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環境制御(前半) 温湿度・光・空気清浄

独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所

保存修復科学センター保存科学研究室長

佐 野 千 絵

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本日の内容

目標の明確化と評価の方法

基本的な考え方と技術

施設要件

• 防災【災害とアーカイブズ】

• 防犯

• 取り扱い【アーカイブズ保存の理論】【予防措置論】

• 温湿度制御

• 照明技術

• 空気清浄

• 虫害・カビ害低減【後半のコマ】

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資料管理の第一歩

整理方針 ⇔ 活用方針

管理目標の明確化

資料整理

資料の点検・清掃・記録作成

管理技術の評価

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アーカイブズ資料の多様性

材料 / 種類の多様さ

不定型のサイズ

材料について知る

製造技術について知る

環境の、資料に与える影響について知る

取り扱いの、資料に与える影響について知る

best

総体での保存を図る

Preventive Conservation

better!

材料・製造技術による困難

何年の寿命を期待?

• 不確定な活用方法

• 未定な価値づけ

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資料の寿命 劣化速度は温度が10℃上昇すると約2.3倍に増加

<修理>

他の要因による劣化促進を避ける 温度湿度変動大/汚染物質/ 光による損傷/生物被害

経過時間

強度・色などの指標

・低温

・低湿度

常温

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寿命の長さの一般則

一点モノの美術品

>中央政権の歴史史料

>歴史資料

地方文書・公文書・

アーカイブ・マイクロフィルム

>民俗資料

現代美術・画像/映像

>薄利多売の工業製品・生活資材

>一時的な資料・インスタレーション

均質性が重要

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保存環境つくりとは 資料保存の目的

形態・鑑賞価値・情報・技術その他の維持

価値付けの主体者 人間

空気(酸素・水・二酸化炭素)があり、居住環境の温度帯

人間が利用可能な状態での保存環境設計

資料そのものの寿命

管理目標値

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立地条件の影響-保存環境づくり

各要因の被害の大きさ

X事象の発生確率=危険度

立地条件

気候・気象

地形

周辺環境

活動計画

管理体制

頑健な設備

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長期保存のための空間ーゾーニング

熱/光/大気汚染/害虫は外部から波及

区画を分けて防衛

収蔵区画は外周より内部に

入り口・受付等

活用区画 日常の見回り

収蔵区画 管理の徹底

緩衝地帯

危険地帯

管理区画

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基本的な施設要件ー安全な建物

浸水しない立地 地震で崩れない建物 (Is値 >0.7) 漏水のない建物 十分な断熱性能がある屋根・壁 資料を安全に取り扱える十分なスペースがある

やや爽やかで快適な温度湿度環境 温度湿度の変化はゆるやか ゆるやかな気流 深呼吸できる清浄な空気 見やすい照明 害虫に侵入されにくい開口部

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資料保存の基本

施設要件を満たした上で <温度と湿度の制御> 湿度優先制御 変動は緩やかに <光の制御> 紫外線除去、赤外線除去 可視光線 照度制御 <空気汚染> 清浄な空間(化学物質、塵埃) <生物被害防止> IPM (Integrated Pest Management)

総合的有害生物(害虫)管理

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資料保存の基本

資料を正しく理解する(材料・技術・構造)

→ 劣化を予測する

→ 活用頻度を勘案する

→ 管理目標値を設定する

→ 適した環境制御技術の選択

→ 監視(モニタリング)と結果の評価

ゾーニング設計・設備対応と更新・管理

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収納箱に資料をしまう

上蓋が壊れかけ

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収納箱の効果 収納箱のテスト

0

10

20

30

40

50

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70

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3:0

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0 午

05/09/12 0

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0:0

0 午

日付

温度

℃あ

るい

は相

対湿

度%

RH

room Temp, °C room RH, % Large Temp, °C Large RH, % small Temp, °C small RH, %

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温湿度の制御と管理

形態の変化の抑制

物質の移動の抑制

カビ繁殖の抑止

結露させない

湿度変化をさせない 変温恒湿

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温度と劣化

できるだけ低い温度の方が寿命は長くなるが、利用時に結露しないよう考慮が必要

材質の劣化(化学反応)は、温度が高いほど速く進行

湿度の影響に比べて、温度の影響は小さい

低い温度 高い温度

湿度が高いとカビが生えやすい

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材質に応じた温度の条件

約20℃(人間にとって快適な温度)

