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株式会社アナテック・ヤナコ VOCモニタのニーズと 導入事例

VOCモニタのニーズと 導入事例 - METI...VOCモニタ 国内における導入例 雄琴沖総合水質監視所 長良川河川自動観測所 安曇川沖総合水質監視所

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Page 1: VOCモニタのニーズと 導入事例 - METI...VOCモニタ 国内における導入例 雄琴沖総合水質監視所 長良川河川自動観測所 安曇川沖総合水質監視所

株式会社アナテック・ヤナコ

VOCモニタのニーズと導入事例

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ヤナコの創業は…

1910年京都府第1号の農商務大臣の化学用量器の製造免許を得て、化学用量器やフラスコ、ビーカー等硝子器具全般の製造を始めた。当時製造された用量器類には、度量衡法(尺貫法時代) により柳本製作所・柳本富五郎の記号が附してある。 (現:計量法)1921年社名を「柳本製作所」に変更し、京都大学物理学教室などの指導を受け硝子製造工場を建てる。1925年京都大学農学部、志方益三教授からポーラログラフの装置化の要請を受け1927年完成させる。1936年ポーラログラフ事業の拡大にともない、研究用器械の製造工場を設立した。

<省 略>

1985年 旧柳本製作所の環境計測部門が分離独立

株式会社 アナテック・ヤナコとして設立。

1892年(明治25年)柳本富五郎が京都木屋町で柳本商店を創業した。

Dr. ヘイロブスキー博士は、それにより1959年にノーベル賞を受賞した。

会社案内

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2012年分析機器・化学機器遺産に国内初の分析装置として認定(現:㈱ヤナコ機器開発)

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国内初の機器分析装置市販は柳本製作所!

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ポーラログラフの初期モデルと最新モデル

重金属自動測定装置銅、鉛、カドミウム、亜鉛等

(注:同時測定の場合は同一濃度であること)

(Cu, Pb, Cd, Zn, etc.)

用途:河川等の重金属の測定・工場廃水の重金属の測定

SAP-3300

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ヤナコグループ

ヤナコ計測自動車排ガス測定装置ガスクロマトグラフなど

アナテック・ヤナコ水質・ガスの環境測定装置など

ヤナコグループでは各社が技術分野別に環境機器、分析機器を開発しています。

ヤナコ機器開発研究所微量融点測定装置・ポーラログラフ・

ハロゲン測定装置など

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アナテック・ヤナコ製品

全りん・全窒素自動測定装置 COD自動測定装置

水質関係主力製品

各種規制対応及びプロセス対応の計測器を開発・製造しています。

大気関係主力製品

NOx/O2モニタ

VOCモニタ

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国内における導入例

雄琴沖総合水質監視所 長良川河川自動観測所

安曇川沖総合水質監視所 大型放射光施設(SPring-8)

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VOCモニタのニーズと導入事例

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<光化学スモッグ発生の仕組み>

1.揮発性有機化合物(VOC)とは

大気中の浮遊粒子状物質(SPM)や光化学オキシダントの原因物質のひとつ。

塗料、印刷インク、接着剤、洗浄剤等には約200種類のVOCを使用されています。

NOx VOC SO2 NH3BVOC

森 林 自動車・工場・船舶・ビル・家庭・農業・畜産

O3オゾン Ox光化学オキシダント 微小粒子 PM2.5等

光化学反応UV

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公定法(捕集バッグにサンプルガスを採取測定)による測定が義務化。

同時に法的規制対象でない事業者においても自主的な取組みを義務化。

法規制と自主的取組みのベストミックス手法による効率的排出抑制。

各対象事業所においては排ガス処理装置を設置する事例が多くなる。

設置連続測定に適したFID方式の加熱型VOCモニタの設置例が多くなる。

2006年4月1日よりVOC排出規制が施行。

2010年3月31日で猶予期間が終了し、排出基準規制開始。2013年5月 環境省より結果報告

2000年度に比較して2010年度のVOC排出量が目標の30%以上の約44%

削減する事ができた。(次ページを参照)

