全史料協 20140606 14:40-16:10公文書館機能普及セミナー2014in岩手
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国文学研究資料館 青木 睦
携帯メ ル ( bil ) 6338 li @d j
被災資料の救出と今後の保存課題
携帯メール (mobile) [email protected]
e-mail [email protected]
被災資料の救出と今後の保存課題
アーカイブズの危機管理と東日本大震災アーカイブズの危機管理と東日本大震災
1
ある釜石市職員の文字員
2
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再生そして活用-新装幀・再編綴
乾燥してクリーニングを終えたフ イングを終えたファイルは、汚れた表紙を除いて、新たなガバットファイルで新装幀・再編綴します。再編綴された文書は、役所の各係において活用され始めました。
2012 3 11 活動の様子 釜石駅前 鎮魂の鐘が鳴る2012.3.11 活動の様子 釜石駅前 鎮魂の鐘が鳴る
被災文書のレスキュー岩手県
宮古市
岩手県• 2011.3.11 地震発生• 国文学研究資料館
山田町
大槌町
釜石市4/26.27 5/6~
• 群馬県立文書館 6/14~女川町
陸前高田市
釜石市
宮城県• 全史料協 7/2~
• 法政大学サスティビリティ研究
女川町
気仙沼市
南三陸町
福島県
教育機構 7/4~
• 国立公文書館 9/12~岩手県宮古市 山
仙台市
石巻市
岩手県宮古市・山田町・陸前高田市、宮城県気仙沼市・石巻市・
茨城県
県気仙沼市・石巻市・仙台市
• 神奈川県立公文書館神奈川県立公文書館10/1~
各団体の活動内容初動 搬出・
救出・搬送
乾燥 クリーニング
リスト作成
洗浄・修復
デジタル化
搬送
国文学研究資料館
後から要請
○ ○ ○ ○
群馬県立文 後から要 ○ ○ ○ △
研究支援
群馬県立文書館
後から要請
○ ○ ○ △
全史料協 後から要請
○ ○ △
法政大学サス 後から要 ○ ○ ○ ○ ○法政大学サティビリティ研究教育機構
後から要請
○ ○ ○ ○ ○
国立公文書 被災調 移送 ○ ○館 査・要請 研修生
神奈川県立公文書館
神奈川県から申出
移送 ○
災害緊
○ △公文書館 災害緊
急雇用
7
民間アーカイブズを遺すために民間アーカイブズを遺すために
所蔵者所蔵者
地域 自治体外部
研究機関
外部研究機関地域団体
外部団体 個人
地域団体
外部団体・個人
9
全国の資料ネット(2013年) 22ネット
国文研アーカイブス・カレッジ2013.11.13配付資料コピーアーカイブズのレスキュー活動NPO法人宮城歴史資料保全ネットワーク東北大学災害科学国際研究所 平川新教授
(2013年) 22ネット
新潟資料ネット
山形ネット
歴史資料ネットワーク
能登歴史資料
地域資料保全有志の会(栄村)
能登歴史資料保全ネットワーク
岡山史料ネット
岩手歴史民俗ネットワーク
山陰史料ネット広島史料ネット
宮城資料ネット福井史料ネット
岡山史料ネット
ふくしま史料ネ ト
資料ネットやまぐち
茨城史料ネット
ふくしま史料ネット
宮崎歴史資料ネットワーク
千葉県資料救済ネット
歴史資料保全 静岡県文化財等救済ネ ク
愛媛資料ネット
神奈川資料ネット
みえ歴史的・文化的資産保存活用連携ネットワーク
歴史資料保全ネットーワーク徳島
ネットわかやま 救済ネットワーク
歴史資料を救う文化財を守る
国文研アーカイブス・カレッジ2013.11.13配付資料コピーアーカイブズのレスキュー活動NPO法人宮城歴史資料保全ネットワーク東北大学災害科学国際研究所 平川新教授
レスキュー 100回以上レスキューした資料 6万点以上レスキューした資料 6万点以上
人間文化研究機構内国文学研究資料館チームの活動計画
はじめに
人間文化研究機構内国文学研究資料館チ ムの活動計画
3 11
釜石市大津波被災文書の復旧作業を中心に-20120613段階
H23.311
3.11‐5.5
(4.26‐27 )
5.6~7.13 7.14~10月末 11月~3月 H24.4~新市役所建設に
向けて
被災文書 復興被災文書の復興ソリューション調査研究
応
復旧作業
第1期
復旧作業
第2期
再生作業
•クリーニング•表紙ファイル交換
保存と
活用
釜石市文書管理の復興達成
•現用文書の管理
東日本大震災発生
応急対応段
•棚出・搬出・移動・搬送•乾燥配置•初期乾燥•継続乾燥•●リスト作成 完了
•継続乾燥•完全乾燥•クリーニング
• 8/24‐30
•表紙ファイル交換•リストとの照合•番号順-配置換え
•12/ 9‐15
•被災文書の原課への引き継ぎ
人間文化研究
•現用文書の管理•情報公開体制の整備
