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1/2 http://www.meisho-do.co.jp Meisho-do Creative Report Vol.20 July 01,2013 QuarkXPressからInDesignへのコンバート QuarkXPressデータを資産として活かすためには InDesignへコンバートすることが必須となります。 当社では豊富な実績で精度の高いコンバートデータをご提供いたします。 ■InDesignへのコンバート作業について IDは発売当初からQXデータを開くことができまし た。これまでレイアウトソフト同士のデータ互換性と いうのは皆無だっため、これは画期的なことであり、 多くのQXデータがIDに作りかえられました。 しかし、IDでQXデータを開いても、組版エンジン の違いやオブジェクトの設定項目の差違などにより、 完全な再現ができるわけではありません。また、元の QXデータの作りが複雑であればあるほど、崩れる部 分が多くなります。 当社では再現精度の高いコンバートを可能にするた め、支援ツールを導入し、より効率的に作業を行って います。また、数多くの作業実績から不具合の発生し やすい箇所を洗い出し、コンバート作業マニュアルを 作成しております。 先に述べたとおり、元QXデータの状態によって作 業内容や必要な時間が変わってきます。そのため、作 業前に見本データをお預かりし検証させていただいて おります。詳しくは、担当営業までお気軽にお問い合 わせください。 ■QuarkXPressとInDesign 2000年代初頭まで、DTPレイアウトソフトのスタ ンダードとして確固たる地位を確立していたのは QuarkXPress(以下QX)でした。しかし、MacOS X やOpenTypeフォントへの対応の遅れが影響し、2007 年に発売されたInDesign(以下ID)CS3にその座を譲 ることになりました。IDの機能や操作性は多くのデ ザイナーから高評価を得て、その後も着実にユーザー を増やしていきました。QXもVer6.5よりMacOS X対 応となりましたが、現在までシェア奪回を果たすこと はできていません。 そのような状況ですが、実際にはQXのVer3.3Jや Ver4.1JといったOS9バージョンで制作された書籍デー タがまだ多く存在しています。再版や改訂新版などを 制作する際、これらのデータを使用したほうがコスト 面でメリットがあります。しかし、一部の大手印刷会 社ではOS9環境のQXデータの入稿受け付けをすでに 取りやめています。そのため、過去のQXデータを資 産として活かすためには、IDへのコンバートが必要 なのです。 QuarkXPressデータをInDesignで開いた際に起こる不具合 フォント形式の違い QXではCIDもしくはOCFが使われているため、 OTF環境ではフォントが正しく認識されない。 RGB色の混入 RGBの白が自動的に混入するため、置き換える 必要がある。 文字組版設定の乱れ 組版エンジンが違うため、設定を置き換える必 要がある。 ページサイズの乱れ ページサイズの設定に微妙な誤差が発生するこ とがある。 配置画像の比率の乱れ 画像の貼込比率が変わることがある。 グラデーションの乱れ グラデーションの方向が変わることがある。 罫線などのオブジェクトの乱れ 罫線の設定や角Rの設定が変わることがある。 ◀RGBの白の混入 ◀グラデーシ ョンの方向の 変化と、オブ ジェクトの設 定の変化

Vol.20 QuarkXPressからInDesignへのコンバート

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Meisho-do Creative Report Vol.20 July 01,2013

QuarkXPressからInDesignへのコンバートQuarkXPressデータを資産として活かすためにはInDesignへコンバートすることが必須となります。

当社では豊富な実績で精度の高いコンバートデータをご提供いたします。

■InDesignへのコンバート作業について IDは発売当初からQXデータを開くことができました。これまでレイアウトソフト同士のデータ互換性というのは皆無だっため、これは画期的なことであり、多くのQXデータがIDに作りかえられました。 しかし、IDでQXデータを開いても、組版エンジンの違いやオブジェクトの設定項目の差違などにより、完全な再現ができるわけではありません。また、元のQXデータの作りが複雑であればあるほど、崩れる部分が多くなります。 当社では再現精度の高いコンバートを可能にするため、支援ツールを導入し、より効率的に作業を行っています。また、数多くの作業実績から不具合の発生しやすい箇所を洗い出し、コンバート作業マニュアルを作成しております。 先に述べたとおり、元QXデータの状態によって作業内容や必要な時間が変わってきます。そのため、作業前に見本データをお預かりし検証させていただいております。詳しくは、担当営業までお気軽にお問い合わせください。

