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1 TPS Factory Physics なかをとりもつTOCそして文化背景からの考察 ー変動低減活動と変動を認めた上での生産マネジメント 2010/1/29 東京工業大学 圓川隆夫

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1

TPS 対 Factory Physics なかをとりもつTOC、そして文化背景からの考察

ー変動低減活動と変動を認めた上での生産マネジメント

2010/1/29

東京工業大学

圓川隆夫

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2

サプライチェーンサプライチェーンサプライチェーンサプライチェーン((((供給連鎖供給連鎖供給連鎖供給連鎖))))

原材料原材料原材料原材料

機械加工機械加工機械加工機械加工

仕掛品仕掛品仕掛品仕掛品サブサブサブサブ組立組立組立組立

サブサブサブサブ組立組立組立組立

半組半組半組半組

立品立品立品立品

最終組立最終組立最終組立最終組立

完成品完成品完成品完成品

配送配送配送配送

センターセンターセンターセンター

卸問屋卸問屋卸問屋卸問屋

小売店小売店小売店小売店

負荷管理負荷管理負荷管理負荷管理

スケシスケシスケシスケジ゙゙゙ューリンクューリンクューリンクューリング゙゙゙

MRPMRPMRPMRP

基準生産計画基準生産計画基準生産計画基準生産計画

中長期中長期中長期中長期

生産計画生産計画生産計画生産計画

流通在庫流通在庫流通在庫流通在庫

能力計画能力計画能力計画能力計画

受注受注受注受注

需要予測需要予測需要予測需要予測

販売計画販売計画販売計画販売計画

発注内示発注内示発注内示発注内示

進捗情報進捗情報進捗情報進捗情報

戦略戦略戦略戦略

戦術戦術戦術戦術

部品

部品

部品

部品メーカ

メーカ

メーカ

メーカ

顧客

顧客

顧客

顧客

業務業務業務業務

確定発注確定発注確定発注確定発注

販売予測販売予測販売予測販売予測

需給計画需給計画需給計画需給計画

サプライチェーンサプライチェーンサプライチェーンサプライチェーン((((供給連鎖供給連鎖供給連鎖供給連鎖))))サプライチェーンサプライチェーンサプライチェーンサプライチェーン((((供給連鎖供給連鎖供給連鎖供給連鎖))))

原材料原材料原材料原材料

機械加工機械加工機械加工機械加工

仕掛品仕掛品仕掛品仕掛品サブサブサブサブ組立組立組立組立

サブサブサブサブ組立組立組立組立

半組半組半組半組

立品立品立品立品

最終組立最終組立最終組立最終組立

完成品完成品完成品完成品

配送配送配送配送

センターセンターセンターセンター

卸問屋卸問屋卸問屋卸問屋

小売店小売店小売店小売店

負荷管理負荷管理負荷管理負荷管理

スケシスケシスケシスケジ゙゙゙ューリンクューリンクューリンクューリング゙゙゙

MRPMRPMRPMRP

基準生産計画基準生産計画基準生産計画基準生産計画

中長期中長期中長期中長期

生産計画生産計画生産計画生産計画

流通在庫流通在庫流通在庫流通在庫

能力計画能力計画能力計画能力計画

受注受注受注受注

需要予測需要予測需要予測需要予測

販売計画販売計画販売計画販売計画

発注内示発注内示発注内示発注内示

進捗情報進捗情報進捗情報進捗情報

戦略戦略戦略戦略

戦術戦術戦術戦術

部品

部品

部品

部品メーカ

メーカ

メーカ

メーカ

顧客

顧客

顧客

顧客

業務業務業務業務

確定発注確定発注確定発注確定発注

販売予測販売予測販売予測販売予測

需給計画需給計画需給計画需給計画

1.生産マネジメントの体系(2種類の変動)と歴史

・需要の変動×リードタイムの大きさ(リードタイムも変動で増大)

・需要の従属性(最終需要があるからこそ、それより川上の補充が喚起

・デカップリングポイントの設定(在庫をもつことで最終需要の変動と切り離す)

例)平準化生産 > 差別化遅延戦略(モジュール化) > VMI/CRP・変動低減活動(体質強化: breakthrough)と変動を認めた上での最適化( status quo)・生産計画:Pull(実際の需要とリンク) 対 Push(計画主導)

TH=WIP/LT

TH:生産量

WIP:仕掛在庫

LT:リードタイム

変動変動変動変動

変動変動変動変動((((マーフィーマーフィーマーフィーマーフィー))))

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ものづくりとその境界の広がりの歴史(変化・変動への対応)

開発 調達 製造 物流 販売 使用 リサイクル

企業内連鎖期(1900-1960)・流れ作業/トランスファライン(フォード)

・工程の連結・パイプライン化(装置産業)

調達との供給連鎖(生産サプライチェーン)

・JIT/(生産計画を起点とした情報パイプライン化)

・系列をベースにした部品メーカーとの連携・同時開発)

つくった

ものを売

る時代

売れる

ものをつ

くる時代

1970

消費者起点の販売までの供給連鎖(1980-)・メーカーによる販社の統合(製販統合CIM)

・製販同盟(メーカーと小売のギブアンドテイク関係)(1990-)・Win-Win関係を目指した企業間供給連鎖へ(1995-)多様な登場人物:SCM, CRP, QR, ECR, VMI, 3PL…

情報技術

の活用

製品ライフサイクル(リサイクルまで)の供給連鎖(2000-)・環境対応設計と実効に必要な情報の顧客、リサイクル事業者

まで含めた共有化(LCCM;ライフサイクルチェーンマネジメント)

ハードの連結

デマンドによる連結

グローバル水平分業

多産多消費

循環社会型連結

物流からロジスティクスへ

IT革命

キャッシュフロー

経営

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■■■■生産生産生産生産マネジメントマネジメントマネジメントマネジメントのののの歴史歴史歴史歴史ととととリーンリーンリーンリーン生産生産生産生産

●●●●テーライズムテーライズムテーライズムテーライズム

成行管理から科学的管理へ

・標準作業方法・標準時間

☆作業レベルの効率化

●●●●フォーディズムフォーディズムフォーディズムフォーディズム

繰返し同じものを効率良く作る

・3S(標準化/単純化/専門化)

☆ラインレベルの効率化

●●●●トヨタイズムトヨタイズムトヨタイズムトヨタイズム

売れるものを効率良く作る

・平準化・多能化・異常顕在化

☆工場レベルの効率化

●●●●リーンリーンリーンリーン生産方式生産方式生産方式生産方式

売れるものをタイムリーに開発/生産

・供給連鎖(サプライチェーン)・開発同時化

☆企業ネットワークレベルの効率化

●●●●CALSCALSCALSCALSパラダイムパラダイムパラダイムパラダイム

売れるものをバーチャルに開発/生産/販売

・電子データ交換・バーチャルネットワーク・レガシデータ活用

☆製品/モデルライフサイクルでの効率化

○ボルボイズム

・人間性回復・達成

1900年

20年

70年

多品種化

80年

90年

2000年

製品ライフ

短縮

帰納的仕事の仕方演繹的仕事の枠組

((((3333TTTTパラダイムパラダイムパラダイムパラダイム))))

ITの活用

新米国モデル

水平分業モデル

多産多消

ITと演繹的仕事の仕方は

相性が良い

米国モデル

・標準を決めて

仕事をする

・3S(標準化・

単純化・専門化)

による大量生産

ロジック

ー変動対応のための2つの進化:演繹vs.帰納+範囲の広がりー

日本モデル

・変化に対応する

ための改善

・それを支える人

材育成と新マネジ

メント概念(可視化・

源流管理)

●SCM/PLMパラダイム?

