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Advanced Japanese: Communication in Context ©Noriko Ishihara and Magara Maeda 22 第二課:ほめる・ほめにこたえる Unit 2: Giving/Responding to Compliments in Japanese 課の目的 ほめる 1. ほめる ほめる (すべての練習) 相手や状況に合った適切なほめ方をする (練習 3, 4, 6, 9, すべての練習) 2. 会話を通して適切な敬語や待遇表現を用いる (練習 1, 2, 9, 10) 3. ほめる時のの文化的ルールを守る 相手によって適切なほめ方をする (練習 1, 9) 適度な距離を置く (練習 1, 2, 9) 他人の前で自分の家族をほめない (練習 5) 適度に繰り返しほめる (練習 8) 4. 適切な声のトーンを使う 強める表現を使い強調して発音する (練習 8) 相手が謙遜した場合、もう一度ほめる (練習 8) ほめにこたえる 1. ほめにこたえる

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第二課:ほめる・ほめにこたえる

Unit 2: Giving/Responding to Compliments in Japanese

課の目的

ほめる

1. ほめる

ほめる (すべての練習)

相手や状況に合った適切なほめ方をする (練習 3, 4, 6, 9, すべての練習)

2. 会話を通して適切な敬語や待遇表現を用いる (練習 1, 2, 9, 10)

3. ほめる時のの文化的ルールを守る

相手によって適切なほめ方をする (練習 1, 9)

適度な距離を置く (練習 1, 2, 9)

他人の前で自分の家族をほめない (練習 5)

適度に繰り返しほめる (練習 8)

4. 適切な声のトーンを使う

強める表現を使い強調して発音する (練習 8)

相手が謙遜した場合、もう一度ほめる (練習 8)

ほめにこたえる

1. ほめにこたえる

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ほめにこたえる (すべての練習)

ほめられた時、相手によって適切にこたえる (練習 6, 7, すべての練習)

2. 会話を通して適切な敬語や待遇表現を用いる (練習 6, 10, すべての練習)

3. こたえ方のストラテジーを使う

(ほめ言葉に対して) お礼を言う (練習 6, 7, 10)

相手に同意する (練習 7)

(ほめられたことに対して)肯定的なことを言う (練習 7)

(「そうですか?」などのように) 聞き返す(練習 7, 10)

相手をほめ返す (練習 7)

(ほめられたことに関する) 情報をさらに提供する(練習 7, 9, 10)

ほかの人を立てる (練習 7)

驚く (練習 7)

謙遜する(練習 7)

何も言わない・話を変える (練習 6, 7)

(ほめられたことに対し) 冗談を言う (練習 7)

ほめ言葉を受け入れない (練習 6, 7)

ウォームアップ

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指導のポイント

ほめる時の言葉の選び方やほめる対象としてふさわしいものについての判断、ほめにこたえるス

トラテジーなどはこの課を指導する上で大変重要なので、上の「課の目的」や巻末にある「ほめ・ほめ

へのこたえに関する参考文献」 にも目を通し、このウォームアップではどのような点を学習者が話し合

うか、またどのような点には気づかないかに注意して今後の指導の参考にしてください。

同様のロールプレイの状況や会話例が練習 5にもありますので、その会話例を利用したり、練習

5 を先に扱うことも可能です。

テキストのウォームアップ以外にも、もし日本に行ったことがある学習者がクラスにいれば、ほ

めやほめのこたえ方の成功・失敗例などについてクラスで話してもらいましょう。その際、状況につい

て詳しく説明してもらい、その会話についてどのように感じたか話してもらいましょう。そのあと、ク

ラスでその状況について考え、上手にほめるたりこたえたりするポイントについて話し合いましょう。

また、日本語話者の間にはどのような個人差があるのかも紹介するとよいでしょう。

学習者の日本語のレベルによっては、文化的比較や言葉の使い方に関する分析などは英語など学

習者の堪能な言語で行うのもよいでしょう。

練習 1: ほめ言葉を観察してみよう

指導のポイント

ここで紹介されている二つの会話はどちらもよくできた成果をほめるものです。大きな違いは、

場面 1 では親しい友達で年齢や地位が同等な相手、場面 2 では自分より年上で社会的地位が高く友達よ

りも距離がある先生に対するほめを扱っている点です。このため、先生に話すときは尐なくとも「で

す・ます体」を使う場合が標準ですが、親しい友人関係では「です・ます体」は丁寧すぎ、よそよそし

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い不自然な印象を与えてしまうでしょう。会話を通して適切な敬語や待遇表現を用いるのはほめる場合