SPMや光化学オキシダントは一部低減効果が見られるが、まだ不十分。

今後、越境汚染やBVOCの把握及び国際的な取り組みを推進していく。

排出規制

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VOC大気排出量年間推計値の推移

2000年

  2000年   2005年   2006年  2007年  2008年   2009年    2010年  2011年    2012年   2013年

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

特定できない物質 168,879 141,365 132,225 126,955 114,664 105,681 104,416 100,205 99,270 96,137

石油系混合溶剤 190,677 170,964 175,258 169,548 151,041 137,196 129,695 124,041 127,482 126,474

その他の単体溶剤 14,713 12,189 11,923 11,326 9,570 7,872 7,008 7,770 6,923 7,244

ハロゲン系 112,901 59,833 54,855 47,217 44,947 34,702 38,691 35,031 33,025 30,096

エーテル系 2,211 2,028 1,670 1,680 1,397 827 860 866 3,976 3,757

グリコール系 233 467 550 349 328 308 0 0 0 0

エステル系 99,581 111,055 110,706 108,043 97,252 88,495 69,718 69,950 62,590 63,780

ケトン系 72,561 54,468 55,990 50,928 44,450 31,348 34,913 30,440 29,781 32,092

アルコール系 125,224 95,171 98,445 90,194 76,916 73,721 68,824 68,119 64,881 66,512

炭化水素系 611,197 442,901 422,925 398,525 361,040 331,022 322,257 314,207 298,782 298,629

0

100,000

200,000

300,000

400,000

500,000

600,000

700,000

800,000

900,000

1,000,000

1,100,000

1,200,000

1,300,000

1,400,000

1,500,000

VOC大

気排

出量

推計

値〔t/

年〕

VOC大気排出量年間推計値の推移

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2.VOC の測定方法

Ⅰ.VOC濃度の測定

個々のVOCを測定するのではなく、VOCの炭素数を捉えて包

括的に測定する。(Total VOCの測定)

Ⅱ.除外物質の取り扱いについて

メタンとフロン系を除外する。(次ページ参照)

Ⅲ.VOCモニターの測定原理

① 水素炎イオン化検出方式(FID方式)

加熱型VOCモニタ

非加熱型VOCモニタ

② 触媒酸化-非分散形赤外線吸収方式(NDIR方式)

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揮発性有機化合物濃度の測定方法(環境省告示第61号)における

除外物質の取り扱いについて

1.除外物質Ⅰ: 成 分: メタン(CH4)測定方法: GC-FID(ガスクロ法-水素炎イオン化検出器)

2.除外物質Ⅱ: 成 分: HCFC-22、HCFC-124、HCFC-141bHCFC-142b、HCFC-225ca、 HCFC-225cbHFC-43-10mee

測定方法: GC-FID(ガスクロ法-水素炎イオン化検出器)GC-ECD(ガスクロ法-電子捕獲検出器)GC-MS(ガスクロ法-質量分析器)

3.TVOC濃度から別途ガスクロ法で測定した除外物質Ⅰ,Ⅱの濃度を差し引く方法とする。但し以下の場合は除外物質を測定して、その濃度を差し引く必要はない。

① 除外物質を使用していない、又は発生させていない場合② TVOC濃度が排出基準値を超えない場合

4.地球の大気中には元々2 ppmC程度のメタンが存在するので、メタンを使用していない、又は発生させておらず、メタン濃度を測定しない場合であっても、TVOC濃度から2 ppmCを差し引くことができる。

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① FID方式

H2又は40%H2/He

Sample

助燃空気

水素炎

連続導入

指示計へ

プリアンプイオンコレクタ

CH CHO+ + e-

酸化

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FID方式概要

・多くの有機化合物に感度があるので様々な物質を測定可能ですが、ホルムアルデヒドには感度はありません。

・ 広い測定範囲で直線性 (高いダイナミックレンジ)

・ Cナンバーに比例した濃度測定を基本とします

・ しかし必ずしも感度:相対感度は1.0ではない

・ 操作ガス(H2又は40%H2/He)が必要

・ 非加熱型VOCモニタの場合、吸着しやすい成分や濃度が高い場合、 測定値に

影響がある場合がありますので、弊社は、この影響を少なくした加熱型VOCを

採用しています。 (試料入口から出口までを約130℃に恒温)

