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UÃ] · 2020. 7. 25. · ãà ÐÃd ÅéÃbÃ_ÃnÃ} ÔÃc 4æá G å&Ã}à G åÃcaÃeÃ~ ¿Ã ìùòÃôìÃÃà ÃaÃ[ÃnÃlé{ÃbÃnÃcÄÃ}®ÃªÃ~Ãf 'ò ¦ÉÃ~

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短歌とは

5・7・5・7・7の5句31音のリズムで詠まれる短い抒情詩︒

俳句で使われるような﹁季語﹂は不要︒

古くは奈良時代から身分の貴賤を問わず親しまれ︑

現代でも日々の想いを綴る詩形として幅広い層に詠まれています︒

一方で︑その長い歴史を国語の授業で習うこともあり︑

短歌とは難しいものである︑と思っている人もしばしば︒

本誌はそんな﹁短歌をよく知らない人﹂にも

現代短歌の面白さに触れていただくためのもの︒

軽い気持ちでぜひページをめくってみてください︒

作品テーマ

祝う

あなたと過ごすその日々に小さな祝福が

積もりますように

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短歌:菊華堂

僕らが笑うと

季節がうごく

そう言って笑った

ある夏のこと

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短歌:鹿島小唄

小さなことも

喜びにする

前を向くって

そういうことだ

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あなたと出会って

少しだけ

欲張りになった

そんな気がする

短歌:たろりずむ

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短歌:ともえ夕夏

ささやかに

ごくささやかに

二人の門出の

お祝いをして

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短歌:端居ゆう

誰かのための

祝福を

分けてもらった

昼下がりです

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短歌:えんどうけいこ

手加減もせず

グラスをぶつけて

怖いものなど

なかったんだよ

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短歌:友常甘酢

家族が増えた

ような笑顔で

幸せだけを

拾いあつめる

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短歌:西淳子

何でもいいんだ

笑えるのなら

些細なことほど

楽しいのだし

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短歌:畑 依裕

終わりもひとつの

お祝いだから

笑って夏を

見送るのです

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短歌:谷口泰星

次へ

また次へ

あなたと日々を

歩くよろこび

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神さまが通り抜けるのにふさわしい綺麗な五円玉えらぼうね /toron*

