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  • 第Ⅳ部

    保育・教育の

    具体的な取り組み

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  • 第Ⅳ部 保育・教育の具体的な取り組み

    <ボール遊び>

    0 歳 児

    ねらい

    ○ボール遊びを通し、様々な人とのかかわりを楽しむ。

    ○物の感触やボールを追いかけることで、自分なりの遊び方を楽しむ。

    健康 ・ボールに手を伸ばし、握ったり、舐めたりし感触を楽しむ。 ・転がっていくボールに興味を示し、何度も追いかけるこ

    とを楽しむ。

    ・ボールを通し、保育者との言葉のやりとりやかかわりを

    楽しむ。

    人間関係

    環境

    言語

    表現

    子どもの姿

    ・乳歯が生え始め、何でも口に入れるようになる。

    ・素材に応じては、手触りや噛む感触を楽しんでいる。

    ・自分の意志で移動(高這いやつかまり立ちなど)が

    出来るようになるため、興味のある物を追いかける。

    ・指さしで思いを伝えたり、簡単な言葉の意味(ちょ

    うだいな・はいどうぞ等)が分かるようになったり

    するため、保育者とのかかわりを求めて遊ぶようになる。

    ・自我の芽生えから、友達や保育者の持っている物が欲

    しくなることもある。

    ・空箱があると、「ないない」など、ボールを投げ入れ

    楽しんでいる。

    援助・配慮

    ・何でも口にしてしまうため小さなボールは控える。ボールは洗える素材にして清潔を保つ。柔らかく軽い素材を選び、安全な環境を整える。

    ・素材や大きさなど、発達に応じたものを取り上げる。 例:布製のボール→つかんで投げやすい ゴム製のボール→転がしやすい 子どもの両手に入る大きさのもの→扱いやすい

    絵柄やカラフルな色の物→絵柄や色を言葉でつなげていく ・動きが活発になるにつれて起きる思わぬ事故(誤飲・噛みちぎり・ボールを踏

    み転倒・投げたボールやボールを投げた時に振り払った手に当たってしまう・物の取り合い)によるトラブルなどに留意し、広いスペースで遊ぶ等の環境に気を付ける。

    ・空箱(片付け用)を用意し、遊びの中でも、「ないない」の言葉が片付けにつながるようにする。

    ・同じ物(素材・色・絵柄・大きさ)をいくつか用意し、トラブルを未然に防いだり、違う物にも興味がもてるように誘ったりする。

    ・1対1のかかわりを多くもち、子どもが安心して保育者に要求できるよう、子どもの気持ちを代弁しながら、ゆったりとした気持ちでかかわる。

    ・ボール遊びを通して、寝返りからつかまり立ちなど、移動運動ができるように意図的に誘いかけ、それぞれの発達に合わせた身体機能を促す。

    ・子どものしようとしている動きを妨げないようにし、一人一人の遊びを大切にする。

    ・子どもが興味をもった物で保育者も一緒に遊び、「楽しいね」「上手上手」など、気持ちの伝わる心地よさに共感する。

    ・保育者とのかかわりを通して、運動遊びへ興味をもち、「コロコロ」「待て待て」などと遊びに誘いかけ、ボール遊びへの意欲を引き出すようなかかわりをもつ。

    ちょうだいな

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  • <ボール遊び>

    1 歳 児

    ねらい

    ○ボールに興味をもち、ボールを使って遊ぶことを楽しむ。

    ○保育者とボールのやりとりを楽しむ。

    健康 ・歩く、走る、跳ぶなど全身を使って遊ぶ。

    ・ボールを転がす、投げる、蹴るなどの動作をする。

    ・保育者と一緒にボール遊びを楽しむ。

    人間関係

    環境

    言語

    表現

    子どもの姿

    ・自分から進んでボールを取りに行き、持ったり、転がしたり、蹴ったりする。

    ・ボールを大事そうに抱えて持ち歩く。

    ・ボールを両手で抱えて持って転がす。

    ・ボールを転がして追いかける。

    ・小さめのボール(テニスボール位のサイズ)を片手で投げる。

    ・自分で使いたいという気持ちが強く、玩具を貸し借りすることはなかなか

    できないが、保育者の言葉かけで貸せるこ

    ともある。

    ・保育者が転がしたり投げたりすると、拾い

    上げて投げ返そうとするが、違う方向に転

    がってしまう。

    援助・配慮

    ・一人一人の発達段階に合わせて、無理なく楽しめる遊び方をする。

    ・広いスペースを用意して、人や物とぶつかることがないよう安全な場所で

    遊べるようにする。

    ・玩具を踏んで転倒しないように、使っていないものは片付ける。

    ・ボールに乗ったり、蹴り損なったりして、転倒につながらないように気を

    付けながら近くで見守る。

    ・ボールは柔らかいビニール製のものを用意する。

    ・ボールの取り合いにならないように数を十分にそろえる。

    ・ボールを自分で取り出すことのできるような位置に置いておく。

    ・子どもの自発的な活動を大切にしながら、時には「○○ちゃん、見ててね」

    と保育者がやってみせるなど、保育者と一緒に楽しんで遊べるようにする。

    ・ボール投げが楽しめるように的を用意する。

    いくよ!

