第 69期 気仙沼交流プログラム 活動報告書
1. 活動概要
時期:2018年 12月 14日(金)~12月 16日(日) 2泊 3日
事前ガイダンス:2018年 11月 21日(水)16:45 - 18:45
振り返りミーティング:2018年 12月 21日(金)16:45 - 19:15
行き先:宮城県気仙沼市大島地区
主な活動:児童館クリスマス会、中高生べんきょう会、現地の方との交流、島内視察
参加者:学部生 8名、教員 2名、スタッフ 3名
新座コミ福 新座他学部 池袋 教員 スタッフ 合計
5 2 1 2 3 13
2. スケジュール
12月 14日(金) 授業終了後 現地へ出発
到着後 ホテルチェックイン 就寝
12月 15日(土)
クリスマス会
現地の子どもたちと交流
菊田先生のお話
亀山視察
中高生べんきょう会
星空フォトツアー
12月 16日(日)
公営住宅訪問
島散策
島内視察
リアスアーク美術館視察
エースポート周辺の視察
3. 活動の様子
1日目・2日目:気仙沼到着、大島到着
<学生の感想>
・気仙沼から大島にフェリーに乗ってきた。まず気仙沼から大島に行くときに津波がここまで来たとい
うラインを見て、高さに驚いた。また、景色は思ったよりも震災の跡を感じるものだった。もっと復興
していると思ったが、建築している風景が多く、まだまだこれからなのかもと思った。
2日目:クリスマス会
<学生の感想>
・大島小学校の子達とのクリスマス会でレクを通して仲良くなった子がいた。ハンドベル作りの時には
お揃いの物を作ろうと声をかけてくれた。また、お昼休憩の後も一緒に遊ぼうと誘ってくれたり、短い
時間の中で私に手紙を書いてくれたりモールでキャンディを作ってくれたりした。とても楽しく貴重な
経験だったがその子を含め児童館の子達は東日本大震災を経験していると忘れてはいけないと思った。
震災直後は今のように遊ぶこともままならなかったはずだ。小学校低学年から高学年の子までいたが児
童館の中で走り回る子やピアノを弾いている子達を見てまだまだ遊び盛りだなと感じた。今は児童館と
いう遊ぶ場がある。今ある環境を大切に今後も交流を続けていきたいと思った。
・今年もとても楽しい時間を過ごさせて頂きました。クリスマス会は、小学生と近い距離で関わることの
できる唯一の行事で、とても印象的なので、去年のこともよく覚えていました。小学校の規模が小さい
こともあってか、学年を超えたつながりを持っていて、上級生が下級生を自然と助けてあげていて素晴
らしいと思いました。
・子どもたちがたくさん来てくれて嬉しかった。また、子どもたちがこうして遊べる場所があるのはとて
も良いことだと思った。わたしは子どものときに交流会のような場所には行けなかったし、そもそもあ
ったのかも知らなかった。こうして地域の子ども同士で交流できるのは、温かいし、素敵だなと思った。
・子どもたちはほぼ初対面の大学生たちとも元気いっぱいに遊んでくれて、子どもたちの笑顔にこれま
で抱えていた大島での活動への不安や緊張を和らげてもらったように思う。純粋に楽しい時間だった。
・大島の子どもたちの底知れぬエネルギーを存分に分けてもらった。私は兄弟がおらず、なかなか自分よ
り年下の子どもたちと交流する機会もないので、今回の体験はとても新鮮だった。私たちのような年齢
の人間がほとんどいない大島の子どもたちにとって、大学生と遊ぶのは刺激のある行事で、珍しいのだ
なと子どもたちと遊んでいて感じた。こういった機会が増えると、子どもたちも嬉しいのではないかな、
と感じた。
2日目:現地の子どもたちと交流
<学生の感想>
・午後も小学生と遊ばせていただいて、とても楽しかったです。外で一緒に遊んだり、クリスマスカード
や松ぼっくりツリーを作ったりしました。みんなの個性的な作品にも感心させられました。立教生が 2
チームに分かれたため、人数が少なめで、全員と十分な時間を過ごすことが出来なかったのが残念でし
たが、大島に関する話もいろいろ聞けて良かったです。
2日目:菊田先生のお話
<学生の感想>
・私は今まで東日本大震災の被害を受けた方から直接お話を聞く機会がなかったので、菊田さんのお宅
で聞かせて頂いたお話は非常に貴重なものとなりました。今日に至るまで震災の話を授業などで間接的
