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- 1 - (亡)X 1 承継人 X1の1 X1の2 X1の3 X2 X3 X4 X5 X6 X7 X8

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- 1 -

命 令 書

申 立 人 (亡)X 1 承 継 人

X1の1

X1の2

X1の3

申 立 人 X2

申 立 人 X3

申 立 人 X4

申 立 人 X5

申 立 人 X6

申 立 人 X7

申 立 人 X8

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- 2 -

申 立 人 X9

申 立 人 X10

申 立 人 (亡)X 11 承 継 人

X11の1

X11の2

X11の3

申 立 人 X12

申 立 人 X13

申 立 人 X14

申 立 人 X15

申 立 人 X16

申 立 人 X17

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- 3 -

申 立 人 X18

申 立 人 X19

申 立 人 X20

申 立 人 (亡)X 2 1 承 継 人

X21の1

申 立 人 X22

申 立 人 (亡)X 2 3 承 継 人

X23の1

X23の2

申 立 人 X24

申 立 人 X25

申 立 人 X26

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- 4 -

申 立 人 X27

申 立 人 X28

申 立 人 X29

申 立 人 X30

申 立 人 X31

申 立 人 X32

被申立人 株式会社明治

代表取締役 Y1

上記当事者間の都労委平成6年不第55号事件について、当委員会は、平成25年

6月18日第1588回公益委員会議において、会長公益委員荒木尚志、公益委員白井

典子、同房村精一、同篠崎鉄夫、同岸上茂、同後藤 春、同稲葉康生、同馬越惠

美子、同平沢郁子、同栄枝明典、同森戸英幸、同水町勇一郎の合議により、次の

とおり命令する。

主 文

1 申立人X19 及び同X32 の申立てを却下する。

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2 申立人X19 及び同X32 を除く申立人30名の平成元年度ないし4年

度における昇給・昇格差別に係る申立てを却下する。

3 その余の申立てを棄却する。

理 由

第1 事案の概要及び請求する救済の内容の要旨

1 事案の概要

⑴ 本件救済申立て以前の当委員会の命令等について

昭和60年4月18日及び61年3月19日、申立外明治乳業労働組合市川支部

(以下「市川支部」という。)所属の組合員32名は、被申立人株式会社明

治(以下「会社」という。なお、当時の商号は「明治乳業株式会社」であ

る。)が同人らの組合活動を嫌悪し、同人らを不利益に取り扱うため、会

社の職分・賃金制度のもとで、人事考課制度を恣意的に運用し、他の支部

組合員と差別して昇給・昇格を行い、その結果として市川支部の運営に支

配介入する不当労働行為を行ったとして、当委員会に救済申立てを行った

(昭和60年不第27号、昭和61年不第20号及び21号事件。以下、併せて「市

川工場事件」という。)。かかる救済申立てに対し、当委員会は、平成8年

9月11日、申立期間を徒過していること等を理由に当該申立ての一部を却

下し、その余の申立てを棄却した(以下「市川工場事件都労委命令」とい

う。)。

市川工場事件における申立人ら(以下、第1の1⑴における「申立人ら」

は全て市川工場事件における申立人らを指す。)は、市川工場事件都労委

命令を不服として、中央労働委員会(以下「中労委」という。)に対し、

再審査申立てを行ったが、14年1月9日、中労委は、申立人らの再審査申

立てを却下及び棄却する旨の命令を下した(以下「市川工場事件中労委命

令」という。)。さらに、申立人らは、市川工場事件中労委命令を不服とし

て、東京地方裁判所(以下「東京地裁」という。)に対して、市川工場事

件中労委命令の取消しを求めて訴えを提起したが、16年5月31日、東京地

裁は、申立人らの上記訴えに対し、却下及び棄却する旨の判決を下した(以

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下「市川工場事件東京地裁判決」という。)。その後、申立人らは、市川工

場事件東京地裁判決を不服として、東京高等裁判所(以下「東京高裁」と

いう。)に対して控訴したが、19年3月28日、東京高裁は、申立人らの控

訴を棄却する旨の判決を下した(以下「市川工場事件東京高裁判決」とい

う。)。さらに、申立人らは、市川工場事件東京高裁判決を不服として、最

高裁判所に対して、上告の提起及び上告受理の申立てをしたが、21年2月

17日、最高裁判所は、上告棄却及び上告不受理の決定を行った。

⑵ 本件救済申立て

本件は、市川工場事件に続いて、下記で詳述する全国9事業所に所属す

る32名の組合員が、会社が同人らの組合活動を嫌悪し、同人らを不利益に

取り扱うため、会社の職分・賃金制度のもとで、他の支部組合員と差別し

て昇給・昇格を行い、その結果として組合支部の運営に支配介入する不当

労働行為を行ったとして、6年7月6日に、当委員会に職分・号給及び賃

金の累積格差の是正等の救済を求めて申し立てた事案である。

2 請求する救済の内容の要旨

⑴ 会社は、申立人らの平成元年度ないし5年度の各職分及び各号級につき、

年度ごとに、その年の4月1日に遡って申立人らが求める職分・号級にそ

れぞれ格付けすること。

⑵ 会社は、申立人らに対し、元年度ないし5年度の各年度につき、申立人

らが求める差別賃金額及びこれに対する年6分の割合による金員をそれ

ぞれ支払うこと。

⑶ 会社は、申立人らに対し、団結権侵害による損害賠償及び慰謝料として、

各金300万円を支払うこと。

⑷ 会社は、申立人らに対し、将来にわたって、職分、職務内容、賃金等に

つき、労働組合活動を理由とする差別を行わないこと。

⑸ 陳謝文の手交及び掲示

第2 認定した事実

1 当事者等

⑴ 申立人X1 (以下「X1」という。)、同X2 (以下「X2」と

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いう。)、同X3 (以下「X3」という。)、同X4 (以下「X4」と

いう。)、同X5 (以下「X5」という。)、同X6 (以下「X6」と

いう。)、同X7 (以下「X7」という。)、同X8 (以下「X8」と

いう。)、同X9 (以下「X9 」という。)、同X10 (以下「X

10」という。)、同X11 (以下「X11」という。)、同X12 (以下「X

12」という。)、同X13 (以下「X13」という。)、同X14 (以下「X

14」という。)、同X15 (以下「X15」という。)、同X16 (以下「X

16」という。)、同X17 (以下「X17」という。)、同X18 (以下「X

18」という。)、同X19 (以下「X19」という。)、同X20 (以下

「X20」という。)、同X21 (以下「X21」という。)、同X22 (以下「X

22」という。)、同X23 (以下「X23」という。)、同X24 (以下「X

24」という。)、同X25 (以下「X25」という。)、同X26 (以下「X

26」という。)、同X27 (以下「X27」という。)、同X28 (以下「X

28」という。)、同X29 (以下「X29」という。)、同X30 (以下「X

30」という。)、同X31 (以下「X31」という。)及び同X32 (以

下「X32」という。)の32名(なお、特に断りのない限り、これら申立人

ら32名を併せて以下「申立人ら」という。)は、別表1の「入社年」欄記

載のとおり会社に入社後、「所属事業所」欄記載の事業所にそれぞれ配属

され勤務していた。また、申立人らの生年月日、最終学歴及び退職年月は

別表1記載のとおりである。

会社には、その従業員で組織する申立外明治乳業労働組合(以下「組合」

という。なお、組合には、各事業所を単位とする支部がある。)が存在し、

申立人らはいずれも組合に加入し、あるいは加入していた。

また、申立人らのうち、X19は平成13年8月22日に、X11は18年4月4

日に、X1は20年2月7日に、X23は22年8月1日に、X21は23年6月27

日に、X32は24年8月1日にそれぞれ死亡している。なお、X19について

は18年3月27日に、X11については18年7月4日に、X1については20年

5月13日に、X23については22年12月7日に、X21については23年12月1

日に、X32については25年3月27日に、それぞれ本件申立ての承継の申出

がなされた。

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【甲C8、乙10、当委員会に顕著な事実】

⑵ 被申立人会社は、17年当時、商号を明治乳業株式会社と称し、牛乳の生

産、処理及び販売並びに乳製品の製造及び販売等を業とする株式会社であ

り、肩書地に本社を置き、17年9月末日時点においては、全国に3支社、

23の工場を有し、従業員数は4,543名であった。

23年4月1日、グループ企業の事業再編に伴い、会社の商号は株式会社

明治に変更された。

【当委員会に顕著な事実】

2 昭和40年頃からの組合支部内における自主的な組織の結成と申立人らの組

合活動状況

申立人らは、組合員の労働条件やその生活と権利を守るため、会社の方

針や施策に反対し、労働組合の民主的な運営に努めていた。そして、下記

のとおり、昭和30年代から40年代前半頃まで、申立人らは、組合支部の役

員選挙や代議員選挙に立候補して、役員等に就任し、あるいはこれを支援

する立場で活動していたが、その後、支部内に労使協調路線を採る自主的

な組織が結成されるに従い、当該組織が推薦する者らが役員や代議員に当

選するようになり、申立人らが役員選挙や代議員選挙に立候補しても、落

選するようになった。

しかしながら、申立人らは、役員や代議員に落選しても、申立人らの間

で職場の要求を整理して政策、方針を協議し、候補者を調整して支部役員

選挙をはじめとする各種選挙に立候補したり、あるいはビラの配布や投票

依頼などの活動を続けた。また、申立人らの中には、組合の民主的な運営

を求めるとして支部大会に運動方針の修正案を提出する者もいた。

本件で認められる各事業所における自主的な組織の成立の経緯や申立人

らの組合活動歴は以下のとおりである。

⑴ 根室工場に所属する申立人(X1)の組合活動歴

X1は、昭和37年4月の本採用と同時に組合に入り、組合活動に取り

組むようになった。そして、40年9月の役員選挙において、X1は根室

支部執行委員に当選した。

その後、X1は、41年9月、47年9月及び56年9月にそれぞれ根室支

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部執行委員に立候補したが、いずれも落選した。また、X1は、58年8

月に北海道地区本部副委員長に、59年8月ないし62年8月及び平成13年

8月に北海道地区本部委員長に、元年8月ないし13年8月に中央本部副

委員長に立候補したが、いずれも落選した。

【甲27】

⑵ 戸田橋工場(民主化同志会)について

① 戸田橋工場における自主的組織の結成等

上記のとおり、昭和40年頃から、支部内に中央本部の運動方針に賛成

し、いわゆる労使協調路線を採る組合員らによる自主的な組織が結成さ

れるようになった。その一つとして、41年2月9日、会社の戸田橋工場

において、民主化同志会なる集団が結成された。

そして、45年の役員選挙において、民主化同志会の会長である申立外

Z1 が戸田橋支部執行委員長に当選した。さらに、47年には、戸田橋

支部役員の全員が民主化同志会の候補者から選出されるようになった。

② 戸田橋工場に所属する申立人ら(X2ほか3名)の組合活動歴

ア 戸田橋工場に所属していたX4は、39年8月から42年8月までの4

年間、戸田橋支部の執行委員を務めた。また、同工場に所属していた

X3は40年から53年までの13年間職場代議員を、X2は50年から56年

までの6年間職場代議員を務めた。

その後、役員選挙等において、X4は平成6年から10年まで関東支

部長に、X3は昭和54年から平成元年まで職場代議員に、X2は昭和

61年から平成10年まで支部長、副支部長又は書記長に、X5は6年、

7年及び10年に東日本執行委員に、11年には支部長に、それぞれ立候

補したが、全員一度も当選することはなかった。

イ また、戸田橋工場に所属する申立人らは、職場の改善や役員立候補

への支持を訴えるビラ等を作成し、工場の門前等で配布した。このビ

ラの内容は、「解雇反対」、「賃上げ要求」、「報告制度の反対」、「職場環

境の改善」、「福利厚生の充実」等を訴えるものであり、中には(民主

化)「同志会の一部幹部(職制)のデマ、中傷を粉砕しよう!!」との

タイトルで、民主化同志会の主張を批判する内容も含まれていた。

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さらに、戸田橋工場に所属する申立人らは、上記ビラの他にも、元

年に、市川工場事件の申立人らと協力して作成した同年10月23日付「全

国連絡会ニュース」を、3年には「明治乳業賃金差別等をなくす会」

のビラを戸田橋工場の門前等で配布した。上記「全国連絡会ニュース」

には、「全国規模での賃金差別是正の斗マ

いマ

について」として、「市川で

の斗マ

いマ

を頂点に、他については、社長あてに直接要求運動(賃金昇格

差別是正の連名による要求書)を11月頃をメドに組織していく事を全

会一致で確認。」と記載されていた。

【甲33、甲36、甲37、甲38、甲47、甲48、甲50~甲121、甲408~甲411、甲B29、5審p36~39】

⑶ 市川工場(明朋会)について

① 市川工場における自主的組織の結成等

昭和40年7月の市川支部役員選挙後、申立外Z2 班長を中心とし

て市川工場の班長層が集まりをもつようになり、41年3月頃、この集ま

りは明朋会と名のるようになった。

41年8月27日、市川支部定期大会が開催された。この時、市川支部執

行部(会計監査2名を含め15名)には組合員である申立外Z3 、同Z

4 、同Z5 (以下「Z5 」という。)、同Z6 、同Z

7 及び同Z8 の6名(いずれも市川工場事件の申立人であ

る。)が入っていた。大会に執行部が提示した運動方針は「私達をとりま

く情勢」として、「世界の動き」「国内の動き」「乳業界の動き」「労働界

の動き」の項目に分かれていたが、各項目に修正案が提出され、原案ど

おり可決されたのは「世界の動き」のみであり、「国内の動き」「乳業界

の動き」は廃案、「労働界の動き」は修正案が可決された。

翌42年7月の市川支部役員選挙では、上記6名は全て落選し、明朋会

推薦の候補者が当選した。43年度以降は市川工場事件の申立人ら及び下

記X6は、市川支部の役員となったことはない。

② 市川工場に所属する申立人(X6)の組合活動歴

市川工場に所属していたX6は、40年4月に瓶詰職場の職場正代議員

を、同年10月には瓶詰職場の職場副代議員を務めた。

その後、X6は、42年4月に瓶詰職場の職場副代議員に、49年9月に

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職場副代議員に、平成5年以降、毎年職場代議員に立候補したが、全て

落選した。なお、昭和42年4月の職場副代議員は、いずれも明朋会が推

薦する候補者が当選した。

43年以降、明朋会が推薦する候補者で市川支部の役員が占められるよ

うになっても、X6及び市川工場事件の申立人らは、職場新聞やビラな

どの門前配布等を通じて、職場環境の改善要求や危険箇所の指摘など、

会社や組合に対して、労働災害の発生しない職場環境作りを働きかける

活動等を行った。

【甲28、甲122、甲123、乙1】

⑷ 静岡工場(富士見会)について

① 静岡工場における自主的組織の結成

昭和41年頃、静岡工場では、係長や主任が中心となって富士見会なる

集団が結成された。

② 静岡工場に所属する申立人(X7)の組合活動歴

静岡工場に所属していたX7は、41年に受乳職場代議員、42年に選挙

管理委員、59年にアイス班職場代議員に就任した。また、X7は、43年

にアイム職場代議員に立候補したが、落選した。その他、X7は、後記

⑽で述べる三つの裁判を支援する全国連絡会の運動に関わっていた。

【甲30、9審p51~53】

⑸ 愛知工場(一樹会・一水会)について

① 愛知工場における自主的組織の結成等

昭和41年頃、愛知工場では、主任が中心となって一樹会なる集団が、

また、班長が中心となって一水会なる集団が結成された。

42年以降の愛知支部における役員選挙において、一樹会又は一水会以

外のメンバーから愛知支部の役員に当選した者はいなかった。

② 愛知工場に所属する申立人ら(X8ほか2名)の組合活動歴

X8は、愛知支部役員選挙に44年ないし47年及び49年にそれぞれ立候

補したが、全て落選した。

X10は、愛知支部役員選挙に45年、46年、48年及び49年にそれぞれ立

候補したが、全て落選した。

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X9 は、愛知支部役員選挙に45年、46年及び48年にそれぞれ立候補