だけではなく他の課でもとても重要なストラテジーです。

友人をほめるのは問題がないかもしれませんが、自分より社会的地位の高い人を「ほめる」のは

相手の能力の評価につながり失礼になることがあります。この場合には、どのようにほめ言葉を使うの

かが鍵になります。例えば、次のようなほめ方は英語では耳にするかもしれませんが、日本語の場合は

立場をわきまえず失礼に聞こえることもあるでしょう。

先生の授業、よかったです。 “Your class was very good.”

先生の説明、上手ですね。 “Your explanation is very good.”

先生のあの本、とてもよく書けていますね。 “Your book is very well written.”

このような場合には次の例にあるように、学生が先生の授業や本からどれだけ学んだかということを表

現するとよいでしょう(Furukawa, 2000, 2001)。つまり、ほめ言葉のフレーズを注意深く選び相手によっ

て適切なほめ方をするのが重要です。

先生の授業、とても参考になりました。 “Your class was very helpful.”

先生の説明のおかげで、だいぶわかってきました。 “Thanks to your explanation, I have begun to

understand a lot.”

先生のあの本、非常にためになりました。 “That book of yours was very instructive to me.”

学習者を指導する際、リスニングの会話例が正しい答えと指導するのではなく、学習者のレベル

やニーズに合わせて、学習者が自らほめ言葉の特徴や文化的習慣などに気づき注目するように指導して

ください。話し手の意図がどのような言語・非言語・トーン(声のトーン・ジェスチャー、視線、時間、

スペースの使い方など)などに表れているか、学習者の話す日本語がどう解釈されやすいかなどがポイ

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ントとなります。

解答例

2. たかちゃん、さっきのプレゼンほんとよかったよ。 よくまとまってて、わかりやすかった。

4. 今日の先生の講義を聞いてだいぶわかってきました。

5. 上の説明を参照して学習者の解答を分析・評価してください。

練習 2: ほめ言葉を観察してみよう

指導のポイント

ここでのポイントは、友人と先生のそれぞれに対して会話を通して適切な敬語や待遇表現を用い

るばかりでなく、先生に対してなど必要な時には相手に適度な距離を置くことです。場面 1 では親しい

友達とどこで買い物をしたかや値段まで話が及びますが、場面 2 のように自分より年上で社会的地位が

高く距離がある先生に教室など他の学生のいるところで値段のことを聞いたりするのは特にふさわしく

ないでしょう。

解答例 上の説明を参照してください。

その他のアクティビティー

1. 日本語で話す際、どのようなほめ表現が実際に使われるか気をつけてみましょう。また、プロジェ

クトとして映画やドラマなどのメディアで実際にどのようなほめの表現が使われているか、集めて

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みるのも効果的です。この活動をする際、状況(社会的地位・年齢・性別・親疎・何に対するほめ

言葉か)についても書き留めるように指導してみましょう。これらの集めたほめ表現をクラスで発

表し、それぞれのほめやこたえ方のストラテジーについて分析しましょう。(資料編参照)

2. 1. に挙げた生のデータを集めるのが難しい場合、この課の状況について上級レベルや日本語の母語

話者にロールプレイをしてもらいましょう。その会話は、この課で取り扱った会話例とどのような

類似点・相違点があるでしょうか。もし、ほめやこたえ方のストラテジーが違う場合、どうしてな

のか考えてみてください。ここで集めたデータをクラスに紹介し、日本語話者のほめやこたえ方に

ついて話し合ってみましょう。(資料編参照)