には聞いていましたが、実際に経験をした方のお話はより現実味があり、ひまわり号で運ばれた赤ちゃ
んがもう小学生になっている事実を聞き、よく考えれば当たり前のことですが、あの日からそんなにも
月日が経っていたのかと実感させられました。菊田さんのお話からは少しの行動の差が生死を分けたの
だと感じさせる経験がたくさんあり、自然を前にした命の儚さを感じ取りました。
・菊田先生の震災当日のお話はもちろん貴重なものだった。また、先生の前を向く姿勢、何事にもチャレ
ンジする姿勢、それが楽しいとおっしゃっている姿に勇気を頂いた。震災のお話を伺い、大島を散策し
て、どれくらい復興したのか、今の大島を知りたいと思った。
・菊田先生のお話も、夏に続き再び聞かせて頂けた。何度聞いても、やはり迫力のあるお話で、「この場
所で大きな震災があった」という事実をその時改めて認識した。この事実を風化させてはいけないと強
く感じる。
・また、菊田さんのお宅を訪問させて頂いた後は現地の方が3時のおやつにと、差し入れをして下さいま
したが、そこでの会話は気仙沼大島の方々との長いつながりを想像させられるものでした。東日本大震
災復興支援プロジェクトへの参加が初めての私にとってはお会いしたことのない方々のお話がほとん
どでしたが非常に暖かみを感じさせられた時間でした。立教大学の多くの先輩方が継続的に活動を行っ
て来たからこそ、現地の方との間に信頼関係が生まれ、そのおかげで現在、私たちがこのように活動出
来ているのだと思うと、立教大学の活動に誇りと感謝の気持ちが生まれました。また、このプログラム
の一員になれたことに対し、とても嬉しく感じています。
2日目:亀山視察
<学生の感想>
・雪が残っていてびっくりしました。寒さにもびっくりしました。山並みに沈む夕日がとても美しかった
です。夕日の時間に行くのは初めてだったので、いろいろな表情を見せてくれる亀山からの景色に改め
て脱帽しました。
・亀山に登った時、大島の美しさと共に自然の恐ろしさを感じた。大島の海はとてもきれいで穏やかだっ
た。それが津波によって多くの命を奪ったと考えると恐ろしい。また頂上で湯澤先生がどのように津波
が高くなったのかを地形の構造を踏まえて説明してくださった。これは現地に実際に足を運ばなければ
分からないことであり自分の目で確かめることが大切だと感じた。
2 日目:中高生べんきょう会
<学生の感想>
・今期のべんきょう会は勉強をしませんでしたが、子どもたちとたくさんお話できてとても楽しかった
です。結局、勉強をやらなくてはいけない子どもたちがいなかったので、問題はありませんでした。去
年は中学に入ったばかりだった子たちが、2年生になり、今は 3人ともプログラムの実行委員のような
ものをやっていると聞いて感動しました。これからも現地の子どもたちと継続して関わっていきたいと
思いました。
・夜の中高生べんきょう会では、夏よりたくさん中高生が来てくれてレクや菊田先生の歌もあったりし
て、本当に楽しかったです。立教生であることを一番感じるのはこの活動で、思春期の難しい年ごろの
子どもたちが初めて会った学生とすぐに打ち解けられるのは、これまでこの活動をずっと続けてきた先
輩たちのおかげだなと強く感じます。
・今回は高校生1人、中学生3人が参加してくれた。私は大島の中学生と交流するのは初めてだった。あ
まり話す機会はなかったが、前回同様レクリエーションで盛り上がれた。菊田先生が「大島よ、永遠に」
をギターの生演奏で披露してくださった。今回は天気に恵まれ大島の名所を見学できたこともあり、歌
を聴きながらその風景を思い浮かべることができて前回とは違った感じだった。
2日目:星空フォトツアー
<学生の感想>
・思っていた程寒くなく、満点の星空を楽しめました。流れ星もちゃんと見られたので大満足です。自分
の友達や家族も連れて行きたいと思いました。また、観光的な面でもこのような体験アクティビティを
提供してくれるのはとても魅力的だと感じました。個人で行くのが大変な場所や、説明により価値が増
幅する場所は気仙沼にたくさんあると思います。このプログラムでは菊田先生が案内して下さいますが、
宿泊施設でも、語り部さんや案内人同伴の活動を積極的に行うことで、交流したい、現地の生の声を聞
きたい等の需要を満たしていく必要があると思います。