緩やかな温度変化は許容

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紙の強さと湿度

0

20

40

60

80

100

0 100 200 300 400 500

0%

81%

耐折強さ

時間(h)

耐折強さに及ぼす湿度の影響(ボンド紙、80℃にて老化)

尾関昌幸、大江礼三郎、三浦定俊:紙の劣化速度に関する検討、紙パルプ技術協会誌、36、233-242、(1985)

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0

1

2

3

0 5 10 15 20 25

衝撃強さ(kgcm)

衝撃強さ(kgcm)

吸湿率(%)

紙の強さと湿度

未さらしクラフト紙の吸湿率と衝撃強さ(吉野)

『材料と水分ハンドブック:吸湿・防湿・調湿・乾燥』、高分子学会高分子と吸湿委員会、共立出版、729(1968)

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材質に応じた湿度の条件 ◇高湿度◇

100% 出土遺物(保存処置前のもの) 防黴処置が必要

◇中湿度◇

55-65% 紙・木・染織品・漆

50-65% 象牙・皮・羊皮紙・自然史関係の資料

50-55% 油絵

45-55% 化石

◇低湿度◇

45%以下 金属・石・陶磁器 塩分を含んだ物は先に脱塩処置が必要

17~40% 写真フィルム

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環境保全コストの見直し

・すべての温度湿度変化は緩やかであるべき

・温度変動は相対湿度変動よりも資料に与える影響は小さい

・±5%RH内の相対湿度変動では、資料に形態変化を起こすような状態は生じない

・±10%RHの相対湿度変動は、相対湿度変動に繊細な資料に被害を生じるおそれがある

・季節変化に伴って環境条件の設定値を変化させるべきである(恒温恒湿制御→変温恒湿制御)

・必要があれば気密性の高いケース・収納などを採用すべきである

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<温度湿度のチェックポイント>

絶対値が65%を超えない

絶対値が40%を下回らない

短期の変動は避けるべき

温度については、資料の安全を図るために、取り扱う人間に負担が少ないよう27℃を超えない

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<施設のチェックポイント>

壁・床・天井の温度差は0.5℃以内におさめたい

湿気だまりを見つけて、解消する

結露を避ける

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さまざまな温度湿度測定機器

3ヶ月ごとの校正が必要

2~3年に一度は校正を

温度測定機器

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室内の温度むらをなくす

→湿度むらがなくなる

温度測定

部屋の中央と四隅でどのくらいの差があるか確認

風速・風向

常時同じ方向から風が当たると乾燥が進む

扉は夜間閉める

昼間も閉めることを推奨

空調吹出口

最下段は床から上げる

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空調の吹き出し温度は低い

羽の向きが悪いと、冷気が直接当たることも起こる

通常、冷気は真下に落ちる

吹き出し温度は設定温度より3

~6℃低い

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温度・湿度の測定

測定器の置き場

センサーに風の当たらない場所で

床から70cm~120cmの高さに

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温度むら・湿気だまりの解消

ー送風機の利用ー

入り隅

低位置

下から 30cmに 湿気は たまる

地震対策

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天吊りの送風機の例

集密棚の方向にあわせて送風機が設置されており、部屋内の温度の均一化に有効

塵埃も巻き上げないので、空気環境清浄化に良好

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結露を避ける 隣接区画との温度差に注意

→室内に温度むらを作らない

資料庫で カビ発生 低温マイクロ

冷気

外部が内部より低温の時期

金属板ではめ殺した窓 冷気

事務室

夏に事務室だけ冷房を入れると

カビの発生位置は事務室近傍に動く

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照明の制御と管理

退色の抑制

鑑賞価値の向上

利用しやすさと保存の両立

光線の質・量

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光と波長

紫 藍 青 緑 黄 橙 紅

紫外線 可視光線 赤外線

波長 400nm 550nm 750nm

1nm(ナノメーター)=10-9m

波長の短い光ほど大きなエネルギーを持つ

長い波長の赤外線は 熱赤外線とも呼ばれる

水の吸収帯 1.2μm 1.45μm 1.94μm

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「ものが見える」とは

光源 受光部(人間)