お天気を伝える朝のキャスターの祝辞のような開花宣言 /真島朱火

門松に選ばれなかった竹たちにだけ春はくる

おめでとう︑竹 /桝枯井戸

大往生とげて旅立つ祖父のため酌み交わす酒は和やかである /もなか

遠くまで旅するきみの背中にはこの祝福も重荷だろうか /西鎮

臆病な鳥さえ渡る川がある おめでとう遠くまでゆく者よ /ユキノ進

心から君の門出を祝福し︑ちゃんと笑えたわたしを祝う /アダムス理恵

朝ごとに子には吉事のあるらしく﹁カンパイ﹂と合わせくるヤクルト /風花

夕間暮れ出窓に腰を掛けながら君の迷いも祝ってあげる /陽向さらさ

天国のゴッホに花を贈りたいあなたはちゃんと愛されてます /関根裕治

お祝いは便乗しとこ ひとさまの喜びならば貰い火しよう /都季

長生きも悪くないって思わせる白寿のひとの深い眼のいろ /香村かな

祝ってるように見えなければならず身内の披露宴は苦手だ /佐々木敦史

脱稿をひとりで祝う闇の席と光の席が分かれるカフェで /深影コトハ

動画だと言うのに母は動かずにピースサインで米寿の祝い /田巻由美子

はつゆめの光は曖昧模糊として薄紅色の蒲鉾を食む /吉川みほ

嬉しくてしかも帰りは満月で野良に負けずに遠吠えしたい /木村奏菜

祝いごと続きで旅立つ諭吉には必ず増えて戻れと諭す /阿坂れい

幸せを祈っても無駄幸せを買う度にP

ayPay

の雄叫び /涸れ井戸

宮参り真っ赤な顔で泣いているみどりごをあやすごと揺れる梅 /芍薬

祝う

佳作集

佳作集

佳作集

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終わりだけ記念日となる戦争が馬鹿だからまた始まっちまう

口角と手をあげろって兵隊に命令されて万歳写真

がんばれば十日で終わる戦争を武器商人が長期化させる

お子さんは無事に任務を成し遂げて名誉ある死を勝ち取りました

戦死者の名前はあ行から順にエンドロールのように流れる

ありがとうございました︑とリモートで弔辞を述べるマスクの男

空席をすばやく埋める東京でだれが消えたか思い出せない

さようならそれぞれに生き延びてまたいつかみんなで疎開しましょう

これはあれのための予行演習

昼を過ぎても眠りつづける柔らかな頰をまだらに汚す陽光

鳥の声でたがいを呼び合う少年たちがひときわ高く鳴いている午後

風に煽られて浮き上がる髪の間を通り過ぎてゆく幾万の風よ

床の上に投げ出している右腕がなだらかに地平線につながる

指と指のあいだを何度数えても必ずひとつ足りないはざま

あかるさに薄目を開けて圧しかかる日射しの重さにまた目を閉じる

日常と非日常のなかに垂れ下がるやけに重くて透明なシート

眼球は見つめつづけるまなぶたの裏の街の夜に起こるすべてを

日日

エッグベネディクトもダッチベイビーも知らないふたりがちぢこまるカフェ

暗黙のルールみたいにとりあえず来たものすべてはんぶんこする

二時間を映画に費やすことがもうできるふたりになってきました

スクリーンの中の冒険 わたしたちずいぶん遠くまで来ちゃったね

暗闇に紛れるように撫でられているゆび あたたかいね︑ずるいね

価値のないわたしをそんなにすきになるあなたの長い長い気まぐれ

十年を離れて生きてきたことを祝えば苦くなる瓶ビール

いつかくる旅の終わりにさっぱりと知らないふたりに戻れますよう

知らないふたり

アノラックとても緑で海岸を歩く遠くの焚火のけむり

繭の中さなぎは短い夢を見て全部忘れてしまう よかった

さて月に帰らなくちゃとまんまるの月を見るたび夜道できみは

海に沈む前の栄えていた頃の明治通りを歩く人たち

﹁だから星座は今もかたちを変えています﹂学芸員が指さす獅子座

やがて森は帰ってくる 閉店のファミレスの壁をつたう蔓草

外国のお菓子が家にあることのあかるさ 朝の港のような

波音が波を連れてくる なつかしいけどぜんぶ今生まれたばかり

海岸と星

うたらば・祝10周年!うたらば・祝10周年! 特別寄稿作品特別寄稿作品

うたらばに育てられたと言っても過言ではない木下龍也です。いや、はっきり言おう。うたらばに育てられた木下龍也です。10 周年おめでとうございます。そして田中ましろさん、私財も時間も投げうってこの場を維持、発展してくださりありがとうございます。偉大すぎるぜ。今後も応援しています。

うたらば 10 周年、おめでとうございます。うたらばというメディアが、またどなたかが短歌と出会うきっかけとなりますように。そしてその出会いによって、その誰かの日々が少しでも良いものとなりますように、お祈りしています。

「短歌を知らない人に短歌の面白さを伝えたい」といううたらばの想いがとても好きで、掲載されると心から嬉しくずっと投稿を続けてきました。魅力的な写真とすてきな短歌、きれいな冊子デザインは手に取るたび感動します。これからも末永くたくさんの人に出会える冊子でありますように!

うたらばもう十周年なんですね。すごい。僕は三号からの参加です。ここで短歌を書くこと、人に読んでもらうことの楽しさを知りました。また同時期に投稿していたユーモアとアイディアのある歌人たちからとても刺激を受けました。私財をなげうって場を作ってくれたましろさんに感謝します!

木下龍也飯田彩乃千原こはぎユキノ進

祝いの一言祝いの一言祝いの一言祝いの一言祝いの一言祝いの一言祝いの一言祝いの一言祝いの一言祝いの一言祝いの一言祝いの一言

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最寄り駅がテレビに映る最寄り駅のいちばんきれいな角度が映る

