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陳 国平
再生医療を支える バイオマテリアルの研究開発
物質・材料研究機構 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点
病気やけがの従来の治療法
投薬治療
臓器移植
ドナー不足
免疫拒絶反応
適用範囲が限定される
人工臓器
部分的機能の代替経年劣化
組織・臓器不全
損失
再生医療
投薬治療
臓器移植
ドナー不足
免疫拒絶反応
適用範囲が限定される
人工臓器
部分的機能の代替
先進医療としての再生医療
組織・臓器不全、損失
従来の治療法にかわって、患者自身の細胞を培養し、必要な組織・臓器を再構築して移植する治療法(再生医療)が期待されている。
軟骨欠損 (負傷による部分欠損、 変形性関節症など)
細胞培養
再生軟骨
関節軟骨の再生
移植
再生医療の市場規模
(http://www.yano.co.jp/, http://www.wound-treatment.jp/, http://www.jmdm.co.jp/ などを参考に編集)
再生医療製品の国内市場規模は高齢者人口の増加に伴い、 2020年には1.01兆円にも及ぶ巨大産業に成長すると予測。
(「2008年版再生医療ビジネスの最新動向」シード・プランニング社より)
人工関節 約 1000億円
骨接合材料 約 500億円
脊椎固定用具 約 200億円
人工骨 約 100億円
人工真皮 約 100億円
再生医療の要素技術
よい生体材料が必要
組織再生
生体材料(足場材料)
細胞 細胞成長因子
三要素 臨床応用
患者
骨
軟骨
皮膚
肝臓
PLGA-Collagen Hybrid Sponge Collagen Sponge
PLGA-Collagen Hybrid Mesh Biphasic Scaffold Leakproof Scaffold
NIMSが開発した機能性生体材料(多孔質足場材料)
氷微粒子を利用した多孔質足場材料の作製技術
マイクロ水滴の作製
噴霧 氷微粒子の鋳型
設定した温度で1時間静置し、凍結
凍結乾燥
架橋
洗浄
漏斗状コラーゲンスポンジ 内部空孔
溶液の 添加
純水
氷微粒子
コラーゲン溶液
疎水性表面
ブフナー漏斗
大きな表面空孔
パターン化した氷微粒子の鋳型
氷微粒子で作製したパターン化多孔質足場材料
F-actin
Nuclei
F-actin
Nuclei
Nuclei MHC MHC
Nuclei
Scale bar
= 200 µm
マイクロパターン化多孔質足場材料を用いて再生した筋肉組織
氷微粒子を利用した多孔質足場材料作製法の特長
1.空孔の形状や孔径を精密に制御できる
2.表面の開口多孔質構造を作製できる
3.サイズが揃った空孔を作製することが可能
4.空孔に良い連通性がある
5.氷微粒子を利用することで、多孔質構造形成剤を洗浄除去する
必要がなく、凍結乾燥のみで除去される
6.マイクロパターン化した多孔質構造の創出が可能
7.細胞成長因子などの生理活性物質のマイクロパターン化が可能
細胞
脱細胞
細胞 鋳型 マトリックス
Collagen
100 µm
鋳型 除去
100 nm
外観 SEM写真 TEM写真 コラーゲンの免疫染色像
自家足場材料の開発
患者の細胞 患者細胞由来の多孔質材料
(自家足場材料)
マトリックス材料 (自家足場材料)
極めて高い生体親和性:炎症反応がない、免疫反応がない
生体吸収性合成高分子と天然高分子との複合化技術
生体吸収性合成高分子スポンジ
複合化
複合スポンジ
複合メッシュ 生体吸収性合成高分子メッシュ
複合化
コラーゲン
スポンジ
生体吸収性合成高分子
(PLLA, PGA, PLGA)
生体吸収性天然高分子
(コラーゲン)
強度 ○
生体親和性×
強度 ×
生体親和性○
強度 ○
生体親和性○
複合化
複合足場材料
複合化技術:気孔率と連通性が高く、生体親和性に優れたコラーゲンスポンジを、高い力学強度をもつ合成高分子の骨格(メッシュやスポンジ)に導入する
メッシュ状の複合多孔質材料の作製方法
グルタルアルデ ヒドガスで処理、 37℃、4時間
-80℃で凍結
グリシン水溶液で処理、室温、12 時間
コラーゲン
水溶液を塗布 隙間をコラーゲン 水溶液で満たしたPLGAニットメッシュ
コラーゲン水溶液を
凍結
凍結乾燥
コラーゲン スポンジ形成
コラーゲン スポンジを架橋
未反応のアルデヒド基をブロッキング
PLGAニットメッシュの網目の空隙にコラーゲンのマイクロスポンジを形成し、PLGA-コラーゲン複合メッシュを開発した。
PLGAニットメッシュ
PLGA-コラーゲン 複合メッシュ
複合メッシュはコラーゲンスポンジより数百倍高い強度を有した。
複合化による力学強度の向上
静的ヤング率
(M
Pa)
0
10
20
30
40 複合メッシュ PLGAメッシュ
コラーゲン
複合化による細胞接着の促進
複合化による多孔質材料の機能向上
軟骨細胞
複合メッシュは優れた生体親和性を示した。
1 mm
バイクリルメッシュ(ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社、米国)
長所:
高い力学強度、
取り扱いやすい
短所:
隙間が大きく
て細胞が漏れる、
高分子の割合は高い
コラーゲンスポンジ(某社)
長所:
高い気孔率
短所:
部分的に閉塞した
表面空孔、
低い力学強度
MITが開発した材料(米国) Nature Materials (2007)
長所:高い力学強度、取り扱いやすい
短所:気孔率は低い、高分子の割合は高い
従来の材料
長所:開いた表面構造、高気孔率 高い細胞播種率、高い力学強度 大きな組織の再生が可能
従来の多孔質足場材料との比較
複合メッシュの軟骨組織再生への応用
厚み: 200 µm 厚み:1 mm 厚み:8mm
PLGA-コラーゲン複合メッシュを用いて大きな関節軟骨組織の再生に成功、再生軟骨は自然軟骨の力学強度に最も近かった。
再生したウシの関節軟骨
After 2 weeks
複合メッシュを用いた皮膚組織の再生
After implantation
40X100X
HE染色
複合足場材料による種々の形状の骨の再生
Bone knot Phalanx-like bone
Tissue Engineering
Engineered Tissues
Engineered Tissues
Engineered Tissues
Tissue Engineering
Tissue Engineering
Engineered Tissues
Tissue Engineering
Tissue Engineering
Engineered Tissues
Tissue
Engineering
Tissue EngineeringCartilage Bone
Skin
Tendon Ligament Muscle
Engineered Tissues
Engineered Tissues
Blood vessel Nerve Esophagus Bladder
Osteochondral
Tissue
多孔質足場材料の
組織再生への応用
メディカルデバイスのIoT化プロジェクトのための 調査研究
2.目標 メディカルデバイス内外の組織再生環境データの読取と統合化を可能とするシステムの開発
1.背景 ・失われた生体組織の機能を再生するメディカルデバイスに注目集まる. ・再生環境の情報が不十分.
物材機構MANA/陳国平,東大院工/牛田多加志,産総研人間情報/兵藤 行志
【データ処理】メディカルデバイス内外の組織再生環境に関するデータ読取と統合化
組織・臓器のターゲット絞り込み
【IoT化】メディカルデバイス作製+ 細胞機能制御+組織再生情報の読取
3.保有技術 ・メディカルデバイス技術(物材機構) ・細胞機能制御技術(東大) ・バイオセンシング技術(産総研)
IoT化メディカルデバイス
統合化データ
組織再生環境情報