TPM TQM

TPS(JIT)

品質コスト

納期 セル生産

変化対応

人間性疎外

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5

マイスター・マニュファクチャリング

ディジタル・マニュファクチャリング

ユビキタス・マニュファクチャリング

技術・技能の

可視化による

ディジタル化とセン

シング技術

製品設計対応

(モジュール化等)に基

づく遅延化戦略による

マスカスマイゼーション

例)装置・部品

産業、EMS

例)パソコン等

組立産業、e-ビジネスのデポ

多能工育成による変化対応

例)自己完結型セル

生産、マイスター制度

マイスター・マニュファクチャリング

ディジタル・マニュファクチャリング

ユビキタス・マニュファクチャリング

技術・技能の

可視化による

ディジタル化とセン

シング技術

製品設計対応

(モジュール化等)に基

づく遅延化戦略による

マスカスマイゼーション

例)装置・部品

産業、EMS

例)パソコン等

組立産業、e-ビジネスのデポ

多能工育成による変化対応

例)自己完結型セル

生産、マイスター制度

変化対応と製品の複雑度による生産形態の方向性

製品の複雑度大

変化(量・種類)の大きさ

水平分業モデル

差別化遅延戦略

リーン生産方式

アジャイル生産

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長い直線ライン

U字ライン

セル方式

量が多いとき

ラインスピード速

投入人数:大

量が減ったとき

ラインスピード:遅

投入人数:小

(一人の守備範囲拡大)

量によりセルの数を

調整、少ない投資で

急激な変化にも対応

オペレータ一人当たり守備範囲

屋台型 巡回型

自己完結性を高めることに

よる変化対応

間締め、LCA、コンベアの廃止

長い直線ライン

U字ライン

セル方式

量が多いとき

ラインスピード速

投入人数:大

量が減ったとき

ラインスピード:遅

投入人数:小

(一人の守備範囲拡大)

量によりセルの数を

調整、少ない投資で

急激な変化にも対応

オペレータ一人当たり守備範囲

屋台型 巡回型

自己完結性を高めることに

よる変化対応

間締め、LCA、コンベアの廃止

●改善をベースにした日本方式:欧米におけるセルラーマニファクチャリングとは異なる

(機械加工を中心としたジョブショッフのフロー化)

●次の段階:①電子タグ(RFID)の活用(雇用環境の変化による品質保証+ビジビリティ

この点でも欧米をリード)②ロボットセル(既に自動車部品のセル、生産技術力)

セル生産:変化への対応の究極

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CANONの事例複写機の組立:部品約8,000点

手組みライン → コンベア → ロボット自動化ライン+自動倉庫 → コンベア → セル生産(Allキヤノンで)

品種切替にロボットハンドの開発が間に合わない

30分

自工程

15分7.5分 7.5分

助け合いゾーン

・グループセル(大、中、小)

・一人完結セル(巡回セル)Sマイスター

・マルチセル(多品種)

グループセルの設計ロジック

全世界でコンベア廃止:背景に三位一体思想

・設計力

コンカレンと体制、試作レス、一発完動

・生産技術力

内製強化(10~20%)、自動化、知恵テク(LCA、からくり)

・製造技術力

セル生産の進化、マイスター制度、SCM(週次製販、DDD)

S級

1級(60分)

2級(40分)

3級(30分)

多能工

全社1級

全社S級全社マイスター

事業部マイスター

効果

・生産変動の吸収

(減のときは多機種への応援)

・手待ちゼロ

・スペースの大幅な節約

(外部倉庫の廃止、工場内へ)

・部品在庫1/4

・内製化の推進

・Direct Delivery to Demand(国内需要の6割、設置据付も担当)

既にロボットセルへ(トナーカートリッジ)

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PPS (Protean Production System)(1) ロットサーキュレーションシステム(2) ロボット:機能モジュール(3) 機能モジュールの範囲の可変化

:New robot

New CPU

Kaizen ideas

常に生産性向上の

ための改善施策(アイ

ディア)をビルトイン

増設

縮小

生産量に応じて、ラインの

構成ロボットの数を調整

1 machine × 6 circulations2 machines × 3 circulations

N machines × 1 circulationLot size: 6 productsCourtesy by Dr.Fumio Kojima (DENSO)

デンソー

エアコン製造ライン

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9

①①①①多品種下多品種下多品種下多品種下におけるにおけるにおけるにおける平準化思想平準化思想平準化思想平準化思想::::

・・・・そのもとでのかんばんそのもとでのかんばんそのもとでのかんばんそのもとでのかんばん方式方式方式方式

・・・・1111個流個流個流個流しししし((((混流生産混流生産混流生産混流生産))))

・・・・プッシュプッシュプッシュプッシュからからからからプルプルプルプルへへへへ(JIT)②②②②変化変化変化変化にににに対応対応対応対応できるできるできるできる人人人人のののの育成育成育成育成

ととととシステムシステムシステムシステム::::

・・・・標準作業標準作業標準作業標準作業、、、、多能工化多能工化多能工化多能工化のののの育成育成育成育成

・・・・オペレータオペレータオペレータオペレータもももも品質品質品質品質・・・・設備設備設備設備にににに責任責任責任責任

““““自工程完結自工程完結自工程完結自工程完結””””

③③③③異常異常異常異常のののの顕在化顕在化顕在化顕在化によるによるによるによる連続的連続的連続的連続的

なななな体質強化体質強化体質強化体質強化::::

・・・・““““在庫在庫在庫在庫はははは諸悪諸悪諸悪諸悪のののの根源根源根源根源””””

・・・・自働化自働化自働化自働化、、、、あんどんあんどんあんどんあんどん、、、、目目目目でででで見見見見るるるる管理管理管理管理

④④④④組織組織組織組織としてのとしてのとしてのとしての学習学習学習学習メカニズムメカニズムメカニズムメカニズム::::

・・・・外生外生外生外生率率率率70%

2.リーン生産の代表例:トヨタ生産方式(TPS)ー売売売売れるものをつくるれるものをつくるれるものをつくるれるものをつくる((((逆転逆転逆転逆転のののの発想発想発想発想))))とととと変動低減活動変動低減活動変動低減活動変動低減活動

改善改善改善改善とそれをとそれをとそれをとそれを支支支支えるえるえるえる人材育成人材育成人材育成人材育成++++サプライチェーンサプライチェーンサプライチェーンサプライチェーン((((可視化可視化可視化可視化))))