したが、全て落選した。

【甲34、甲153、甲154、甲156、甲186】

⑹ 北陸工場(明友会)について

① 北陸工場における自主的組織の結成

昭和43年頃に、北陸工場では、職制らが中心となって明友会なる集団

が結成された。

② 北陸工場に所属する申立人ら(X11ほか1名)の組合活動歴

X11は、40年及び41年に職場代議員に、42年に北陸支部執行委員に、

43年に北陸支部書記長に、それぞれ就任した。続けて、X11は、44年に

北陸支部書記長に立候補したが、落選した。

X12は、41年から43年に殺菌職場代議員に就任した。その後、X12は、

44年から50年にかけて北陸支部役員や職場代議員に立候補したが、いず

れも落選した。なお、平成6年7月発行の「明乳市川争議団ニュース」

には、X12の本件救済申立てに当たっての決意表明として、「現社長が愛

知工場でインホーマルマ マ

を作っていった、かつて闘った相手だ。」と記載

されている。

【甲29、甲219、甲220、甲231、甲245】

⑺ 京都工場(みやこ会)について

① 京都工場における自主的組織の結成

昭和41年4月頃に、京都工場では、職制らが中心となってみやこ会な

る集団が結成された。

② 京都工場に所属する申立人(X13)の組合活動歴

X13は、47年の京都支部役員選挙に立候補したが、落選した。その後

も、X13は、62年から平成2年にかけて京都支部役員選挙に立候補した

が、落選した。

また、X13は、後記⑽で述べる三つの裁判を支援する全国連絡会の活

動に参加し、市川工場事件の裁判傍聴、資金カンパ集め、宣伝、署名、

要請行動等を行った。

【甲32、甲247】

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⑻ 大阪工場(志宝会)の成立

① 大阪工場における自主的組織の結成等

昭和41年5月頃、大阪工場では、班長、主任、係長などが中心となっ

て志宝会なる集団が結成された。

志宝会の機関紙である「ちかい」の号外には「労働組合の異質分子、

共産党を組合から追い出せ。」などと、また、43年3月11日付「ちかい」

には「早く団結の力で他の仕事(労務者)をしたらどうですか 得策で

すよ 会社を破壊して我々の生活はどうなるの 他事マ マ

ではないぞ。」な

どと記載されていた。

45年度までは志宝会以外のメンバーが大阪支部の執行部を構成してい

た。例えば、44年度は、X21が副支部長に、X14が書記長に就任してお

り、45年度は、X14が書記長に、X21が執行委員に就任していた。しか

し、45年8月に行われた支部役員選挙において、支部長にX14が、執行

委員にX21がそれぞれ立候補したものの、いずれも落選し、支部長、副

支部長、書記長及び執行委員には志宝会の推薦者が就くことになった。

② 大阪工場に所属する申立人ら(X14ほか14名)の組合活動歴

ア 大阪工場に所属する申立人らのうち、X15、X16、X17、X20、X

21、X22、X23、X24、X26、X27は、昭和46年から平成5年までの

間に、大阪支部長、大阪副支部長、大阪支部書記長等に立候補したが、

いずれも当選することはなかった。

イ また、X15、X22及びX24の3名は、会社に対して、昭和50年1月

30日に思想信条差別を理由とする職分昇格差別の是正を求めて訴えを

提起した(大阪地方裁判所昭和50年(ワ)第353号事件。以下「大阪工

場事件」という。)。この訴訟において、X15、X22及びX24の3名は、

会社と和解した結果、①X15は61年4月1日付けで第1種詮衡試験合

格者コースに昇格経路を変更し、基幹職2級に格付けられ、②X22は

平成元年度に第1種詮衡試験合格者コースに昇格経路が変更され、基

幹職1級に格付けられ、③X24は昭和61年4月1日付けで第1種詮衡

試験合格者コースの基幹職1級に格付けられた。

【甲22、甲31、甲A34、甲A40、甲A41、甲A42、甲A43、甲341の2】

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- 14 -

⑼ 福岡工場(明和会)について

① 福岡工場における自主的組織の結成

昭和41年頃、福岡工場では、主任が中心となって明和会なる集団が結

成された。

② 福岡工場に所属する申立人ら(X29ほか3名)の組合活動歴

X29は、44年から46年まで福岡支部執行委員に就任した。

X30は、40年から43年まで福岡支部執行委員に、44年には福岡支部副

支部長に、45年から49年までは福岡支部長に、50年に福岡支部執行委員

に就任した。

X31は、45年及び46年に福岡支部執行委員に就任した。

X32は、48年から50年まで福岡支部執行委員に就任した。

しかし、51年の福岡支部の役員選挙において、申立人らの中から福岡

支部役員に当選する者はいなかった。

【甲35、甲157、甲159】

⑽ 「明治乳業賃金昇格差別等をなくす全国連絡会」について

① 昭和57年頃、申立人らが中心となって「三つの裁判を支援する全国

連絡会」を結成した。三つの裁判を支援する全国連絡会は、①福岡工

場のX30の裁判闘争(昼休み時間中のビラ配布を理由に懲戒処分を受

けたX30が当該処分を争った訴訟)、②大阪工場事件、③岡山工場に所

属する従業員の昇格差別の3件について、勝訴判決を勝ち取るために

支援等の活動をする組織であった。

その後、三つの裁判を支援する全国連絡会から発展して「明治乳業

賃金差別等をなくす会全国連絡会」(以下「全国連絡会」という。)が

結成された。全国連絡会の活動の主眼は、会社が長年にわたって賃金・

昇格差別を行っているとして、これを是正させることにあった。例え

ば、全国連絡会が発行した平成元年10月23日付「全国連絡会ニュース」

には、約4か月前に開かれた全国交流集会の報告、賃金・昇格差別是

正の要求書の集約、全国行動の準備状況、中央本部と各地区本部・支

部の役員選挙の結果報告がなされている。なお、元年の中央本部選挙

には、委員長に市川工場事件の申立人である申立外Z5 が、副委員

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- 15 -

長にX1が、書記長にはX14が立候補している。

② また、4年11月6日、全国連絡会は、会社に対し、同会名義の「労

働組合活動を理由とした賃金昇格是正を求める要求書」(以下「要求書」

という。)に全国7工場42名が連名した書面を提出し、賃金・昇格差別

の是正を要求した。要求書には、「これまでも、私達はそれぞれの事業

所にて不当性を訴えて来ました。しかるに、貴社及び貴殿らは、全く

馬耳東風であり、改善されるどころか益々ひどくなる一方です。そこ

で、やむなく私達は明治乳業から賃金昇格差別等をなくす全国連絡会

を結成して、これらの是正の為立ち上がりました。私達は直接貴社及

び貴殿に対して、これら不法不当な賃金、仕事、等マ

などマ

差別を直ちに

やめ、同時に長年に亙る賃金昇格差別の是正を要求するものです。」と

記載されていた。また、要求事項として、①長年にわたる賃金昇格差

別をやめ、同期中位に直ちに是正すること、及び過去の差別賃金につ

いても支払いを行うこと、②差別支配の根幹となっている、職分制度、

賃金体系の抜本的改定を行うこと、③労働組合への支配介入を直ちに

やめること、④全国の事業所にあるインフォーマル組織を直ちに解散

させることの4点が挙げられていた。申立人らのうち、要求書に名前

を連ねていたのは、X1、X2、X3、X4、X5、X6、X8、X

9 、X10、X11、X12、X14、X15、X16、X17、X19、X20、X

21、X22、X23、X24、X25、X26、X28、X29、X30及びX31の27

名であった。

【甲B21、甲B28、甲B29、甲192】

3 昭和44年度の新職分制度と新賃金制度の導入を巡る経緯

⑴ 職分制度の改正に至る経緯

① 職分制度改正の趣旨

会社では、昭和40年頃になると、従業員数の増加、従業員構成の変化、

同一職分内における能力の分化等の要因により、旧職分制度の5職分で

従業員を管理することが困難になった。このため、44年4月1日付けで、

会社は、職分制度を全面的に改正した(以下「新職分制度」、あるいは

単に「職分制度」ということがある。)。

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- 16 -

【乙83】

② 職分制度改正の方針

職分制度を改正する会社の方針は、以下アないしクのとおりである。

ア 職分制度は従業員の保有する職務遂行能力に応じ、従業員を各職分

に分類・格付けし、能力に応じた配置、昇格、昇給を行い、公正な人

事管理の実現に資するものであることを明らかにし、各職分の定義を

明確に定める。

イ どのような能力を保有すれば上位職分につけるかを明確にし、職分

ごとに従業員の勤務成績に応じ標準・無限大の経過年数を定め、優秀

な者は年数にかかわらず昇格させる。

ウ 職分の昇格は、職務遂行能力の伸長に応じて行い、人事考課成績及

び昇格試験によって行う。

エ 本給のほかに職分と対応する賃金部分を設定する。

オ 職分と職位(役職)の対応関係を明確にし、また、同一の職分の場

合は、職位につく者とそうでない者とは同一の待遇を受けるようにす

る。

カ 会社の職務内容は極めて標準化しにくく、また、異なる職種・職務

への異動・配置転換がしばしば行われるので、新職分制度も従来と同

様、職種にかかわりなく単一系列(職種・職務に関係ない縦一本の職

分系列)とする。

キ 職分を単一系列とすることによって仕事の変化に対して職分が安

定的であるようにし、技術革新に対しても適応力を持たせる。

ク 職分制度は職務に密着しない制度とする。

【乙5、乙83】

③ 新職分制度導入に至るまでの労使協議の経緯

ア 41年4月20日付労使確認

41年4月20日に開催された団体交渉において、会社と組合とは、職

分制度及び給与規則を改正することについて合意し、確認書を取り交

わした。

イ 42年4月28日付労使協定

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- 17 -

42年4月28日に開催された団体交渉において、会社と組合とは、上

記4月20日付確認書に基づき職分制度及び給与規則の改正について

協定書(旧職分制度の職分5段階を9段階にすること等を内容とす

る)を締結した。

ウ 43年1月8日の改正内容申入れ

43年1月8日、職分制度及び給与規則の改正について、会社は、組

合に対して、改正の具体的内容に関する申入れを行った。

エ 43年6月13日の経営協議会

43年6月13日に開催された経営協議会において、上記1月8日に会

社が組合に申し入れた内容について具体的に検討するため、会社と組

合とは「新職分制度に関する合同委員会」を設置することを合意した。

オ 新職分制度に関する合同委員会

上記「新職分制度に関する合同委員会」は、43年6月13日、7月9

日、同月11日、同月24日に開催され、会社申入れ内容について具体的

に協議・検討した。その結果、同委員会は、8月13日、会社申入れ内

容を組合の修正要求に基づいて一部修正の上、職分制度及び給与規則

改正について経営協議会に答申した。

カ 43年8月15日の経営協議会

43年8月15日に開催された経営協議会は、同月13日付けで上記合同

委員会から答申された内容を討議し、会社と組合とは答申どおりの内

容で承認した。その結果、44年4月1日付けで職分制度及び給与規則

を改正することが決定された。

【甲2、甲C19、乙5、乙19、乙83、乙84、乙85、乙86、当委員会に顕著な事実】

⑵ 旧職分制度から新職分制度への移行

① 新旧職分の対応と移行方法

前記⑴③カのとおり、昭和44年4月1日付けで旧職分制度は改正され、

新職分制度が実施された。新旧職分の対応は次のとおりである。

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- 18 -

旧職分制度 新職分制度

(組合員の範囲は4職分) (組合員の範囲は9職分)

管理職1級

管理職 管理職2級

管理職3級

管理企画職1級

専門職 管理企画職2級

管理補佐職1級

補佐職 管理補佐職2級

管理補佐職3級

基幹監督職

指導職 基幹職1級

基幹職2級

一般職 技能職

新職分制度導入に当たって、各従業員は新たな職分に格付けされた。

格付けは、職分ごとに明示された職務遂行能力判定基準及び過去2年間

の人事考課成績から、各従業員の職務遂行能力を評価し、格付けすると

いう方法で行われた。

特に、一般職の従業員については、職務遂行能力を的確に評価するた

めの後記第1種詮衡試験相当の移行格付試験が行われ、職務遂行能力に

応じた格付けがなされた。そして、移行格付試験を受験した従業員の中

から、昇格経路(特に断りのない限り、以下「コース」という。)を第

1種詮衡試験合格者コースとする者が選抜され、基幹職1級あるいは基

幹職2級に格付けされた。一方、移行格付試験を受験しなかった従業員

については、コースを事業所採用者コースとし、技能職に格付けされた。

なお、新職分における組合員の範囲は、原則的には技能職から管理企

画職1級までの9職分とされていた。

② 移行格付試験の実施

上記①のように、旧職分制度における一般職の従業員を対象とした移

行格付試験は、新職分制度における第1種詮衡試験に相当するものとし

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- 19 -

て実施された。

申立人らのうち移行格付試験を受験したのは、X1、X6及びX10の

3名だが、合格したのはX10のみである。X10は、移行格付試験に合格

したことにより基幹職2級に格付けされ、その余の申立人らは、技能職

に格付けされ、コースは事業所採用者コースとされた(なお、申立人ら

のうちX9 には移行格付試験の受験資格自体がなかった。)。

【乙5】

4 会社の職分制度・賃金制度

⑴ 職分制度の内容

① 職分制度の趣旨

前記(3⑴③カ、同⑵①)のとおり、昭和44年4月1日付けで会社の

職分制度と給与規則が改正実施された。平成4年4月改正後の職分規則

によれば、職分制度は、「従業員の保有する職務遂行能力に応じ、従業

員を各職分に格付し、能力に応じた配置、昇格、昇給又は降格を行い公

正な人事管理の実現に資するもの」とされている。

【乙93】

② 職分制度の適用範囲

職分制度が適用される従業員の範囲は、会社の従業員就業規則第1条

の2に定める従業員(会社の従業員就業規則の適用を受ける従業員)で

ある。ただし、嘱託、特殊勤務者、見習従業員及び臨時従業員は除外さ

れている。

【乙3、乙93】

③ 職分の定義及び区分

職分とは、「従業員の保有する職務遂行能力による区分」をいう。

4年4月改正後の職分規則によれば、職分は、技能職、基幹職2級、

基幹職1級、基幹監督職、管理補佐職3級、管理補佐職2級、管理補佐

職1級、管理企画職2級、管理企画職1級、経営職2級、経営職1級、

上級経営職2級及び上級経営職1級の13段階に区分されている。職分の

昇格は、後述するように従業員の職務遂行能力の伸長により行い、後記

コースの別によって昇格要件及び最終到達職分が定められている。

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- 20 -

4年4月改正後の職分規則によれば、技能職から基幹監督職までの定

義は次のとおりである。

【乙93】

④ 職分と職位の対応関係

会社における職分と職位は必ずしも一対一に対応するものではなく、

ゆるやかな関係を持たせて運用されており、職分を目安に、職位すなわ

ち職責の異なる仕事に従業員を配置している。

職分と職位の対応関係について、係長以下を図で示すと以下のとおり

となる。なお、図中、点線で示したところは非常に稀な例外的なケース

である。

一般的な基礎的知識を有し、緊密な監督、指導の下に定型的業務を遂行

し得る能力を有する者。

技能職の有する能力に加えて、比較的高度な基礎的知識並びに班内又は

班相当範囲内の分担業務に関する充分な実務的知識を有し、要点を中心

とした一般的な指示の下に定型的業務を遂行し得る能力を有する者。

基幹職2級の有する知識能力に加えて、班内又は班相当範囲内の業務全

般に関する充分な実務的知識並びに現場管理に関する一般的知識を有

し、標準化された手続手順に従い独力で定型的業務を遂行し得る能力並

びに班内又は班相当範囲の業務について一般的な指示の下に部下の業務

遂行を指導監督し得る能力を有する者。

基幹職1級の有する知識能力に加えて、班内又は班相当範囲内の業務全

般に関し、部下を指導訓練できる程度の高度な実務的知識を有し、標準

化された手続手順に従い独力で複雑困難な定型的業務を遂行し得る能力

並びに班又は班相当範囲の業務について標準化された手続手順に従い部

下の業務遂行を指導監督し得る能力を有する者。

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職 分 職 位

管理企画職1級

管理企画職2級 係 長

管理補佐職1級

管理補佐職2級 主 任

管理補佐職3級

基 幹 監 督 職 班 長

基 幹 職 1 級

基 幹 職 2 級

技 能 職

【乙83】

⑤ コース別管理

会社の職分制度では、昇格経路であるコースによって従業員の処遇が

行われる仕組みとなっている。なお、申立人らのうち、X10、X15、X

22及びX24の4名は、第1種詮衡試験合格者コースを歩んでおり、その

他の28名の申立人らは、事業所採用者コースを歩んでいた。

ア 事業所採用者コース

事業所採用者コースは、非転勤要員として事業所ごとに採用した者

がとるコースで、最終到達職分は基幹監督職である。詮衡試験を受験

しない者、又はこれに合格しない者がたどるコースである。

イ 第1種詮衡試験合格者コース

第1種詮衡試験合格者コースは、第1種詮衡試験合格者がとるコー

スで、最終到達職分は基幹監督職である。第1種詮衡試験は、事業所

採用者コースの従業員の中から非転勤要員として班長相当となり得

る資質の従業員を選抜する試験である。

ウ 第2種特例詮衡試験合格者コース

第2種特例詮衡試験合格者コースは、第2種特例詮衡試験合格者が

とるコースで、最終到達職分は管理補佐職1級である。第2種特例詮

衡試験は、事業所採用者コースの基幹監督者と第1種詮衡試験合格者

コースの基幹監督者の従業員の中から、非転勤要員のままで所属事業

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- 22 -

所の中堅幹部となり得る資質の従業員を選抜する試験である。

エ 第2種詮衡試験合格者コース

第2種詮衡試験合格者コースは、第2種詮衡試験合格者がとるコー

スで、最終到達職分は管理補佐職1級である。第2種詮衡試験は、事

業所採用者コースと第1種詮衡試験合格者コースの従業員の中から

転勤要員として主任相当となり得る資質の従業員を選抜する試験で

ある。

オ 第3種詮衡試験合格者コース

第3種詮衡試験合格者コースは、第3種詮衡試験合格者がとるコー

スで、最終到達職分は管理企画職1級である。第3種詮衡試験は、第

2種詮衡試験合格者コースと本社採用コースの従業員の中から転勤

要員として係長相当以上となり得る資質の従業員を選抜する試験で

ある。

【乙1、乙3、乙6】

⑥ 職分の初任格付

会社は、新規学校卒業者を事業所採用と本社採用とに分けて採用して

いる。

事業所採用者は、原則としてその事業所に勤務し、本社採用者は、全

国の事業所に配属され勤務することになる。新規学校卒業者以外の中途

採用者の場合、初任格付職分、コース区分などは、その者の職歴、能力

などを勘案して決める。

【乙93】

⑦ 職分の昇格

職分の昇格は、コース別に従業員の職務遂行能力に応じて行われるも

のであり、一般昇格と特別昇格の二種類がある。

ア 一般昇格

一般昇格とは、同一コース内における昇格である。各職分ごとに定

められている職務遂行能力判定基準に基づき、上位職分の職務遂行能

力を保有すると認められたときに行う上位職分への昇格をいう。具体

的には、コースごとにそれぞれ定められた(ア)コース別標準経過年数

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(以下「経過年数」という。)、(イ)経過年数期間中の一定期間の人事