・星空は、きれいだった。同時に夜景を見て、もっと明かりがないと思っていたが、予想よりも夜景が綺
麗だった。明かりがあることは、つまりそこに人がいるということなんだなと思ったら、電気の光が復
興の光にも見えた。
3日目:公営住宅訪問
<学生の感想>
・限られた時間の中でしたが、現地の方とお話しできました。みなさんお元気そうで良かったです。先生
が作って下さった、写真付きのカレンダーは、喜んで頂けたので、また次回も何かプレゼントを持って
行けたらいいなと思いました。たくさんおもてなしして頂いたり、アワビを下さったり、わざわざ私達
のためにお菓子を用意していて下さったりと、歓迎して頂けてとても嬉しかったです。干し柿を仏壇に
供えるという独特な風習も知れました。
・現地の方との交流をする大切さは浅根公営住宅を訪問した際にも感じた。皆さんは初対面の私にも温
かく接して下さった。私だったら初めて会った人を快く自宅に招きいれ、おもてなしをすることはでき
ないだろう。震災から月日が経った今、私ができることは物資の支援などの直接的なものではなく現地
の方との交流を通して当時のことを風化させないようにすることだと思う。
3日目:龍舞崎視察
<学生の感想>
・迫力のある岩場と美しい海を見渡すことができる龍舞崎は、観光客に喜ばれるスポットだろう。大島初
訪問の私も感動し、楽しんだ。先生から教えて頂くまではわからないくらいの場所に、東日本大震災の
津波到達点の表示があった。本土の気仙沼市よりも高い、6メートルほどの地点で、昨日の菊田先生の
お話を思い出しながら「本当にこんな高くまで津波が来たのか」と現場を見て体感すると恐ろしかった。
・津波の碑がいくつかあり、大島には何度も津波は来ているが震災では想像を超えていたんだと思った。
人はこのぐらい、こんなもんだと信じて疑わないときがある。けれど、それはいけないのかもしれない
と思った。経験や実績に基づきながらも、時には考えなおしたり、疑うことも必要だと感じた。
3 日目:島散策
<学生の感想>
・自分が参加させてもらった今年の夏の活動の振り返りで発案された「島内を自由に歩き回りながら会
った方とお話をする」という内容のものであり、実際行ってみると何人かの方に会うことができて、普
段は聞けない話、例えば「震災をきっかけに小田の浜に前々から住民たちの希望していた新しい避難路
を作ることになった話」や、震災以前から海に出て仕事をしていた方のお話を聞かせて頂いた。釣りを
していた方に釣った魚を持たせてもらって記念写真も撮れた。普段は出会うことの少ない島の方々と出
会えて、予想しない出会いから思いがけないお話を聞けるため、これからも続けていきたい活動である
と感じた。
・まず出会ったのは、以前お世話になった宿泊先のおかみさんだった。先生を見たとたん駆け寄って涙を
浮かべながら抱きしめあっていた光景がとても印象的だった。おかみさんのスマホには立教生との思い
出の写真がたくさん残されていて、立教生が大きな存在になっているのだと実感した。次に海沿いで釣
りをしていた男性2人に話しかけた。仕事で仙台から大島に来ているそうだ。この辺りでは珍しいほど
大きなアイナメが釣れて驚いていた。さばききれない魚は近くの民宿に持っていっておかみさんにさば
いてもらうというお話を聞いて、島外の人ともそれぞれ交流があるのだと気づいた。また、文化や習慣
の違いも実感した。たった1時間半だったが、出会った人全てから新しく大島を学ぶことができた。
3日目:リアスアーク美術館
<学生の感想>
・2回目だったが、何度見ても見入ってしまう展示だった。私は今回がれきとなってしまった生活用品を
中心に見た。やはり震災前の生活が想像できる身近なものばかりでとても切なくなった。
・リアスアークは見ていて、怖くて悲しくて、起きてしまったどうしようもない事実に、もどかしくて、
辛かった。なぜであろうか、しかし知りたい、見たいと思った。忘れることは知っているから出来る。
覚えておくことも知っているから出来ると美術館に書いてあった。だから知りたいし、分かりたいと思
うのかも知れないと思った。震災について、忘れたくないし、覚えておきたいと改めて強く感じた。
・島を離れてから訪れたリアスアーク美術館は、東日本大震災の資料が展示されていた。被災した大島の
