Upload
others
View
0
Download
0
Embed Size (px)
Citation preview
XML形式で表現した地物情報を中核とした統合型GISアーキテクチャの設計
第5回 空間ITワークショップ平成14年11月29日
株式会社ジャスミンソフト
平良洋樹, 贄良則
発表の流れ
• 統合型GISの考え方の整理• 地物単位での流通が目指すもの• プロトタイプシステムの構築と評価• まとめ
統合型GISの考え方の整理
統合型GISのポイント
• 共用空間データという考え方– 各部署がそれぞれ個別に管理していた空間データをもちより、共用空間データとする。
– 一元的な整備と品質管理。– ネットワーク化された庁内での利用を想定。
• 技術的課題– データフォーマットの問題– 共用のためのシステム構築の問題
• 運用上の課題– セキュリティ
データフォーマット
• 現場レベルでは、どのようなデスクトップGISソフトウェアを用いてもよい。
• 共用データは、特定ベンダーのデータフォーマットに依存しないことがのぞましい。
• 交換フォーマットの活用– 地理情報標準– G-XML
地理情報標準
• 応用スキーマの定義– メリット
• 組織の整備運用方針に即した、任意のモデルを定義できる。– デメリット
• モデル定義には、地物に関する考え方をもつ必要がある。• 本来なら地物カタログから選択するという運用となるべきだが、まだサンプルが少ない。
– 数値地図や国土数値情報などの地物定義が参考になる。
• デスクトップGISとのインタフェース– 個別の変換プログラムを作成する。
• 地物単位更新をどう実現するか。• 地理情報標準に対応したデスクトップGISは市場に存在しない。
G-XML
• バージョンの違い– G-XML 2.0 系
• 安定しており、すでに採用されているベンダーも多い。– G-XML 3.0 / GML 系
• 2.0 系との互換性に留意する。
• モデリング不要– 逆にいえば、数あるデータフォーマットの一つということでもある。
• デスクトップGISが直接扱うことができる。– G-XML 対応製品が増加している。
共有のためのシステム構築
• データベースサーバが必要– 特定ベンダー向けデータサーバ
• 実績、安定性あり。• 地理情報標準、G-XML 形式データを格納するためには、変換が必要。
– XML形式データを直接管理する• デスクトップGISとの連携方法が課題となる。
• クリアリングハウスとの連携– 疎結合型
• メタデータレベルでの連携(空間データに踏み込まない)– 密結合型
• 空間データへのシームレスなアクセス。• 特定データベースサーバに依存する。
共用空間データの再利用
• 本当に他部署の空間データを利用できるのか?– 法律に則した業務を行っている部署
• 他部署の空間データを共有する必要はない。• 自部署が整備したデータを提供する立場。• 提供行為そのものにメリットがない。(業務が増えるだけ?)
– 法律に則した業務となっていない部署• 空間データ整備費用を捻出できない。• 他部署のデータを使いたい。
セキュリティ
• 公開方式
– 完全公開• 誰でも入手、再利用が可能である。
– 限定付公開• 入手にあたっては、申請を必要とする。
• 制限方式
– 申請型• 検索は自由だが、利用に際しては申請が必要。
– アクセスコントロール型• 部署毎あるいは個人単位で、アクセスできるデータを予め制限する。
– 変換型• 位置精度を粗くする、あるいは間引きを行った上で公開する。• ベクトルデータをラスタ化して公開する。
共用空間データベースサーバの要件
• XMLで表現された空間データを直接管理できる。– 地理情報標準や G-XML をそのまま扱える。
• セキュリティの配慮が充実している。– アクセス制限、ダウンロード制限機能を有している。– クリアリングハウスとの連携を行う。
• 任意の空間データを入手できる。– 条件に応じた空間データの切り出し。 XML
XMLXML
データサーバからのデータ入手方法 (1)
• ダウンロード利用型– 申請、認証が必要。– 空間範囲切り出し、クリッピング、フォーマット変換。– 計算機資源を大量に消費するため、バッチ処理的インタフェースが望ましい。
– セキュリティの観点から、動的なデータフィルタリングが必要。• 個人情報に関する諸データは削除する、など。
データサーバからのデータ入手方法 (2)
• オンライン利用型
– ベクトル(XML)形式データをそのまま配信
• 流量の制御が困難である。• 利用者の使い勝手は良い。• コピー防止は困難。
– ラスタへ変換して配信• オンデマンド変換• 事前変換
XML
XML
変換
データサーバからのデータ入手方法 (3)
• サービス提供型– Web Service 仕様に基づくデータの送受信を行う。
• プル型• プッシュ型
XML
XML
プル
XMLXML
ファイアウォール
プッシュ
地物単位での流通が目指すもの
地物単位流通が開く世界
• 地物単位での更新が可能となる– 最新の情報を入手することに意味がある業務とは何か?