練習 3: 相手によって変わるほめ方

指導のポイント

ここでは、練習 1-2 のストラテジーを復習しながら、待遇表現の有無や言葉の使い方などから相

手や状況を判断します。この練習を通して、様々な表現を学び、それが使われる状況を把握することが

できます。学習者がわかりにくい表現のニュアンスや丁寧度・直接度などについて授業でコメントする

とよいでしょう。

同様の追加問題が資料編にもありますので、ご覧ください。

解答例

1. この間のレポートはほんとによく書けていましたよ。a-低, b-低, c-高

2. このコンピューターゲーム、ほんと面白いね。すごいよ。a-高, b-低, c-低-中

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3. めぐみちゃん、そのかばん、かわいいね。a-高, b-中 (高), c-低

4. 君はいつも時間厳守でほんとにいいね/ いや、最近の大学生にしてはめずらしいよ。a-低, b-中, c-高

5. とても感銘を受けました/ いい勉強させていただきました。a-高, b-低, c-低

練習 4: ほめる表現

指導のポイント

ここではほめる時によく使われる形容詞(句)・副詞(句)などの表現の習得をめざします。学習者に

とってわかりにくい表現のニュアンスや丁寧度・直接度などについて説明したり、別の例を挙げたりす

るのもよいでしょう。

形容詞(句)には、伝統的には女性や男性が主に使うとされているものもありますが、実際には年

齢や状況のフォーマル度によって男女共に多様な使い方をすることもあるので注意しましょう (Siegal &

Okamoto, 1996, 2003)。そのような言葉を実際に身の回りの日本語話者がどのように使うのか、学習者が

観察するような課題を出すのもよいでしょう。

なお、同様の追加問題が資料編にもありますので、ご覧ください。

解答例

1. おいしいですね・新鮮ですね・おいしそうですね・口の中でとろけそうですね。

2. がんばってるね・一生懸命だね・成績が上がってきてるね・字がきれいだね。

3. よかったですね・残業のかいがありましたね。

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練習 5: ほめの日本語と英語の相違点

指導のポイント

リスニング 16 ではリスニング 17 よりもよりかしこまった状況のようです。リスニング 16では、

妻の料理がおいしいと思っても客の前ではほめるのを控えているようです。日本語では、妻は「ウチ」

“insider”、客は「ソト」 “outsider”とみなされ、ソトの人の前でウチのことをほめるのはうぬぼれと受け取

られることがあるからです。

リスニング 17 では夫も客に加わって妻を尐しほめています。恐らくこの場が場面 1よりもくだ

けていて客と夫が親しいために、夫がより率直にほめることができると考えられます。

リスニング 18 や 19は日本語では典型的な会話に近く、家族をほめるという不適切とみなされが

ちな行為を避けようとしているようです。家族の成果や性格、能力などに対するほめ言葉は否定されま

すが、それは話者の本心とは異なっているかもしれません。

このように、日本文化の習慣や考え方や、状況によって日本語話者の話し方が多様であることを

理解することが大事です。日本の習慣を理解した上で学習者が自分のアイデンティティーをどのように

表現したいかをディスカッションすることもできます。

解答例

3. 客:みな子さん、とってもお料理お上手ですね。 夫:いやいや、もう、この程度のものしかできな

いんですけどね。

4. 客:みなちゃん、この料理すっごいおいしい。 夫:うん、おいしいね。

5. 上の説明を参照して学習者の解答にコメント・評価してください。

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練習 6: ほめにこたえる

指導のポイント

日本語話者はほめ言葉を否定することで知られていますが、実際はほめ言葉を受け入れることも

あります。リスニング 21・24 のような例以外では、ほめられた人は何らかのストラテジーを使ってほめ

の度合いを弱め謙遜しています。

英語では、通常ほめ言葉は話し手と聞き手の絆を築く役割を果たすと言われていますが、日本語

ではほめ言葉は逆に両者の間に距離を作ることもあるという解釈があります。日本語では話し手が聞き

手をほめによって高いところに位置づけるため、聞き手は自分を聞き手と同等のもとの位置に戻すため

にほめ言葉を否定して謙遜する、という考え方です(Daikuhara, 1986)。学習者がこのような文化習慣やそ

の意味を知って日本語のほめ言葉やこたえを解釈できるようになることが重要です。