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  • <ボール遊び>

    2 歳 児

    ねらい

    ○保育者や友達と一緒に、体を思い切り動かして楽しむ。

    ○ボールを投げたり転がしたりして遊ぶことを楽しむ。

    健康 ・両手で持って投げる、転がす、受け取る、追いかけるなど様々な動きをするこ

    とを楽しむ。

    ・同じ場にいる保育者や友達と関わって遊ぶ。

    ・転がったり弾んだりするボールの動きを知り、興味を持つ。

    ・遊びの中で必要なやりとりが分かり、「入れて」「貸して」など簡単な言葉で相

    手に思いを伝える。

    人間関係

    環境

    言語

    表現

    子どもの姿

    ・上手く出来なくても、手助けされるのは嫌がり、自分でやりたがる。

    ・保育者の動きを真似て、自分でもやってみようとする。

    ・ボールの動きに興味をもって、繰り返し行う。

    ・遊びの中で「入れて」「貸して」など簡単な言葉でやり取りをしようとする。

    ・友達が持っているものを欲しがり、何も言わずに持っていったり取り合いに

    なったりすることもある。

    ・出来たことを喜び、身振り手振りや「出来たよ」「すごいでしょ」「見て、見

    て」などの簡単な言葉で保育者に知らせようとする。

    援助・配慮

    ・十分な広さのスペースと、十分な数のボールを用意する。

    ・扱いやすいよう、ボールは柔らかいもの、両手で抱えるくらいの大きさのもの

    を用意する。

    ・遊びの中で、保育者がボールの扱い方(両手で持つ・広い場所で行う)を知ら

    せたり、進んで行ったりすることで、無理なく楽しめるようにする。

    ・出来ない所はさりげなく手伝い、出来た時には十分にほめることで、自分の力

    でやろうとする意欲を育むようにする。

    ・トラブルになった時には、保育者が仲立ちとなって「○○ちゃんもボールが欲

    しいみたい」「使いたい時には貸してって言うんだよ」など、お互いの思いを

    代弁したり、気持ちを受け止めたりする。

    ・保育者も一緒に遊ぶ中で、楽しさや出来たという達成感や子どもの様々な気持

    ちを受け止め、「出来たね」「頑張ったね」など声をかけて一緒に喜んだり励ま

    したりする。

    こうやって

    もってごらん!

    <ボール遊び>

    2 歳 児

    ねらい

    ○保育者や友達と一緒に、体を思い切り動かして楽しむ。

    ○ボールを投げたり転がしたりして遊ぶことを楽しむ。

    健康 ・両手で持って投げる、転がす、受け取る、追いかけるなど様々な動きをするこ

    とを楽しむ。

    ・同じ場にいる保育者や友達と関わって遊ぶ。

    ・転がったり弾んだりするボールの動きを知り、興味を持つ。

    ・遊びの中で必要なやりとりが分かり、「入れて」「貸して」など簡単な言葉で相

    手に思いを伝える。

    人間関係

    環境

    言語

    表現

    子どもの姿

    ・上手く出来なくても、手助けされるのは嫌がり、自分でやりたがる。

    ・保育者の動きを真似て、自分でもやってみようとする。

    ・ボールの動きに興味をもって、繰り返し行う。

    ・遊びの中で「入れて」「貸して」など簡単な言葉でやり取りをしようとする。

    ・友達が持っているものを欲しがり、何も言わずに持っていったり取り合いに

    なったりすることもある。

    ・出来たことを喜び、身振り手振りや「出来たよ」「すごいでしょ」「見て、見

    て」などの簡単な言葉で保育者に知らせようとする。

    援助・配慮

    ・十分な広さのスペースと、十分な数のボールを用意する。

    ・扱いやすいよう、ボールは柔らかいもの、両手で抱えるくらいの大きさのもの

    を用意する。

    ・遊びの中で、保育者がボールの扱い方(両手で持つ・広い場所で行う)を知ら

    せたり、進んで行ったりすることで、無理なく楽しめるようにする。

    ・出来ない所はさりげなく手伝い、出来た時には十分にほめることで、自分の力

    でやろうとする意欲を育むようにする。

    ・トラブルになった時には、保育者が仲立ちとなって「○○ちゃんもボールが欲

    しいみたい」「使いたい時には貸してって言うんだよ」など、お互いの思いを

    代弁したり、気持ちを受け止めたりする。

    ・保育者も一緒に遊ぶ中で、楽しさや出来たという達成感や子どもの様々な気持

    ちを受け止め、「出来たね」「頑張ったね」など声をかけて一緒に喜んだり励ま

    したりする。

    こうやって

    もってごらん!