• 更新された地物のみの差分流通が可能となる– 転送データ量の削減にメリットがあるのは誰か?
• 地物単位でのデータ販売が可能となる– 必要な地物データだけを購入したい利用者とは誰か?
行政業務では
• 防災計画立案– 常に最新の状況でシミュレーションを行いたい(いざというときにデータが古かったでは意味がない)
• 犯罪管理、環境測定...
• 管理業務分野にとってはメリットなし?
地物情報を用いた応用サービスの実現
• 住民向けマップサービス– 観光案内– 経路案内– 街づくり
• 教育分野への活用• 地物情報を販売してはいけないのか?
– カーナビ向け最新地物情報提供– 民間企業、一般住民への販売
住民向け地図提供サービス
• 最新状況のWeb での配信• 住民側からの情報受付(双方向)
– カメラ・GPS付き携帯電話の普及
住民からの情報(文字、画像)
Web配信
Web配信
地物情報の販売
• 業者との契約– カーナビへの配信– 商店街での活用– 配送経路計画
例:企業向け案内地図作成サービス
• 企業の周辺に関わる地物情報の自動更新サービス• さらにデザイン業者が介在• まったく新しいビジネス展開が可能
○○商事ビル周辺の地物情報を更新(自治体)
○○商事ビル
案内マップの自動更新
XML
地物情報を案内図へ変換
(民間企業提供)
画像SVG
...
流通形態のまとめ
防災計画
犯罪管理
環境測定
管理業務
街づくり 観光案内
経路案内
教育分野活用
カーナビへの配信
商店街での活用
行政
住民
地物
新ビジネス
民間企業
配送経路計画
プロトタイプシステムの構築と評価
構築する地物データサーバの要件定義
• 検索– 空間範囲、時間範囲、キーワード
• 流通– XML形式地物としての流通:リアルタイム– ラスタ画像への事前変換:定期的– デスクトップGISへの変換:バッチ処理
• 更新– 地物毎に更新権限が必要。– 特定部署のみがそれぞれ更新を担当。– 低い頻度(年一回程度)に大量の一括更新あり。
本プロトタイプでのアプローチ
• オープンソースの積極的な活用• 既存システムとの整合性
– 今回はPostgreSQL でプロトタイプの構築を行う。– XMLPGSQL (PostgreSQLにアドオンするモジュール)を利用する。
RDB-XML マッピング方法
• 構造マッピング– アプリケーションの構築は楽– XML の自由度は失われる– テーブルジョインが大量に発生– 復元には時間を要する
• モデルマッピング– XML の自由度を活かす– 専用のライブラリが必要– 復元には時間を要する
構造マッピング
テーブル person
どうぞよろしくmaleTaro20
greetingsexnameid
hello.xml
<?xml version=“1.0”>
<person sex=“male”>
<name>Taro</name>
どうぞよろしく
</person>
<tel>123</tel>
12320
telid
テーブル tel
モデルマッピング(1)
hello.xml person
sex=“male”parent
next
child
name
1
2
3
<?xml version=“1.0”>
<person sex=“male”>
<name>Taro</name>
どうぞよろしく
</person>
4
どうぞよろしく
Taroテーブル xml_node
hello.xml
document
3
child content
41name要素2
nextparenttagkindid
person
sex=“male”
1
4
モデルマッピング(2)
hello.xml
<?xml version=“1.0”>
<person sex=“male”>
<name>Taro</name>
どうぞよろしく
</person>
5
telどうぞよろしく
6<tel>123</tel> 123
61telhello.xml要素5hello.xml
document child
22
content
5テキスト6
nextparenttagkindid
提案マッピング方式
• モデルマッピングを検索用インデックスとして活用する– 要素別指定検索を可能とする– 大量ポイントについてはMBRで代替
• 地物単位の情報を別途、テキストとして管理する– XML文書の復元に関するコストを減らす– トレードオフ:ディスク容量
地物の登録に関する検討(1)