リスニングが難しければ、スクリプトを見て学習者がストラテジーや話し手の意図を考えるよう

促すこともできます。

解答例

ほめられた時のこたえ

Listening 20

いえいえ、まだ勉強中なんですよ。

もうアメリカに行って 4年になりますから

ストラテジーと話し手の意図

Listening 20

ほめ言葉を受け入れない+謙遜する

謙遜する(4年も住んでいるのだか

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Listening 21

いやー、いや、そんなことないんですよ、全然。

いや、でも、しょっちゅう間違えるんですよ、ほんとに

もう。

Listening 22

ほんと?ありがとう。そう言ってもらえると嬉しいな。

Listening 23

ん、英語だけは、意外にまあまあなんだけど、他がね

え。

ら当たり前と謙遜している)

Listening 21

ほめ言葉を受け入れない

謙遜する

Listening 22

聞き返す+お礼を言う+ほめられたこ

とに対して肯定的なことを言う

Listening 23

相手に同意する+謙遜する(英語に

ついてのほめは受け入れるが他の科

目の不出来を使ってほめを弱め、謙

遜している)

ほめられた時のこたえでは、ほめられた人がほめ言葉を間接的に受け入れはするものの他の人の

おかげだと言ったりすることもよくあります。下はそのような例やその他のこたえ方の例です (Terao,

1996)。

上手ってわけじゃないけど、好きなんです・言葉を覚えるのは楽しいですね。 “It’s not that I

am good, but I like it(/I enjoy learning language).”

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そんなことないけど、語学は得意な方なんです。 “I don’t think so, but I am sort of better at

languages (than at other subjects).”

すばらしい先生に習ってたので。 “A wonderful teacher taught me.”

学校が英語に力入れてたから。 “My school focused on good English education.”

その他のアクティビティー

学習者のレベルに余裕があれば、ここにある短い会話例や、さらに長い自然な会話例の録画・録

音を用い、会話の構成を学習者が分析することもできます。練習 8 でも扱いますが、ほめ言葉が受け入

れられなかった場合、ほめた人はどのように会話を続けるのでしょうか。また再度ほめられた時にはほ

められた人はどのようにストラテジーを変えたり変えなかったりするのでしょうか。各ターンにはどの

ような機能があり、どのような意図が込められているのか話し合ってみましょう。

練習 7: ほめにこたえる時のストラテジー

指導のポイント

ここでは、練習 6 で分析したストラテジーを整理・復習しながら、様々な表現を学びそれが使わ

れる状況を把握することができます。学習者がわかりにくい表現のニュアンスや丁寧度・直接度などに

ついて授業でコメントするとよいでしょう。

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親しく社会的地位の同等な友達などからのほめ言葉を素直に受け入れることもありますが、日本

語には、ほめを否定したり弱めたりして謙虚さを表現するストラテジーが数多くあります。日本文化で

は相手をほめることによって作られた話し手と聞き手の距離を縮める必要がよくあるからです。

またほめのこたえ方には男性と女性の差があるとの研究もあります。男性は女性よりほめを受け

入れやすく、女性はほめの度合いを弱めたり否定することがより多いと言われています(Koike, 2000)。

ほめのこたえには複数のストラテジーが一緒に使われることもしばしばです。ストラテジーの分

類や解釈も様々なものがあり得るので下の解答例はあくまでも参考にしてください。

なお、同様の追加問題が資料編にもあります。

解答例 1. b; 2. (h), e; 3. c; 4. l; 5. (f), g, (f); 6. (i), l; 7.a, d, 8. c

以下はほめられた時にこたえる様々なストラテジーのまとめです。プラグマティックスの言語面を磨く

ためにこの情報を応用した小テストを作ることもできるでしょう。

ほめにこたえる時のストラテジー

ほめ言葉を受け入れる Accepting

(ほめ言葉に対して)お礼を言う Thanking

(どうも)ありがとう(ございます)。 “Thank you ((so) very much).”