•半現用文書の保管
非現用 ア カイ段階
•●リスト作成 完了
•○対応場所-市役所地下書庫・第4庁舎‐プレハブ含む・第3庁舎・流出文書
• 8/24 30•10/14‐20
• 1/13‐19• 2/17‐23• 3/ 9‐15
•人間文化研究機構連携研究「被災紙資料の保存と活用に関するソリューション研究」
•非現用・アーカイブズの管理と活用
常時駐在 2ヶ月ごと 1ヶ月ごと 4/26 27
12
常時駐在 2ヶ月ごと 1ヶ月ごと 4/26.276/1-4
2011年5月6日~2012年3月15日の331日の内、105日間支援活動に従事
塩水で浸水した紙資料のレスキュー法の青木フロー120303青木改訂 110506東京文化財研究所 木川りか・佐藤嘉則
浸水 た文書 書籍等浸水した文書・書籍等
ほとんど乾 る
やや湿っている
濡れている乾いている 湿っている
カビ、臭い カビ、臭い カビ、臭い
整形して
ほとんどなし がひどい
大量
ほとんどなし
移動 量はそう多くなそのまま乾燥
整形して・送風乾燥・除湿乾燥
大量、人手なし
(場合によっては)
移動できない
移動できる
量はそう多くなく、人手あり
クリーニング泥・汚れをはらう 至急、
冷凍庫で冷
圧縮パック法大量でも
冷凍庫で
(場合によっては)
(少量ずつ小分けした形で)
整形して乾燥
冷凍庫で冷凍!*
真空
パック可能冷凍庫で冷凍*
真空(少量ずつの場合は・・)
今回は、移動できない行政文書いうことであったため、凍結 真空凍結乾燥は実施 真空
凍結乾燥真空凍結乾燥 スクウェルチ法
青木睦の文献、今津節生氏のメモを参考に作成
凍結。真空凍結乾燥は実施しないこととした。
クリーニング
救助・復旧そして 保存活用へ組織 そして、保存活用へ組織
[計画]統括
番号付与整 番号確認番号付与
搬出整形 番号確認
搬送 配置乾燥・ リスト
搬送 配置クリーニング 作成
元の配架 検索用に元の配架順に戻す
検索用にデータ化
14
活動の組織構成活動の組織構成
救助組織
[計画][計画]
人材連携
[協力先]
資金資材
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人材の構成人材の構成
究者アーカイブズ研究
• 研究者研究として試行実践→実践
→方法論の提案臨床型保存科
学歴史学研究
臨床型
• 専門職の場合
専門職方法の受容→実践→方法論の提
アーキビスト・学芸員など
‐‐‐地域アーカイブズ保存活用の担い手
案
組織における記録のライフサイクルとア カイブズアーカイブズ作成部局作成部局 レコードセンターレコードセンター アーカイブズアーカイブズ作成部局
原 課
作成部局
原 課
レ ドセンタ
中間保管庫
レ ドセンタ
中間保管庫
ア カイブズ
文書館・公文書館
ア カイブズ
文書館・公文書館リテンション・スケジュール
現用(活性)文現用(活性)文 半現用(半活性)半現用(半活性) 非現用(不活性)非現用(不活性)
リテンション スケジュ ル
現用(活性)文書
現用(活性)文書
半現用(半活性)文書
半現用(半活性)文書 文書 記録史料
Archives文書 記録史料Archives
廃棄 廃棄ライフサイクル論:理論 リテンション・スケジュールにもとづく総合管理:方法
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目標:1)文書事務の簡素化・集約化-完結で確実な記録作成 2)不要文書の確実な廃棄3)歴史的文書の選別と保存 4)公開利用への適切な対応
津波で消滅する!!歴史史料アーカイブズ
作成部局作成部局 レコードセンターレコードセンター アーカイブズアーカイブズ作成部局
原 課
作成部局
原 課
レ ドセンタ
中間保管庫
レ ドセンタ
中間保管庫
ア カイブズ
文書館・公文書館
ア カイブズ
文書館・公文書館リテンション・スケジュール
現用(活性)文現用(活性)文 半現用(半活性)半現用(半活性) 非現用(不活性)非現用(不活性)
リテンション スケジュ ル
現用(活性)文書
現用(活性)文書
半現用(半活性)文書
半現用(半活性)文書 文書 記録史料
Archives文書 記録史料Archives
津波 津波
廃棄 廃棄
18若いときに死んでしまったら、老人にはなれない
レコードとアーカイブズー近年の考え方レコードとアーカイブズー近年の考え方
レコード
証拠的価値情報的価値
アーカイブズ
永続的価値[証拠的価値・情報的価値を含む]
時間
【非 現 用】【現 用】
東日本震災前 災害救助の D N A東日本震災前 災害救助の D N A
埼玉県草加市民間史料の救助1992年12月17日放火1992年12月17日放火
12月29日緊急対応
20
民間史料アーカイブズの初めての真空凍結乾燥処置