多品種下多品種下多品種下多品種下でのでのでのでの平準化平準化平準化平準化ロジックロジックロジックロジック

月月月月

旬旬旬旬によるによるによるによる調整調整調整調整

日割平準化日割平準化日割平準化日割平準化((((毎日毎日毎日毎日A:100,B:50:C:50A:100,B:50:C:50A:100,B:50:C:50A:100,B:50:C:50))))

(20(20(20(20日日日日))))

2000 1000 2000 1000 2000 1000 2000 1000 1000100010001000

1111個流個流個流個流しししし((((分単位分単位分単位分単位のののの平準化平準化平準化平準化))))

最終組立最終組立最終組立最終組立

ラインラインラインライン・・・・・・・・ABACABACABACABACABACABACABACABACABACABACABACABACABACABACABACABAC

最小最小最小最小のののの平準化平準化平準化平準化サイクルサイクルサイクルサイクル

月次計画

月次計画

月次計画

月次計画

品種

品種

品種

品種AA AA

品種

品種

品種

品種BB BB

品種

品種

品種

品種CC CC

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10かんばんかんばんかんばんかんばん方式方式方式方式におけるかんばんのにおけるかんばんのにおけるかんばんのにおけるかんばんの動動動動きききき

M1

M1 後工程後工程後工程後工程前工程前工程前工程前工程

P1 M1

①①①①加工開始加工開始加工開始加工開始

かんばんかんばんかんばんかんばんがががが外外外外れるれるれるれる

②②②②運搬指示情報運搬指示情報運搬指示情報運搬指示情報

空部品箱空部品箱空部品箱空部品箱とともにとともにとともにとともに

③③③③前工程前工程前工程前工程ののののPPPP1111

かんばんかんばんかんばんかんばんがががが外外外外されされされされ、、、、

一箱分一箱分一箱分一箱分とととと共共共共にににに後工程後工程後工程後工程にににに

④④④④PPPP1111はははは、、、、前前前前

工程工程工程工程のののの生産生産生産生産

指示情報指示情報指示情報指示情報にににに

M1 ;;;;引引引引きききき取取取取りかんばんりかんばんりかんばんりかんばんP1 ;;;;生産生産生産生産((((仕掛仕掛仕掛仕掛))))かんばんかんばんかんばんかんばん

JIT(JIT(JIT(JIT(ジャストインタイムジャストインタイムジャストインタイムジャストインタイム))))とかんばんとかんばんとかんばんとかんばん

・・・・平準化計画平準化計画平準化計画平準化計画のもとでののもとでののもとでののもとでのプルプルプルプル方式方式方式方式((((後工程後工程後工程後工程からからからからかんばんかんばんかんばんかんばん))))

・・・・最終製品最終製品最終製品最終製品のみにのみにのみにのみに生産指示生産指示生産指示生産指示((((投入順序投入順序投入順序投入順序))))

・・・・前提条件前提条件前提条件前提条件::::かんばんかんばんかんばんかんばん1111枚当枚当枚当枚当たりたりたりたりロットサイスロットサイスロットサイスロットサイズ゙゙゙がががが十分小十分小十分小十分小さいさいさいさい

((((段取時間段取時間段取時間段取時間がががが十分小十分小十分小十分小、、、、シングルシングルシングルシングル段取段取段取段取))))

・・・・必要必要必要必要なときだけなときだけなときだけなときだけ

・・・・必要必要必要必要なものをなものをなものをなものを

・・・・必要必要必要必要なだけなだけなだけなだけ

生産生産生産生産

戦術戦術戦術戦術レベルレベルレベルレベルではではではでは、、、、

投入投入投入投入かんばんかんばんかんばんかんばん枚数枚数枚数枚数

のののの決定決定決定決定がががが重要重要重要重要

在庫量在庫量在庫量在庫量はははは枚数枚数枚数枚数でででで決決決決まるまるまるまる

かんばんかんばんかんばんかんばん枚数枚数枚数枚数のののの調整調整調整調整

品番・品名:XXXX

製造ライン、荷姿

コンテナ収容数:△△

発行枚数

前工程の置き場番地

後工程の置き場番地

品番・品名:XXXX

製造ライン、荷姿

コンテナ収容数:△△

発行枚数

前工程の置き場番地

後工程の置き場番地

QRコード

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製品A加工 製品B加工

段取時間

外段取化

内段取

シングル段取化

ECRS分析

E: EliminationC: CombinationR: ReplacementS: Simplification

着眼点

シングル段取(10分以内)へのアプローチ

多サイクル化(在庫削減)のための対策(1)

SMEDとして

世界に普及

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効率を維持しながらの多頻度小口配送

部品メーカー

工場

巡回混載

ミルクラン方式

・・

工場

工場

配送センター

大ロット

・・

小口混載

品揃・仕分

小売店

クロスドッキング方式

集荷混載

多サイクル化(ロットサイズ在庫削減)の対策(2)

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13

1111

2222

3333

4444

図図図図 JIT JIT JIT JITにおけるにおけるにおけるにおける体質強化体質強化体質強化体質強化のののの考考考考ええええ方方方方

   (   (   (   (ボトルネックボトルネックボトルネックボトルネック←→←→←→←→制約条件制約条件制約条件制約条件))))

異常の顕在化しかけ設定

さらに厳しい条件設定

ボトルネック発見

対策・ボトルネック強化

現行の

必要水位

(在庫)

①水位を下げる

②ボトルネックの発見

×④さらに厳しい

条件に

③対策

7ムの排除と連続的体質強化(改善)ロジックとアナロジー

①運搬のムダ

②在庫のムダ

③手待ちムダ

④加工そのも

ののムダ

⑤動作のムダ⑥不良品・

手直しのムダ

⑦つくりすぎのムダ

①運搬のムダ

②在庫のムダ

③手待ちムダ

④加工そのも

ののムダ

⑤動作のムダ⑥不良品・

手直しのムダ

⑦つくりすぎのムダ

“なぜ”を5回

繰り返す

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目で見る管理

• 5S(整理、整頓、清潔、清掃、躾)

Sorting, Straightening, Sweeping, Sanitizing, Standing

• 合マーク

• メータの設定標示

• ベルト回転方向標示

• 点検窓(透明カバー)

• モーターの回転標示

(風車)

• 給油口の色別管理

• サーモラベル

• チェーン・ベルトの正

常張力範囲標示

• 停止位置標示

• 定置定点(姿置き)

• Qコンポ

1 2 3 4 5

ライン異

ワー

クな

満量

終了

工程 ステータス

1 2 3 4 5

ライン異

ワー

クな

満量

終了

1 2 3 4 5

ライン異

ワー

クな

満量

終了

工程 ステータス

正常(緑)

呼び出し(黄) ライン停止

アンドン

簡単な目で見る管理

のための“しかけ”の例

Visibilityへ

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15

組織的改善アプローチ3Tと世界モデルへの昇華

TQCTQCTQCTQCTPMTPMTPMTPM

TPSTPSTPSTPS((((JITJITJITJIT))))