相手に同意する Agreeing/upgrading

なかなかいいでしょう。 “It’s quite good, isn’t it?”

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私も気にいっています。 “I like it too.”

僕も実はそう思うんですよ。 “I actually think so too.”

(ほめられたことに対して)肯定的なことを言う Providing positive comments

そう言っていただけると嬉しいです。 “I’m glad to hear that.”

よかった。 “I’m glad.” (just smile gladly)

ほめ言葉をかわす Deflecting

(「そうですか?」などのように) 聞き返す Questioning

そう(ですか)? “Is that so?”

ほんとに? “Really?”

本当にそう思われますか? “Do you really think so?”

そうかなあ。 “I wonder if that’s true.”

どうでしょうねぇ。 “I don’t know (if that’s true).”

相手をほめ返す Returning a compliment

~さんだってすごいじゃない。 “You are great too, ….”

(ほめられたことに関する) 情報をさらに提供する Offering background information

これは去年買ったんだ。“I bought it last year.”

ほかの人を立てる Shifting credit to others

誕生日に友達がくれたの。 “A friend of mine gave it to me on my birthday.”

驚く Expressing surprise

え? “What(/Excuse me)?”

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謙遜する Downgrading

これね、古いんですよ。 “This is old.”

姉のお下がりなんですけどね。 “Oh, really? It’s an old thing my sister used to own.”

何も言わない・話を変える Providing no answer or shifting topics

ところで、~さんはどうしてる? “By the way, how is …?”

(ほめられたことに対し) 冗談を言う Making a joke

君の目がどうかしたんじゃないか? “There appears to be something wrong with your eyes.”

ほめを否定する Refusing

ほめ言葉を受け入れない Disagreeing with a compliment

いえいえ・いやいや。 “No, no.”

とんでもない。 “Not at all.”

まさか、そんな。 “No way.”

大したこと・ものじゃないんです。 “That’s nothing special.”

そんなことない(んです)。 “That’s not true.”

冗談でしょ。 “You are kidding me.”

またまたそんなお世辞言って。 “You are flattering me again.”

練習 8: ほめる時のトーン

指導のポイント

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ほめる時にはトーンが重要です。トーンとはほめ言葉全体の印象で、声のトーンだけでなく、ジ

ェスチャー・視線・スペース・時間の使い方、助詞や副詞の使い方など、言語・非言語の表現が作り出

す話し手の印象のことです。トーンによって、ほめる表現に誠意がこもって聞こえたりうわべだけに聞

こえたりします。トーンの使い方次第でほめ言葉がどのように聞こえるか練習しましょう。

その他のアクティビティー

学習者にスクリプトを見せて、ペアで感情を込めて上手に読み上げる練習をしましょう。その際、

ほめる表現のトーンや言語以外のジェスチャー・スペースや視線の使い方などに注意するよう指導して

ください。また、お互いのほめ言葉やこたえがどのように聞こえたか話し合わせたり、 などの

ビジュアルで聞いている学習者がフィードバックするのもいいでしょう。または、何組かのペアにダイ

アログを発表させ、クラスでどのようにほめ言葉やこたえが聞こえたか話し合うのもいいでしょう。

練習 9: 力だめし

指導のポイント

他の課と同じように、状況に応じて会話を通して適切な敬語や待遇表現を用いることはほめる時

やほめにこたえる時にも大事です。

練習 1-2 で学習したように、ほめる時にはほめるものを適切に選ぶばかりでなく、ほめ言葉のフ

レーズを注意深く選ぶことで相手や状況に合った適切なほめ方をするのも重要です。

ほめる時は誠意をもって聞こえるよう強める表現を使い強調して発音するように指導しましょう。

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この練習では学習者はまず会話を完成し、その後で会話例を聞き自分の言語表現の使い方につい