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熊本県天草市の大洪水被災文書2006.7.22被災度のランク→救助順位ABC
• A 良好A 良好- 400箱→自然乾燥
|• B 一部水損
400箱- 400箱→送風乾燥→吸水乾燥→吸水乾燥
|• C 完全水損完 損約1300箱
→低温除湿乾燥被災の段ボール数→真空凍結乾燥 22
被災の段ボ ル数2,100箱
乾燥現場の様子 中石小学校乾燥現場の様子-中石小学校
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乾燥現場の様子 魚浦中学校乾燥現場の様子-魚浦中学校
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大型工事用扇風機での乾燥
熊本市天草市の事例
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明治期の土地台帳-紙が密着してしまった→真空凍結乾燥へ
真空凍結乾燥法と送風・吸水乾燥との送風 吸水乾燥との峻別基準
・薄い紙→凍結・薄い紙→凍結
・中厚紙・上質紙送風などの→送風などの自然乾燥
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資料の救助優先リストの作成資料の救助優先リストの作成
○被災時の救助対象となる資料の目録と所在を明確にする○被災時の救助対象となる資料の目録と所在を明確にする。○資料の救助評価=現物の優先保存(重要性)と素材ごと(災害過敏性)の評価はできているのか。(災害過敏性) 評価は き る 。
○最優先保存を要する資料の選別は、対象資料目録(概要)を基に、現物保存の優位性(重要性)を決定し、資料の状態調査 把握を行う 平常時に評価検討の組織をつくり決態調査・把握を行う。平常時に評価検討の組織をつくり決定しておく。
○選択評価 すべて代替不能なのか。その場合の保存処置選択評価 す 代 。そ 場 保 置のコストはどれくらいかかるのか。代替物があり、代替可能な場合は廃棄するのか。
○発生場所として想定される被災場所はどこか 被災規模○発生場所として想定される被災場所はどこか。被災規模による救助順番は決めているか。
○配架リスト(図面)への資料情報の記入→配架リストの別置および分散保管(被災場所で共に消失しない)および分散保管(被災場所で共に消失しない)
激甚被害から見えてきた問題点-公文書
• 県の公文書館が設立されていない。県の公文書館が設立されていない。震災によって公文書館被災
• 分散管理(各課の権限が強い)集中管理でない。( )→分庁舎での管理文書の所在が不明
• 公文書管理法施行を受けて• 1. 適切な文書管理の実現• 2.集中管理の推進集中管理 推進• 3.文書管理のための徹底を人的な側面の支援
• 4.利用の請求に対する迅速な決定• 5.歴史公文書等の電子化-適切なデータ管5.歴史公文書等の電子化 適切なデ タ管理
• 6.利用サービスの向上
津波で役所の戸籍が流失津波で役所の戸籍が流失
法務省によると 戸籍法は戸籍簿の正本を市役所か町役• 法務省によると、戸籍法は戸籍簿の正本を市役所か町役場、副本を法務局などに保存するよう定めている。このため、役所が津波被害に遭い、正本が失われても副本を元に再製でる本を元に再製でる。東日本大震災では、各地で役場などが壊滅的な被害を受けたが、副本があるため再製できた。製
• 戸籍、住民基本台帳すべて「無事」 バックアップ存在 陸前高田など4市町-2011.4.8 朝日新聞23:13
• 除籍簿の保存期間が150年に延長平成22年6月1日、改正戸籍法施行規則の施行により、除平成22年6月1日、改正戸籍法施行規則の施行により、除籍簿の保存期間が150年に(改正前は80年)今までは、相続人を確定するための除籍謄本取得などを行なうときに 保存期間経過により 必要な除籍謄本の一行なうときに、保存期間経過により、必要な除籍謄本の部が取得できないことがあった。
原資料と資源情報化メディアの役割原資料と資源情報化メディア 役割
オリジナルの普遍的価値
原資料原物の質感への接触可能豊富な物理的情報・原物保存の責務-保存環境予防的保存措置、修復保存を考えた利用
資源情報化メディア 資源情報化メディア資源情報化メディア電子媒体
資源情報化メディア物理的媒体
紙・MFなどによる白黒・カラーの画像30
電子情報によるカラー画像など地理的制約の緩和 保存の不安定さ詳細な情報、情報の更新・編集可能
紙・MFなどによる白黒・カラーの画像原物の質感を再現 保存可能性高い
原資料と資源情報のトライアングル保存
• 人間文化研究機構における情報共有化の課題-二重化と分散-国立歴史民俗博物館安題 重化 分散 国 歴史民俗博物館安達文夫氏