HCHO(ホルムアルデヒド) CH3CHO(アセトアルデヒド)

H-C-H=

O

CH3-C-H=

O

感度なし 感度有り

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② 触媒酸化+NDIR方式 (CO2計)

触媒酸化炉

NDIR

サンプル入口 三方弁

①サンプル中のCO2+酸化されたCO2

②サンプル中のCO2

①-②=酸化されたCO2(VOC)

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触媒酸化+NDIR方式概要 (CO2計)

・触媒酸化能力が十分であれば、感度もよく、Cナンバーに比例した 濃度測定が可能

・操作ガスが不要

・触媒の能力に測定が依存(触媒の被毒等)します。

測定対象に触媒毒(金属化合物等)が、存在する場合、原理上逆転現象が生じます。

・試料ガス中のCO2濃度が高い場合は使用不可

・流路切換による脱吸着応答の問題あり

試料によっては、流路や触媒に吸着し、遅れて検出器に到達

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加熱型VOCモニタの流路構成

圧力計

水素炎イオン化検出器

サンプルフィルタ

サンプルリングポンプキャピラリ1

キャピラリ2

水素ガス

助炎ガスバルブ

排出1

排出2(圧縮調整器へ)

サンプルガス入口

VOCモニタ流路概要図

恒温槽 約130℃

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排出量の多いVOCの上位は、高沸点VOCが多い。

トルエン(沸点110.6℃)、o-キシレン(沸点144.4℃)、m-キシレン(沸点 139.1℃)p-キシレン(沸点138.4℃)、1,3,5-トリメチルベンゼン(沸点164.7℃)、酢酸エチル(沸点76.8℃)、デカン(沸点174.1℃)

沸点がVOCモニタの加熱温度(約130℃)より高い場合でも目安として、

蒸気圧の約1/20~1/30以下の濃度であれば、測定可能です。

★ドデカン(C12H26)沸点215℃ 130℃の蒸気圧=7.4kPa

1/20~1/30の蒸気圧=0.25~0.37kPa体積濃度=0.25~0.37kPa/101.32kPa=2500 ~3700 volppm

=30000~44400 volppmC★NMP(N-メチル-2-ピロリドン,C5H9NO)

沸点202℃ 130℃の蒸気圧=10.7kPa

1/20~1/30の蒸気圧=0.36~0.54kPa体積濃度=0.36~0.54/101.32kPa=3600~5300 volppm

=18000~26500 volppmC

加熱型VOCモニタの温度

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-100

-50

0

50

100

150

200

250

0.10 1.00 10.00 100.00 1000.00

温度

〔℃

蒸気圧〔kPa〕

ドデカン

NMP

デカン

1,3,5-トリメチルベンゼン

o-キシレン

トルエン

酢酸エチル

排出量上位VOC成分などの蒸気圧曲線

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加熱型・非加熱型モニタによる捕集バック中のVOC測定比較(公定法)

高沸点VOCを含んだサンプルガスの場合

-500

0

500

1000

1500

2000

2500

3000

-2 0 2 4 6 8

指示値

(ppm)

時間(min)

バッグ測定における応答性比較

(パラフィン混合ガス導入)

加熱型 非加熱型

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[ppmc]

10000

9000

7000

8000

6000

5000

4000

3000

2000

1000

[sec]

0 10 20 30 40 50 60

0

パラフィン混合溶液〔ドデカン(沸点216℃)が約70wt%〕

加熱ラインの場合

非加熱ラインの場合

常温の時は明らかに吸着による応答遅れが生じています

高沸点VOCガスの加熱導管と非加熱導管測定比較

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[ppmc]

10000

9000

8000

7000

6000

5000

4000

3000

2000

1000

[sec]

0 10 20 30 40 50 600

シリコーンオイル(沸点210℃)

同様に、シリコーンオイル、o-キシレンについてもデータ比較を行いました。

n-キシレン(沸点144℃)[ppmc]