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  • <ボール遊び>

    3 歳 児

    ねらい

    ○体を思いっきり使ってボール遊びをする。

    ○ボールの使い方になじみ、友達や保育者と遊ぶ。

    ○目的(目標または的)に向かって投げたり、ボールをつかんだりすることを楽

    しむ。

    健康 ・ボールを頭上から投げたり、両手で受け取ったり、動きながら遊ぶ。

    ・友達や保育者と両手投げや片手投げでボールのやりとりをする。

    ・自分から体を動かし、ボール遊びの楽しさ

    を感じる。

    ・ボール遊びのルールの簡単な言葉を知る。

    ・体全体でボール遊びの楽しさを表現する。

    人間関係

    環境

    言語

    表現

    子どもの姿

    ・ボールの特性を知り友達や保育者とボール遊び(ボール蹴り、ボール送り、中

    当てボール)を楽しんでいる。

    ・ボールを当てられ「痛いから嫌だ」「やめたい」「つまらない」と諦めようとし

    て、やりたがらない子どもがいる。

    ・前に蹴ったり、投げたり、受け取ったりできることを保育者に伝えに来る姿が

    ある。

    ・ボールを独り占めしたくなり、友達とトラブルになる。

    ・気の合う友達を誘って一緒に、2~3 人の集団でボール遊びをする。

    援助・配慮

    ・ひとりひとりがやり取りができるようにボールの数を十分に用意しておくな

    ど、環境を整える。

    ・ボールの特性を知らせながら、友達や保育者と楽しい遊び方を考えていけるよ

    うにする。

    ・ボールの取り合いでボール遊びを嫌がって泣く子どもが出てきたときは、ボー

    ルの楽しさをわかりやすく知らせていきながら、集団から外れないように言葉

    がけをしていく。

    ・ボール遊びをしている姿を見守りながら両手投げ、的や目標投げのコツや「こ

    うして投げるといいよ」と声かけをして子どもたちの意欲につなげていく。

    ・ボール遊びを通して、保育者からみんなと一緒に

    できる楽しみを伝えていく。

    ・運動の機能の個人差に配慮して援助をしてい

    く。

    ・苦手意識などから消極的な子どもには、保育

    者が一緒に遊んだり、出来たことを励ました

    りして意欲につなげていく。

    ぼくのキック

    すごいでしょ?

    じゅんばんで、やろうね!