て自己評価をします。その際に上記のようなストラテジーに注目するよう指導しましょう。

解答例 上の説明を参照して学習者の解答を分析・評価してください。

ロールプレイではこの問題で習った言語表現の適切な使い方に注意しましょう。ペアでロールプレ

イをしたあと、うまくできたかどうか、ほめ方やこたえ方についての質問やわかりにくい点などを話し

合うことができます。最後に話し合ったことをクラス全体に紹介するといいでしょう。例えば、学習者

同士で以下のようなルーブリックを使ってフィードバックを与え合うこともできます。

1. 学習者同士のフィードバックの例

パートナーとロールプレイを書いたもの(または録音したもの)を交換し、それに基づいて下の質問に

答えなさい。批判的にならず、互いの視点を尊重しあって協力的にフィードバックを交換しましょう。

(パートナー向けのフィードバックもあなたの成績の一部になります。)

Find a partner and exchange your written (or recorded) role-play. Read (or listen to) your partner’s work carefully

and answer the following questions. Remember to be supportive and respectful rather than critical and evaluative in

your review. (Your review will be part of your grade.)

パートナーの言葉の使い方で状況に適切な部分はどこですか。

どの部分があまり適切でなかったですか。なぜそう思いますか。

パートナーにどのような質問やアドバイスがありますか。

お互いにフィードバックを交換してどのようことを学びましたか。

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What makes your partner’s language appropriate for the context?

What makes it less appropriate and why do you think so?

What questions or suggestions do you have for your partner?

What did you learn from this peer review process?

2. 教師による言語面・文化面の評価の例:次のようなルーブリックが言語面の評価として使えます。そ

れ以外の評価表の例もここに挙げておきます。

例 1: ほめる時とほめられた時の言語面の評価

4 –非常に適切・理解可能 very appropriate/comprehensible

3–まずまず適切・理解可能 somewhat appropriate/comprehensible

2–やや適切・理解可能 less appropriate/comprehensible

1–不適切・理解不可能 inappropriate/hardly comprehensible

a. 全体の直接度・丁寧度・フォーマリティー・トーン(です・ますの語尾などの

丁寧度だけでなく、言語全体の印象。音声・音韻だけでなく、助詞や副詞の使い

方・ジェスチャー・視線・スペースの使い方など、言語・非言語の印象

Overall directness, politeness, formality, and tone (e.g., use of intensifiers, word choice,

tone, use of space, eye-contact, and gestures)

4 3 2 1

b. 的確なストラテジーが選ばれているか(適切な話題や、ほめ言葉に使われる語

彙・文法、ほめに対するこたえとしての的確なストラテジー)

Choice of complimenting/responding strategies (e.g., choice of topic and use of

grammar in compliments, choice and use of compliment response strategies)

4 3 2 1

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c. 全体的なわかりやすさ。発音・語彙・文法・前後関係など意図をわかりやすく

伝えているか

Overall comprehensibility, in terms of conveying intention (e.g., pronunciation,

word choice, grammar, sequencing)

4 3 2 1

例 2: ほめにこたえるストラテジーの選択と使い方の評価

ストラテジー Strategies

a. ほめられた時のこたえに使ったストラテジー What compliment response strategies were used?

b. ストラテジーの選択の適切さ (適切、まずまず適切、不適切) How appropriate was the choice

of strategies? (appropriate, somewhat appropriate, less appropriate, inappropriate)

Teacher’s comments:

c. ストラテジーの使われ方の適切さ How appropriate was each strategy used?

Teacher’s comments:

トーン Tone

a. ほめやこたえ方のトーン What tone did the speaker use?

b. ほめやこたえ方のトーンの適切さ (適切、まずまず適切、不適切) How appropriate was the

tone of complimenting/responding? (appropriate, somewhat appropriate, less appropriate,

inappropriate)

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全体の丁寧度 General use of politeness

a. 敬語や待遇表現(普通体(plain form)、丁寧体(です・ます体)、尊敬語・謙譲語)What

(honorific) forms were used? (plain form, desu/masu form, respect form, humble form)

b. 丁寧度の適切さ (適切、まずまず適切、不適切) How appropriate was the choice of politeness

level? (appropriate, somewhat appropriate, less appropriate, inappropriate)