写真もあった。大島で伺ったお話や実際に見た震災の痕跡と、リアスアーク美術館の展示物が結びつい
て、月並みな感想でしかないが「なんでこんなことになってしまったんだろう、肉体的にも精神的にも
どれほどの思いをしたのだろう」とつらい気持ちになった。個人的に、学科では幕末の東北地方につい
ての研究を行っていたので、被災した東北地方への思い入れも自然と強いものになっている。まだ中学
生だった震災当時にテレビニュースなどで映像を見ていた時と、大学で東北地方の歴史に関わった今と
では、被災資料を見ても感じ方が少し違うように思う。当時より、自分自身思い入れのある土地で起こ
った出来事に対して、「私自身今からでも力になれることが少しでもないだろうか」と、自分の関わる
問題として捉えられるようになったと感じた。
・震災当時の悲惨な状態の気仙沼、大島の写真の中には今回訪れた場所が写っているものもあり、そうい
った写真を見ていると、今回の活動で自分が目にした気仙沼、大島の姿は「当たり前」のものではない
ことを改めて実感した。
3日目:エースポート周辺の視察
<学生の感想>
・以前から交流のある現地の方の船を見せて頂き、その後お魚市場やむらさき商店街に行きました。いつ
も気仙沼であまりのんびり出来ないので、今回色々見られて良かったです。船の停泊所には、何隻も船
が並んでいて壮大でした。普段ほとんど縁がない監視船の仕事の話や、船上での生活についても聞けて、
とても興味深かったです。お魚市場では、東京では見たことがない、メカジキのカマや、サメの心臓や、
クジラもあって、見ているだけでもとても楽しかったです。
活動全体を通して
<学生の感想>
・とにかく楽しい2日間でした。今回はクリスマス会や公営住宅訪問など、大島の方とたくさん関わるこ
とが出来たので、とても充実していました。大島出身の同年代の人たちとも、色々と話せたのも良かっ
たです。
・現地では工事が盛んに行われていて、また来年1年で大きく変わるのではないかと思います。これから
どうなっていくかは誰にもわかりませんが、気仙沼がより元気になっていくのが楽しみです。
・今こうして書いているとなんだか自然に涙が目にたまる。理由は言葉には表しきれない。1日を大切に
したい。わたしの命が終わる瞬間まで今の時間を大切にしたい。そんな気持ちで一杯だ。短く感じた 3
日間。わたしの感想を簡潔にまとめると、今を大切に、未来を見続けること。これが大事だなって。そ
れにつきる。私はその日の感想をその日のうちに携帯にメモをしていた。この上の文は私が帰りの気仙
沼線の中でメモをしたものだ。そのときの思いが強く表れていて、また上手く文章になっていないが、
上手く言いまとめなくてもいいのかなと思う。この活動で学んだことは確実にわたしの中に入っている
し、わたしの考え方も変えた。だからわたしはこの感想を、大切にしたいなと思う。
・自分は今年の夏に初めてこの活動に参加させてもらい、今回は 2 回目の参加だったが、1 回目と 2 回
目の活動では気仙沼・大島の見え方が全く違って、1回目の参加では現地に訪れること、実際に現地で
被災された方と交流すること、とにかく初めてのことだらけでとても新鮮だった。2 回目の参加では、
前回の活動で出会った子ともう一度会うことができたり、前回の振り返りで決まったことを実践できた
り、具体的に 1回目と 2回目で何が違うのかと考えると答えを出すのは難しいが、とにかく、今回また
参加できてよかったと感じた。
・4か月ぶりに大島を訪れて、夏とは違った新しい大島の魅力をたくさん発見できた。今回は天気が良く、
亀山から島全体を見渡せたり、今まで見たことないほど美しい星空を見ることができた。また、今回も
前回同様、継続して活動する大切さを感じた。私たちの訪問を楽しみにしてくれている大島の方たちを
見ると、これから先もこのプロジェクトが継続していってほしいと思った。また、島内散策で新たな出
会いがあったように、今まで関わったことのない人々との交流も復興支援とは違った意味で大島のため
になるのではないか。大島には大学生という存在はなく、島の方が若者と接する機会は少ないだろう。
だから、学生と大島の方の両方にとって良い刺激となるようにこれからも交流を続けていきたい。
文責:渡辺