■QuarkXPressとInDesign 2000年代初頭まで、DTPレイアウトソフトのスタンダードとして確固たる地位を確立していたのはQuarkXPress(以下QX)でした。しかし、MacOS XやOpenTypeフォントへの対応の遅れが影響し、2007年に発売されたInDesign(以下ID)CS3にその座を譲ることになりました。IDの機能や操作性は多くのデザイナーから高評価を得て、その後も着実にユーザーを増やしていきました。QXもVer6.5よりMacOS X対応となりましたが、現在までシェア奪回を果たすことはできていません。 そのような状況ですが、実際にはQXのVer3.3JやVer4.1JといったOS9バージョンで制作された書籍データがまだ多く存在しています。再版や改訂新版などを制作する際、これらのデータを使用したほうがコスト面でメリットがあります。しかし、一部の大手印刷会社ではOS9環境のQXデータの入稿受け付けをすでに取りやめています。そのため、過去のQXデータを資産として活かすためには、IDへのコンバートが必要なのです。

QuarkXPressデータをInDesignで開いた際に起こる不具合

❶フォント形式の違いQXではCIDもしくはOCFが使われているため、OTF環境ではフォントが正しく認識されない。❷RGB色の混入RGBの白が自動的に混入するため、置き換える必要がある。❸文字組版設定の乱れ組版エンジンが違うため、設定を置き換える必要がある。❹ページサイズの乱れページサイズの設定に微妙な誤差が発生することがある。❺配置画像の比率の乱れ画像の貼込比率が変わることがある。❻グラデーションの乱れグラデーションの方向が変わることがある。❼罫線などのオブジェクトの乱れ罫線の設定や角Rの設定が変わることがある。

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フォント検索のリストから不足フォントの「!」がすべて無くなったらフォント置き換え完了です。

コンバートの際にドキュメントサイズが変わってしまうことがあります。「ドキュメント設定」でサイズが正しいか確認します。

ジャスティフィケーションを調整します。見開き単位で全選択し、段落メニューの「ジャスティフィケーション」を開き「文字間隔」がすべて0になっているか確認します。

スウォッチにRGBの白が入っているので削除して「紙色」に置き換えます。

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環境設定の「テキスト」の「段落全体に行送りを適用」にチェックを入れます。

貼り込んである画像の縦横比率が変わっていたりトリミングが変わる可能性があるので元QXと同じ状態かどうか全てチェックします。「エッジの検出」の機能が勝手に働いて角版がキリヌキのようになったり、またその逆になったりすることもあります。またTIFFの2階調をQX上で色を付けていたものは色が飛んでしまう場合もあるので元のように色をInDesign上で色を付けます。

グラデの方向が変わる可能性が高いのでグラデはすべてチェックします。また、部品の破線や角Rも変わりやすいのですべてチェックします。

オブジェクトの前後関係が変わってしまうことがよくあります。オブジェクトが重なっている箇所はすべてチェックします。

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◀RGBの白の混入

◀グラデーションの方向の変化と、オブジェクトの設定の変化

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Meisho-do Creative Report Vol.20 July 01,2013

当社のコンバート作業の標準的な流れ

コンバート支援ツールでの変換作業 OCFもしくはCIDフォントのOTFへの置き換えや、ベースラインの位置修正、段落設定の変換などを一度に行います。

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【校正時ご注意いただきたいポイント】 コンバートの校正をしていただく際にご注意いただく点は以下となります。

・オブジェクトの前後関係の変化・テキストのリフロー・画像比率の変化・罫線やグラデーションの変化・�書体の変化や文字化け(特に発音記号など特殊な文字については化ける可能性が高い)

 当社にて完全内校を行うことも可能です。ただし文字については、フォントの形式をOTFにする関係上、字切りや字形の変化が必ず発生します。(右図)

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5「セット」を「明昌堂コンバート用」にします。

6 「カレント文書を処理」を選択するとそのまま処理が始まります。

7 フォルダごとに一括で処理する場合はセットを5同様に確認してから「Folderを処理(qxd)」を選択します。フォルダ選択のダイアログが表示され、フォルダを指定するとフォルダ内のすべてのQXファイルを自動でコンバートしてくれます。ファイルを開いておく必要はありません。処理終了後各ファイルに対して以降の作業となります。