3000

1000

2000

00 700 800200 300 400 500100 600

加熱ラインの場合

非加熱ラインの場合

加熱ラインの場合

非加熱ラインの場合

o-キシレン(沸点144℃)

[sec]

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MFC

マイクロシリンジ(VOC溶剤を注入)

約2L/minサンプリング導管

加熱導管(約130℃)5m(内径φ4,テフロン)

または非加熱導管(約25℃)5m

(内径φ4,テフロン)

約2L/min

マスフローコントローラ 気化部

VOCガス発生器

加熱VOCモニタEHF-770V

約130℃

キャリアガス(空気)

VOCエバポレータ

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「加熱型」VOCモニタ EHF-770Vの特長は

「加熱型」のVOCモニタは、公定法の捕集バック測定における1サンプル当たりの測定時間が短いので効率よく測定できます。

特に、高濃度、高沸点のガスでは、歴然とした差があります。

「加熱型」のVOCモニタは、全サンプルラインを加熱するので、

「非加熱型」の装置と比べて、沸点が高いガスでも吸着することが

殆どありませんので、広範囲のVOCガスを迅速連続測定することが可能です。

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3.加熱型VOCモニタの測定範囲(レンジ)

JIS B 7989:2008

「排ガス中の揮発性有機化合物(VOC)の自動計測器による測定方法」

「0~500 から0~5000 volppmC」

環境省告示第61号に示されている「VOC濃度の測定法」

「分析計が測定できる濃度範囲は、10~5000 volppmCとする。」

弊社VOCモニタのEHF-770Vは

「0~100、200、500、1000、2000、5000、10000 volppmC」

の7レンジを標準としています。

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高濃度レンジ(0~30000、50000 volppmCなど)の用途

爆発管理・回収プラントの制御・・・・溶剤回収プラントの工程の中で濃縮されて、非常に高濃度のVOCガスが存在する事があるため、爆発事故を未然に防ぐという目的の一つの手段として用いられています。

本来個々のVOC成分の濃度を爆発下限(LEL)の1/4や1/2以下に

抑える事が必要ですが、手間と時間がかかってしまい、要求される迅速な対応ができません。

FID方式の加熱型VOCモニタは応答も速いので、

トータルVOC濃度出力(volppmC)を爆発管理の1つの目安として監視しています。

高濃度、高沸点VOCに対して迅速にキレ良く測定出来る

加熱型VOCモニタ

が注目されています。

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(NMPのLEL濃度については某社の社内数値を採用しました。)(メタンはVOCではありませんが参考までに記載します。)

以上より安全を見て加熱型VOCモニタのVOC濃度出力 50000~60000 volppmC がトータルVOC成分の爆発下限(LEL)と考える事ができます。

各VOC測定対象成分が爆発下限濃度になった場合の加熱型VOCモニタの出力(なお、加熱型VOCモニタはプロパン標準ガスで校正しますので、プロパンの

相対感度は1.00となります。)

成分 LEL濃度(ppm) 炭素数 相対感度濃度出力

(volppmC)