設備設備設備設備のののの効率化効率化効率化効率化品質向上品質向上品質向上品質向上

生産効率化生産効率化生産効率化生産効率化

改善改善改善改善アプローチアプローチアプローチアプローチ

・多品種下の平準化よるプル思想

・変化に対応出来る人材育成:多能工

・異常の顕在化による体質強化

:自働化、目で見る管理

・ロスの摘出と排除による

生産効率 の極限追求:

6大ロス、16大ロス

・オペレータ=保全マン

/自主保全

・事後保全から予防保全、

予知保全

・初期管理:MP設計

・顧客指向;品質第一

・事実に基づく管理と

プロセス重視

・維持・管理(PDCA

サイクルを回せ)

・品質は工程で作り込め

;源流管理

・垂直・水平統合;方針管理

と機能別管理、QCサークル

TQMへ

そして米国流

にカスタマイ

ズされ、

6シグマ

BSCへ

TOCへ

(制約理論)

1980年後半米国を中心とした日本モデルの徹底的ベンチマーキング

リーン生産方式

サプライチェーン

マネジメント

そのまま

TPMとして

全世界へ

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現行の

必要水位

(在庫)

①水位を下げる

②ボトルネックの発見

×④さらに厳しい

条件に

③対策

■コラム:JIT(TPS)と新聞売り子問題

Learning from mistakeの合理性新聞売子問題を多期間問題としてモデル化し、欠品(mistake)を引き起こすことによる改善(体質強化)するフレームワークのもとで

は、最適在庫よりも少なくすることによりコストが下がる

累積確率(分布関数)

が解を満足する最小の

∑=

=

+≥

s

iifsF

sph

psF

0

)(

)(

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3.Factory Physics :変動を認めた最適化

RR

Hopp & Spearman: Factory Physics, second ed. Irwin McGraw-Hill(2000)JIT(TPS)(TPS)(TPS)(TPS)はははは、、、、経営手法経営手法経営手法経営手法(romantic JIT))))ではなくではなくではなくではなく、、、、

いろんないろんないろんないろんな思想思想思想思想((((文化文化文化文化もももも含含含含むむむむ))))のののの総体総体総体総体

・変動性(Variability)の存在を認めた上で、変動に対処するための適切なバッファ(在庫、能力、時間)をもつことでTH(スループット:時間当り生産量)を最大化

●WIP(仕掛在庫)を抑えCT(リードタイム)を短くできれば、leanなものづくり

●CTが大きくてもWIPを大きくすれば、同じTH(fatなシステムではあるが)。

●WIPを抑えることばかり考えると、THを損なう

・WIP抑制による改善の加速手法は、企業によって両刃の剣?

「変動性」の大きな段階でWIPを抑制し過ぎるとラインの生産性

は大きく低下する(技術の変化スピードが速い業種)

マーフィー

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累積個数

流入:ra

CT(リードタイム)

WIP(在庫)

TH 完成(流出)

・リトルの法則:WIP,CT,THの基本的関係は、長期的に次式に従う

CT

WIPTH =

時間

TH:時間当りスループッ)

WIP:系中の在庫数CT:到着から完成までのサイクルタイム

(我が国では通常、リードタイム)

変動(プロセス)の大きさもリードタイム、在庫数を決める

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19

TH:時間当りスループット(λ:到着率)

WIP:系中の在庫数(系内の平均人数)CT:到着から完成までのサイクルタイム(系内の平均滞在時間)

(我が国では通常、リードタイム)

・リトルの法則:WIP,CT,THの基本的関係は、長期的に次式に従う

・ボトルネックの定義:稼動率が最大の工程

CT

WIPTH =

(CT=WIP/λ:待ち行列のリトルの公式)

bu brar

到着率 ボトルネックの

スループットa

b

b

ab r

r

r

ru

/1

/1==

ボトルネックの

1個当り加工時間

平均到着時間間隔

・クリティカル在庫 : プロセス全体で を達成するための最小在庫

0W br

00 TrW b= 0T :プロセ全体の加工時間の総和

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20

bpwc

worst

bbest

r

wTCT

wTT

WIP

TH

WIPwCT

otherwiserw

WwTwCT

1

/1)(

/)(

0

00

00

−+=

=≤= ≤=

bpwc

worst

bbest

rwW

wTH

TTH

othwewiser

WwTwTH

1

/1

/

0

0

00

−+== ≤=

Factory Physicsから導かれるベスト・ワーストケース

適正とされる領域

TH

0W

br

0/1 Tワースト

ベスト

PWCbrwW

w

10 −+

0W

0T

CTワースト

ベスト

PWC0/)1( Tw−

brw /

0wT

通常、wはW0の5~6倍とされる?

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21

■変動の法則

・同じTHでも、leanかfatかを決めるのは(WIPとCTのレベル)変動の大きさ

eq tMTBTCTCT +++=リードタイム 待ち時間 ロット待 運搬時間 加工時間

(滞留時間)

eea

q tu

uccCT

+=

12

22

・ (加工時間の変動係数の大きさを決める

のは、加工時間そのもののバラツキ

に加えて、

故障(同じ可動率であってもドカ停は変動を大きくする)、

段取等によっても大きく加速する(次ページ数値例参照)

ec

eee

ea

tc

rru

/

/

σ=

=

2222

2

)1( ae

d

cucu

c

−+

=

aaa

a

tc

r

/σ=

プロセス変動

フロー変動

CTWIP

u 1

u

u

−1

22222 )1( aed cucuc −+=・フロー変動 は、収束する ?2 ec

変動係数

0c

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22

0

20

2 )1(t

mAAcc r

e −+=rf

f

mm

mA

+=

●故障によるプロセス変動の増幅

c0=0.4, MTBF(mf)=9時間、MTTR(mr)=1時間(60分)、可動率=0.9加工時間 t0=10分のとき、 → ce=0.83

●システム全体のリードタイムへの影響( :加工時間の和)

0

22

12Tt

u

uccCT b

b

bea +

+=

0

22

12Tt

u

uccCT e

ea +

+=∑

・明らかなボトルネックが存在する場合

・バランスのとれた工程の場合

0T

ta=10,ca=0.1 cb=0.4 tb=9.9, それ以外t0=8の5工程

=41.9 に対してCT=125.2

さらに cb=0.83ではCT=398.8 に

0T

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23

■プル方式とFactory PhysicsCONWIP(Constant Work in Process):完成品が1個完成すると(カードが外れ)、1個材料を投入WIP(仕掛在庫)を一定に保つ。

変動性(Variability)の存在を認めた上で、変動に対処するための適切なバッファ(在庫、能力、時間)をもつことでTH(スループット:時間当り生産量)を最大化するという、FactoryPhysicsと考え方の中で生まれた。

CONWIPは、THが与えられたもとで、push方式に比べ、WIPを抑えCTを少なくすることが出来る

WIP=一定

御需要

M:機械加工 :在庫置場

WIP=一定

御需要

M:機械加工 :在庫置場

御需要

M:機械加工 :在庫置場

需要

M:機械加工 :在庫置場

M:機械加工 :在庫置場

・かんばん方式の簡易版とも言えるが、製品群や部品群に対しても適用。

(投入する側のスケジューリングが必要)