考課成績基準、及び(ウ)職務遂行能力判定基準の三要件を満たすこと

が必要とされる。

ⅰ 経過年数

経過年数とは、当該職分における標準者が上位職分の職務遂行能

力を保有するために必要な年数である。中卒事業所採用の技能職の

経過年数は9.5年、高卒事業所採用の技能職の経過年数は6.5年、事

業所採用の基幹職2級の経過年数は7年と定められている。

下表は、昭和60年4月の職分制度改正後の事業所採用者コース、

第1種詮衡試験合格者コース及び第2種詮衡試験合格者コースの

経過年数一覧である。

事業所採用者

コース

第1種

コース

第2種

コース

技能職 中卒 9.5年

高卒 6.5年

基幹職2級 7.0年 3.0年

基幹職1級 7.0年 7.0年 1.0年

基幹監督職 ∞ ∞ 1.0年

【乙3、乙83、乙93】

ⅱ 人事考課成績基準

上位職分の職務遂行能力を保有しているか否かを判定するため

に、直近3か年の人事考課成績が用いられる。

人事考課成績基準の改正が52年度及び61年度に行われ、61年度の

改正に基づく事業所採用者コースの人事考課成績基準は以下のと

おりである。

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経過年数 業績、能力評定成績

技能職

→基幹2

最低経過年数+4年未満 直近3か年にB以上を1個

以上、あとは全てC

最低経過年数+4年以上 直近3か年に全てC以上

基幹2

→基幹1

最低経過年数+4年未満 直近3か年にB以上を2個

以上、あとは全てC

最低経過年数+4年以上 直近3か年にB以上を1個

以上、あとは全てC

基幹1

→基幹監督

最低経過年数+4年未満 直近3か年のうち、直近2か

年にB以上を3個以上、あと

は全てC

最低経過年数+4年以上 直近3か年のうち、直近2か

年にB以上を2個以上、あと

は全てC

【甲C19、乙5、乙16、乙83】

ⅲ 職務遂行能力判定基準

職務遂行能力判定基準とは、前記③の各職分の定義に基づき、そ

の職分の職務遂行能力を知識、業務遂行能力の面から判定するため

に設定した基準である。この基準は、上記ⅰの経過年数及びⅱの人

事考課成績基準を満たしたときに利用される(なお、平成元年度な

いし5年度において、経過年数及び人事考課成績基準を満たしたも

のの、職務遂行能力判定によって昇格が見送られた者は、申立人ら

の中では3年度のX29のみである。)。

技能職から基幹監督職(営業を除く。)までの職務遂行能力判定

基準は以下のとおりである。

知識

中学卒業程度に積み重ねられた知識を前提として、一般的な社

会常識を有し、明確に標準化された方法、手順を理解し得る程

度の知識を有している。

業務

遂行

能力

業務手続が明確に定まっている定型的、反復的業務を具体的、

詳細な指示に従い、その都度指導、点検を受けながら機械的に

処理し得る能力を有している。

知識

高校卒業程度に積み重ねられた知識を前提として、標準化され

た手法、手順について詳細な知識を有し、前後の関連業務の流

れについて概略の知識を有するとともに、初めて発生した業務、

複雑困難な業務を除いては、標準化された手続の中から適当な

方法を選択し得る程度の知識を有している。

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- 25 -

業務

遂行

能力

具体的、詳細の指示の下に、あるいは標準化された手続により

要点を中心に一般的な指示に従い、しばしば指導点検を受けな

がら定型的業務を処理する外、日常簡単な業務手続、方法につ

いて改善改良する能力を有している。

知識

高校卒業程度に積み重ねられた知識を前提として、標準化され

た方法、手順、規則、過去の事例、慣習等について十分な知識、

かつ現場管理についての一般的な知識を有するとともに、前後

の関連業務の流れを知り、標準化された手続の中から適当な方

法を選択し得る知識を有している。

業務

遂行

能力

主として定型的業務を標準化された手続、手順により独自で処

理しあるいは異例な定型的業務を一般的な指示の下にときどき

指導、点検を受けながら処理しうる能力を有する外、日常の業

務手続方法を改善改良する能力を有し、且つ作業する作業員を

一般的指示の下に指導、監督し得る能力を有している。

知識

担当業務について部下を指導訓練できる程度の相当な知識を有

し、現場管理について十分な知識を有するとともに、標準化さ

れた手続、過去の事例、慣習に従い適当な方法を選択し得る知

識を有している。

業務

遂行

能力

複雑困難な定型的業務を任されており、標準化された手続、手

順により業務の段取替えを独力で処理し、あるいは定型的業務

の基幹的部門を上職者の指示の下にときたま指導点検を受けな

がら処理し得る能力を有するとともに作業する従業員を指導、

監督し得る能力を有している。

なお、職分は従業員が従事する仕事と直接の関連を有するものでな

く、職分遂行能力による区分であり、各従業員が前記昇格要件を満た

せば職分昇格を行うものである。また、会社あるいは各事業所で職分

に定員は設けられていない。

【乙1、乙5、乙83】

イ 特別昇格

特別昇格とは、各種詮衡試験(昇格試験)に合格した者について行

う上位職分への昇格をいう。

詮衡試験は、第1種詮衡試験、第2種特例詮衡試験、第2種詮衡試

験、第3種詮衡試験の4種類がある。これらの詮衡試験の目的は前記

⑤のとおりである。

詮衡試験の受験資格は、定められた職分において一定の経過年数を

経過し、直近の過去2年間の人事考課成績のうち、業績評定成績及び

能力評定成績がいずれもC考課以上の従業員に与えられる(第2種特

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- 26 -

例詮衡試験を除く。)。経過年数は下表のとおりである。なお、後記(⑨

アⅲ)のとおり、昭和60年4月の職分制度の改正により、経過年数の

定めが変更されている。

各種詮衡試験に合格すると、職分格付を行い、第1種詮衡試験合格

者コース、第2種詮衡試験合格者コース、第2種特例詮衡試験合格者

コース、第3種詮衡試験合格者コースにそれぞれコースが変更される。

コース変更後の昇格は、一般昇格同様、経過年数、人事考課成績基

準及び職務遂行能力判定基準により行う。経過年数、人事考課成績は、

コース別に定められている。なお、特別昇格経路の経過年数は、一般

昇格の場合より短縮している。

ちなみに、平成4年4月改正の職分規則によれば、第1種詮衡試験

合格者の格付及び第2種詮衡試験合格者の格付は、以下のとおりであ

る。

第1種詮衡試験合格者の格付 第2種詮衡試験合格者の格付

【乙93】

⑧ 昇格者の通知

第1種

詮衡試験

第2種

詮衡試験

第2種特例

詮衡試験

第3種

詮衡試験

技能職 中卒

高卒

5.5年

2.5年

5.5年

2.5年

基幹職2級 4.0年 1.0年

基幹職1級 6.0年 1.0年

基幹監督職 1.0年 5.0年

管理補佐職1級 2.0年

受験時職分 格付職分

技能職 基幹職2級

基幹職2級 基幹職1級 受験時職分 格付職分

技能職 基幹職1級

基幹職2級

基幹職1級 基幹監督職

基幹監督職 管理補佐職3級

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- 27 -

会社では、昇格者に対し毎年4月1日に口頭で本人に通知し、工場に

よっては工場に掲示して全従業員に周知している。また、従業員に交付

する昇給通知記載の職分給額によっても職分昇給がわかる。

【乙17、乙18、乙61、乙83】

⑨ 新職分制度実施後の制度改正

ア 新職分制度の部分的改正

会社は、組合と協議の上、新職分制度を部分的に改正した。本件申

立て以前の改正点は以下ⅰないしⅲのとおりである。

ⅰ 昭和50年4月改正

本社採用者の初任格付職分、経過年数、詮衡試験の受験資格の一

部について改正した。

ⅱ 54年4月改正

職分の降格を制度化した。なお、申立人らに降格の事例はない。

ⅲ 60年4月改正

採用目的、初任格付職分、経過年数、詮衡試験の受験資格、詮衡

試験合格後の格付職分の一部について改正した。本件に関連する改

正は以下AないしCのとおりである。

A 第1種詮衡試験合格者コースの経過年数を基幹職2級は4年

から3年、基幹職1級は6年から7年にそれぞれ改めた。

B 事業所採用者コースの基幹職1級での経過年数に定めがない

ものを改め、7年とした。この変更に伴い、基幹職1級での第1

種詮衡試験受験資格は廃止した。

C 第1種詮衡試験、第2種詮衡試験の受験資格のために必要な経

過年数を変更した。

【乙1、乙83、乙88】

イ 昇格基準の変更

会社は、昇格基準の要件である人事考課成績基準について毎年見直

しを行い、この基準を変更する場合は、人事に関する合同委員会にお

いて組合に対して事前に説明している。

52年度及び61年度に人事考課成績基準の改正が行われたことは前

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- 28 -

記(⑦アⅱ)のとおりである。

【乙1、乙16、乙38、乙83】

⑵ 賃金制度の内容

① 賃金体系

会社の賃金体系は、昭和44年4月1日付けで改正実施された給与規則

に定められている(以下「新給与規則」あるいは単に「給与規則」とい

うことがある。)。

平成5年4月改正後の給与規則によれば、技能職から管理企画職まで

の従業員に対し支払われる賃金の種類は以下のとおりである。

ア 基準月額賃金

本給、職分給、班長手当、家族手当、都市手当、住宅手当、初任調

整給

イ 割増賃金

割増賃金(時間外勤務手当、休日勤務手当など)、宿日直手当

ウ その他の賃金

賞与、北海道在勤手当、営業外勤者手当、酪農外勤者手当、有期転

勤特別手当、通勤交通費、退職金

5年4月1日現在の平均構成比でみると、基準月額賃金に占める本給、

職分給などの割合は、本給53.3パーセント、職分給36.3パーセント、そ

の他10.4パーセントである。

基準月額賃金のうち、都市手当は、本給及び職分給の合計額の5パー

セントが支給される。他の手当は職能ではなく、属人的な条件により一

定額が支給される。

賃金(月額)は毎月25日に支払われ、賞与は6月と12月の年2回支給

される。

【乙83、乙94】

② 昇給の仕組み

新給与規則でも、従来と同様に人事考課成績によって昇給幅が異なる

仕組みが継承されている。

ア 本給

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初任本給額は学歴別、年齢別に従業員ごとに定められている。本給

の増額は、毎年1回、4月1日付けで行われ、人事考課総合評定成績

に応じて職分ごとに定められた定期昇給額を加算する方法で行われ

る。

また、採用後、職分が昇格した者は、職分昇格時に本給調整額が加

算される。

本給定期昇給額表(単位:円)は、職分と人事考課成績によって昇

給する金額を定めたものであり、5年度の本給定期昇給額表は以下の

とおりである。

職分 技能職 基2職 基1職 基監督

人事考課

A 1,900 2,150 2,500 2,800

B 1,700 1,950 2,250 2,550

C 1,500 1,750 2,000 2,300

D 1,300 1,550 1,800 2,050

E 1,100 1,350 1,600 1,800

F 400 500 600 800

なお、会社は、組合と賃金引上げ交渉を行い、本給の昇給を、特別

昇給(従業員の人事考課総合評定成績に応じて妥結結果表の金額を全

職分一律に加算すること。)、定率(全職分一律に旧本給に乗じた額を

加算すること。)、定額(全職分一律に本給に加算すること。)の三つ

の方法により行っている。

例えば、5年度の賃金引上げに関する交渉の妥結結果によれば次の

とおりである。

特別昇給(円) 定率(%) 定額(円)

A B C D E F

800 500 300 100 0 0 1.2 400

イ 職分給

職分給は、会社の賃金体系において、本給とともに基本給を構成し

ている。職分給は、従業員の格付けされている職分に対応したもので、

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職分ごとに号給が設けられている。

職分給の号給変更は、各年度の人事考課総合評定成績によって1号

ずつ昇給する。1号給から5号給までは人事考課総合評定成績がC考

課以上であること(ただし、管理補佐職1級、管理企画職2級及び同

1級の4号給から5号給への号給変更は人事考課総合評定成績がB

考課以上であることが必要である。)、6号給へはB考課以上あるいは

C考課が2年連続すること、7号給へはB考課以上であることがそれ

ぞれの昇給の条件となっている。同一の職分の中では、7号給まで昇

給する。人事考課総合評定成績が昇給の条件を満たさない場合、昇給

は据え置かれる。

職分の昇格があれば、昇格した職分の1号給が支給され、その後の

職分給の昇給は、前記のとおり人事考課総合評定成績によって行われ

る。

また、人事考課総合評定成績が一定期間D考課以下の者については、

職分号給を1つ下の号給に変更する。技能職から基幹監督職までの従

業員の場合は、D以下の人事考課総合評定成績(公傷病休職による場

合を除く。)が3年間連続すると下位号給へ変更するが、技能職の2

号級ないし5号給の者については下位号給への変更は行わない。また、

各職分の1号給の者については下位の号給がないため、号給を変更す

ることはない。

職分給額表は、組合との賃金引上げ交渉の合意内容に基づいて毎年

4月1日付けで改定される。

例えば、5年度における職分給額表は以下のとおりである。

平成5年度職分給額表(単位:円)

職分 1号給 2号給 3号給 4号給 5号給 6号給 7号給

技能 49,400 51,200 53,000 54,800 56,600 58,400 60,200

基2 63,100 65,300 67,500 69,700 71,900 74,100 76,300

基1 79,300 81,900 84,500 87,100 89,700 92,300 94,900

基幹 98,000 100,700 103,400 106,100 108,800 111,500 114,200

【乙83、乙94】

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③ 昇給の通知

給与規則によれば、各従業員の賃金は、毎年行われる4月1日付けの

昇給によって決定される。会社は、各年度の新本給と新職分給について、

組合との賃金引上げ交渉妥結後、4月1日付昇給通知に記載して、上司

が各従業員に手渡している。

【乙18、乙83、乙94】

5 会社の人事考課制度

⑴ 人事考課制度の概要

会社では、昭和44年度の新職分制度実施に合わせて、45年度から新人事

考課制度を実施した。

45年1月12日に開催した経営協議会で、会社は、組合に対して新人事考

課制度の趣旨を「従業員の保有する能力とその発揮の度合を具体的に示さ

れる統一的基準により、正しく把握し、その結果を職分昇格、定期昇給、

人事異動(配置)、教育訓練(研修)、に反映させ、人事諸制度を公正に運

用することを目的とする。」と述べ、新制度の概要について説明した。

新人事考課制度の概要は、以下①ないし⑨のとおりである。

① 人事考課の実施時期と評定期間

会社は、毎年1回、1月1日現在(54年度以前は2月1日現在)で従

業員の一定期間の勤務成績と職務遂行能力の評定を実施している。評定

の対象期間は前年の1月1日から12月31日までの1年間である。

例えば、平成5年度の人事考課は、4年1月1日から同年12月31日ま

でを評定期間とし、5年1月1日現在で行う。評定の結果である人事考

課成績は5年度人事考課成績として、5年4月1日付けの職分昇格、昇

給に活用されることになる。

【乙83】

② 評定者、成績決定者と被評定者

各従業員について、後記評定項目ごとに評定を行う者を第一次評定者、

第二次評定者の2名としている。第一次評定者及び第二次評定者が誰に

なるのかは、事業所の形態や被評定者の職分によって定められている。

課制の工場(製造課、業務課といった課の組織を持つ工場)において技

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能職から基幹監督職までの従業員を評定する際には、第一次評定者は係