入り口へカートを取りに戻るときスーパーにいることがたのしい

空港のベンチは床が近くって履いてる靴をすきになる場所

シネコンのトイレでこれから観る人ともう観た人の差がわからない

持ってるしいつでも聴ける曲やのにラジオで流れるとうれしいね

百均で買いたいものが出てこない感じで祈ること出てこない

缶で飲むアクエリアスのおいしさを懐かしがって死んでく予感

猫に鳴き真似をかえして今日が終わり十年経てば十年が過ぎ

十年

何回も通つた道の思ひ出を縁取るやうにしろいあぢさゐ

フォルダにきみはひとりで︑そのあとにしばらくつづく桜の画像

駅前の花屋で買つた濃色のダリアを飾る 余生のやうに

そのひとが笑つたときのイメージでまとめてもらふ花束に︑黄

ひそやかにうすくれなゐの芍薬のひらけば部屋は光咲く庭

忘れずにゐたことを過去と呼ぶときに未来は庭のつゆくさのあを

沙羅の花ひとつ咲きたる庭を過ぎ消えない夢の入り口にゐる

木漏れ陽と同じ匂ひをさせながらしづかにきみがほころんでゐる

花束

五月尽 しばらく切れずにいる髪を手に鬱蒼と引っ掻き回す

一週間で仕事を辞めた人生にもっともらしく伸びる体毛

離職票を待っているのか肉体を夏に適応させているのか

前々職から電話があってやっと来た後任は八つ年上だという

まぼろしの煙草を吸っているように細くゆっくり息ついでいる

こんなことをしないと乗りきれない日々もあるんだ月が青空に揺れて

人生の一回性よ 経験のなかったことも楽しくなるか

ただ君と生きていくこと︵すずなりの枇杷の実︶おれが生きていくこと

まぼろしの煙草

初めて「表紙フォト短歌」に選ばれたときのよろこびを今でも鮮明に覚えている。あのよろこびが短歌をつくり続ける動機のひとつになっているのは確かだ。短歌をつくりはじめた頃に「うたらば」があって本当によかった。十年続けるって凄いことだ。ましろさんなら、次の十年も淡々と続けていく気がする。

うたらば十周年おめでとうございます。わたしが短歌をはじめたばかりのときに、投稿できる場を探していてたどり着いたのがうたらばでした。それからもう七年も経ったとか、びっくりです。ましろさんいつもありがとうございます。そして、これからもどうぞよろしくお願いします。

vo l .01 で巻頭に採用していただいたこと、力んで結果を出したということがあまりなかったので、とても自信になったことを覚えています。これからも短歌が活字化される喜び、そして益々うたらばそのものが発展されること祈念しています。本当に 10 周年おめでとうございます。

うたらば創刊号をましろさんに貰ったのは2010年の名古屋・名短の時だったと思う。いつか自分も参加したいという願いは思いのほか早く叶い、うれしくて何度もページを捲った。あれから十年。多忙な日々のなか、一人で続けるのは本当に大変なこと。ましろさん、うたらば十周年おめでとうございます!

岡野大嗣有村桔梗虫武一俊高松 紗都子

祝いの一言祝いの一言祝いの一言祝いの一言祝いの一言祝いの一言祝いの一言祝いの一言祝いの一言祝いの一言祝いの一言祝いの一言

祝祭がひそやかにある初夏の朝にあなたが生まれた日から

うぶごえは潮騒のよう住みなれた世界を徐々にひびわれさせて

たくさんの言葉を覚えてゆくほどに伝えきれない感情がある

らいく︑らぶ︑好きなことなら譲らない真一文字に口をむすんで

ばらばらとこぼれて落ちる思い出のかけらに指を刺されて夜は

十年を生きれば翳りもあるだろう 幼さはつか頬にのこして

周りから言われることを信じても信じなくても今日の快晴

年輪をかさねて甘くやわらかくなれたらいいね 微笑むために

微笑むために

はつなつ

うたらば・祝10周年!うたらば・祝10周年! 特別寄稿作品特別寄稿作品

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でもたぶんあれは踊ってた

んじゃなく助けを呼んでた

んだと思う

 踊っているような人が見えた。踊って

るねぇ、なんて話しつつ通り過ぎたけど

なんとなく心に引っかかったままで…

たいていの場合、そういう予感は当たる

もので、助けを呼んでたんでしょうね。

誰か優しい他の人に助けてもらえてます

ように。

(中嶋港人)

そうだよね﹁大分﹂をなぜ

﹁おおいた﹂と読むのかパ

パもわからないんだ

 世の中には「そういうもんだ」と納得

するしかない物事があります。「大分」の

「分」を「いた」と読むのもそのひとつ。

子供の無邪気な質問がこの世界の盲点を

つく瞬間。ほのぼのとした表現の中に鋭

い指摘があるように感じました。 (

もなか)

インスタで生活感を無くそ

うとしすぎて消えた夫と子

供 生活感が出るとどうしてもエモくなく

なってしまうから、なるべく生活感を消

したい。あるいはエモい生活を見せたい。

そんな作中主体にとっての夫と子供はエ

モではなかったんでしょうね。画面上に

見える部分だけで人気が決まってしまう

世の中に疑問を投げかけているようです。

(たろりずむ)

ウルトラの父と母とのなれ

そめを知ってそれからそう

いう目で見る

 「そういう目」という表現の絶妙なニュ

アンスに笑いました。明言を避けた上で

匂わせる感じ。わかるでしょ?察して

ね?っていう投げ方に、ある種の日本人

らしさがあって好きです。タロウが生ま

れるまでのエピソードとか、あるんです

かね(笑)