Teachers’ comments:

例 3: 教師による文化面の評価

4 – 非常に適切 very appropriate

3 – まずまず適切 somewhat appropriate

2 – やや適切 less appropriate

1 – 不適切 inappropriate

a. この状況における直接度・丁寧度・フォーマル度

Level of directness, formality, politeness in the interaction in the given context

4 3 2 1

b. ストラテジーやフレーズの選択と使い方

Choice and use of strategies and word choice

4 3 2 1

c. 日本文化の標準的な社会文化習慣に対する理解や適応

Understanding and/or use of sociocultural norms in the target culture

4 3 2 1

d. 日本語の標準的な言語表現と結びついた文化的意味に対する理解や適応 4 3 2 1

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Understanding and/or use of cultural reasoning behind target culture norms

3. 学習者と教師、両者による「話し手の意図」に焦点を当てた評価例

Speaker’s purpose of interaction:

a. 話し手の意図は聞き手の解釈と恐らくどの程度一致するか。To what extent does the speaker’s

intention match the most probable interpretation by the listener?

話し手の意図 Speaker intention: [learner writes]

聞き手の解釈 Most probable interpretation by the listener: [teacher writes]

一致 Match: 4 3 2 1

完全一致 excellent まずまず good あまり fair 不一致 poor

b. 話し手のことばが目的を達成する可能性 To what extent is the speaker’s language use likely to

achieve the speaker’s goal? [teacher writes]

可能性 Likelihood: 4 3 2 1

大 most likely まずまず likely あまり less likely 小 unlikely

学習者と教師が実際に同様の評価を使った例は資料編の第四課「依頼する」にあります。

練習 10: 力だめし

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指導のポイント

この練習では学習者はまず自分で会話を完成し、そのあとで会話例を聞き自分の言語表現の使い

方について自己評価をします。その際状況、適切な丁寧どや待遇表現について評価するように指導して

ください。

ここでは学習者がほめにこたえる側です。仮に学習者が日本語で使われる典型的なストラテジー

を使わなかったなら、それはどのような理由からか探るのも大切です。ストラテジーや語彙の練習が足

りなかった、つまり言語能力の欠如からですか。それとも学習者の文化的背景や価値観から日本語話者

の標準的な言語表現を使うことに何か抵抗があるからでしょうか。学習者は自分のストラテジーの使い

方が聞き手にどのように解釈されるかということに配慮し、日本文化や日本語の標準的な言語表現に対

する十分な理解をしているでしょうか。まだ理解や言語能力が足りない場合には資料編にある追加練習

をしたり、クラス内のディスカッションによってフィードバックしましょう。逆に理解や言語能力が十

分にあるにも関わらずあえて標準的な言語表現を使用しない場合には学習者の自己表現を尊重するのも

大事です。

リスニング 47 と 48で使われた敬語や待遇表現と、ほめられた時こたえるのに使われたストラテ

ジーを復習しましょう。(解答例)

敬語や待遇表現の使い方 ほめられた時のこたえに使われたストラテジー

リスニ

ング 47

「だ体」を使っている(社会的地位が同

じ友人に対して適切)Using the plain form

(appropriate for a friend of equal status)

「そうですか?」などのように聞き返す

Questioning the compliments

(ほめ言葉に対して) お礼を言う Thanking

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リスニ

ング 48

「丁寧体(です・ます体)」を使ってい

る(先生に対して適切)Using the polite

desu/masu form (appropriate for a teacher)

(ほめられたことに関する) 情報をさらに提供

する Offering background information

(ほめられたことに対して)肯定的なことを言

う Providing positive comments

ロールプレイではほめる対象やフレーズの適切さ、こたえのストラテジーの選択と使い方、全体

的な丁寧度、トーンなどに学習者の注意を向けるようにしてください。ペアでロールプレイをしたあと、

うまくロールプレイができたか、この課についての質問やわかりにくい点などについて話し合うことも

できます。最後にペアで話し合ったことをクラスで紹介しましょう。

小テストや筆記テストなどで会話文を完成させるような問題の場合は、以下のように学習者と教

師の両者で行う評価ができます。ここでは教科書にあるような言語面の評価のみならず、学習者の意図

と聞く側の解釈に焦点を当てています。(筆記による評価ではなく、口頭のロールプレイの評価には、

言語面に焦点を当てた練習 9 にあるルーブリックも参照)