• 宮城ネットは国際的協定を模索• 宮城ネットは国際的協定を模索• 中国-重慶市档案館報告、バックアップについて、「300キロメートル以上に離れ、かつ同流域または同地震帯に立地しないこと」流域または同地震帯に立地しないこと」
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リコーズ・アーカイブズ-アナログとデジタル-
デジタルデジタル
アナログ
2011年3月11日
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公文書保存の目的-岩手県の場合公文書保存の目的-岩手県の場合
• 被災地における自治体の公文書・行政文書は 地• 被災地における自治体の公文書・行政文書は、地域復興には欠かせない行政上の基礎資料であるとともに地域住民の記録であり、生きた証である。ともに地域住民の記録であり、生きた証である。
• アーカイブズ(文書館・公文書館)の設立されていない自治体における行政文書に含まれる歴史資料のい自治体における行政文書に含まれる歴史資料の保存が急務である。
• 津波により壊滅的状況の自治体にとって、行政文津波により壊滅的状況の自治体にとって、行政文書は、将来にわたり同地域の貴重な歴史資料である。
• 宮城・福島県の場合-アーカイブズ(文書館・公文書館)機能を持つ施設が県として設置されている。
33
崩壊した大槌町役場(釜石市の隣町)
34
できなかったこと
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避難所だった体育館(左)作業場所(中央)・仮設住宅(右)20110311
36
移動して、旧橋野小学校の体育館へ2013年1月 1500箱
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大規模災害と人間文化研究大規模災害と人間文化研究• 東日本大震災以来、機構の各機関では、それぞれの立場で復興支援活動を行ってきました。これらは大きな成果を上げましたが、一方で課題も見えてきました。最も大きな課題は、地域文化を総体として捉える視点、つまり、歴史学・文学・民俗学・言語学・アーカイブズ学・博物館学・情報学・環境学などえる視点、つまり、歴史学 文学 民俗学 言語学 ア カイブズ学 博物館学 情報学 環境学などの諸分野が結集した「人間文化」という視点から、地域復興を支援する必要があるということです。そこで機構では、平成24年度に連携研究「大規模災害と人間文化研究」をスタートさせました。この研究は3つの班で構成されています
• A 地域文化・環境と復興・再生の研究A 地域文化 環境と復興 再生の研究• 災害により失われた人と人のつながりをどう再構築するかをテーマに、方言や祭りによる地域コミュニティの復興・再生に関する活動を行います。
• 三陸沿岸地域における環境・文化遺産に配慮した地域復興支援に関する研究 (研究代表者:窪田順平)• 方言をとおした災害時の地域社会支援と方言の保護・活用に関する研究 (研究代表者:木部暢子)
• B 大規模災害とミュージアムの連携、活用の研究• 有形の文化遺産を災害からどう守るかをテーマに、被災した民俗資料の効果的な保存修復方法の開発やミュージアムの連携体制の構築をめざす活動を行います。
• 文化遺産の復興に向けたミュージアムの活用のための基礎的研究-大学共同利用機関の視点から (研究代表者:日高真吾)
• 大規模災害と広域博物館連携に関する研究 (研究代表者:小池淳一)大規模災害と広域博物館連携 関する研究 (研究代表者 小池淳 )
• C 大規模災害と資料保存・活用の研究• 文書資料・紙資料の保全・保存・活用をテーマに、被災した紙資料の復旧活動や文書資料を災害から守文書資料 紙資料の保全 保存 活用をテ マに、被災した紙資料の復旧活動や文書資料を災害から守るシステムの具現化をめざす研究を行います。
• 大震災後における文書資料の保全と活用に関する研究 (研究代表者:西村慎太郎)• 被災紙資料の保存と活用に関するソリューション研究 (研究代表者:青木 睦)
被災紙資料の保存と活用に関するソリューション研究
①津波被災紙資料の劣化症例研究• ①津波被災紙資料の劣化症例研究• ②水被災紙資料の救助・復旧の方法・技術プログ 究グラムの開発研究
• ③被災自治体文書の長期保存に向けた保存措置・洗浄・修復のシステム研究
• ④記録保存の観点での震災の記憶の継承に関④記録保存の観点での震災の記憶の継承に関する研究
• ⑤大災害時の機構内各機関における緊急対応⑤大災害時の機構内各機関における緊急対応連携と相互救援システムに関する研究
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①津波被災紙資料の劣化症例研究