長、第二次評定者は課長となる。他方で、非課制の工場(課の組織を持

たない工場)で技能職から基幹監督職までの従業員を評定する際には、

第一次評定者は係長、第二次評定者は工場長となる。評定者間であらか

じめ打合せを行い、評定基準をそろえた上で評定を行う。

工場において評定成績を決定する者は、技能職から基幹監督職までの

場合、工場長である。

【乙83】

③ 事業所ごと、同一職分ごとの評定

人事考課の評定は、事業所ごとに勤続年数、コースに関係なく同一職

分ごとの従業員間で実施される。例えば、事業所採用者コースの基幹職

2級の従業員と、第1種詮衡試験合格者コースの基幹職2級の従業員は、

同じ事業所に所属するならば、一つの集団として人事考課が実施される。

他方で、職分が同じであっても、所属する工場が異なる場合は、一つ

の集団として人事考課を実施することはない。

【乙83】

④ 評定の構成区分

会社は、従業員の業績(執務態度、勤怠成績を含む。)、職務遂行能力

を把握するために、評定を業績評定と能力評定の二つに区分している。

さらに、これらを総合したものを総合評定としている。したがって、人

事考課成績は、業績評定、能力評定、総合評定の三区分で決定される。

そして、業績評定成績と能力評定成績は職分昇格の決定、総合評定成

績は昇給(本給の増給、職分給の変更)の決定に利用される。

【乙83】

⑤ 評定項目、着眼点と評定段階

会社は、職分ごとに評定項目、着眼点、評定段階を記述し、これらを

評定の基準としている。

従業員の職分、職能に応じてどのような能力を保有し、どのようにそ

の能力を発揮することが期待されているかという観点から職分ごとの

評定項目をまとめている。また、その評定項目ごとにどのような点に着

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眼して評定するかという着眼点と、どの程度の業績、能力であればどの

成績に評定するかという評定段階を定めている。

各評定項目の評定段階は、上位から順にAからEまでの5段階、又は

AからFまでの6段階で、いずれの場合もCが標準成績である。

なお、評定項目、着眼点及び評定段階の詳細は「評定項目の着眼点及

び評定段階」にまとめられており、これは各事業所に掲示され、従業員

にも開示されている。

ちなみに、技能職の業績評定における評定項目、着眼点及び評定段階

の一例を示すと以下のとおりである。

【乙83、乙92の1及び2】

⑥ 評定結果のとりまとめ

ア 評点

第一次評定者、第二次評定者が各被評定者について評定段階を選択

し、これを点数化したものを評点という。

評定段階と評点との関係は以下のとおりである。

第一次評定者 A A B B A C B C A D C

第二次評定者 A B A B C A C B D A C

評定項目 着眼点 評定段階

仕事の質 与えられた仕事

を指示通りに遂

行し、誤りはなか

ったか、仕事の進

め方、整理整頓は

よかったかを評

定する。

A 極めて正確な仕事をし、結果の信頼性も高か

った。

B 手順通りの正確な仕事をし、結果も安心でき

た。

C ほぼ手順通りの仕事をし、ほとんど誤りがな

かった。

D 仕事がやや煩雑で時々やり直しを必要とし

た。

E 誤りが多く絶えず注意を必要とした。

仕事の量 担当業務を迅速

に遂行し、定めら

れた時間内又は

期限までに所期

の仕事量を達成

できたかを評定

する。

A 業務遂行の迅速性、実績は抜群であり申し分

なかった。

B 業務遂行の迅速性、実績は十分満足でき申し

分なかった。

C 業務遂行の迅速性、実績にほぼ満足できた。

D 業務遂行の迅速性、実績がやや不十分であり

周囲の業務に若干の支障をきたした。

E 業務遂行の迅速性、実績が不十分であり周囲

の業に支障をきたした。

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評 点 10 9 9 8 7.5 7.5 7 7 6 6 6

第一次評定者 B D C D A E B E D C E

第二次評定者 D B D C E A E B D E C

評 点 5.5 5.5 5 5 4.5 4.5 4 4 4 3.5 3.5

第一次評定者 D E C F E D F E F F

第二次評定者 E D F C E F D F E F

評 点 3 3 2 2 2 1.5 1.5 1 1 0

イ 評定項目のウエイト

職分や業務の性質により要求される評定項目の比重は異なるので、

各評定項目にウエイトを設定している。これを第一次ウエイトという。

各評定項目の評点に第一次ウエイトを乗じ、評点項目ごとに点数化

し、業績評定、能力評定について合計したものをそれぞれ業績評定点、

能力評定点という。

ウ 業績考課点(勤怠による減点)

勤怠は、業績評定に反映される。欠勤、遅刻、早退の区分によりウ

エイトを設定し、評定期間中の欠勤日数、遅刻、早退回数にこのウエ

イトを乗じて点数を求める。業績評定点からこの欠勤減点を減じた点

数を業績考課点という。

エ 総合評定点

総合評定成績は、業績評定と能力評定の結果から決定する。

総合評定点の算定に当たっては、業績評定点(欠勤減点がある場合

は業績考課点)と能力評定点に職分ごとに定められたウエイトを乗じ

て求める。このウエイトを第二次ウエイトという。

技能職から基幹監督職までの第二次ウエイトは以下のとおりである。

職分 業績評価ウエイト 能力評価ウエイト

技能職 0.8 0.2

基幹職2級 0.7 0.3

基幹職1級 0.65 0.35

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基幹監督職 0.6 0.4

【乙83、乙92の1~3】

⑦ 評定成績の決定

ア 評定成績の段階

業績評定成績、能力評定成績、総合評定成績はA、B、C、D、E、

Fの6段階で決定される。いずれの成績においてもC考課が標準であ

る。

イ 業績評定成績の決定

業績評定成績は、業績評定点(欠勤減点がある場合は、業績考課点)

を業績評価成績の各段階の定義に照らし、各事業所で職分ごとに相対

評価し決定する。相対評価とは、点数と成績を直接結びつけるもので

はなく、対象者全員の点数分布、すなわち点数の高さ、その順序、そ

の集散の度合い等から、従業員間の関係をみて相対的に成績を決定す

ることをいう。したがって、何点以上ならCというような対応関係に

はない。

例えば、各評定項目の評定段階が第一次評定者、第二次評定者とも

全てC考課に評定され、かつ、欠勤などにより減点されない場合は、

その業績評定点は60点となる。しかし、60点以上を業績評定成績Cと

するのではなく、仮に55点であっても他の従業員の点数によってはC

として決定することがある。

ウ 能力評定成績の決定

能力評定成績は能力評定成績段階の定義に照らして職分ごとに評定

し決定する。能力評定成績も業績評定成績の場合と同様に、何点以上

ならC考課というような対応関係はないが、一定の点数をひとつの目

安として決定している。能力評定成績は業績評定成績のような相対評

価の方法は採っていない。

例えば、各評定項目の評定段階が第一次評定者、第二次評定者とも

全てC考課に評定された場合は、その能力評定点は60点となる。同様

に全てBであれば80点、全てDであれば40点となる。能力評定成績は、

これらの点数を一つの目安として決定する。能力評定成績は、業績評

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定成績のように点数分布は考慮しない。

エ 総合評定成績の決定

前記(⑥エ)のとおり、業績評定点(欠勤減点がある場合は業績考

課点)と能力評定点に第二次ウエイトを乗じ、これらを合計して総合

評定点を算出する。総合評定成績は、業績評定成績と同様、総合評定

点を各事業所で職分ごとに相対評価して決定する。

オ 休職者などの取扱い

業績評定成績、能力評定成績の最低段階はFである。Fは、評定期

間の大部分について欠勤あるいは休職した者(全休者)など、明らか

に成績の悪かった者に適用する。

なお、元年度から5年度までの間において、申立人らの中でFを受

けた者はいない。

【乙83、1審p7】

⑧ 評定成績の分布制限

会社は、業績評定成績について、各事業所で職分ごとに各従業員の業

績(執務態度、勤怠を含む。)を相対的に評定するものであるところか

ら、成績の分布に一定の制限を設けている。

一方、能力評定成績については、職分規則に照らし従業員の保有する

職務遂行能力を的確に把握することが目的であることから、その成績決

定に当たって分布制限を設けていない。

総合評定成績については、その平均成績を標準にするため、分布制限

を設けている。

なお、分布制限が設けられている業績評定成績及び総合評定成績につ

いても、各事業所で職分ごとに見た場合、ある程度のバラツキがでるの

はやむを得ないとされている。また、基幹監督職以下の各事業所間の成

績の分布について、他事業所と著しく均衡を欠く事業所がある場合には、

本社は、評定成績の事業所間のバラツキが大きくならないよう、事業所

に修正を指示し、バラツキの調整を行うこととしている。

実際には、Aはほとんど実績がなく、Eは病気欠勤の場合などで、結

局、B、C、Dがほとんどである。例えば、昭和55年度から59年度まで

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の市川工場における技能職から基幹職1級までの職分にある従業員の

人事考課成績の分布は、Aがなし、B及びDが10パーセントから16パー

セント、Cが70パーセント以上である。

【乙83、当委員会に顕著な事実】

⑨ 人事考課制度の公開と人事考課成績の通知

会社は、前記のように45年度から新人事考課制度を実施し、具体的に

記述した評定項目ごとの着眼点と評定段階、評定項目ごとのウエイト、

評定期間、評定の分布などを公開した。

また、会社は、決定した人事考課成績すなわち業績評定、能力評定及

び総合評定の結果を4月1日付「人事考課成績通知」に記載し、毎年上

司が従業員に手渡し、通知している。上司である係長、主任は、従業員

に評定の根拠、業務遂行上の注意点、期待する点なども説明する。

【甲43の1~3、乙15の1~4、乙83】

⑵ 苦情処理制度

① 苦情処理制度の概要

会社は、昭和33年3月から苦情処理制度を実施している。

苦情処理委員会規則第1条によれば、苦情処理委員会は「労働協約に

基く組合員の労働条件及び人事に関する個人的苦情を公正に解決する

こと」を目的としている。

本社には中央苦情処理委員会が、事業所ごとに事業所苦情処理委員会

が置かれ、それぞれその構成は労使同数である。各委員会の委員長は、

それぞれ人事部長又は事業所長である。

苦情申立ては、まず事業所苦情処理委員に対して口頭で行われ、同委

員が必要と認めた場合、申立人は、所定事項を記載した苦情申立書を事

業所苦情処理委員会に提出する。この申立ては、組合員が苦情申立ての

理由となるべき事実を知り、又は知り得たときから1か月以内に行わな

ければならない。

苦情申立書を受理した事業所苦情処理委員会の委員長は、速やかに委

員会を開催し、開催後、原則として10日以内に全委員の三分の二以上の

合意をもって裁定する。委員全員の合意があった場合は、苦情は解決し

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たものとされ、他方で、同委員会の三分の二以上の合意に達しないか又

は中央苦情処理委員会に付議することを妥当と認めたときは、中央苦情

処理委員会に上申する。

中央苦情処理委員会においても、事業所苦情処理委員会におけると同

様の手続がとられるが、ここでも合意に達しない場合、中央苦情処理委

員会は社長に上申する。社長は、これを経営協議会に付議し、協議する。

なお、事業所苦情処理委員会及び中央苦情処理委員会は、必要と認め

るときは申立人及び参考人から意見を聴くことができる。

【乙30】

② 申立人らの行った苦情処理申立てについて

申立人らは、平成元年度から5年度までの間、苦情処理申立てをして

いない。

なお、X12は、昇格基準を満たしているのに今年度昇格しなかったの

は納得できないこと、また、昇格できなかった理由として、会社から協

調性が不足していることや仕事にムラがあることなどの説明を受けた

が、それだけでは納得できないこと等を理由として、昭和61年4月30日、

苦情の申立てを行ったが、6月28日、北陸工場事業所苦情処理委員会は、

同人の苦情申立てを棄却した。

また、63年5月31日、X13は、「同期・同学歴の中位者と比較すると

62年度に於いて年間約83万円の格差がある。これは会社が意マ

とマ

する労働

組合と労働者作りの為、20年以上にわたって会社の意に沿わない労働者

を差別した結果である」ことを理由として、苦情処理の申立てを行った

が、7月9日、京都工場苦情処理委員会は、同人の苦情申立てを却下し

た。

【甲275、乙57の1、乙58の1~6、乙59の1及び2、乙60の1~4】

6 申立人らの人事考課成績・試験受験状況・職分経歴

⑴ 申立人らの人事考課成績

平成元年度から5年度までの申立人らの人事考課成績は、別表2のとお

り延べ160件(32名×5年)である。このうち業績評定成績、能力評定成績

又は総合評定成績にBがある者は16件、Dがある者は47件、Eがある者は

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1件である。

なお、X23は、急性肝炎を患い、3年度の人事考課対象期間である2年

10月6日から1か月間にわたって傷病欠勤し、休職規則に則り、11月6日

ないし22日の17日間にわたって一般傷病休職した。

【乙11、乙50、乙83】

⑵ 各種詮衡試験に対する申立人らの対応

申立人らのうち、X10は、昭和43年実施の移行格付試験を受験して合格

した結果、第1種詮衡試験合格者コースに進んだ。また、X15、X22及び

X24の3名は、大阪工場事件において、被申立人と和解した結果、①X15

は61年4月1日付けで第1種詮衡試験合格者経路に経路を変更し、基幹職

2級に格付けられ、②X22は平成元年度に第1種詮衡試験合格者コースに

昇格経路が変更され、基幹職1級に格付けられ、③X24は昭和61年4月1

日付けで第1種詮衡試験合格者コースの基幹職1級に格付けられたこと

は前記認定(2⑻②イ)のとおりである。

X10、X15、X24及びX22を除く申立人らは、各種詮衡試験を受験せず、

したがって、会社を退職するまで昇格経路は事業所採用者コースのままで

あった。

【甲31の1、乙10、乙25】

⑶ 申立人らの職分経歴

申立人らの職分経歴は別表3記載のとおりである。

平成5年度の時点で基幹職1級であった者は、X7、X10、X22、X24

及びX30の5名、基幹職2級であった者は、X1、X2、X3、X4、X

5、X6、X8、X9 、X11、X12、X13、X14、X15、X18、X25、

X26、X27、X28、X29、X31及びX32の21名である。

【乙10、乙83】

第3 当委員会の判断

1 本案前の申立て(当事者の死亡及び申立期間徒過)について

⑴ 申立人らの主張

① 申立人らの死亡について

労働委員会規則(以下「規則」という。)第33条第1項第7号で規定さ

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れている「承継の申出」とは、労働委員会の審査中における手続を定め

たものと解すべきである。そもそも、本件は、平成6年の本件申立て以

降、審理が開始されなかったのであり、いわば凍結状態にあったといえ

る。これは審査が正式に始まっていないという意味で、本件は審査中に

は当たらない。

したがって、X19について「承継の申出」の期間が始まるのは本件第

1回の調査が始まった時(17年11月14日)からであるところ、X19の相

続人はそれから6か月経過前の18年3月27日に承継の申出をしている

のであるから、かかる申出は適法なものとして、X19に係る申立ても審

査の対象とされるべきである。

② 本件審査の対象期間について

ア 労働組合法(以下「労組法」という。)第27条第2項が制定された当

時には昇給・昇格差別という不当労働行為類型は、全く予想されてい

なかったのであるから、その解釈・適用は、不当労働行為制度の趣旨

に照らして、合目的的になされなければならない。

イ 本件では、昭和43年に移行格付試験が実施され、44年4月の格付に

よって差別が開始された。そして、かかる差別は、平成6年の本件申

立てに至るまで一貫して継続している。したがって、端的にこれを「継

続する行為」と捉えるべきである。その理由として、①使用者は労働

者に対して公正取扱義務を負っているところ、本件において、会社に

は、差別開始以降本件申立日まで、一貫継続してこの義務を履行して

いないという不作為が継続しており、かかる不作為の不当労働行為は、

本件申立日現在において完結しておらず、申立期間徒過の問題は生じ

得ないこと、また、②積極的行為・作為の面から捉えても、差別開始

以降、一貫した不当労働行為意思に基づいて、毎年度、同種行為を反

復・累行したものであり、まさに「継続する行為」というべきである

ことが挙げられる。

ウ また、会社は、申立人らが不当な昇給・昇格差別に対してしばしば

抗議・苦情処理申立てを行ったもののまったく取り上げなかったこと、

4年に申立人らは連名で、会社に対して賃金昇格差別是正の申入れを

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行ったが、会社は何らの対応もしなかったこと等の個別的な事情を捉