(久藤さえ)

枯れ木だと思ってたのに花

が咲く春とは多分そういう

ことだ

 枯れたように見えていた桜にもいくつ

かの花が咲くように、思わぬ発見と喜び

に溢れている春。「思っていたのに」と表

現されたその意外性にこそ春の魅力があ

るように感じますね。

(髙木一由)

最後まで平和な国家であれ

ばいいお子様ランチにひる

がえる旗

「お子様ランチにひるがえる旗」という景

色に主体の感情がよい距離感で寄り添っ

ている作品。「最後まで」は純粋に子供が

ご飯を食べ終わるまでと読むのが自然か

と思いますが、争いや犯罪の絶えないこ

の国との対比も浮かび上がり、作品の読

みに幅を生んでいる気がします。

(toron*

大丈夫︑平野レミなら﹁食

べちゃえばおんなじよ!﹂っ

て笑ってくれる

 究極のポジティブシンキング。自分に

言い聞かせているのでしょう。事実、「食

べちゃえばおんなじ」だし、平野レミな

ら笑い飛ばしそうだし。料理に限らず、

失敗した人全員にお届けしたい作品です。

(とき)

ほっかむり&唐草風呂敷で

分かりやすいと悪もかわい

い 良い発見だなぁ。ほっかむり&唐草風

呂敷はデフォルメされた泥棒のイメージ。

絵本などに登場する悪者が「悪」なのに

憎めないように描かれているのは世界に

「善」と「悪」があることを優しく教える

ためなんでしょうね。

(関根裕治)

エビデンス!﹁どこの家で

も常にある材料だけで作れ

るおかず﹂

 「どこの家でも常にある材料だけ」と言

い切ったその不用意な断言に「エビデン

ス!」とツッコミを入れる筆者のセンス

が素晴らしすぎます。初句でいきなりツッ

コミから入る構成も新鮮で、一目惚れし

た作品でした。

(葵の助)

朝刊をとりに玄関出るとき

の今日は見られてもいいパ

ジャマ

 室内で着ることが前提のパジャマにも

「見られてもいい」と「見られちゃいけな

い」の境界線が存在している。言われて

みたらたしかにそうだ。みんなそれぞれ、

ほぼ無意識の境界線を引いて生きている

んですよね。わかる。

(外川菊絵)

「月刊うたらば」ではいつでも作品を募集しています。

毎月の投稿テーマでの短歌作品をぜひお寄せください。

詳しくは「うたらば」公式サイトでチェック!

短歌募集中短歌募集中

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短歌:田中ましろ

現実なのに

夢のような

この毎日を

幸せと呼ぼう

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最後までご覧いただきありがとうございました!

今回は創刊から 10 周年の節目となる号。生まれ変

わった感を出したくてロゴを刷新した上で、これ

までよりも8ページ増量にてお送りしました。創

刊当初からお世話になってきた歌人のみなさんに

寄稿をしていただいたり、作品観賞のためのペー

ジを設けたり。確実に読み応えのあるフリーペー

パーに仕上がったのではないかと思います!

写真作品では採用短歌たちを1つの連作のように

感じられる並びにして、写真の場面展開にもあえ

て連続性を持たせてみました。モデルは舞台俳優

やライターなど多岐にわたって活躍中の染谷ノエ

ルさん。Twitter 上での公募に手を挙げてくださ

りありがとうございました。

10 周年を機に、さらにパワーアップしていくうた

らばをどうぞよろしくお願いいたします~!

うたらば vol.27【祝う】 2020 年 7 月 25 日発行 ○企画・撮影・編集 / 田中ましろ○モデル / 染谷ノエル(Twitter: @noe_photog)

○短歌 / 投稿者の皆様

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最後までご覧いただきありがとうございました!

今回は創刊から 10 周年の節目となる号。生まれ変

わった感を出したくてロゴを刷新した上で、これ

までよりも8ページ増量にてお送りしました。創

刊当初からお世話になってきた歌人のみなさんに

寄稿をしていただいたり、作品観賞のためのペー

ジを設けたり。確実に読み応えのあるフリーペー

パーに仕上がったのではないかと思います!

写真作品では採用短歌たちを1つの連作のように

感じられる並びにして、写真の場面展開にもあえ

て連続性を持たせてみました。モデルは舞台俳優

やライターなど多岐にわたって活躍中の染谷ノエ

ルさん。Twitter 上での公募に手を挙げてくださ

りありがとうございました。

10 周年を機に、さらにパワーアップしていくうた

らばをどうぞよろしくお願いいたします~!

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