• 震災資料の救出・復旧活動の対象として釜石市に2011年4月26・27日、震災から46日目に現地入りし、紙資料の津波被災状況についての克明な観察 画像化を実施することができた これらの記録は 釜の克明な観察・画像化を実施することができた。これらの記録は、釜石市の要請を受け、さまざまなタイプの被災紙資料の初期段階から現在まで劣化症例を分析するためのデータを集積できたことによる。本研究では 多種のカビによる劣化症例とサンプル採取を実施し 津本研究では、多種のカビによる劣化症例とサンプル採取を実施し、津波被災によるカビの特徴を検証する。さらに、サンプル採集による紙質分析を実施する準備も整っているので、本研究において本格的に分析していきたい。分析 。
• 津波の海水による残留塩分及び残留物質の検査5• 津波により海水に浸漬した紙中の塩類の水洗効果及び紙の保存性を評価することを目的とする報告、海水が紙資料のカビ防止に効果を評価することを目的とする報告、海水が紙資料のカビ防止に効果があることなどが報告されている。本検査は、釜石市の要請を受け、さまざまなタイプの被災紙資料の初期段階から現在まで劣化症例を分析するためのデータを集積できた。ここでは津波の海水の影響を明らかとする残留塩分及び残留物質の検査項目 食品衛生法 項目明らかとする残留塩分及び残留物質の検査項目(食品衛生法18項目、法に基づく検査方法・飲料水)と塩化物イオンについての検査結果を整理しておきたい。
40
分析項目 単位 基準値
食品衛生18項目 紙サンプル1 紙サンプル2 紙サンプル3 紙サンプル5 紙サンプル4 紙サンプル6
津波被災紙サンプル分析結果
分析結果
バインダー裏表紙
集計用紙 機械漉和紙 連票用紙 複写偽造防止用紙
複写偽造防止用紙-不浸水
食品衛生法18項目に基づく項目に基づく検査・ミネラルウォーター
一般細菌 個/ml 31000 27000 1500000 29000 48000 27000 100以下
大腸菌群 検出 検出 検出 検出 検出 検出大腸菌群 - 不検出 不検出 検出 不検出 不検出 不検出 検出されないこと
カドミウム ㎎/l 0.001未満 0.001未満 0.001未満 0.001未満 0.001未満 0.001未満 0.01㎎/l以下
水銀 ㎎/l 0.0012 0.0005未満 0.0005未満 0.0005未満 0.0005未満 0.0005未満 0.0005㎎/l以下
セレン ㎎/l 0.001未満 0.001未満 0.001未満 0.001未満 0.001未満 0.001未満 0.01㎎/l以下
鉛 ㎎/l 0.60 0.001未満 0.001未満 0.001未満 0.001未満 0.001未満 0.05㎎/l以下㎎ ㎎
バリウム ㎎/l 0.13 0.10 0.04 0.13 0.02 0.01未満 1㎎/l以下
ひ素 ㎎/l 0.006 0.001未満 0.001未満 0.001未満 0.001未満 0.001未満 0.05㎎/l以下
六価クロム ㎎/l 0.005未満 0.005未満 0.005未満 0.005未満 0.005未満 0.005未満 0.05㎎/l以下
シアン ㎎/l 0.001未満 0.001未満 0.001 0.001未満 0.001未満 0.001未満 0.0.1㎎/l以下
硝酸性窒素及び亜硝酸性硝酸性窒素及び亜硝酸性
窒素㎎/l 0.1未満 0.1 0.1未満 0.3 0.5 0.5 10㎎/l以下
フッ素 ㎎/l 0.08未満 10 0.08未満 0.08未満 0.08未満 0.08未満 2㎎/l以下
ほう素 ㎎/l 1.1 0.5 0.2 0.1未満 0.1未満 0.1未満
(ホウ酸換算値) ㎎/l 6.3 2.9 1.0 0.5 未満 0.5 未満 0.5 未満
亜鉛 ㎎/l 1 1 0 1未満 0 1未満 0 1未満 0 1未満 0 1未満 5㎎/l以下
ホウ酸として30㎎/l以下
亜鉛 ㎎/l 1.1 0.1未満 0.1未満 0.1未満 0.1未満 0.1未満 5㎎/l以下
銅 ㎎/l 0.1 0.1未満 0.1未満 0.1未満 0.1未満 0.1未満 1㎎/l以下
マンガン ㎎/l 0.47 0.13 0.03未満 0.03未満 0.03未満 0.03未満 2㎎/l以下
過マンガン酸カリウム消費量 ㎎/l 5000 1100 680 280 530 570 12㎎/l以下
硫化物 ㎎/l 0.05未満 0.05未満 0.05未満 0.05未満 0.05未満 0.05未満 硫化水素として
41
(硫化水素換算値) ㎎/l 0.05未満 0.05未満 0.05未満 0.05未満 0.05未満 0.05未満
塩化物イオン ㎎/l 770 3300 660 310 410 3 -
0.05㎎/l以下
