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発表の構成0.発表者について1.問題意識・研究目的2.現代口語演劇理論 2.1.『東京ノート』について 2.2.青年団ルーマニアツアー3.翻訳プロセスについて 3.1.「旅」① 3.2.「旅」②4.翻訳者の役割5.結論
1.問題意識・研究目的・日本語から外国語(ルーマニア語)へ、そして紙媒体から舞台へと、二重の「旅」をするテクストの翻訳プロセス
↓・『東京ノート』の翻訳に携わった発表者の経験を踏まえてインターフェイスとしての翻訳者の役割や立場を再考してみたい。
2.現代口語演劇理論●言葉は変化する。特に、やっかいなことに、話し言葉は書き言葉より変化の度合いが速い。演劇の王道にしたがって、役者が喋る言葉を通じて演技を試みるらば、そのテキストは、やはり話し言葉を基本とするものになるだろう。しかし戯曲は文字を用いる。ここに書き言葉と話し言葉の追いかけっこが始まる。しかしそれはアキレスと亀のように理論上は決して追いつくことのない不条理なレースだ。
(平田1995:39)
2.現代口語演劇理論●近代的な人間像を描く戯曲を持っていなかった日本の演劇界は、とにかく手っ取り早く近代演劇を完成させるために、西洋の作品を翻訳して上演した。しかし、小説と違って、演劇は読むだけではなく、人間の身体を使って表現を行わなければならない。
(平田 2004:139)
2.1.『東京ノート』について
→1994年 : こまばアゴラ劇場で初公演・近未来 (2004年 ) にヨーロッパで戦争が起こっており、そのためフェルメールの絵画が日本へと送られる・東京にある、とある美術館で展覧会が開かれ、美術館のロビーが舞台となっている。ロビーに並ぶ長椅子に休憩中の様々な人物が会話をする・登場人物 : 展覧会を見にきた学生、美術館の学芸員、絵の寄贈者、兄弟家族
2.1.『東京ノート』について
→「現代口語演劇理論」に基づいている→言語的・非言語的要素の特徴・セリフとセリフがオーバーラップする・あいづちをよく打つ・語順が倒置する・話題がよく移る・目線をあまり交わさない・間が長い
(野呂 2009)
2.2.青年団ルーマニアツアー
→2010 年 6 月 1 日~10 日・シビウ公演(国際演劇際 ) 、クラヨヴァ公演、ブカレスト公演 (それぞれ 2 回)・平田オリザを囲んで演劇シンポジウム( ブカレスト大学にて )
→発表者も同行:翻訳・通訳・字幕作成
3.1.「旅」①
1.言語的要素 平山 あの、ここ、よろしいですか ?
木下 どうぞ、 平山 すいません。 Hirayama: E liber aici?
Kinoshita: Da, sigur.
Hirayama: Scuze → Mulţumesc.
3.1.「旅」①
2.文化的要素 平山 この時間はお茶も飲めますけど。 小野 あぁ、なるほど。 Hirayama: La ora asta însă se poate servi
şi ceai → ceai sau cafea.
Ono: A, am înţeles.
3.1.「旅」①3.「現代口語演劇」要素 三橋 あ、いえ、だから、小野さん、ちょっと事務所行って、いろいろ伺ってきて下さいませんか ?
小野 あぁ、えぇ。 平山 あぁ、でも、それじゃあ、 三橋 あの、その方が、私は、 Mitsuhashi: Sigur, nici o problemă. Şi... domnule Ono, nu
mergeţi şi dumneavoastră în birou ca să discutaţi despre detalii?
Ono: A, ba da.
Hirayama: Dar... → Dar rămîneţi singu...
Mitsuhashi: Prefer să meargă şi el.
4.翻訳者の役割
1.創造する・ A 言語で生産されたコンテンツを B 言語に再表現する専門家でありながら、 A 文化と B 文化の間に立ち、文化間コミュニケーションを妨害する違いを調和するエイジェントでもある → 仲介者・調停者 (?)
・ディーコード化・再コード化するエイジェント、受信者・送信者
4.翻訳者の役割
4. 柔軟性・戯曲の翻訳の場合、「動態性」を伝える必要 →即座に修正・調整する →「翻訳物」という生産物を永遠に未完成のものと捉える
↓
・翻訳を実際に行いながらそのプロセスを振り返る必要