• 空間データの変換– 幾何情報を示すノードが大半を占める– 空間検索も行わなければならない
<patch>
<controlPoint>23521.49 24852.78</controlPoint>
<controlPoint>23513.02 24802.97</controlPoint>
・
・
・
地物の登録に関する検討(2)
• mbrタグの付加• 幾何情報ノードの集合をcontentタグに集約
<mbr maxx=“82472.63” maxy=“96607.55”
minx=“13821.47 miny=“7831.8”>
<content><controlPoint>23521.49 24852.78</controlPoint> <controlPoint>23513.02 24802.97</controlPoint>
・
・
・
地物の登録に関する検討(3)
START
mbrタグの追加及び
controlPointタグの集約
Yesベースマップ? テーブルイメージ作成
Javaアプリケーションによる
データベースドライバ
経由の登録
No“COPY FROM”
コマンドによる登録
地物の検索
空間インデックス
市町村
(10000,1000,11000,1250)12345
・
・
・
・
・
・
mbrid
parent
surface
parent
mbr
地物単位更新の留意点
• 要素毎のレコードロックではなく、地物単位でのロックが欲しい– RDBはレコードロック、ページロック、テーブルロックのいずれか– 別途、ロックマネージャを定義する– ロックマネージャと権限管理マネージャとの統合
権限管理マネージャ
XML
ロックマネージャ
地物一括更新の留意点
• SQL文への展開は遅い– 爆発するSQL文– コミットのタイミングに気をつかう
• 一括登録によるコスト削減– 事前にデータベース用のインポートファイルを準備する必要がある
WebGISとの連動
• 差分地物情報を定期的に収集• 時間指定でラスタ画像を生成
WebGISサーバ地物サーバ
XML
ラスタ画像の生成
Webサービスとの連携
• XML形式データをそのまま流通• サービスのチェインが可能• 自治体で UDDI レジストリを運営してもよい
Webサービスサーバ2
サービスチェイン
登録検索
サービスの利用
UDDIレジストリ
Webサービスサーバ1 地物サーバ
データエキスポート機能との連携
• 自治体内で運用する地物定義に従ったエキスポート用プログラムを個別に作成– 汎用的な変換プログラムの作成は困難
XML
組織内データ形式に変換されたデータ
XML形式データ
構築したプロトタイプシステム
• 地物の登録– XMLドキュメントをRDBに格納する。
• 地物の検索– 空間範囲指定+地物要素名指定による検索を可能とする。
• 地物の出力– XMLファイルとして出力する。
プロトタイプシステムの評価(1)
• 空間データ– 沖縄本島の市町村界(33地物)– 沖縄本島の字丁目界(1,057地物)
• 計測時間=地物検索+結果出力• 検索時の空間範囲指定
– 南から北へ範囲を拡大• テスト環境
– CPU : Athlon XP +1700– JDK 1.3.1_01 / RedHat Linux 7.2– PostgreSQL 7.2.1 + XMLPGSQL 1.6
プロトタイプシステムの評価(2)
対象データ:市町村界
0
2,000
4,000
6,000
8,000
10,000
12,000
14,0000 5
10
15
20
25
30
35
40
地物数
時間(ミリ秒)
検索 検索+結果取得
プロトタイプシステムの評価(3)
対象データ:字丁目界
020,00040,00060,00080,000100,000120,000140,000160,000180,000
0
200
400
600
800
1000
1200
地物数
時間(ミリ秒)
検索 検索+結果取得
まとめ
• 地物単位流通が広げるGISの世界– 組織内に閉じたGISではあまりメリットがない?– 地物情報を外部で再利用できるメリットは大きい。
• 地物データベースの必要性– 必要な要件の洗い出し– クリアリングハウスを超える
謝辞
• 本研究は国土交通省平成14年度GIS整備・普及支援モデル事業における実証実験データベース利活用実験で提供された空間データを使用しました。