・CONWIP/KanbanやWIPLOAD等の多くのバリエーションが存在

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24

その前身としてのOPT(Optimized Production Technology)スケジューリングの基本的考え方:MRP批判として1980年頃登場

• リードタイムは可変であり、工程の流れを平均化することが重要

• ボトルネックがスループット、在庫に影響を与える

• 非ボトルネック資源の利用は、ボトルネックのスケジュールに合わせる

• 工程バッチ、搬送バッチは可変であるべき• Software,Thoughtware

4.TOC(制約理論)と生産マネジメント

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25

OPT

DBR

ボトルネック 制約条件 方針上の制約条件

スループット

会計

Intrinsic order

思考プロセス

・スループット

・インベントリー

・経費

(ドラム・バッファ・ロープ)

全体最適

メジャメント

断片から

if-then

TP

クリティカル

・チェーン

SCM

ボトルネック指向

生産スケジューリング

生産改善

5ステップ

資源制約に基づく経営支援ソフト

米国ではSCP、APS

プロジェクト管理へ

会社のゴール何か

“making money”

The GoalIt’s Not Luck

Critical Chain

TOCの形成の流れ

Haystack Syndrome

GS

Necessary But Not Sufficientチェンジ・ザ・ルール

ABC+

ボトルネック

リーン会計

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26

企業がゴールに向かっているかの

評価尺度(measurements)

営利企業のゴール:Making money

1.スループット 2.インベントリ 3.業務費用

売上を通して

入ってくるお金

売るつもりで投資しまだ

システムにあるお金

インベントリを

スループットに

変換するために

出て行くお金

材料、仕掛り、

設備(残存価値)人件費、ユーティリティ

消耗品、減価償却費

*1、2、3のプラオリティ

*1を増加させ、2、3を減少させているか

売上ー資材費

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27

コストの世界とスループットの世界

:鎖のアナロジーによる全体最適

コストの世界=鎖の重量

部分最適の総和=全体最

コストの世界=鎖の重量

部分最適の総和=全体最

スループットの世界=鎖の強

部分最適の総和≠全体最適

スループットの世界=鎖の強

部分最適の総和≠全体最適

制約条件

全体のパフォーマンスを決める

制約条件の最大限の活用・強化

だけが意味をもつ

1対99の法則

パレートの原則

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28

2.制約条件を徹底的に活用する

2.制約条件を徹底的に活用する

3.制約条件以外を制約条件に従属させる

3.制約条件以外を制約条件に従属させる

5.惰性に注意しながら繰返す

5.惰性に注意しながら繰返す

1.制約条件を見つける

1.制約条件を見つける

4.制約条件の能力を向上させる

4.制約条件の能力を向上させる

システム(生産)改善の5ステップ

-Five Focusing Step-

日本モデル

との相違

①何に対する制

約条件かという

視点がない

②現状の実力で能力

最大限の発揮させる

2、3ステップがない

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DBR(DBR(DBR(DBR(ドラムドラムドラムドラム・・・・バッファバッファバッファバッファ・・・・ロープロープロープロープ))))

ののののアナロジーアナロジーアナロジーアナロジー表現表現表現表現

仕掛量(生産リードタイム)

ドラム

バッファ

ロープ

先頭工程最終工程 ボトルネック工程

従属と変動から守る

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30

TOCの日本モデル(JIT,TQC,TPM)観

• 企業のゴールに向かっていることのメジャメント(全体最適の)の不在:

スループットの縁(JIT:在庫削減、TQC:品質向上による変動削減、TP

M;コスト削減)、ただし経費削減をねらうリストラよるはるかに優れてい

• “マーフィ”の存在の否定は非現実的:在庫ゼロ、不良ゼロ、再発防止

• 制約条件をうまく活用していない/基本的にコストの世界の取り組み

• 従来の改善活動は暗黙のうちに、拡大基調の手不足を前提としている

• 低成長の状況では、制約条件を先読みした改善活動の優先順位が重要

• 手余り状況:制約条件は製造以外(例えば営業)にあり、それと連動した改善活動が不可欠

• 制約条件は常に動く:それを客観的に組織として共有化することがマネジメント、スタッフの必須条件

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31G. ホフステード:「多文化世界」(有斐閣)より抜粋

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

国フ

スコア

権力格差

個人主義

男らしさ

不確実性回避

●権力格差(PDI: Power Distance):部下の上司への依存性

●個人主義(IDV: Individualism)個人個人の結びつき度合

●男らしさ(MAS: Masculinity)男女の役割分担の明確さ

●不確実性の回避(UAI:

Uncertainty Avoidance)あいまいに対しての寛容さ

国の文化は、4次元で特徴付けられる(G.Hofstead

*新技術(例:インターネット)出現でも国の文化の違いは収斂しない

*経営理論・モデルは多くは、権力格差が小さく、不確実性回避の弱い(米国)もとで成り立つ

*超優良企業への道はひとつではない

わが国の特徴:男らしさ、不確実性回避が強く、集団主義は中位(欧米に比べては、集団主

義であるが、アジア諸国と比べれば個人主義)

6.高リスク(不確実性)文化の功罪

SCM理論でも同じ?

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32

いくつかのエビデンス

• 人生に絶えずつきまとう不確実性は、

脅威であり、取り除かれなければな

らない

• ストレスが高く、不安感が漂っている

• 違うということは危険である

• 学生は構造化された学習の場を好

み、正解にこだわる

• 教師たるものは、何についても答え

られると考えている(教師の見解に

異を唱えない)

• たとえ絶対に守られることがないと

わかっていても、規則を求める気持

ちがある

• 時は金なり

• 忙しくしていないと気がすまない;一

所懸命働こうとする内面的な衝動が

ある

• 精密さと規則正しさは自然と身につ

• 奇抜なアイディアや行動を抑制し、

イノベーションに対する抵抗がある;

ただし受け入れられれば整然と定着

・絶対安全を求める(原子力、食の安全等)

・日本社会における客観的安全度と人々の安心度のギャップ

例)犯罪発生率は世界で最も低いにもかかわらず、犯罪不安

は、世界でも最も高いグループに属す

生命保険の売上は世界の2割(寿命の長さは世界最高)

・幸福感(世界で低いグループ)、自殺率米国の2.4倍成人の喫煙本数は、世界4位

・“横並び社会”、“出る杭は打たれる”、対外恐怖症

・留学生に比べて討論は苦手、ただし正解のある解析力には

優れている

・スケジュール・時間に対する正確性(電車、イベント等)、

納期遵守率の異常な高さ、時間どおり物が届くことに関心

・外国人の共通な感想(いつも忙しいそうで、ソワソワしている)