プロパン 22000 3 1.00 66000

メタノール 73000 1 0.74 54020

アセトン 30000 3 0.76 68400

酢酸エチル 25000 4 0.70 70000

トルエン 14000 7 1.00 98000

キシレン 10000 8 1.05 84000

NMP 18000 5 0.70 63000

メタン 53000 1 1.25 66250

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4.サンプルガス中の酸素濃度変化に対する干渉

JIS B 7989:2008

「排ガス中の揮発性有機化合物(VOC)の自動計測器による測定方法」

性能規格 : 酸素濃度が0~21vol%変化しても「変化幅が10%以下」

加熱型VOCモニタEHF-770Vでは、酸素影響を受けにくいFID検出器を

搭載していると同時に、独自のサンプル希釈方式を採用していますので、

3台のVOCモニタで実験の結果

酸素濃度が0~21vol%変化しても「変化幅が5%以下です。」

-10.0 -8.0 -6.0 -4.0 -2.0 0.0 2.0 4.0 6.0 8.0

10.0

0.00 5.00 10.00 15.00 20.00 25.00

干渉

率〔%〕

酸素濃度〔vol%〕

VOC計(EHF-770V)酸素干渉データ例

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JIS B 7989:2008

「排ガス中の揮発性有機化合物(VOC)の自動計測器による測定方法」

「感度(相対感度)」:「プロパンを用いて校正した計測器によって、濃度既知のVOCを含むガスを測定

した時に得られる指示値の値付けされた濃度(分析値)に対する百分率。」

高沸点のVOCや吸着性の強いVOCガスについては、ほとんど標準ガスを製作する事ができません。

このような高沸点VOCなどの相対感度を簡単に算出する方法を、

「標準ガスに対する揮発性有機化合物ガスの相対感度を算出する方法、およびそれを用いて算出された相対感度データを有する水素炎イオン化形分析計」

特許取得

使用されているVOCの標準ガスが手に入らない為に相対感度が算出できない、

対象となるVOCそのものの濃度値を知りたい

是非、ご相談下さい

5.相対感度

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MFCキャリアガス(空気)

マイクロシリンジ(VOC溶剤を注入)

加熱導管

マスフローコントローラ 気化部

VOCエバポレータ

加熱VOCモニタEHF-770V

特許取得のVOCエバポレータにて、相対感度算出可能です。

(プロパン校正)

・測定対象ガスが、多成分の混合で個別分析が必要な場合、GC等による分離分析になりますが、測定対象ガスが、単一成分であり、事前に上記の手法により相対感度が確定されていれば、逆算によりVOC濃度(ppmC)から単一成分のおおよその絶対値(ppm)を算出可能です。

Ex. NMP15750ppmC( LELの約25% )をVOCモニタが指示している場合

15750ppmC ÷ 0.70(相対感度) ÷ 5〔炭素数〕 =4500〔ppm〕

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N-メチル-2-ピロリドン(NMP)の相対感度算出例NMP溶剤を一定量気化させてVOC計に導入する事により、VOC計における校正ガス(プロパン標準

ガス)に対するNMPの相対感度を算出する。

相対感度 R=Cm/Cc

Cm : THC計の指示値から得られたNMP溶剤ガスの平均濃度〔ppmC〕Cc : 下記の計算式で算出されたNMP溶剤ガスの平均濃度〔ppmC〕

Cc=1.344×106(n×v×d/m×f×t)n : NMP分子に含まれる炭素数〔個〕 =5V : マイクロシリンジで注入したNMPの液体量〔μL〕d : NMP溶剤の比重 =1.028m : NMPの分子量 =99.13f : キャリアガス流量(0℃ 1atm)〔SLM〕 =2.0〔SLM〕

t : VOC計(THC計)指示値の立ち上がりから下がり終わる間での時間〔sec〕

Cc=1.344×106(5×v×1.028/99.13×2×t)

=34844×(v/t)

試験結果は以下の通り

仮に、4500ppm濃度(LELの約25%)のNMP溶剤ガスがこのTHC計へ導入された場合、4500〔ppm〕×5〔炭素数〕×0.70(相対感度)=15750ppmCの指示値を示す事になる。

v f t計算値 実績値 相対感度

Cc Cm Cm/Cc

2 2 23.4 2978 2086 0.700

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各VOCの感度(相対感度)例VOCモニタ EHF-770V

C3H8標準ガスにて校正

成分名 沸 点感度

(相対感度)備 考

トルエン 110.6℃1.02 トルエン標準ガスにより試験

(環境省仕様 0.90~1.05)

酢酸エチル 77℃ 0.71酢酸エチル標準ガスにより試験

(環境庁仕様 0.70以上)

トリクロロエチレン 86.6℃ 1.08トリクロロエチレン標準ガスにより試験

(環境省仕様 0.95~1.10)

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オルト-キシレン 144.4℃ 1.06VOC-EVAPORATORから発生させたガスにより試験