「津波で被災した紙資料の生物劣化に関わる微生物群の調査」釜石市の被災文書の救助時において、赤く染色されたような円形の赤カビが多く観測された そ カビ 検査を 年 月に東京文化財研究所保存修復科学セ タ測された。そのカビの検査を2011年6月に東京文化財研究所保存修復科学センター木川りか生物科学研究室長・佐藤嘉則研究員に依頼
天草の赤カビ
「津波で被災した紙資料の生物劣化に関わる微生物群の調査」
『文化財の微生物劣化とその対策 屋外・屋内環境、および被災文化財の微生物劣化とその調査・対策に関する最近のトピック(略称 文化財の微生物劣化とその対策、第36回文化財の保存および修復に関する国際
研究集会)』(独立行政法人国立文化財機構東京文化財研究所発行、2012.11.9)
今後の課題今後の課題
②水被災紙資料の救助・復旧の方法・技術プログラムの開発研究
• 震災資料の救出・復旧活動の対象として釜石市に2011年4月26・27日、震災から46日目に現地入りし、紙資料の津波被災状況についての克明な観察・画像化を実施することができた。これらの記録は、釜
請 ざ プ 被 紙資石市の要請を受け、さまざまなタイプの被災紙資料の初期段階から現在まで劣化症例を分析するためデ 集積 究 多のデータを集積できたことによる。本研究では、多
種のカビによる劣化症例とサンプル採取を実施し、津波被災 ビ 特徴を検 す さ津波被災によるカビの特徴を検証する。さらに、サンプル採集による紙質分析を実施する準備も整ってる 本 究 お 本格的 分析 きた
45
いるので、本研究において本格的に分析していきたい。
被災資料救助の新たな試み
• 圧縮パック法• 圧縮パック法←スクウェルチ法
• 東文救方式←フロ ティング ボ ド法←フローティング・ボード法←エア・ストリーム乾燥法
• 乾燥技術キ チンペ パ の使用キッチンペーパーの使用
46Ⓒ東京文書救援隊
③被災自治体文書の長期保存に向けた保存措置・洗浄・修復のシステム研究
• 本震災では、釜石市を含め9自治体が庁舎被害を受け、歴史資料としての公文書が被災被害を受け、歴史資料 公文書 被災した。釜石市の事例を柱としながら、被災自治体文書の活用に向けた保存措置・洗浄・修治体文書の活用に向けた保存措置 洗浄 修復のシステム研究を実施し、文書活用の復興の達成に寄与したいの達成に寄与したい。
• 研究の確実な達成に向け、研究組織に実践的に経験のある文書館保存管理に詳しい各氏をむかえ、被災自治体である釜石市と密各氏をむかえ、被災自治体である釜石市と密に連携して実践的に研究を推し進めたい。 47
被災文書の処理後被災文書の処理後、
すぐ中性紙段ボール箱に収納したままにし箱に収納したままにしない
青木が製造設計をしたので、欠点をよく、欠点を知っている・湿気を帯びやすく湿気を帯びやすく湿気が抜けにくい
元々 環境制御された元々、環境制御されたところで使用することを想定
48
を想定
収蔵庫(中間庫)面積の積算• 長期の収蔵量に対応するための容積が求められる• *英国公文書館では、書棚の延長距離400㎞(1990年頃)どう収蔵庫面積を見積もるか• どう収蔵庫面積を見積もるか
• 収蔵庫面積• 収蔵庫面積←年間収集量×予定年数←移管(廃棄)文書量×収集率( )
• 延べ面積と収蔵庫面積比 40対60%• 館の規模←収蔵庫面積←収集文書量←廃棄文書量←行政庁職員規模行政庁職員規模 職員数×年間作成文書量• 行政庁職員規模 職員数×年間作成文書量
• 収蔵量 アーカイブズ界では行政庁の職員規模に拠るべきか図書館界では人口規模に即して基準がある図書館界では人口規模に即して基準がある
• 図書館界では、図書の厚さ・単位面積収容量・書庫面積率などについて一定の標準数値があるア カイブズ界でも そうした共準数値を追えないか• アーカイブズ界でも、そうした共準数値を追えないか
• 今後は、電子データの保存が課題
半現用文書は酸性紙段ボール箱→アーカイブズで本格的に
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身と蓋あわせて
51196円
新しい中間庫システム-収納方法新しい中間庫システム-収納方法
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中量キャスターラックとかご台車中量キャスターラックとかご台車
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棚・床の過重計算は必須
かご台車と固定棚の比較かご台車と固定棚の比較
かご台車の活用かご台車の活用
資料の劣化因子
日
酸性雨 塩日
照雨 塩
分
室内汚染室内汚染
温度・湿度-高温・高湿光-直射日光・紫外線光-直射日光・紫外線空気汚染-化学物質生物-禽獣・昆虫・カビ災害-地震・火災・水害災害 地震 火災 水害振動・衝撃.盗難・破壊