えても、本件差別行為を「継続する行為」と捉え、昭和43年に移行格

付試験が実施され、44年4月の格付によって差別が開始され、かかる

差別は平成6年の本件申立てに至るまで一貫して継続していたと捉

えるべきである。

エ 以上から、差別開始以降本件申立日までを「継続する行為」と捉え

るべきである(なお、本件申立てにおいては、その継続する不当労働

行為のうちの直近5年度分(平成元年度から5年度)についてのみ救

済を求める。)。

⑵ 被申立人会社の主張

① 申立人らの死亡について

X19は、6年9月29日付「不当労働行為調査開始通知書」が交付され

た後の13年8月22日に死亡したが、その相続人が承継手続として「不当

労働行為手続きの受継の申立書」を提出したのは、X19の死亡後、4年

半以上も経過した18年3月27日である。

相続人は、規則第33条第1項第7号に定める期間内に、救済申立てを

承継する旨を申し出なかったことは明らかであるから、同人の承継申立

ては同規則に反する不適法な申立てとして却下されるべきである。

② 本件審査の対象期間について

ア 申立期間が設けられた趣旨は、不当労働行為として救済が申し立て

られる事件が行為の日から1年を経過している場合には、調査審問に

当たって証拠収集・実情把握がはなはだ困難になり、かつ、1年を超

えて経過した後に命令を出すことはかえって労使関係の安定を阻害

する虞があり、また、命令を出す実益がない場合もあるからとされて

いる。

また、労組法第27条第2項にある「継続する行為」とは、継続して

行われる一括して一個の行為を含むと解されるところ、会社が行う毎

年の昇給、昇格決定行為とこれに基づく賃金支払行為は「継続して行

われる一括して一個の行為」と評価することができるが、昇給、昇格

決定行為自体は、毎年独立して行われる一回限りの行為であり、「継

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続する行為」には該当しない。

イ これを本件についてみると、申立人らは、元年度ないし5年度の昇

給、昇格決定行為に不当労働行為があるとして救済を求めているが、

本件救済申立てのうち5年度に係る救済申立てのみが適法な申立て

であり、その余の申立ては不適法なものとして却下されるべきである。

すなわち、申立人らは6年7月6日に元年度ないし5年度における

昇給、昇格差別に係る救済申立てをしているが、5年度の昇給、昇格

決定は、5年4月1日付けでなされ、これに基づく賃金支払いが6年

3月25日まで継続していたのであるから、6年3月25日が申立期間の

起算点となり、6年7月6日に行われた救済申立ては申立期間である

1年以内に申し立てられた適法な申立てとなる。そして、会社の人事

制度における昇給は、人事考課成績(総合評定成績)により決定する

ので、5年度の昇給決定行為に不当労働行為該当性があるか否かをみ

るには、5年度の人事考課成績(総合評定成績)の決定行為に不当労

働行為該当性が認められるか否かを判断することになる。また、会社

の人事制度における昇格(一般昇格)は、(a)経過年数、(b)直近3年

間の人事考課成績基準、(c)職務遂行能力判定基準の3つで決定する

ので、(a)5年度の時点で昇格に必要な経過年数を満たしているか否

か、(b)5年度以前の3年間(3年度、4年度及び5年度)の人事考

課成績決定行為に不当労働行為該当性が認められるか否か、(c)職務

遂行能力判定に不当労働行為性が認められるか否かをみればよいこ

とになる。

一方、4年度の昇給、昇格決定行為は、4年4月1日付けでなされ、

これに基づく賃金支払いが5年3月25日まで継続していたのである

から、同日が申立期間の起算点となり、6年7月6日に行われた救済

申立ては、申立期間である1年を徒過した後に申立てられた不適法な

申立てとなる。同様に、元年度ないし3年度までの救済申立ても申立

期間を徒過しており、不適法となる。

なお、東京都労働委員会は、本件調査において、審査対象期間を元

年度ないし5年度とする決定をしたことから、会社は、いかなる審査

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を行うかは労働委員会の裁量であるとして、審査の範囲に関する会社

の上記主張は維持しつつも、審査対象期間を元年度ないし5年度とす

る東京都労働委員会の審査指揮に応じたものである。

⑶ 当委員会の判断

① 申立人らの死亡について

ア 前記認定(第2、1⑴)のとおり、本件申立て後、X19は平成13年

8月22日に、X11は18年4月4日に、X1は20年2月7日に、X23は

22年8月1日に、X21は23年6月27日に、X32は24年8月1日にそれ

ぞれ死亡したことが認められる。

そして、X19については18年3月27日に、X11については18年7

月4日に、X1については20年5月13日に、X23については22年12月

7日に、X21については23年12月1日に、X32については25年3月27

日にそれぞれ本件申立ての承継の申出がなされているところ、X19及

びX32についての承継の申出は、規則第33条第1項第7号の定める承

継の申出をなし得る期間(「申立人の死亡の日の翌日から起算して6

箇月以内」)を経過した後になされている。

したがって、X19及びX32の申立てについては、審査の対象とはな

り得ず、両名に係る申立ては却下せざるを得ない。

イ なお、申立人らは、規則第33条第1項第7号は労働委員会の審査中

に限って適用されるべきものと解した上で、本件では、救済申立てか

ら第1回調査期日の開始まで相当期間経過しており、いわば凍結状態

にあったのであるから、かかる凍結状態においては、本件が審査中で

あったとはいえない旨主張する。しかしながら、規則第33条第1項第

7号は労働委員会の審査中に限って適用されるべきであるという申

立人らの主張は、同条項の文言からかけ離れた独自の解釈であり採用

することができない。また、本件申立てから第1回調査期日の開始ま

でに相当長期間が経過していたという事情があったとしても、本件救

済申立書が当委員会に提出され、不当労働行為調査開始通知書が申立

人ら及び被申立人に交付された以上、それは審査中の事件であるとい

うほかないのであるから、やはり申立人らの主張は失当であるといわ

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ざるを得ない。

② 本件審査の対象期間について

ア 労組法第27条第2項は、不当労働行為救済申立てが「行為の日(継

続する行為にあつてはその終了した日)から一年を経過した事件に係

るものであるときは、これを受けることができない。」と規定し、こ

れを受けて規則第33条第1項第3号は、救済申立てが行為の日(継続

する行為にあつてはその終了した日)から一年を経過した事件にかか

るものであるときは、労働委員会は、公益委員会議の決定により当該

申立てを却下することができる旨を規定している。これら規定の趣旨

は、不当労働行為としてその救済が申し立てられる事件が行為の日か

ら長期間を経過すれば、証拠蒐集・実情把握が困難となること、労使

関係が形成され安定すること、救済の実益も乏しくなること等にある

と解される。

イ ところで、申立人らは、使用者の公正取扱義務を前提に、本件では、

差別開始以降申立日まで、一貫継続して公正取扱義務を履行していな

いという会社の不作為の不当労働行為が継続しており、この不作為の

不当労働行為は、申立日時点において完結しておらず、したがって、

申立期間徒過の問題は生じない、あるいは、積極的行為・作為の面か

ら捉えても、差別開始以降、一貫した不当労働行為意思に基づいて、

毎年度、同種行為を反復・累行しているなどと主張する。

他方、会社は、労組法第27条第2項にいう「継続する行為」とは、

継続して行われる一括して一個の行為を含むと解されるところ、会社

が行う毎年の昇給、昇格決定行為とこれに基づく賃金支払行為は「継

続して行われる一括して一個の行為」と評価することができるが、毎

年の昇給、昇格決定行為自体は、毎年独立して行われる一回限りの行

為であると主張する。そして、会社は、かかる見解によれば、本件で

は5年度の格付行為についてのみ、その不当労働行為性を判断すれば

よいと主張する。

ウ 格付行為に基づく昇給・昇格差別については、ある年度の職分及び

号給の格付行為とこれに基づく当該年度の毎月の賃金の支払いとは

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一体として1個の行為をなすものというべく、上記格付行為に基づく

賃金が支払われている限り、当該行為は継続することになると解する

のが相当である。そうすると、申立人らは、元年度ないし5年度の昇

給・昇格差別について6年7月6日に申し立てており、5年度の昇

給・昇格の決定は、5年4月1日付けでなされ、これに基づく賃金支

払いが6年3月25日まで継続しているから、同日が起算点となる。し

たがって、5年度の昇給・昇格決定行為とこれに基づく賃金支払行為

について、6年7月6日に行われた本件救済申立ては、申立期間であ

る1年以内になされた申立てといえる。しかしながら、4年度以前の

昇給・昇格決定行為とこれに基づく賃金支払行為は、本件救済申立て

の1年前以前になされた行為である(例えば、4年度の昇給・昇格決

定行為に基づく最終賃金支払日は5年3月25日であり、同日より1年

以内に申し立てられる必要がある。)から、4年度以前の昇給・昇格

決定行為に係る申立ては、労組法第27条第2項に定める申立期間を徒

過したものということになる。したがって、X19及びX32を除く申立

人らの元年度ないし4年度の昇給・昇格差別に係る申立ては却下すべ

きである。

審査対象の範囲に対する当委員会の判断は上記のとおりであるが、

仮に、使用者が労働組合の活動を嫌悪し、かつ、組合員を差別する意

思のもとに、毎年の昇給・昇格の決定に当たり、その都度行われる差

別に係る当該組合員の抗議や是正要求を殊更に無視し、差別を繰り返

していると認めるに足りる具体的徴憑が顕在化している場合には、使

用者の不当労働行為意思が一貫して不断に存在しているとして、それ

ら各年度の個別の行為は連続して一体をなすものと解する立場を採

ったとしても、本件においては、申立人らが救済を求めている元年度

ないし5年度の昇給・昇格格付行為において、申立人らは苦情申立て

を利用する機会があったにもかかわらず、苦情処理制度を利用してい

なかったことが認められ(第2、5⑵②)、その他、申立人らが継続

する行為に係る具体的徴憑と認められるに足りる抗議を行ったと認

めることはできないのであるから、本件における会社の行為を継続す

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る行為であるとする申立人らの主張は、いずれにせよ採用することが

できない。

エ そして、前記認定のとおり、会社の職分制度における職分の昇格に

当たっては、当該年度の格付行為の直近3か年の業績評定成績及び能

力評定成績が勘案されること(第2、4⑴⑦)を踏まえると、本来5

年4月1日の人事考課の評価対象となる2年1月1日から4年12月

31日までの勤務実態及びそれに対する会社の人事考課が審査の対象

となるところであるが、本件審査の実情に鑑み、昭和63年1月1日か

らの勤務実態及びそれに対する会社の人事考課をも踏まえて検討す

ることとする。

2 人事考課成績の集団的な考察について

⑴ 申立人らの主張

① 申立人らは、全国9工場の組合支部に属する組合員であり、組合員の

労働条件及びその生活と権利を守るために、労働組合の資本からの独立

と、組合員の要求をもとに民主的な組合運営を進めることを目指す階級

的民主的組合活動を行ってきた労働組合活動家である。

昭和40年頃から、会社の合理化に反対するなどの「階級的民主的組合

活動」が最も活発であった主力工場の各支部で、会社は、積極的な指導

のもと、職制をその主要なポストに配置して、インフォーマル組織を

次々に結成していった。戸田橋支部の戸田橋民主化同志会、市川支部の

明朋会などがその典型例である。これらのインフォーマル組織は、会社

の意に沿って、会社の職制と一体となって、合理化の推進のために活動

するとともに、それに反対する申立人らを孤立させる役割を果たした。

② 市川工場事件の控訴審において会社が提出した「事業所採用経路にお

ける同性・同期・同学歴の従業員の職分格付け、号給及び基本給」(甲

18)を踏まえて申立人らが作成した「事業所採用経路における申立人32

名とその他の者(414名)の入社年度別中位者との職分・号給・賃金比

較一覧表」(甲C8。以下「一覧表」という。)によれば、申立人らと「そ

の他の従業員」の中位者との間で職分・号給に格差があることは明らか

である。

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一覧表における中位者の選出について、申立人らは、昭和59年度及び

60年度については、入社年度別に、最上位職分(基幹監督職)と最下位

職分(技能職)から数えて中間に位置する者を中位者とし、その中位者

の職分・号給・基本給額を求めている。また、61年度以降における事業

所採用者コースの中位者の職分・号給・基本給額を示す資料は申立人ら

の手元にないため、61年度以降の職分・号給については、各入社年度別

中位者の60年度の職分・号給から毎年1号給ずつ7号給まで昇給し、7

号給以降からは翌年に直近の上位職分に昇格するものとしている(ただ

し、事業所採用者コースにおける最終到達職分は基幹監督職となってい

るので、基幹監督職の7号給を上限とした。)。さらに、61年度以降の中

位者の基本給額(本給・職分給)については、60年度の入社年度別中位

者の本給額に、春闘妥結一覧表(甲C4)に示されている毎年の賃金引

上げ額を、各年度のそれぞれの本給額に加算する方法で算出し、職分給

額については毎年の職分給額表(甲C3)に基づいて加算し算出した。

⑵ 被申立人会社の主張

① 本件審査における申立人らの主張・立証を通じても、申立人らは、会

社の申立人ら集団に対する不当労働行為意思について何ら明らかにし

ていない。

申立人らは、各支部における自主的な組織の結成等について会社が積

極的に指導したかのような主張をしているが、申立人らは会社の関与を

抽象的に主張しているのみであり、失当である。会社は、明朋会、民主

化同志会及び志宝会の結成については何ら関与しておらず、その他のイ

ンフォーマル組織なるものの存在は知らない。

② 申立人らは、所属する事業所、労働組合支部が9つに分かれており、

年齢、最終学歴、入社年月日、昇格経路も異なっている。申立人らには

集団としての均質性は認められず、32名を一つの集団とみなすことは不

合理である。

③ 会社の人事制度の特徴は、職分ごとの層別管理と経路別管理を行って

いることにある。かかる人事制度においては、いかなる職分にあるか、

いかなる経緯を歩んでいるかによって昇給、昇格は違ってくる。したが

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って、同期入社といえども昇給、昇格の機会を重ねるごとに職分や賃金

が乖離していく。経路区分が異なれば、勤務の態様が変わり職分昇格に

必要な要件や昇給額が変わるから、職分、賃金は一層乖離する。かかる

会社の制度のもとでは、単に申立人らを一つの集団として、経路区分や

人事考課成績を無視してその他の従業員と職分の比較をすることは、意

味がない。

④ 会社の人事制度の運用には年功的運用実態がなく、人事制度の趣旨ど

おりに従業員各人の経路選択や勤務振りに応じた処遇を行っているの

であるから、昇給、昇格に合理的な差が生じることは当然の結果であり、

本件において、集団間における職分格付けの格差を観察しても何ら意味

を持たない。

⑶ 当委員会の判断

① 申立人らは、その昇給・昇格が劣位にある根拠として、申立人らと同

性・同学歴・同一勤続年数の組合員である従業員群の中位者の職分・給

与を用いている。そして、申立人らは、61年以降の中位者の選出にあた

っては、「各入社年度別中位者の60年度の職分・号給から毎年1号給ず

つ7号給まで昇給し、7号給以降からは翌年に直近の上位職分に昇格す

るもの」としている。すなわち、申立人らは、年功的に昇給、昇格した

中位者なるものを想定して、申立人らとの集団的な比較を行っている。

しかしながら、会社においてそのような職分・賃金制度の年功的運用傾

向が存在した事実を認めるに足りる疎明はなく、かかる申立人らの比較

は、会社の人事制度及びその運用実態と矛盾するものであり(例えば、

最上位号給に到達した翌年に必ず職分昇格させることは、一般昇格にお

いて①経過年数、②人事考課成績、及び③職務遂行能力判定基準の3要

件を満たさなければならないという会社の人事制度と相反するもので

あることは明らかである。)、当委員会の採用するところではない。

したがって、申立人らの主張する中位者との格差の存在は、適切な比

較に基づくものとはいえず、申立人らの主張は失当というほかない。

②ア 一方で、会社は、申立人らが所属する事業所がそれぞれ異なること、

所属する労働組合の支部が異なること、申立人らの年齢、最終学歴及

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び入社年月日が異なること、申立人らの昇格経路の選択状況が異なる

こと等を挙げて、そもそも申立人らを均質的な一つの集団とみなすこ

とは不合理であると主張する。

確かに、本件において、申立人らは、それぞれ全国9つの事業所に

所属しており、各事業所における申立人らの人数にもばらつきがあり

(例えば、申立人らのうち大阪工場に所属する者は15名であるのに対

し、根室工場に所属する者は1名のみである。別表1参照。)、申立人

らの集団としてのまとまりの程度については必ずしも具体的に明ら

かにされていない部分がある。しかしながら、申立人らは、昭和40年

前後まで、同人ら又は同人らの活動に賛成する者らから多くの組合支

部において役員を当選させ、会社の施策に反対する組合活動を行って

おり、また、各組合支部で自主的な組織が結成され、申立人らが支部

執行部から排斥されるようになって以降も、支部役員選挙に立候補し、

あるいは会社の施策に反対するビラを配布する等の組合活動をして

きたのであるから(第2、2)、申立人らを組合活動の面では一つの

集団と見た上で、成績格差の有無の集団的な考察をすることは一応可

能であるというべきである。

イ もっとも、本件においては、申立人らの平成元年度ないし5年度に

おける人事考課成績分布については明らかになっているものの、同年

度の各事業所における申立人らと同じ職分の従業員の全体の人事考

課成績の分布が明らかとなっていない。そうすると、本件において、

集団的な考察によって、申立人らが元年度から5年度において低位の

成績評定を受けていたか否か(すなわち、申立人らと同年度の各事業

所における申立人らと同じ職分の従業員との成績を比較して、有意な

格差の存在が認められるか否か)を比較、判断することは困難といえ

る。本件審査において、申立人らは、会社に対し、「各申立人が所属

する各工場(事業所)ごとの各申立人らと同一職分の従業員全員につ

いて、昭和45年度から各申立人の定年時までの人事考課成績」等の開

示を求め、また、当委員会も、会社に対し、申立人らが求めた人事考

課、職分、号給等の資料について、主張・立証の範囲に限らず、開示

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できる資料は提出して欲しい旨求めたが、会社は、作成に必要な基礎