資料

資料が、光線のエネルギーの一部(全部)を吸収して初めて、『色』『形』として認知される

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全部 反射 白

一部反射

一部吸収 <色>

全部 吸収 黒

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光の明るさの表し方

照度(lx、ルックス)

光に照らされた面の明るさの感覚を表わす量 1lx:1m2の面を1lmの光束で一様に照らした時の照度

人間( 標準観測者 )の感覚に基づいた単位

555nmの光に対して最高の視感度を持つ

光度(cd、カンデラ)---光源の明るさを表す

光束(lm、ルーメン =cd・sr)

輝度(cd/m2)

放射エネルギーを標準比視感度分布で測ったもの

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光による劣化防止

a.目に見えない光は除く

⇒ 紫外線除去(退色防止)

赤外線除去(表面温度上昇防止)

b.目に見える光は減らす

⇒ 光の総量の規制

(積算照度、ルックス x 時間)

褪色を防止する期間は? 100年

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相対損傷度

右図 波長ごとに作用強度を示した波長特性

米国商務省(NBS)がセルロースサンプルに対して求めたもの

可視域でも損傷が見込まれることに注意

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褪色測定のための標準試料

< ブ ル ー ス ケ ー ル (Blue Wool Standard) >

染織布の太陽光に対する耐光性を測定するとき用いられる

青色染料が羊毛布に染め付けられている

1級から8級までの8種類

日光堅牢度は1級が最も低く、8級が最も高くなっている

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ブルースケールの退色

積算照度が約500万lx・hで、耐光性が1-3級の新しい染織布は、肉眼でわかるほど褪色する。

展示照度が100lx、年間の展示日数が2ヶ月(60日)の時、年間積算照度は

100x8x60=48,000lx・h≒5万lx・h

耐光性1-3級の染織布の最長展示年数は

500万lx・h÷5万lx・h=100年間

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照度の推奨値

ICOM(1977) 照明学会(1999)

光に非常に敏感なもの 50 50 染織品・衣装・タピストリー できれば低い方がよい 年間積算照度120,000lx・h以下

水彩画・日本画・素描 (色温度 約2,900K) (1日8時間、年間300日で

手写本・切手・印刷物・壁紙 50x8x300=120,000)

染色した皮革品・自然史関係標本

光に比較的敏感なもの 150-180 150 油彩画・テンペラ画 (色温度 約4,000K) 年間積算照度360,000lx・h以下

フレスコ画・皮革品・骨 (1日8時間、年300日で

角・象牙・木製品・漆器 積算照度360,000lx・h)

光に敏感ではないもの 特に制限なし 500 金属・ガラス・陶磁器・宝石 ただし300lxを越えた

エナメル・ステンドグラス 照明を行う必要は

ほとんどない

(色温度 約4,000-6,500K)

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照明の種類

自然光

人工光

自然光の中でのモノの見え方を模して設計されてきた

LED,有機ELなどの新しい照明は、まだ開発途中なので注意が必要

<どのように見せたいか>

<資料への損傷を防ぐ>

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太陽光 東向きの午前10時、曇天

なだらかに連続した分光分布

紫外線が含まれる

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白熱灯のなかま

白熱灯

フィラメントを加熱して光を出す。フィラメントの温度に等しい黒体が放射する光の色温度に近い。

ハロゲンランプ

白熱灯の一種、管球に石英ガラスを用い、内部にヨウ素を封入してある。

白熱灯よりフィラメントを高温にできるので、明るく色温度の高い光を出せる。

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白熱灯の分光スペクトル

普通の白熱灯(フラッドランプ) 赤外線を除去したハロゲン灯(ミニクール)

白熱灯からは多量の赤外線(熱線)が出ている

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白熱灯の色温度の違い

電球色(色温度低)~昼白色(色温度高)

分光分布が変化

色温度が高いほど短い波長の光を多く含む

色温度低 色温度高

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蛍光灯の発光原理

水銀灯の管壁に蛍光体を塗り、水銀の輝線で蛍光体が可視光線(蛍光)を出す

水銀の輝線に含まれる紫外線も同時に出る

蛍光体

水銀蒸気

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蛍光灯の色味 曇天の太陽光 6500K

満 月 4000K NU:紫外線防止型

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三波長型蛍光灯

赤・緑・青の三色を混合して白色にみせている

紫外線が出ることに注意

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LED(発光ダイオード)

