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68 ビジネスコミュニケーション 2010 Vol.47 No.2

――はじめに、Sybase社を取り巻く金融市場の動向

についてお聞かせ下さい。

早川 2007年の米国の住宅バブル崩壊に端を発した国

際的な金融危機により、資本市場全体は大幅に後退し

ました。多くの企業は、現在もなお、極めて困難な市

場環境に直面しています。その中で、将来の成功に向

けた体制作りのために、IT投資をはじめとした様々な

活動に取り組む企業が増えています。米国サイベース

社と IDC Financial Insightsが実施した調査レポート

(2009年4月発表)では、金融企業は、資本市場全般に

対する戦略を部分的に改変しているのではなく、それ

を大規模かつ迅速に行っていくことが予測されていま

す。また本調査レポートでは、バイサイドの3分の2が、

この危機の結果として「自社ビジネス全般の変革を積

極的に計画している」と語り、一方セルサイドでは、

合計80%がこの危機に適応するために「自社ビジネス

の変革を行った」と語っていることが報告されていま

す。加えて、バイサイド回答者のうち51%が「事業統

合への注力強化や一部事業からの撤退による自社戦略

の変更を考えていた」と語り、セルサイドの約65%も

「事業部門の統合強化を重視し、市況に対応してM&A

の機会がないかを探るために同様のことを考えていた」

と語っていたそうです。

サイベースの金融市場向けプラットフォームは、金

融危機の中で継続的で堅調な売上を達成してきました

が、その背景には、市場とビジネス活動をリアルタイ

ムでより明確に把握するためのテクノロジーに投資し

ようとするセルサイドとバイサイド双方のニーズが大

きく影響したようです。

――金融市場では、今後、どのような活動が求めら

れてくるのでしょうか。

早川 2009年11月、米国サイベース社は、2010年以降

の金融サービス業界の方向性を決定する主な要因など、

資本市場の規制の展望に関するグローバルレポートを

発表しました。本レポートは「新しい展望(または失

望?):資本市場と技術の優先順位に対する規制の影

響」と題したもので、サイベースのお客様と業界が、

この不確実な時代に進むべき方向性が示されています。

また、監視委員会による規制の変更だけでなく、証券

会社の運営そのものがどのような変化を強いられるか

についても説明しています。また本レポートでは、監

視委員会が最初に着手するのは市場主導の構造である

と予測しています。

サイベース株式会社

代表取締役社長早川典之氏

長期にわたり金融業界をリードしてきたサイベースは、

膨大な量のデータを管理する機能とリアルタイム・データ分析に

必要なスピードを兼ね備えた統合プラットフォームを構築してきた。

2009年12月から販売を開始した「Sybase CEP」は、

「Sybase RAP」との組み合わせで、金融市場のリアルタイム・

ストリーミング・データ分析するアプリケーションである。

ここでは、金融市場の状況とSybase CEPについて伺った。

―はじめに、Sybase社を取り巻く金融市場の動向につい

てお聞かせ下さい。

―金融市場では、今後、どのような活動が求められてく

るのでしょうか。

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これが意味するのは、世界的な金融危機に対応する

ために、監視委員会は業界の規制だけではなく、証券

会社の運営方法そのものを変えてしまうこともありう

るということです。その最初のステップとして、監視

委員会は、金融サービス業界に対して、既存の IT予算

内でデータ管理や複合的イベント処理ツール等を中心

に優先順位を変更し ITアーキテクチャを改善すること

を義務付けることによって、規制への対応と情報のリ

アルタイム化を推進しようとしています。

――このような新しい規制の影響は、金融業界の IT

部門にも及びますか。

早川 このような動きの中で、今後課題となることは、

業界規制と社内管理のバランスを保ちながら、革新や

成長をうながす取引と資本市場のソリューションを開

発することだと思います。サイベースは、業界の最前

線で、高速データ分析プラットフォーム「Sybase RAP

- The Trading Edition(以下、Sybase RAP)」をはじ

めとしたソリューションを提供し、リスク分析の速度

と頻度の改善、データ分析の範囲の拡大、職場や資産

クラス、地域を超えた情報の一括表示を実現しました。

また2009年10月には、Sybase RAPとの組み合わせで、

金融市場でのリアルタイム・ストリーミング・データ

分析を実現する、金融市場向けのリアルタイム・デー

タ分析アプリケーション「Sybase CEPを発表し、同年

12月から販売を開始しました。

Sybase CEPは、大量に流れ込むストリーミング・デ

ータを、データベースに登録せず、リアルタイムに分

析する技術であるCEP(Complex Event Processing:

複合イベント処理)をコアとした分析アプリケーショ

ンです。ロイターやブルームバーグなどの市況データ

プロバイダから送られてくるリアルタイムのストリー

ミング・データを止めることなく捉え、ミリ秒単位で

分析することが可能です。

――Sybase CEPの特長についてお聞かせ下さい。

早川 Sybase CEPは、コアとなる「CEPエンジン」、周

辺技術との統合を行う「アダプタ」、独自アダプタ開発の

ための「SDK(ソフトウェア開発キット)」、CEPアプリ

ケーション用の開発環境「CEPスタジオ」、SQLに似た

「継続的クエリ言語(CCL)」から構成されています(図

1参照)。連続的なリアルタイム分析をサポートするため

に、様々な機能が用意されています。これらの機能を活

用することで、データ処理の遅延を最小化、スループッ

トを最大化にするなど、ビジネス条件や競合他社の戦略

の変化に迅速に対応することができるようになります。

また、意思決定者向けのリアルタイム調整機能により、

重要な意思決定に必要なデータだけを検索して見ること

ができます。そして、膨大なリアルタイム・データと履

歴データを保管・分析するSybase RAPと組み合わせて利

用することで、1/1,000秒単位でのリアルタイム・データ

から過去数年分の取引データまで、様々な時間単位での

分析を要件に応じて行い、金融市場における多様なサー

ビスニーズに対応することができます。

――最後に、今後の展開についてお聞かせ下さい。

早川 Sybase RAPとSybase CEPを組み合わせたリア

ルタイム・データ分析ソリューションの提供を通じて、

アルゴリズム取引をはじめ、国内金融市場における

様々なサービスの品質向上を支援していきます。

69ビジネスコミュニケーション 2010 Vol.47 No.2

Sybase CEPスタジオ/SDK

Sybase CEPエンジン

入力ストリーム 出力ストリーム

外部データベース/ アプリケーション Sybase RAP

リアルタイム 分析

クラスタリング /HA

SQL似た 継続的クエリ言語

イベント・ リプレイ

インメモリー・ キャッシュ

イベント駆動型 リード・ライト

プロセス内

アダプタ

プロセス内

アダプタ

プロセス内

アダプタ

プロセス内

アダプタ

図1 Sybase CEPの構成イメージ ◆サイベース株式会社 http://www.sybase.jp/

―このような新しい規制の影響は、金融業界のIT部門に

も及びますか。

―Sybase CEPの特長についてお聞かせ下さい。

―最後に、今後の展開についてお聞かせ下さい。