データが残存していないなどと回答し、人事考課に係る資料の開示を

行わなかった。その結果、本件審査において、集団的な考察ができな

くなったわけであるが、申立人らが、会社に対し、書面によって人事

考課に係る資料の開示を求めたのは19年12月頃であり、本件救済申立

てから起算して10年以上が経過していることに鑑みれば、資料の開示

ができない旨の会社の対応にもやむをえない側面が認められる。

そして、そもそも本件審査においては、申立人ら及び会社は、当該

人事考課成績の適否について個別に主張立証をしたのであるから、本

件において集団的な考察によって、人事考課成績における有意な格差

の有無を判定しなかったとしても、上記個別の主張立証により、その

人事考課成績によって申立人らの活動を嫌悪した結果として不当な

査定が行われたと認められるか否かについて判断することは可能で

ある。したがって、以下3及び4において検討する。

3 具体的な審査の対象について

⑴ 被申立人会社の主張

① 昇給について

審査の対象となる年度の号給格付行為において、人事考課総合評定成

績にC考課(標準考課)以上の考課を受けて標準以上の昇給(昇号給を

含む。)をしている者に昇給差別がないことは明らかであり、かかる者

は審査の対象とはならない。

② 昇格について

審査の対象となる年度の職分格付行為において、当該年度に昇格して

いる者は審査の対象とならない。また、当該年度の時点で上位職分への

昇格に必要な経過年数に達していない者も審査の対象とならない。さら

に、会社における標準考課はC考課であるところ、C考課を受けている

者は何ら不利益な取扱いを受けていないのであり、したがって、審査の

対象とはならない。

⑵ 当委員会の判断

① 会社は、標準考課(C考課)以上の考課を受けた者は何ら不利益な取

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扱いを受けておらず、当該年度において職分昇格をしていないのは、単

に昇格に必要な人事考課成績基準、あるいは職務遂行能力判定基準を満

たしていなかっただけであり、したがって、C考課を受けた者について

は審査の対象とはならない旨主張する。

しかしながら、会社の職分制度において、例えば、技能職の従業員が

基幹職2級へ昇格することを想定した場合、最低経過年数に加え4年未

満の期間で昇格しようとするには、業績評定成績及び能力評定成績が

「直近3か年にB以上を1個以上、あとは全てC」が必要とされており、

他方で、最低経過年数に加え4年以上の期間で昇格するには、業績評定

成績及び能力評定成績が「直近3か年に全てC以上」あればよいとされ

ている(第2、4⑴⑦アⅱ)。つまり、直近3か年でB考課以上が1個

あるか否かによって(ただし、その他の成績は最低でもC考課であるこ

とが前提である。)、昇格のスピードが異なることになり、C考課のみを

受けた場合には、当該考課対象者は、相対的に昇格が遅くなるという不

利益を被ることになる。また、理論的にも、当該考課対象者の日々の勤

務振りからすれば、本来はB考課以上の成績をつけて昇格させるべきと

ころ、会社の判断によってC考課をつけ、当該考課対象者の昇格を遅ら

せることも一応は可能な制度となっている。とすれば、会社の制度にお

いてC考課が標準考課であるとしても、その標準考課を受けたことをも

って、当該考課対象者が不利益に取り扱われていないということはでき

ない。

したがって、標準考課であるC考課を受けた者もなお、審査の対象に

なるといえる。

② 昇給について

そこでまず、昇給差別に係る具体的な審査の対象についてみるに、X

19及びX32を除く申立人ら30名のうち、人事考課総合評定成績にC考課

(標準考課)以上の考課を受けて昇給(昇号給を含む。)をしている者

に昇給差別(昇号給についての不利益取扱い)がないことは明らかであ

るので、C考課以上の考課を受けて昇給(昇号給を含む。)をした者に

対するC考課の評定の適否は審査の対象とならない。

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他方で、会社の人事制度のもとでは、①総合評定成績がD考課以下の

場合には昇給できないため(第2、4⑵②イ)、当該D考課以下の評定

が適切なものであったか否かは審査の対象となる。また、②5号級の者

が6号級へ昇給するためには、C考課を2年連続受けるかB考課以上を

受ける必要があるところ(第2、4⑵②イ)、B考課以上を受ければ1

年で昇給するのに、C考課を受けたがために1年で6号級へ昇給できな

い可能性がある。そうすると、C考課を受けた5号級の者が、仮にB考

課を受けていれば、6号級へ1年で昇給する可能性があったのであるか

ら、やはり、当該C考課の評定が適切なものであったか否かについても

審査の対象となる。さらに、③6号級の者が7号給へ昇給するためには

B考課以上の総合評定成績が必要であり(第2、4⑵②イ)、C考課以

下の総合評定成績では7号級へ昇給できない。そうすると、C考課を受

けた6号級の者が、仮にB考課を受けていれば、7号給へ昇給する可能

性があったのであるから、6号級の者がC考課を受けて7号級へ昇給で

きなかった場合の当該C考課が適切なものであったか否かについても

審査の対象となる。

以上を踏まえると、昇給差別に係る具体的な審査の対象は、別表4記

載の網掛け部分の人事考課成績(対象者は26名)ということになる。

③ 昇格について

次に、昇格差別に係る具体的な審査の対象者についてみるに、X19及

びX32を除く申立人ら30名のうち、各年度に昇格している者及び上位職

分に必要な経過年数に達していない者に昇格差別(職分昇格についての

不利益取扱い)が成立しないことは明らかであり、具体的には、別表5

記載の網掛け部分の人事考課成績(対象者は20名)が審査の対象となる。

④ 結論

以上をまとめると、具体的な審査の対象者となるのは、昇給差別に関

しては、申立人らのうち26名(X1、X2、X3、X4、X5、X6、

X7、X8、X10、X12、X14、X15、X16、X17、X18、X20、X21、

X23、X24、X25、X26、X27、X28、X29、X30及びX31)に対する

別表4で網掛けされている人事考課成績であり、昇格差別については申

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立人らのうち20名(X1、X3、X4、X5、X6、X7、X14、X15、

X16、X17、X18、X20、X21、X23、X24、X25、X26、X27、X29

及びX31)に対する別表5で網掛けされている人事考課成績ということ

になる。

4 人事考課成績の個別的な考察(成績の低位評価の根拠等)について

⑴ 会社における人事考課制度の合理性について

① 上記3で述べた申立人らに対する人事考課が相当であるかについて

個別に検討を進める前提として、会社の新職分・賃金制度が人事考課を

恣意的に運用することができる仕組みになっているとすれば、かかる制

度に基づいてなされた評定が不適当と評価し得る余地があるので、まず、

新職分・賃金制度の枠組み及び同制度における合理性の有無について判

断する。

② 会社の人事考課制度について

会社における職分・賃金制度は第2の4で認定したとおり、職能中心

の制度であるが、学歴・年功よりも職能・職務に重きを置いた人事諸制

度が大勢を占めるようになってきた社会的趨勢の中で何ら特異なもの

ではなく、新職分制度において職分が細分化・多層化した事実は認めら

れるものの、これも、職能と処遇の対応関係をよりきめ細かく行う趣旨

で実施されたものであって、特に会社に特徴的な制度とはいえない。

また、①各職分の定義は明確に定められ(第2、4⑴③)、②どのよ

うな能力を保有すれば上位職分に就けるかが明確であること(同⑦)、

③職分昇格が人事考課成績や昇格試験によって行われること(同⑦)、

④職分と職位の対応関係が明確であること(同④)、⑤職分昇格すれば

本人に通知されるのみならず、工場によっては、工場に掲示して全従業

員に周知されること(同⑧)、⑥基準月額賃金のうち家族手当や住宅手

当等、職能ではなく属人的条件で支給される部分もあること(同①)な

ど、会社における職分・賃金制度は、会社程度の規模の企業が備えるべ

き制度としておおむね標準的な内容を持ったものと認められる。

③ 会社の人事考課制度の仕組みについて

次に、会社の人事考課制度の仕組みについてみるに、同制度において

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は、評定項目、着眼点、評定段階などが具体的に記述され、その記述さ

れた評定項目ごとの着眼点と評定段階、評定項目ごとのウエイト、評定

期間、評定の分布などが公開され、さらに、各人ごとに決定した人事考

課成績、すなわち、業績評価、能力評価及び総合評価の結果を4月1日

付「人事考課成績通知」に記載し、毎年、上司が従業員に手渡し、通知

していること、その際、上司は当該従業員に評定の根拠、業務遂行上の

注意点、期待する点などを説明していること(第2、5⑴⑨)、さらに、

会社は苦情処理制度を設け、事業所においては事業所苦情処理委員会が、

本社においては中央苦情処理委員会が、それぞれ組合員の労働条件と人

事に関する個人的苦情の解決に当たっていることが認められる(同⑵)。

会社における前記人事考課制度の内容からすれば、評定項目ごとの着

眼点、評定段階などが具体的に記述されることにより、また、評定項目

ごとの着眼点と評定段階、評定項目ごとのウエイト、評定期間及び評定

分布等の考課制度の枠組みが公開されるとともに、評定の結果である人

事考課成績が毎年本人に通知されることにより、人事考課制度が恣意的

な運用に陥らない設計がなされているとみるべきである。さらに、苦情

処理制度も整備されていることを併せ考えると、会社の人事考課制度は

一応の合理性を備えたものと認められる。

⑵ 申立人らに対する人事考課成績について

① 会社は、申立人らの中で昇給、昇格を受けなかった者に関し、それら

申立人らが低位な成績を受けた理由について、個々にその勤務振りを主

張し、申立人らの作業ミス、作業効率の悪さ、勤怠の悪さなど、評定に

当たり消極的評価となる具体的な事実の疎明を行っている。これに対し、

申立人らは、会社の主張に呼応する形で、申立人ら各自の陳述書等によ

って、消極的評価になると会社が主張する事実の存否やその事実の評価

の誤り等を主張して争っている。

そして、本件で問題となっているのは、申立人らに対する低位な成績

評定が不当労働行為意思に基づくものであるかどうか、それ自体が不当

労働行為を構成するかどうかであるので、かかる観点から、消極的評価

につながったとして会社が挙げている事実の認定及びその事実の評価

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が、不当労働行為意思に基づくものであったのか否かについて検討を進

める。

② 個別的考察について

ア C考課の適否に関する申立人ら及び被申立人会社の主張の状況

(ア) 会社は、昇格について、①技能職から基幹職2級へ、②基幹職2級

から基幹職1級へ、③基幹職1級から基幹監督職へ、それぞれ「最

低経過年数+4年未満」の期間で昇格するためには、直近3か年に、

①についてはB以上を1個以上、②についてはB以上を2個以上、

③については直近2か年にB以上を3個以上の評定を受ける必要

があるところ(第2、4⑴⑦)、B考課以上の評定を受けられない

結果、「最低経過年数+4年未満」の期間で昇格できなかったのは、

単に人事考課成績基準を満たしていなかっただけであり、会社の職

分規則に基づく結果である、したがって、何ら不利益な取扱いはな

い旨主張する。

また、会社は、昇給について、5号給から6号級へ1年で昇給す

るため、及び6号級から7号給へ昇給するためには総合評定成績が

B考課以上であることが必要であるところ(第2、4⑵②イ)、B

考課以上の評定を受けられない結果、1年で5号級から6号給への

昇給ができず、また、6号級から7号給への昇給ができなかったの

は、単に人事考課成績基準を満たしていなかっただけであり、会社

の給与規則に基づく取扱いにすぎない旨主張する。

(イ) 会社における人事考課制度は上記認定のとおりであるが、会社の

判断により、本来B考課でしかるべきところをC考課とすることで

昇給をさせないことや、昇給・昇格を遅らせることも一応は可能で

あるから、当該C考課が差別意思に基づく不当なものであるか否か

は個別に判断すべきものといえる。

しかし、本件における申立人ら及び会社のC考課の適否に関する

主張やその疎明の状況をみると、会社は、C考課を受けた者が昇

給・昇格しなかったのはあくまで職分規則や給与規則に基づく取扱

いにすぎないと主張するだけで、例えば、申立人らの日々の勤務振

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りを挙げるなどして、当該人事考課が妥当であることを主張するこ

とはしていない。他方で、申立人らは、本来、会社の人事制度にお

いてはC考課ではなくB考課が標準考課であるなどと主張するの

みで(会社においてC考課が標準であることは第2、5⑴⑤で認定

したとおりである。)、当該C考課が差別意思に基づくものであるこ

とについて何ら具体的な疎明はしていない。

そうすると、C考課が差別意思に基づくものであることが何ら具

体的に疎明されていない以上、当該C考課に基づいてなされた職

分・号給格付行為が差別意思に基づくものであると認めることはで

きない。

イ D考課以下の適否及び3年度のX29に対する職務遂行能力判定に関

する申立人ら及び被申立人会社の主張の状況

(ア) D考課以下の適否について

本件審査の範囲においてD考課以下を受けている者(別表4及び

5参照)について、大要、会社は、以下のとおり各人の日々の勤務

振りを主張し、それに対して申立人らは、以下のとおり反論してい

る。

a X4について

会社は、X4のD考課の理由として、同人は確認作業を怠った

り、簡単に調整できるはずの機器の調整ができなかったため製造

を遅延させたり、不良製品を製造したこと、さらに、視力低下と

視野狭窄により、長期にわたり通常の作業に従事できない時期が

あり、病傷欠勤等により欠勤減点があったこと等を主張する。そ

して、かかる勤務振りを示す具体的な事例として、例えば、㋐紙

キャップが裏返しに打栓された「ハネーヨーグルト」を製造し、

廃棄となった事例、㋑検壜作業中に異種壜を見落としたため破壜

が発生し、作業が遅れた事例、㋒「ルミナスヨーグルト」の製造

において打抜き機の調整ができなかった事例等を挙げる(会社は、

上記事例を含め、元年度は12件、2年度は6件の事例をそれぞれ

挙げている。)。これに対し、申立人らは、当該事例のミスの原因

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は会社がX4の視力低下を知りながら配置を継続したためであ

ること、又は当該事例の存在それ自体を否認したり、当該事例の

ミスそれ自体は大きなものではない旨主張したり、あるいは会社

が根拠としている報告書等の記載にはミスの原因を具体的に特

定する事実を欠いており、信憑性がないこと等を主張する。

b X5について

会社は、X5のD考課の理由として、同人は作業を習得できず、

職場の規則や規律を守らず、さらに、基本的なミスを何回も繰り

返していたこと等を主張する。そして、かかる勤務振りを示す具

体的な事例として、例えば、㋐テトラパック充填オペレーター作

業を習得できず、他の従業員に迷惑を掛けた事例、㋑ヘルメット

を着用せずに作業をしていた事例、㋒塩素水をコンテナからあふ

れさせた事例等を挙げる(会社は、上記事例を含め、元年度の13

件の事例を挙げている。)。これに対し、申立人らは、当該事例の

存在それ自体を否認したり、当該事例のミスそれ自体は大きなも

のではない旨主張したり、あるいは会社が根拠としている報告書

等の記載には虚偽若しくは事実誤認があり、信憑性がないこと等

を主張する。

c X14について

会社は、X14のD考課の理由として、同人は作業手順に定めら

れた基本的な作業不良のために、大量の不良製品を製造したこと、

また、日報の記入を怠ったこと等を主張する。そして、かかる勤

務振りを示す具体的な事例として、例えば、㋐製品チェックを怠

ったために、製品にストリップテープがついていないことに気が

つかないまま充填を続け、漏れが出ている製品が確認された事例、

㋑ドリンクの仕込み作業を担当した際、均質化の手順を誤り、ミ

ックス(容器に充填する前の内容物のことをいう。)を廃棄せざ

るを得なくした事例、㋒日報に、製造出来高及び機械点検や品質

チェックの結果の記入を怠っていた事例等を挙げる(会社は、上

記事例を含め、元年度の8件の事例を挙げている。)。これに対し、

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申立人らは、当該事例の存在それ自体を否認したり、当該事例の