電圧をかけると発光する半導体

ダイオードから出る青色の光で黄色の蛍光体を光らせて、擬似的に白色の光をつくる白色発光ダイオードが白色光源として広く用いられる

紫外線や赤外線を出さない光源を選べる、使用電気量が少ない点が利点

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青色励起白色LEDの分光スペクトル

電球色

昼白色

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紫色励起白色LED

紫色チップで励起し、短波長側をカットしたもの

演色性、退色防止にすぐれる

LEDによる美術館照明の課題と今後、藤原徹、照明学会誌、97巻、302-307

(2013)

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読みやすさと照度

輝度対比約80%、観察距離30cmの場合

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年齢による適正な照度の違い

若齢者 23±3才 近点視力1.7±0.2

高齢者 69±5才 近点視力0.9±0.3

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輝度差を適切に制御

手元照明を上手に使い、見たいものの中心を明るく

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空気清浄

塵埃堆積の抑止

化学物質による変質の防止

保管方法の工夫

発生源への理解

保管と利用のために

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粒子状物質の影響

摩耗

汚損

カビの発生→フォクシング

資料表面の水分量上昇

→ガス状物質の濃縮・

カビ繁殖の誘因

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主要な粉塵の粒子径

2μmを境に挙動が異なる

1mm 1μm=1/1000mm 1nm=1/1000μm

顕微鏡で見える 肉眼で見える 電子顕微鏡で見える

花 粉

細 菌 ウィルス

カ ビ たばこの煙

エアワッシャー

エアフィルター HEPAフィルター

電 気 集 塵

空中を浮遊

空気清浄機が必要 床に沈降 吸引清掃で清浄化

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大気汚染対策の基本 入れない

持ち込まない

吸着能力の高い壁

調湿性能の高い箱

薄様紙

資料は保管箱に入れて収納

ドアを閉める

外気の取入れには塵埃除去フィルターを

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黄砂_資料管理上の問題

吸着した化学物質にも注意

環境省HPより

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PM2.5 とは 粒径が2.5マイクロメートル以下の大気中の微小粒子状物質

環境基準制定(2009年)

一年平均値に係わる基準値 15μg/m3

一日平均値に係わる基準値 35μg/m3

2011年度にPM2.5モニタリングが多くの自治体で始まる

健康影響や文化財影響は未解明

2011年度の連続測定結果に基づく全国的なPM2.5汚染の状況解析、板野ほか、大気環境学会誌、48(3)、154-160

(2013)

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国内の分布

南の方が濃度が高い傾向

春季・秋季に濃度が高い

北 ■>35μg/m3 >15μg/m3 □< 15μg/m3

4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 南

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空気清浄機の利用

目の細かいフィルターでろ過するタイプを選ぶ

HEPA等、目の細か

いタイプを選ぶ

吸い込み・吹き出し

範囲に限界あり 送風機などを増設して補う

細かな粒子は浮遊

1ケタしか減らない

粗い粒子は床に沈降

掃除!

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上手な掃除のしかた

水拭きが先

掃除機は後

排気が床にあたらないように、持ち上げられるような軽い掃除機が良い

繰り返しの掃除が有効

壁・天井も10年に一度は掃除

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資料への影響 - 大気汚染

化学物質 発生源 影響

硫黄酸化物 工場・火山

金属腐食

窒素酸化物 車 金属腐食、紙・染織品脆化

硫化水素 火山 金属腐食、特に銀の黒化

オゾン 太陽光 有機物脆化

塩化物 海 腐食促進、特にブロンズ病

微小カーボン 車 汚損

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資料保存の基本

資料を正しく理解する(材料・技術・構造)

→ 劣化を予測する

→ 適した環境制御の選択

ゾーニング設計・設備対応と更新・管理

アーカイブ 材料の多様性・予見の困難さ

環境を制御して総体で保存

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持続可能な環境管理

資料と人にやさしい環境を作る必要がある

アーカイブの管理目標値を定める

「手をかけ、目をかけ」

資料を大事に思う心が資料をまもる


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