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Page 1: CC132特集1佐山見本Title CC132特集1佐山見本 Created Date 7/19/2018 10:56:00 AM

さやま・やすこ1993年東北大学医学部附属病院(現・東北大学病院)入職。2013年小児看護専門看護師資格取得。現在,小児医療センターに勤務し,子どもたちの笑顔を増やす活動を心がけている。

施設紹介●東北大学病院小児医療センターは2009年に開設され,5階病棟フロアに位置し,2018年度より西病棟31床,東病棟29床の計60床で運用されている。西病棟は小児科,小児腫瘍科,遺伝科からなり,血液疾患,神経疾患,腎疾患,内分泌疾患,代謝疾患の小児患者が入院している。東北で唯一の小児がん拠点病院に指定されている。東病棟は小児外科,小児科(主に循環器),形成外科,脳外科などの小児の外科系混合病棟である。 センター内には2カ所にプレイルームが設置され,保育士が子どもたちの保育を担当し,同フロアには小・中学校の院内分校が設置され,子どもたちの教育環境の整備と,病気を克服する意欲を育てることに大きな役割を果たしている。さらに,こころのケアのため臨床心理士,CLS(チャイルド・ライフ・スペシャリスト)を含む多職種スタッフによる支援体制を整えている。

「点滴固定」の工夫のポイント特集1

静脈内留置カテーテル「手・足」東北大学病院 小児医療センター 副看護師長/小児看護専門看護師 佐山恭子

●❶挿入部の固定:透明ドレッシング材,伸縮性のあるテープ(1.5×2cm程度を1枚〈挿入された留置針と皮膚

を固定するテープ〉,4×5cm程度2枚〈1枚は切り込みを入れる〉,細長いテープ2枚〈実際は1枚使用〉)

●❷接続部の下に使用するもの:クッション性のある医療用テープ

●❸患児に合ったサイズのシーネ:主に乳幼児に使用するが,学童期でも挿入部位によっては使用する

●❹シーネやルート固定用テープ:ハイラテックスなど,患児の皮膚に合ったものを選択

●❺固定部位を覆う抜去予防用ネット:コンネット包帯など(固定部位に合った大きさ・長さ)

●❻オルテックス(ギプス固定用):皮膚を保護する場合に使用。綿球,ガーゼなどで代用する場合もある

手順

●❶刺入部の固定

刺入部(留置針)と皮膚を固定する。

●❷刺入部固定の補強

体動で留置針の先端が動くと血管壁を傷つけたり,抜去などのトラブルにつながったりするため,細長いテープでたすき掛けにし,しっかりと固定する。

刺入部固定の補強

●❸接続部の皮膚の保護

接続部の皮膚への圧迫を避けるため,接続部と皮膚の間にクッション性のあるテープを貼る。

●❹刺入部と接続部の固定

ルアー式エクステンション使用時は,刺入部から接続部周辺を固定するよう大きめのテープを貼る(用途により区別)。ロック式エクステンション使用時は,切り込みを入れたテープで接続部を再度固定する。

 子どもが入院して実施されることが多い治療として,静脈内点滴注射が挙げられる。当院においては,長

期入院後にフォローアップ目的で短期入院するケースも多く,入院患児の半数以上は点滴治療が必要である。

 小児は血管が細く,乳幼児では皮下脂肪が厚いため血管確保が困難であることが多いことから,第1

選択として手背の静脈を用いることが多い。まだ歩行しない乳児は,手遊びや指しゃぶりをすることが

あるため,足の静脈に点滴を確保することもある。血管確保に伴う子どもの負担は大きいため,血管確

保後は自己抜去や点滴漏れがないようにしなければならない。小児は発達段階による個人差が大きいた

め,点滴の固定方法は,その子どもに合わせて選択することが重要となる。しかし,いまだに標準化さ

れたものはなく,施設により方法もさまざまである。本稿では,当院で行っている静脈内留置カテーテ

ルの固定方法について紹介する。

適応・経静脈的な与薬経路の確保

・水分・電解質の補正・維持

・採血ルートの確保

・輸血や血液成分の補充

目的・患児の持続点滴が安全,確

実に維持できるよう年齢や

点滴部位,活動に応じた固

・皮膚の圧迫障害,合併症を

予防し,患児の活動を妨げ

ない固定

適応 必要物品必要物品

●❶

●❺

●❷

●❻

●❹●❸

ルアー式エクステンション

ロック式エクステンション

2 こどもと家族のケア vol.13_no.2 3こどもと家族のケア vol.13_no.2

「点滴固定」の工夫を写真でわかりやすく解説!

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