湿
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湿気
熱分解ガスクロマトグラフィーによる紙の劣化度評価
-大谷肇 (名古屋工業大学、前名古屋大学)-保管状態の異なる図書資料の劣化度評価
サンプル『史料館所蔵史料目録』
1952(S27)年刊行 1000部・都内民間印刷所1952(S27)年刊行 1000部・都内民間印刷所2004年試験 2005年で53年目
•• A A 整理室に配架・利用整理室に配架・利用1952(S27)年~文部省史料館整理室
A1952(S27)年 文部省史料館整理室
1973(S48)年~1977(S52)年国文研東館・西館へ移動
1977(S52)年~西館5階北西側整理室に配架 利用 ブラインドあり 冷暖房作業時作動配架・利用‐ブラインドあり・冷暖房作業時作動
2004(H16)年、劣化のため廃棄、試験
•• BB 倉庫内に保管倉庫内に保管1952(S27)年~納品の酸性クラフト紙包装(横1952(S27)年~納品の酸性クラフト紙包装(横積、約50冊)のまま文部省史料館倉庫保管
1973(S48)年~1977(S52)年国文研東館・西館へ移動
年 西館 階北西側倉庫内 棚 保 B1977(S52)年~西館5階北西側倉庫内の棚に保管‐暗幕・冷暖房なし以後倉庫、東館4階・2号書庫へ移動
2002年Aと同様の整理室内に段ボール箱詰保管
B
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2004年試験
保管環境条件の違いによる劣化1保管環境条件の違いによる劣化1繊維組成繊維組成
AB
‐高知県立紙産業技術センターの試験結果‐
B GP55%KP45%三椏・藁の痕跡
2005.7.8記録作成:青木睦
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劣化が進行することによって出現するレボグルコセノン、レボグルコサン。レボグルコセノンの相対生成量は劣化度の指標となることの可能性を示唆する。
どのような保管がいいのかな?どのような保管がいいのかな?
積ク包 簡ク取積み重ねて
クラフト紙
包む
簡単に
クラフト紙
取り出しや
その
活用
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て紙で
紙で包み
やすく
のまま
用する
④記録保存の観点での震災の記憶の継承に関する研究
被災自治体 多くは 災害と う出来事を忘• 被災自治体の多くは、災害という出来事を忘れないこと、それによる教訓を伝えることを掲げ なが 災害 う 来事げている。しかしながら、災害という出来事の多様な記憶を記録としてどのように継承する機能を果たすべきか、その困難さにたじろいでいる感は否めない。
• 本研究課題の目的は、記録保存の観点から、災害の記憶継承について考察し、その一ら、災害の記憶継承について考察し、その助になることにある。
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被災年次の全文書を永年保存とする• 記録保存の観点での震災の記憶の継承に関する研究
• 被災自治体の多くは、災害という出来事を忘れないこと、それによる教訓を伝えることを掲げている。しかしながら、災害という出来事の多様な記憶を記録としてる を掲げ る。 な 、災害 う出来事 多様な記憶を記録どのように継承する機能を果たすべきか、その困難さにたじろいでいる感は否めない。
• 本研究課題の目的は、記録保存の観点から、災害の記憶継承について考察し、その一助になることにあるその 助になることにある。
• まず,釜石市における自治体文書に含まれる災害関係の記憶・記録の市史編纂での活用事例や被災の展示に着目して分析し、これからの記憶の継承に有効な方策を提案する。埼 県白 林貴史氏 提案• 元埼玉県白岡町林貴史氏の提案
• 釜石市「被災年次の全文書保存」釜石市長通知2012年7月31日付(釜総発第194号) 「被災年度文2012年7月31日付(釜総発第194号)、「被災年度文書の全保存」(平成23.3.11~24.3.31)について、市長名での保存通知の発し、庁内LANの掲示板に掲載している 被災自治体として 被災の「あの日 を忘している。被災自治体として、被災の「あの日」を忘れないための記録保存の観点から、災害の記憶継承である「被災年度文書の全保存」はその第一歩と承である「被災年度文書の全保存」はその第 歩となるであろう。
釜石の災害史釜石の災害史• 明治三陸津波 明治29(1896)年6月15日、午後8時過ぎ 死者6477人過ぎ-死者6477人
• 昭和三陸津波 昭和8(1933)年3月3日、午前2時半すぎ-死者164人すぎ 死者164人