・ジャスト・イン・タイム

・ETCやICカード乗車券は、日本の技術でまず海外で導入。しかし一度導入されると一気に普及。

高不確実性傾向の特徴

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33

マーフィーマーフィーマーフィーマーフィーをををを容認容認容認容認しないしないしないしない日本文化日本文化日本文化日本文化

ただし、マーフィーを前提としたリスクマネジメント(最適化)は弱い

・あいまいさを減らす努力

・精密や規則正しさに向かう

・イノベーションが受け入れられれば、

導入はスムーズ

・違うということは、危険である

・規則は暗黙な了解

・イノベーションに不寛容

競争環境

閉鎖社会

不良0、故障0、納期遅れ0を目指した

改善、ジャストインタイム、見える化

経営戦略上の問題は、運営上

に比べてはるかにあいまいさに

寛容であることが求められる

外敵(危機)の存在

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34

2.制約条件を徹底的に活用する

2.制約条件を徹底的に活用する

3.制約条件以外を制約条件に従属させる

3.制約条件以外を制約条件に従属させる

5.惰性に注意しながら繰返す

5.惰性に注意しながら繰返す

1.制約条件を見つける

1.制約条件を見つける

4.制約条件の能力を向上させる

4.制約条件の能力を向上させる

TOC(制約理論)のシステム改善の5ステップと日本モデル批判

①何に対する制

約条件かという

視点がない

②現状の実力で能力

最大限の発揮させる

2、3ステップがない

マーフィーの存在の

否定は非現実的!

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35

LSCスコアを単純に国際比較すると

平均値 標準偏差 平均値 標準偏差 平均値 標準偏差 平均値 標準偏差 平均値 標準偏差

日本 3.02 0.67 2.87 0.67 2.77 0.78 2.82 0.74 56.28 12.67

中国 3.39 0.88 3.05 0.91 2.95 0.91 2.88 1.04 60.74 16.93

タイ 3.04 0.70 2.99 0.72 2.77 0.72 2.70 0.80 57.47 12.98

韓国 3.18 0.71 3.01 0.78 2.98 0.81 3.13 0.82 60.69 14.09

フィンランド 3.04 0.70 2.76 0.72 2.59 0.76 2.92 0.70 56.56 12.02

総得点総得点総得点総得点

国別国別国別国別

1111....企業戦略企業戦略企業戦略企業戦略とととと組織組織組織組織

間連携間連携間連携間連携

2222....計画計画計画計画・・・・実行力実行力実行力実行力

3333....ロジスティクスロジスティクスロジスティクスロジスティクス・・・・

パフォーマンスパフォーマンスパフォーマンスパフォーマンス

4444....情報技術情報技術情報技術情報技術のののの活活活活

用用用用のののの仕方仕方仕方仕方

平方和平方和平方和平方和 自由度自由度自由度自由度 平均平方平均平方平均平方平均平方 F F F F 値値値値 有意確率有意確率有意確率有意確率

グループ間 23.250 4 5.813 11.291 0.0000.0000.0000.000

グループ内 632.688 1229 0.515

合計 655.938 1233

グループ間 7.864 4 1.966 3.659 0.0060.0060.0060.006

グループ内 660.437 1229 0.537

合計 668.301 1233

グループ間 11.051 4 2.763 4.360 0.0020.0020.0020.002

グループ内 778.659 1229 0.634

合計 789.710 1233

グループ間 13.075 4 3.269 4.973 0.0010.0010.0010.001

グループ内 807.836 1229 0.657

合計 820.911 1233

グループ間 4255.465 4 1063.866 5.750 0.0000.0000.0000.000

グループ内 227395.734 1229 185.025

合計 231651.199 1233

2222....計画計画計画計画・・・・実行力実行力実行力実行力

3333....ロジスティクスロジスティクスロジスティクスロジスティクス・・・・

パフォーマンスパフォーマンスパフォーマンスパフォーマンス

4444....情報技術情報技術情報技術情報技術のののの活用活用活用活用

のののの仕方仕方仕方仕方

総得点 総得点 総得点 総得点

1111....企業戦略企業戦略企業戦略企業戦略とととと組織組織組織組織

間連携間連携間連携間連携

中でも、“企業戦略

と組織間“連携の

スコアが低い

評価点は、国の文化

の影響も受ける

高UAI:self-criticism文化低UAI:self-enhancement文化

しかしながら

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36

認識認識認識認識ギャップギャップギャップギャップのののの見見見見えるえるえるえる化化化化:LSC:LSC:LSC:LSCによるによるによるによるギャップギャップギャップギャップ分析分析分析分析認識認識認識認識ギャップギャップギャップギャップのののの見見見見えるえるえるえる化化化化:LSC:LSC:LSC:LSCによるによるによるによるギャップギャップギャップギャップ分析分析分析分析

ーーーーーーーーわがわがわがわが国国国国のののの場合場合場合場合、、、、すべてすべてすべてすべて階層階層階層階層がががが上上上上ほどほどほどほど評価評価評価評価がががが甘甘甘甘いいいいわがわがわがわが国国国国のののの場合場合場合場合、、、、すべてすべてすべてすべて階層階層階層階層がががが上上上上ほどほどほどほど評価評価評価評価がががが甘甘甘甘いいいい

特特特特ににににSCMSCMSCMSCM組織力組織力組織力組織力特特特特ににににSCMSCMSCMSCM組織力組織力組織力組織力 →→→→→→→→ マネジメントマネジメントマネジメントマネジメントがががが弱弱弱弱いいいい((((現場力現場力現場力現場力というというというという強強強強みでみでみでみでマネジメントマネジメントマネジメントマネジメントがががが弱弱弱弱いいいい((((現場力現場力現場力現場力というというというという強強強強みでみでみでみで

もあるもあるもあるもある)?)?)?)?もあるもあるもあるもある)?)?)?)?業界各企業のSCM組織力と変化対応力の分布

1

2

3

4

5

1 2 3 4 5

SCMSCMSCMSCM組織力組織力組織力組織力

変化

対応

力変

化対

応力

変化

対応

力変

化対

応力

物流子会社

3PL会社

独立系

ロジステックス部部長

ロジステックス部課長1

ロジステックス部課長2

受注管理G部長

受注管理G課長1

受注管理G課長2

ロジロジロジロジ課長課長課長課長1

受注課長受注課長受注課長受注課長1

受注課長受注課長受注課長受注課長2ロジロジロジロジ課長課長課長課長2

ロジロジロジロジ部長部長部長部長

受注部長受注部長受注部長受注部長

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37

海外では逆の傾向

トップほど厳しい見方(トップダウンに戦略をブレークダウ

ンしない限り、現場が機能しない?)

1.5

2.0

2.5

3.0

SCM

utilization

ability

Responsiveness IT

utilization

ability

factor score

GM

Directors

Managers

A.Managers

*0.300

*0.224

0.296

**0 .999**0 .999**0 .999**0 .999

**0554**0554**0554**0554

**0 .613**0 .613**0 .613**0 .613

SCM組織力

変化対応力IT

活用力

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38

30

40

50

60

70

80

U.S. FIN DEN ICE HOK SWE NOR GER JPN KOR

厳しい消費者が品質を鍛えた

CS(顧客満足度)の国際比較

各国の顧客満足度の平均値 (2001-2004)

10カ国の比較

1990年台から国家レベルでのCS調査(ACSI(米国)、GCB(ドイツ)

等)がはじまる(わが国品質のベンチマーキングが発端)。

日本のデータは独自の調査で収集.

