや素材、マーケットあるいはカラーテイストなど、何種類ものラベリング分類されており、自分のニーズにピタっとはまるイメージが簡単に検索できるのだ。

   スタイルサイト独自の視点   (point of view)を活用

 スタイルサイト独自の視点を提供するファッションオフィスの内容は、今後を予測するフォーキャストと、現在を分析するアナライズの2つに大別される。予測系のコンテンツは、パリのアトリエで企画・製作。業界人には馴染み深い、いわゆる2年先のシーズントレンドはもちろん、シーズンを限定しない、もっと大きな視点からライフスタイル全体を捉えたマクロトレンドの月1回のリポートや、トレンドに合わせたオリジナルのプリント、イラストなど非常に厚みのある内容となっている。 一方の分析系のコンテンツは、ストリートファッションから小売り、コレクション、展示会まで各種レポートがそろい、こちらも負けじと充実している。トレンドウォッチのコーナーでは、デスクに居ながらにして今世界中で起こっている “トレンド” の実況中継をチェックすることができる。

   業界人必読のニュースや   ショップマップなどの情報が満載

 ファッション業界人向けに世界中から毎日約50のニュースをアップデートし、主要アパレル・小売りの株価や月次の売り上げ実績までカバーしたニュースページ。展示会予定などがすぐに検索できるカレンダー、そして海外のファッション都市のリサーチプランを手軽に作成できるスタイルトラベラーなど、包括的な情報ソースが整ったマーケティングインテリジェンス。本ページは英語のみでの構成となるが、PDFダウンロードできるショップマップなどは日本語スピーカーにも便利な内容となっている。

6 ファッションリポート2009年(平成21年)12月号

No.552

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 インターネットの普及とともにあらゆる情報が無料で手に入ると思われる中、お金を払ってまで得る “情報” の意味、あり方が問われている。不況下では情報関連バジェットが真っ先に削られるところだが、一方で、巧みに情報を活用してこそ競合に先んじチャンスをつかむことができるというのもまた事実。そんな業界企業が多かれ少なかれお世話になってきたトレンド情報提供サービスは、一世を風靡した1980年代から30年弱、21世紀となった今では、老舗のトレンドオフィスの影響力も薄れ、昔ながらの方法は変化めまぐるしい現在のテンポをつかみ損ねているとも言われる。しかし、最近になって、次なるフェーズの兆しとも呼べるようなものが見えてきた。その筆頭が、単なる情報を提供するだけにとどまらない米国発のスタイルサイトだ。ここ数年でめきめきと成長を遂げ、オリジナルの英語のほか、中国語、スペイン語を導入、そして12月からは待望の日本語バージョンが提供される。情報サイトは多々あるが、これほど包括的なファッション情報が日本語で提供されるというのは初めてのこと。オンラインファッション情報サービスに革新をもたらした、との呼び声高いスタイルサイトの実態に迫った。

スタイルサイト日本販売代理店伊藤忠ファッションシステム株式会社竹澤 百合 [email protected](6439)3215

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3スタイルサイト創設者でありCEOのフランク・ボバー氏