• 終戦間際の昭和20(1945)年7/14,8/9夏には本州初めての連合国艦隊の襲撃・艦砲射撃を受けて焼け野原になった地である。
戦火の記憶と記録を伝えるための「戦災資料館」は、今回の津波ですべてが流出して失われた。
• 十勝沖地震津波 昭和27(1952)年3月4日 2.5mの津波が襲来し、釜石魚市場が倒壊する被害
• チリ地震津波 昭和35(1960)年5月24日 被害総額6億3千万円十勝沖地震津波 昭和43(1968)年5月16日 6億円• 十勝沖地震津波 昭和43(1968)年5月16日 6億円の被害
住民・自治体職員・研究者にとっての公文書とは
日常の管理資料保存のための防災・災害対策し かりとした日常の保存管理こそ 優れた危機管理• しっかりとした日常の保存管理こそ、優れた危機管理
• 災害対策は、災害が起きた場合の資料被害を最小限にすることを第 の目標とすることを第一の目標とする。
• 災害発生時の緊急対応・救助マニュアルにおいても被災資料を迅速かつ適切に救助し 被害を最小限にとどめ拡大さ料を迅速かつ適切に救助し、被害を最小限にとどめ拡大させないよう努力する。
• 現場判断+マニュアル現場判断+マ ュアル
• マニュアルは、日常のトレーニングで用いるのであり、非常時に使うことはない。非常時は、現場に即した臨機応変な判時に使う とはない。非常時は、現場に即した臨機応変な判断が要求される。
• 資料を保存する立場にある場合、日頃からの防災・災害対策のための計画を立て、どのように資料を救助することが求められているのか。まずポイントを考えておく。
現在 そしてこれからの活動現在、そしてこれからの活動
関連する地域の大学や博物館 自治体等との連携に積極• 関連する地域の大学や博物館、自治体等との連携に積極的に取り組むにあたり、これまでの被災資料の救助・復旧活動で共働した経験をもとに、岩手大学・岩手県立博物館 遠野市文化 究 タ 山 県防災ネ ク 釜館・遠野市文化研究センター・山形県防災ネットワーク、釜石市などと研究を推進していきたい。
• 被災地での支援とは 支援側の目的のものだけの救助で被災地での支援とは、支援側の目的のものだけの救助では、現地の要望に応じられない。言い換えれば、目的を達成するためには、被災地とともに歩むながら、寄り添う気持ちが大事であり 心胆のニーズを汲み取った活動を持持ちが大事であり、心胆のニーズを汲み取った活動を持続し、被災資料と添い寝するように過ごしていると資料の変化に対処でき、このような経験は次の災害時に必ず活かせるものと痛感した 今後とも 被災文書および「被災かせるものと痛感した。今後とも、被災文書および「被災年度文書」の保存と活用のための支援調査研究に邁進していきたい。
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大槌町
三陸文化復興プロジェクト三陸文化復興プロジェクト ~文化財レスキュー・情報発信活動~~文化財レスキュー・情報発信活動~
・・文化財レスキュー文化財レスキュー遠野被
災救出回収
大槌町明治昭和の津波記録議会資料等
・・文化財レスキュ文化財レスキュ 災資料
洗浄・修復・保管
回収
釜石市歴史民俗資料等陸前高田市
三陸の先人の足跡を救い三陸の先人の足跡を救い料 陸前高田市
埋蔵文化財民俗資料等
復興の道標に復興の道標に
現地で洗浄
・情・情 報報 発発 信信 活活 動動情情 報報 発発 信信 活活 動動
H24.2東京会場、H24.3遠野会場H24 10静岡会場(2 706名来場)
文化財レスキュー展 H23.7遠野会場、H23.10東京会場
H24.10静岡会場(2,706名来場)H24.11愛知会場(1,055名来場)H24.12兵庫会場(31,240名来場)
震災からよみがえった東北の文化財展
アーカイブズ・カレッジ講演会:H25.11.17 遠野市遠野文化研究センター 調査研究課 小笠原晋氏資料
遠野市のアーカイブズの管理アーカイブズの管理平成24年遠野市行政文書館整備
遠野市では文書取扱規程に基づき、索引目次を作成 常用文書は現課等
遠野市行政文書館整備
引目次を作成し、常用文書は現課等で、その他の文書は保存文書目録を作成し、倉庫等に保管していた。平成15年(2003)宮城県沖地震に於いて倉庫の危険性が指摘され、県の空き施設を借り受け、管理を行っていた。
遠野市行政文書館・外観設を借り受け、管理を行っていた。平成24年(2012)盛岡地方法務局遠野支局の閉鎖に伴い、施設の譲渡を受け「遠野市行政文書館」を設置 検索を容「遠野市行政文書館」を設置。検索を容易にするため、保存文書目録・索引目次の作成が行われている。遠野市行政文書館 内部遠野市行政文書館・内部
アーカイブズ・カレッジ講演会:H25.11.17 遠野市遠野文化研究センター 調査研究課 小笠原晋氏資料