Bitcoinの概要 近畿大学 山崎重一郎
Bitcoin型仮想通貨 ソフトウェアだけで価値(量)が転々流通 信頼できる第三者が不要
Bitcoin型仮想通貨 「モノ」として扱うことはできない 「貨幣的価値の表象」として扱うべき • 「量」しか表象しない • 「対象」ではなく「量」に対する操作だけが可能
仮想通貨技術の核心 出来事の非可逆性の保証
通貨の二重使用の防止
仮想通貨技術の核心 出来事の非可逆性の保証 →ブロックチェイン
• ビットコイン経済のクロニクル
通貨の二重使用の防止 →三式簿記
• 入出する価値の グラフ的連鎖の整合性
時を支配する者
「時をかける少女」 制作委員会 KADOKAWA
もし時間を巻き戻せれば 使ったお金を何度も使える
非可逆性(完了性) 現金だけが持つ特質
• 即時に決済が完了
Bitcoinも • 時間経過とともに決済が非可逆に近づく(確率) • 30分~1時間経過で完了とみなす q=0.1 z=0 P=1.0000000
z=1 P=0.2045873 z=2 P=0.0509779 z=3 P=0.0131722 z=4 P=0.0034552 z=5 P=0.0009137 z=6 P=0.0002428
サトシ・ナカモト論文の シミュレーション
P2P型分散ファイルの顔 非可逆性の実現方法 参加者全員でブロックチェインを保管して更新
信頼できる第三者 は利用しない
最新のブロック
分散型記録の整合性問題 (ビザンティン将軍問題) 分散システムの有名な難問
• 攻撃者たちが結託して、巧妙に記録の整合性を破壊する
改ざんしたブロック
標的
攻撃者 攻撃者
攻撃者
攻撃者
多数決で合意 投票権は計算能力(計算競争)
• P2P全体で競争し勝利すると新規ブロックを登録できる
計算競争の 勝利者
発見の確率 1/1019
採掘者と通貨発行益 計算競争=マイニング
• 計算競争の勝利者は、通貨発行益をゲット(25BTC)
1BTC=63000円 1575000円
通貨の二重使用の防止 時制的三式簿記による帳簿記録の整合検査
インプットの合計 = アウトプットの合計
電子署名
Bitcoin技術が実現したこと 非可逆的な価値の転々流通
• 「電磁気的記録」ではなく抽象的な「情報」 ICカードなどの特別なハードウェアは不要
仮想通貨の可能性 見かけ上の運用コストの低さ
• 送金手数料 • 電子マネーの運用、アプリ開発の費用
実際は「採掘」に莫大な電力消費と継続的設備投資
通貨の転々流通情報の マーケティングへの利用 従来型電子マネー クローズドループ型
仮想通貨 転々流通型
流通するのは 量のみ
プリペイド カード
発行者
商店 商店 商店
仮想通貨経済全体の資金の流れ 個人の多面的で詳細な購買行動
情報収集範囲が限定
協調フィルタリングによる 商品の推薦 この商品を購入した人はこの商品も購入
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行と行のすべての 組合せの距離計算
協調フィルタリングによる 顧客行動の分析
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列と列のすべての 組合せの距離計算
ブロックチェインの応用 非可逆性が必要なのは決済だけじゃない
新しい社会情報基盤 • 何がいいか? • 地域通貨なんかも
仮想通貨の問題点 電力、資源の浪費
• Proof of Work法以外のマイニング方法の研究
マイニングの寡占化 • 電力、投資に莫大な資金が必要なら寡占化 • ある者が51%を超えると取引が可逆になる
プライバシの問題 • Bitcoin自体には匿名化技術は入っていない