    つぎはキックだよ…

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  • <転がしドッジボール>

    4 歳 児

    ねらい

    ○体を十分に動かしながら、ボール遊びの楽しみを味わう。

    ○友達や保育者と一緒に遊ぶ中で、簡単なルールのある遊び(転がしドッジボー

    ル)を楽しむ。

    ○自分なりに目的をもって、友達や保育者とボール遊びに取り組む。

    健康 ・片手でボールを投げたり、転がしたり、よけたり、走ったり、体を十分に動か

    しながら、転がしドッジボールを楽しむ。

    ・簡単なルール(ボールを転がして当てる、当たったら外に出て当てる人になる

    など)を理解し、守って遊ぶ。

    ・友達や保育者の動きに関心をもち、見たり応援した

    りする。

    ・自分が体験したことや思ったこと、感じたことを言

    葉や動作で伝えようとする。

    ・自分の思いを友達や保育者に受け入れてもらえるこ

    とに喜びを感じる。

    人間関係

    環境

    言語

    表現

    子どもの姿

    ・相手を見ながら片手や両手でボールを投げたり、転がしたりする。

    ・遊びのルールを理解し、みんなで遊ぶ楽しさを感じる。

    ・積極的に遊びに参加する子どもと苦手意識をもつ子どももいる。

    ・「当てよう」「最後まで残りたい」など自分なりに目的をもって遊ぶ姿がある。

    ・当てたり、取ったり、最後まで残ったりした子どもが「やったー」「うれしい」

    など言葉や動作で喜びを表現する姿がある。

    ・当たっていても「当たっていない」と言うなど、ルールは理解しているが、自

    分の思いを優先しようとする姿が見られることもある。

    ・「楽しかった、またやりたいね」など遊びの満足

    感を子ども同士で話す姿がある。

    ・「僕が先にとったんだよ」「違う僕のボールだよ」

    「○○ちゃんずるいよ。もうやめた」などと言い

    ながらボールの取り合いから遊びが中断するこ

    ともある。

    援助・配慮

    ・顔に当てないなど楽しく遊べるようにルールを確認する。

    ・苦手意識がある子どもには、友達の動きを見せたり、応援したりしながら楽

    しさを伝える。

    ・保育者も一緒に遊びに入って楽しんでいる姿を見せる。

    ・ボールに触ることが少ない子どもには、ボールを回しながら、楽しめるよう

    にする。

    ・転がし方や逃げ方が上手にできたときには、褒めたり、認めたりして次への

    意欲がもてるようにする。

    ・当てた喜びや最後まで残った満足感に共感しながら、楽しめるようにする。

    ・遊びが充実してきたら、保育者も一緒に参加し、ねらって転がしたり、回り込

    んで素早く転がしたりなど動きに刺激を与えるようにする。

    ・ボールの取り合いからトラブルになったときは、子ども同士で話し合う姿を

    見守る。

    ・一人一人の思いに共感しながら、必要に応じて、助言したり、相手にも思い

    があることを伝えたりする。

    ボールがくるよ!

    にげろ!

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  • <ドッジボール>

    5 歳 児

    ねらい

    ○自分の目的をもって、繰り返し運動遊びに取り組む楽しさを味わう。

    ○友達と一緒に考えたり、相談したりしながらドッジボールを楽しむ。

    健康 ・全力で走ったり、跳んだり、投げたりするなど、快活に運動する。

    ・上手投げ、下手投げなど、体全体を協応させながら、様々な投げ方をする。

    ・友達同士で、遊び方やルールについて考えを出し合いながら、遊ぶ。

    ・友達と役割を分担して、遊びを進めていく。

    ・遊びに適した遊具や用具を選択して使う。

    ・数(人数・点数)に興味、関心をもつ。

    ・ボールの特性や周囲の状況を見通した上で、適切

    な場所や広さを考えて遊ぶ。

    ・自分の考えや思いを、相手にわかるように話す。

    ・共通の目的に向かって取り組む中で、勝った喜び

    や負けた悔しさなど、様々な思いを表現し、分か

    ち合う。

    人間関係

    環境

    言語

    表現

    子どもの姿

    ・友達と誘い合ってチームを作り、積極的にゲームを楽しむ。

    ・肩越しに勢いをつけて投げたり、遠くへパスをするときには助走をつけて、

    高く弓なりに投げたりするなど、緩急を調整してボールを投げる。また、目的

    とする相手に向かって投げる面白さを感じる。

    ・当てられると、悔しがりながら外野に出るが、「当ててまた生き返るんだ」と

    悔しさをばねにして取り組もうとする姿がある。

    ・ドッジボールのルールがわかり、リーダー役の子どもを中心に、力関係を考え

    てチーム分けをする。

    ・「僕が元外野になってピンチになったらもどるよ」「○○ちゃんは足が速いから

    逃げて生き残ってね」など、個性に合わせて役割を分担する。

    ・勝敗にこだわり、ルールを巡ってトラブルになったり、「どうせ負けるから」

    といって、参加しようとしなかったりすることもある。

    援助・配慮

    ・危険な動きにつながることのないように、クラスでルールの確認をする。

    ・十分に活動できる場所を確保できるように、他クラスの担任と連携をとって

    おく。

    ・満足できるまでゲームを楽しめるように、十分な時間を設定する。

    ・友達同士で、良さを認め合える雰囲気を作り、苦手意識のある子どもも、

    自分なりの目標をもてるようにする。

    ・個々に応じて、より遠くへ投げられるようアドバイスしたり、両手で胸の前

    でボールを受け止めるように知らせたりして、挑戦意欲を高めていく。また、

    取り組む姿を認めることで、満足感や充実感を味わえるようにする。

    ・問題が起きた時には、友達同士で話し合い、解決策を

    考えられるよう見守り、必要に応じて手立てを提示す

    る。

    ・勝敗にこだわり、やりたがらない子どもには、勝つ

    ためにはどんな工夫があるかを一緒に考えながら、や

    る気を引き出すようにする。また、保育者が一緒にゲ

    ームに参加し、楽しさを伝える。

    よ~し

    あてるぞ!

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