2
20 A tomic Energy Society of J a p an Atomic Energy Historic Award 子力 歴史構築1 Point 受賞後の声 47 遮蔽技術の開発、人材育成、 がん治療に貢献した研究用原子炉JRR-4 Contribution of Development of Shield Technology, Personnel Training, and Cancer Treatment in Research Reactor JRR-4 独立行政法人 日本原子力研究開発機構 ▲ JRR-4 の建家外観 ▲ JRR-4 原子炉本体鳥瞰図 ▲チェレンコフ光 原子力船「むつ」の遮蔽実験や種々の遮蔽研究に貢献 原子炉の運転実習等により原子力技術者の人材育成に貢献 ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)の臨床研究の発展に貢献 原子力船の遮蔽実験の当初の目的達成、原子力の研究開発のさらなる発展を目指した施設・設備の高度 化への対応とともに、原子力技術者の人材育成、BNCT による臨床研究の発展、種々の研究・開発およ び産業利用等への貢献の実績が評価され、受賞したことはたいへん名誉である。 JRR-4は、今後も、原子力研究の基盤として重要な施設・設備であることを認識し、原子力技術者の人材育 成およびBNCTの臨床研究に重点を置いた共用施設として、人類社会の福祉の発展に貢献していきたい。

U [ w C z P R z U Ï t é Y ` h Z ; j Í+33UPNJD &OFSHZ 4PDJFUZ PG +BQBO "UPNJD &OXBFSESHZ )JTUPSJD " R å S "UPNJD &OXBFSESHZ )JTUPSJD " j º Ï Æ H1 s y Z ; j Í+33 x z p s z j

Embed Size (px)

Citation preview

Page 1: U [ w C z P R z U Ï t é Y ` h Z ; j Í+33UPNJD &OFSHZ 4PDJFUZ PG +BQBO "UPNJD &OXBFSESHZ )JTUPSJD " R å S "UPNJD &OXBFSESHZ )JTUPSJD " j º Ï Æ H1 s y Z ; j Í+33 x z p s z j

平成20年度

Atomic Energy Society of Japan

Atomic Energy Historic Award

原子力歴史構築賞

第 回1

Point

受賞後の声

47

10/30 4校 21

遮蔽技術の開発、人材育成、がん治療に貢献した研究用原子炉JRR-4Contribution of Development of Shield Technology, Personnel Training, and Cancer Treatment in Research Reactor JRR-4

独立行政法人 日本原子力研究開発機構

▲ JRR-4 の建家外観

▲ JRR-4 原子炉本体鳥瞰図 ▲チェレンコフ光

原子力船「むつ」の遮蔽実験や種々の遮蔽研究に貢献原子炉の運転実習等により原子力技術者の人材育成に貢献ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)の臨床研究の発展に貢献

原子力船の遮蔽実験の当初の目的達成、原子力の研究開発のさらなる発展を目指した施設・設備の高度化への対応とともに、原子力技術者の人材育成、BNCTによる臨床研究の発展、種々の研究・開発および産業利用等への貢献の実績が評価され、受賞したことはたいへん名誉である。JRR-4 は、今後も、原子力研究の基盤として重要な施設・設備であることを認識し、原子力技術者の人材育成およびBNCTの臨床研究に重点を置いた共用施設として、人類社会の福祉の発展に貢献していきたい。

03-21-40_cs3_原子力歴史構築賞.indd 47 2009/11/02 18:17:48

Page 2: U [ w C z P R z U Ï t é Y ` h Z ; j Í+33UPNJD &OFSHZ 4PDJFUZ PG +BQBO "UPNJD &OXBFSESHZ )JTUPSJD " R å S "UPNJD &OXBFSESHZ )JTUPSJD " j º Ï Æ H1 s y Z ; j Í+33 x z p s z j

Atomic Energy Society of Japan

Atomic Energy Historic Award

平成20年度

Atomic Energy Historic Award

原子力歴史構築賞

第 回1

48

 研究用原子炉 JRR-4 は、当初、原子力船の遮蔽実験の目的で建設され、1965年の臨界以来、遮蔽実験を中心に利用が進められた。その後、利用の目的に応じて、出力、運転時間等の運転パターンを柔軟に設定できる特徴を活かして、原子力エネルギーや放射線利用に係る人材育成、種々の研究・開発および産業利用に貢献してきた。1998年には、燃料濃縮度低減化とともに、照射設備等の改造を行い、原子炉を用いたがん治療のひとつであるホウ素中性子捕捉療法(BNCT : Boron Neutron Capture Therapy)の臨床研究の発展に貢献してきた。 建設当初、原子力船の開発を目指す産業界等からの強い要望により、原子力船「むつ」の遮蔽実験専用の研究炉として計画され、遮蔽実験としてモックアップ試験のほかに、遮蔽計算手法およびデータの評価、複雑形状部の設計手法の開発、遮蔽材料の性能評価および開発に貢献した(写真1)。 原子力技術者の人材育成への利用を1969年より開始し、原子炉の運転実習や制御棒校正試験等を実施して、これまでに1,700名を超える原子力技術者の育成に貢献してきた。近年、原子力界における技術者の育成は喫緊の課題となってきており、2006年から東大原子力専攻(専門職大学院)の運転実習、炉物理実習が行われてきた。文科省および経産省が連携して2007年度より開始した「原子力人材育成プログラム」に応募して採択された大学に対して、臨界近接実験、制御棒校正実験等が行われた。このように原子力技術者育成の要求が高まる情勢において、JRR-4 は教育目的に利用できる原子炉として、その役割を十分に果たしてきた(写真2)。 JRR-4 においては、1999年より BNCT 臨床研究利用が開始され、現在(2008年 12月)までに 99症例の医療照射が行われた。JRR-4 では、患者の負担が軽くなるよう頭蓋骨を開かないで医療照射が行えるよう熱外中性子による照射が可能な照射設備の整備を行った(図1)。この効果もあって、近年、BNCT 臨床研究件数は急速に増加し、2007年度には年間34例が行われた。 産業利用としてシリコン半導体の製造に関する照射実験(図2)、環境保全を目的とした中性子放射化分析、原子力発電所で使用する中性子検出器の感度試験、16Nからのγ線による放射線測定器の高エネルギー特性試験等により研究・産業界に貢献してきた。 JRR-4 は、以上のように、1965年の臨界以来、遮蔽技術の開発、原子力技術者の人材育成、BNCT臨床研究、シリコン半導体製造等の広い分野での原子力の平和利用に貢献してきた。

引用・参考文献

1) 研究炉管理部,“研究炉33年のあゆみ”,日本原子力研究所,1990

2) 日本原子力研究所原研史編纂委員会,“日本原子力研究所史”,日本原子力研究所,2005

3)研究炉管理部年報 他4) 原子力機構 http://www.jaea.go.jp/index.shtml5) 研究炉利用 http://rrsys.tokai-sc.jaea.go.jp/rrsys/6) 研究炉加速器ひろば https://rrsys.tokai-sc.jaea.go.jp/rrsys/html/e-hiroba/index.html

▲写真1 遮蔽実験の風景

▲写真2 原子炉運転実習の風景

▲図1 BNCT照射設備

▲図2 大口径シリコン照射実験装置(開発中)

10/30 4校 21

03-21-40_cs3_原子力歴史構築賞.indd 48 2009/11/02 18:17:54