メタ-キシレン 139.1℃ 1.05VOC-EVAPORATORから発生させたガスにより試験

パラ-キシレン 138.4℃ 1.05VOC-EVAPORATORから発生させたガスにより試験

n-ヘプタン 98.4℃ 1.02VOC-EVAPORATORから発生させたガスにより試験

アセトン 56.2℃ 0.76VOC-EVAPORATORから発生させたガスにより試験

メチルエチルケトン 79.6℃ 0.78 MEK標準ガスにより試験

メタノール 64.7℃ 0.74VOC-EVAPORATORから発生させたガスにより試験

エタノール 78.32℃ 0.73VOC-EVAPORATORから発生させたガスにより試験

イソプロピルアルコール 82.4℃ 0.79VOC-EVAPORATORから発生させたガスにより試験

シクロヘキサノン 155.7℃ 0.86VOC-EVAPORATORから発生させたガスにより試験

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6.腐食対策

FID方式の加熱型VOCモニタEHF-770Vではその対策として、① 可能な限り耐腐食性に優れている白金を使用② FID検出器内面をフッ素樹脂コーティング③ FID検出器からの排気ガスは装置内部へ拡散しないように外部へ排出する構造

有機塩素系VOC(ジクロロメタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレンなど)

塩素ガスや塩酸ミストが発生NDIR方式のサンプルセルパイプやFID方式のFID検出器の内部を劣化腐食

トラブルの原因

高い効果トラブルが激減

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連続測定用VOCモニタを設置する場合、下記打合せが必要です。

① 測定対象VOC成分等によりサンプリング導管を非加熱のテフロン管にするのか

或いは加熱導管にするのか。 水分量は?

② 1台のVOCモニタを用いて複数のサンプリングポイントを切換えて測定する場合

サンプリングポイント数は?

必要な測定範囲(レンジ)は?

自動切換えか、手動切換えか?

流路切換部を加熱型とするか非加熱型とするか?

③ VOCモニタからサンプリングポイントまでの距離は?

VOC内蔵のサンプリングポンプの能力で吸引する事ができるか、

遅れ時間がどの程度かを事前に計算します。

7.設置型VOCモニタの検討

連続測定の場合、ユーザ側のDCS(Distributed Control System)で瞬時値と20分間移動平均値を演算連続記録して、公定法による測定値と対比監視されている例が多い。

設置型VOCモニタによる連続測定の要求が多くなっています

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△P = 2.045×10-7×Q2×F/P1

F = 1.2053×106/d5.31

ここで △P : 配管1m当たりの圧力降下 〔kg/cm2〕

Q : 流量 〔L/min〕

(大気圧状態、常温)

P1: 配管入口の圧力 〔kg/cm2 abs.〕

d : 配管内径 〔mm〕

d5.31の値を計算すると以下のようになります。

配管内径d=4mmの時 d 5.31= 1573.8

配管内径d=5mmの時 d 5.31= 5146.7

配管内径d=6mmの時 d 5.31=13551.4

配管内径d=8mmの時 d 5.31=62432.1

※ 古い資料ですので、SI単位で表現していない点も一部有ります。また高真空ではこの式は利用出来ないようですが

低真空であれば利用できる様です。)

配管径、空気の流量と圧損失の関係式

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導入事例

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屋外設置型

屋内設置型

RTO等

・作 業 環 境 測 定・爆発下限界測定

(LEL)

VOCモニタ用途

施設内

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燃焼装置の種類

処理効率の把握 (2系列仕様にて処理前・処理後)

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RTO燃焼工程

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④ 設置型キュービクル仕様:非加熱型3流路自動切換部付加熱型VOCモニタ例

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⑤ 設置型ラック仕様:加熱型3流路手動切換部付加熱型VOCモニタ例

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設置型VOC自動計測器 国内設置例蓄熱燃焼式排ガス処理装置RTO (Regenerative Thermal Oxidizer)直下

VOC発生源

VOCガス

排出口

VOCモニタ

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更新予定の装置とデータ確認のため平行運転試験中

EHF-770V 設置型

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CCL(Continuous Coating Line) LEL管理

鋼板導入

塗布→焼付

製品(カラー鋼板)

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設置型VOC自動計測器 海外設置例江蘇省某日系工場

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本日はご静聴頂きまして

誠に有り難うございました。

株式会社アナテック・ヤナコ