ミスそれ自体は大きなものではない旨主張したり、あるいは会社

が根拠としている報告書等の記載にはミスの存在を具体的に特

定する事実が欠けており、信憑性がないこと等を主張する。

d X15について

会社は、X15のD考課の理由として、同人は作業手順を守らず、

雑な作業をするために、製造を度々遅延させたり不良品を製造し

て資材等をロスしていたこと、オペレーターとして必要な知識、

技能を修得できていないために機器の調整ができないこと、さら

に、遅刻、早退により欠勤減点があったこと等を主張する。そし

て、かかる勤務振りを示す具体的な事例として、例えば、㋐製造

予定表の確認を怠り、製品にシールの貼付を忘れてしまった事例、

㋑製品の流れを見ていないために充填機を非常停止させ、ロスと

製造の遅れを生じさせた事例、㋒充填機の基本的な調整ができな

かった事例等を挙げる(会社は、上記事例を含め、元年度は17件、

2年度は12件、3年度は7件、4年度は10件、5年度は9件の事

例をそれぞれ挙げている。)。これに対し、申立人らは、当該事例

の存在それ自体を否認したり、当該事例のミスそれ自体は大きな

ものではない旨主張したり、あるいは会社が根拠としている報告

書等の記載は事実を歪曲したものであり信憑性がないこと等を

主張する。

e X16について

会社は、X16のD考課の理由として、同人は定められた作業手

順の履践を怠るなどしたために、度々製造を遅延させたり、不良

製品を製造したりすることになった結果、原料や資材をロスして

いたこと、作業不良を起こす都度、作業手順について再教育を施

したにもかかわらず基本的なミスを繰り返していたこと、さらに、

夜勤免除の就労制限や遅刻、早退による欠勤減点があったこと等

を主張する。そして、かかる勤務振りを示す具体的な事例として、

例えば、㋐殺菌機の圧力設定を誤り、ミックスを噴き出させた事

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例、㋑製品規格を超える異常値のミックスを仕込み、廃棄させて

しまった事例、㋒製造終了後も3時間にわたり充填機を停止しな

かった事例等を挙げる(会社は、上記事例を含め、元年度は11件、

2年度は12件、3年度は9件、4年度は11件、5年度は11件の事

例をそれぞれ挙げている)。これに対し、申立人らは、当該事例

による支障の主要な責任がX16にのみあるのではない旨主張し

たり、当該事例のミスそれ自体が大きなものではない旨主張した

り、あるいは会社が根拠としている報告書等の記載には内容上の

矛盾もしくは事実誤認があり、信憑性がないこと等を主張する。

f X17について

会社は、X17のD考課の理由として、同人は作業手順を守らず、

一つ間違えれば甚大な影響が生じてもおかしくない作業不良が

あったこと、製造を遅延させ、大量の不良製品を製造したこと、

また、既に教育を受けており簡単に調整できるはずの機器の調整

ができなかったこと、さらに、欠勤等により欠勤減点があったこ

と等を主張する。そして、かかる勤務振りを示す具体的な事例と

して、例えば、㋐配管のコックを閉じ忘れて、フィラータンクに

CIP洗剤を流出させてしまった事例、㋑不注意から約1,350ℓの

ミックスを廃棄せざるを得なくした事例、㋒ラベラーの基本的な

調整ができず、主任に連絡してきたため、センサーの位置を確認

するように改めて教えなければならなかった事例等を挙げる(会

社は、上記事例を含め、元年度は6件、2年度は9件、3年度は

12件の事例をそれぞれ挙げている。)。これに対し、申立人らは、

当該事例の存在それ自体を否認したり、当該事例のミスそれ自体

は大きなものではない旨主張したり、あるいは会社が根拠として

いる報告書等は事実を歪曲し、また作成者等の押印を欠く形式的

な不備があり、信憑性がないこと等を主張する。

g X18について

会社は、X18のD考課の理由として、同人は基本的な作業にお

いて確認忘れや確認不足によるミスを重ね、また、段取りが悪く

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作業が遅れてミスをすることもあり、さらに、保護具を着用せず

に洗剤を取り扱って注意を受けるなど、安全に対する意識も希薄

であったこと等を主張する。そして、かかる勤務振りを示す具体

的な事例として、例えば、㋐流量計を使用しなかったため、原料

水をストレージタンクからあふれさせ、仕込み直すこととなった

事例、㋑ストレージタンクの切替えが遅れ、原料をストレージタ

ンクからあふれさせた事例、㋒作業手順を守らずに危険物である

アルカリ洗剤を取り扱い、また保護具の着用を怠る不安全行動を

行った事例等を挙げる(会社は、上記事例を含め、元年度は11件、

2年度は5件、3年度は6件、4年度は8件、5年度は8件の事

例をそれぞれ挙げている。)。これに対し、申立人らは、当該事例

の存在それ自体を否認したり、当該事例のミスそれ自体は大きな

ものではない旨主張したり、あるいは会社が根拠としている報告

書等は事実を歪曲し、また、指示者の署名等を欠く形式的な不備

があり、信憑性がないこと等を主張する。

h X20について

会社は、X20のD考課の理由として、同人は作業手順を守らず、

自分勝手な作業を行い、製造を遅延させたり、不良品を製造した

こと、ヘルメットを着用せずにフォークリフトを運転したりする

など安全に対する意識が低いこと、さらに、長期就労制限を受け

ていたこと等を主張する。そして、かかる勤務振りを示す具体的

な事例として、例えば、㋐仕込み時にフレーバーを誤って投入し

たため、組成調整することとなり、作業を約3時間遅らせた事例、

㋑発酵時間が通常より長かった発酵乳を上司に報告せずに勝手

に使用し、製品クレームを発生させた事例、㋒ヘルメットを着用

せずフォークリフトを運転した事例等を挙げる(会社は、上記事

例を含め、元年度は9件、2年度は7件、3年度は3件、4年度

は6件の事例をそれぞれ挙げている。)。これに対し、申立人らは、

当該事例の存在それ自体を否認したり、当該事例のミスそれ自体

は大きなものではない旨主張したり、あるいは会社が根拠として

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いる報告書等の記載はミスの存在を具体的に特定する事実を欠

いているほか、事実を歪曲しており、さらに、課長等の押印を欠

く形式的な不備があり、信憑性がないこと等を主張する。

i X21について

会社は、X21のD考課の理由として、同人は基本的な作業ミス

や、作業手順を怠ったために、製造を度々遅延させたり不良品を

製造して資材等をロスしていたこと、オペレーターとして必要な

知識、技能を修得できていないために機器の調整ができないこと、

さらに、作業手順の再教育を受けたが、勤務振りは改善されなか

ったこと等を主張する。そして、かかる勤務振りを示す具体的な

事例として、例えば、㋐作業手順を無視してカートンの補充が遅

れ、充填を中断させた事例、㋑充填機の基本的な調整ができなか

った事例、㋒定められた製品チェックを怠り、不良製品を発生さ

せた事例等を挙げる(会社は、上記事例を含め、元年度は12件、

4年度は15件の事例をそれぞれ挙げている。)。これに対し、申立

人らは、当該事例の存在それ自体を否認したり、当該事例のミス

それ自体は大きなものではない旨主張したり、あるいは会社が根

拠としている報告書等の記載はミスの存在を具体的に特定する

事実を欠いているほか、事実を歪曲しており、信憑性がないこと

等を主張する。

j X23について

会社は、X23のDあるいはE考課の理由として、同人が定めら

れた作業手順を守らず、雑な作業をするために、不良品を製造し

ていたこと、作業改善等に対する意識が低く、上司への報告を怠

ったり、指示に従わないこと、仕事への集中力を欠いていたこと、

さらに、体調不良のために勤務日当日になって欠勤連絡してくる

ことが多かったこと等を主張する。そして、かかる勤務振りを示

す具体的な事例として、例えば、㋐手順通り作業を行わずに塩素

水が混入した製品を製造し、顧客からクレームを受けた事例、㋑

充填機の調整に時間を要し、製造を遅延させたが上司に報告せず、

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出荷に間に合わなかった事例、㋒充填開始時の確認を怠り、「フ