CS

知覚品質 事前期待

----

概念的マイナス

期待ー不確認モデル

比較標準

レファレンス・ポイント(行動経済学)

+-

経済要因

個人がもつ

文化要因

CSの生起メカニズム

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39

0

5000

10000

15000

20000

25000

30000

35000

40000

1977 1980 1983 1987 1989 1992 1995 1998 2001 2004 2007

日日日日

経経経経

平平平平

均均均均

株株株株

価価価価

35

40

45

50

55

60

65

CS

日経平均 洗濯機 テレビ 冷蔵庫 三製品平均

■CSの時系列データへの景気期待感の影響大

:偏回帰係数株価 jtt

ttt

bbbSC

SCCSCS

′′+′=

−=

10)2(

)2()2(

ˆ

●企業努力の反映指標にするためには、

補正が必要

r p r p N

0年 0.325 (0.302) 0.867

***

(0.000) 12

1年 0.229 (0.498) 0.792

**

(0.002) 11

2年 0.228 (0.526) 0.789

**

(0.004) 10

0年 0.330 (0.294) 0.866

***

(0.000) 12

1年 0.233 (0.490) 0.852

***

(0.000) 11

2年 0.165 (0.650) 0.836

**

(0.002) 10

**

p < 0.01;

***

p < 0.001

株価による補正CS値

原CS値

●補正の効果の例

●世界各国CSデータでも、景気期

待感の負の有意な影響が観察される

●表層的機能の方が、より影響を受

ける

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40

経済危機の前後でCSを比較すると

●全体的に経済危機後で、CSは上がる(比較標準の調整(低下))

●特に耐久消費財(自動車が顕著、危機前 65.0、危機後 67.9)

危機前:2008年前半、危機後2008年後半-2009年3月:Nは各製品・サービスごとに約1000

全体平均

危機前 55.1(N=2633)危機後 56.1(N=11066)有意差:p=0.000

知覚価値、企業

イメージは、

有意差なし

58.9

57.9

65.565.0

55.7

64.4

51.9

58.4

39.3

48.8

50.4

35.8

29.2

61.7

67.9

54.6

42.3

51.9

59.7

58.8

66.1

59.3

57.2

65.0

58.8

48.8

36.7

29.6

20

30

40

50

60

70

80

ンシ

行ス

便

局電

社免

CS

危機前 危機後

製品 サービス 公共サービス

日本(地域の差も含む)、

中国(3地域)、米国、

フランス、タイ、ボリビア、

ウィグルで、15の産業に

ついて、同一のフォーマット、

尺度でのCS、消費者態度、

文化等の調査(現在分析中)

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40

50

60

70

80

0 50 100

個人主義個人主義個人主義個人主義

顧客満足度

(200

3-20

05)

JapanGermany

Norway Sweden

USA

Hong Kong

FinlandDenmark

S. Korea

40

50

60

70

80

0 20 40 60 80 100

不確実性回避不確実性回避不確実性回避不確実性回避

顧客

満足

度 (

2003

-200

5)

Japan

GermanyNorwaySweden

USA

Hong Kong

FinlandDenmark

S. Korea

r = 0.641, p < 0.000 (n = 27)r = -0.551, p < 0.001 (n = 27)

y = 53.571 - 0.082 *

UAI + 0.260 *

IDV

R2

= 0.459, 調整済みR2

= 0.413, p < 0.001, N = 27

(y: 顧客満足度, UAI = 不確実性回避,IDV = 個人主義)

重回帰分析

の結果

不確実性回避不確実性回避不確実性回避不確実性回避,,,,個人主義個人主義個人主義個人主義ととととCSCSCSCSととととのののの相関相関相関相関とととと回帰回帰回帰回帰

Mizuho Ogikubo & Takao Enkawa: “Cross National Analysis of Customer Satisfaction, Economic Institutions and Cultural Factors, Journal of Japan Industrial Management, Vol.58, No.3, 167-172(2007)

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各国の15の製品・サービスに対するCS(顧客満足度)の比較

56.17

57.84

62.30

63.16

62.33

60.63

71.44

30

35

40

45

50

55

60

65

70

75

日本 中国 タイ フランス ボリビア ウイグル アメリカ

CS

15ポイントの差

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

話パ

行ス

便

局電

社免

CS値

日本

中国

タイ

フランス

ボリビア

ウイグル

アメリカ

最も高い 最も低い

日本 自動車 銀行

中国 自動車 病院

タイ 銀行 病院

フランス 自動車 銀行

ボリビア 自動車 病院

ウィグル PC 携帯サービス

各国での製品・サービスのCSの大小(除く公共サービス)

アメリカ 銀行 ファーストフード

ガラパゴス化が言われる携帯電話でも

携帯電話

61.90

61.63

67.64

68.86

68.60

62.16

70.75

56

58

60

62

64

66

68

70

72

日本 中国 タイ フランス ボリビア ウイグル アメリカ

CS値

ガラパゴス化が言われる携帯電話でも

携帯電話

61.90

61.63

67.64

68.86

68.60

62.16

70.75

56

58

60

62

64

66

68

70

72

日本 中国 タイ フランス ボリビア ウイグル アメリカ

CS値

直近の国際調査より

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• 納期遵守率 99.9%(欧米では90%で十分)。• トランシップ港化するわが国港湾:コンテナ取り扱い量、国内第一の東京

港でも、香港、シンガポール、上海の1/6 (世界20位)• 国際航空物流でも、同様な現象

• 品物自体が届くよりも、時間どおり届くことに関心をもつ国民性

• クリーンルームで生産を余儀なくされるダンボール製品

• 生鮮食料品化する製品(PC、加工食品(例、2年を1年の賞味期限、しか

し小売の製造後期限は2ケ月、大量の“死に待ち在庫”の発生)• 高機能過ぎて、海外で競争力を失った携帯電話、ナビ、エレクトロニクス

製品(ガラパゴス化現象)

• リスクホメオスタシス現象:高品質・高信頼性の裏返し、メインテナンスフ

リー化する家電、自動車→製品寿命に関する次世代設計思想確立急務

• 絶対安全を求める消費者、リスクは他者(メーカー、国)依存型

• 買い物に完璧な高密度エチレン袋

• ・・・

• そして、原油高、資源高、そしてその次に世界的金融危機、経済危機・・・

危機と、待ったなしの環境対応は、変革のチャンス?

厳しい顧客と、納期遅れを許さない改善努力

一方で副作用(過剰品質・高コスト体制)

製品製品製品製品だけでなくだけでなくだけでなくだけでなく、、、、ビジネスビジネスビジネスビジネス慣行慣行慣行慣行でもでもでもでもガラパゴスガラパゴスガラパゴスガラパゴス化化化化がががが進行進行進行進行????