学習者と教師、両者による「話し手の意図」に焦点を当てたほめへのこたえの評価例

a) 日本語話者が何とほめにこたえるか書いて下さい。How would most Japanese speakers respond in this

situation?

b) あなたの意図 Your intention

___ 1) 日本社会で一般的に使われているようなこたえ方をしたい I want to respond to compliments the

way most people do in Japan to get my wish granted.

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___ 2) 許される範囲内で、もう尐し(かしこまって・くだけて)(丁寧目に・直接的に)、あるいは

ほかの人よりもっと(____)に聞こえるようにこたえたい I would want my responses to

sound (a little) more (formal/informal), (polite/impolite), or ________ than most other people and get

my wish granted but still within the range of acceptable behavior.

___ 3) 自分の意図を自分なりのやり方で伝える(あるいは伝えないことを選択する)ので、日本社会

の標準的な言語表現に従わない。(この場合は日本語のどの標準的な言語表現を避けたいの

か、どうして避けたいのか書いてください。)I choose not to use common behavior because I

want to communicate my intentions (or not communicate them at all) in my own way. Specify

what Japanese norms you decide not to use and why you don’t want them:

___ 4) その他 Other (Specify: )

c) あなたは何とほめにこたえますか。What would you say?

d) 聞き手の解釈(躊躇する表現・強調表現・トーンなどを考慮):この状況では相手はあなたのほめ

やこたえを恐らくどのように解釈するでしょうか。最も可能性の高いものを一つ選びなぜそのように

思うのか書いてみましょう。Listener’s interpretation (consider your language including hedging expressions,

intensifiers, and tone): How do you think your responses sound to your partner, considering the situation? Check

the option that most likely represent his/her reaction. Then, explain why you think that is the case.

__ 快く会話が進む、なぜなら

The conversation would go smoothly because

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__ 会話が進むが尐しぎこちない、なぜなら

The conversation continues but is a bit awkward because

__ 会話が尐しとどこおる、なぜなら

The conversation becomes stagnant because

教師の評価 Teacher’s Evaluation

1. 日本語話者の標準的な言語表現の運用能力(上記 a, c)

Linguistic ability to use Japanese norms (a and/or c above)

4 3 2 1

非常に高い 高い やや低い 低い

native-like proficient fair poor

2. 聞き手の解釈に関する意識(d)

Awareness of most probable listener’s interpretation (d)

4 3 2 1

高い まずまず あまり 低い

highly aware aware less aware unaware

3. 自らの意図(b) と聞き手の解釈との一致 Match

between b) learner goal/intention and most likely listener’s

interpretation

4 3 2 1

完全一致 まずまず あまり 不一致

excellent good fair poor

総計 Total Score /12

教師のコメント Teacher’s Comments:

学習者と教師が実際にこの表を使った評価例は、資料編の第四課「依頼する」や第五課「断る」の課に

あります。

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その他のアクティビティー

この他の課でも同様ですが、ここに紹介された会話例は日本語話者がどのように話すかというご

く一部の例に過ぎません。学習者のまわりの人がどのようにほめたりほめにこたえたりするのか、学習

者自身がデータを集め、分析するのも有効な方法です。これについては資料編に例が載っていますので

ご参照ください。

この課で紹介されたほめにこたえるストラテジーについて、学習者の個人的な思考や考えと相反

する場合、その点について学習者がどう感じたかについて話し合ってみましょう。(たとえば、「謙譲

の美徳」という考え方にはことに欧米出身の学習者が抵抗を感じる場合など)。また、日本の社会文化

的な規範に沿わないこたえ方をした場合、結果としてどうなるのかについても考えましょう。