レッシュ100」のトップ部分のシール接着不良を見過ごした事例

等を挙げる(会社は、上記事例を含め、元年度は4件、2年度は

7件、3年度は4件の事例をそれぞれ挙げている。なお、X23は

急性肝炎を患い、2年10月6日から1か月間にわたって傷病欠勤

し、休職規則に則り、11月6日ないし22日の17日間にわたって一

般傷病休職をした(第2、6⑴))。これに対し、申立人らは、当

該事例による支障の責任がX23にはない旨主張したり、当該事例

のミスそれ自体は大きなものではない旨主張したり、あるいは会

社が根拠としている報告書等の記載には、事実誤認や作成者等の

押印を欠く形式的な不備があり、信憑性がないこと等を主張する。

k X25について

会社は、X25のD考課の理由として、同人は仕事の際の集中力

が散漫で、雑な作業となることが多く、簡単な作業でミスを繰り

返していたこと、決められた品質検査を行わないなど、品質に対

する意識が低く、仕事の精度が低かったこと等を主張する。そし

て、かかる勤務振りを示す具体的な事例として、例えば、㋐生乳

検査日報で原乳受入れ量を計算間違いした事例、㋑アルコールテ

ストを怠ってコーヒーミックスの酸度上昇を見過ごした事例等

を挙げる(会社は、上記事例を含め、3年度につき7件の事例を

挙げている。)。これに対し、申立人らは、当該事例による支障の

責任がX25だけにはないこと、あるいは、当該事例のミスが業務

に大きな支障を生じさせるものではないことを主張したり、会社

が根拠としている報告書等は事実を歪曲しており不公正で、信憑

性がないこと等を主張する。

l X26について

会社は、X26のD考課の理由として、同人が作業確認を忘れ、

操作を誤るなど、作業が粗雑で慎重さを欠いていたこと、決めら

れた作業の重要性を理解せずに手を抜くことがあったこと等を

主張する。そして、かかる勤務振りを示す具体的な事例として、

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- 63 -

例えば、㋐三方コックの向きを合わせ間違えて、殺菌機にエアを

誤って混入させ、ミックスを再殺菌することになり、作業を遅延

させた事例、㋑ストレージタンクからホースを外す際、ホース内

に残っていたミックスをこぼした事例等を挙げる(会社は、上記

事例を含め、4年度につき6件の事例を挙げている。)。これに対

し、申立人らは、当該事例による支障の主要な責任がX26だけに

あるのではない旨主張したり、会社が根拠としている報告書等に

事実誤認や公正さに欠ける記載があり、信憑性がないこと等を主

張する。

m X27について

会社は、X27のD考課の理由として、同人は確認を忘れ、ある

いはいい加減な確認のまま作業を行うことによるケアレスミス

をしばしば起こしていたこと、決められた簡単な作業において、

作業の遅れにつながるような大きなミスを起こしていたこと等

を主張する。そして、かかる勤務振りを示す具体的な事例として、

例えば、㋐日報で調整乳残量及び乳原料合計残量の計算間違いを

した事例、㋑殺菌機の熱湯殺菌時に給水バルブを閉め忘れたため

作業をやり直すこととなり、作業を約1時間30分遅れさせた事例

等を挙げる(会社は、上記事例を含め、4年度につき9件の事例

を挙げている)。これに対し、申立人らは、当該事例の存在自体

を否認する旨主張したり、当該事例のミスそれ自体は大きなもの

ではないこと等を主張する。

n X28について

会社は、X28のD考課の理由として、同人が定められた手順通

りに行う基本的作業や工程確認作業を怠り、同じようなミスを何

回も繰り返していたこと、顧客からのクレームや出荷止めにつな

がるような製品を作るなど、品質に対する意識が希薄で作業の精

度が低かったこと等を主張する。そして、かかる勤務振りを示す

具体的な事例として、例えば、㋐粘度確認を怠って軟らかい「カ

スタードG」を製造したため、顧客から返品を受けた事例、㋑仕

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- 64 -

込み時の温度確認を怠り、褐色に変色したカスタードを製造した

事例、㋒回収すべき還元クリーム約80Lを回収せずに床に垂れ流

していた事例等を挙げる(会社は、上記事例を含め、元年度は6

件、2年度は11件、4年度は12件の事例をそれぞれ挙げている。)。

これに対し、申立人らは、当該事例におけるミスが不可避であっ

たり、ささいなものである旨主張したり、当該事例の存在自体を

否認する旨主張したり、あるいは会社が根拠としている報告書等

の記載には内容上の矛盾若しくは事実誤認があり、信憑性がない

こと等を主張する。

o X31について

会社は、X31のD考課の理由として、同人は日常的に実施して

いる基本的作業について、同じようなミスを繰り返していたこと、

遅刻することもしばしばあり、欠勤減点が生じていたこと等を主

張する。そして、かかる勤務振りを示す具体的な事例として、例

えば、㋐製造計画を確認しなかったために製造が出荷時刻に間に

合わなかった事例、㋑夜勤で大幅な遅刻をして製造開始を遅らせ

た事例、㋒充填するカップを間違えて製造し廃棄処分を招いた事

例等を挙げる(会社は、上記事例を含め、3年度は7件、5年度

は9件の事例をそれぞれ挙げている)。これに対し、申立人らは、

当該事例の存在そのものを否定する旨主張したり、当該事例によ

る支障の責任がX31だけにあるのではない旨主張したり、あるい

は会社が根拠としている報告書等の記載は事実を歪曲しており、

また、作成者の押印を欠く形式的な不備があり、信憑性がないこ

と等を主張する。

(イ) 3年度のX29に対する職務遂行能力判定について

また、3年度におけるX29の業績評定成績及び能力評定成績はいず

れもC考課である(別表5の29番参照)。そして、3年度において、

X29は、基幹職2級へ昇格するために必要な経過年数及び人事考課成

績基準の要件を満たしていた。ところが、同人には、一般昇格の要件

である職務遂行能力判定による見送りがあったため、同年度に基幹職

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- 65 -

2級へ昇格することができなかった(第2、4⑴⑦ⅲ)。

そこで、かかる職務遂行能力判定による昇格見送りが正当なもので

あったのか、あるいは差別意思に基づくものであったのか否かが問題

になるところ(なお、申立人らの中で、経過年数及び人事考課成績基

準の要件を満たしているにもかかわらず、職務遂行能力判定によって

昇格が見送られたのはX29のみである。)、会社は、X29の職務遂行能

力判定による昇格を見送った理由として、同人は、製品チェックを怠

ったために、誤った製造日付を印字した不良製品を製造したこと、印

字が不鮮明な不良品を製造したこと、教育を受けている基本的な機器

調整を習得しておらず、調整に長時間かかったこと等の具体的な事例

を挙げつつ主張する(上記事例を含め、会社は6件の事例を挙げてい

る。)。これに対し、申立人らは、当該事例は低査定の資料とされるべ

き事例ではない旨反論したり、当該事例の存在それ自体を否認したり、

あるいは会社が根拠としている報告書や陳述書は事実を歪曲してお

り信憑性がないこと等を主張する。

(ウ) 判断

a D考課以下の適否及び3年度のX29に対する職務遂行能力判定

について、日々の勤務振りに関する当事者の主張の概要は上記のと

おりである。しかしながら、申立人らからは、申立人ら以外の従業

員が同様のミスをした場合であっても、その者らが申立人らと比較

して高い評定を受けていたという事実や、申立人らの勤務振りが他

の従業員と比較して優れているにもかかわらず会社の不当労働行

為意思に基づいて低位な評定がなされた事実等、会社の申立人らに

対するD以下の考課及び3年度のX29に対する職務遂行能力判定

が合理性を欠く査定に基づくものと評価するに足りる事実の疎明

があったとすることは困難である。逆に、上記の個別的考察におけ

る当事者の主張でみたように、当該事例のミスの存在を認めたり、

あるいはミスの存在を認めつつ、その評価を争う旨の申立人らの反

論があり、そうだとすると、少なくとも、これらの事例に係るミス

の存在自体は争いのない事実というべく、このことは会社の上記査

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- 66 -

定の合理性を一定程度裏付けるものといえる。

b ところで、申立人らは、会社は、申立人らの組合活動を嫌悪し、

各支部におけるインフォーマル組織の結成と組合役員選挙に対す

る介入など様々な手段により、組合と各支部の運営に介入したなど

と主張する。

この点、①昭和41年頃から、各組合支部において、班長等を中心

に自主的な組織が結成されたこと、②自主的な組織が各支部で結成

されて以降、かかる組織が推薦する者らが役員選挙で当選するよう

になり、申立人らは役員選挙に落選するようになったこと(第2、

2)、③市川工場では、41年8月に行われた支部定期大会において、

市川工場事件における申立人らの一部がかなり影響力を有してい

たとみられる執行部が提出した運動方針の主要部分が否決され、組

合本部に同調する組合員らの提出した修正案が可決されたこと(同

⑶①)などからすれば、組合の主導権が申立人らの一部の者から申

立人らの活動に異議を唱える者らへ移行しつつあったことが認め

られる。そして、戸田橋工場において、申立人らが「同志会の一部

幹部(職制)のデマ、中傷を粉砕しよう!!」というタイトルで、

民主化同志会の主張を批判する内容のビラを配っている例(同⑵②

イ)からも分かるとおり、自主的組織が推薦する候補者が役員選挙

において当選するようになった後も、組合内部では、申立人らと自

主的な組織に所属する者との間には激しい対立があったことが窺

われる。

ところが、申立人らは、自主的な組織の成立やその活動について、

入手経路が必ずしも明らかではないノートやメモ等を書証として

提出するのみで、それ以上に会社の具体的な関与を裏付けるに足り

る事実の疎明をしておらず、また、自主的組織の結成後の役員選挙

において、申立人らが落選するようになり、自主的組織が推薦した

者が当選したことについて会社が積極的に関与していた事実を裏

付けるに足りる疎明もしていない。そうすると、会社が、各支部に

おける自主的組織の成立や役員選挙の介入について直接関与し、こ

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- 67 -

のことを通じて、「階級的民主的組合活動」を行っていた申立人ら

の活動を集団として嫌悪していたと認めることは困難である。

c そして、本件においては、消極的評価につながったとして会社が

挙げている事実の認定及びその評価が、不当労働行為意思に基づく

ものであったのか否かが重要な問題となるところ、上記bのとおり、

申立人らは、会社が申立人らを集団として嫌悪していたとの事実を

具体的に疎明できていないこと、会社の人事制度は、職分ごとに求

められる知識や評定項目ごとの着眼点と評定段階、評定項目ごとの

ウエイト、評定期間及び評定分布等の考課制度の枠組みが明確に定

められ、また、これらの内容が従業員に開示されるなど一応の合理

性が認められること(前記⑴)、その他、低査定の事実が申立人ら

の組合活動を理由に差別したと窺わせる特段の事情もないことか

らすれば、当事者が主張・反論する事実は、申立人らの人事考課成

績の低位性を基礎付け、あるいはそれを弾劾する可能性があるとし

ても、不当労働行為意思に基づくものであるという評価に結び付く

ものとはいえない。

したがって、会社の申立人らに対するD考課以下の成績評定やX

29に対する3年度の職務遂行能力判定が、会社の不当労働行為意思

に基づくものと認めることはできない。そうすると、かかる人事考

課成績に基づいてなされた職分・号給格付行為も不当労働行為に当

たるとはいえない。

⑶ まとめ

以上要するに、個別的な考察において、申立人らのうち、5年度の職分・

号給格付行為とその基礎となった別表4及び5の網掛け部分記載の人事

考課成績並びに3年度のX29に対する職務遂行能力判定は、不当労働行為

意思に基づくものと認めることはできない。

5 結論

以上のとおりであるから、X19及びX32を除き、5年度の職分・号給格付

行為において、会社は、申立人らのなす正当な組合活動を嫌悪して、その故

に申立人らを不利益に取り扱い、また、その結果、会社が組合運営に不当に

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- 68 -

介入したとの申立人らの主張は、採用することができない。

第4 法律上の根拠

以上の次第であるから、X19及びX32に係る申立ては、労働委員会規則第33

条第1項第7号に該当し、両名を除く30名の平成元年度ないし4年度における

昇給・昇格差別に係る申立ては労働組合法第27条第2項及び労働委員会規則第

33条第1項第3号に該当し、その余の申立ては労働組合法第7条に該当しない。

よって、労働組合法第27条及び第27条の12並びに労働委員会規則第33条及び

第43条を適用して、主文のとおり命令する。

平成25年6月18日

東京都労働委員会

会 長 荒 木 尚 志

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別表1 申立人らの氏名等一覧

氏 名 生年月日 最終学歴 入社年 退職年月 所属事業所 X1 S17.9.21 高 校 S37 H14.9 根室工場 X2 S14.11.8 高 校 S34 H11.11 戸田橋工場 X3 S14.10.26 高 校 S35 H11.10 戸田橋工場 X4 S14.6.25 高 校 S35 H11.6 戸田橋工場 X5 S20.8.13 高 校 S39 H17.8 戸田橋工場 X6 S17.2.5 高 校 S37 H14.2 市川工場 X7 S21.10.2 高 校 S40 H18.10 静岡工場 X8 S21.1.17 高 校 S39 H18.1 愛知工場 X9 S25.1.25 中学校 S40 H22.1 愛知工場 X10 S21.6.15 高 校 S40 H18.6 愛知工場 X11 S17.1.25 高 校 S36 H14.1 北陸工場 X12 S21.9.30 高 校 S40 H18.9 北陸工場 X13 S21.12.12 高 校 S40 H18.12 京都工場 X14 S12.10.19 高 校 S34 H9.10 大阪工場 X15 S16.1.24 高 校 S35 H13.1 大阪工場 X16 S15.7.1 高 校 S36 H12.7 大阪工場 X17 S18.1.12 高 校 S37 H15.1 大阪工場 X18 S15.10.2 高 校 S37 H12.10 大阪工場 X19 S19.2.1 高 校 S38 H13.8 大阪工場 X20 S18.6.9 高 校 S38 H15.6 大阪工場 X21 S17.10.13 高 校 S38 H14.10 大阪工場 X22 S19.3.23 高 校 S38 H16.3 大阪工場 X23 S18.8.4 高 校 S38 H15.8 大阪工場 X24 S18.12.17 高 校 S38 H15.12 大阪工場 X25 S18.8.1 高 校 S38 H15.8 大阪工場 X26 S19.2.21 高 校 S38 H16.2 大阪工場 X27 S20.3.27 高 校 S38 H17.3 大阪工場 X28 S12.4.27 高 校 S34 H9.4 大阪工場 X29 S18.3.23 高 校 S37 H15.1 福岡工場 X30 S19.3.21 高 校 S38 H14.5 福岡工場 X31 S18.9.19 高 校 S38 H14.12 福岡工場 X32 S20.5.8 高 校 S39 H17.5 福岡工場 注)Sは昭和を、Hは平成を表す。

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№ 氏名 元 2 3 4 5

1 X1 CCC CCC CCC CCC CCC

2 X2 CCC CCC CCC CCC CCC

3 X3 CCC CCC CCC CCC CCC

4 X4 DCD DDD CCC CCC CCC

5 X5 CDD CCC CCC CCC DCC

6 X6 CCC CCC CCC CCC CCC

7 X7 CCC CBB CBC CCC CCC

8 X8 CCC CBC CCC CCC CCC

9 X9 CCC BCC BCC BBB BBB

10 X10 CCC CCC CCC CCC BCC

11 X11 CCC CCC CCC DCC CCC

12 X12 CCC CCC CCC CCC CCC

13 X13 CCC CCC BCC BCB BCB

14 X14 CDC CCC CCC CCC CCC

15 X15 DCD DCD CDC CDD CDC

16 X16 DDD DDD DDD DDD DDD

17 X17 DCD DCC DCD CCC CCC

18 X18 DDD DCD DCD DDD DCD

19 X19 DCD CCC CCC DCD CCC

20 X20 DDD DDD DDD DDD CCC

21 X21 CDD CCC CCC CDD CCC

22 X22 CCC CCC CCC CDC CCC

23 X23 CDC DCD EDE CCC CCC

24 X24 CCC CCC CCC CCC CCC

25 X25 CCC CCC DCD CCC CCC

26 X26 CCC CCC CCC CDC CCC

27 X27 CCC CCC CCC DCC CCC

28 X28 DCD DCD CDC DDD CCC

29 X29 CCC CCC CCC CBC CCC

30 X30 DCC DCC CCC CCC CCC

31 X31 CCC CCC DCC BCC DCC

32 X32 BCC BCC CCC CCC BCC

別表2 平成元年~平成5年度の申立人らの人事考課成績

 注)アルファベットは左から業績評定成績、能力評定成績、総合評定成績を示す。

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№ 氏名 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 元 2 3 4 5

1 X1 技能 基2

2 X2 技能 基2

3 X3 技能 基2

4 X4 技能 基2

5 X5 技能 基2

6 X6 技能 基2

7 X7 技能 基2 基1

8 X8 技能 基2

9 X9 技能 基2

10 X10 基2 基1

11 X11 技能 基2

12 X12 技能 基2

13 X13 技能 基2

14 X14 技能 基2

15 X15 技能 基2

16 X16 技能

17 X17 技能

18 X18 技能 基2

19 X19 技能

20 X20 技能

21 X21 技能

22 X22 技能 基2 基1

別表3 申立人らの職分経歴

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№ 氏名 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 元 2 3 4 5

23 X23 技能

24 X24 技能 基2 基1

25 X25 技能 基2

26 X26 技能 基2

27 X27 技能 基2

28 X28 技能 基2

29 X29 技能 基2

30 X30 技能 基2 基1

31 X31 技能 基2

32 X32 技能 基2

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№ 氏名 63 元 2 3 4 5

1 X1基2-3 基2-4

C㋐基2-5C㋐

基2-5C

基2-6C㋐

基2-6C

2 X2基2-2 基2-3

C㋐基2-4C㋐

基2-5C㋐

基2-5C

基2-6C㋐

3 X3基2-5 基2-5

C基2-6C㋐

基2-6C

基2-6C

基2-6C

4 X4技-5 技-6

D㋐技-5D

技-5C

技-6C㋐

基2-1C㋑

5 X5技-4 技-4

D技-5C㋐

技-5C

基2-1C㋑

基2-2C㋐

6 X6基2-6 基2-6

C基2-6C

基2-6C

基2-6C

基2-6C

7 X7基2-6 基2-6

C基2-7B㋐

基1-1C㋑

基1-2C㋐

基1-3C㋐

8 X8基2-2 基2-3

C㋐基2-4C㋐

基2-5C㋐

基2-5C

基2-6C㋐

9 X9基2-2 基2-3

C㋐基2-4C㋐

基2-5C㋐

基2-6B㋐

基2-7B㋐

10 X10基1-2 基1-3

C㋐基1-4C㋐

基1-5C㋐

基1-5C

基1-6C㋐

11 X11技-6 基2-1

C㋑基2-2C㋐

基2-3C㋐

基2-4C㋐

基2-5C㋐

12 X12基2-2 基2-3

C㋐基2-4C㋐

基2-5C㋐

基2-5C

基2-6C㋐

13 X13基2-2 基2-3

C㋐基2-4C㋐

基2-5C㋐

基2-6B㋐

基2-7B㋐

14 X14基2-6 基2-6

C基2-6C

基2-6C

基2-6C

基2-6C

15 X15基2-1 基2-1

D基2-1D

基2-2C㋐

基2-2D

基2-3C㋐

16 X16技-1 技-1

D技-1D

技-1D

技-1D

技-1D

17 X17技-6 技-6

D技-6C

技-6D

技-6C

技-6C

18 X18基2-6 基2-6

D基2-6D

基2-5D

基2-5D

基2-5D

19 X19

20 X20技-5 技-5

D技-5D

技-5D

技-5D

技-5C

21 X21技-6 技-5

D技-5C

技-6C㋐

技-6D

技-6C

22 X22基2-3 基1-1

C㋑基1-2C㋐

基1-3C㋐

基1-4C㋐

基1-5C㋐

23 X23技-6 技-6

C技-6D

技-6E

技-6C

技-6C

24 X24基1-3 基1-4

C㋐基1-5C㋐

基1-5C

基1-6C㋐

基1-6C

別表4 昇給差別に係る具体的な審査について

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№ 氏名 63 元 2 3 4 5

25 X25基2-5 基2-6

C㋐基2-6C

基2-6D

基2-6C

基2-6C

26 X26基2-6 基2-6

C基2-6C

基2-6C

基2-6C

基2-6C

27 X27基2-6 基2-6

C基2-6C

基2-6C

基2-6C

基2-6C

28 X28基2-2 基2-2

D基2-2D

基2-3C㋐

基2-3D

基2-4C㋐

29 X29技-6 技-6

C技-6C

技-6C

基2-1C㋑

基2-2C㋐

30 X30基1-2 基1-3

C㋐基1-4C㋐

基1-5C㋐

基1-5C

基1-6C㋐

31 X31基2-2 基2-2

C基2-3C㋐

基2-4C㋐

基2-5C㋐

基2-5C

32 X32

注5)アルファベットの横に記載されている片仮名は審査の対象とならない理由である。その意味は以下のとおりである。 ㋐ 当該年度に昇給している。 ㋑ 当該年度に昇格している。

注1)アルファベットは総合評定成績を示す。

注2)申立人らの平成元年度から5年度の欄の上段部分は当該年度の職分及び号給を示す。

注4)網掛け部分は昇給差別に係る具体的な審査の範囲である。

注3)昭和63年度の職分及び号給は、甲C第8号証によるものとした。

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№ 氏名 元 2 3 4 5 備考

1 X1基2-4CC㋐

基2-5CC㋐

基2-5CC

基2-6CC

基2-6CC

S61に基幹職2級へ昇格

2 X2基2-3CC㋐

基2-4CC㋐

基2-5CC㋐

基2-5CC㋐

基2-6CC㋐

S62に基幹職2級へ昇格

3 X3基2-5CC

基2-6CC

基2-6CC

基2-6CC

基2-6CC

S46に基幹職2級へ昇格

4 X4技-6DC

技-5DD

技-5CC

技-6CC

基2-1CC㋑

5 X5技-4CD

技-5CC

技-5CC

基2-1CC㋑

基2-2DC㋐

6 X6基2-6CC

基2-6CC

基2-6CC

基2-6CC

基2-6CC

S46に基幹職2級へ昇格

7 X7基2-6CC

基2-7CB

基1-1CB㋑

基1-2CC㋐

基1-3CC㋐

S57に基幹職2級へ昇格

8 X8基2-3CC㋐

基2-4CB㋐

基2-5CC㋐

基2-5CC㋐

基2-6CC㋐

S62に基幹職2級へ昇格

9 X9基2-3CC㋐

基2-4BC㋐

基2-5BC㋐

基2-6BB㋐

基2-7BB㋐

S62に基幹職2級へ昇格

10 X10基1-3CC㋐

基1-4CC㋐

基1-5CC㋐

基1-5CC㋐

基1-6BC㋐

S62に基幹職1級へ昇格

11 X11基2-1CC㋐

基2-2CC㋐

基2-3CC㋐

基2-4DC㋐

基2-5CC㋐

H元に基幹職2級へ昇格

12 X12基2-3CC㋐

基2-4CC㋐

基2-5CC㋐

基2-5CC㋐

基2-6CC㋐

S62に基幹職2級へ昇格

13 X13基2-3CC㋐

基2-4CC㋐

基2-5BC㋐

基2-6BC㋐

基2-7BC㋐

S62に基幹職2級へ昇格

14 X14基2-6CD

基2-6CC

基2-6CC

基2-6CC

基2-6CC

S48に基幹職2級へ昇格

15 X15基2-1DC

基2-1DC

基2-2CD

基2-2CD

基2-3CD

S61に基幹職2級へ昇格

16 X16技-1DD

技-1DD

技-1DD

技-1DD

技-1DD

17 X17技-6DC

技-6DC

技-6DC

技-6CC

技-6CC

18 X18基2-6DD

基2-6DC

基2-5DC

基2-5DD

基2-5DC

S45に基幹職2級に昇格

19 X19

20 X20技-5DD

技-5DD

技-5DD

技-5DD

技-5CC

21 X21技-5CD

技-5CC

技-6CC

技-6CD

技-6CC

22 X22基1-1CC㋐

基1-2CC㋐

基1-3CC㋐

基1-4CD㋐

基1-5CC㋐

H元に基幹職1級へ昇格

23 X23技-6CD

技-6DC

技-6ED

技-6CC

技-6CC

24 X24基1-4CC㋐

基1-5CC㋐

基1-5CC

基1-6CC

基1-6CC

S61に基幹職1級へ昇格

別表5 昇格差別に係る具体的な審査について

Page 78: X2 X3 - mhlw.go.jp申立 人 X2 申立 人 X3 申立 人 X4 申立 人 X5 申立 人 X6 申立 人 X7 申立 人 X8 - 2 - 申立 人 X9 申立 人 X10 申立 人 (亡)X11 承継人

№ 氏名 元 2 3 4 5 備考

25 X25基2-6CC

基2-6CC

基2-6DC

基2-6CC

基2-6CC

S47に基幹職2級へ昇格

26 X26基2-6CC

基2-6CC

基2-6CC

基2-6CD

基2-6CC

S45に基幹職2級に昇格

27 X27基2-6CC

基2-6CC

基2-6CC

基2-6DC

基2-6CC

S57に基幹職2級へ昇格

28 X28基2-2DC㋐

基2-2DC㋐

基2-3CD㋐

基2-3DD㋐

基2-4CC㋐

S62に基幹職2級へ昇格

29 X29技-6CC

技-6CC

技-6CC

基2-1CB㋑

基2-2CC㋐

30 X30基1-3DC㋐

基1-4DC㋐

基1-5CC㋐

基1-5CC㋐

基1-6CC㋐

S62に基幹職1級へ昇格

31 X31基2-2CC㋐

基2-3CC㋐

基2-4DC

基2-5BC

基2-5DC

S61に基幹職2級へ昇格

32 X32

注2)申立人らの平成元年度から5年度の欄の上段部分は当該年度の職分及び号給を示す。

注4)アルファベットの右に記載されている片仮名は審査の対象とならない理由である。その意味は以下のとおりである。 ㋐ 経過年数の要件を満たさない。 ㋑ 当該年度に昇格している。

注1)アルファベットは左から業績評定成績、能力評定成績を示す。

注3)網掛け部分は昇格差別に係る具体的な審査の範囲である。