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*司馬遼太郎:『司馬遼太郎対話選集9 アジアの中の日本』、文春文庫(2006)、**林周二:『経営と文化』、中公新書(1984)

普遍的な思想よりも、技術にはしる日本的特質*

・思想(イデオロギー)は外から

(相対主義)

・社会を固定化する思想にしばられない、

異国の文物を無抵抗に受入(可塑融通性)**

・融通無碍、あいまいでも前に進める

・トップが旗印を明確にしないく(トップほど悪くなる)

(現場の知恵任せ、マネジメントが弱い、

不要だった?)

・いつも一種の自己否定

・技術主義、現場主義、「仕上げ」の美学

・元になった技術は外国でも

換骨奪胎しオリジナルへリファイン

(雑種型純粋性)**

・華道、茶道、・・道(飽くなき探求心)

・あいまいさを許さない(物)

・暗黙の規則を求める

高不確実性回避傾向の二面性

危機は、格好のチャンス?

:“危機”の状況こそ、相対主義の文化

のもとで、高不確実性回避の特性であ

る“飽くなき探求心”が発揮される

わが国の高不確実性回避傾向は、モノ・時間に対して概念・思想は別

・標準化が弱い

GLOBE

調査データ

からも検証

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まとめ

・ リーンを目指した“変動”を常になくす改善努力が不可欠(品質の観点か

らも)であり、わが国ものづくりの強み。TPSは、平準化(需要変動の凍

結)、かんばん(枚数の調整)、標準作業(作業時間および作業者の変動

をなくす)といった変動低減活動。

• 同時にTOCやFactory Physicsが教える変動を認めた上で、THを維持(最適化)する科学的な考え方も導入すべき、でなければ変化に対して大き

なビジネスチャンスを見逃すリスクを伴う。

• ものに対する高不確実性回避、イデオロギーや概念に対する寛容さの

文化の強みを、今こそ活かそう。

それは、国全体として進むべき方向の明確化。

参考文献

圓川隆夫:『我が国文化と品質』、日本規格協会(2009)Hopp & Spearman: Factory Physics, second ed. Irwin McGraw-Hill(2000)

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日本文化に適合したSCMとは?

SCMが日本の経営の柱になりにくい

SCMに「売り」につながる

指標がない

なかなかダイレクトに

優秀な人材が

集まらない

物流子会社が

人事のはけ口的に

取り扱われてきた

経緯がある

テーマ:なぜ日本ではSCMが経営の柱になりにくいのか

2000年以降多くのSCMへの取り組みが失敗におわった

再度SCMへの取り組みに大きな抵抗がある

経営において

SCMのニーズがない

規制に守られている現状

日本の流通構造に

問題がある

流通政策の間違い

(流通保護)

現場が強いので

なんとかなっている

製造業が小売りに

合わせすぎる

製造業が優秀である

欧米ではトップダウンで

(まず設計図を描いてか

ら)

前に進むのに対し,

我が国はボトムアップ,

あるいは部分から

前に進むことに長けている

標準化・リスクマネジ

メント

が弱い

標準パッケージ

が使えない

科学的・戦略的な

SCMが醸成されない

SCMが体系化されていない

SCM構造のブラックボックス化

カスタマイズばかり

進んでしまう

取引契約があいまい

経営者の認識が弱い

必要性は

感じていても

戦略性がない

現場レベルのSCMに対する理解が少ない

ITベンダーがビジネスを把握していない

システムとして

捉えることができてい

ない

業務設計を行う ITベンダーのSEに文系出身者

が多い

アプリケーション側は

文系

卸の弱体化

卸の収斂

高コスト体制を

強いられている

(ガラパゴス化)

過剰なロジスティクスコス

トに

疲弊してしまう

SCMに関するコストは川上が負担するものという

考えが定着してしまった

各プレイヤーに関する

共通的な指標がない

共通認識が醸成されな

SCMが自己優位に導くための方法論

としてみなされている

各分野からのSCMの見方が統一されていない

横の調整ができていな

カテゴリマネジメントなど

ムリ

POSデータのフォーマットすら

標準化されていない

POSデータすら活用されない

花王ぐらいしか

POSデータを活用できない

地方都市は米国型に

近くなっている

大きなショッピングモール

さえ出来れば良しとされる

ディベロッパー事業が

利益の源泉

物流は文系の学問領域

見なされてきた

理工系大学に

SCMの講座がない

理工系大学にSCM講座が欠けていることへの

認識がない

(経営者が)SCMを物流の延長線上に考えて

いる

文系的な指標の下に

経営されている

経営者の大多数が文系

物流・営業分野は

文系がほとんど

SCM部門の人も圧倒的文系出身

日本の小売の能力

(コスト・横並びの競

争)

小売り側の行儀の悪さ

顧客を盾にした小売りの

販売方式

多品種化のコストを小売り

側が負担しない

科学的なSCMに対して小売りが関心がない

小売りは売ることにしか興

味がない地方は商店街が

なくなってしまう

新しい業態ほど

購買力依存型

(センターフィー)

マイカル等、破綻した

ところからの人材移転

かつての一時的な

成功体験を

流用しようとする

MBAコースにおいても理系は軽視されている

学ぶ場所

(研究科)がない

高校程度の数理すら

経営層が理解していない

確率論的な

取引モデルが

理解されない

バラツキの概念すら

理解されない

安全在庫などの

理論的な理解ができな

日本における

MBAのメインは財務と組織論

海外ではMBAにORなど理系的な観点を

一つの柱とする

カリキュラムが存在する

日本の顧客の

要求品質が過剰

(厳しすぎる)

工場出荷価格よりも安価な

特売品

特売品に慣れ切った消費者

ウォルマートの6倍の品種が要求されている

消費者購買構造の

過剰な細分化

消費者としては選択肢が豊

海外企業は概ね

日本市場から撤退してしま

中国市場への重点化

日本市場の優先度低下

日本市場に魅力がない

中国市場での詳細なるビジ

ネスモデルの標準化

細部にわたる

マニュアルの整備

SCMに関する共通認識を醸成する

仕組みの存在

市場規模

中国でのビジネス成功

に向けた土壌の存在

これまでは問題が顕在化

してこなかった

国内の物流範囲では

上手くいっていた

グローバル化による

物流の複雑化

グローバル化により

問題が顕在化してきた

日本の消費者性行に過剰適応した日本の小売り業態、

”それ”に過剰適応してきた物流、生産

現場が強いので、これまでなんとかなって

きた

経営者をして根本的解決を避けて「現場の

知恵で市場に適合させる」というミクロの部

分最適に「任せておく」ことにつながった

現在の文系教育のもとでは科学的

SCMリタラシー育成に対応できない

これまでの流通政策の間違い

ITを効率的、効果的に使いこなすための

標準化ができていない

これまでSCMの弱点

の深層分析

経営者をして根本的解決を避けて「現場の

知恵で市場に適合させる」というミクロの部

分最適に「任せておく」ことにつながった

→上下一致、連鎖一致のビジョン共有から