TIPSOpenQがしてくれることOpenQの処理ではモリサワOTFへのフォント置き換え、BOXベースライン位置修正、各種段落設定の変換、コンバート時に崩れる角Rの修正のほか、リンクファイルの拡張子付加と再リンクも行ってくれます。

TIPS Folder処理されないファイルがある場合ファイル名をノンブルのみ等変えると処理される場合があるようです。どうしても処理されない場合はカレント文書で処理してください。

フォントの変換作業 コンバート支援ツールでは変換しきれないフォントは手動でOTFフォントに変換します。

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8 次にリンクしている画像ファイルの名前をName Validatorでチェック・修正します(標準マニュアル0001参照)。OpenQでもある程度修正してくれますが、漏れがあるのでここですべて確認します。OS9環境のイラレはコンバートするInDesignのバージョンに合わせて上げて下さい(OCF・CIDフォントもOTFに置き換え)。

9リンクファイルの名前を修正していると移動になりリンクのアラートが出るので、自動修復を選び、正しいファイルに手動でリンクし直します。リンク修正が終わったら正しい名前で保存します。

フォントワークスやじゅん201などいくつか置き換わらないものがあるので置き換えます。フォント検索でCIDをそれぞれのOTFに置き換えていきます。ビブロスも同様にOTFに置き換えますが、オーバーライドの警告が出ることがあります。これはビブロスでしか出ない文字(記号など)があることを意味します。そのまま「OK」を押して置き換えを続け、後で残ったビブロスの書体で検索して使用個所を探し、手動で正しい文字に直します。

TIPSCIDフォントを使う場合CIDとOTFは文字の形が若干違います(特に数字)。文字の形をどうしてもCIDのままにしたいケースの場合はフォントをCIDのままコンバートすることも出来ます。フォント置き換えの必要がなく、リフローする頻度も減りますが、将来的なデータ使用を考えるとあまりお勧め出来ません。

段落設定の変換作業 コンバート支援ツールでは変換しきれない段落設定を検索機能により置き換えます。

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体裁の目視確認 体裁的に崩れている箇所やフォントの変換によりリフローしている箇所を調整します。

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「連数字」の設定をします。検索置換で「検索形式:」をクリックします。検索対象は「ドキュメント」にしておきます。

「連数字処理」をチェックします。同様に「置換形式:」をクリックして「連数字処理」をOFFにします。

1「すべてを置換」を押して連数字のチェックをOFFにに置き換えます。

ここをクリック

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環境設定の「テキスト」の「段落全体に行送りを適用」にチェックを入れます。

貼り込んである画像の縦横比率が変わっていたりトリミングが変わる可能性があるので元QXと同じ状態かどうか全てチェックします。「エッジの検出」の機能が勝手に働いて角版がキリヌキのようになったり、またその逆になったりすることもあります。またTIFFの2階調をQX上で色を付けていたものは色が飛んでしまう場合もあるので元のように色をInDesign上で色を付けます。

グラデの方向が変わる可能性が高いのでグラデはすべてチェックします。また、部品の破線や角Rも変わりやすいのですべてチェックします。

オブジェクトの前後関係が変わってしまうことがよくあります。オブジェクトが重なっている箇所はすべてチェックします。

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リフローしている個所を調整して入れ込みます。まれに長体の方向(縦と横)が入れかわったのが原因でリフローしている場合もあるので元と同じ方向に修正します。リフローが完全に無くなるまで調整します。

発音記号などの特殊な記号は文字化けする可能性が高いので使用している個所は目視で確認します。

最後に全体的におかしな所が無いかチェックしたら、パッケージして完了です。

Pérfüme 1st Alübum1234567890 ←全角数字:新ゴ M(OTF)1234567890 ←全角数字:新ゴM(CID)

1234567890 ←全角数字:太ゴ(OTF)1234567890 ←全角数字:太ゴ(CID)

ABCDEFGHIJKLMN ←半角欧文:太ゴ(OTF) ABCDEFGHIJKLMN ←半角欧文:太ゴ(CID)

▲全角数字の字形の相違や、半角欧文の字送りが変化する